カードファイト!!ヴァンガードG 孤独の先の、愛の物語 作:リー・D
トコハが新導家に来て、最初の朝。
他の人たちが仕事や学校に向かった後、安城トコハはミクルの用意した服に着替え、新導家で頼まれた洗濯物干しをしていた。
しばらくして、チャイムが鳴ったので、出てみた。
トコハ「はーい。あれ? リンさん? どうして? リンさん今、アメリカのプロリーグに参加しているはずじゃあ?」
そこにいたのは羽島リン。
シオンの高校の先輩であり、かつてトコハと大会で幾度も激闘を広げた、日本ヴァンガード女王だ。
高校卒業後、彼女はプロとして日本を離れ、北米リーグに加入したのだ。
リン「今はオフシーズン。暇だったから帰国してたんだよ。ところで、このあたしを何時まで此処に立たせて置く気だ。安城トコハ」
トコハ「あ、すみません。どうぞ、上がってください」
リンを家に上げ、リビングでお茶とお菓子を出して、自信は彼女の反対の席に座った。
トコハ「まだこの家のこと、把握しきってないので、こんなものしか出せませんが。どうですか?」
リン「ふん。まあ悪くないんじゃない。それにしても、リーグでボロボロになったって聞いてたけど、思ってたよりも元気そうね」
トコハ「クロノが……」
リン「ん?」
トコハ「クロノが迎えに来てくれたから。私、元気になったんです。告白されて、応えたから、今は凄く幸せです」
リン「ふーん。ま、落ち込んでるよりは元気なほうが叩き潰すかいがあるか」
頬を赤め、嬉しそうに語るトコハを、リンはお菓子やお茶を飲み、少し呆れながらも笑って見た。
トコハ「ところでリンさん。さっきから気になっていたのですが、その荷物は?」
トコハはリンの足元に置かれた鞄を指差す。
リン「ああ、これ? あんたのもんだよ」
トコハ「え? わたしの?」
鞄を渡されたので開けてみると、そこには家に置いてあったトコハの服が入っていた。
昨晩、母ミサエに頼んだ荷物だ。
トコハ「どうしてリンさんがこれを?」
リン「安城マモルに頼まれたんだよ」
トコハ「兄さんに?」
ミサエがマモルに頼むのは理解できるが、それが何故リンに頼むことになったのか、トコハには分からなかった。
リン「今日は適当にブラブラ過ごそうかと思ったんだが、たまたま安城マモルがいたんで、声をかけてみたんだけどよ。また支部長が失踪したらしくて、しかもユナサンの支部長も行方不明だから、大急ぎで戻る話になって、そしたらこの鞄をあたしに押し付けて行きやがったんだよ」
トコハ「大山支部長に雀ヶ森支部長まで」
トコハはサボり癖で有名な支部長2名に額に手を当てて呆れてしまう。
トコハ「でも、ありがとうございます。リンさん」
リン「あん。このあたしをお使いに使ったんだ。この程度じゃ礼には足りねえよ」
そう言ってリンはデッキを取り出す。
その意図を察したトコハも自信のデッキを部屋から持ってくる。
リン「あんたさっき、新導クロノが自分を元気にしたって言ったな。だったらその元気で何処まで強くなったか試してやる」
トコハ「望むところです。今の私の実力教えてあげます」
リン・トコハ「「スタンドアップ・ヴァンガード」」
その後、2人はファイトを数回行い、昼前ぐらいにトコハが昼食を誘ったが、リンが断って帰ることになった。
トコハ「今日は本当にありがとうございます。また来てくださいね、リンさん」
リン「誰が来るか。あんたこそ、とっととリーグに戻ってこい。アメリカでぶっ潰してやるよ。……またな」
リンとのファイトはトコハにとって良い気分転換になった。
その後、トコハはカードキャピタルのミサキに電話をかけ、翌日に2号店でバイトの面接をしてもらう約束を取り付けてから、クロノ帰りを待ったのだ。