五老星と会って話をしただけでボロクソに言われる男。



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先に謝っておきます。
シャンクスファンの人ごめんなさい。


イヌイヌの実・モデル世界政府の犬

「……そういう訳で、出来る限り麦わらと私を接触させないようにして欲しいんですよ」

 

「「「「「……」」」」」

 

 ここはマリージョア、五老星の間。

 

 突如として五老星を訪ねてきたこの男、海を統べる4人の皇帝のうちの一人である四皇・赤髪のシャンクスは普段とは比べ物にならないほどしょぼくれた情けない空気を醸し出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 時は遡り、10年ほど前。まだシャンクスがフーシャ村に停泊していた頃の話だ。

 

 当時シャンクスは使命感に駆られていた。

 

 ローグタウンという街で、自分の尊敬する元船長『海賊王』ゴールド・ロジャーの処刑を目の当たりにした時のことである。

 

『俺の財宝か?欲しけりゃくれてやる。探せ!この世の全てをそこに置いてきた』

 

『かっ……カッケェ……!』

 

 もう清々しいまでに影響された彼は、すぐさま行動を開始。

 最後の最後まで同期のバギーと共に雑用をしていた程度ではあるが、自分も海賊王のクルーであるという事実が彼の心を掻き立てた。

 

 そこからはトントン拍子だ。近海で名の知れた男に片っ端から声を掛け、『俺は昔……海賊王の船に乗っていたんだ』と一応は事実である殺し文句を駆使して強い(東の海基準)クルーを集めていき、フーシャ村という小さな村をナワバリにおいて海賊稼業を始めた。

 

 そこで、近い未来『五皇』と呼ばれる驚愕のルーキー、麦わらのルフィと運命とも言える出会いを果たす。

 

 村の酒場の娘(美人。密かに狙っていた)から聞いた話によると、なんとあの海軍の英雄ガープの孫だという。

 

『しめた』、とシャンクスは思った。

 

 ルフィは海賊になりたいと言ってはいるが、どうにもガープはルフィを海軍にしたい様子。子供がいくらぐずった所で海軍の英雄ガープの意向に逆らえるはずはないので、おそらくルフィは海軍の上級士官コースだろう。

 

 ここでルフィに恩を売っておけば、今後海軍といざこざがあったり捕まったりした時に見逃してもらえるかもしれない。

 

 シャンクスは、このコネで海を渡り歩いていくことを決めた。

 

 その為なら高額で売り飛ばすために持っていた悪魔の実を勝手に食われても文句はない……文句は……ない。(その日シャンクスは枕を涙で濡らした)

 

 

 

 ある日、山賊のヒグマを名乗る男が因縁を付けてきた。

 

 何人も殺してるらしくマジで怖かったが、副船長を任せているヤクザっぽい銃使いが追い払ってくれた。その後、近海の主とか呼ばれてるでっかい魚に喰われて死んだらしい。ざまぁ。

 

 自分も同じ魚に腕食われたからおあいこ?そもそも海軍に突き出してたら貰えたはずの800万ベリーがパァ?

 

 知ったことか。あんな初対面でガンつけてくる怖い奴なんて全員海の藻屑になれば良いんだ。あー酒が美味い。

 

 山賊、ヒグマは勝手に死んだとも取れるが、対外的には赤髪海賊団に殺された事になった。本来はニュースにすらならない程度の賊同士のいざこざなのだが……

 

 ——————この出来事が、彼の人生を大きく左右することとなる。

 

 実はそのヒグマという男……元海軍大将・緋熊と呼ばれる海軍の要人だったのだ。

 

 ヒグマ自体にそんな戦闘能力も度胸も無かったが、事務仕事がそこそこ出来たこと、なんやかんやの勘違い、部下に任せて海賊を五十そこら倒して色々と誇張した報告書を提出していた事などが重なり……いつのまにか海軍大将の地位にまで上り詰めたのだった。

 

 その重責に耐えきれず逃げ出したら政府から懸賞金かけられた悲しい男だか……自分の名前を知らない海賊団に出会ってしまったのが運の尽き。魚の餌となってしまった。

 

 元海軍大将・緋熊、辺境で海賊に殺される。そんなニュースが世間を賑わせた。

 

 曰く、世界トップクラスの緋熊の覇気が効かなかった。

 

 曰く、手も触れずに緋熊を圧倒した船長がいる。

 

 曰く、緋熊は殺された後バラバラにされて海に撒かれた。

 

 曰く、緋熊を倒したのは海賊王のクルーである。

 

 ……などなど、根も葉もない噂が噂を呼び……本人の知らないところで、誰にも気付かれず新世界を裏で操っている怪物と揶揄されるようになっていることを本人が知ったのは、『決定!新・海の皇帝』と題される新聞が回ってきた頃の話であった。

 

 もう死ぬほど驚いた。目玉飛び出るかと思った。

 

 そこからは最早イージーモードだ。

 

 今までどうにか切り抜けてきた他の海賊団との戦闘は、向こうが海賊旗を見るだけで勝手に逃げていく。

 

 海軍は『四皇』の一人に勝手に手を出すわけにもいかず、捕まることはない。

 

 唯一、ガチな四皇の一角『白ひげ海賊団』を抜けた男から襲撃を受けたが、どうにか致命傷は避けたので特に問題はない。あと白ひげは顔見知りなので最悪なんとかしてもらえるだろう。

 

 そんな、あまりにも順調すぎる航海でシャンクスが天狗になりまくっていた頃……ついに、そんな楽々な航海も終わりを告げることとなる。

 

 シャンクスがCP0に誘拐されるという事件が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 シャンクスが目を覚ました時……彼は海楼石の手錠で繋がれ、豪勢な部屋に座らされていた。目の前には五人の老人たち。五老星である。

 

「君が……『四皇』赤髪のシャンクスかね?」

 

(……えっ、何?どうなったの俺)

 

 シャンクスは困惑するとポーカーフェイスになる癖があり、無表情を貫くのを見て、五老星達はシャンクスの虚勢、と受け取った。

 

「噂は聞いているよ。あの法螺吹きの緋熊を殺したそうじゃないか。中々に骨があると見える……実力はともかくとしてね」

 

「左様。海軍大将としてはそこそこ有能な男だったが、抑止力となるには実力不足が過ぎたものでな。あやつ、何度も新世界に偵察に行っておきながら覇気の存在すら知らなんだ」

 

(何だよ覇気って。そんぐらい誰でも知ってるだろ。今お前達が放ってるやつだよ!怖えよ!)

 

 無論、覇気とは新世界の怪物達が操る能力のことであり、世間一般の覇気とは違う。

 

 因みに、これでも元は新世界の駆けた海賊王の船の雑用係。一応覇気の存在くらいは知っている。バギー共々使える訳ではないが。

 

 そんなシャンクスの心境を知ってか知らずか五老星達は勝手に話を進めていく。

 

「この状況で随分と落ち着いているじゃあないか……思ったより見所がありそうだ」

 

「君のことは調べさせてもらったよ。『ラフテル』に到達した忌まわしきゴールドロジャー……その船に乗っていたな?」

 

「『ラフテル』の情報は我々にとって都合が悪い……今ここで貴様を消してしまっても良いのだが、ここは一つ取引と行こうじゃないか」

 

「……取引、ですか?」

 

 ついつい敬語が出てしまうシャンクス。五老星にビビり散らかしている。

 

「君の『四皇』としての立場を約束しよう。その代わり、我々の指示に従ってもらう」

 

「それは、つまり四皇としての立場を利用して暗躍しろ、と言うことですか?」

 

「物分りが良くて助かるよ。まぁ、分からなかったら有象無象の海賊のように海の藻屑になってもらうだけなのだがな」

 

 実質、シャンクスに選択肢は無かった。

 

「……謹んでお受けいたします」

 

「うむ、礼儀正しくて何より。海賊に礼を尽くされるのは少々気持ちの悪いものだな……

 君にはこの特殊電伝虫を預けよう。追って指示を出す……人員が不足するようであれば、CP0を貸し出そう。東の海のクルー達では少々不安が残るのでな、それから……」

 

 シャンクスは………………歓喜していた。

 

(やった!やった!生き残った!完全に死んだかインペルダウン行きだと思ってたのに生き残った!しかもこれからは世界政府の側に付けるだって!?もうこれからの地位は約束されたも同然じゃないか!)

 

 そのまま、ウキウキで船に戻り武勇伝を語るシャンクス。幸せな男である。

 

 

 

 

「これで忌々しき海賊共の動向もある程度コントロールできますな」

 

「ああ、この取引、我々に損はない。彼の覇気を見る限りでは、CP0には到底敵うまい。世界を無闇に掻き回す不安要素に首輪をつける事だけでも充分過ぎるメリット……そも、このことが世間に漏れても何ら問題はないしな」

 

「左様。海賊の動きは多少騒がしくなろうが、『四皇』をコントロールしていたと言う事実は世界政府の権力を証明する事にもなる。赤髪を見せしめに殺せば力も誇示できる。ロジャーの件を踏まえて今度は我々が編集した動画を配信し、本人は晒し首にするとしよう」

 

「唯一ラフテルの情報が問題だが……CP0にラフテル関係の情報を赤髪が漏らすようであれば即座に始末するよう通達してある」

 

「全ては、我々の計画通りに」

 

 

 

 

 

 そして、現在。

 

「今や麦わらはビッグマムと完全な敵対関係にあり、そんな麦わらとと私が接触すると戦争が勃発しないとも言い切れません。

 という訳でマムの所の工作員に指示、お願いします」

 

「いや……うむ、考えておこう」

 

「しかし、麦わらには恩があると前から言っていたではないか。強力な傘下の海賊が増えるかもしれないとあんなに嬉しそうだったのに、今更接触を避けたいなどと……」

 

「そうはいったってですね!?15億ですよ15億!!もう『来たな……ルフィ』とかドヤ顔で言えるような額じゃないんですよ!いつのまにか意味不明なほど強くなってるし!ビッグマムのところのカタクリを単騎で突破したとかアゴ外れるかと思うほどビビりましたからね!?自慢じゃないですけど!」

 

「お、おう……わかった、こちらから手を回しておく」

 

「お願いします!あと出来ればCP0から何人かクルーを追加で貸して頂けると……

 そういえば前にお借りしたロックスターくん居ます?いやー彼ほんと有能で……有事に備えてまたお貸しいただけると助かるのですが」

 

「しかしそれは……」

 

 四皇と呼ばれるシャンクスはそこには居なかった。

 居るのは五老星とズブズブの関係にあるコネコネの実の前身コネ人間の情けない海賊、赤髪のシャンクスだった。

 

 なんだかんだで仕事はきちんとこなし、新世界基準の力をある程度身につけたとは言っても、所詮は世界政府の犬。何か問題があればCP0に揉み消してもらい、その度に世界政府に借りを作っている悲しい工作員でしかない。

 

 今後、世界は大きく動き出すだろう。『ビッグ・マム』シャーロット・リンリンに、『百獣』のカイドウ、『黒ひげ』マーシャル・D・ティーチ。本物の海賊達がルフィによって更にかき混ぜられ……時代のうねりは止められなくなっていく。

 

「お願いします!どうか増員を!今のルフィとかもう本当に無理ですから!お願いします!」

 

「いや……しかし……うむ……」

 

 赤髪のシャンクス。四人の海の皇帝の一人。そして世界政府の犬。

 

 彼は、生き残れるのだろうか。




シャンクスは世界政府の手下、ウルージさんは強キャラ、白ひげは敗北者、エースは無駄死に。

この世の真理である。

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