今回は、二話同時投稿です。
感想で「あくしろよ」って急かされたので頑張りました。
ホモはせっかち。
更新通知で飛んできたノンケの皆様は、前話からどうぞ。
今回は人を選ぶであろう話ですが、しょうがないね。
結局、己の作風に準じるしかないのさ…。(†悔い改めて†)
◆推奨BGM ロッキーのテーマ
もしくはThe Final Bell
「なんか静かっすね。迷宮の中なのにキノコいないし、さっきとはえらい違いっす。」
「ああ。キノコの戦力は軒並み逃げ出してんのかもな。」
「まっそんなのもう関係ないっすけどね!」
「上機嫌だな。」
「そりゃそうっすよ!そろそろ最深部だし、時間も余ってるし、最後も頑張らないと!」
「ああ。そろそろボスか中ボスが出てきても良い頃だ。」
迷宮の最深部にはボスが居る。
とはいえ、深く潜れば毎度ボスに会える訳じゃない。
最深部でも中ボス=そこそこの宝物と遭遇する確率の方が高いのだ。
色々と仮設やジンクスはあるが、結局は運によるようだ。
ボスは良い宝物を持ち、ランク査定でもプラスが付くがその分強い。
ローリスクな中ボスの方を狙う探索者も多いと聞く。
出来れば、今日も中ボスの方が嬉しいんだが…。
bang!
bang bang bang!
「何!」
「ヒューゴさん!?」
突然、床の岩盤をぶち抜いて、四本の巨大キノコが伸びる。
そしてキノコの間に細いロープのようなものが張られ、正方形が形成。
嬢ちゃんと俺は分断されてしまう。
きゅむ。
きゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむ
きゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむ
きゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむ。
同時に、大量のキノコが上から現れ、俺を取り囲む!
「ヒューゴさん!」
「俺は探索者”便利屋”ヒューゴだぞ!こんくれぇなんてこたぁねぇ…!
嬢ちゃんはとっとと逃げろ!」
便利屋も舐められたものだ。
戦闘は全て嬢ちゃんが行っていたから、ひ弱な後衛職とでも思われたのか。
この程度、苦境でもなんでもない。
サクっと全滅させることが出来る。
だが、嬢ちゃんは別だ。
流石にこの状況で援護は出来ない。出来れば帰ってくれた方が嬉しい。
「そんな…。」
「メイファのとはいえ、依頼を守るのも探索者の仕事だ。良いから行け!」
「でも!どうやら奴さんが用があるのは、俺の方みたいです…!」
「何ぃ?」
booooooong!!!!
鳴り響くゴングの音と共に、巨大な影が正方形の中に落ちる。
現れる、通常の二倍近い巨大キノコ!
一夜茸迷宮のボス!
きゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむ!
周りのキノコたちが飛び跳ね、足音が鳴り響く。
「おい、嬢ちゃん!流石にボスにゃあ勝てねぇぞ!とっとと逃げろ!」
「いいえ。俺は…逃げない!」
「意地張ってる場合かよ!」
しかも、ボスキノコは両手に赤いキノコを装着した見慣れぬ姿。
特殊分岐。
一定の条件を満たした場合のみ現れる特殊ボスの可能性がある。
「…!」ぎゅむぅ。
サイズと重量に合わせ、足音も迫力たっぷり。
ボスキノコは両手のキノコを誇るように掲げたあと、青い二つのキノコを投げる。
嬢ちゃんはそれを拾い、両腕に装着した。
「手を出さないでくれ!ここからは…俺の試合だ!」
きゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむ!
興奮したかのように、周りのキノコが飛び跳ねる。
こうして。
何か俺だけを置き去りに、ボスキノコと嬢ちゃんのタイマン勝負が始まってしまった。
とりあえずバフだけ飛ばしとこ…。
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ロープの張られた正方形の角。
腕を回したり、両腕でロープにぶら下がったりしてウォーミングアップする嬢ちゃんに話しかける。
「嬢ちゃん、狙うべきは分かってるな!」
「ああ、ダウンだ!ダウンを狙うっす!」
「そうだ!アイツもキノコだ、トップヘビーなのは変わらん!
だが太い分足にも安定性があって、手ごわい!頑張れ!」
「分かったっす!」
「よし、行ってこい!」
周りのきゅむきゅむ音に負けないよう、声を張る。
ついでに今までのバフに加え、体表硬化で支援する。
あんなハードパンチャーの前では無意味かもしれないが、無いよりマシだ。
てこてこてこ。
ぎゅむぎゅむぎゅむぅ。
赤と青のグローブを付けた両者が中心へと進んでいく。
中ボスの黒いキノコが、審判のようだ。
再度、ゴングが鳴り響く!
ボスキノコはその威圧感に反し、軽やかなジャブ。
圧倒的なリーチで、嬢ちゃんを牽制する。
だが嬢ちゃんも負けてはいない。
その体躯の小ささを機動力に変え、ヒットアンドアウェイの構え。
繰り返される、ジャブ。
ゆっくりと嬢ちゃんがコーナーへと追いつめられる。
ヒットアンドアウェイには、広いスペースが必要だ。
嬢ちゃんの勝ち筋がそれしかないなら、守るのでなく攻める必要がある。
ジャブ。
ジャブジャブ。
…ストレート!
ボスキノコの剛腕が唸る。
だが、些か性急な攻めだったようだ。
嬢ちゃんはギリギリまで引き付けて躱し、フックを撃ち込む!
カウンターだ!
「ファッ!?」
嬢ちゃんの驚きの声!
無理もない、ボスキノコはあの巨体で素早く上体をそらし、フックを回避したのだ!
フックへのカウンターが放たれ、そのカウンターへのカウンターが放たれる!
瞬時に激化する、パンチの打ち合い!
だが嬢ちゃんはパンチに夢中になるボスキノコの足が止まった事を見逃さなかった!
「暴れんなよ…。」 荒いストレートを弾くように受け流す!
「お前の其処が隙だったんだよ!」 斜めに打ち上げるアッパー!
アッパーが傘の下にある三白眼、そこよりやや下の人間でいう顎の位置に直撃!
ボスキノコはたまらず尻餅をつく!
きゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむ!
光の少ない、暗い会場は大盛り上がりだ。
キノコたちは飛び跳ね、黒キノコがばんばんと手を床に叩きつける。
ばーん。
ばーん。
ばーん。
黒キノコが腕を振るう度、キノコたちが静かになる。
そして、ボスキノコが立ち上がるのに合わせ、また一斉に跳ねる。
きゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむ!
「やったな、嬢ちゃん!」
「ああ!だがこれでヤツを警戒させちまった。この手はもう通用しない…!」
boooong!
またゴングが鳴り、嬢ちゃんが弾かれるように中心に飛び出す。
ボスキノコは両腕のキノコを掲げ、体を震わせる。
破裂音と共に両腕のキノコの球形だった傘が開き、板状になる。
「ミット?」
「不味いぞ、嬢ちゃん!第二形態だ!」
ボスキノコは威力を落としてでも命中率を上げることを選んだようだ。
ボスキノコの剛腕パンチをガードすることは難しい。
それ故嬢ちゃんは回避か、先ほどのような弾く迎撃を強いられていた。
だがあのようにグローブを巨大化されると、回避も腕を叩いて迎撃することも難しくなる。
ボスキノコは何度か感触を確かめるように素振りをし、猛然と攻撃を開始した!
「…!…!」
「!…!」ぎゅむ、ぎゅむぅ。
周囲のキノコも攻防を、固唾を飲んで見守る。
静まりかえった迷宮には、ボスキノコの足音とパンチの風切り音だけが響く。
嬢ちゃんは防戦一方で、軽口を挟む暇もない。
先ほどから何発か嬢ちゃんのパンチは当たり、ボスキノコのパンチは当たっていない。
だが押されているのは嬢ちゃんの方だ。
ボスキノコは先ほどから、被弾してまでも嬢ちゃんが横をすり抜けることを許さず、着実にコーナーへと追い込んでいる。
板状キノコの薙ぎ払うようなパンチは、減衰してなお嬢ちゃんの体を押しとどめる威力を持つ。
嬢ちゃんはそのパンチに苦戦し、少しずつ傷を増やしながら追いつめられていった。
「嬢ちゃん…!」
「大丈夫っす、ヒューゴさん…!
…。
打って来いよ。
真ん中来いよ、えぇ!?真ん中来いよ!! 」
近づいてくる嬢ちゃんに思わず声を掛ける。
嬢ちゃんの声はまだ死んでいない。
そればかりか、両手のグローブを叩き合わせてボスキノコを挑発した!
「!」ぎゅっむぅ!
素早い踏み込み!
外に立つ俺にすら届く風圧!
恐るべき威力のボスキノコ右ストレート!
「とぉ!」
「何!」
「!」ぎゅむっ。
嬢ちゃんはその必殺の一撃を、ロープをたわませることで躱した!
さらにロープの反発を利用して跳ね、正方形を形作る巨大キノコの傘に着地!
空中からボスキノコに躍りかかる!
「!」ぎゅ、ぎゅむ!
ボスキノコの咄嗟の迎撃をすり抜け、傘を踏みつけて反対側に着地!
位置が入れ替わる!
今コーナーに追いつめられているのは…ボスキノコだ!
きゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむ!
盛り上がるキノコたちをよそに、嬢ちゃんは鬱憤を晴らすかのようなラッシュを開始!
こんな手品が二度三度と通じるはずもない。
このラッシュで決めるしかないのだ!
「行けーッ!嬢ちゃーん!!」
「ホラホラホラホラホラッ!」
怒涛のラッシュ!
強烈なパンチがボスキノコの右わき腹に突き刺さる!
だが!
だが、仕留めきれない!
振り向いたボスキノコが反撃を始めた。
キノコパンチの威力に体が押しとどめられ、嬢ちゃんのパンチから威力が奪われる!
boooong!boooong!boooong!boooong!
ゴングの音と共に、黒キノコが割って入る。
二人は同時に座り込み、正方形に入ったキノコに運ばれるように対角線のコーナーに戻る。
どうやら休憩時間のようだ。
ボスキノコは他のキノコに、傘の踏まれた部分を整えてもらい、傘裏のひだに霧吹きで水分補給を受けている。
なんでもキノコたちは、ひだが干からびると力を失うのだそうだ。
キノコが火を嫌うのも、ひだの乾燥に因るのだとか。
俺もフラフラの嬢ちゃんに水を飲ませる。
「ヒュ、ヒューゴさん…奴は…。」
「良いボディブローだった!効いてるぞ!」
「なら…なら勝てるっすね…!」
嬢ちゃんの闘志はまだ死んでいない!
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試合は休憩を挟み、長く続いた。
次回はいよいよ、15回目の攻防。
ボスキノコは強かった。
だが、嬢ちゃんもそこに良く食いついていた。
ジャブにはジャブを、ストレートにはカウンターを返し。
フェイントの読み合いを制し。
パンチの打ち合いで負けず。
足を止めずステップを踏み。
サブミッションを試み。
関節を狙い。
蹴ってみたり。
投げようとしたり。
ロープを駆使して空中殺法を行ったり。
様々な手段でボスキノコに襲い掛かった。
だがボスキノコもさる者。
パンチ。
キック。
ボディチェック。
ヒップアタック。
あらゆる手段で嬢ちゃんを迎撃した。
「嬢ちゃん。おい、嬢ちゃん!大丈夫か!?」
「まだ…まだ行けますっす…!」
見るからにフラフラ。
もう限界だろう。
この攻防で決着が着かなければ、降参する他あるまい。
「嬢ちゃん、そろそろ、切り札の使い時だ…!」
「でも…あれは…ヒューゴさんからプレゼントで…。」
「お前が言ったんだろ!大事なのはプレゼントに籠った気持ちってな!
そんなに欲しけりゃ何度だってくれてやる!
だから、勝て!」
「…はい!」
「よし、行ってこい!」
満身創痍の嬢ちゃんを送り出す。
だが、傷の多さならボスキノコも負けてはいない。
向こうだってフラフラだ。
キノコたちも、決着の予感に静かに正方形を見つめている。
「三回だ。」
「!」
「!」ぎゅむぅ。
「!」きゅむきゅむ。
「今から、三回の魔法で、お前を倒す!」
きゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむ!
右腕を掲げた嬢ちゃんの、撃破予告に会場が湧く。
右腕には俺たちの切り札、例の帽子野郎から買った腕輪が装着されている。
三回分、事前に込めた魔法を使うことが出来る腕輪だ。
使うと壊れてしまうため、込められた魔法は非常時用。
俺が居なくてもメイスの装備要求値を満たせるよう、『腕力強化』が込められている。
バフは二重にかけた場合、すぐ効果を失ってしまう。
だが、パンチを放つには数秒あれば十分だ。
出来れば不意打ちで使ってほしかったが、あれが嬢ちゃんのプライドだと言うなら止めはしない。
後はただ、祈るだけだ…!
「…!」
「!」ぎゅむぅ。
静寂の中、嬢ちゃんが進み、右腕を振りかぶる。
輝く腕輪。
小細工なし、真正面からのストレート!
ボスキノコもまた、右ストレートで真っ向から迎撃する!
「…らぁ!」
「!!!」ぎゅぅっむぅ!
勝ったのは…嬢ちゃんだ!
ボスキノコの右腕が大きく弾かれる!
もう一度右腕が振りかぶられ、腕輪が輝く!
ボスキノコ左手での迎撃!
「…らぁ!」
「!!!」ぎゅぅっっむぅ!!
利き手で防げなかったものを防げる道理はない!
弾かれる左手!
「嬢ちゃん!」
思わず叫ぶ!
ボスキノコの右手が引き戻されようとしている!
これでは三発目も防がれてしまう!
だが、嬢ちゃんは。
そのボスキノコの動作を見て、笑った。
「三発じゃない、三回と言ったっすよ?」
そしてそのまま、腕輪が光る!さらなる踏み込み!
「ホラァーーーーーッ!」
突き抜けた嬢ちゃんの拳が、ボスキノコの右わき腹に突き刺さった!
boooong!boooong!boooong!booooooooooooong!
崩れ落ちるボスキノコ!
鳴り響くゴング!
黒キノコが手を床に叩きつけ、興奮したキノコたちが正方形になだれ込む!
「ヒューーゴさん!ヒューゴさーーーーん!!」
傷ついた嬢ちゃんが叫んでいるのが見える。
嬢ちゃんはそのまま周りのキノコたちにもみくちゃにされていく!
「ヒューーーゴさーーーーーん!!!」
叫びながら、嬢ちゃんはキノコに胴上げされ始めた。
なんだこれ。
今更だが、なんなんだこの光景?
理解を超えた光景に、俺はただ立ちすくみ、何故か胴上げされることになった。
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淫夢ネタで始まり!
オルガネタを挟んで!
ビル・コンティの「The Final Bell」(ロッキーエンディング)で締める!
RTA動画なんてそれで良いんだよ…!(風評被害)
せっかく来た読者様を振り落としていくスタイル。
人は結局、己が流儀でしか生きるしかないんやな…悲劇なんやな…。
ちなみに映画「ロッキー」でアポロとロッキーが戦うのは、ロッキーの「イタリアの種馬(Italian Stallion)」というニックネームがキッカケです。
このニックネームは、主演のスタローンが下積み時代に出演したポルノ映画の題名が由来なんだとか。
つまりロッキーが有名になったのは、ひいてはスタローンがスーパースターになったのはこのポルノのおかげだと言っても良いでしょう!(過言)
ポルノがキッカケでスターになった、竿役者。我々は彼に良く似た人物を知っていますね?
スタローン野獣先輩説!
次回、「Theヒモ稼業:迷宮不労収益獲得譚」は二、三日後?
流石にキーボード叩き過ぎて手首がアツゥイ!(大袈裟)(オーバーヒート)
その内ワンコ系パーティメンバーが追加されるので、しばらくお待ちください。
おらっ働け「ガールズラブ」警告タグ!