強くてニューゲーム   作:トモちゃん
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ペロロンチーノ「合法ロリがピンチと聞いて」


19話

「真・アイシーバースト! 」

 

ザリュースはアインズより貸与された真・フロスト・ペインの力を開放する。

極寒という言葉すら生温い冷気が放射状に広がっていく。

目の前のビーストマンたちが氷像と化し、砕け散っていく。

 

「おう、ザリュース、張り切ってんじゃねえか」

 

ゼンベルが後方から声をかけてくる。

張り切る? 当然だ。魔導王より、今回の戦争で手柄を立てれば、この剣を下賜されると出発前に言われたのだ。

かつてのリザードマンが憧れ、作ろうとして、しかし届かなかった秘宝が目の前の人参としてぶら下がっているのだ。

ここで張り切らずして、いつ張り切るというのか。

 

現在、コキュートス率いる魔導国軍は、竜王国の砦を責めていたビーストマンの軍勢を強襲中だ。

ビーストマンは凡そ10万。対する魔導国軍は僅かに4000。

数の上では勝負にもならない。本来なら、包囲されて殲滅されるだけの関係だ。

しかし、魔導国軍の強者はその程度の差など、ものともしなかった。

 

 

「三毒ヲ切リ払エ、不動明王撃(アチャラナーダ)! 」

 

開戦と同時に振り払われたコキュートスの一撃は、10万の大軍を真っ二つに切り裂いた。

魔導国軍から見て右側の軍勢は、続くマーレの魔法で壊滅した。

 

「サア、突撃ダ! 残敵ヲ殲滅セヨ! 」

 

コキュートスの号令と共に一気果敢に突撃していく幾多の亜人による混成部隊。

今回の戦争では、アンデッドは主力ではない。

ビーストマンの被害を受けている竜王国を魔導国の支配下に置くには、亜人に対する恐怖心や偏見を取り除かなくてはならない。

ドワーフの国での経験から、アインズは、竜王国の人間と魔導国の亜人たちとの共闘が最も有効だと考えた。

 

「リザードマンに負けるな! バフォルクの誇りを示せ! 」

 

山羊頭の亜人、バザーが同胞たちを鼓舞する。

誰一人として、ビーストマンの大軍を恐れるものはいない。

100万の軍勢より強い、武の神がこの軍を率いているのだから。

 

 

 

 

 

コキュートスは今回の軍を編成する数日前、アインズに呼ばれ、こう言われた。

 

「コキュートス、お前とデミウルゴスが軍隊を率いて激突したとしよう。どちらが勝つと思う? 勿論、お前たちは直接手を下さない、という条件でだ」

 

コキュートスは僅かに考えた後、こう答えた。

 

「デミウルゴスデショウ。私ハ、デミウルゴス程ニ賢クハアリマセン」

 

アインズは頷き、こう返した。

 

「ふむ、確かに、戦力がアンデッドやゴーレムといったものではそうだろうな。そう、戦力が只の駒であるならばだ」

「ソレハ、ドウイウ意味デショウカ?」

 

主の言っていることの意味が分からないコキュートスは、素直に聞くことにした。

 

「ふふ、良いかコキュートス。亜人や人間を率いたなら、お前の軍はデミウルゴスにも負けることは無い」

 

アインズは自信を持って断言した。

至高の主の言葉が嘘の筈がない。

しかし、コキュートスには信じられなかった。

 

「ソ、ソノヨウナコトハ無イカト存ジマス」

「ん? お前は、私の言葉が信じられないか? 」

「イ、イエ、ソノヨウナ、デスガ…」

 

主の言葉を信じられないとは言えない。しかし、自分がデミウルゴスに用兵で勝つイメージが湧かなかった。

 

「コキュートスよ。意志あるものはな、その想いの強さが、時に実力以上の結果を齎すのだ。それは己の夢であったり、主への忠義であったりと様々だ」

 

アインズは優しく、子供を諭すかのように続ける。

 

「コキュートス、お前には将の才がある。階層守護者の中で最も将としての才に溢れているのがお前だ」

「恐レナガラ、アインズ様。私ニソノヨウナモノガアルトハ、トテモ思エマセン」

「お前の裏表の無い、実直で誠実な人柄は、そう、戦いに身を置く者たちにとっては非常に好ましいものだ。お前の為に死んでも悔いは無い、という程にな。良いかコキュートス。将というものは、ただ勝てば良い、強ければ良いというものでは無い。この人の下で戦うのであれば決して負けない。部下に不敗の信仰を抱かせる者こそが真の将。もう一度言うぞ、お前には、その才がある」

 

コキュートスの全身を稲妻が駆け抜けたような衝撃が走る。

 

「今すぐに、完全でなくても良いのだ。お前の将器の、その片鱗をこの戦で見せておくれ」

「畏マリマシタ。必ズヤ、オ見セシテゴ覧ニ入レマス」

 

ここまで言われて出来ませんとは言えない。何より、叡智の化身たる至高の主がここまで断言するのだ。出来ないはずがない。

戦力として連れていく亜人たちは、デミウルゴスから貰った資料で目星をつけてある。

出発までの僅かな時間ではあるが、主の威光を汚さぬよう、全力で鍛え上げねばならない。

コキュートスの目に、業火の炎が燃え上がる。

その結果、亜人連合の、特に部族の長達には地獄の特訓が待っていた。約一名、聖王国の人間も巻き添えを食ったようだが。

 

 

 

 

ビーストマンの軍、中央から大きな悲鳴が聞こえてくる。

 

「敵将、打ち取ったり! 」

 

ビーストマンの軍勢の中心部、黒髪の少年、漆黒聖典隊長ノワールがビーストマンの将と思しきものの首級を上げた。

マーレの魔法発動後、すぐに敵陣に突入し、真っ直ぐに大将首を狙い撃った。

魔導国軍の中ではコキュートスとマーレを除き、頭一つ飛び抜けた存在だった。

開戦から僅か数分の間で、軍はほぼ壊滅、大将は討ち取られたとあって、ビーストマンは既に戦意を喪失していた。

散り散りになって逃げていくビーストマンを深追いすることなく、整然と竜王国の砦へと向かう。

 

「我ラハ、アインズ・ウール・ゴウン魔導国ヨリ派遣サレタ援軍デアル。開門セヨ! 」

 

亜人を率いる軍勢に、砦の兵士たちは身震いするが、魔導国からの援軍の話は聞いている。

今、ビーストマンを蹴散らしたのを見るに、少なくとも敵では無いようだ。

何より、指揮官と思しきライトブルーの蟲のような亜人は桁外れの強さだった。

遠くからでも、彼が放った剣戟でビーストマンの軍隊が割れるのが見えた。

亜人だとしても貴重な援軍なのだ、歓声と共に迎えよう。

 

魔導国の将軍が率いる亜人の軍勢は、驚くほど統制が取れていた。

そして何より勇敢だった。彼らは誰も、死を恐れない。

当然だ。魔導国の民は皆、定められた命が終わるその時まで、生きることを許されているのだから。

魔導国の兵士にとって、死などただの状態異常に過ぎない。

神に己の信仰を示すことこそが第一であり、命はそのずっと後だ。

ただでさえ強い亜人たちが、死を恐れることなく勇敢に、そして、統制のとれた動きで襲い掛かってくるのだ。

身体能力頼みのビーストマンに、端から勝ち目など無かった。

 

 

 

 

 

―竜王国首都、王城の一室―

「なあ、何でこの格好なんじゃ?」

 

ドラウディロン・オーリウクルスは幼い顔に不満の表情を浮かべている。

 

「魔導王陛下は子供たちには特にお優しいと伺っております。その形態の女王陛下なら、魔導王陛下の庇護欲を刺激することも出来ましょう」

 

宰相はにっこりと、目以外で笑う。

 

「だから形態言うな。はあ、もう、助かるなら何でも良い。で? 例の魔導国軍はどうなのだ? 首都は完全に包囲されたぞ。間に合うのか? 」

「さて、どうでしょうな? まあ、今となっては運を天に任せるしかありませんな。魔導王陛下は全知全能の神と聞きます。きっと何とかして下さるでしょう」

「投げやりにも程があるわ。どれ、せめて兵士たちを鼓舞するくらいのことはしよう」

「おお、流石は女王陛下。さあ、行きましょう。ああ、酒は飲まないでくださいよ? 酒癖悪いんですから」

「ちょっと引っ掛けていく位かまわんだろうに。兵を鼓舞するには勢いも大事だぞ? 」

「駄目です。これが最後になるかもしれないんですから、みっともない最期だけは勘弁して下さいよ」

「みっともない言うな」

 

 

 

バルコニーから見渡す首都。

かつては美しかったのだろうこの都市も、今では瓦礫の山だ。

辛うじてビーストマンの侵攻を防いではいるが、後何日持つことやら。

王城の前に並ぶ兵士たち。その先には、再びビーストマンの軍勢が見える。20万はいるかも知れない。

間に合わなかったか、と無念を抱くも、王としての務めは最期まで果たさねばならない。

それが、自分に殉じて散っていった民たちへの責任というものだ。

ちらりと宰相を見ると、覚悟を決めた表情で頷く。

自分たちと、残った民の魂を使用して始原の魔法を発動させることを決意する。

せめて最期に、ビーストマンたちに一泡吹かせてやろう。人間の意地を見せてやる。

 

ふと、地面が揺れた気がした。

 

「おい、あれは何じゃ? 」

 

ビーストマンの軍勢が、大地の大波に攫われていく。

続いて、何かが閃いたかと思ったら、衝撃波にビーストマンたちが両断されていく。

 

「いや~。女王陛下の始原の魔法は凄いですな」

「阿呆、真面目に答えろ。何じゃありゃ?」

「魔法? ですかな? それにしても凄いですな。あれが魔導王陛下の魔法という訳ですな」

「いいえ、あれは魔導王陛下の側近、階層守護者マーレ様の魔法です」

 

いつからそこに居たのか、黒髪の少年がそこに立っていた。

 

「うお! 誰じゃ? ん? お前、漆黒聖典の? そうか、魔導国に降ったんじゃったな」

「ええ、今後は、ノワールとお呼びください。魔導王陛下より賜った私の名でございます」

 

ノワールは、まるで自慢するように名乗る。

 

「それで、あの魔法が魔導王陛下の側近の手のものによるということは、魔導王陛下の魔法というのはもっと凄いのか? 」

「当然でございます。魔導王陛下の魔法であれば、天を裂き、地を割ることも容易い。人の生も死も、全てはあの御方の掌の上。正に世界の全てを支配される御方なのです」

「ああ、そうなんじゃな。まるで神様じゃな」

「まるで、ではありません。魔導王陛下こそが、この世を救うべく降臨された唯一にして至高の神なのです」

 

へ~そうなんだ。凄いなあ。

 

「そして、魔導国軍を率いているのがコキュートス将軍」

「コキュートス将軍とやらも人間ではないのだな」

 

出来れば、せめて最高責任者は人間であってほしい。そう願って聞いてみた。

 

「勿論、人間ではありません。至高の神に仕える従属神でございます」

「さてさて、救国の英雄たちを迎える準備を致しましょうかな」

 

宰相の奴、良く冷静さを保てるな、と思いつつ、ドラウディロンは踵を返す。

 

「ああ、そうじゃな。行こうか、ノワール。魔導国軍について教えてくれるか? 」

 

遠くでは、敗走するビーストマンたちを追撃する魔導国軍が見える。

既に、勝負は決していた。竜王国は救われたと確信した。

 

 

 

 

 

―エ・ランテル、アインズの執務室―

「ほう、コキュートスは上手くやってくれたようだな」

 

アインズは楽しそうにアルベドの報告を聞いていた。

 

「はい、竜王国の首都の包囲を解除。今は東の砦の奪還に向かっております。恐らく、一両日中には竜王国の砦は全て奪還出来るものと判断致します」

「ふむ、竜王国の都市は全てボロボロだな? 畑は荒らされ、住む家も碌にない。そうだな? 」

 

アルベドに予定通りの結果になったか訊ねる。

まあ、パンドラズ・アクターが指揮を執っているのだ。問題は無いだろう。

 

「はい、左様でございます。ご命令の通り、人間は食糧として消費しておりますが、約半数は生かしてあります」

「良かろう。では、ビーストマンたちの役割も終わりだな。パンドラズ・アクターを撤退させろ。それと同時に、コキュートスにビーストマンの殲滅と、捕らわれた人間の救助を命じろ」

「畏まりました。では、残ったビーストマンたちに命令を下させた後、パンドラズ・アクターを撤退させましょう。突然現れた王が、また突然いなくなるなんて、ビーストマンも不幸ですわね。くふふ、所詮は畜生共ですが、アインズ様のお役に立てるのです。喜んでいることでしょう」

 

パンドラズ・アクターがビーストマンを統率しているおかげで、竜王国のインフラはほぼ全滅だ。

今後、都市の復興も全て、アインズが利権を一手に独占出来ることだろう。

 

「さて、これでコキュートスの自信になれば良いが」

 

コキュートスは真面目で実直な性格だが、それ故に落ち込みやすい。

特に、仲の良いデミウルゴスよりも、主の役に立てないことをコンプレックスに思っている。

それを払拭する為の、今回の戦争でもあったが、今後、亜人たちの指揮や統治などを通じて、一回り成長してくれるだろう。

 

「竜王国民の、亜人に対する嫌悪感を払拭するには良いイベントだったな。それに、竜王国の復興は大きな事業になるだろうな。王国の民を食わせるのにも十分な規模だろう」

「くふふ、全てはアインズ様の思し召すままに」

 

執務室には、二人の笑い声だけが響いていた。

 




ぺロロンチーノ「大人に変身出来るタイプの合法ロリってどうなってるんでしょうね?」
モモンガ「は?」
ぺロロンチーノ「下の毛ですよ」
モモンガ「え?」
ペロロンチーノ「ほら、大人の時は生えてるでしょ?でも、子供になったらツルツルじゃないですか」
モモンガ「ええ?」
ペロロンチーノ「引っ込むんですかね? 抜けるんですかね? でも、抜けたらパンツの中、毛で大変じゃないですか? どうなるのが正しいと思います?」
モモンガ「……」

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