材木座が誕生日前後にひどい目に遭ったり絶望したり号泣したりと色々限界にきます、最終的にはドSに目覚めた八幡とドMに目覚めた雪ノ下で八雪です。あらすじ書いていて意味がわかりませんが何故かこうなりました。

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材木座義輝は限界である

「ハッピバースデーわーれー」

11月22日、明日が誕生日の材木座は今までろくに友人から誕生日を祝ってもらったことがなかった為、今年こそは新しくできた友人の比企谷へ祝ってもらおうと一人バースデーソングを歌いながら奉仕部の扉をノックする。

 

「どうぞ」

いつもの雪ノ下の返答があり扉を開けるといつものように雪ノ下と比企谷は本を読んでおり、由比ヶ浜は携帯をいじっている

「八幡!息災であるか?我は貴殿に伝えねばならぬことがあって馳せ参じたのだ」

 

それを聞き比企谷は本から目を離さずめんどくさそうに答える

「なんだ材木座、とうとうラノベ作家を諦める気になったのか?」

「そうではなくてだな、明日は何日か知っておるか?」

 

「明日は11月23日勤労感謝の日、そこの目の腐った男が道行く人たち一人一人にありがとうございますと土下座をする日よね、無職が谷くん」

 

「無職ではない、専業主夫志望だと行っているだろ雪ノ下、そもそも働いてないということであればおまえもだろ」

 

「あら?学生の本分は勉学よ?私は全教科に渡って高成績だからきちんと働いていることになるわ、でもあなたの場合国語だけじゃない、数学に至っては底辺も同然、社会人に例えれば数学無職といったところね」

 

「んな無茶な、それじゃ由比ヶ浜はどうなるんだよ、こいつの場合全教科無職みたいなもんだろ」

「ヒッキーひどい!」

由比ヶ浜は膨れっ面になる

 

「由比ヶ浜さんはいいのよ、三浦さんや私と遊んで青春を謳歌してるわ、まさに今しかできないことばかりよ、学生のもうひとつの本分の遊びをやっているわ、あなたはひねくれてばかりでなにもしていないじゃないの?」

 

「ゆきのーんありがとう!」

例によって由比ヶ浜は雪ノ下へ抱きつき

「由比ヶ浜さん、近いわ」

口では嫌がっているが雪ノ下もまんざらではなさそうな感じである。

 

「...また百合百合と...んじゃあ俺も学生の本分の遊びやら恋愛やらをやればいいのかよ」

 

「あなたにそれができるかしら?それができていれば平塚先生にここにつれてこられることもなかったのではなくて?」

クスクスと笑う雪ノ下

 

「んじゃあよ雪ノ下、俺と...」

「ちょっちょっと八幡、我の話がまだであろう、聞いてくださらぬか」

と比企谷を止める材木座

「んもう、主らは話はじめると止まらないから困る」

その発言に若干顔を赤くする雪ノ下

 

「ああ、すまない材木座、んでなんだっけ?」

 

「だから...明日はな...」

もじもじしてなかなか話そうとしない材木座

「おい、戸塚ならいいがおまえみたいが巨体がもじもじしててもキモいだけだから早く話せ、由比ヶ浜なんてちょっと引いてるぞ」

 

「ほむん、だからのう、11月23日は我の誕生日なのだよ」

「あ?ああそうか、おめでとう材木座よかったな」

「おめでとう中二」

「おめでとうざ、財津くん」

「ありがとう...って違うわ、どこのエヴァの最終回だ、そうじゃなくて八幡は祝ってくれぬのかな~なんて」

 

「は?今祝ってやっただろ、ああ、プレゼントか、んじゃあこれやるよ」

と比企谷は鞄からマックスコーヒーを取り出す

「八幡、ちょっと扱いがぞんざい過ぎやしないか...」

「話は終わりか?俺は本を読むのに忙しいからこれで終わりだな」

 

「酷いよ八幡!」

そういうと材木座はそのまま奉仕部から駆け出すが

「ちょっと待ちなさい」

雪ノ下から大声で呼び止められる、まさかひょっとしてと材木座は一瞬笑顔になるが

「ちゃんと扉を閉めなさい、あと廊下ははしらないこと」

と言われてしまい、涙ぐみながら奉仕部の部室をあとにするのだった。

 

「学内に知り合いなんてまだいるワイ」

と材木座は遊戯部に向かう

「前々から我の誕生日は明日だと話していたからな、ひょっとしたら何か考えてくれてたりして」

と期待に胸を膨らませて遊戯部の部室へ入る

「たのもー」

 

たくさんのゲームの箱の奥で遊戯部の二人が真剣になにかのボードゲームに興じていた

「ああ、材木座先輩、今日はどうしましたか?」

「う、うむ実は明日なのだが」

「明日は休みですね、なんです?ゲーセンでイベントとかありましたっけ?」

「い、いやそうでなくてだな、明日は我の誕生日なのだよ」

「ああ、そういえばそんなこと言ってましたね、それで後輩にたかりに来たんですか?」

「い、いやそうではなくて...何で皆辛辣なの?」

「まあ、祝ってあげますよ、誕生日おめでとうございます」

「おめでとうございます」

極めて事務的な返答をされる

「...それだけ...?」

「それ以上なにか?やっぱりたかりに来たんですか?」

とここまで遊戯部の二人はボードゲームから目を離さずに会話をしている

「ちょっと今大事なところですから黙っててもらえますか?」

「終わったら相手しますんでそこで座って待っててください」

 

二人ともやっと顔をあげてこっちを向いたと思ったら辛辣な台詞、材木座は

「もうよいわ!」

とまたも泣きそうになりながら遊戯部の部室を後にした。

 

「知り合いが増えた今年こそは誰かに祝ってもらえるのかと期待したのに」

意気消沈する材木座、気分転換に行きつけのゲーセンに行くとゲーセン仲間が2、3人ほどゲームで遊んでいた。

「やあやあ皆の衆」

「おっす」

彼らとはゲーセンだけの関係ではあるがそれなりに親しくしているのだった。

「実は明日は我の誕生日でな...」

「それはおめでとう、んじゃあ好きなゲームのクレジット一回分おごるよ」

「俺も」

「じゃあ俺も」

とあとから来た者も率先して1クレジット分おごってくれる

「皆ありがとう」

「いいって、来月は俺の誕生日だからその時は頼むぜ?」

「任せるがよいわ!」

学校と違ってワイワイと親しげに話しかけてくる皆を見て

「我の居場所はやっぱりここだけか」

と嬉しさと少しの寂しさを抱える材木座だった。

 

次の日、祝日のため学校は休み、親からは

「今時の高校生はプレゼントというよりこれだろ」

と現金をもらったのでどうしようかと思案する。

「八幡と戸塚殿と一緒に遊びにいこうではないか!うむ、我の誕生日だけど一杯お金もらったからおごってもいいしな!そうしよう!」

とまず戸塚に電話するが

「誕生日だったんだ?でもごめん、部活があってむりなんだ」

と断られる、比企谷へ連絡するが

「あー俺今日は予定があって無理なんだわ」

と断られる

 

「結局いつもと同じ誕生日か...」

と悲しくなりながら

「ららぽにでも行くとするかのう...」

と一人で出掛けることにする。

 

ららぽーとにつくと

「何を買おうかな?ラノベや漫画を大人買いしてしまおうか、新作のゲームとかHMMのゴジュラスとかHGのデンドロビウムとか作っても置き場に困っちゃうようなの買っちゃうか」

とウキウキしながら一人でぶらぶらしていると遠くに見知った顔が見えた

 

「あれは八幡!」

予定ってここに買い物のことだったのかとちょっと嬉しくなって声をかけようとするが

「マテマテ、あの八幡が一人で来るはずないよな?妹とよく来るとかいってたことあったから近くに妹がおるのだろうか?あやつはシスコンだから妹との時間邪魔するなとか言いそうだが」

そうは思っても、まあ妹だし別にいいだろうと思い声をかけようと近づく、比企谷は後ろを向いているので気がつかないようだったが、聞き覚えのある声が聞こえた

「ごめんヒッキー、トイレ混んでて」

「トイレは出掛ける前に済ませなさいって言ったでしょ由比ヶ浜さん?」

「んもーまたゆきのんの真似?どんどんうまくなっていくね」

二人楽しそうに話をしているのを目の当たりにしたので速攻でその場から立ち去る

 

「八幡が由比ヶ浜殿と...まあそうだよな、あんだけ一緒にいたらそうなっちゃうよな...こんな我よりも由比ヶ浜殿といたほうが楽しいもんな...でも、一年に一度ぐらいは我を優先してくれても…」

 

うちひしがれてしまった材木座はとうとう限界が来てしまい涙が流れ落ちる、結局なにも買わずそのままららぽを後にする。

 

帰り道、落ち着いてくると悲しさよりも段々と怒りがわいてくる

「八幡の奴!態度が酷いと思ったら今日誕生日の我より女を取るとは!それに戸塚殿も電話の時におめでとうぐらい言ってくれても良いであろう!遊戯部の連中も下級生の癖に生意気すぎる!雪ノ下殿も由比ヶ浜殿も少しは我のことなんて眼中にないような態度を改めてもよかったであろう!」

 

色々ムカついてそのまま家に到着する

「この苛立ちどうしてくれようか...」

こっそり購入している薄い本をボーッと見ていて思い付く

「ふん、実際に何かすると我の完敗になるのは明らかだからな、文章の中で復習してやる」

 

と奉仕部と遊戯部をモデルにした小説を書くことにする

 

奉仕部部長のお嬢様が女生徒に対していかがわしいことをしていると噂がある遊戯部に一人で立ち向かうが策略に引っ掛かりカードゲームで完敗、丸裸にされ好き放題いたずらされてしまう、その様子を見ていた同じ部員のいつも嫌らしい目で見ていた男に脅されて部室で強姦、その様子を写真に撮られてばらされたくなかったら友人を連れてこいと命令、連れてきたところで拘束させそのまま強姦、テニス部の美少年の友人も騙してつれてこさせ強姦、そのまま男が気が向いた時に3人は校内のあちこちで散々犯され肉欲の限りを尽くされる、最後は妊娠が発覚したお嬢様とその友人はそのまま退学、美少年は心身ともに深い傷を負い入院、顧問にその鬼畜な所業がばれた男は顔面が変形するぐらい殴られ遊戯部とともに全校生徒にその所業か知られることになり壮絶なリンチをくらい追い出されるように退学、退学後お嬢様の身内に刺されて死亡と救いの無い陰鬱な落ちにした。

 

「なんかものすごくやり過ぎな気もするが大分気が張れたワイ、ふん!連中は冷たすぎる!こいつを見せて反応を見るのも手だな...雪ノ下殿や八幡や由比ヶ浜殿にどうこう言われるかもしれんが、いつもいつもぞんざいに扱いおって!誕生日ぐらい少しは態度変えてくれてもよかったであろう!、我がここまで書きたくなったのは貴様らのせいだと言ってやるか、もうよいわあんな連中友人でも何でもないわ!」

 

苛立った材木座はそのまま寝ることにした。

次の日、先日書き上げた鬼畜小説を鞄に突っ込み登校、いつも通りの授業を受けていつも通りの放課後を迎える。

 

「とうとう来たなわがXデー、今まで我をぞんざいに扱いおって!我の恨み辛みを思いしるがよいわ!」

そう思いつつ教室をでると、比企谷がいた

「よう材木座」

「なんだ八幡」

「あのな、一昨日おまえに酷い扱いをしたからみんなで謝ろうってことになってな、なんでちょっと部室に来てくれないか?」

「是非もない、ちょうど我も行きたかったところだしな」

今さら遅いわ!

と憤慨しつつ比企谷のあとに続く材木座

 

「ちょっとここで待ってくれ」

と扉の前でまたされる、中ではなにかガタガタとやっている模様

「もうよいか!人を小バカにするのもいい加減にしてほしいのだが!」

苛立ちが声に出てしまう

「す、すまん、もういいぞ」

そういわれガラッと扉を開くと

 

「「「「「「ハッピーバースデー!!!!」」」」」」

 

パンパンとクラッカーが鳴らされる

何が起きたか理解不能になって固まっている材木座に比企谷が話しかける

「一日遅れだが材木座誕生日おめでとう、一昨日は冷たくしてすまない、サプライズを仕掛けたかったんでな、そこの遊戯部の二人の提案だ」

 

「材木座先輩ごめんない、サプライズ仕掛けたかったもんで酷い態度とって本当に申し訳ありませんでした!是非先輩の誕生日を祝わせてください!」

と深々と頭を下げられる

「材木座君ごめんね昨日は部活があるって嘘言って、昨日遊ばなかったのは今日のためだったんだ。僕にも誕生日祝わせて下さい」

と、戸塚も頭を下げ、由比ヶ浜も

「中二!冷たい態度とってごめん」

と皆に頭を下げられる

「あ、いや、別に我は...」

 

材木座は何を言ったらいいか戸惑ってると

「私からもごめんなさい、辛辣すぎたわね、はい、これはみんなからのプレゼント、開けてみてくれるかしら?」

と雪ノ下から小さめな箱を渡される、開けてみると高級そうな万年筆が入ってた。

 

「いつもしょうもないもの書いてるとはいえ一応作家だろう?だからそれにしたんだ、みんなで金を出しあったんだぜ?昨日由比ヶ浜と買ってきたんだ、モンブランとかじゃなくて安いものですまないが」

 

「八幡...なんで?...」

 

「なんでって、戸塚が祝おうよって言ってきたもんでな、はじめはサイゼとカラオケでいいかと思ったんだが、そこの遊戯の連中が材木座が誕生日が近づくにつれて寂しそうにしてるから印象に残る誕生会を開いてくれって依頼して来たもんで仕方なくな」

 

「あら?比企谷くん嘘はよくないわ、誕生会開くからって一番張り切っていたのは貴方じゃないの?」

 

「おい!雪ノ下!」

 

「プレゼントの選定も、私たちは最近発売されたゲームとかライトノベルにしようと話していたのに、この男は「そんなありきたりなものじゃダメだ」なんていって一番真剣に考えていたのよ?」

 

「ばぢまーん」

材木座は嬉しさのあまり泣きそうな顔になって比企谷へ抱きつく

「うわっお前ちょっと離れろ!鬱陶しい」

 

「ふふふ、小さいけど昨日ケーキを焼いたのよ、味は保証するわ」

そういって雪ノ下が小さなホールケーキを箱から取り出して切り分ける。

「あ、ああ、みなさん、我、我は...」

「よし、皆に行き渡ったな、んじゃ材木座挨拶をひとつ頼むかな」

「我は...我は...三国一のしあ”わぜものげしゅ!」

材木座は感極まって涙で顔面がグシャグシャになってしまう

「では、材木座くん今日だけのサービスよ」

と雪ノ下が隣に座りジュースをお酌したりお菓子を取り分けたりと世話を焼いてくれた。

「ほ、本当にすまぬ、このお礼はいずれどこかで」

「フフフ、これは依頼よ、お礼がほしくてやったわけではないのだからそんなことを気にせず安心してサービスを受けなさい」

 

そして隠し芸として遊戯部の二人がマジックをしたり、由比ヶ浜と戸塚が振り付け有りで某アイドル団体の歌を歌ったり比企谷と雪ノ下が漫才(いつもの会話)を披露したりした。

 

そしてあっというまに夢のような時間が過ぎてしまう。

材木座はしきりとありがとうありがとうと連発していてこれで遊戯部の依頼も完了だなと片付けることになったのだが、問題が発生する。

 

「あれ?中二、これもしかして」

と由比ヶ浜が昨日書いた原稿を鞄から引っ張り出す。

取り出しやすいように半分ぐらい外に出しておいていたのが仇となった。

「あーそれ見せようとしてたのか、なんだ、言ってくれればよかったのに、今日なら中途半端だろうが設定集だろうが一応読んでやるぞ、雪ノ下の評価も甘めになるだろうしな」

と比企谷

「へぇー材木座君が書いたんだ、僕も見ていい?」

と戸塚

「甘くしたのでは彼のためにならないでしょう、いつもよりびしびしいくわよ」

といつになくやる気を見せる雪ノ下だったが材木座の顔から血の気が引く

「いやちょっと待ってくれぬか?完成してないしそれは見せるにはちょっと...」

 

と言い原稿を奪い返そうとするが

「まあ、枚数も少ないし俺が始めに読むからさ」

と比企谷は読み始めるが早々に固まってしまう。

「はわわわわ、は、八幡...これには理由があってだな」

全部読み終わったあと

「うん、まあ、あれだ、なんでこういうのを書いたのか説明がいるな...ちょっと表に出ようか」

と微妙な顔をした比企谷と廊下に出ようとしたが

 

「ちょっと見せて」

と由比ヶ浜に原稿を奪われる

「あ!ちょっ」

比企谷がいったがもう遅い、雪ノ下の所へ原稿を持って行ってしまった。

「とにかくなんであんなの書いたのか早急に訳をいえ」

一緒に廊下に出た比企谷が焦りまくる

「だって...皆我にぞんざいな態度とるし、遊びの電話は断られて、ららぽに行ったら八幡が由比ヶ浜殿と二人でいたもんで腹が立ってだな...これを読ませて我の怒りを伝えたかったのだ」

 

それを聞いてしまったという表情をする比企谷

「あー見られてたのか、そうだよな、そういう気持ちになるよな、俺にも覚えあるわ、すまん一昨日はみんなでやり過ぎたすまなかった」

頭を下げるが

「それより雪ノ下と由比ヶ浜だよなぁ」

遊戯部の二人は不穏な空気を感じとり、手早く掃除を済ませて帰ってしまっていた。

 

こっそり部室を覗くと雪ノ下と由比ヶ浜と戸塚が顔を青くしたり赤くしたりしている

「俺もフォローするから腹をくくれ」

という比企谷と一緒に部室にはいる。

 

「これについての説明を求めるわ」

といつもの雪ノ下の鋭い視線

しどろもどろになりながら比企谷は材木座がいかに辛かったか嫌な思いをしたかを説明した。

「だから、こいつはそういう文章で憂さ晴らししただけだって、実際にはなんもしてないとかわらんだろ」

「でもこれは...ちょっとやりすぎね」

「ヒッキーちょっと鬼畜過ぎだよね」

「八幡はこういうことがやりたいの?...僕、お尻が壊されるのはちょっと」

 

「いやその三段論法はおかしいだろ、違うから、それ書いたの材木座だから、しかもちょっとってなんだよ?グレード下げればいいってもんじゃないだろ?ってか戸塚ももじもじするなよ!かわいいだろうが!」

比企谷が突っ込みを入れる

 

「申し訳ない!一時の感情とはいえこのようなものを書きあまつさえ読ませようと考えていて本当に申し訳ない!」

土下座して謝る材木座

 

「...そうね、私たちもやり過ぎてしまったと思うわ、でもこれはダメよ、私が預かります、元データは破棄しなさい、それでいいわね?由比ヶ浜さん、戸塚くん」

「ゆきのんがいいならそれでいいよ」

「うん、僕も二人がそれでいいならいいかな...」

 

「決まりね、ではこの件は水に流しましょう、せっかくの誕生日ですものね、このあとはカラオケだったかしら?申し訳ないけど今日はこの後急用が入っていたのを忘れていたのよ、本当に申し訳ないけど私抜きでいっていただけないかしら?残りの片付けは私がやっておくわ」

 

「え?そうなの?まあいいけどよ、んじゃ頼むわ、ほら材木座顔上げろ、今日の主役はおまえなんだから、早くいこうぜ!」

比企谷はそういうと意気消沈している材木座を引っ張り戸塚と由比ヶ浜をつれて出ていった。

 

一人残った雪ノ下は

「ふふふ、これはちょっとやりすぎよね、ちょっとだけ修正が必要よね...」

 

その晩、材木座は途中トラブルはあったものの人生においてほぼ最高の誕生日だったと楽しい気持ちになっていた。

 

スマホのメールをチェックしていると千葉県横断お悩み相談メールからの返信がある

「ん?何故今返信が?」

不信に思いながらメールを開くと

『明日の放課後奉仕部に来ること』

 

それだけ書いてあった。

 

次の日材木座が奉仕部へ行ってみると雪ノ下しかいない

「あれ?八幡は?」

「比企谷くんと由比ヶ浜さんは来ないわ、それよりこれを修正しなさい」

と赤ペンで真っ赤になった原稿を渡してくる。

「こ、これは...昨日の?え?なんで?」

 

「せ、せっかく書いたものだし、それに誕生日だったのだからどんな話でもきちんと見てあげないと、と思ったのよ」

雪ノ下は挙動不審になりながらいいわけをする

「さ、左様であるか」

と修正した部分を確認してみると

 

「遊戯部の下りがごっそり削除されておるな...ん?名前が雪ノ下とか比企谷とか我は実名にはしていなかったはず...しかもなんか強姦シーンがやけに生々しく...我は簡単にしか書いてなかったのに...あ、あのー、ここれではお、お主らのか、官能小説になってしまうのでは...」

 

「ええ、行為を行うのだから細かく書かないと伝わらないでしょう?」

 

「な、何故そんな必要が...し、しかも雪ノ下殿が部室に入ったら隠れていた八幡が突然襲ってきて、無理矢理唇を奪って下着を剥ぎ取りとか...も、もしや雪ノ下殿...こういう願望が?」

 

「材木座君、それ以上言うとそれを無理矢理読まされたといって通報するわよ?」

「んな無茶な...」

材木座は後ずさりをし逃げようとするが

 

「逃げても通報よ、きちんと直して持ってきなさい、それと早く読みたいから出来た分だけメールで送りなさい」

 

それでその日は終わる。

材木座は誕生会のお礼代わりにと思い雪ノ下に言われるがまま修正するが構成事態が大きく変わっており、ほぼ新規書き下ろしのようになってしまっていた。

しかも登場人物はほぼ雪ノ下と比企谷のみで、行為を細かく書くように指示がなされており、しかもそれが校舎内の至るところで行われることになっていた。

 

「これは八幡に見せられん、しかし良いのかこんなの書いて?」

材木座はとりあえず修正した分だけメールで送信する。

それから2、3日おきに催促やこういうシチュエーションで等のプロットのようなメールが来る、エロ小説とはいえ友人や顔見知りが題材になっており、2次元全てを捧げている材木座としてはまるで興奮できるものではない為、行為の内容はプロットに沿ってるようなエロ小説サイトの文を丸ごとコピーして名前だけ変えて張り付けるという作業の繰り返し、しかもプロットの内容がどれも強姦紛いのものやSMのような特殊性癖なものばかりでさすがの材木座も辟易してしまった。

 

ある日の体育の授業

「最近雪ノ下がちょっとおかしくてな、なんか本も読まずノートPCに釘付けなんだよ、由比ヶ浜も相手にしてもらえないからつまんなそうでな、何をみてるのか確認しようとすると見せてくれないし、こっちをチラチラ見ては顔を赤くするしでなんだか困ったことになっているんだ、しかも何故かノートPCを毎日自宅へ持ち帰っててな」

比企谷は困り顔、それにピンと来た材木座つい呟いてしまう

 

「我の小説か...」

「は?お前の小説ってなんだよ?最近来てないだろ?」

「い、いやメールでPCにだな...」

「お前メールで小説送ってんの?何も聞いていないのだが?」

「あ、ああ雪ノ下殿の指示でな、八幡が気に病む必要はない」

と慌ててごまかすが

 

「は?雪ノ下がお前の小説を?意味がわからんのだが?...ちょっとお前の小説を確認させてもらうかもしれんが別にいいよな?」

 

深く追求をしてくる比企谷を見て材木座はごまかすのを諦める。

そもそももう辟易してるのだ。この際だから比企谷からも何か言って止めてもらうかと思う。

 

「...始めにいっておくが今書いてるものは正直不本意なものでな、雪ノ下殿からリクエストがあって書き始めたのだが、今では強制的に書かされておるのだよ。それに最近は雪ノ下殿がプロット書いたりしてるのだからな?我が自発的に書いてるわけではないからな?この辺間違うなよ?全部雪ノ下殿の要望に沿っているのだからな?誕生会のお礼のつもりだったがさすがに我ももう辟易しているのだ。八幡からも何かいってやってくれまいか」

材木座はそう念押しする。

 

その日の放課後材木座が図書室にいるときにスマホにお悩み相談からのメールの着信がある

『あなた、比企谷くんに教えたでしょう』

「雪ノ下殿には悪いが欲望むき出しの小説を書けとかもう勘弁だからな、八幡に怒られると良いわ」

 

そして、無視を決め込み読書に没頭する。

しばらくするとまたメールが来る

『トイレに行った隙に消したはずのデータをいつの間にかコピーされてたわ、これからプリンターがあるところに行って印刷してくると言ってるわ、比企谷くんに全部ばれてしまう、あなたのせいよ』

 

「雪ノ下殿はPC詳しくないからな、大方ゴミ箱に入れて消したつもりにでもなってたのであろうな、ま、自業自得であろう」

そのまままた読書に没頭してしばらくしていると

 

『比企谷くんが帰ってこない、あなた今どこにいるの?比企谷くんみてないかしら?』

いい加減めんどくさくなった材木座は

『今図書室におるが八幡は見てはおらぬ、そんなに気になるなら探しにいけばよかろう』

そうメールするとまた読書に戻る、しばらくするとまたメールがくる

 

『プリンターがあるところに行ったけどいなかったわ、本当にしらな』

 

中途半端なメールが来る、首をかしげているとしばらくして比企谷から着信がある

『すまんな材木座、もう小説は要らないからな本当に色々迷惑をかけてすまん』

「いやまぁ我が勢いで書いた物が発端になっているし雪ノ下殿が全部悪いわけでは」

と話していたが電話口が妙な感じだった、なんかガサゴソとした音やムーという口を塞いだような声が聞こえる

「八幡?大丈夫か?そっちはどうなっている?」

『ああ、雪ノ下にはちょっとお仕置きが必要だからな、今逃げないように押さえてるところだ』

そう答える比企谷はいつもとずいぶんと雰囲気が違う、楽しくて笑いをこらえているようにも聞こえる。

 

「八幡?お仕置きとか押さえるとかその、大丈夫なのか?」

なんか大分おかしげなことになっている感じである

『大丈夫だ。お前のお陰でこいつの本性が分かったからな』

「こいつって...ちょちょっと!もしや小説のようなことを...」

『小説?ふっなんのことだかわかりませんね、ああ、あとこっちには来なくていいからな、雪ノ下のことは...ククク、任せてくれ』

不穏な笑い声と共に電話を切られる。

 

「...きっと八幡が雪ノ下殿にきっちり言ってくれてるんだろう!深くは考えないことにするか」

材木座は帰ろうと図書室を出て昇降口で靴を履き替えようとしたらまたメールが来る

『比企谷くん、にお仕置きされちます、全部シテクレルそうなのでとても楽しみしあわせでうs、小説のことd、ご迷惑を、おかけしてごめんあさい。』

 

「なんだこれ?...そういや後ろから責め立てながら作業をさせるとかいうシチュエーションもあったような...それに全部って結構なバリエーションあった気もするが本当にやるのか?なんかハードなのもあった気もするが...もういいや...」

 

材木座は校舎を振り替えり奉仕部のある辺りを見る。

「まぁあれだ、雪ノ下殿はああいうのが好きみたいだし八幡も嬉しそうだったしいいか、これは誕生日のお礼的な?」

 

そう言うともうしばらくはエロ小説はお腹一杯だなと思いつつ今度からからどういう顔して奉仕部へ行けばよいか思案しながら帰路につくのだった。



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