オリジナルでライダーを書いてみたかった。
ただそれだけです。
戦闘はないけどね。


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何やかんやあって仮面ライダーになって、戦い続け、今からラスボスの元へ向かおうとしている1人の名もなきライダーの話……かな。


とあるライダー達の結末

戦う意味を探していた。ずっと、ずっと。

でも答えなんて出なかった。出ないまま、戦っていた。何回も、何回も。

何回もベルトを装着し、変身し、トドメを刺してきた。倒してきた。〇してきた。

その度に悩んでた。みっともなく、幼子のように。

 

 

 

 

 

「園崎さん」

名前を呼ばれ、読んでいた本から目を逸らし、声の先を見る。

昼過ぎのカフェによく居そうな、普通としか言いようのない青年がいた。

『加瀬』ありふれた名前の、ありふれた青年だ。

 

「良いんですか? こんな所で道草食ってて。朝日さんと約束してたんじゃなかったんですか?」

 

「こんな所とは失礼だね。ここは、僕がお気に入り“だった”カフェだよ」

 

そう。お気に入り“だった”

店主が作るカレードリアが、僕の好物だった。

……でも、それを食べることはもう二度と無い。

「……でも、こんな所にいても、時間の無駄じゃないですか」

 

「……君は、僕をどうしたいんだい?」

 

加瀬くんから目を逸らし、また本へと目線を戻す。

臆病な主人公が精一杯の勇気を振り絞り、大切な人を守ろうとするシーンだった。

 

「……」

 

 

「……」

 

はぁ、と溜息をつき、パタンと本を閉じる。

再び加瀬くんへと目線を戻せば、少し怒っているようだった。

 

「“また”逃げ出そうとしてるんですか? ここまで来て、性懲りも無く、また!!」

 

違う。違うんだよ加瀬くん。逃げようとしてるんじゃない。

ただ、寂しいだけさ。

 

「逃げ出せるなら、とっくに逃げ出してるさ。僕は臆病で、怖がりで、意気地無しだからね……」

 

でも、と、この口から言葉が漏れる。得意な言い訳ではなく、はぐらかしでもない、心からの言葉。

 

「約束したからさ、あの子と」

 

 

 

 

 

カフェを出て、かつて賑わっていた街を歩く。

元々は綺麗な街並みであったであろう此処は、廃墟としか言いようのない様子を見せていた。

公園についた。ブランコは真ん中からぼっきりと折れ、ベンチは跡形もなく破壊され、砂場にはコンクリートの塊が突き刺さっている。

 

公園の隅、唯一綺麗に整っている、タンポポが1輪だけ咲いている花壇の横に腰を下ろした。

 

「まぁ、座りなよ加瀬くん」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

「なんで戦うんだろうって、ずっと考えてたんだ。僕みたいな臆病者が誰かの為に戦うってことが、ずーっと受け入れられなかった」

 

みっともないけど、事実だ。

 

「誰かを救う。誰かの為に命を掛ける。訳が分からなかった、理解できなかったさ。実際、僕が必死になれるのはどこまでも自分の事だけだったからね」

 

みっともない話だ。馬鹿みたいな話だ。力を求めたのは自分なのに、自分からこの運命を選んだのに。

 

「何度も逃げ出したさ。加瀬くんは知らないだろうけど、ボクが逃げようとした回数、10回なんて軽く超えてるんだぜ」

 

怖かった。戦うことが。死んでしまうかもしれないって考えると、足が震えた。竦んだ。

 

「でも、でもさ。こんな僕でも、誰かは言ってくれたんだ。「ありがとう」って」

 

救われた気がした。……いや、救われたのだ。確実に。

 

「だから僕は戦えた。逆に言えば、それが無ければ間違いなく僕は潰れていたさ」

 

 

 

さて、と呟き、僕は立ち上がる。加瀬くんは、座ったまま僕を見上げていた。

 

「僕はもう逃げないよ。約束を、果たしてくる」

 

 

 

 

 

 

バイクを走らせる。荒廃した街を、迷うこと無く真っ直ぐに。

加瀬くんは、あの後何も言わなかった。ただ僕をじっと見つめて、見送ってくれた。

風を切る。着ているコートが風でなびいていた。

 

 

 

 

 

そして、そこにたどり着く。始まりの場所。僕という存在が新しく生まれ変わった、切っ掛けの場所。

そこに、彼女はいた。『朝日』さんだ。

 

「やあ。待たせたかな?」

 

何も言わず、彼女は首を横に振る。

「それにしても、今日は寒いね。こんな日は、いつかと同じようにカレーを食べに行きたいよ」

 

「……」

 

彼女は何も言わない。ただ、僕の持つものと同じバックルを腰に押し当てた。

バックルからベルトが伸び、固定される。

後は一言「変身」と言えば、彼女の姿は変わる。

僕と同じ『仮面ライダー』に。

 

「……」

 

自然と、笑みが零れた。そうだ。約束したんだ、僕達は。

彼女と同じバックルを取り出し、腰に押し当てる。

そして2人は視線を合わせ、一言呟いた。

始まりの言葉を。終わりの言葉を。僕達の、合言葉を。

 

 

 

「「変身」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝日さん」

「……何?」

 

「なんで、人間を滅ぼそうとしたんですか?」

 

「……私の大好きなものを壊されたから」

 

だだっ広い広場の真ん中辺りで、僕と朝日さんは寝転んでいた。

どっちが勝ったのだろうか。気づけば、僕と朝日さんの変身は解除されていた。

僕のバックルは、壊れていた。二度と、変身することは無いだろう。

彼女のバックルも、壊れていた。でもあと1度だけ、変身出来そうだった。

 

 

「朝日さん」

 

「2人で、旅に出ませんか」

 

「どこか遠くに」

 

「2人して、逃げ出しちゃいません?」

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーと呼ばれる者がいた。1人は誰かの希望、もう1人は誰かの絶望として。

世界は壊された。人類は、数パーセント程しか生き残っていない。

人類は、滅んだと言っても過言ではないだろう。

 

そんな世界を、2人は旅する。1台のバイクで。

先にあるのはなんだろうか。結末は、どのようなものになるのだろうか。

その答えを迎えに、2人は彷徨う。

 

いつか、その時まで。

 




ノリで書いてみました。続きません。てか完結です。1話完結。
念の為ぱっと考えてた設定を

主人公 園崎 稔
主人公で仮面ライダー。とある日にバックルを手に入れ、仮面ライダーとなった。
赤の他人の為に戦うことがなかなか受け入れられず、何度も逃げ出そうとしたけれど、『朝日さん』との約束と、誰かに「ありがとう」と言われる事を糧に、最後まで戦い抜いた。スペック的にはエグゼイドのライドプレイヤーより少し弱いくらい。たっくんの結構ダサい版みたいな戦い方。臆病で怖がりだが、約束だけは何がなんでも守る。

ヒロイン(?) 朝日 玲奈
ヒロインのような感じの2号ライダー。園崎よりも先にバックルを手に入れ、人類を滅ぼした張本人。
人間よりも動植物に情を持ち、それを破壊し続ける人間に嫌気が指していた。途中までは園崎と共に戦っていたが裏切り、それ以降本格的に人類を滅ぼしにかかる。

怪人枠 セル
人間に取り付き、その人間の命を奪って存在を保つ細胞生命体。ウルト〇マンネク〇スのスペースビーストみたいなもの。なんかの箱に入っていた2つのバックルと共に、カプセルに入っていた。バックルにはセルを使役する能力があり、これを使い、セルを浄水場だったりネズミとかに取り付かせて海外輸送に忍び込ませたりし、世界中に感染させた。
感染すると数時間で化物へと変貌し、5時間後に死亡するまで目に映る全てを破壊する。

サブキャラ 加瀬 正人
園崎と朝日の後輩。正義感に溢れ、悩み続ける園崎が仮面ライダーである事を納得できず、たびたび衝突する。
一時的に園崎のバックルを使い変身したが、セルを倒した際のセルにされた人間の死に耐えられず、その後何やかんやあって立ち直った園崎にバックルを返し、サポートに徹する。
ちょっと偉そうなのがたまに傷。

話の流れ
バックルゲットし初変身。(加瀬くんとはここら辺で出会う。)セル倒して倒して倒してたら朝日ライダー見参し共闘セルの真実知って怖くなって加瀬くん変身倒して倒して不完全なセルと戦って命乞いされて消滅しちゃって傷負わされて朝日さんに裏切られてボロボロの所に園崎の所に行ってバックル返して海外にライダーいないから殆ど死んで園崎大苦戦しながらも少年を1人救えてお礼言われて吹っ切ってバックル付けたらセルにある程度の免疫つくこと分かって何とか数百人は救ってセルを倒して倒して倒してたら朝日さん宣戦布告してきて戦って負けて戦って負けて戦って負けて戦って執念で引き分けて(1番かっこよさげなとこ)生き残りを地下シェルターに避難させて決着をつけようって言って初変身のとこに朝日さん先に行かせてゆったり休憩してる。←冒頭


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