恋次元ゲイムネプテューヌ LOVE&HEART   作:カスケード

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第二十六話 ネプテューヌ☆コイして

―――昼寝を終えた後、白斗とネプテューヌはデートを再開した。

今度は街中へと戻り、プラネテューヌが誇るデパートへと足を運んでいる。以前ネプギア達が礼服を受け取った場所だ。

今回はネプテューヌが、色んな服を試着している。

 

 

「白斗ー! 見て見てー! これなんか可愛いでしょー!?」

 

「お、そんな色合いを選んでくるとはなんか新鮮だな」

 

 

試着室から現れたネプテューヌは、オレンジを基調とした服を纏っていた。

常に紫色の服を着ている彼女ではあるが、明るい色合いの服を着るとこれまた違った魅力が引き出される。

 

 

「……そうだ。 ネプテューヌ、あの服とかどうよ?」

 

「どれどれ………えー、これー?」

 

 

違った魅力、ということで白斗がある服を提案する。

視線の先に会ったのは清楚な色合いとデザインのワンピースだ。膝まで覆い隠せるようなワンピースで、生地も薄い。

快活な服を好むネプテューヌは微妙そうな顔をしたが、白斗の期待の籠った視線は収まらない。

 

 

「な、頼むよ! 絶対に似合うから!」

 

「ね、ねぷぅ………白斗が、そう言うなら………」

 

 

始めは渋っていたネプテューヌだが、根負けしてその服と他にも似合いそうな小物を纏めて受け取る。

惚れた弱みという奴だろうか、白斗の期待の籠った視線の前には小さなプライドなど意味をなさなかった。何より、彼が「絶対に似合う」と言ってくれたことが、ネプテューヌにとっては何よりも嬉しかった。

 

 

(……これ着たら……白斗、喜んでくれるかな……?)

 

 

服を脱ぎながら、姿見に映った自分の姿を見る。

女神化すれば、まさに憧れの女性の姿そのものとなるネプテューヌ。だが普段の姿は正直な所、ブランの事を鼻で笑えないくらいの体型である。

控えめな胸を覆い隠すブラジャーに、縞模様の下着。そして手渡された、白斗渾身の選抜されたこのワンピースを見比べてネプテューヌは戸惑うが意を決して着込んだ。

 

 

「………お、お待たせー」

 

「やっと来たか。 さて、では御開帳~♪」

 

 

少し恥ずかしさが含まれた声に、白斗は期待十分で試着室のカーテンを開けた。

ジャラッと音を立てて開けられる試着室、その向こうには。

 

 

「……ど、どう……かな………」

 

 

―――髪型こそいつもの通りだが、爽やかさと清楚さを併せ持つ白いワンピース。

爪先まで晒しているサンダル、常夏には欠かせない麦わら帽子。

何よりも、いつもの朗らかな笑顔ではなく、どこかお淑やかで控えめになりつつも白斗のためだけに向けられたその笑顔に。

 

 

「…………………」

 

 

白斗は、すっかり魅了されていた。

 

 

「白斗? や、やっぱり似合ってない……よね?」

 

「ち、違う! そうじゃなくて……ネプテューヌが、その……綺麗で……」

 

「き、綺麗!!?」

 

 

今まで、女神化した姿なら綺麗と言われることは多々あった。

普段の姿でも、可愛いと言われることが殆どだった。

けれども、いつものこの姿で綺麗と言われたのは、白斗が初めて。それだけに彼の一言が、ネプテューヌにとってまさに天にも昇る心地だったのだ。

今、彼女の脳内では教会のベルがリンゴーンと鳴り響いている。

 

 

「……ねぇ、白斗」

 

「な、何だ………?」

 

「……も、もしだよ? 私がその……白斗の恋人で、こんな服着てくれたら……嬉しい?」

 

「こ、こいびっ………!?」

 

 

とんでもないことを聞いてきたネプテューヌ。

「恋人」という言葉はあくまで「もしも」、「if」の話。でも白斗は脳内に想像してみる。

あの服を着た彼女が、綺麗な笑顔を輝かせながらこちらに振り返り、手を伸ばしてくれるその姿を―――。

 

 

「………嬉しいし、今……すっげぇドキドキしてる」

 

「~~~~………っっ!!」

 

 

顔を赤らめて、少しだけ視線を逸らしながらそう呟いた。

けれども、ネプテューヌの耳はそれを聞き逃すことない。嬉しさの余り、身悶えした。

 

 

「じゃぁこれも買っちゃおう! 店員さん、これ一式くださいなー!」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

お買い物は女の子の嗜み。それも好きな人と一緒で、その好きな人が選んでくれたものであれば猶更。

ネプテューヌはハイテンションに突入したまま、早速購入。

 

 

「んじゃ、服も決まった所で次に……」

 

「あ、ごめんね白斗。 先に外出てて」

 

「ん? どうしたんだ?」

 

「それは見てからのお楽しみ!」

 

 

ふふふー、と柔らかい笑顔を浮かべているネプテューヌ。

また何か企んでいるらしい。けれどもその企みを真っ向から受けて立つのが白斗と言う男。

彼女の指示に従い、外で待つことに。

 

 

「……あれからニ十分、遅いな……」

 

「ごめんなさい白斗。 女の子の買い物ってついつい長くなっちゃうのよ」

 

「え? そ、その声………」

 

 

そこにやってきた声。間違いなくネプテューヌのものだ。

だが、声色が違う。落ち着いていて、凛とした美しさのある声。これは普段の姿ではない。

女神化した姿、パープルハートのものだ。

振り返るとそこには―――。

 

 

「………ど、どうかしら………? 似合って、る……?」

 

 

いつもなら三つ編みのツインテールとなっているはずの髪が解かれ、ふんわりとしながらも艶のあるヘアスタイルとなっている。

服もいつものレオタードタイプのプロセッサではなく、白いワンピースの上に紫色のにカーディガンを羽織っている。帽子はつばの広い、薄紫色のものを被っていた。

そしてご丁寧に手にしたミニバッグ―――その佇まいはまるで、どこかのお嬢様とデートをしに来たかのような、そんな美しさがあった。

 

 

「……び、ビックリした……心臓止まっちまうかと……」

 

「もう、貴方がそれを言うと私の心臓が止まりそうになるわ。 ……でも、お気に召してくれたみたいで良かった……」

 

 

いつぞやにノワールに言われたのと同じように返される。

けれども、白斗から褒められたことにネプテューヌは頬を赤く染めて喜んでいた。決していつもなら見せないその表情に、白斗の心臓は更に高鳴る。

白斗にだけ見せる照れたその顔が、更に美しく見えてしまうから。

 

 

「でも、なんでその姿に? 疲れるーとか言ってるのに」

 

「ふふっ、それはね………せいっ」

 

「ぬぉっ!?」

 

 

その瞬間、素早く白斗の腕を絡めとったネプテューヌ。

彼の腕に抱きついては自分の胸に寄せてくる。

ネプテューヌの温もり、胸の感触、心地よく甘い香り、そして彼女の心臓の音。その全てが白斗の腕を介して伝わってくる。

 

 

「いつも私を守ってくれる白斗にサービス。 ……こういうのは嫌いかしら?」

 

「………正直、好きです………」

 

「ふふっ、照れちゃって可愛いわね。 さ、まだまだデートは始まったばかりよ」

 

「お、おい!? アグレッシブなところはやっぱり変わってねぇな!?」

 

 

白斗のお気に召したことでネプテューヌのテンションは最高潮。

その勢いに任せ、彼の腕を絡めとったまま走り出す。

冷静沈着な女神パープルハートも、白斗の前では恋する乙女。好きな人と一緒に過ごせる嬉しさに勝るもの無しと言わんばかりに、白斗を引っ張っていく。

 

 

「お、おいおい………何だあの男………」

 

「め、メッチャ美人を引き連れて………なんて羨ましい妬ましい悔しすぎるッ……!!」

 

「不公平っ……圧倒的、不公平っ……!!」

 

 

そんな状態で街中を歩けば、あちこちから嫉妬の視線や声が届いてくる。

正直、針の筵という気分でもあった白斗だが―――。

 

 

「……ふふっ。 それだけ白斗がいい男ってことよ」

 

 

ネプテューヌの、そんな一言と笑顔の前にどうでもよくなるのだった。

 

 

「ってか、みんなネプテューヌだって気付かないな」

 

「髪型も服装も違うし、帽子である程度隠しているし、何より女神の姿は余りみんなの前に出さないもの」

 

「ネプテューヌのぐーたらさが功を奏するとはねぇ………」

 

 

ここまで美人であれば、隣で腕を絡めとっている美女がこの国の女神パープルハートであると発覚してもおかしくは無い。

しかし、案外バレることは無かった。ならば遠慮なくこの一時が楽しめると言うもの。

白斗も安心して彼女の案内を受けていると、辿り着いたのはお洒落なカフェ。

 

 

「ここ、私のお気に入りの店よ。 雰囲気もお菓子も最高なの」

 

「へぇ、そりゃ楽しみだ」

 

 

どうやらネプテューヌ御用達の店らしい。

扉を潜ると、店員のウェイトレスが陽気に挨拶してきた。

 

 

「いらっしゃいませー! あ、ネプテューヌ様! 今日は女神化してるんですね」

 

「様は良いってば。 それより空いてるかしら?」

 

「ええ。 あ、折角ですから一番の席をどうぞー」

 

 

どうやらすっかりネプテューヌとも意気投合しているらしく、彼女には変装が見破られてしまっている。

そんなウェイトレスが指差した先には、唯一のテラス席。開放感溢れると共にプラネテューヌの街を一望出来る最高の席である。

 

 

「いい店だな」

 

「でしょう?」

 

 

向かい合った席に座る白斗とネプテューヌ。

見晴らしも良く、内装も綺麗で女の子は勿論、白斗もすっかり気に入る。

店を褒められたとあっては店員も嬉しそうだ。

 

 

「ありがとうございます。 ご注文は?」

 

「私はいつものをお願い。 白斗は?」

 

「俺はそうだな……この日替わりコーヒーセットを」

 

「畏まりました!」

 

 

店員は元気に挨拶をして店の奥へと向かっていく。

と、ここでようやく白斗は今の状況に気づいた。向かい合った席というからには当然、彼女の顔が直に視界に入ることになる。

あの美しき女神が今、自分とデートをしているのだと思うと謎の高揚感が白斗の中で溢れてきた。

 

 

「………? どうしたの、白斗?」

 

「……いや、ネプテューヌが余りにも綺麗だからさ。 見惚れてた」

 

「っ!? も、もうっ……素面でそう言うこと言わないでよ……!」

 

 

飾りっ気のない言葉。だからこそ、ストレートに伝わってしまう。

白斗からのそんな一言に、パープルハートは大慌て。赤くなった顔を隠そうと、帽子を深く被った。

だがそんな姿も可愛らしいと、白斗は大変ご満悦だ。

 

 

「はい、ネプテューヌ様にはいつものプリンパフェでございます」

 

「来た! 白斗見て! このボリューム!」

 

「おおう、凄ぇな……食べられるの?」

 

「勿論よ! 定期的にこれを食べないと落ち着かなくて……」

 

 

どうやら彼女はプリン依存症でも患っているらしい。

でもそれもまた彼女らしい、と白斗は温かい視線を送った。豪勢なプリンパフェの前には、あのパープルハートも大はしゃぎ。

女神化してもやはり内面は変わらないのだと、安心した。

 

 

「はい、彼氏さんにはこちらのコーヒーセットを」

 

「かっ!? 彼氏っ!? 俺が!!?」

 

「あれ? とうとうネプテューヌ様にも春が来たかなーと思ったんですけど……違うんですか?」

 

 

問いかけたウェイトレスの視線の先には、すっかり顔を赤くして俯かせるネプテューヌ。

帽子のつばを強く握りしめて深く被り、決してこちらに視線を合わせようともしない。

でも、真正面に座っている白斗にだけは見えた。恥ずかしがりながらも、視線を逸らしながらも、汗を掻きながらも。

ネプテューヌは決して、嫌がっていないことを。

 

 

「………そう、見える………かしら……?」

 

 

否―――寧ろ、そうなることを望んでいるかのような声だった。

 

 

「ええ、お似合いですよ。 では失礼しますね~」

 

 

そんな彼女の反応を一通り楽しんだウェイトレスは鼻歌を歌いながら店の奥へと引っ込む。

中々に愉快な性格をしていると白斗も寧ろ好感を持った。

 

 

「……凄い店員さんだな」

 

「そうよね……。 女神の私が手玉に取られちゃうなんて、情けないわ……」

 

「いいじゃん。 お蔭で可愛いパープルハート様も拝めたし」

 

「だ、だからからかわないでってば! それよりさっさと食べましょ!!」

 

 

何となくだが、白斗はネプテューヌをからかうコツがつかめてきた。

余りしつこくやると嫌われそうになるので、程々にしているというのがまたタチが悪い。

けれどもネプテューヌは照れながらも、この会話を楽しんでいた。好きな人と、こうして笑いあえるのが、楽しかったから。

 

 

「ん~! 美味しい……やっぱりここのプリンパフェは最高ね……」

 

(こんな蕩けきったパープルハート様は激レアだな。 写メっとこ)

 

 

パシャリ、と記念に一枚。

満面の笑顔でパフェを頬張るパープルハート様。勿論間違って消さないようにしっかりとプロテクトを掛けて置く。

 

 

「ちょっと白斗! 何撮ったの!?」

 

「内緒~。 それより早くしないとパフェ傷んじまうぞ」

 

「むむむ……いいもん。 私だって白斗の写真撮ってるんだからお相子ね」

 

「ちょっ!? ネプテューヌ、お前何撮ったよ!?」

 

 

あの白斗の寝顔写真もまた、ネプテューヌのフォルダの中にしっかりと保存されていた。

ただからかわれてばかりの女神様だけでは無かった。

 

 

「ふぅ、ご馳走様」

 

「いいコーヒーとケーキだった。 さっすがネプテューヌが選んだだけあるな」

 

「でしょう? それじゃそろそろ……」

 

「おっとお待ちくださいお客様。 まだありますよ~」

 

 

席を立とうとしたその時、ウェイトレスがストップをかけてきた。

キョトンとして顔を見合わせる白斗とネプテューヌ。

 

 

「あら? 注文したものは全部来たはずだけど?」

 

「ところがぎっちょん。 こちら、当店からのサービス! スペシャルドリンクをどうぞ」

 

「いいんですか?」

 

「いいのです。 女神様にご贔屓にしてもらってるんだからこのくらいしなきゃ」

 

 

どうやらサービス品を提供してくれるらしい。

ならばお言葉に甘えるのが筋だと二人は席に着き直す。やがてゴトンと置かれたグラスに、二人は目を奪われた。

 

 

「はい、こちら当店からのサービス。 ラブラブ♡ドリンクでーす!」

 

「「オイ」」

 

 

思わず二人して低い声色になってしまった。

出されたのは大きなグラス。ここまではいい。

だが、そのグラスに刺さっているストローが二本。しかもハートマークを描いている。

 

 

「これって所謂、その………」

 

「カップル同士が飲むっていう、アレよね……?」

 

「そう、所謂カップル同士が飲むアレです」

 

 

目をキランと輝かせてドヤ顔のウェイトレス。

対する白斗とネプテューヌは冷や汗が止まらない。もうこれは、恥ずかしいを通り越しての恐ろしさすら感じるレベルだ。

 

 

「あ、残すと別途料金取りますんで。 ではごゆっくり~」

 

「「おいいいいいいいいいいい!!?」」

 

 

何が何でも全て飲み干さなければならなくなった。

後に残された二人、そして彼らの前にそびえ立つ巨大なグラス。目の前に伸びるストローの口に、白斗とネプテューヌの喉がゴクリと鳴らされる。

 

 

「………白斗。 飲みましょう」

 

「ウェイ!? ね、ネプテューヌ……い、いいのか?」

 

「もう間接キスしちゃってるし……白斗じゃなきゃ、イヤなんだから……」

 

 

確かに恥ずかしかったが、ネプテューヌにとって憧れていたシチュエーションでもあった。

恋人同士と、こんな一時を過ごしてみたいと。ゲームなどでしか見ない光景が日に日に募り、そしてとうとう彼女の目の前に白斗が現れた。

白斗が好きになってしまったから、彼と一緒にやってみたい。そんな気持ちで溢れている。

 

 

「………分かった。 それじゃ、覚悟を決めて………」

 

「え、ええ………せーのっ!」

 

 

意を決し、二人同時にストローに口を付けてドリンクを吸い上げる。

トロピカルジュースがベースなのだろうか、果物の味わいが口の中に広がる。これを互いに共有しながら飲んでいるという事実。

一瞬目が合ったが、二人して微笑み合い、一気に飲み干す。

 

 

「……ぷはぁっ! ご馳走様!」

 

「……いいものね。 たまになら大歓迎だわ」

 

「またやるつもりかコレ……」

 

 

味も最高で、何よりも意中の人と一緒に飲めたことがネプテューヌにとって幸せだった。

白斗も、何だかんだ言いながらも決して悪い思いはしていない。

今度こそ全ての品が出そろい、食べ尽くした。これ以上ここに居る理由はないと二人は今度こそ腰を浮かし。

 

 

「あ、二人が飲み合ってる写真要りますかー? 今ならなんと100クレジット」

 

「今すぐ寄こしなさいッ!!」

 

「ちょ!? 落ち着けネプテューヌ!!?」

 

 

更に写真まで持ちだしてくるウェイトレス。

どうもこの人には勝てないな、と泣く泣く100クレジットを差し出す白斗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございましたー!」

 

 

そんなウェイトレスの一言を受けて、白斗とネプテューヌは店を後にした。

疲れる一幕はあったものの、店を出てみれば案外楽しく思える二人がいる。

 

 

「……色んな意味で凄い店だったな」

 

「でしょう? ……あれでいて、後味がいいからまた来たくなっちゃうのよね」

 

 

からかわれたものの、その後は明るい接客術によって不快感などは全く無かった。

ネプテューヌに至っては「お似合いですから、頑張ってくださいね」と嬉しくなる一言まで添えてくれるなどアフターケアも万全。

白斗もまた来たくなってしまった。

 

 

「んじゃ、次はどこ行くよ?」

 

「なら次は映画ね。 今プラネテューヌで話題の大ヒット作があって……」

 

 

どうやらノワールに対抗して映画鑑賞もしたいらしい。

白斗も気になる話題作を、ネプテューヌと一緒に見られるとなれば大歓迎だ。早速二人して映画館に向かおうと思った―――その直後だった。

 

 

 

 

ズドォン―――そんな衝撃と破壊音が、二人の耳に飛び込んできたからだ。

 

 

 

 

「なっ!? 何だ今の……!?」

 

「あっちの方からよ! 行きましょう!」

 

「ああ!」

 

 

明らかに日常離れした音と衝撃だ。工事の類ではない。

おまけに悲鳴まで聞こえる。事故か、それともトラブルか。

女神として、そして個人としても見逃せないネプテューヌが早速その方向へと赴く。

 

 

「確かこっちの方よね……。 一体何が……」

 

「ッ!? ネプテューヌ、あそこだ!」

 

 

白斗が指を差した先、そこには。

 

 

「ギギギッ………ギィギギィイイイイイイイイイイイ!!!」

 

「なっ……モンスター!? どうして街中に!?」

 

 

一匹の、赤黒い大蜘蛛が鋭い爪を生やした足を振り上げながらあらゆるものを破壊していたのだ。

これだけのモンスターが街中に来るなど、本来はあり得ないこと。だがこうして現実に起きてしまっている。衛兵らも応戦しているが、大蜘蛛の強さが常軌を逸しているのか全く相手にならずに次々と倒されている。

 

 

「ひ、ひぃ……! し、死にたくねぇよぉ……!!」

 

「っ! やめなさいッ!! てやあああああああああああっ!!!」

 

 

咄嗟にシェアエネルギーを身に纏い、先程のワンピース姿から戦闘用のプロセッサを身に纏う。

大太刀を手にし、今にも爪を突き立てられそうになっている衛兵を守るべく魔物に切りかかる。刃はモンスターの爪とぶつかり合い、火花を散らしていた。

 

 

「ね、ネプテューヌ様……!?」

 

「よく頑張ったわね。 後は私が相手をするから、貴方は下がってて」

 

「……っ! す、すみませんっ……!!」

 

 

本来守るべき女神によって守られた衛兵は、自分の無力さを恨みながらも、ネプテューヌの優しさに触れてその場は退く。

 

 

「白斗!! このモンスターは私が相手をするから、貴方は皆の避難誘導をお願い!!」

 

「……分かった!! 皆さん、落ち着いて!! こっちです!!!」

 

 

冷静なパープルハートらしく、的確な指示が飛んでくる。

本来であれば白斗も加勢したいところだが、彼の実力ではモンスターと正面戦闘など出来ない。白斗も悔しさに一瞬歯軋りをするが、すぐに己の為すべきことを見定めて避難誘導に向かう。

後は目の前のこの蜘蛛を倒すだけ、なのだが。

 

 

「ギッ……ギギギギギギギギイイイイイイイイ!!!」

 

「ぐぅっ!? ……な、何て力なの……!?」

 

 

モンスターの力は、それこそ常軌を逸していた。

並の魔物であればそれこそ赤子同然でしかないパワーだが、この大蜘蛛は違った。何とネプテューヌを力で押し始めていたのだ。

しかも相手がネプテューヌに切り替わってから、より凶暴性が増している。

 

 

「でも………ッ!! せやあぁぁぁぁぁっ!!」

 

「ギヴッ!?」

 

 

乾坤一擲、僅かな隙を見出してネプテューヌが押し上げ、太刀で一閃。

顔面に鋭い一閃を受けた大蜘蛛はさすがにたまらず一歩下がり、ネプテューヌから距離を取る。

しかし、彼女の斬撃を受けたにも関わらず蜘蛛の顔面には細かな傷が一つ付いているだけだった。

 

 

「……今の、結構本気だったんだけど。 このモンスター……どうなってるの?」

 

 

先程の一閃でモンスターを葬るつもりだったのだ。

今までも、あの一撃を受けて戦闘続行出来たモンスターなどそれこそ接触禁止種クラス程度のもの。

だが、このモンスターは明らかに違う。まるでネプテューヌの攻撃が「効きづらい」ような、そんな有り得ない耐性を持っている。

 

 

「ギギギギイイイイイイ!!」

 

「おっと!! ……攻撃のターゲットを完全に私に切り替えたみたいね。 ならっ!!」

 

 

そんなモンスターが、手当たり次第に暴れていた先程とは違い、完全にネプテューヌをロックオンしている。

彼女に向かって飛びかかり、鋭い爪を地面に突き立てる。

何とか避けるネプテューヌだが、この規格外れのパワーからこの街中で暴れさせるのは危険だと判断し、プロセッサウィングを展開する。

 

 

「私はこっちよ!! ついてきなさい!!」

 

「ね、ネプテューヌ!? どこへ!?」

 

「外にある森よ!! そこまで誘き寄せるわ!! さぁ、どうしたの!!?」

 

「ギ………ギッギギギィ!!!」

 

 

少し空中を飛びながら、けれどもモンスターが追い付ける速度で飛行する。

当然、モンスターはネプテューヌを狙いながら走っていく。自分自身を餌にするという作戦は成功し、ネプテューヌはそのまま森へと向かう。

避難誘導を終えた白斗は、そんな彼女に追いつけるはずもなかった。

 

 

「……ネプテューヌ……」

 

 

今すぐ彼女に追いついて加勢したい。

これまでの戦闘を端から見ていた彼だが、言いようのない不安に駆られていた。だが、他にも国民がいる以上おいそれと持ち場を離れるわけにはいかない。

と、そこへ駆け寄る二人の少女。

 

 

「白斗ー!! 大丈夫ー!!?」

 

「大丈夫ですかー!?」

 

「アイエフにコンパ……! ああ、俺は大丈夫だ!!」

 

 

いつもの仲良し二人組、アイエフとコンパだった。

彼女達も買い物の途中だったのか、偶然この事態に出くわしたようだ。

 

 

「白斗さん、一体何が……!?」

 

「モンスターが暴れてたんだ。 コンパ、あっちに怪我した人がいるから応急手当を頼む」

 

「り、了解です!」

 

 

怪我人と聞けば居ても立っても居られないナース見習い。

白斗の指示を受け、早速避難所へと向かうコンパ。

普段は緩い雰囲気を纏う彼女だが、治療ともなればその行動は迅速かつ的確だった。

 

 

「ネプ子は? 一緒じゃなかったの?」

 

「ここじゃ戦えないからってモンスターを街の外に誘き出してくれている。 ……アイエフ、ここを頼んでいいか?」

 

「いいけど……アンタ、まさか……!」

 

 

しっかり者かつ冷静なアイエフなら、避難誘導も難なくこなしてくれるだろう。

そう思い、白斗は彼女に後を任せた。

それが意味するものを悟り、止めるような声色でアイエフが声を掛けるが彼は既に背を向けている。

 

 

「ああ……ネプテューヌの所に行く!!」

 

 

今ここに、デートを楽しんでいた少年はいない。

いるのは、これから女神を守ろうと覚悟を決めた少年、黒原白斗だった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――よし!! ここなら……!!」

 

 

その頃、ネプテューヌは大蜘蛛を引き連れてプラネテューヌ付近の森へと飛んできた。

近くには湖もあるが、人の寄り付かない場所だ。

誰もいないことを確認し、巻き添えを出さないよう細心の注意を払う。

 

 

「ギギッ………ギギギッ………!」

 

「あら、焦らされて興奮気味かしら。 節操がないわね」

 

 

やっと追いついた大蜘蛛は今にも飛びかからん勢いだ。

だがどれだけパワーがあろうが相手はモンスター、ネプテューヌの余裕が崩れることは無い。

大太刀を構え、これから切り捨てるべき相手の出方を慎重に伺う。

 

 

「ギフーッ……フーッ………」

 

「そんなに息を荒くしなくても相手してあげるわよ。 寧ろ貴方のような危険な存在は、ここで切り捨てるのみ!!」

 

 

明らかに普通のモンスターとはわけが違う。

危険性から考えても逃がすつもりはネプテューヌにも毛頭なかった。尚も息を荒くする大蜘蛛。

吐き出された怪しげな色合いの息が、辺りに立ち込め―――。

 

 

 

 

 

「……っ……!? な、何……ッ!?」

 

 

 

 

―――ネプテューヌの視界が、グラッと揺れた。

体全体から力が抜けるような感覚、眩暈にも似た不快感が脳を揺らす。妙な脱力感に襲われ、徐々にだが息も上がる。

先程まで万全そのものだったと言うのに、明らかに普通ではないこの状態異常。

 

 

(まさか毒……!? でも、毒とは違う……)

 

「ギギギギギッ!!」

 

「っ!? くうぅぅぅッ!!?」

 

 

体の異常に気を取られた隙に、大蜘蛛が飛びかかってくる。

迫り出される爪の一撃を大太刀を盾に何とか防ぐも、余りの威力にネプテューヌは転がってしまう。

威力だけではない、衝撃そのものが違った。

 

 

「う、ぐっ……!! まだ、まだッ………!!」

 

 

衝撃が体を揺らし、更なる力を奪ってくる。

それでも、彼女は負けるわけにはいかないと立ち上がろうとする。ゲイムギョウ界のために、国民のために、ネプギア達家族のために。

そして―――愛しいあの人に会うためにも。

 

 

「ギギギギィーッ!!」

 

「なっ、糸………うあっ!!?」

 

 

だが、その一瞬の隙をついて大蜘蛛が糸を吐きかけてきた。

粘着力のある糸はあっという間にネプテューヌに巻き付き、雁字搦めにしてしまう。体の自由を奪われたネプテューヌは飛ぶことも、立つこともままならずそのまま倒れ込んでしまう。

 

 

「くっ……この……ぐぅぅっ!!?」

 

 

尚も立ち上がろうとするネプテューヌ。

しかし、そんな彼女に圧し掛かる謎の重圧。この感触は、人の足。誰かがネプテューヌを踏みつけているのだ。

辛うじて視線を向けると、そこには肌色の悪いくまのパーカーを被った女が、あろうことか女神であるネプテューヌを足蹴にしていた。

 

 

「ハッハッハー! ざまぁネェな、女神様よぉ!!」

 

「……貴女ね……! このモンスターを嗾けたのは……!」

 

「そうよ!! このアタイ、リンダ様の……」

 

 

得意げに語ろうとする女、リンダ。

愛用の鉄パイプを片手に凶悪そうな眼付を浮かべている。この示し合わせたようなタイミング、ネプテューヌはすぐにこの女が主犯だと睨んだ。

隠そうともせず、寧ろ誇ろうとする小悪党にも怯まず、ネプテューヌは鋭い視線を向ける。

 

 

「……へぇ、貴女みたいな下っ端属性があんな化け物を生み出せたって言うのかしら?」

 

「下っ端じゃネェ! 生み出したのはアタイじゃないが、すげぇだろ? 対女神用生物兵器、アンチモンスター! その第一号、『スパイドウォーカー』!」

 

「対女神用……生物兵器ですって……!?」

 

 

対女神用―――その名が冠されているのであれば、あの異常な戦闘能力も頷ける。

だがどうしてそんな生物が生み出せるのか、全く解せない。

 

 

「何でも体内にアンチクリスタルを取り込ませたらしくてな、女神の攻撃は通じにくく、女神への攻撃は通じやすい! 更にはアンチエネルギーの影響で女神の力を奪っていく!

最高の女神対策だろぉ!?」

 

「………悪趣味にも程があるわね………」

 

 

得意げに語る下っ端。そして語られた衝撃の真実、「アンチクリスタル」。

以前ブランの事件の際にも用いられた、女神の力を奪うシェアクリスタルとは真逆の存在。

それを取り込ませたとあっては、確かに女神特攻のモンスターが生まれてもおかしくはない。しかし、ネプテューヌは恐れるどころかより鋭い視線を投げつける。

 

 

「……おい、何だその目。 こんな無様な姿晒してたら……寧ろ滑稽なんだよぉ!」

 

「あうっ!!?」

 

 

そんな彼女の目が気に入らなかったリンダが、ネプテューヌを蹴る。

幾ら女神形態と言えど、こんな無防備な状態であれば小悪党の一撃でも効いてしまう。思わず出てしまった悲鳴に、リンダの気分は昂る。

 

 

「オラッ! オラァッ!! 良い格好だな女神様よォ!!?」

 

「う、あ、あぁッ!!」

 

 

何度も何度も、執拗に蹴り込む。

蹴られる度に衝撃が体を突き抜け、体中の酸素を吐き出してしまう。痛みだけではない、呼吸すら困難になってくる。

おまけにアンチモンスターことスパイドウォーカーの影響で、益々力が抜けてしまう状況。

 

 

「いいネェ……その苦しむ顔……! 一思いに殺すのが惜しくなっちまう……」

 

「ギギギギッ……」

 

「あ? こいつはアタイが殺すんだよ、お前は大人しくしてな。 ったく仕方ネェ……」

 

 

いよいよとどめを刺そうと鉄パイプを振り上げる。

怪しく光る鉄パイプの表面に、ネプテューヌの顔が写り込む。美しかった顔が土に塗れ、その瞳は死を目前にしたことで揺らいでいた。

 

 

「名残惜しいがお別れだ……。 まぁ、全然惜しくネェけど……なぁっ!!」

 

 

迫りくる鉄パイプ。

あれが脳天に当たった瞬間、幾ら女神の脳天と言えど砕かれてしまう。その時こそ女神パープルハートの最期。

死を意識した瞬間、それが恐ろしく遅く見えてしまう。けれども避けようがない。

 

 

(あ………)

 

 

その瞬間、走馬灯のようにあらゆる光景が脳裏に浮かぶ。

ネプテューヌの脳裏に浮かぶのは、ネプギアの笑顔、イストワールの笑顔、ノワール達三女神の笑顔、アイエフやコンパの笑顔。そして―――。

 

 

 

 

 

(………白斗、ごめんなさい――――)

 

 

 

 

大好きなあの少年の、笑顔―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………――ぅぅぉぉおおおおお!!! ネプテューヌ―――――ッッッ!!!!!!」

 

「えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、声が聞こえた。

温かくて、大好きで、最も聞きたかった声が、絶望に彩られた彼女の視界を打ち砕き、リンダを怯ませる。

その声の主は、力の限り走り込みながら叫び。

 

 

「ネプテューヌに……何しやがらああああああああああああああああッ!!!!!」

 

「ぐっ………ぶぇえええええええええええええええええええええええッ!!!!?」

 

 

渾身の跳び蹴りを、リンダの横っ腹に打ち込んだ。

余りもの威力に、リンダは無様に地面を転がる。何度も、何度も、何度も。

あっという間にネプテューヌ以上に土に汚れ、そして大木へと叩きつけられる。彼は、黒いコートをマントのようにはためかせ、そして振り返る。

そこには、ネプテューヌが愛してやまない少年がいた。

 

 

「……はぁっ……はぁっ……大丈夫か? ネプテューヌ……」

 

「………白斗ぉっ!!!」

 

 

黒原白斗―――いつも、ネプテューヌを守ってくれる少年。

彼が駆けつけてくれたことに、ネプテューヌは思わず涙と共に歓喜の声を上げる。

汗だくな表情と、激しい息遣いからどれだけ必死にここまで走ってきてくれたのか、想像に難くない。

それでも彼は、白斗はネプテューヌを見つけて守ったのだ。

 

 

「ぐ……ゲホゲホッ!! て、テメェ!! 何しやが……ひィ――――ッ!!?」

 

 

一方、横っ腹に痛撃を打ち込まれ、木に叩きつけられたリンダがようやく起き上がった。

当然殺気は蹴りを打ち込んできた白斗に向けられる。

が、その瞬間。リンダの輪郭を縫うようにして、六発の銃弾が撃ち込まれた。白斗の手にはいつの間に銃が握られている。

 

 

「……それはこっちの台詞だ……テメェ、ネプテューヌをよくも傷つけやがったな……」

 

「ひぃぇえええええっ!!?」

 

 

殺気。リンダ以上の殺気―――いや、殺意そのものが向けられた。

ネプテューヌにとっては優しい彼が、リンダにとっては「死」そのものにすら錯覚させられるほどの悍ましい何か。

それに当てられ、リンダは腰を抜かしてしまう。

 

 

「テメェがどこの誰だろうが、例え女だろうが……俺の大切な人を傷つけていいと思ってやがるのか? やがるんだな? ……なら、同じことされても文句言わねぇよな……?」

 

「え、あ、ひ、い、イっ………!!?」

 

 

未だに硝煙が昇る銃口を向ける。

次あの引き金を引けば、彼女の体に風穴が空く。間違いない、下手なことを言えば、下手な態度を取れば、次の瞬間に殺される。

それほどまでに少年の視線は容赦なく、迷いがない。

 

 

「ま、待って白斗!! そんな事しちゃダメッ!!」

 

「そ、そうだぜ!!? 女神の目の前で殺人なんてしていいことだと……」

 

 

思わず止めるネプテューヌ。たとえ悪党相手と言えども、人殺しなんてして欲しくないから。

一方、自分の女神殺しは棚に上げ、リンダも命乞いをするかのように叫ぶ。

 

 

「……だから?」

 

「へ?」

 

 

けれども、白斗本人の声色は恐ろしいほどあっさりしたものだった。

 

 

「人を殺しゃ嫌われる、当然だ。 ………だとしても、ネプテューヌを見殺しにするくらいなら喜んで嫌われてやるよ」

 

「白斗………! や、やめて……!」

 

 

これが、白斗の覚悟。その覚悟が成せる業。

引き金に掛ける指に力が籠る。リンダは逃げたくても、恐怖が足かせとなって逃げだせない。

ガタガタと情けなく震え、今にも失禁しそうなほど恐怖が震えあがる。そして―――。

 

 

「パァン!!」

 

「ひいぃいぃぃええええぇあああぁええぇいいいあぁ!!? ……あ、ぶぶぶ……」

 

 

軽快な音が鳴った、と思いきやリンダは泡を吹いて気絶する。

空砲ですらない、ただの口真似だ。

けれどもリンダの恐怖を爆発させるには十分だったようで、撃たれたと勘違いした彼女は情けなく沈黙する。

 

 

「………ふん、お前なんか殺す価値もねぇよ」

 

「は、白斗……良かった………!」

 

「ごめんな、ネプテューヌ。 ……最低なところ、見せちまって」

 

 

リンダには一瞥もくれず、ネプテューヌに謝る白斗。

暗殺者であることを嫌っていながら、結局は殺しに走ろうとする己が許せない余りの発言だ。

でも、ネプテューヌは首を横に振り、笑顔を向けてくれる。

 

 

「いいの……! ……ごめんなさい、私の所為で……」

 

「ネプテューヌが謝ることじゃないって……おっと、そろそろ奴さんが黙ってられないみたいだな……」

 

「ギッ……ギギッ!」

 

 

ネプテューヌは、責めてなどいなかった。寧ろ謝ってきたのだ。

彼女も理解していた、白斗がそんなことをしたくなかったと。そして振りとは言え、そんな行動をさせるまでに追い詰めてしまったことに。

彼女の所為ではないと言い切りたい白斗だったが、その前にいよいよ待機も出来なくなったらしい、あの大蜘蛛がこちらを睨んでいた。

 

 

「だ、ダメ!! 白斗逃げて!! そいつはアンチモンスター、対女神用のモンスターよ!?」

 

「対女神用……? ……どこまでネプテューヌを傷つけりゃ気が済むんだ……!」

 

 

女神ですら圧倒するモンスター。増してや白斗は一般人の部類だ、勝てる道理はない。

けれども、白斗にとってそれは逃げる理由にはならなかった。大切な少女が後ろにいること、そしてこの蜘蛛が彼女を傷つけたこと。

白斗にとって、命を懸けて戦うには十分すぎた。

 

 

「ギギギギギ……ギィィイイイイイイイッ!!!」

 

「ギーギーギーギーうるせええええええッ!!!」

 

 

怒り心頭で白斗が再び銃弾を放つ。

放たれた銃弾はスパイドウォーカーの各所を捉え、銃弾を減り込ませた。穿たれた箇所からは体液が吹き出している。

 

 

「ギィッィイイイイイ!!」

 

「……なるほど、対女神に特化し過ぎて普通の攻撃は喰らうんだな」

 

 

怒りに燃えていながらも、白斗はその上で冷静だった。

確実に相手を倒すために何をするべきか、今持っている自分のカードは何か、最善の切り方はどれか。その全てを頭の中で組み立てている。

 

 

「ギゥッ………ァァァアアアアアアアッ!!!」

 

「うおっととと!!?」

 

 

けれども銃弾の一、二発で倒れる魔物でもない。

スパイドウォーカーは爪を生やした足を伸ばし、白斗に突き刺そうとした。

何とか軌道を見切って白斗はその間に潜り込み、大蜘蛛の真下へと滑り込む。

 

 

「ぜぇいっ!!」

 

「ギヴッ!!?」

 

 

潜り込んだ先には無防備な腹。

そこへ迷いなくナイフを突き立てた。刺さった箇所から体液が溢れ出し、白斗に降りかかる。

 

 

「ギウッ……ォォォォォォッ!!!」

 

「ぐぅおっと!! ……チッ、さすがにこのくらいじゃくたばんねーか!」

 

 

アンチモンスターと言えど、腹部に刃を突き立てられて平気なワケが無い。

激痛から逃れようと体を大きく振り、白斗を吹き飛ばした。

その隙を狙ってスパイドウォーカーが飛び上がる。巨体とパワー、そして爪を活かした必殺の飛びかかり攻撃。だがその矛先は。

 

 

「っ!! ネプテューヌッッッ!!!!!」

 

「きゃ……!?」

 

 

対女神用生物兵器、その名を冠する以上女神に対する敵対心は想像以上なのだ。

ならば例え自らが傷つこうとも、他に障害があろうともネプテューヌを狙うのは必然。

だが普通に走ったのでは間に合わない。間に合ったとしても白斗のパワーではあの飛びかかりを防ぐことは出来ない。

 

 

「コード、オーバーロード・ハート!! 起動ッ!!!!!」

 

 

迷うことなく機械の心臓を過剰に発動させ、身体能力を無理矢理引き上げる。

爆発的な瞬発力でネプテューヌの前に回り込み、振り下ろされる爪をその身に受けた。

 

 

「グゥ………ッ!!」

 

「は、白斗!!?」

 

 

モンスターの巨体、そしてパワーが合わさり、白斗の肩に深々と爪が食い込んでいく。

下手をすれば、肩そのものが引き裂かれてしまう。

最悪の状況を垣間見たネプテューヌが、最早女神らしからぬ泣きそうな声と表情で止めに入った。

 

 

「やめてっ!! これ以上やったら、白斗が……白斗が!!!」

 

「……ッ!! だから……何だってんだぁぁぁああああッ!!!」

 

 

さすがにオーバーロード・ハートを起動した所で、女神の力には足元にも及ばない。

精々並みのモンスターに対し、優位に立ち回れる程度だ。だが、白斗にとってそんなことはどうでもよかった。

どれだけ傷つこうとも、苦しくても。

 

 

「俺は……大切な人をッ……!! ネプテューヌをっ!! ………守るんだああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

 

「ギ…………ィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!?」

 

 

彼はそのまま、柔道における巴投げの要領でモンスターの勢いを利用し、放り投げた。

しかし、ただ放り投げられただけで倒れるアンチモンスターではない。

 

 

 

 

 

 

 

―――投げられた先に、湖が無ければ。

 

 

 

 

 

 

「ギ………ギブボォォオオオオオオオオオオオオ!!?」

 

 

 

 

激しい水音と水柱を上げて、スパイドウォーカーが湖の中へとダイブした。

当然虫型のモンスターに泳ぐことなど出来るはずもなく、巨体も相まってあっという間に水中に沈んでいく。

後は水中で呼吸が止まれば、討伐完了だ。

 

 

「……はぁッ、はぁッ……! ネプテューヌに、手ェ出すんじゃねぇよ……」

 

 

肩からは血が溢れ出し、機械の心臓は軋む音を上げ、体中に激痛が走る。

それでも白斗は、倒れなかった。

背後にいる、彼にとって命よりも大切な人―――ネプテューヌがいるのだから。

 

 

「白斗……! 大丈夫……!?」

 

「俺の心配なんざ良いっての。 それよりこんな糸、すぐに切って―――」

 

 

彼の勝利に、そして彼の大怪我に一刻も早く駆け寄りたいネプテューヌ。

けれども、未だに体を縛る糸の所為で起き上がることが出来ない。

そんな彼女を解放しようと白斗がナイフを取り出した―――次の瞬間。

 

 

「ギボ…………ブゥゥゥウウウウウ――――ッ!!」

 

「んなっ!!?」

 

 

まだ、完全に水に沈んでいなかったスパイドウォーカーが糸を吐き出したのだ。

吐き出された糸は、白斗の足元へと巻き付いてしまう。

 

 

「し、しまっ………ぅ、ぉおあああああああああああっ!!!?」

 

「は、白斗ぉおおおおおおおおおおおっ!!?」

 

 

そのまま道連れと言わんばかりに引きずり込まれてしまう。

未だに縛られているネプテューヌではどうすることも出来ない。そのまま白斗は、水の中へと引きずり込まれていった。

水の中でスパイドウォーカーは、自らの足を檻のように囲むことで白斗を更に閉じ込めた。

 

 

「ギブボボボボ…………ッ!!!」

 

(ぐっ、クソが……! 死なばもろともって奴かよ………!!)

 

 

このままでは窒息してしまう。

しかし水の中では銃は使えない。先程ネプテューヌを解放するために使おうとしたナイフも、引っ張られた際の衝撃で手を離してしまった。

他に武器が無ければ、白斗にはどうすることも―――。

 

 

(………いや、あるっ!!!)

 

 

一筋の光が、白斗の瞳を照らした。

スパイドウォーカーの腹部に光るもの、それは先程突き刺したままのナイフだった。

急いでそれに手を伸ばし、引き抜く。

 

 

(うぉぉおおおおおおおおっ!!!)

 

「ギグボォォォオオオオ…………!!!」

 

 

水中で動きは鈍るものの、それはスパイドウォーカーも同じ。

白斗は何とか自らを縛るもの全てを切り払った。

足を、そして酸素をすべて失ったスパイドウォーカーは今度こそ力尽き、湖の底へと沈んでいく。

 

 

(よし、このまま水面へ…………ウッ!!?)

 

 

何とか水面へあがろうとする白斗。

しかし、とうとうここで彼の肺活量にも限界が訪れた。急に込み上げる息苦しさに足を止めてしまい、口から息が漏れ出す。

必死にもがこうにも、水を吸ってしまった服が重い鎧のように彼を縛り、徐々に水底へと引きずり込んでいく。

 

 

(ガボッ……! だ、ダメ………か………いき、が………………)

 

 

苦しさと共に力が失われ、やがて動きも止まる。

虚脱感に襲われ、白斗は力なく沈んでいく。

目の前も真っ暗になり、体を冷たい「死」の感覚が支配していく。瞼も重くなり、最早それが心地よい睡魔のようにさえ感じた。

 

 

 

 

 

 

 

(………でも、いいか……ネプテューヌが……ぶじ、なら―――………)

 

 

 

 

 

 

 

彼の最後に思い浮かべるは二つの顔。

一つはあの凛々しく、美しい女神パープルハートの笑顔。そしてもう一つは、自分に生きる意味を与えてくれた明るく優しい、普段のネプテューヌの笑顔。

愛する笑顔を思い浮かべ、白斗はただ、死を受け入れた――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――と………

 

 

 

 

 

 

―――――………なんだよ………誰だ、起こそうとするの………

 

 

 

 

 

―――――は………と………!

 

 

 

 

 

―――――……鳩? こんな水ン中にいるワケないだろ……

 

 

 

 

 

―――――………くと! はく――――

 

 

 

 

 

―――――………違う、これは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――……はくと…………白斗ぉぉぉぉぉぉ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――………俺を………呼んでる、のか………?

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そして、冷たい死の感覚が覆う白斗の体に、温かく、心地よい何かが口の中に吹き込まれた。

 

 

(………ん………あれ、俺………)

 

 

そこから、意識が覚醒する。

トクン、トクンと温かい音までが聞こえた。冷たい水の中でも、実感できる。

まだ自分は死んでいない。口から伝わるこの温もりによって、命がつなげられているのだと。

 

 

(どう、なって………)

 

 

意識も徐々に覚醒してくる。重くなった瞼も、氷が解けたかのように軽くなった。

瞼を開き、ぼんやりとした視界が徐々に定まる。

すると、彼の目に飛び込んできたのは――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――目を閉じながら、唇を押し当てているパープルハートの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………ねぷ、てゅーぬ………?)

 

 

柔らかい唇の感覚が、はっきりと伝わってくる。

あの美しい女神パープルハートの、目を閉じた姿がどこか艶やかで、それでいて唇同士が触れ合っていて。

一瞬、白斗には何が何だかわからなかった。それでも。

 

 

 

 

(……もう、大丈夫よ。 白斗―――)

 

 

 

彼女は、美しく微笑んでくれた。それこそ、女神のように――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――

 

 

―――――――――

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

それは、白斗が水中に引きずり込まれた直後の事だった。

 

 

「は、白斗ぉおおおおおおおおおおおっ!!?」

 

 

何とか追いかけようと立ち上がったネプテューヌ。

しかし、縛られているためまたすぐに倒れ込んでしまう。余りの悔しさに唇を噛み切り、一筋の血が流れた。

 

 

「あああああああっ!!! このっ!! このおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

 

 

自らを縛るこの糸さえなければ、すぐにでも助けに行けるのに。

パープルハートはらしくもなく、地面を転がりながらなんとか糸を切ろうとする。しかし土に塗れるだけで糸は千切れることは無かった。

女神の力さえ働いていればこんな糸、力づくで引きちぎれるはずがアンチモンスターが生み出した糸だけあって、それすらも働かない。

 

 

「どうしてっ……!! どうして、私は白斗を……大好きな人を守れないのよぉっ!!?」

 

 

悔しくて、悔しくて、涙すら出てきた。

こうしている間にも白斗は水中で悶え苦しんでいる。彼の生存を告げる気泡も、徐々に弱まってきた。

このままでは、窒息するのも時間の問題。

 

 

「大好きな人すら守れないなら……女神の力なんて、何の意味も……っ!!」

 

 

涙が地面を濡らし、後悔で頭が支配されそうになる。

女神の力なんていらない―――そう思った、その時だ。

 

 

「……そうだ!! 変身を解けば!!!」

 

 

ようやく、気づいた。

ネプテューヌは変身をした時、最も体格差がある女神なのだ。今はまさにグラマラスな美女であるパープルハートも、女神化を解除すれば―――。

 

 

「―――よっし、糸が緩んだ!! これならっ!!」

 

 

小柄な可愛らしい少女へと早変わりする。

女神化した姿でギッチリと縛られた糸も、急にサイズダウンしてしまったことで緩くなってしまい、おかげでネプテューヌは脱出できた。

慌てて抜け出すも、水面を見て見れば気泡は今にも止まりかけている。

 

 

「っっっ!!? 白斗――――っ!!!」

 

 

またもやすぐに女神化し、水の中へと迷いなく飛び込んだ。

力も強くなり、プロセッサウィングを制御することで水中でもある程度の高速水泳が可能となる。

白斗を探すため、脇目も振らずに水の中へと潜り込む。するとそこには。

 

 

(――――っ!!?)

 

 

力尽き、水底へと沈んでいく白斗の姿が―――。

 

 

(ダメッ!! ダメぇぇえええええええええっ!!!)

 

 

もう既に体中に酸素が無い。今、白斗は死の底へと沈もうとしている。

させない、そんなことはさせない。彼を死なせたくない一心でネプテューヌは全速力で彼の下へと向かう。

腕が千切れそうなくらい必死に手を伸ばし、そしてようやくつかんだその手は氷のように冷たい。

機械の心臓に灯る光も、今にも消えそうなくらいに弱々しかった。

 

 

(イヤ……イヤよ!! 白斗、死なないで!!!)

 

 

彼を失うことが、女神パープルハートにとっては何よりも耐え難い苦痛だった。

白斗の死は自らの死。そうとまで言い切れるくらいに―――彼を愛していたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

だから彼女は―――ネプテューヌは迷うことなく、彼の唇に自らの唇を重ねた。

 

 

 

 

 

 

 

(―――お願い、白斗………!!!)

 

 

ありったけの酸素、ありったけの温もり、そしてありったけの想い。

それら全てを唇を通じて吹き込む。

静かな水音と泡の音だけが響き渡る、薄明かり差し込む暗い水の中。ネプテューヌは白斗を抱きしめ、唇を通じて彼に生きる力を与えていた。

 

 

(死なせない……絶対に死なせない!! ずっと……ずっと一緒にいて!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……だって、私……貴方のことが……大好きだから!!! 愛してるから!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、目を覚まして………白斗ぉ!!!!!)

 

 

必死に全てを吹き込みながら、女神は祈る。たった一人の、愛する人のために。

―――すると、弱々しかった彼の心臓に明確な光が灯り始めた。強く抱きしめたことで、肌から彼の鼓動も伝わってくる。生きている温もりも。

そして白斗は、目を開けてくれた。

 

 

(………ねぷ、てゅーぬ………?)

 

(白斗……!! よかった…………!!!)

 

 

ぼんやりと、だが確実に白斗は息を吹き返してくれた。

まだ、生きてくれている。まだ、一緒に居られる。

それがネプテューヌにとって、何よりも嬉しかった。水の中であっても、涙が溢れてくる。

 

 

(……もう、大丈夫よ。 白斗―――)

 

 

ようやく覚醒した意識の中、白斗ははっきりと見た。

自分に唇を押し当ててくれていたネプテューヌが、美しく微笑んだその顔を。

水面から差し込む薄明かりが、逆に神秘さを惹き立たせている。今の彼女は―――まさに、白斗のためだけの女神だった。

 

 

(お願い!! 間に合って!!!)

 

 

そのままネプテューヌは力の限り、水面へと引っ張る。

一秒でも、コンマ一秒でも早く。白斗の命を繋ぎとめるために。女神の力をフルに使い、水を切り裂く。

ついには勢いよく水面を突き破り、外の世界へと連れ出すことが出来た。

 

 

「ぷはぁっ!! ごほっ、ごほっ………は、くと……白斗!!」

 

 

決して短い時間では無かった潜水。ネプテューヌも、肺活量の限界間近だった。

新鮮な酸素を吸い込もうとするあまり、激しく咳き込んでしまうがそれよりも白斗が心配だった。

必死に揺り動かし、意識を保たせようとする。そして。

 

 

「……ゴボッ、ゲホッ! ごほごほっ………ね、ネプ……テュー、ヌ……」

 

「白斗……! 良かった………」

 

 

肺に吸い込んでいた水を一気に吐き出し、白斗の意識が戻った。

まだ呼吸は整っていないが、死んではいない。彼は―――生きている。

ネプテューヌにとっては、それこそ死ぬほど嬉しいことだった。涙を流しながらも微笑み、岸へと向かう。

 

 

(はぁっ、はぁっ……! あ、あら……あの下っ端……逃げたのかしら……)

 

 

湖から這い上がり、白斗を寝かせて呼吸を落ち着かせる。

その間、ネプテューヌが周りを見渡すと無様に気絶しているはずの下っ端の姿が無かった。

どうやら白斗を助けに行っている間に意識を取り戻し、逃げ出したようだ。捕えたくはあったが、今は白斗の無事の方が何よりも大事だとそれ以上の関心は向けなかった。

 

 

「ふぅっ……ふぅっ……! はぁ、はぁ……た、助かった……ありがとな、ネプテューヌ……」

 

「無理しないで。 もう少し休んで……あら?」

 

 

まだ呼吸も落ち着いていない状態で話しかけようとする白斗。

そんな彼を止めようとしたその時、パープルハートが光に包まれた。どうやら彼女も活動限界だったらしい、いつもの姿のネプテューヌに戻った。

 

 

「……あ、あはは。 私も戻っちゃった」

 

「……なら、二人して休憩だな」

 

「うん。 ……あーあ、折角のデートが台無しだよ……」

 

 

ポスン、と可愛らしい音を立ててネプテューヌが寝転がる。

見上げれば、もう夕暮れだ。あれだけの激しい戦いの所為で、時間の経過を気にする余裕も無かった。

となれば、これ以上のデート続行は不可能。後は帰るしかないとネプテューヌは少し残念そうな声を出す。

 

 

「………でも、白斗が生きてくれて……ホントに、良かった………!」

 

 

しかし、デートの合否よりも。ネプテューヌにとって白斗が全てだった。

彼がいたから楽しかった。彼がいたから幸せだった。

逆に彼がいなければ―――何もかもが、ダメだった。だからこそ、彼が生きてくれている今、この瞬間。ネプテューヌは涙ながらも、優しい笑顔を向けてくれた。

 

 

「………俺こそ、本当にありがとう。 ネプテュー………っっっ!!!?」

 

「? どうしたの白斗?」

 

 

白斗もまた、笑顔で礼を言おうとした。

のだが、急に何かを思い出し、顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。

 

 

「………だ、だって………ね、ね、ネプテューヌ……俺を、助けた時に、その……」

 

「え? 白斗を助けた時って……あ」

 

 

そう、彼の命を繋ぎとめるためにしたこと。

人工呼吸、即ち唇と唇を合わせて直接息を吹き込み―――。

 

 

「ね………ねぷぅうううううううう――――っ!!? わ、私ってば何をーっ!!?」

 

 

そう、これは最早間接どころではない。直接的なキスだ。

接吻、キス、Kiss。ようやくそれを自覚したネプテューヌも、さすがに爆発したかのように顔を赤く染め、大パニックに陥る。

白斗の命を救うためとは言え、段階を色々すっ飛ばしてのこの有様。ネプテューヌの脳内回路は、限界だった。

 

 

「………わ、悪かったな。 その……俺の所為で………」

 

 

けれども、白斗はすぐさま冷静になった上で謝ってきた。

恋心に疎い彼でも、女性の唇が決して安くないとは知っている。だから、緊急事態とは言えそんなことをさせてしまったことに罪悪感を抱いていた。

ネプテューヌにしてみれば、ラッキーイベントのつもりだったのだがそんな感情を抱かれるのは正直心外だった。

 

 

「……私は、嫌じゃなかったよ。 白斗だから、出来たんだもん」

 

「ね、ネプテューヌ……?」

 

 

だから、ハッキリと肯定した。

決して偽りのない笑顔で、顔を赤くしながらも優しく微笑んだ。それが、彼女の気持ちだったから。

 

 

「白斗は、嫌だった?」

 

「そ、そんなワケ……ないだろ……。 あんな美人に、その、き、き、き……キス、なんて……」

 

 

緊張の余り、体も言葉も震わせながら、白斗も素直な気持ちを伝えた。

パープルハートほどの美人、それも女神様にキスしてもらえて、嬉しくない男がいるワケが無い。

そう思ってもらえたのは嬉しかったが、同時に悔しくもあった。何故なら。

 

 

「むーっ! じゃぁ、今の私からしてもらっても嬉しくないっての?」

 

「そ、そういうワケじゃ……! 第一、俺あれがファーストキスだったんだぞ!?」

 

「え!? レモンの味!?」

 

「覚えてるわきゃねぇだろ!!?」

 

 

どうやらあれが白斗の初めてだったらしい。

それを真っ先に頂戴できただけでもネプテューヌにとっては幸せだったのだが、まだ足りない。

 

 

「……そう。 だったら―――」

 

「え―――」

 

 

すいっと、ネプテューヌが近寄る。一体何事かと、白斗は理解が追い付かない。

そしてそのまま顔が近づき―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ネプテューヌの、柔らかくてふわふわした唇が、しっかりと白斗の唇に重ねられた。

 

 

 

 

 

 

 

「…………!?!?!?」

 

 

 

 

美少女からの、キス。

しかも今度は、人命救助などではない。ネプテューヌ自身の意思による口づけ。

これにはさすがの白斗も耐えきれるわけがなく、一気に脳内が爆発した。

名残惜しそうに唇を離したネプテューヌだが、その顔は幸せに満ちている。

 

 

「………えへへ。 今日、助けてもらったお礼。 ……言っておくけど、普段の私も、女神の私も……どっちもファーストキス、なんだからね」

 

「え? えっ!!? えぇえええええええええええええええええええ!!!?」

 

 

最早白斗は正常な処理が出来ない。

それだけ彼には刺激が強く、そしてそれこそ幸せな出来事の連続だったのだ。

 

 

「さ、そろそろ帰ろ! 早くしないと晩御飯が無くなっちゃうよー!!」

 

「ま、待て!! 待てぇえええええええええええええええええ!!!」

 

 

体力もある程度戻った二人。

そのままネプテューヌは白斗の腕を取って走り出した。一体どっちが幸せなのだか、いやどちらも幸せなのだから疲れ知らず。

そんな甘酸っぱい二人を、夕日はいつまでも照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時間は経ち、夜。

あれからも大変だった。教会に帰ればずぶ濡れになった姿は兎も角、白斗の大怪我にネプギアやコンパはともかく、アイエフまでもが涙目で大慌て。

その後、数々のお説教を受けながらの夕食。正直な所、勘弁願いたかったが、同時にこれがいつもの日常風景であると実感できた。

 

 

「ぐふぃー……さ、さすがに今日は疲れたぞ………」

 

 

さすがの白斗も、体力の限界を感じてベッドに沈み込む。

一日中ネプテューヌとデートかと思いきやアンチモンスターの登場、そしてネプテューヌを助けるために戦闘して水の中で窒息死寸前、その結果ネプテューヌからのファーストキス。

正直、今でも思い起こすだけで嬉しさと恥ずかしさでまた爆発しそうになる。

 

 

「い、いかんいかん! 煩悩退散! こういう時はブランから教えて貰った方法、そう………読書でレッツ現実逃避!!」

 

 

何とか気持ちを切り替えようと、読書をすることにした。

取り出したのは、ルウィーで購入した古びた本。その名も「女神と守護騎士」。あれからも、時間があれば読んでいる一冊だ。

既に繰り返し読んでいるのだが、不思議と飽きない。不思議と憧れるのだ。

 

 

「白斗ー!! いるー!!?」

 

「うぉわっ!? の、ノックくらいしろよネプテューヌ!!」

 

 

ドアを突き破る勢いで飛び込んできたネプテューヌ。

本の世界に集中していたためか、いつもの気配察知も働かなかったようだ。

 

 

「あれ、読書ー? 何読んでるの?」

 

「ルウィーで買ったんだ。 女神と守護騎士ってタイトル」

 

「偉くシンプルだね。 どんなお話なのー?」

 

「まぁ、触りだけ話すとな………」

 

 

ネプテューヌも興味が湧いたらしい。普段の彼女であれば読書などせず、寧ろ「お話ならゲーム!」と言い切るはずなのに。

珍しいこともあるものだと白斗は素直に要点だけ掻い摘んで話した。暗殺者だった少年が、女神達と恋仲になり、やがて守護騎士と呼ばれる存在になり、そこから様々な冒険や苦難を乗り越え、真の愛を結びあうという物語。

 

 

「へー! 白斗みたいで素敵だね!」

 

「俺なんてこの主人公に比べりゃ全然よ」

 

「そんなことないってば! 白斗はカッコイイんだから!」

 

 

本当にネプテューヌもこの話が気に入ったらしい。

それでも、彼女にとって至高の存在とは白斗である。褒め殺しにされるのは正直な所、白斗も嬉しいが謙遜せずにはいられない。

 

 

「それよりも用事があったんだろ?」

 

「あ! そうだ! お土産ちょーだい!!」

 

「現金な奴だねぇ……まぁお前らしいっちゃらしいが」

 

 

お土産、それは三ヵ国に旅行に行く前にネプテューヌに直接渡すために用意したもの。つまり彼女のためだけの特別な品。

苦笑いしながらも、白斗は用意していたものを取り出す。

 

 

「……何これ? 花? ……でも、綺麗……」

 

「だろ? リーンボックスで見つけたんだ」

 

 

鉢植えに植えられた、一輪の花。

可愛くて、それでも美しい紫色の花。ネプテューヌはあっという間に目を奪われていた。

それは二日前、キャンプの際に見つけた花。ネプテューヌのお土産として、白斗が選んだ一品だ。

 

 

「どうして……これを私に?」

 

 

素直な疑問がそれだった。

お土産が花という事例は珍しい。普通であれば、お揃いのアクセサリーなどの特別な小物がメジャーの筈。

でも、白斗にはそれなりの考えがあった。

 

 

「……ネプテューヌらしいって思ったから」

 

「私……らしい?」

 

「そ。 こいつ、一本だけ気ままに生えててな。 なんか可愛くて、でも綺麗で……ネプテューヌみたいな花だって思ったんだ」

 

 

それは、彼女に対する白斗のそのままの評価だった。

女神としての側面だけではない。女の子としてネプテューヌは綺麗で、可愛いという彼からの言葉。

ネプテューヌは、頬が熱くなるのを感じずにはいられなかった。

 

 

「……ありがとう! 大切に育てるね!」

 

「おう。 しっかり育ててくれ」

 

「うん! ところでこれ、何て名前の花?」

 

「それが誰も知らなくてな……毒性はないから安心してくれ」

 

「寧ろ毒性のある花なんて嬉しくないよ……」

 

 

肝心の名前は分からず仕舞いだ。

けれども、重要なのは花の名前などではなく送ってくれた白斗の想いだ。ネプテューヌは、感謝と幸せな気持ちでいっぱいだった。

 

 

(……どうしよう。 私……白斗にずっと、ドキドキされっぱなしだ……幸せにしてもらってばっかり……。 白斗にも、幸せになってもらいたいな……)

 

 

胸の高鳴りが止まらない。

この幸せな気持ちを白斗にも分けてあげたい。白斗も幸せにしたい。

けれども告白まではまだ早い。何かないかとネプテューヌが周りを探っていると、先程紹介してくれた本が飛び込んできた。

 

 

「……白斗って、その本……気に入ってるの?」

 

「ん? ああ、まぁな………」

 

 

とは言うが、守護騎士というタイトルを見つめた白斗の目には明らかな憧れがあった。

彼にとってなりたい理想像とは、きっとこの本の登場人物なのだろう。

ならば、彼の願いを叶えてあげるのがいい女というもの。

 

 

「……白斗、電気消してもらっていいかな?」

 

「何だよ突然?」

 

「いいからいいから!」

 

 

実を言うと、白斗は微妙にネプテューヌと視線を合わせ切れていない。

何せ、数刻前にキスしたばかりなのだから。

白斗からしてみれば助けてもらったお礼であり、それ以上でもそれ以下でもないと割り切ろうとしているのだが。

兎にも角にも、彼女の指示通り電気を落とす。今、この部屋は月明りとプラネテューヌのネオンの光だけが入り込んでいた。

 

 

「………黒原白斗」

 

「は、はい?」

 

 

突然、フルネームで呼ばれた。

それだけではない。声も雰囲気も仕草も、厳かになっている。女神化していないにも関わらず、神秘を感じさせる佇まいに白斗は思わず敬語で応えた。

 

 

「………ここまで私を守り、そして想ってくれたこと………感謝しています」

 

(ん? このフレーズ……もしかして……「女神と守護騎士」?)

 

 

ここで、白斗は気づいた。

何せそれは彼の愛読書のワンフレーズなのだから。

 

 

「そんな貴方だからこそ……一緒に居て欲しい。 傍に居て欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私も、貴方の喜びも、苦しみも、罪も。 何もかもを共に受け止めたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから………白斗、私の………守護騎士に、なってください」

 

 

―――今のネプテューヌは、まさに女神だった。

月明りを背にした彼女は、息を忘れるほどに美しかった。例え真似事でも、彼女の守護騎士になれたらどれだけ幸せなのだろうか。

そして彼女も、これを言ってくれる以上最上級の信頼を預けてくれるのだと、白斗は否が応でも理解させられる。

何より、優しくて、明るくて、温かい女神に、白斗は忠誠を誓いたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――だからこそ、彼は跪いて、差し出された手を取った。

 

 

 

 

 

 

 

「………はい、貴方のお傍においてください。 私の、女神様―――」

 

 

 

そして、その手の甲に口付けを落とした。

本音を言えば恥ずかしかったが、それ以上にネプテューヌがそういう関係を望んでいたのだ。何より白斗も、例え真似事だとしても、嬉しかった。

だから迷いなく、誓いのキスをその手の甲にしたのだ。

 

 

「……えへへ。 これで契約成立! もう勝手に離れちゃダメなんだからね!」

 

「もうムードぶち壊すのかよ……」

 

「シリアスブレイカーで有名な主人公ネプテューヌだよ! このくらい朝飯前!」

 

「もう夜なんだが………」

 

 

結局、そんな空間も長続きしなかった。でもネプテューヌらしいと白斗は納得する。

正式な契約などではない。寧ろ守護騎士の存在自体が眉唾物だったが―――それでも、二人だけの特別な関係がこうして結ばれた。

まだ愛の告白には程遠い。でも、それ以上の何かを感じさせた。

 

 

「それじゃ私の守護騎士様に早速最初の命令! 添い寝して!!」

 

「なんですと?」

 

 

白斗は固まった。いきなり最初の試練が待ち構えていたからだ。

冷や汗を滝のようにダラダラと流すが、当のネプテューヌは既に白斗の部屋の枕を抱きかかえて就寝準備を済ませている。

 

 

「ブランにはしてあげたんでしょ!? 早くしてくれないと泣いちゃうよー! 女神様を泣かせる守護騎士がいていいのかなー?」

 

「……敵わないよ、ホントに……」

 

 

観念したかのように両手を上げて降参。

おずおずと白斗もベッドに潜り込み、そしてネプテューヌが抱き着いてくる。

 

 

「えへへ、白斗あったか~い」

 

「……ネプテューヌも、温かいな」

 

「これが主人公の温もりって奴だよ!」

 

「そーゆー発言がなかったら感動できてたのに……」

 

 

それでも、これだけの美少女が、それも女神様が添い寝だとは。

白斗はつくづく緊張して眠れない―――と思っていたのだが体は正直で、すぐに疲れが睡魔となって襲い掛かった。

瞼が重くなる。そして微睡の中、ネプテューヌが一言囁く。

 

 

「……明日も、一緒に……思い出。 たくさん作ろうね」

 

「……ああ。 おやすみ……ネプテューヌ………」

 

 

一度瞼を閉じれば、安らかな寝息が立てられる。

あの白斗が、またもや無防備に寝顔を晒している。もう一度写メに取りたいほどの光景だったが、手元に携帯電話が無いので今回は断念する。

でも、今回はそれよりも特別だ。何故なら、大好きな人の温もりに包まれた中で寝られるのだから。

 

 

 

 

 

「………おやすみなさい。 私の騎士様………」

 

 

 

 

 

そしてネプテューヌは、大好きな少年の額にまたキスを一つ。

彼に刻み込まれるようにと願いながら、彼女もまた夢の中へと身を投じるのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そして翌日。

 

 

「まさか貴方達までここにくるなんてね……」

 

「……皆考えることは同じ、かしら……」

 

「ええ。 私達も案外、ネプテューヌのことをどうこう言えた義理じゃありませんわね」

 

 

早朝であるにも関わらず、ノワールとブラン、そしてベールがプラネタワーに集まっていた。

理由は簡単。白斗に会うためである。

皆が同じ思いを抱えていたからこそ、同じ場所、同じ時間、同じ目的で集ったのである。

 

 

「やっぱり……白斗よね……。 はぁ……」

 

「私もはぁ、ですぅ……」

 

 

溜め息を出すアイエフとコンパ。

どちらも呆れというよりも、嫉妬に近い色合いの溜め息だった。

 

 

「あ、あはは……でもお兄ちゃん。 今日は珍しく遅くまで寝てるみたいで……」

 

「昨日の報告は聞いたわ。 きっと疲れてるのよね」

 

 

実は早起きで有名な白斗だが、7時になってもまだ起きていなかったのだ。

けれども咎める者は誰一人としていない。昨日のアンチモンスターの出現という事案はすぐに各国の首脳陣に知れ渡っている。

寧ろ白斗にはちゃんと休んで欲しいとノワールも頷いていた。

 

 

「……そうですわ! そこまでぐっすりなら、寝起きドッキリしてみません?」

 

 

すると、両手を叩いてベールがそんな一言。

その表情は「ふふふ」と実に楽しそうである。

 

 

「趣味が悪い……と言いたいけど、私も乗っかるわ」

 

「ベール様にブラン様まで……。 なら、私も共犯になりますか」

 

「わ、私もやりたいですぅ!」

 

「あー! アイエフさんにコンパさんもズルい! 私もやります!」

 

「ま、待ちなさいよ! 私も混ぜなさい!!」

 

 

結局その場の女性陣全員が結託。

今ここに、しょうもない企みが実行されるのだった。

 

 

「「「「「「おはようございま~す」」」」」」

 

 

結局、全員が割とノリノリで実行に移してしまう。

果たしてどんなドッキリを仕掛けようか、楽しみにしていた矢先の事。

 

 

「「「「「「んなっ!!?」」」」」」

 

 

その空気はすぐにピシリと凍り付く結果となった。何故なら。

 

 

「ぐー……ぐー……」

 

「すぅ………すぅ………」

 

 

抱き合いながら寝ている白斗とネプテューヌの姿があったワケで。

 

 

「白斗ぉおおおおおお!! 起きなさああああああああああい!!!!!」

 

 

ノワールの怒りが爆発。

凄まじい叫びが、室内で反響した。当然さすがの白斗やネプテューヌも起きてしまう。

 

 

「どうっはぁ!? 何だ何だ何だぁ!!?」

 

「ねぷぅっ!? 敵襲!?」

 

 

心地よい眠りについていたところ、突然の怒号。

白斗とネプテューヌは大慌てで周りを見渡して状況確認。しかしそこには怒りに燃える乙女たちがいた。

 

 

「私達を敵だとは……いい度胸してるなぁ、ネプテューヌ……」

 

「え? ブラン? だけじゃない、みんなまで……どうしたの?」

 

「どうしたのはこっちの台詞だよお姉ちゃん………」

 

「ネプギアまで、一体何………あ」

 

 

ここに来てようやく二人が状況に気付く。

もう既に朝の七時を超え、朝日が差し込んでいる時間帯。そして昨晩ネプテューヌの希望で添い寝。

当然、起こされるまでは添い寝していたわけで、それを皆にバッチリ目撃されたわけで。

 

 

「ふ、ふふふ……私達を差し置いて堂々と添い寝とは……いい度胸していますわね?」

 

「ネプ子……ちょーっと矯正が必要かしら……?」

 

「ですねー………ねぷねぷ、残念ですぅ」

 

「ち、ちょっと皆!? 目が笑ってないよ!!?」

 

「「「「「「問答無用ぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」」

 

「「ひいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?」」

 

 

乙女の怒りに飲み込まれ、白斗とネプテューヌは震え上がるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

因みにブランとベールも、しっかり添い寝や同衾がバレ、漏れなく制裁を受けたそうな。




サブタイの元ネタ アニメネプテューヌのEDテーマ「ネプテューヌ☆サガして」より

詰め込みまくったぜ……この上ないシチュエーションを……。
前編は通常ねぷのターンだったので、後編はパープルハートの描写を多めに入れてみました。
でもパープルハート様も可愛い。
そしてこれにて四女神のフラグコンプリート。こっから恋のバトルをバチバチさせたいと思います。
さて、次回は誰もが考えるあのネタで行きたいと思います。さらに重大なお知らせ!
なんと!……今回で書き溜めていたストック切れたので次回から更新速度落ちますorz
ですがどうか見守っていただければ幸いです。
感想ご意見、お待ちしております。次回もお楽しみに!
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