恋次元ゲイムネプテューヌ LOVE&HEART   作:カスケード

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今回はラブコメよりもコメディチックなお話です。
少々長くなりましたが楽しんでいただけたら幸いです。


第三十五話 勇者ネプテューヌ ざ☆む~び~

―――そのハチャメチャな日々は、彼女の唐突な一言で始まった。

 

 

「というワケで白斗! チャリティームービーを撮りたいと思うんだ!」

 

「ネプテューヌ様、何でも『というワケで!』を付ければ押し通せると思わねーでください」

 

 

とある夜のプラネテューヌにて意気揚々と宣言するネプテューヌ様に対し、凄い塩対応な白斗だった。

それもそのはず、部屋に籠って愛読書である「女神と守護騎士」シリーズを読んでいたところ突撃されて、お菓子とジュース要求されて、この有様である。

 

 

「ゴメンゴメン。 まぁ順を追って話すとねー」

 

 

それは、今朝の話に遡る―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――え? ゲームを買えない子供達に何かして欲しい?」

 

 

自室で白斗が送ってくれた花を世話していたネプテューヌはイストワールに連れ出され、いつものように執務室に押し込められていた。

嫌々机に座らされ、渋々書類を積み上げた直後、イストワールから出された案件に目をパチクリさせる。

 

 

「はい、このプラネテューヌでも貧富の差はあります。 ゲームを買えず娯楽に飢えている子供達に、何らかの娯楽を与えて欲しいという要望がありまして」

 

「うーん……気持ちは分かるなぁ。 私もお小遣い制だし」

 

 

顎に手をやって天井に目をやるネプテューヌ。

貧富の格差と言えばラステイションが著しいが、それは四ヶ国に比べればの話。どの国でも起こり得る事態であり、また見逃してはならない事実。

因みにこの国の女神様は資金に制限が無いと、ゲームソフト無限回収してしまうためイストワールが財布を握っているらしい。

 

 

「そう言った子供達に娯楽を与えることで人々の信仰、つまりはシェアに繋がります。 子供たちの情操教育にもいい影響を与えるものと思われますので出来るだけ善処する方向でお願いします」

 

 

さすがに子供達を引き合いに出されては仕事大嫌いの駄女神であるネプテューヌも頭の片隅にこびりついてしまう。

すぐには思い浮かばないと思いつつもむむむ、と唸っていたのだが。

 

 

「とまぁ、これは緊急性のない案件なので後回しで構いません。 今はとにかくこちらの書類をお願いします」

 

「うわー! 殺人級の量だよこれ!! 犯罪レベルだよ!!」

 

「日々コツコツとやっていれば、もっとマシな量になっていましたよ」

 

「最近の私、仕事やってるじゃんー!」

 

「白斗さんと遊びに行く前日だけでしょう!? いい傾向だったから見逃してきましたが、本来お仕事とは他人とのデートを引き合いに出されてするものではないのです!!」

 

 

大量の書類を差し出したイストワール。最早柱の如く積み上げられたそれに対し、ネプテューヌは泣き言を零してしまう。

だがこれは普段の彼女の怠慢が生み出した結果。それを今日こそ正すべく、いつものようにお説教を始めた。

 

 

(う、うわー……出たよいーすんのお説教モード……校長先生の朝礼の長話の如く果てしなく無駄で無意味で無意義なんだよねコレ……)

 

 

決して無駄でも無意味でも無意義でもないのだが、馬の耳に念仏と言わんばかりにネプテューヌは聞き流している。

対処自体は慣れているが、だからと言って気持ちのいいものでもない。

そこで最近の彼女は白斗との楽しい一時を想像することで乗り切っている。

 

 

「大体ネプテューヌさんはいつもいつも……」

 

(今度の白斗とのデートはどうしようかな~。 そうだ、この間行きそびれちゃった映画とかいいかも………ん?)

 

 

次の休み、大好きな人と何をして過ごそうかとネプテューヌは考える。

思えば初デートの時、アンチモンスターの襲撃で結局映画館には行けなかった。今度こそ映画鑑賞でもしようか、と思っていた時、彼女の中に光明が差した。

映画、その単語が何故か脳内でリフレインし、バラバラだった点が一つに纏まっていき―――。

 

 

 

 

ポク

 

 

 

ポク

 

 

 

ポク

 

 

 

ポク

 

 

 

 

チーン!Σ(゜◇゜)

 

 

 

「―――閃いたぁぁあああああああああっ!!!」

 

「きゃっ!? な、何ですかいきなり!?」

 

 

 

その時、ネプテューヌに電流が走る。

 

 

「いーすん! さっきの子供達のための企画、いいの思いついたよ!」

 

「え……本当ですかネプテューヌさん?」

 

「うん! でもそのためには資料が必要だから、私外に出てくるねー!」

 

「え、えぇ……行ってらっしゃい……」

 

 

目をキラキラさているネプテューヌ。

良いか悪いかはともかく、この目をした彼女は確かに何かを思いついた表情だ。

話の腰を折られたもののアイデアがあるのならばとイストワールも押され気味になり、そして彼女の外出を許してしまう。

 

 

「……ハッ!? 逃げられた!? あの紫―――――――!!!」

 

 

結局、まんまと逃げられてしまったことに気付いたイストワール。

この後柱のように積み上がった書類は、彼女が泣きながら処理する羽目になるのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ってなワケ!」

 

「何が“ってなワケ”だぁ! イストワールさん生贄になってんじゃねーかぁ!!」

 

「ねぷぎゃああああああああああああ!!? ごめんなさいいいいいいいいいい!!!」

 

 

こめかみに万力。

相変わらずの駄女神ぶりに白斗は怒りを隠せない。

 

 

「ったく……とにかく、子供たちのために思いついた企画ってのがチャリティームービー……要するに映画撮影ってことだな?」

 

「うん! そうだよ!!」

 

 

しかしこのままでは話が進まない。お仕置きはこのくらいにして彼女を万力から解放し、要点をまとめた。

数ある娯楽の中から選ばれた映画撮影。何故それに行きついたのか、ネプテューヌのプレゼンはまだまだ続く。

 

 

「ホラ、子供って映画とか大好きじゃない? そう言った子達にもタダで見られる映画をインターネットで配信するなり、簡易テントの映画館で無償公開したらきっと楽しんで貰えると思うんだ! 映画なら低予算でも工夫次第で高クオリティに出来るし」

 

「なるほど……」

 

 

仕事は不真面目だが、着眼点は鋭いことで定評のあるネプテューヌだ。

更に国民を思いやる女神としての慈愛の心によりその説得力は更に増す。面白い映画を女神主導で製作し無償公開すれば誰もが喜んでくれるだろう。

何よりも、シェア云々より「楽しんで貰いたい」に重きを置いている辺りがネプテューヌらしいと白斗も微笑んだ。

 

 

「でも、何も映画でなくてもいいんじゃね? 無料ゲームを作って配布するとかは?」

 

「それも考えたんだけど、ウチには予算もゲーム制作のノウハウも無い。 そんなんじゃ高クオリティのゲームなんて絶対にできないよ」

 

「確かに……」

 

 

今回は恵まれない子供達のための企画だ。子供達が楽しんで貰うためにはどうしてもクオリティを高める必要がある。

しかしチャリティ企画故にどうしても割ける予算が無い上に教会にはゲームを作る技術はない。そんな状態で作ったゲームなど面白いはずがない。

面白くないゲームの無償配布など、駅前のティッシュ配りと同義だ。いや実用性がある分ティッシュの方がマシだろう。

ネプテューヌのしっかりとした意見に、白斗も納得せざるを得なくなった。

 

 

「それに、低クオリティのゲームをバラまくなどゲーマーたる私が許さんッ!!」

 

「さいですか……」

 

 

そういうこと言わなかったら「凄い」で済ませられたのに、と残念がる白斗だった。

 

 

「だったらPVとかどうよ? 映画よりも低予算、少ない準備や撮影期間で済むと思うけど」

 

「あーダメダメ。 PVイベントはmk2のサブイベでやってるから。 同じ内容のものを小説で書いたところで二番煎じ、読者に呆れられちゃうよ」

 

「何を言ってるんだお前は」

 

 

分からないという方は是非とも「mk2」をプレイしてみてネ☆

 

 

「……とにかく、消去法と言う意味でも映画が選択肢に残るワケか」

 

「うん! それにね……」

 

「それに?」

 

 

まだあるらしい。彼女が今回の映画撮影に拘る、一番の理由が。

一体何なのかと今度は真剣に耳を傾けてみると。

 

 

 

 

 

「……白斗と一緒に映画撮影出来たら……きっと楽しいって思ったから……」

 

「ネプ、テューヌ……」

 

 

 

 

顔を赤らめて、でもしっかりと白斗の顔を見て、そう言った。

子供達のためでもあり、同時に白斗と楽しい思い出を作りたいためにネプテューヌはそんな提案をしてくれたのだ。

こんな時まで自分の事を考えてくれたことに白斗は胸が熱くなった。彼女の健気な想いに応えないで、守護騎士など、増してや漢など名乗れはしない。

 

 

「……ありがとう。 俺も……ネプテューヌと一緒に映画撮りたいな」

 

「っ!! ホント!? やったぁ――――――!!!!!」

 

 

優しい笑顔と声で頷けば、ネプテューヌは喜びを爆発させてくれる。

その眩しい笑顔で、白斗も幸せな気持ちになってしまった。これだからネプテューヌは可愛らしい。

いつでも傍に居たくなるような、ネプテューヌの魅力だった。

 

 

(……人生初の映画撮影、絶対成功させなきゃな。 ネプテューヌのためにも)

 

 

子供達のためにも、楽しい思い出を作るためにも、そして女神様のためにも。

白斗は全身全霊で撮影に臨み、そして成功させることを誓った。

そうと決まれば、ここから先は撮影に向けての各種手配や確認のための時間になる。

 

 

「んで、台本とかキャスティングって決まってるのか?」

 

「うん、ある程度だけど決まってるよ! まず主人公兼メインヒロインは私!!」

 

「微妙に矛盾する役どころだな……。 でも、ネプテューヌがいなきゃ始まんないよな」

 

 

微妙な紹介文だったが、ここは白斗も納得するところだ。

この国の女神である彼女が主役をするのは半ば当然。美少女でもあり、尚且つ女神化した際の美しさでビジュアル面も抜群、アクションも出来る。

まさに主人公として申し分ないだろう。

 

 

「で、第二ヒロインがいるんだ! 本当は出すつもりなかったんだけど……」

 

「そうなのか? んじゃ誰だ?」

 

「この人です! デデドン!!」

 

 

そんなネプテューヌの声に合わせて扉が明けられた。そこには。

 

 

「どうも! 第二ヒロイン兼監督助手兼映像編集兼演出補佐兼メイク兼衣装担当兼制作担当のネプギアです!」

 

「兼任多すぎだろ!? 最早丸投げのレベルじゃねぇか!!」

 

 

この国の女神候補生にしてネプテューヌの妹、ネプギアだった。

だが第二ヒロインだけでなく他の仕事までやるつもりだというのだから白斗としては見過ごせない。

どういうことなのかと姉に視線を向けると。

 

 

「いやー、ホントはネプギアには映像編集だけ頼むつもりだったんだけど……」

 

「お姉ちゃんだけお兄ちゃんと映画に出るなんてズルい! 他の仕事何でもやるから私もヒロインにしてー!!」

 

「……って言ったからつい承諾しちゃった。 てへぺろ☆」

 

「てへぺろじゃねーよ」

 

 

ネプテューヌの頭に軽くチョップを下した。

思い込みが激しく、変な所で思い切りのいい彼女だ。勢いで言ってしまったのだろうが、当然こんな多くの仕事を割り当てられて平気なわけがない。

撮影と並行してスタッフも集めなければ、と白斗はメモに書き加える。

 

 

「まぁ仕事はスタッフを集めて後日割り振ろう。 で、俺は?」

 

「当然! 私達と一緒に世界を救う王子様役!! 一番オイシイ役どころだよー!!」

 

「王子様ぁ? んな柄じゃねーんだけど……」

 

「何言ってるのお兄ちゃん! お兄ちゃんほど王子様に相応しい人はいないんだから!!」

 

 

どうやら白斗はネプテューヌ達と並ぶ主役級のポジションらしい。

王子様というからには彼女らの相手役ということになる。自分のキャラではないと一瞬遠慮しそうになったが、ネプギアが可愛らしく握り拳を作ってまで推薦してくれる。

 

 

「ネプギアの言う通りだよ! それとも私の騎士様は約束を破っちゃうお人なのかな~?」

 

「……分かったよ、謹んでお受けいたします」

 

「やったー!! ダブルヒロインで両手に花だよ、このこのー!!」

 

 

自分のキャラではない、が興味が無いわけではない。

何より、ネプテューヌ達と一緒に映画が撮れるのなら四の五の言っている場合ではない。覚悟を決め、白斗はその役を引き受けた。

ネプテューヌは大喜びしながら肘で小突いてくる。

 

 

「さて、白斗も引き受けてくれたし今のところ確定してるキャストはこのくらいかな」

 

「なら次はストーリーだな。 どんなのを撮る予定なんだ?」

 

「ここは子供達にも受けやすいように王道ファンタジー! 所謂ドラ〇エ的な感じで」

 

「危ない橋渡るなぁ……。 でも確かにそっちの方が受けやすいし、やりやすいな」

 

 

王道というものは飽きられやすいが、親しまれやすくもある。

何より製作陣も共通のイメージを持てば撮影も捗るというもの。子供達にも楽しんで貰えるという観点から、ネプテューヌの選択は正しいと言える。

ここまでは特に問題点はない。

 

 

「最後は、肝心要の台本だな。 見せてくれ」

 

「無いよ」

 

「へ?」

 

「何を隠そう、台本は私の頭の中にあるのだ! ドヤァ! ……って、何そのハンマー?」

 

「いや、これでオメーの頭をカチ割れば台本出てくるかなーって」

 

「ねぷぅーっ!? ダメだよ!? これはスプラッター映画じゃないんだよ!? ついでにこの小説にはR-18Gのタグも付けられてないんだよぉ!!?」

 

 

余りにおバカな発言に鈍器を取り出せばネプテューヌは怯えだした。

もしこの小説にR-18Gタグがついていれば、この後惨劇が展開されていたであろう。

 

 

「じ、冗談だって! これが台本だよ~!」

 

「全く、最初から見せろっての。 どれどれ……」

 

 

ぺら、ネプテューヌから手渡された台本に目を通し、ふんふんと頷く。

ぺら、「ん?」と、読み進めていると何かの違和感に気付く。

ぺら、投げ出さずに最後まで読んだものの、閉じては深い溜め息をついた。

 

 

「……ネプテューヌ、これお前が撮りたいシーン書いただけだろ」

 

「あ、あれ~? 分かっちゃった?」

 

「シーンとシーンの間が書かれてないし、ストーリー性皆無だし」

 

「あ、あはは………」

 

「その癖、ラブシーンだけはメッチャ濃密だし!!」

 

「え、えへへ……」

 

 

ページを捲れば捲るほど出てくる粗の数々。

確か思いついたのが今朝の事らしい、そんな短時間では台本など仕上げられるはずもなく。

ただ、白斗もここまでは予想していた。いや、予想よりも酷かったのだが彼女が何をやりたいのか明確にしてくれただけまだやれるというもの。

 

 

「……仕方ない。 俺が台本を書き直す」

 

「え? お兄ちゃんが?」

 

「書き直すと言ってもネプテューヌのやりたいシーンは一切省かない。 このシーンに沿うようにストーリーを補完するだけだ。 まぁ、何とかなるだろう」

 

 

白斗が残りを書き上げることを決意した。

それだけではなく、ネプテューヌが最初から書いていたシーンは一切省かないという。自分の思い通りにやるのではない、ネプテューヌの想いを大切にしたいという白斗の気持ちの表れだ。

 

 

「……ありがとう白斗!」

 

「俺もネプテューヌやネプギアと一緒に映画撮りたいからな。 やるからにはマジだ。 ついでにある程度の予算案も出しとくわ」

 

「さすがお兄ちゃん! かっこいい!!」

 

 

ぱちぱちとネプギアが拍手を送ってくれる。

台本と同時に何がどれくらい必要になるかの予算案を出して置けばお財布事情を管理しているイストワールも判断材料になりやすいだろうという白斗の気遣いだ。

それだけ、白斗もこの映画撮影に持てる情熱の全てを注ぎ込もうとしている。

 

 

「さーて、どんな物語を書いてやろうかなーっと!」

 

 

白斗は意気揚々とペンを撮り、文章を書き連ねていく。

そして合間を縫ってはゲームや漫画、インターネットから資料をかき集め、脳内にストーリーを組み立てていった。

没頭している白斗の邪魔はしたくないとネプテューヌとネプギアは静かに部屋を出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜が明け―――。

 

 

「で、出来ました………グフッ」

 

「は、白斗ー!?」

「お兄ちゃーん!?」

 

 

手にした台本と予算案を掲げながら、白斗は床に沈んだ。

慌てて抱き起すネプテューヌとネプギアだが、白斗はまさに疲労困憊。目の下に隈どころか、顔色が完全に悪い。

明らかに徹夜した後である。それも完徹だ。

 

 

「白斗! 急ぎの用件じゃないんだからそんなに無理しなくていいのに……!」

 

「は、ははは……二人と映画撮影できるって考えたら楽しくなっちまって……筆が止まらなくてな……」

 

「お兄ちゃん……そこまでして、私達との撮影を……!」

 

 

二人は涙が止まらなかった。

ただ映画撮影をして白斗と楽しい時間を過ごしたかっただけなのに、白斗はそれ以上に楽しみにしていただけでなく、真剣に考えていてくれたのだ。

そこまで想ってくれる彼の事が嬉しくて、涙が溢れてくる。

 

 

「だから……後は、頼んだぜ……ガクッ」

 

「は、白斗ぉ――――!!!」

 

「お兄ちゃ――――ん!!!」

 

 

自分達のために戦い、そして眠った白斗。

そんな彼の痛ましい最後に、二人は悲しい叫びを上げた―――。

 

 

「いえ、死んでませんから」

 

 

そこに冷たいツッコミを入れたのはイストワールだった。

 

 

「いやー、この手のお約束としてやっておきたいじゃん? それにこれも演技の練習で」

 

「はいはい。 白斗さんも楽しむのは結構ですがご自愛ください」

 

「へ、へーい……」

 

 

イストワールから注意された白斗はばつが悪そうな顔を向ける。

こちらの寝不足は演技などではない。一応ネプテューヌらの悪ふざけに乗っかるくらいの余力はあるようだが、無理はさせないに越したことは無い。

とりあえずイストワールは彼から台本と予算案を受け取り、目を通す。勿論ネプテューヌとネプギアもだ。

 

 

「おおー! 私がやりたかったシーンに合わせたストーリー! それでいて感動、興奮、大仰天の三拍子揃ってるー!!」

 

「補完部分も違和感なし! ストーリー自体も分かりやすい!!」

 

「ええ、子供達に対する配慮も含まれていますし十分及第点でしょう」

 

 

どうやら三人とも満足してもらえたようだ。

特にゲーマーとして多くのゲームに触れているネプテューヌ、そして審査は辛口と定評のあるイストワールから認められたのは何よりも大きい。

 

 

「お兄ちゃん凄い! 物書きも出来たんだ!」

 

「い、いや……『女神と守護騎士』とか、俺の世界であった映画のストーリーを参考にしているだけだから……」

 

「でも本当に面白いよ! これなら大ヒット間違いなし!!」

 

 

白斗も脚本づくりは初の試みだった。

故に手元にある愛読書や白斗の知る映画の内容などを引用、そしてこの世界風にアレンジして書き起こしたのである。

純粋な物書きとしてはまだまだの領域だが、チャリティームービーとしてなら十分とのお墨付きを貰えた。

 

 

「これだけ脚本もしっかりしていれば必要なものや人材も計算できますし、予算案も非常に精確です。 ここまでしっかりしたものを提出されては、応えない方が失礼ですね」

 

「ということは……」

 

「はい、予算の方はお任せください。 人数も物資も、ネプテューヌさん達が必要だと思うだけ揃えて、撮影に臨んでくださいね」

 

「「「やったー!!」」」

 

 

白斗の労力が功を奏し、見事イストワールからGOサインが出た。

後は必要なものを準備し、撮影に臨むだけ。

 

 

「ならまずは人手を集めなきゃね!」

 

「ああ。 ネプテューヌ、ネプギア! プラネテューヌ内の知り合いに召集!」

 

「はい! ……でも何でこの国限定?」

 

「一応形としてはこの国の政策としてやるわけだからな。 なるべく他国の力は借りない方向が望ましい」

 

 

これは恵まれない子供達のための撮影ではあるが、同時にプラネテューヌのシェアを回復させるためでもある。

つまりプラネテューヌの仕事である以上、出来るだけこの国の力で成功させる必要があった。

ネプギアも納得し、知り合いという知り合いに連絡を入れていくのだった。

 

 

 

 

~出演交渉~

 

 

 

「……と、いうワケで以上が概要になります。 多忙な中、更に時間を割くことになる上に出せる謝礼も本当に少ないのですが、どうかご協力いただきたい」

 

 

プラネタワーの会議室を借り、今回の撮影の概要を説明していた白斗。

大型の会議室に集められていたのは、このプラネテューヌの中で在住、またはたまたま訪れていた者達である。

アイエフやコンパ、ピーシェやツネミは勿論、白斗目当てで参上していたマーベラスとその仲間達が対象だった(マーベラスらは異世界人なのでジョーカー的扱いを受けている。何というパワープレイ)。

 

 

「みんなで映画撮影! 楽しそうです!」

 

「まぁ、ヒロインがネプ子ってのがズルイけど……これも仕事の一環よね」

 

「えいが! おもしろそう! ぴぃもやるっ!!」

 

「はい。 この国の宣伝にもなりますし、何より白斗さんやネプテューヌ様からの依頼とあれば喜んで」

 

 

コンパやアイエフ、ピーシェにツネミからはあっさりとOKが出た。

今回はチャリティ企画なので予算としては安上がり。ギャラもかなり少ない方なのだが、彼女達はそんな事など一切気にしていなかった。

 

 

「私もやるよ! 白斗君と撮影……ああ、夢みたい……」

 

「マーベラスがすっかり恋する乙女だね……。 まぁ、面白そうだし私もいいかな」

 

「あたしもいいよ。 こういうのもいい思い出になるし」

 

「ふむ……狂気の魔術師、銀幕デビュー……悪くないな。 フゥーハハハ!!」

 

「わ、私も参加します! そうだ、あの子も誘ってみようかな……」

 

「まぁ、暇してたし付き合ってやるにゅ」

 

「ヨメ達と一緒に撮影! REDちゃんも大賛成なのだー!!」

 

 

そしてマーベラスを始め、彼女の仲間達からも出演許可が下りた。

勿論役者としてだけではない、幾つが仕事を担当してもらうことにもなる以上更に多忙になるだろうにそれも織り込み済みで承諾してくれたのだ。

本当に優しい人達と巡り合えたものだと白斗は感謝の念が絶えない。

 

 

「ありがとう。 えー、先程にもあった通りお出しできるギャラは少ないのですが……」

 

「いいよそれくらい! 白斗君の頼みだもん! その代わり……」

 

「お? マーベラス、何だ?」

 

 

寧ろお金など要らないと言ってきたマーベラス。代わりに何か要求しようとしているらしい。

これだけの無理無茶をしようとしてくれているのだ、大抵の事なら何でもしてやろうと既に白斗は覚悟済み。

一体何を要求するのかと聞き耳を立てていると―――。

 

 

「白斗君を一日貸してくれるならOKだよ♪」

 

「マベちゃんズルイです~~~! 私も白斗さんと過ごしたいです~!!」

 

「ちょ!? コンパ抜け駆けしないでよ! 私だって……」

 

「あ、あの! 白斗さん、私とも……」

 

 

どうやら白斗と丸一日お付き合いしたいらしい。

だがそれに我慢ならずコンパやアイエフ、ツネミまでもが割り込んできた。こうなっては収拾がつかないとMAGES.達も呆れ気味。

 

 

「……モテるね、お兄ちゃん。 いや白斗さん」

 

「私の騎士様なのに、ネプ子さんは悲しいよ。 黒原君」

 

「やめて、他人行儀やめて。 ……えー、その件ですがお引き受けします。 荷物持ちでも何でもござれよ」

 

「「「「やったー!!」」」」

 

 

ネプギアとネプテューヌの痛い視線を背で受けた白斗からは冷や汗が止まらなかった。

かと言ってここで断っては折角の出演交渉も失敗に終わってしまいかねない。

女神様には申し訳ないと思いつつも首を縦に振れば、コンパたちは大喜びだ。

 

 

「んじゃ、人手も確保したし……ネプテューヌ。 開始の宣言を」

 

「うん! ………みんな! 映画撮影、始めるよー!!」

 

『『『『『おぉ――――!!』』』』』

 

 

そしてこの規格の発起人であるネプテューヌに音頭を任せた。

彼女が力強く拳を掲げ、開始を宣言する。それに合わせ一堂が大きく返事をした。

こうして波乱万丈に満ちた映画撮影が今、幕を開けるのだった―――。

 

 

 

 

 

~ロケハン~

 

 

 

「おにーちゃん、“ろけはん”ってなーに?」

 

「ロケーションハンティング、要するに撮影に適した場所を探すことだ」

 

 

ピーシェの素朴な疑問に答えつつ、メモに書き殴っている白斗。

現在、台本からどんな場所が必要なのかをピックアップしている最中だ。そしてそれを書き終えると、ネプテューヌとマーベラス、ファルコムにメモとカメラを手渡した。

 

 

「機動力のある三人にはこれらの場所を探してもらいたい。 なるべくプラネテューヌ国内が望ましいが、必要であれば国外でも大丈夫だから」

 

「おっけー! 女神化すれば一瞬だよー!」

 

「うーん、この場所……あそことかどうかな?」

 

「火山、か。 そう言えば以前冒険に行ったあそこがいいかも!」

 

 

ロケハン担当として選ばれたのはこの三人。

ネプテューヌは女神化すればどこへでも飛んでいける、マーベラスはくノ一としての身軽さ、ファルコムは熟練冒険家としての経験。

白斗の人選は適役と言う他無く、ここは順調に事が進んでいくのだった。

 

 

 

 

~稽古~

 

 

 

さて、ロケハンと並行してやるべきことは幾らでもある。

役者として出る以上、何よりも稽古は重要なものだ。単純に台詞を覚えるだけではなく、役者同士が物語の雰囲気を共有することで映画の完成度を高められる。

―――なのだが、それに抗議の声を上げる者が一人。

 

 

「は、白斗さん! 本当に私がこの役をやるんですか!?」

 

「す、すみませんイストワールさん……。 ネプテューヌがどーしても貴女にやって欲しいと……」

 

「うぅ……ネプテューヌさん……普段の仕返しのつもりですか……!」

 

 

イストワールだった。

何やら不名誉な役どころを与えられたらしく、静かな物言いが特徴的な彼女にしては本気の抗議である。

白斗が何度も頭を下げて頼み込むことで渋々ではあるが、引き受けてくれた。

と、ここで白斗の肩をつんつんと突く者が一人。振り返るとそこには鉄拳がおずおずと立っている。

 

 

「あ、あの! 白斗さん、実は私の知り合いも撮影に参加したいと言っているんですけど……」

 

「鉄拳の知り合い? 何でまた?」

 

「何でも好きになった子にアピールしたいって……」

 

「男らしい理由じゃないか。 気に入った! よし、面接してやろう」

 

「よかった! 実はここに来ているので紹介しますね」

 

 

鉄拳の知り合いも映画撮影に協力するという申し出だった。

正直な所、人手は幾らあっても足りないくらいだ。それに女のため、という部分が白斗の琴線に触れた。

気持ちよく面接の許可を出すとその知り合いが姿を現す―――。

 

 

「うぉ~ん♪」

 

「……森のくまさん……だと……」

 

 

白斗は、絶句した。

何を隠そうそこに現れたのは―――熊だったからだ。それもリアルの。

 

 

「良かったねクマ! これであの子にアピール出来るよ!」

 

「じゃねぇだろぉ!? なんでクマぁ!?」

 

「この子、修行仲間なんです。 それで一目惚れしたパンダにいい所見せたいって……」

 

「種族の垣根を超えた恋愛かよ!!? つーか大丈夫なのコレぇ!!?」

 

「大丈夫です。 この子大人しいし、人は襲いませんから」

 

 

どうやら鉄拳の仲間達は周知の事実であるらしく、慌てこそしなかったが苦笑いだ。

―――その後、サイバーコネクトツーらの説得もあり、何とかこのクマも撮影に参加することになるのだった。

因みにピーシェは大喜びだったとか。子供の好奇心はかくも恐ろしい。

 

 

 

 

~主題歌作成~

 

 

 

「って主題歌のことすっかり忘れてたぁ……! さすがに作曲とかしたことねーぞ……!?」

 

 

机に座って空の楽譜と向き合う白斗。だが全然メロディーが降りてこない。

ギターは弾ける白斗だが、あくまでそれは楽譜があればの話。そもそも作曲に関してはノウハウがない以上、どうしようもなかった。

あらゆる分野で才能を発揮するオールマイティな白斗も、これにはお手上げである。

 

 

「けど高クオリティ、即ちオリジナリティ……ここで神曲出さずしていい映画は撮れぬ……!」

 

 

だが凝り性であるこの男は妥協を許さなかった。

オリジナリティ溢れる映画こそ魅力の要素。そこを欠くわけにはいかないと、何とか脳内をフル回転させ―――。

 

 

「白斗さん、ここは私にお任せください」

 

「つ、ツネミ!? 何でここに!?」

 

 

するとツネミがバン、とドアを勢いよく開け放った。

可愛らしく握り拳を作る彼女は、どこか頼りがいのある姿である。

 

 

「いえ、白斗さんが作曲したことが無いという呟きが聞こえてきたので」

 

「……君、下の階で稽古してたよね?」

 

「アイドルですから。 耳がいいんです」

 

「アイドルすげぇ」

 

 

さすがはプラネテューヌの歌姫、常軌を逸した聴力である。

 

 

「とにかく作曲でしたら私にお任せください。 趣味は作曲ですから、お手の物です」

 

「マジか! すまん、正直助かる! 作詞は済ませてあるからさっさと二人で作っちまおう!」

 

(ああ、白斗さんと二人で作曲……嬉しいです……!)

 

 

微笑む彼女は、本当に可愛らしかった。

兎にも角にもこの場はツネミに任せるしかない。白斗は彼女に最上級の感謝を送りつつ、自ら作詞した文章を見せながらツネミと共に作曲を進めていく。

 

 

 

 

~ロケ本番!~

 

 

 

「んじゃ撮影するぞー! 最初のシーンはネプテューヌが目覚めるシーンからだ!」

 

「私はいつでも準備おーけーだよー!」

 

 

今回は民家の一室から始まる場面。

既にネプテューヌを始め、このシーンにおいて必要な役者はスタンバイを完了している。

 

 

「よし、サイバーコネクトツー! お前のタイミングで始めてくれ!」

 

「了解! ではシーン1、テイク1……」

 

 

と、サイバーコネクトツーが手にしたカチンコを鳴らそうとしたその時だ。

 

 

「あー! ぴぃ、それやりたいー!」

 

「え、えぇ!? 実は私もこれやりたかったんだけど……」

 

「ズルイー! REDちゃんもそれやりたいー!!」

 

「ねぷー! 私だってそれ鳴らしたいんだよー! アクショーンって言いたいんだよー!!」

 

「お前らカチンコ一つで大騒ぎしないでくれるか!? えぇい順番だ順番!!」

 

 

ピーシェやRED、果てはネプテューヌまでカチンコを鳴らしたいと言ってきたのだ。

映画撮影と言えばこれ。何かと真似てみたくなる動作なのは分かるが、今はそんな事やってる場合ではないと白斗が怒鳴る。

ただ、それを見ていたマーベラスはこう思った。

 

 

(カチンコって順番回すようなものなのかな……? まぁ、それよりも……)

 

 

彼女のツッコミは正しい。

ただ、それ以外にも彼女の心配事はあったのだ。その対象とはカチンコをやりたいと駄々を捏ねているピーシェ。

 

 

(あの子、ピーシェちゃんだよね? ……私の事知らないみたいだし、私の知ってるピーシェちゃんじゃないなら……大丈夫かな?)

 

 

彼女の知っている“事実”と目の前の“事実”は違う。

ならば特に問題はないし、問題にすることは無いと一息ついた。この判断がどう動くか―――それは後々に影響することを彼女はまだ知らない。

 

 

 

 

~まだまだ撮影は続くよ!~

 

 

 

「では次のシーンです。 ネプテューヌさんと白斗さんがこの崖から飛び降りて脱出を計るシーンになります」

 

「待っていーすん!? 紐が無いんだけど!? 紐無しバンジーは殺人だよ!?」

 

「ってか俺このシーン書いた覚えないんですけど!!?」

 

 

切り立った崖の前で白斗とネプテューヌが吠えた。

何しろこの崖から飛び降りろというのだから。それを指示したイストワールは不気味なほど冷たい微笑みを向けている。

 

 

「私が追加したんです。 こういった迫力あるシーンが無いと盛り上がりませんから」

 

「おのれいーすん! やっぱりあのキャスティング根に持ってたなー!?」

 

「俺は悪くねぇ! 俺は悪くねぇ!! ネプテューヌがやれって……!!」

 

「いいから行ってきなさい」

 

 

ドンッ☆

 

 

「「人殺し―――――――――!!!」」

 

 

二人は泣き叫びながら落ちていった。

この狂態を目の当たりにしたコンパとアイエフは恐怖に震えている。

 

 

「イストワールさん、怖いですぅ……」

 

「……イストワール様だけは怒らせないようにしなきゃ……」

 

「って言うかなんで二人はそんなに冷静なの!?」

 

 

余りにもあんまりな反応にファルコムがツッコミを入れた。

 

 

「ネプ子なら大丈夫でしょ。 しょっちゅう落ちてるから」

 

「ですね。 安定と信頼のねぷねぷです」

 

「ネプテューヌ様はそれでいいかもしれないけど白斗は!?」

 

 

…………………………………………。

 

 

「うわあああぁぁぁぁっ!? そうよ、白斗が危ないわ!? レスキューレスキューっ!!」

 

「い、急いで向かうです~~~!!」

 

「……この扱いの差よ……。 ネプテューヌ様、貴女は泣いていい……」

 

 

ただ一人、ネプテューヌを忍んでいたファルコムは常識人と言えるだろう。

因みにイストワールもそこまで鬼ではなく、下にトランポリンを敷いてあったため二人に特に怪我はなかったそうな。

画面の前の皆さん、安心してね。

 

 

 

~映画と言えばお色気も必要だよね!~

 

 

 

「って何だこの濃密すぎるベッドシーン!?」

 

 

台本を丸めながら白斗はまた吠えた。

台詞やト書きだけでも凄まじい桃色空間であることが伝わってくる。見ているだけで顔が火照ってくるほどのラブシーンを超えた何か。

まだまだその手の経験が無い白斗は顔を真っ赤にさせている。

 

 

「ねぷ……白斗ぉ……」

 

「ネプテューヌ様スタンバイ完了しないでくれますか!? 誰だこれ追加したの!?」

 

 

既にネプテューヌは準備完了していてバスタオル一枚だった。

思わず鼻血が吹き出そうな白斗だったが鉄壁の理性で何とか持ちこたえる。

今は台本にこんなシーンを加えた人物を糾弾しなくては。

 

 

「ブロッコリーだにゅ」

 

「お前かよ!? ってかオメーら台本勝手に弄るんじゃねーよ!!」

 

 

犯人は謎の生き物「ゲマ」に乗っている少女、ブロッコリーだった。

可愛らしい見た目であるにも拘らずかなりの毒を持っているこの少女は、間違いなく一番の曲者にしていい性格をしているだろう。

 

 

「白斗は分かってないにゅ。 男の劣情を煽るのも映画の醍醐味だにゅ」

 

「煽ってんのはPTAの癇癪だろーが!! これ一応子供向け企画だからな!?」

 

「なら子供用にはカットすればいいにゅ。 このシーンは後にアダルト版でやればいいにゅ」

 

「良かねーよ!! 大体女神様相手にこのシーン撮ったら犯罪だろうがぁ!!!」

 

 

のらりくらりと白斗の反論を交わしていくブロッコリー。相当な強かさである。

しかし何よりの問題はフィクションとは言え女神様であるネプテューヌと「そんなシーン」を撮影することである。

何かしらの罪に問われてもおかしくない。いや、何よりもネプテューヌが嫌がるのではないかと―――。

 

 

「わ、私は……いいよ……。 白斗だもん……」

 

「やめてくれネプテューヌ!! 俺までその気になっちまうから惑わせないでぇ!!!」

 

 

顔を赤らめつつも、ネプテューヌは寧ろそれを望んでいた。

そもそもこの映画撮影自体、子供達のためでもあり、白斗との思い出を作るためでもあり、そして白斗とイチャイチャしたいためでもある。

そんな彼女の可愛らしく、扇情的な姿に白斗の理性も崩れそうになってしまう。

だが、それを許さない乙女が五名―――。

 

 

「へぇ……その気になっちゃうんだ、お兄ちゃん……」

 

「白斗君……お話があるんだけど……」

 

「ですねー。 それはもう、しっかりとしたお話が必要ですぅ」

 

「はーくーとぉー? ふ、ふふふ………」

 

「ダメですね白斗さんは……。 その身に刻み込ませないと覚えていただけないようで……」

 

 

ネプギア、マーベラス、コンパ、アイエフ、そしてツネミだった。

白斗に恋した者として、目の前でこんな淫らな光景など許せるはずもない。

ズン、ズン、と一歩ずつ踏み出してこちらに近づいてい来るその様子はまさにホラー映画顔負けの恐ろしさ。

 

 

「ネプギア、そのビームソードは何かな? そしてマーベラスよ、暗器をそんなに持ち出してどうした? コンパさん、お話に注射器は必要ないんだけど? ねぇアイエフ、光の無い瞳でこっちに来ないでくれます? ツネミさん、そのメガホンはいかなる用途で使うのかな? ってか怖すぎだし理不尽だし俺のツッコミ長すぎだしぎゃああああああああ――――!!?」

 

 

嫉妬に狂う乙女たちの制裁を受け、白斗は断末魔を上げた。

 

 

「これはこれでメイキングに使えるにゅ。 カメラしっかり回しておくにゅ」

 

「……ブロッコリー。 ロクな死に方しないよ……」

 

 

と言いつつもしっかりカメラを回しているサイバーコネクトツーなのであった。

因みにこのシーンが撮影されたかどうかは読者の皆様のご想像にお任せする。

 

 

 

 

~ラスボス戦撮影入りまーす~

 

 

 

ここはプラネテューヌにある洞窟。

深く潜れば潜るほど強大なモンスターが出現すると噂される難易度の高いダンジョン。

そしてその最深部には強大な力を持つドラゴン型モンスター、バハムートがいた。

 

 

「いたぞ、こいつがバハムートか……!」

 

「うわー、推奨レベル詐欺の見た目ー。 こりゃラスボスには打って付けだねー」

 

 

禍々しい色合いの鱗。体中に刻まれた傷は幾多もの冒険者との死闘を思わせる。

ネプテューヌも女神として多くのバハムートを切り捨ててきたが、目の前にいるこの竜はその中でも段違いであると感じさせる。

白斗も噂を聞いて仲間達と共にこのダンジョンにやってきたのだが、それに違わぬ恐ろしさを感じると沸々と汗が噴き出てきた。

 

 

「グゥルルル………グォオオオアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 

バハムートは己が戦うべき相手を認識すると、吠えた。

その咆哮は洞窟を揺るがし、壁に亀裂すら入れる。

今ここに、女神達と邪竜による死闘が幕を開けようと―――。

 

 

「はいカァァァァアアアアットォ!!!」

 

「ぐ、グルォ!?」

 

 

突然、白斗が止めに入る。

出鼻をくじかれたバハムートは情けない声を上げて右往左往していた。

 

 

「コルァ!! 勝手に始めんな!! こちとらまだ撮影準備が出来てねーんだから!!」

 

「グ、グルル? グルァ?」

 

「撮影班! 急いでブルーバック敷いて!! 衣装班はバハムートにラスボスの衣装を着せて!! とっとと始めるぞー!!」

 

「「「「りょうかーい!!」」」」

 

 

白斗たちはせっせと撮影準備に取り掛かった。

そう、彼らはクエストで来たのではない。バハムートを映画のラスボスに見立てて討伐ついでに体当たりロケを敢行しようとしていたのである。

周りにブルーバックを敷いてCG加工をし易いように準備、その間バハムートには衣装係であるREDとコンパ、アイエフの手によって衣装が着せられていた。

 

 

「はーい、付け髭するので動かないで欲しいです!」

 

「ぐ、グル……グルォ………」

 

「それから王冠っと。 うんうん、ラスボスらしくなった!」

 

「こっちも鎧着せ終わったのだー!!」

 

 

凶暴なドラゴンを前に呑気に撮影準備を始める少女達に、バハムートは戸惑っていた。

キョロキョロを辺りを見渡しても誰一人戦う気配は一切ない。

あれよあれよという間にコンパたちの手によってバハムートに衣装が着せられてしまった。

更に威圧感アップしたものの、バハムートには最早何が何やらである。

 

 

「三人ともお疲れ様! バハムート君、こちらは体当たりロケだからね。 いい演技を期待しているよ!!」

 

「ぐ、ぐるるぅ………?」

 

 

ポン、と白斗から何故か期待の声と共に手が置かれた。

バハムートは戸惑うことしか出来ず、彼らの撮影準備が完了するのを黙ってみているしかない。

やがて彼らの準備が完了するとネプテューヌと白斗は武器を手にバハムートに向き合った。

 

 

「ピー子! 準備オッケー! カチンコ鳴らしちゃってー!」

 

「はーい! えーと、しーん50、ていく1! よーい、あくしょーん!!」

 

 

ようやくピーシェがカチンコを鳴らした。

カチン、と小気味いい音が辺りに響くと二人が纏う空気が一変する。

白斗とネプテューヌは先程のおふざけの空気は一切なくなり、映画の中の登場人物としてそこに立っていた。

 

 

「……これが、魔王……! 私達の世界を襲った、怪物……!」

 

「―――でも、怖くないよ。 ……王子様が一緒だから!」

 

「俺もだよ、女神様。 ……行くぞ、魔王!!!」

 

「ぐ………グルアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 

―――バハムートは、ヤケクソ気味に吠えた。

その後、想像以上に強かったため戦闘シーンは大盛り上がりだったがさすがに女神様には及ぶべくもなく、バハムートは結局討伐されたのだった。

バハムート視点からすれば、哀れである。

 

 

 

~クランクアップ!~

 

 

 

 

「―――はいカーット。 これにてクランクアップだ。 お疲れだったな、紫の女神達よ」

 

『『『『『お疲れ様でしたー!!!』』』』』

 

 

最後に撮影監督を務めていたMAGES.がカチンコを鳴らした。今ここに全ての撮影が終了したのである。

まだまだ編集作業などやるべきことは多いが最大の山場は超えた。誰もが達成感を胸に大喜びし、互いに労いあった。

 

 

「っはぁー! やりきったぞー!!」

 

「一時はどうなるかと思ったけど、楽しかったー!!」

 

「です! 完成が楽しみです~~~!」

 

 

役者としての仕事を全て終えた白斗とネプテューヌは溜まりに溜まった疲れ、そして充実感を放出していた。

彼らの汗を拭いてあげるコンパもこれまでの出来に満足している。完成品を見れば更に感動できることだろう。

 

 

「だってさ。 ネプギア、MAGES.。 ここからが大変だね!」

 

「うぅ……が、頑張ります!」

 

「まぁ、狂気の魔術師にとってこの程度造作もない。 さっさと済まそうではないか」

 

 

差し入れのお菓子を持ってきたRED。

だが彼女の言う通り、これからすべき作業は今まで撮影した映像を編集、合成し一つの映画として完成させる作業である。

ある意味これが一番大変な作業。機械に明るいということで選ばれたネプギアとMAGES.にも気合が入った。

 

 

 

~試写会だよ! 全員集合!~

 

 

 

―――そして数日後、ようやく全ての編集作業が終わり映画が完成となった。

本日はその試写会。この撮影に関わった人全てがプラネタワーの会議室に集まり、スクリーンを前にしてその瞬間をまだかまだかと待ちわびている。

 

 

「えいがっ、えいがっ! ぴぃたちのえいが、たのしみっ!!」

 

「もー、ピー子ってばはしゃぎすぎ~!」

 

「ねぷねぷもですよ。 でも私も早く見たいです!」

 

 

特にピーシェとネプテューヌが一番の大はしゃぎだ。

しかし無理もない、ネプテューヌは今回の発起人、ピーシェは初めての映画撮影。どちらも盛り上がるなと言う方が無理な話だ。

コンパもうずうずしていると壇上に白斗が上がった。

 

 

「皆様、大変お待たせしました。 言いたいことはありますが、小難しい前置きはナシにしましょう。 ただ試写会を始める前に、これをどうぞ」

 

 

白斗の声に合わせてネプギアとMAGES.が何かを皆に配り始めた。

ポップコーンとコーラ。映画館における必須の組み合わせだ。

 

 

「おーっ! 映画と言えばコレ!! 白斗、分かってるーっ!!」

 

「最高の気遣いですね~」

 

 

REDと鉄拳も嬉しそうにそれを受け取った。REDに至っては早速口にポップコーンを頬張っている。

微笑ましい光景に誰もが頬を緩ませた。

 

 

「では全員に行き渡ったところで! 試写会スタート!!」

 

 

全員から拍手が沸き上がった。

拍手が小さくなるにつれ、会議室の照明が落とされる。真っ暗となった部屋の中、スクリーンに映像が映し出された。

 

 

『ねっぷ、ねっぷ、ねっぷ、ねっぷ、ねぷねぷ! ねーぷ! ねっぷねぷ~♪』

 

 

導入はネプテューヌの可愛らしい声から。

ちょっとした和やかな時間と笑いを誘い、映画への期待を高める。

そして画面は真っ暗となった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――目覚めるのです。 勇者ネプテューヌ……』

 

「う、う~ん……ここは……?」

 

 

―――謎の妖精の声に導かれ、目を覚ましたネプテューヌ。

そこは見たことのない民家だった。

 

 

「お、目が覚めたか?」

 

「……貴方はだぁれ?」

 

「俺はハクト。 プラネテューヌの隣の国の王子さ」

 

「え、ええぇ~~~っ!?」

 

 

何故倒れていたのか、自分自身さえも理解できないネプテューヌ。

そんな彼女を拾ったのは隣国の王子だった。これこそが運命の出会い―――。

 

 

「ああ、目を覚まされたのですね。 良かったです!」

 

「ねぷ!? この小さい妖精は!?」

 

「私はイストワール、勇者を導くために神から使わされた者です」

 

「勇者! ズバリ、私の事だね!」

 

「ええ。 貴方は運命に導かれし仲間達と共に、魔王を封じなくてはなりません」

 

 

更に勇者を導く妖精の登場。そこから彼女は王子を伴い、冒険の旅に出た―――。

 

 

「お、お姉ちゃん……お姉ちゃ―――ん!!」

 

「ねぷ!?」

 

 

そこへ再開する妹、ネプギア。

更なる美少女を仲間に加え、一同の冒険は益々盛り上がることに。

 

 

「あら、アンタ達。 そんな連携じゃモンスターなんて太刀打ちできないわよ」

 

「私とあいちゃんに任せてくださいです!」

 

「ぴぃたちにおまかせっ!!」

 

 

まだまだ出会う、頼もしく、楽しい仲間達との出会い―――。

 

 

「フゥーハハハ!! 魔王様の下へは行かせんぞぉ!!」

 

「我ら、闇四天王がお相手するのだー!!」

 

「グルォ!!」

 

「か、覚悟して欲しいです~~~~!」

 

「ブロッコリーらに逆らった罪、地獄で悔いるといいにゅ」

 

「ちょっと待て!! 四天王なのに五人いるんだが!?」

 

 

だが、彼らの旅を阻む強敵たちの出現―――。

 

 

「は、白斗!! 逃げてぇ!!」

 

「王子様が……死んじゃうよぉ!!!」

 

「構うものかぁ!! ……惚れた女見捨てるくらいなら、死んでやるさぁ!!!」

 

 

次々と襲い掛かる“死”の連続。

白斗はその身を挺して愛を守り通したその時、奇跡が起きる―――。

 

 

「―――これが、女神の力……!!」

 

「ば、馬鹿な……女神として覚醒しただとぉ!!?」

 

 

ネプテューヌが、女神として覚醒する。

その圧倒的力を以て強敵たちを打ち倒す一同。

 

 

「う、嘘だよねいーすん!? いーすんの魔王の手先だったなんて!?」

 

「面白いですね……本当に私の事を……。 なら見せてあげましょうか!? もっと面白いものをよぉ!? はあぁぁぁぁああ!!! ネプリアルフォーゼエエエエエエエエエ!!!!!」

 

 

しかし、突然のイストワールの裏切りで物語は終焉へと向かう―――。

 

 

「これが……魔王!!」

 

 

竜の力を得て蘇った魔王。全てを滅ぼすために咆哮を上げる。

それでも勇者は恐れなど全く抱かなかった。何故なら彼女にはいるからだ。

愛する妹、仲間、そして―――。

 

 

「―――でも、怖くないよ。 ……王子様が一緒だから!」

 

「俺もだよ、女神様。 ……行くぞ、魔王!!!」

 

 

愛する人が、いるのだから。

女神はその愛の力を以て、とうとう魔王討伐を果たした―――。

 

 

「―――あれが、私達の国。 プラネテューヌだよ」

 

「王子様……私とお姉ちゃんと一緒に、この国を……私達を支えて……」

 

 

夕暮れ時、死闘を終えた三人の男女。

崖の向こうに広がるのは、革新する紫の大地プラネテューヌ。二人の女神に手を繋がれ、白斗はそれを見つめていた。

 

 

 

「ああ。 ……ずっと、一緒だ」

 

 

 

そんな王子様との契約の言葉に、二人は感極まって抱き着く。

今ここに、王子は二人の少女との愛を結び、平和な世界を歩みだすのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そして、ツネミが作曲した主題歌が流れ、映画は幕を閉じた。

会議室に静寂が訪れる。誰もが言葉を発しもしない、ポップコーンすら齧りもしない。

ゴクリ、と白斗が固唾を飲んで見守る。と、次の瞬間―――。

 

 

「―――面白かったぁ!!!」

 

「ええ、もう最高よ!!」

 

「ぴぃもおもしろかったー!! えいがさいこー!!」

 

「うんうん、これなら満足いく出来にゅ」

 

「クマもカッコ良かったですし! 良かったねクマ!!」

 

「がう~~~♪」

 

 

次から次へと飛び出る称賛の嵐。

笑顔で溢れるもの、興奮が冷めやらぬ者、感動で涙を流す者まで。

お世辞などではない、誰もがこの映画を楽しんでくれているのだと理解した時。

 

 

「――――よっしゃあああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

白斗も、嬉しさを爆発させるのだった。

まるで大会で優勝をもぎ取ったかのような、そんな叫びで彼の喜びが表現される。

そんな白斗に抱き着く二人の紫の少女。この企画の発起人、ネプテューヌとその妹ネプギアだ。

 

 

「やったよ白斗!! これなら子供達も大喜び間違いなしだね!!」

 

「うんうん!! さすがお兄ちゃん!!」

 

「何言ってるんだよ。 皆が手伝ってくれたから最高の映画が出来たんだぜ!!」

 

 

そう言って振り返った先には、この映画撮影に協力してくれた仲間達。

誰一人かけてもこの名作は出来上がらなかった。白斗は間違いなくそう思える。そう思えるだけの出会いに巡り合えたことに最上級の感謝を送った。

だがまだ終わりではない。これを配信するという最後の大仕事が残っているのだった。

 

 

 

~公開、そしてエピローグへ……~

 

 

 

その後、MAGES.の協力の下、簡易テントによる映画館がプラネテューヌのあちこちに設置された。

テントで公開されている映画は子供達に是非見て欲しいということで18歳以下であれば無料で入場可能、コーラとポップコーンまで付いてくるという贅沢仕様に。

また18歳以上の人にも視聴してもらえるようにインターネットを通じてゲイムギョウ界全てにこの映画を無料配信した。

チャリティ企画故の粗もあったが、それにしては高クオリティという高評価が相次ぎ―――。

 

 

「白斗さん、ネプテューヌさん! 先日の映画、大好評だそうです!」

 

 

そんな上機嫌なイストワールのお言葉が、今回の成功を物語っていた。

 

 

「おお! マジっすか!!」

 

「やったやったー!! これって、皆に喜んでもらえたってことだよね!!」

 

「はい! 特に子供達への無償公開が大きく評価された模様です。 おかげでここ数日のプラネテューヌのシェアは右肩上がりです!」

 

 

シェアの話題には常に胃を痛めているイストワールも、シェアの大幅な上昇ということでいつにもましてハイテンションである。

今回の企画は一切金銭的収入は無い。故に赤字ではあるのだが、これだけシェアが獲得できたのなら寧ろ先行投資として割り切ることが出来た。

 

 

「やったね白斗! 大成功だよ!!」

 

「ああ。 頑張った甲斐があるってモンよ」

 

「それだけでなく、次回作の話も持ち上がっているんですよ。 今度はスポンサー付きで」

 

「なぬ!?」

 

 

しかし次回作を作れ、という指令には予想外だった。

何せあの映画で全ての情熱を注ぎ込んだと言っても過言ではないのだから、あれ以上の物を作れるかと言われたら白斗は自信が無かった。

 

 

「まぁまぁ。 白斗なら出来るって!」

 

「やれやれ……。 為せば成る、やるだけやってみますか」

 

「その意気だよ! とーぜん、次回も私がメインヒロインで……」

 

 

と、言いかけたその時だった―――。

 

 

「「「コルァアアアアア!!! ネプテューヌゥゥゥウウウウウウウウウウウ!!!!!」」」

 

「ねぷぅ―――――っ!? の、ノワールにブラン、それにベールまで!?」

 

 

怒号と共に幾つかの影が殴り込んできた。

ノワール、ブラン、そしてベール。お約束、三ヶ国の女神達である。傍には妹である女神候補生達を伴っていた。

だが今回は尋常ではない怒りと不満が見て取れる。

 

 

「ズルイわよネプテューヌ!! あんな方法で人気取りに走った挙句、白斗と楽しそうに映画撮影するなんてっ!!!」

 

「ネプギアも!! 何でアタシ達に声を掛けてくれなかったの!?」

 

「ご、ごめんねユニちゃん! これ一応プラネテューヌの力だけで製作することになってたから」

 

 

ノワールとユニがまず問いかけてくる。

因みに一番の不満点は人気取り云々ではなく、白斗と映画の中で良い思いをしていたことである。

その点はブランとベールも同様らしい。

 

 

「全くだ!! 物語の中とは言え、恋仲になるなんて……う、羨ましいにも程があるっ!!」

 

「しかも白ちゃんが格好良すぎる余り、ファンクラブでも話題持ち切り……女性ファンが多くついて回るという事態になっているのですわ!!!」

 

「待って!? ファンクラブって何!!?」

 

 

本人非公式らしい。

因みにその存在を知ったアイエフとコンパらも最近になって加入したとか。

 

 

「凄かったよ! わたし達の国でも『ネプテューヌ!』、『ネプギアー!』、『白斗ー!』って」

 

「お兄ちゃん達、凄い人気……♪(るんるん)」

 

 

どうやらロムとラムもあの映画を視聴したらしい。

とてもご機嫌で癒される笑顔だったが、ノワール達の心は休まらない。

何とか白斗と映画撮影したいと願う女神達の猛攻はまだまだ止まる気配が無かった。

 

 

「白斗! 演技だったら私の方がネプテューヌより上よ! 白斗が台本の読み合わせに付き合ってくれているお蔭で上達したんだから!」

 

「あ、ああ……それは分かるよ。 うん」

 

「約束するわ!! 貴方を必ずブロードウェイに連れていって見せるって!!」

 

(ツッコミ所は多々あるがまずこの世界にブロードウェイなんてあんのか)

 

 

ノワールが捲し立ててくる。

あのコスプレ騒動以来、時たま彼女の趣味に付き合うことになった。確かに彼の目から見ても演技力で言えばノワールが群を抜いているかもしれない。

と、ここで白斗の袖を可愛らしく引っ張る少女が一人。ブランだ。

 

 

「それに白斗。 あの脚本、悪くないけど一捻り欲しかったわ……」

 

「ほう、ならブランはどんな一捻りを?」

 

「次回作は、そうね……まずコロニーが落ちてきてプラネテューヌは一巻の終わり」

 

「いきなり滅亡エンド!?」

 

「失意の中、王子は真の愛に目覚めて再び歩みだす……どうかしら……!」

 

「お、おう……斬新ダナー」

 

 

敢えて面白いとは言わなかった白斗。

とりあえず、彼女の脚本はまだまだ監修が必要だなと感じざるを得ない。

 

 

「白ちゃん! ヒロインに求められるのはビジュアル! 違いまして?」

 

「か、かも知れませんねー……」

 

「でしたらこの私がヒロインの座に就いて然るべきでしょう! そうでしょう!?」

 

「本音は?」

 

「ズルイですわズルイですわズルイですわー!! 私も白ちゃんと撮影したいんですのー!!」

 

 

尤もらしいことを言いながらも、結局は羨ましかったらしい。

駄々を捏ねだしてしまったベール。時々、彼女の精神年齢を疑いたくなってしまう白斗なのであった。

 

 

「とにかく、次回作は我がラステイションで撮影するわ! 当然私達が主役よ!!」

 

「待ちやがれノワール!! ファンタジーと言えばルウィー、私を差し置いて撮影なんて許さねーぞ!!」

 

「いいえ、雄大な緑の大地こそ……私こそ白ちゃんのお相手に相応しいですわ!!」

 

「勝手なこと言わないでよー!! これ私が企画した映画なのー!! 白斗は私のなのー!!」

 

 

白斗の取り合いに我慢ならず、ネプテューヌまでもが言い争いに加わった。

何やら論点がズレているような気がしなくもないが、誰もが気付かずにヒートアップしてしまう。

その様子を苦笑いしながら見つめている白斗とイストワール。

 

 

「……どうしますか白斗さん……」

 

「……仕方ない……こーなったらぁ!!」

 

 

―――その後。新たに撮影された映画がゲイムギョウ界中を話題の渦に巻き込んだ。

タイトルは―――「四女神オンライン ざ☆む~び~」だとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、誰もが知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回撮影したこの映画が―――とんでもない騒動の元になることを。




サブタイの元ネタ「勇者ネプテューヌ」より。

予告通り映画撮影のお話でした。
今回のお話はmk2にもあったPVのサブイベと「激ブラ」を足したようなテイストでお送りしました。
あんなハチャメチャなノリこそネプテューヌシリーズの真骨頂ということで今回は真面目な白斗君もちょっと毒されてギャグなノリに。
映画の中のイストワールさんには某ゲームのエ〇リーポジに。でもやってることは某真ゲスだったりする。
あれ、何だか小さな教祖様からお呼び出しを受けたのでこれにて失礼します。
今回がハチャメチャなお話だったので次回は緩いほんわかなお話で行きたいと思います。が、その前に14日の番外編バレンタイン小説が先かも。
ではお楽しみに~。で、イストワールさん。お話って……


―――その後、カスケードの姿を見た者は誰もいなかった……
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