恋次元ゲイムネプテューヌ LOVE&HEART   作:カスケード

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※同時並行の本編では白斗君が何やら大変なことになっているような気がしますが気にせずお楽しみください。


番外編その2 ホワイトデー☆Panic

―――その日、味気なく直訳すれば「白い日」。

ある者は想いを確かめられる日として胸を高鳴らせ、ある者は恐怖の伝統「三倍返し」に怯える日でもある。

はてさて、この恋次元のゲイムギョウ界ではどうなってしまうのでしょうか。

これは白い決戦の、前日から話は始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ある日のプラネテューヌ。

今日も長閑で穏やかな日になるかと思われていたが、この少女が騒げばそうではなくなるのがこの国のお約束。

プラネテューヌの守護女神ことネプテューヌ。彼女は今、絶賛捜索中だった。

 

 

「白斗ー? 白斗どこー?」

 

 

そう、同居人して想い人でもある少年、黒原白斗を探していた。

だが幾ら探せども見つからない。

住居であるプラネタワーは複雑に入り組んでいるが、用が無い場所にまで用もなく訪れるような男ではない。それだけに益々行く先が分からなくなった。

 

 

「あら、ネプテューヌさん。 どうされました?」

 

「いーすん!! 白斗がいないの!! まさか……私に愛想をつかして出ていっちゃったとか!? そんなのヤダー!!!」

 

「な、泣かないでください! 別に愛想をつかしてはいませんよ」

 

 

そこへ通りがかった教祖、イストワール。

思わず泣き出してしまったネプテューヌに慌てふためく。どれだけ白斗狂いになってしまったのやら。それだけ白斗の事が好きなのだろうとイストワールは苦笑いだ。

とりあえず行き先は知っているらしく、明確に否定してくれる。

 

 

「ぐすっ……ホント……?」

 

「ええ、白斗さんは用があると言って今日一日はどこかの部屋を借りて外泊するとか」

 

「外でお泊り……ハッ!? まさか私と言う者がありながら、他の女と!?」

 

「白斗さんに限ってそれはありませんから」

 

 

どうも最近のネプテューヌはサボり癖というよりも白斗狂いが酷いようだ。

恋次元特有の現象にイストワールもいよいよ頭を悩ませた。

 

 

「じゃあ何さー? いーすん知ってるんでしょ?」

 

「あくまで推測ですが……まぁ、明日になればきっとわかりますよ」

 

「明日……? あ、そっか! 明日は――――」

 

 

明日、という単語を聞かされてようやく思い当たった。

本日は3月13日。つまり明日は3月14日―――。

 

 

 

 

 

「………ホワイトデーだ………」

 

 

 

 

 

それ知った瞬間、ネプテューヌの白く美しい肌は―――真っ赤に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、その頃件の白斗君はと言えば。

 

 

「……よーし、材料は全て揃った。 頼んだものも今日中には届く手筈……」

 

 

ここは何の変哲もないプラネテューヌのアパート、「プラネ荘」の204号室。

今日一日だけ借り受けたこの部屋のキッチンで白斗はエプロンを身に纏い、バンダナをキッチリと占めた。

目の前に広がる数々の材料を前に、より一層の気合を入れる。現在午前10時。

 

 

「そんじゃ、始めるとしますか。 ……俺の、人生初のホワイトデーって奴を!!」

 

 

数多くの材料、調理器具、そして傍らに置かれた一冊のレシピ本。

タイトルは―――「気になるあの子へのホワイトデー」だとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――翌日、夜が明けて午前7時。

 

 

「そわそわ……ねぷねぷ……」

 

「口でそわそわ言うのはロムさんだけだと思っていました……」

 

 

珍しく早起きしていたネプテューヌが玄関でソワソワしていた。

それを見かけたイストワールも呆れたように溜め息を付く。本日初の溜め息は、少し冷えていた。

昨日、結局白斗は戻らなかった。だからこうしてネプテューヌは玄関で待っている。

 

 

「あ、おはよういーすん!!」

 

「おはようございます、ネプテューヌさん。 白斗さんが帰ってくるのは夜遅くだとか。 お食事も外で済ませてくるらしいですよ」

 

「えぇ!? そんな遅くに!?」

 

「その代わり、渡したいものがあるそうです。 ……愛されてますね、ネプテューヌさん」

 

「ねぷっ!? ……な、なら……夜まで待つしかないね! うん!」

 

 

そう聞かされるや否や、ネプテューヌの落ち着きは更に無くなる。

ただ顔は先程とは違って幸せに満ちていた。

白斗はネプテューヌのことを忘れてなどいない、寧ろ意識してくれている。

 

 

(ただまぁ、ネプギアさんやアイエフさん、コンパさんも同じようになっているのは……これは、今日のお仕事は滞りそうですかね……)

 

 

ちら、と覗いた食卓。

そこでは心ここ非ずといった様子でぽーっとしながら白米を食べているネプギア達が。

イストワールの話を聞いてからこの反応、彼女達も白斗からのお返しを心待ちにしているらしい。

今日ずっとあの様子では使い物にならないだろうと別の意味で胃が痛くなるイストワールであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――さて、時間は少し巻き戻り午前6時前。

日の光も差し込み始める、まだ少し薄暗いプラネテューヌの街並み。3月と言えどまだ寒さも残る中、この国の大人気アイドルことツネミはテレビ局に向かって歩いていた。

 

 

(今日は朝からニュースの生放送に出演……ここまでくるとアイドルって何なんだろう……)

 

 

苦笑いしながらも、大好きな仕事に向かってやる気を奮い立たせる。

現在ツネミはプラネテューヌ教会直属のアイドルで主な役割はプラネテューヌの宣伝活動である。

今回の仕事もその一環、やらない理由など無いと足取り軽く向かっていたのだが。

 

 

「よぉ、待ってたぜツネミ。 おはようさん」

 

「は、白斗さん!? お、おはようございまひゅっ……!!」

 

 

通勤路となる公園で、その少年は立っていた。

黒原白斗、ツネミが恋焦がれる少年だ。朝一で彼と出会えたことに驚きと幸せを感じ、思わず噛んでしまう。

 

 

「カミカミじゃねーの。 これから生放送なんだろ? 大丈夫なのか?」

 

「だ、大丈夫でしゅ……! そ、それよりどうされたんですか……?」

 

 

歌う時以外は感情を余り表に出さないツネミ。しかしそれが白斗相手となると、まさしく恋する乙女に早変わり。

緊張で顔を赤らめ、言葉が上手く紡げない。そんな彼女を可愛らしく思いつつも、白斗は懐から綺麗な包みを取り出した。

 

 

「おう、今日ホワイトデーだろ? だからお返しに来たんだ」

 

「ほ……ホワイトデーですか?」

 

「ああ。 この後方々回らないといけないからな、一番最初にツネミに渡しに来た」

 

「一番……最初……ファーストホワイトデー……!!」

 

 

本日最初のプレゼント。特別な肩書を貰えたかのようにツネミは興奮してしまう。

ゴクリと固唾を飲む中、手渡された包み。開けてみると、白いうさぎ型のチョコレートが出迎えてくれた。

 

 

「わぁ……! うさぎさんのチョコ、可愛いです!」

 

「ありがとな。 それともう一つ……」

 

「え? まだあるんですか?」

 

「ああ、俺からの感謝の気持ちだ。 こっちは食いもんじゃないけどな」

 

 

まだ何かあるらしい。

これまた小さな包みで、けれども可愛らしくラッピングされている。

 

 

「開けて……いいですか?」

 

「勿論」

 

 

許可を貰って、ツネミは丁寧に包みを開ける。

パカッ、と緊張しながら開けるとそこには。

 

 

「宝石の……髪留め…………! 綺麗です……!」

 

 

綺麗な宝石で装飾された髪留めが輝いていた。

ツネミのヘアースタイルはツインテールということで、髪留めも二つ分用意されている。普段付けている髪留めはアンプを形どったものだが、こちらは♬マークである。

 

 

「ありがとうございます白斗さん! でもお高かったのでは……」

 

「いやいや、宝石の欠片見つけて研磨した奴よ。 タダ同然だって」

 

「見つけて研磨って……白斗さんが!? わざわざ!?」

 

「ツネミ、こういうの好きだったろ? 前、ショーウィンドウで見つめてたのこんな形だったし」

 

 

それは以前、二人で遊びに出掛けた際の事。

女の子の嗜みであるウィンドウショッピングの最中、ツネミが一瞬、しかし熱烈にある髪留めを見つめていた。

ただその髪留めは「売約済み」という張り紙がされていたため買えなかったのだが、白斗はそんな些細なことを覚えていてくれている。

 

 

「まぁ、ド素人が作ったもんだから不格好だったらその……捨ててくれても……」

 

「……違うんです。 これじゃなきゃ……ダメです。 白斗さんが作ってくれたこれじゃなきゃ……ダメなんですっ……!」

 

 

ツネミは涙しながら、しかし嬉しそうにその髪留めを胸に抱いていた。

この品は世界でただ一つ、白斗がツネミのためだけに作ってくれたものなのだから。

 

 

「白斗さん……ありがとうございます! 最高のプレゼントです……!」

 

「……喜んでもらえて何よりだ」

 

 

白斗も照れ臭そうに頬を掻きながら微笑んでくれた。

悲しみの涙は見たくないが、嬉し涙は見たくなる男。それが黒原白斗と言う男。

そんな彼の思いに触れ、ツネミは胸が温かくなった。

 

 

「……あの、ここでつけても……いいですか?」

 

「いいぜ」

 

 

ゴクリ、と唾を飲み込んでツネミは髪留めを手にする。

宝石特有のひんやりとした感触、けれども手にするだけで温かい何かが流れ込んでくる。

ツネミは意を決して、貰った髪留めをつけてみると―――。

 

 

 

(こ、これは……白斗さんが見守ってくれているような……!!)

 

 

 

大好きな、あの温かい眼差しを感じた。

ただ見ているだけではない、増してや監視などでもない。白斗はいつも優しく見守ってくれている。そんな大好きな視線を、この髪留めからは感じさせてくれたのだ。

この髪留めからは、白斗を感じられる。それがツネミにとって何よりも嬉しかった。

 

 

「……本当にありがとうございます!! これで私は無敵です!!」

 

「む、無敵と来たか……。 でも喜んでくれたみたいで何よりだ。 ……っとゴメン! 引き留めちゃったな」

 

「いいんです。 ……これで今日一日……いえ、これからずっと頑張れます!!」

 

「そっか。 それじゃ俺もそろそろ行かないと! んじゃな!!」

 

「はい! 本当に……ありがとうございました!」

 

 

気が付けば10分以上も話し込んでしまった。

ツネミには収録の仕事がある、これ以上は引き止められない。白斗も時間が押していたので今日はこれにて解散となった。

小さくなる白斗の姿を見送り、そのまま急いでテレビ局へと向かい、自動ドアを潜った。

 

 

「おはようございますっ!」

 

「ツ、ツネミさん!? おはようございます………今日はなんだか元気いいですね」

 

「はい! ……今日の私は、無敵ですから!」

 

「え? 無敵?」

 

 

無論、スタッフには何のことだか分からないだろう。

しかし、今日のツネミの収録は最高に快活で、最高の収録を披露してくれたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――午前9時、ラステイション。

プラネテューヌからの定期便を使って降り立ったこの国は、重工業の国というだけあってとても活気に満ち溢れていた。

絶えず人が行き交い、人も物も金も動く街中を白斗は突っ切っていた。

 

 

「おっと、ごめんなさい! ……さて、急がないとな」

 

 

キャリーバッグを手にした白斗は、人混みの中を走り抜けていた。

パンパンに膨らんだキャリーバッグでは動きづらいが、こうでもしなければ物を運べない。

迫りくる人混みを何とか避けながら白斗は目的地へと歩いていく。辿り着いたそこは、ラステイションの中でもお洒落で有名な喫茶店に、その少女は座っていた。

 

 

「あ、白斗君!! こっちこっちー!!」

 

「おう、マーベラス!! ゴメン、待たせた!!」

 

 

そこに座っていたのは明るい忍者娘ことマーベラスだった。

今日も見る者を元気にさせるような笑顔を見せてくれる。ネプテューヌの笑顔とはまた別ベクトルの、眩い笑顔に白斗もつられて笑った。

 

 

「全然待ってないから大丈夫! で、今日呼びだしたのって……」

 

「ああ、ホワイトデーのお返しだ。 まずはこっちのマドレーヌ」

 

「わー!! オシャレー!! もしかして手作り!?」

 

「そうだ。 マドレーヌ初めてだったからお口に合うかどうか不安だけど」

 

「そんなことないよ!! こんなの美味しいに決まってる!! ありがとう!!」

 

 

渡した包みを開けば綺麗なきつね色に焼き上がったマドレーヌが六つもお出迎えだ。

匂いも香ばしく、見た目とその香りだけで絶品であるとマーベラスは見抜いた。

だが何よりも想いを寄せている少年からも、丹精込められた手作りという肩書だけでマーベラスはすっかり蕩けてしまう。

 

 

「……あれ? “まずは”ってことは他にもあるの?」

 

「モチのロン。 マーベラスにはコレ」

 

 

そう言って白斗はもう一つの包みをキャリーバッグから取り出した。

さすがに今度は手作りではなく、菓子でもないらしい。ワクワクしながら慎重に包みを開けていくと。

 

 

「あ、スカーフだ!」

 

 

綺麗な赤色のスカーフが箱に収められていた。

目に痛いような赤色ではなく、ほんのりとした温かい赤。これはさすがに店で買ったものらしいが、手触りも滑らかで、包まれた箱からしても相当な値段であることが分かる。

 

 

「どうして、これを私に……?」

 

「マーベラスに似合うだろうなって思って。 まぁ、追加効果とか付与されてないんだけど」

 

「い、いいよそんなこと! ……そっか、私のために……」

 

 

彼の目で選び、彼の手で取られ、そして彼の想いが込められたこのスカーフ。

これを送ったということはマーベラスに付けて欲しいということ。

思わず心臓が高鳴り、スカーフから目が離せなくなる。この白斗の思いが込められた一品からもう目が離せない。

 

 

「……ねぇ、白斗君……。 白斗君にこれ……巻いて欲しい、な……」

 

「おう!? お、俺が!?」

 

「うん。 ……お願い」

 

 

恥ずかしがりながらも、マーベラスはそんなお願いをしてきた。

明るくアグレッシブではあるが、自分からリクエストをすること自体は少ないマーベラス。そんな彼女が、勇気を振り絞ってきたのだ。

スカーフが入った箱を持つ手が震えている。相当緊張しているのだろう。ならばそんな彼女の勇気に応えないで、漢とは言えない。

 

 

「分かった。 そ、それじゃ……巻くぜ?」

 

「う、うん……」

 

 

白斗がスカーフを手に取り、マーベラスの背後に回る。

彼女がボブヘアーを書き上げると、女の子特有のふんわりとした甘い香りが漂ってきた。綺麗なうなじも曝け出される。

今度は白斗が緊張の余り固唾を飲むが煩悩を振り払い、その首にスカーフを巻く。

 

 

(ひ、ひゃああああ……!? スカーフの柔らかさと、白斗君の手が私の首に……っ!! こ、この温かさ……まるで白斗君が私を後ろから抱きしめてくれているみたい……!!)

 

 

今、マーベラスの脳内では白斗が自分の首に後ろから手を回してくれている、そんなビジョンが浮かび上がっている。

何とも言えない快感が体中を駆け巡り、理性を溶かしていく。

 

 

「お、おーい……巻き終えたぞー?」

 

「えっ!? あ、ありがとう!! ……どう、かな?」

 

「似合ってる。 うん、俺の見立て通り」

 

 

白斗の目の前には、赤いスカーフを巻いたマーベラスが立っていた。

赤いスカーフが醸し出す力強さが歴戦の戦士を思わせる。そこにマーベラスの可愛らしさも加わることで、「出来るくノ一」のように見えていた。

 

 

「……っ!! 白斗君、私……大切にするからね!! 白斗君だと思って!!」

 

「お、おう………そうしてくれるとありがたい……かな?」

 

 

こうして白斗が贈ったスカーフは、マーベラスにとって思い出の一品となるのだった。

余談ではあるが後日、「赤いスカーフのくノ一」がとあるギルドのエース格として頭角をメキメキと現すことになるのだがそれはまた、別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、マーベラスにも喜んでもらえたことだし次はラステイション姉妹だな」

 

 

マーベラスと別れた白斗、次なる目的地はラステイションの教会。

ここにも白斗にとって大切な人が住んでいる。

今や顔見知りとなったラステイションの衛兵達と挨拶を交わしつつ中へと案内されると。

 

 

「白斗! いらっしゃい!!」

 

「待ってたよ、白兄ぃ!!」

 

「ノワール、ユニ。 うっす。 元気そうで何よりだ」

 

 

この国の女神、ノワール。そしてその妹にして女神候補生ことユニ。

ラステイションにおける女神達二人に最早顔パスで会えることの贅沢感を覚えつつも、早速白斗は本題を切り出すことに。

 

 

「もう察しがついていると思うがホワイトデーのお返しだ。 まずはユニにはこれ」

 

「これ……ロールケーキ?」

 

「ああ、ユニからはチョコロールケーキ貰ったから俺は生クリームとフルーツのロールケーキにしてみた」

 

「さっすが白兄ぃ!! 分かってる~~~♪」

 

 

まずユニに差し出したのは、白い生クリームとフルーツをふんだんに使ったロールケーキだ。

しかも丸々一ロール分。彼女の対となるようなチョイスにユニも笑顔だ。

 

 

「で、こっちはノワール。 桜色のモンブランだ」

 

「桜色? 珍しいわね」

 

「まぁな。 結構甘めにしたつもりだからユニのコーヒーと合わせてどうぞ」

 

「ふふ、気が利いてるじゃない♪」

 

 

ノワールには、その名の通り桜色のマロンクリームが塗られたモンブランが贈られた。

今日は3月14日、ホワイトデー。それを意識した色合いだ。

味付けは勿論、一緒に飲むと美味しいであろうユニのコーヒーとの相性も考えて作ったらしく、白斗らしい気遣いにノワールのテンションは上がっていた。

 

 

「でだ。 日頃の感謝の気持ちとして更にエトセトラ」

 

「え? まだくれるの?」

 

「ああ。 ブロッコリーからこの世界の常識を教えて貰ってな。 ……この世界のホワイトデーが5倍返しとは……恐ろしいぜ、ゲイムギョウ界」

 

「白兄ぃ!? それ騙されてるから!!!」

 

 

それでこんなにも充実しているのか、と戦慄を覚えたラステイション姉妹。

白斗自身が割と尽くすタイプなだけに悪い女に騙されそうな未来が見えてしまった。

 

 

((ここは彼女になって、キチンと守ってあげないと!!))

 

 

同じことを考える辺りは、やはり姉妹らしい。

兎にも角にも二人にそれぞれプレゼントが送られた。今までの例に倣い、こちらはお菓子ではない。

 

 

「まずはユニからな。 えーと、ユニのプレゼントは……」

 

(アタシにプレゼント……まさか最新の銃のパーツとか!? アタシ的には嬉しいんだけど、ホワイトデーのお返しとしては色気が無いなぁ……)

 

 

一体どんなプレゼントをくれるのか、ユニが期待を寄せてしまう。

まず思いついたのが銃のパーツという辺り、筋金入りのミリオタぶりである。さすがにホワイトデーくらいは特別な一品を貰いたいと思いつつも、白斗がくれるものなら何だって嬉しい。

そう思いながら待っていたのだが。

 

 

「あった! はい、どーぞ」

 

「え……これって……化粧品? しかも高級ブランドの!」

 

 

ユニに手渡されたのは、化粧品が詰められた箱だった。

香水にファンデーション、マスカラなど女の子なら憧れるであろう乙女の嗜みがこれでもかというくらいに詰め込まれていた。

しかもリーンボックスでその名を轟かせている高級ブランドのもの。

 

 

「ああ。 ユニも可愛い女の子だから、こういうの好きなんじゃないかなーって」

 

 

白斗は彼女の事を単なるミリオタとは見ていなかった。

彼にとってユニとは、こんな化粧品が似合う可愛らしい女の子であると。感極まったユニは顔を赤くしながらもわなわなと体を震わせて。

 

 

「~~~~……っ!! 最っ高!! ありがとう、白兄ぃ!!」

 

「うぉわっ!? 抱き着くなって!!」

 

「ちょ、ユニ!? ズルイわよ!! 私に譲りなさ―――い!!!」

 

「ノワールも意味☆不明!!」

 

 

思いきり抱き着いてきたのだった。

姉よりも幾分かストレートである分、ユニは心開いた相手には割と甘えることが多い。彼女も女神候補生として堪えなければならない部分があったのだろう、そう言った抑圧を解放させてくれる白斗との相性は抜群だった。

さて、嫉妬に狂ったノワールがべりべりと妹を引き剥がしたので次は彼女のターン。

 

 

「んで、ノワールのプレゼントは……」

 

(何かしら、何かしら……まさか……指輪!? エンゲージ!!?)

 

 

幾ら何でもそれはない。

 

 

「あったあった。 ノワールにはこれだ」

 

「これは……ブローチ? 綺麗……!」

 

 

宝石店が出すような箱に収められていたのは、胸元に付けるには丁度いいサイズのブローチだった。

これも綺麗な宝石があしらわれている。サファイアのような綺麗な青色の宝石の輝きに吸い込まれ、うっとりしてしまうノワール。光物に興味を示す辺り、彼女も女の子だ。

 

 

「白斗さん謹製のブローチだ。 大事にしてくれよ」

 

「謹製……ってこれ白斗が作ってくれたの!?」

 

「ああ。 ……その……気に入らなかったら、ごめんな」

 

 

ツネミの時と同じ要領で作ったブローチだ。とは言え片手間で出来るものではない。

彼なりの精一杯と、想いを込めた一品。人はそれを「謹製」という。

尚更ノワールの心臓は高鳴ってしまった。

 

 

「そんなことない……ありがとう、白斗!! ……それじゃ早速」

 

 

貰った装飾品は早速付けてみたくなるのが女の子。

普段首元に巻いているリボン付きのブローチを外し、代わりに白斗が贈ったブローチをつけてみる。

首元にキラリと光る青い宝石が、自己視聴しつつもしつこくない、ノワールの美しさを引き出していた。

 

 

(このブローチを付けていると……白斗がすぐ近くにいてくれるみたいで安心する……。 ああ、胸が温かくなる……)

 

 

ブローチに手を当てて、ノワールはほんのり顔を赤らめながら微笑んだ。

白斗の想いが込められたブローチに触れるだけで力を貰える。

女神として、これまで数多くの贈り物をもらったことはあるがこんなにも心満たされる贈り物など無かった。

愛する人からの想いが籠った一品に、ノワールは幸せを感じていた。

 

 

「ど、どうかしら……?」

 

「……綺麗だ」

 

「ホント!? ~~~~~っ!! 白斗、ありがとうっ!!!」

 

「うおぉぉぉぉっ!? お、お前も抱き着くんかい!!?」

 

「あーっ!? お姉ちゃんもズルイー!! 私も抱き着くー!!!」

 

「ユニまで!? ぐおおおおおおおおっ!!! は、離れんかいいいいいいいい!!!!!」

 

 

これまた感極まったノワールが抱き着いてくる。ユニといい、やはり似たもの姉妹らしい。

更には触発されてユニまでもが再び抱擁してくる。

美少女二人からの抱擁など国宝級の一時ではあるがこのままでは理性がガードブレイクしてしまう。

鉄壁の理性で何とか堪え、白斗は二人を引き離した。

 

 

「と、とにかく! 大切にしてくれよ! 後ケーキはナマモノだから早めにな!」

 

「そ、そうね。 折角だしお昼ご飯控えてるけどコーヒーブレイクにしましょうか」

 

「お姉ちゃんナイス! それじゃコーヒー用意してくるね!」

 

 

ここまで来たらケーキもしっかりと味わっておきたい。

仕事熱心で有名なノワールも、白斗の前では恋する乙女。彼の前では割と素直になれる。

ユニも賛同し、早速二人から好評を得ているコーヒーをカップに注いだ。

芳醇な香りを放つコーヒーと、綺麗な色合いのケーキ。最早お預けを食らっている犬と同じ状態である。

 

 

「それじゃ早速いただきます! はむ………ん! 美味しい~~~!!」

 

「このロールケーキも最高~~~!! 生クリームの甘味とフルーツの酸味がもう絶妙!!」

 

「そっか、良かった良かった」

 

 

ケーキ自体も喜んでくれた。

鮮度が命ゆえに完成自体も今朝の事、尚且つ形が崩れないように運ぶのも苦労したがその苦労も報われた。

量もあるのでお互いに食べさせあいっこまで初めて二人に、寧ろ白斗が幸せを感じていると。

 

 

「……は、白斗」

 

「ん? どうしたノワール?」

 

 

急にノワールがもじもじと、顔を赤らめながら訊ねてきた。

トイレというわけではなさそうだが、見当がつかないので聞き返すと。

 

 

「……は、白斗に……『あーん』して、貰いたいな……」

 

「「んなぁっ!?」」

 

 

普段のノワールから考えられないような、甘えっぷりだった。

白斗は勿論、妹のユニも思わず驚いてしまう。

けれどもツンデレと評されるだけあって自己表現が苦手なノワールが、こんな言葉を出すのにどれだけ勇気を振り絞ったか。ならば、それに応えるしかない。

モンブランをフォークで切り分けて突き刺し、そのひと切れを彼女の口元まで運ぶ。

 

 

「……あ、あーん」

 

「っ!! あーん………~~~~~っ!!!」

 

 

白斗はどうしてもノワールの唇に目が行ってしまう。

綺麗で、柔らかそうなその艶めかしい輝きを放つ唇に魅了されているとモンブランは一口で食べられた。

モンブランの甘さに加えて、白斗が食べさせてくれたという幸福感にノワールは身悶えする。

 

 

「ど、どうッスかノワールさん……?」

 

「もう……最ッ高です……!」

 

「さ、さいですか……。 ってユニ?」

 

 

すると白斗の左側に謎の握力が。

振り返るとそこには涙を浮かべて、頬に嫉妬を詰め込んだユニがこちらを睨んでいる。

 

 

「白兄ぃ! お姉ちゃんには『あーん』してあげて、妹であるアタシにしないのは筋が通らないんじゃないかな!?」

 

「そ、そう言うモンか? ならユニにも……」

 

 

もう慣れてしまった。まだ気恥ずかしさは残るものの、兄として妹の要望には応えてやらなければ。

またフォークでロールケーキを切り分けようとした時だ。

 

 

「あ! 待って!! アタシからは……白兄ぃに、あーん!!」

 

「「のわぁっ!?」」

 

 

今度はノワールと一緒になって驚いてしまった。

なんと白斗が「あーん」するのではなく、ユニが「あーん」してきたのだから。

 

 

「ち、ちょっとユニ!? それはズルイわよ!!」

 

「お姉ちゃんとは違うところ見せたいもん! 負けてられないもん!!」

 

 

ユニもまた、白斗を兄として慕い、そして異性として愛している。

好きな人に可愛い女の子として認めてもらいたい一心から繰り出した行動だった。当然白斗の心には凄まじい一撃となって撃ち込まれる。

ゴクリと喉を鳴らした後、意を決して口を開けて。

 

 

「あ、あー………ん」

 

「っ!! はい、あーんっ!!」

 

 

白斗の口の中にロールケーキが放り込まれた。

自分が作っただけに味は覚えている。―――はずなのに、ユニが食べさせてくれただけで全く違った味になっていた。

称するならば、「幸せの味」か。

 

 

「は、白斗! 私からも、あーん!!」

 

「それじゃ白兄ぃ! 次はアタシに『あーん』してね!」

 

(……これ、もうコーヒーブレイクじゃなくなってるよなぁ……)

 

 

などと思いながらも、女神達との一時を楽しんだ白斗であった。

しかし楽しい時間は過ぎるのも早く、あっという間に一時間以上が経過してしまっている。

ふと壁に掛けられた時計に目をやれば、白斗の肩がビクリと震え上がった。

 

 

「うおっと! すまん、俺そろそろ行かないと!!」

 

「他の子達にお返しに行くの? マメねぇ」

 

「マメさが数少ない取り柄ですから。 あ、それとノワール」

 

「ん?」

 

 

すると突然、白斗が近寄り―――。

 

 

 

「……今度の休日、一緒に遊びに行こうぜ。 んじゃな!」

 

「…………ふぇっ!?」

 

 

 

そう言い残し、白斗は颯爽と去っていった。

後に残されたノワールは顔を赤らめる。紛れもなく、デートのお誘いだ。

一瞬何が何だが分からなかった。ただ、徐々にその事実を受け止めるにつれ気分が高揚していき―――。

 

 

「……ユニ!! 全ての仕事終わらせるわよ!!! 急ピッチで!!!!!」

 

「お姉ちゃん、アタシ妨害したくなったんだけど」

 

 

仲が悪いような、仲がいいような、そんなラステイション姉妹でありましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――現在、午後1時。

ここは夢見る白の国、ルウィー。今日も今日とて雪が降り積もる幻想の国。

四ヶ国で最もバレンタインデーやホワイトデーが似合う国はどこなのかと聞かれれば真っ先に名前が上がることも多いこの雪の国は、やはり色めき立っていた。

表に出れば愛を誓い合ったカップルがホワイトデーに託けて様々なシチュエーションを堪能している。

そんな中、この国の女神ホワイトハートことブラン様はと言えば。

 

 

「―――死のう」

 

 

鬱になっておられた。

 

 

「ぶ、ブラン様……貴女、そんなネガティブなキャラじゃないでしょう?」

 

 

開口一番にこの暗さ、彼女に仕えるメイドことフィナンシェも引き気味だ。

常日頃物静かな印象であるブランだが、ここまで鬱全開も珍しい。ラノベ新人賞に落選した時でさえこうはならないのに。

だからと言ってこのままにもしておけない。とりあえず何があったのか問いかけてみると。

 

 

「……今日、白斗が来るって……」

 

「はい。 今日はホワイトデー、白斗さんのお返しなんて嬉しいはずでは?」

 

 

何を隠そう、このブランも白斗に恋している乙女の一人。

今や彼女にとって大切なものはルウィー、妹であるロムとラム、そして白斗。

彼のためなら命すらも懸けられるというほど恋している彼女が、何故こうも暗くなるのか解せなかった。

 

 

「そこが問題じゃねぇかあああああああああああ!!!」

 

「ひゃぁっ!?」

 

「私はバレンタインデーで……意味も知らずにクッキーを焼いてしまったっ……!! クッキーの意味は、『友達』……白斗と友達関係で終わっちゃう……!!」

 

 

そう、ブランはバレンタインデーでクッキーを焼いて手渡した。

想いを込め、更には自分なりの本気の渡し方をした思い出深いバレンタインデー。けれどもつい先日、ホワイトデーについて調べていると贈り物にもちゃんとした意味が込められているという。

その中でもクッキーはサクサクとした軽い食感から転じて「軽い友達でいよう」という意味があるらしく、それを知った瞬間絶望に包まれてしまったブラン様であった。

 

 

「くっ……これも全部カスケードって奴が悪いんだ……!! 奴がロクに調べもせず、私にクッキーなんて割り当てて小説を執筆したから……!!」

 

「ブラン様何を言ってるんですかっ!?」

 

 

とりあえず、ごめんなさい。(by作者)

 

 

「どうしよう……もし、もし白斗からクッキーを渡されたらずっと友達……? それともマシュマロ……? 白斗に嫌われたら私……私……!!」

 

「お、落ち着いてください!! 白斗さんがそこまで考えていると思いますか!?」

 

 

けれどもあのブランがここまで心揺らされるとはフィナンシェも予想外。

それだけ白斗に対して、真剣に恋しているのだ。本気で愛しているのだ。だからこそ嫌われたくない、拒絶の言葉を受けたくなかった。

 

 

「……いや、でも……。 うぅ……お願いフィナンシェ、白斗が来たら足止めしておいて……」

 

「すみません、さっき来られたのでお通ししちゃいました」

 

「何だとおおおおおおおおおおおお!!?」

 

 

手遅れだった。既にこの教会に来ているというのだ。

一気に慌てだすブラン、可能ならば今すぐにでも逃げ出したい気分である。

 

 

「と、とにかく白斗が来る前に脱出……」

 

「おーすブラン! ホワイトデーの襲来じゃー!」

 

「きゃああああああああああっ!!? 白斗おおおおおおおおおおっ!!?」

 

 

バン、と半ば強引にして扉が明けられた。そこには陽気な白斗が。

ある意味一番合いたくて、そしてある意味一番合いたくない人の登場にブランが驚き慄く。

 

 

「な、何だよいきなり!? ……迷惑だったか?」

 

「い、いや……その……ごめんなさい……」

 

「謝らなくていいって。 それよりもホワイトデーのお返しに来たんだけど……いる?」

 

「………うん………」

 

 

この様子だと白斗はブランに対して悪い感情など欠片も無い。持っている方がおかしいのだが。

ひとまず安心したブランは安心しながらも、静かに首を縦に振る。

 

 

「まずブランには……この本!」

 

「え? これって……アロル・クリスティンの冒険記?」

 

 

取り出された一冊の本、それはブランが愛してやまない冒険記シリーズだった。

白斗も好んでいるらしく、本の趣味が合うこと自体は嬉しい。

ただこの本は既に持っているものであり、そこまで嬉しいものでは無かった。これだけならば。

 

 

「開いてみそ」

 

「え、ええ……ってこれクリスティン先生の直筆サイン!? しかも『ブラン様へ』って!?」

 

 

そう、それはただの本では無かった。ブランが憧れるアロル・クリスティンの直筆サインが懸かれていたのだ。

しかも宛名は「ブラン様」名義。世界でたった一つ、ブランのためだけに掛かれたもの。

 

 

「白斗……もしかしてクリスティン先生に会ったの!?」

 

「ああ、正真正銘ご本人にな。 と言っても正体は明かせないけど」

 

 

こういう時、白斗は人の縁に感謝したくなる。

何よりもこんなお願いを快く引き受けてくれた、あのショートカットの冒険家に最上級の感謝を今でも送っていた。

そしてブランは、些細な願いをも叶えてくれた目の前の少年の心意気に目頭を熱くさせる。

 

 

「……私の、ために……?」

 

「おう。 ブラン、この人の大ファンだったからこういうのが一番喜んでくれるかなーって」

 

 

―――なんて、温かくて優しい人なんだろう。

そんな想いがブランの胸の中に広がる。先程までの悩みが如何にちっぽけで些細なことだったか。

自分がそんなことで悶々としている間も、白斗はブランのことを想ってくれていた。彼の想いが、ブランにとって何よりも嬉しかった。

 

 

「……うっ、ぐすっ……」

 

「って、うええぇぇぇっ!? な、何かマズったか!? ゴメン!!」

 

「ち、違うの!! ……嬉しすぎて……涙、出ちゃった……」

 

 

涙ながらに本を大切に抱きしめるブラン。

内容こそ同じ本を持ってはいるが、この本は重みも温かさも違う。アロル・クリスティンの直筆サイン入りという意味でも、そして白斗の贈り物という意味でも。

彼女にとっては家宝にしたくなる一品だ。

 

 

「良かったですねブラン様。 ……ってあら? ロム様にラム様?」

 

 

やきもきしていたフィナンシェもこれで一安心。

そこへ、てててと可愛らしい足音を立てて走ってくる小さな二つの影。ブランの妹ことロムとラムだ。

今日も天真爛漫で愛らしい笑顔を向けている。

 

 

「お兄ちゃ~ん! 絵本ありがとう! 面白かったー!」

 

「チョコもおいしかった……お兄ちゃん、大好き♪(るんるん)」

 

 

双子の手にはそれぞれチョコレートの入った包みと、本が一冊ずつ握られていた。

どうやら彼女達には絵本が贈られたらしい、それも違う内容の絵本だ。

 

 

「絵本にチョコ? 白斗から貰ったの?」

 

「うん! お兄ちゃんが作ってくれたんだって!」

 

「とっても面白いの……後でお姉ちゃんにも読んで欲しいな♪(わくわく)」

 

「白斗が作ったって……まさか自費出版!?」

 

「まぁ、二冊だけだったしな。 軽い軽い」

 

 

それこそまさに、ロムとラムのためだけのオリジナルの絵本だったらしい。

自費出版とは言うが、それでも結構な金額が掛かるもの。実際出費もそれなりだったのだが、この小さな女神様の笑顔を見られただけでも白斗は報われた思いになる。

小さな頭をそれぞれ撫でてやると、ロムとラムは気持ちよさそうに目を細めてくれた。

 

 

「二人とも、大切にしてくれよ」

 

「うん! かほーにする!!」

 

「ははは、そりゃありがたい。 それじゃ兄ちゃんはまだブランと話があるから」

 

「わかった……また遊んでね、お兄ちゃん(にこにこ)」

 

 

最高のプレゼントを貰えたことで二人は上機嫌。

珍しく聞き分けが良く、そのまま自室へと走っていった。

 

 

「……白斗って、本当に尽くすタイプなのね」

 

「尽くしたくなるんだよ。 あの二人も、ブランもな」

 

「………っ!」

 

 

ぼっ、と顔が赤くなってしまったブラン。何度でも胸が焦がされそうになる。

恋する乙女の顔はとても可愛らしい、傍で見守っていたフィナンシェも思わずほっこりしてしまった。

 

 

「おっと、忘れちゃいけねぇ。 お菓子もあるんだった」

 

「え……」

 

 

しかし、まだあった。先程ロムとラムには絵本とチョコを贈っていたのだ。

今年の白斗はお菓子に加えてその人物が最も喜ぶであろう一品を贈るスタイル。当然ブランにもお菓子を作っていた。

ここまで来て、さすがにクッキーやマシュマロに怯えることはない。が、それでもやはり気になってしまう。

 

 

「ブランへのお菓子は……これだ」

 

「これ……マカロン!?」

 

 

お洒落な紙袋が手渡された。

一瞬クッキーかと絶望に叩き落されそうになったが、持ってみると何かが違う。

開けてみるとそこには色取り取りの焼き菓子、マカロンが詰められていた。

 

 

(マカロンの意味は……『特別な人』……!)

 

 

ブランは目を輝かせた。

本当に白斗が来る前まで抱いていた憂鬱な感情など最早微塵もない。

こんなにも自分の事を想ってくれている白斗が、悪い意味を込めているとも思えずブランは笑顔になった。

 

 

「……嬉しい……! 白斗、本当に……本当にありがとう!」

 

 

最悪かと思われていたホワイトデーが、一転して最高のホワイトデーになった。

ブランにとって、白斗がいればどんな日でも幸せにしてくれる。白斗がいてくれるだけで、ブランの心は満たされた。

 

 

「どういたしまして。 それとな……」

 

「ん?」

 

 

まだ何かあるらしい。

最高の一冊を貰って、最高のお菓子を貰って、心はもう満たされているというのに。

どこまで与えれば気が済むのだろうか、彼女の守護騎士は。

それでも期待せずにはいられないのが乙女と言うもの。白斗の手招きに応じて近づくと。

 

 

 

 

「……お前は意味まで考えずにクッキーくれたのかもしれないけどな、俺は……俺なりの意味を込めてマカロン焼いたから」

 

 

 

 

―――そんな一言を残して、白斗は去っていった。

 

 

「……やっぱり愛されてますねブラン様♪」

 

 

そのやり取りを見守っていたフィナンシェも、これで一安心だ。

やはり彼に任せておけば万事問題ないと確信した瞬間でもある。

とりあえずブランへ向き直ると、件の女神様は雪のように白かった肌を限界まで赤くさせて。

 

 

「…………はひゅぅ」

 

「ぶ、ブラン様!? ブラン様―――――!!?」

 

 

幸せそうに、ぶっ倒れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――それから時間は経ち、ここはリーンボックス。

現在時刻午後4時。 これから日が沈み始めるだろう時間帯にも関わらず、とあるステージでは大勢の観客が集まっていた。

それもそのはず、ここではリーンボックスが誇る大人気アイドルである5pb.のライブの真っ最中なのだから。

 

 

『『『うおおぉぉ~~~!! 5pb.ちゃ~~~ん!!』』』

 

「……うん、今日も大盛況!! 白斗君も楽しんでくれてるなかな……」

 

 

現在休憩のため舞台袖へとはけていた5pb.は、今尚熱狂に包まれている観客席を見渡す。勿論観客たちの反応を見て喜んでいるのもあるが、想い人でもある白斗の姿を探していたのだ。

というのも事の発端は今も尚、大事そうに握られた携帯電話に送信された、白斗からの一通のメールである。

 

 

 

『今日のライブに行くから、楽しみにしててくれよな!』

 

 

 

こんな色気も飾り気もない、たった一文だけのメールが今朝送られてきたのだ。

それでもこの一文を目にした時、5pb.の目は一気に覚め、メールにはしっかりと保護を掛けて置いた。

白斗が会いに来てくれる、それを感じただけで無限のパワーが沸き上がってしまう。恋する乙女の為せる業だ。

 

 

「5pb.さん、次は今朝言ってたあの曲お願いします!」

 

「分かりました! ……でもギターボーカルの人が見えないんですけど大丈夫ですか?」

 

「ご安心を、もうスタンバってくれてますんで!」

 

「そうなんですか? 分かりました……」

 

 

ただ、次の曲に関しては不安を覚えていた。

ギターボーカルが必要な曲なのだが、肝心の担当者の姿が先程から見えなかったのだ。

十分な打ち合わせも出来ていなかったが、この程度のピンチなどアイドルである彼女には日常茶飯事。

 

 

「―――みんな、お待たせーっ!! 次の曲行くよーっ!!」

 

『『『ふおおおおぉぉぉ――――っ!!!』』』

 

 

派手なスモーク共に5pb.がステージに飛び込む。

彼女の可憐な姿に男性ファンは勿論、その歌声に惹かれた女性ファンも歓声を上げる。

しかし、その時予期せぬことが起こった。演出の一環である背景のスクリーンに当初の予定とは違う文字が入っていたのだ。

 

 

『スペシャルサプライズゲスト、登場!』

 

(え? そんなのボク聞いてないんだけど?)

 

 

このタイミングでゲストと何かトークでもしろというのか。

だが既に伴奏は始まっている、曲は止められない。とりあえず歌う準備はいつでも整えている。

MAGES.でもベール様でもどんとこい、と意気込んでいたところスモークの中から現れたのは―――。

 

 

 

 

 

 

「―――みんな! 飛び入り参加ですまねぇな! スペシャルサプライズでギターボーカルを務めさせてもらう、黒原白斗だ!! よろしくな!!!」

 

(えええぇぇぇっ!!? 白斗君――――っ!!?)

 

 

 

 

 

 

5pb.の想い人、白斗だった。

手にしたギターや服装を黒色で固めており、しかし格好良さと怜悧さを兼ね備えつつ、どこか受け入れやすい雰囲気を放っている。

そしてツネミのライブやネプテューヌの映画などで知名度を上げていた彼のサプライズ登場は観客たちの盛り上がりに一役買っていた。

 

 

「悪かったな、黙ってて」

 

「白斗君……どうして……」

 

「俺流ホワイトデーのプレゼント。 お前には俺だけの曲を贈ってくれたからな、俺からはお前とのライブって形でお返しするぜ!」

 

 

ギュィィン、とギターを掻き鳴らせば痺れるような感覚がステージ中に広がる。

元より白斗とのセッションを希望していた5pb.だが、改めて確信した。彼と一緒なら、最高のライブに出来ると。

どうやらスタッフ達もグルだったらしく、準備は万端。

 

 

「……最高のライブにしようぜ、5pb.」

 

 

白斗の優しい微笑みが、5pb.を包み込んだ。

いつもそうだ。彼の表情全てが、内気な彼女に力を与えてくれる。そしていつもその姿に助けられ、支えられ、守られてきた。

白斗も生半可な気持ちでこのステージに立っているのではない。最高のライブにするための覚悟と想いで、ここに立っていた。

それを知らされて、燃えないアイドルがいるだろうか。いや、いない。

 

 

「……うんっ!! もうボクのボルテージは最高潮だよ!!!」

 

「奇遇だな。 俺も………外す気が起きねぇ!!」

 

 

眩い笑顔で返してくれる5pb.。今の彼女となら、最高のライブになる。

例えミスが起ころうとも、そのミスですら楽しめる。楽しませることが出来る。

白斗の絡みつくようなギターに、5pb.の美しい声色が合わさり、そこに力強い白斗のボーカルが支える。

あくまでメインは5pb.、彼女の魅力を引き出せるよう絶妙なポジションをキープしている。

 

 

(……もう、ツネミさんってばズルイなぁ……。 白斗君と一緒に歌える、こんな最高の一時を……真っ先に味わってたなんて!!)

 

 

今、5pb.と白斗は音楽を通じて一体となっていた。

大好きな人と、大好きな舞台で、大好きな音楽で共に歌える幸せを、5pb.は全身で感じ取っている。

きっとツネミもこんな感覚だったのだろう。だから尚更嬉しかった。

 

 

(……まさか、こんなホワイトデーのお返しが貰えるなんて……! もう、どこまでボクを夢中にさせれば気が済むのかな、白斗君は!!)

 

 

夢にまで見た、大好きな人とのセッション。白斗はこの日のために5pb.の持ち歌を完璧に覚えてくれた。

いや、それ以上に楽しくなるように合わせてくれている。

このライブは彼女と、そして白斗の想いの結晶。華麗で力強く、どこまでも響き渡る美しい二人の歌声と旋律。

 

 

 

 

 

 

―――その熱狂ぶりは、リーンボックスの伝説としていつまでも語り継がれたという。

 

 

 

 

 

 

 

大盛況のうちにライブは終わり、午後6時。

控室にて二人きりとなった5pb.と白斗は互いに椅子に座って背中を預けていた。

 

 

「はぁ~……お、お疲れ様~……」

 

「ホントに疲れたよ……もー、来るなら来るって言ってよね」

 

「ゴメンゴメン。 ビックリさせようって思って」

 

「実際ビックリしちゃったけど……楽しかったし、幸せだったから許してあげる」

 

「サンキュー」

 

 

白斗自身も結構無茶な計画だとは思っていたが、どうしてもやりたかった。

そのために各種手配や根回しなどを行い、ここまでこじつけられたのだ。その努力も実を結んだと思うと肩の荷が下り、余計に疲労を感じる。

しかし、二人を包んでいるのは倦怠感などではなく達成感や充実感などで満ち溢れ心地よい疲労感。

二人にとって、決して忘れられないライブとなった。

 

 

「あ、そうだ。 今日のライブ映像は局長さんにお願いして焼き増ししてあるから」

 

「さっすが白斗君! 気が利くね!」

 

「こんなことくらいしか取り柄が無い白斗さんですからな。 おっと、更にもう一つ」

 

 

当然、プレゼントは思い出だけではない。

彼女からはチョコを貰ったのだ、だからこちらもお菓子を用意している。今年の白斗は二段構えのスタイル、彼女に送られたデザートは―――。

 

 

「シュークリーム!! しかも6つも!!」

 

「しっかり味わってくれよな。 それじゃ俺そろそろ行かないと……」

 

「あ……待って!!」

 

「ん? なんだ……ってうおわ!!?」

 

 

ライブに乱入というサプライズに力を入れた分、お菓子自体はシンプルにシュークリームにしてみたとは白斗談。

だが6個もある上に手作りという想いの籠った一品であることは疑いようがない。心躍る気分の5pb.だったが、白斗が立ち去ろうとした瞬間、立ち上がって背中から抱き着き―――。

 

 

「……今日は、本当にありがとう。 ……また一緒にライブ、しようね」

 

「……ああ」

 

 

背後から突然の抱擁に慌てる白斗。背中越しに伝わる温もりと柔らかさに理性が溶かされそうになるが、何とか持ちこたえる。

すると甘く、綺麗な声で背後から囁きかけてきた。快感にも似た何かが体中を駆け抜けるが、白斗は柔らかく微笑んで約束を交わした。

こうしてリーンボックスの歌姫との一時は、情熱的ながらも静かな終わりを迎えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――それから少しして、午後7時。

リーンボックスの中でも上流階級の人間しか利用できないような高級料理店。そこで一人の女性が、美しいドレスを着こみ、ハイヒールの靴音を鳴らしながら現れた。

 

 

「……リーンボックスでもトップクラスの高級料理店……。 そんな素敵なお店で、白ちゃんとお食事なんて……夢みたいですわ♪」

 

 

この国の女神、グリーンハートことベールだった。

美しく、気品溢れ、抜群のプロポーションを持つその姿は男女問わず見る者を引き込ませる。

おめかしも化粧も気合を入れており、自然と胸が高鳴っていた。

 

 

「ベール姉さん! ごめん、待たせたかな?」

 

「白ちゃん! いえ、今来た所ですから」

 

 

その店の前に現れた、もう一人の少年。ベールの義弟にして、女としても愛する少年、黒原白斗だった。

いつもとは違う燕尾服に身を包み、ネクタイもしっかりと絞めたその姿は凛々しく、そして大人っぽい色気もある。

ベールは冷静に返したつもりだが、この高鳴りが悟られないか心配になってしまう。

 

 

「まさか白ちゃんからこんなお店でのお食事に誘っていただけるとは思いませんでしたわ」

 

「俺だってやる時はやりますとも。 ……大事な人のためなら尚更さ」

 

 

それもそのはず、今回の夕食は白斗からのお誘いなのだ。堅苦しい格好や場を嫌う白斗からそんな提案をされると思ってもみなかったこともあり、余計に意識してしまうのだ。

彼は特に意識などしていないのだろうが、だからこそ時折でるその姿と言葉に胸を打たれる。

 

 

「……本当に、素敵ですわ……。 なら、本日は白ちゃんにお任せいたします」

 

「任されました。 ……お手をどうぞ、お嬢様」

 

「はい……!」

 

 

紳士的なエスコートは、もう手慣れたものだ。

自然と伸ばされた白斗の手に、自然と手を重ねるベール。手袋越しでも伝わる、互いの体温と手の感触に心臓を跳ねさせながらも優雅に店の中へと入っていった。

礼儀正しいウェイターの案内を受け、席へと到着する。予約席と書かれた札が、白斗の本気を感じさせた。

 

 

「それにしてもこのお店……相当高いはずですけど……」

 

「気にしないでくれよ。 ……素敵な人には、素敵な夜が一番だから」

 

 

意外と言うべきか、それともらしいというべきか、仕事以外ではあまり外食をしないベール。

それだけに実はこういう店自体にはそこまで慣れてはいない。

ただ、女性として憧れてはいた。そんな憧れを白斗は叶えてくれる。実際この店の予約だけで凄まじい金額が吹き飛んだのだが、白斗の甲斐性がそれを実現させた。

 

 

(……どうしてでしょう。 他の男性からも贈り物などは多くされたのに心は動かされなかった……。 なのに……白ちゃん相手だと、どうして心がこうまでときめいてしまうのかしら……)

 

 

彼の一挙一動に、彼の想い一つ一つにベールの心臓は跳ねる。

他の男性に尽くされても全く動じなかったのに、彼がベールのために何かしてくれるだけで嬉しさと喜びと、そして幸せを感じてしまう。

―――まさしく、恋する乙女だった。

 

 

 

 

 

 

その後、運ばれる料理や飲み物に舌鼓を打った。

さすがにこんなフォーマルな場で未成年が飲酒をするわけにもいかず、飲み物自体はノンアルコールだったが高級料理店ということで例えジュースであろうとも専門のソムリエが丁寧に吟味した最高の一品を提供してくれる。

料理も、量自体は多くなかったが味や触感、盛り付け方がまさに最高級で白斗とベールを楽しませた。

食事の間に交わされる談笑も決して騒ぐほどではなかったが、静かであるにも拘らずベールにとってとても楽しい一時となった。

 

 

「食後のデザートをお持ちしてよろしいでしょうか?」

 

「はい。 例のもの、お願いします」

 

「畏まりました」

 

 

会話の邪魔にならないよう、静かに食器を片付けるウェイター。

だがいよいよコース料理も大詰め、最後のデザートを待つのみとなった。白斗の言葉を受けて恭しく一礼したウェイターが、しばらくしてクロッシュに覆われた皿を持ってくる。

 

 

「……実はこれ、俺が作った奴なんだ」

 

「え? 白ちゃんが……?」

 

「ああ、この店サービスが充実しててさ。 自分が作ったデザートなんかも出してくれるんだ」

 

 

白斗がこの店を選んだ理由は、何も高級という在り来たりな肩書だけでは無かった。

この店が、白斗が望む演出をしてくれるから。そしてその演出でベールを喜ばせられると思ったからだ。

どこまでもベールのためを想ってくれる彼の心遣いに、ベールはいよいよ視線が潤みそうになる。

 

 

「……開けても、よろしいですか?」

 

「勿論。 お願いします」

 

 

ウェイターがクロッシュを開けてくれた。

そこにあったもの、それは白斗が丹精と想いを込めて作ったフルーツケーキ。

苺やメロン、オレンジなど新鮮な果物を贅沢に生クリームで包み込んだ豪華な一品。ベールは思わず目を奪われてしまった。

 

 

「……こんなに素敵なお店で、素敵な一時を過ごせて……しかもこんな素敵なケーキまで……ここまで幸せにしてもらって貰っていいのでしょうか……」

 

「いいんだよ。 ……姉さんには、幸せになってもらいたかったから」

 

 

いつもでもそうだった。白斗は何だかんだ言いつつも、いつでも誰かのためを想ってくれている。

飾り気もないだけに、その想いがストレートにぶつけられるのだ。だからこそ、その想いが深く響いてくる。女神としてだけではない、女の子としてのベールの心を打ってくれるのだ。

 

 

 

 

 

「……あり、がとうございます……最高の、ホワイトデー……ですわ……!!」

 

 

 

 

彼女の美しい涙と、美しい笑顔が今回のホワイトデーの成功を物語ってくれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「―――ありがとうございました」」」

 

 

 

それからしばらくして、二人は店を後にした。

上客として迎えられたらしく、店員達総出でお見送りされる。ここまでくるとちょっとしたVIP待遇である。

女神としてこんな扱いを受けるのはよくあることだが、白斗と一緒だとそれすらも新鮮に感じるベール。時間は既に9時を回っており、ひんやりとした夜の空気が心地よく感じられた。

 

 

「白ちゃん、今日は本当にありがとう。 ……こんなにも素敵なホワイトデー、二度と来ないかもしれませんわね」

 

「姉さんが望むなら、何度だってやるさ」

 

「ふふ、その心遣いは嬉しいのですけれど次からはちゃんとお財布事情も考えてくださいね?」

 

「あ、あはは……もー少し稼げる男になります……」

 

 

今回のデートは非常に楽しかった。それは間違いないのだが、一番大きな出費は間違いなくベールの所でもある。

次からはもう少し計画的に散財しようと白斗は心に誓った。

 

 

「ところで白ちゃん、帰りは大丈夫ですの?」

 

「大丈夫大丈夫。 ちゃんと飛行機も押さえて……」

 

 

そう言いつつ、携帯電話を取り出して現在時刻を見ようとした時だ。何かのネットニュースの話題が届いていることに気付く。

わざわざ通知されているということはそれなりに大きな話題らしい、開いてみると。

 

 

「―――げっ!? プラネテューヌ行きの便が欠航!? マジかよ!!?」

 

 

優雅さの欠片もなく大慌てしだした。

何せ、帰りの定期便がこの土壇場で無くなってしまったのだから。他の便は押さえられるかどうかも分からず、仮に席を確保したとしても帰りが12時を超えてしまうのは確実。

 

 

(マズイ……!! まだプラネテューヌの皆に……ネプテューヌにプレゼント渡してないのに……!!)

 

 

ホワイトデーは、その日の内に贈らないと意味がない。少し時間が遅れてもそこまで気にしない優しい少女達であることは知っているが、それで許せる白斗ではない。

どうしたものかと頭を悩ませていると。

 

 

「―――白ちゃん、私にお任せくださいまし!!」

 

「えっ!? 女神化!?」

 

 

ベールがシェアエネルギーをその身に纏い始めた。女神化だ。

光が晴れるとそこには美しき緑の女神、グリーンハートが佇んでいる。ウィングも展開し、準備完了である。

 

 

「さぁ掴まって!! フルスロットルで参りますわよ!!」

 

「ちょ、待………ぅぅぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」

 

 

有無を言わさず白斗の手と荷物を手に取ったベール。そのままウィングを広げ、夜空へと舞い上がった。

その軌跡緑色の流星となってゲイムギョウ界の夜空を駆け抜けた。

女神の全力と言えどもさすがにプラネテューヌまでは距離があり、時間がかかる。しかし美しき夜空のフライトは楽しくもあった。

 

 

「……相変わらず姉さんのフライトはすげぇな!!」

 

「お褒めに預かり光栄ですわ。 ……今日のお礼、としては全然足りませんが」

 

「いやいや、バレンタインデーのお返しだってば」

 

「ふふ、そうですか? ……私は、それ以上のものを頂きましたけれど」

 

 

実際、ベールの心は満たされているどころか溢れ返っていた。

今手を繋いでいるこの少年への恋心で。

―――そんなフライトを楽しんでいたのだが、一時間もすればいよいよ見えてくる。美しい夜景が特徴的な科学の国、プラネテューヌが。

しかもご丁寧なことにベールはプラネタワーの目の前で下ろしてくれた。

 

 

「ふぅ……。 これでセーフ、ですわね」

 

「助かった! 姉さんゴメンな、ホワイトデーなのに無理させちゃって」

 

「良い男に尽くすのが良い女ですから。 それと……これは私の心からのお礼……ですわ……」

 

「だから、そんなの良いって……」

 

 

今日は白斗が尽くす側なのだ、これ以上尽くされたとあっては立つ瀬がない。

遠慮しようとした矢先、ベールの美しい顔がこちらに近づいていき―――。

 

 

 

 

 

「――――ちゅっ」

 

 

 

 

 

白斗の頬に、口付けを一つ落としたのだった。

 

 

「……………へ?」

 

「ふふ、貴方が素敵な殿方でしたから。 ……では、失礼しますわね」

 

 

白斗の頬に押し当てられた、柔らかく美しい感触。

短くも、はっきりと心に刻み込まれたそのキスに白斗は呆けてしまう。

顔を離したベールは顔を赤くしながらも美しく微笑み、そのまま夜空へと飛んで消えてしまうのだった。

 

 

 

 

「………ヤベ、こんな顔ネプテューヌ達には見せらんねぇぞ………」

 

 

 

タワーに入るまでの間、白斗は緩んだ頬を戻すのに精一杯だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ただいま!!」

 

「「「「お帰りなさ―――い!!!」」」」

 

「ぐぉわぁっ!? ちょ、抱き着くなぁ!!!」

 

 

それからしばらくして、ようやく気を引き締めた白斗が居住区のドアを開け放つ。

すると一斉に柔らかく、温かい抱擁が四つも出迎えた。

アイエフにコンパ、ネプギア、そしてネプテューヌ。白斗に想いを寄せる少女達の出迎えに白斗は倒れそうになるも、何とか踏ん張った。

そこへ通りがかったイストワールも柔らかく微笑みながら近づいてくる。

 

 

「お帰りなさい白斗さん、飛行機が欠航すると聞いてましたが」

 

「ベール姉さんのお蔭で何とか戻ってこれました。 それじゃ早速、ホワイトデーのお返しと参りますか!」

 

「「「「やったー!!」」」」

 

 

そう言って白斗は冷蔵庫へと向かった。

今夜、ここで彼女達に渡すと決めていたためずっと材料をこの冷蔵庫に仕舞っていたのだ。

今は夜の10時を超えているが、最早恋する乙女たちはそんなことなど気にならない。

白斗は冷蔵庫から材料を取り出し、その場で調理を始める。

フルーツを切り分けて器に盛り、その上に生クリームやチョコレート、更にはプリンでトッピング。

 

 

「お待たせ!! 白斗さんお手製のプリンパフェ豪華絢爛!!」

 

「「「「「おぉ――――!!!」」」」」

 

 

以前大好評だったパフェを、更に豪華にしたものだった。

夜食べるには不向きかもしれないが、目の当たりにした乙女たちは目を輝かせている。

 

 

「では早速……ん! 美味しい~~~!」

 

「やっぱりお兄ちゃんのパフェは最高だね!」

 

「ええ。 私達のためだけってのがまた至高にして贅沢……!」

 

「しばらくおやつ抜きにして正解だったです~~~!!」

 

「白斗さん、本当にありがとうございます! もう最高です……!」

 

 

ネプテューヌ達は皆、蕩けきっていた。

スプーンで一口する度に幸せそうな笑顔を咲かせている。お礼と共に向けられるその笑顔が、白斗にとっては何よりの報酬だ。

だからそんな彼女達をもっと喜ばせるべく、白斗は更に畳みかける。

 

 

「おっとそれだけじゃないぜ。 ……まずはネプギアに、ほい」

 

「これ……ペンダント? わぁ………!」

 

「例の如く白斗さん謹製だ。 写真も入れられるぜ」

 

「お兄ちゃんが作ってくれたの!?」

 

 

ネプギアに手渡されたのは、美しい宝石がつけられたペンダントだ。

しかもロケットの中には写真を収めることも出来る。

彼女にとっての思い出の一枚を、いつでも身に着けられるようにという願いを込めて白斗が作ったものだ。

 

 

「……ありがとう! 大切にするね!」

 

「ああ。 そんでアイエフにはこいつだ」

 

「ん? これって……携帯電話!? しかも見たことのない機種!!」

 

 

携帯電話好きのアイエフということで、彼女に贈られたのは最新のスマートフォンだった。

しかも通である彼女ですら見たことが無いものである。

 

 

「実は以前助けた人が携帯電話会社の社長さんでな、お礼にということで貰ったんだ」

 

「そんなすごいものを私に……! 白斗、ありがとう!」

 

「喜んでくれて何よりだ。 そしてコンパにはこのぬいぐるみだ」

 

「わ、わぁ~~~!! 可愛いです~~~!!!」

 

 

アイエフが笑顔になってくれた。ならば次は親友であるコンパの番。

可愛いもの大好きな彼女ということで、可愛らしく、それでいて人間サイズくらいはありそうなファンシーなくまのぬいぐるみが贈られた。

すっかりメロメロになったコンパは大喜びで抱き着く。

 

 

「抱き着き具合も最高ですぅ~~~……! 白斗さん、ありがとうです!!」

 

「どういたしまして。 それじゃイストワールさんには……」

 

「え? 私にも……ですか?」

 

「勿論。 イストワールさんも大切な人ですから」

 

「………~~~~っ!!」

 

 

全く邪気の無い笑顔と言葉で、この男はサラリと言ってのける。

当然イストワールは大慌て、ネプテューヌ達は痛い視線を白斗に向ける。それを知ってか知らずか白斗は口笛を吹きながらバッグから取り出したものは。

 

 

「あら、これは……お香ですか?」

 

「アロマって言った方が正しいですかね。 リラックス成分マシマシ、最近お疲れ気味でしたしこれでちょっとでも助けになれたらって」

 

「……ありがとうございます、白斗さん……」

 

 

こちらは随分と実用的なものだった。けれどもただ効能だけで選んだのではない、イストワールの事を考えて選んでくれたのである。

彼の細やかで思いやり溢れる気遣いに、イストワールは顔を俯きながらも一礼した。

―――頬から綺麗な雫が流れていたのは、気の所為なのだろうか。

 

 

「よーし、こんなモンかな。 はぁー、疲れた疲れたー……」

 

(……ねぷ? あれ、私は!?)

 

 

その中で唯一まだプレゼントを貰っていない少女、ネプテューヌが慌てだした。

女神様にして自称主人公にしてメインヒロインでもあるというのに、まるで忘れられているかのように白斗は自室へ戻ろうとする。

何とかプレゼントをもらいたいが、自分からがっつくのはみっともない。でもこのままでは―――。

 

 

(………ん? ポケットに何かが………メモ?)

 

 

俯いていると、パーカーワンピのポケットから一枚の紙切れが顔を覗かせていた。

先程までこんなものは無かったはず。増してや自分で入れた記憶も無い。

不審に思いつつメモを広げてみると。

 

 

 

 

 

 

 

 

『プラネタワーの屋上で待ってる  by白斗』

 

 

 

 

 

 

 

 

―――白斗からの、呼び出しだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は、白斗~。 来たよ~」

 

 

それから少しして、ネプテューヌはプラネタワーの屋上に設置されている展望台まで足を運んでいた。

因みにネプギア達は白斗から貰ったプレゼントにうっとりしていて彼女の事に気づいていない。

展望台では白斗が静かに星を見上げていた。

 

 

「おう、悪かったな。 こんなところまで呼び出して」

 

「ホントだよ~。 ……で、その……何、かな?」

 

 

柄にもなく緊張で声が上擦ってしまう。

敢えて「ホワイトデーのお返しなのか」とは聞かなかった。綺麗な星空の下、二人きりの世界でそんな無粋なことを言いたくなかったから。

対する白斗は頬を赤くしながら、指で掻いている。

 

 

「あ、ああ……その……さっきみたいにネプテューヌにもプレゼントを贈りたいんだ……」

 

(プレゼントキター!! さっすが白斗、愛してる!!)

 

 

心の中だと割と大胆になれるネプテューヌ様。

しかし、問題なのは一体何を贈ってくれるのかだ。

 

 

「……正直、ネプテューヌには何が一番喜んでもらえるのかなってすっごく悩んだ。 プリンはさっきパフェにして贈ったし、ゲームも漫画も服も、何もかも欲しがりそうな物欲塗れのお前だから本当に見当がつかなかった」

 

「何でこの流れで私ディスっちゃうのかな!?」

 

 

思わずうがーっと怒った。

ゴメンゴメンと白斗が苦笑いしながら謝ってくれたので、とりあえず一旦矛は収める。

けれども、そこから白斗の顔つきが変わった。真剣そのものだ。

 

 

「……だから、俺が一番贈りたいものにしたんだ」

 

「え? それって……」

 

「俺からの、お前に対する正直な気持ちだ」

 

 

心臓がドキリと跳ねる。

一体何をくれるのか、今度はネプテューヌの方が見当つかなくなる。

白斗は緊張の余り呼吸が乱れており、それを整えようと必死だ。やがて落ち着かせ、意を決して懐に手を伸ばす。

そしてネプテューヌの手に、それを握らせた。

 

 

 

 

 

「………一日白斗使い放題券………?」

 

 

 

 

―――なんのこっちゃ。

正直な感想が、それだった。色々期待していただけに肩透かしも同然だが、白斗の顔はやはり真剣みを帯びたままだ。

彼なりの理由があるらしく、それを聞かずして判断することが出来ない。ネプテューヌは顔を見上げて、白斗の言葉を待った。

 

 

「……俺がこうしてこの世界で楽しく生きていけるのは皆のお蔭だ。 そして……真っ先にここで暮らそうって提案してくれたのはネプテューヌ……お前なんだ」

 

 

まだ断片的にしか聞かされていないが、白斗は元の世界では相当酷い目にあったらしい。

けれども女神達に助けられて、白斗の人生は明るいものに変わった。

何より根無し草の彼を最初に受け入れてくれたのは他ならぬ彼女、ネプテューヌなのだ。

 

 

「ネプテューヌが、俺に楽しい時間をくれた。 だから……俺の時間を、貴女にあげたい」

 

「………はく、と………」

 

 

いつもの「お前」呼ばわりではなく、「貴女」と敬意と信愛を込めた呼び方になった。

普段表に見せないが、白斗はネプテューヌを尊敬している。いつも笑顔で、いつも明るく、いつも楽しくて、いつでも優しい。

そんな素敵な女神様に、白斗はいつも感謝していた。

 

 

「その券を使ったら一日中どんなお願いでも叶えて見せる。 仕事も代行するし、買い物にだって付き合う。 ……ネプテューヌのために、俺の時間を使いたいんだ」

 

 

白斗の瞳、言葉、そして表情。そのどれもが彼の本気を伝えてくる。

それだけネプテューヌに尽くしたかった、それだけネプテューヌを喜ばせたかった。

彼のそんな想いに触れて、ネプテューヌは。

 

 

 

 

「……ありがとう、白斗!! 嬉しい!!!」

 

 

 

 

満面の笑顔と共に、白斗の胸に飛び込んだ。

 

 

「うおっと! ……そこまで喜んでもらえるとは」

 

「白斗と一日過ごせるんだもん……これ以上のプレゼントなんてないよ!」

 

 

白斗の胸に顔を埋めては頬ずりしてくる。

そんな彼女が可愛らしくて、愛おしくて、白斗はつい頭を撫でてしまう。ネプテューヌは更に気持ちよさそうに目を細めてくれた。

 

 

「白斗! 早速だけどこの券使っちゃうから!」

 

「もう使うのか? まぁ想定済みだし、いいぜ」

 

「ありがと! それじゃ最初のお願いなんだけど―――」

 

 

果たして、彼女の最初のお願いとは何だろうか。

少しの不安と、それをも上回る期待の視線を向けた白斗。

ネプテューヌは僅かに緊張しながらも、そのお願いを口にするのだった。

 

 

 

 

 

―――それから少しして白斗の部屋、既に電気は落とされ、後は寝るのみ。 

 

 

 

 

 

「ねぷ~、白斗の布団あったか~い」

 

「ちょ、く、くっつき過ぎだって……」

 

「いいじゃん、添い寝なんだから~」

 

 

なのだが、今一つのベッドに二人の少年少女が潜り込んでいた。

少年は黒原白斗、この部屋の主。少女はネプテューヌ、この国の主。

年頃の男と女が一つのベッドで寝ようとしているこのシチュエーション、所謂「添い寝」である。

 

 

「これも女神様命令! まずは私と添い寝だよっ!」

 

 

そう、これが最初にネプテューヌから出されたお願いである。

券を提示されては白斗も嫌とは言えず、寧ろ密着されるネプテューヌの感触にドギマギしながらどこか幸せを感じていた。

 

 

「にしてもいいのか? 最初のお願いがこんなので」

 

「うん! これがいいの!」

 

 

くるり、とネプテューヌがこちらへ向いてくる。

ただでさえ狭いベッドの中、密着状態で振り返るともなればその顔もいつも以上に近くなる。

柔らかそうな唇が白斗の目前にまで迫る。あのバレンタインプレゼントを思い出してしまいそうになるくらいに、その唇に引き込まれそうになる。

ネプテューヌはそれを知ってか知らずか、まだ言葉を紡いでくる。

 

 

 

 

 

「だって……私の一番の幸せは、白斗と一緒に過ごすことなんだから」

 

 

 

 

 

―――白斗の理性を蕩けさせる、そんな一言を。

 

 

「………そ、そうか……なら、幸せにして……やらねぇと、な……」

 

「えへへ、そうだよ! 勿論白斗も一緒に幸せになるんだからね!」

 

「…………そりゃ……ありがたい…………」

 

「でしょー? あー、明日は何して過ごそうかなー? 白斗は何かやりたいことは……ねぷ?」

 

 

まだ見ぬ明日へ思いを馳せる。

券という大義名分を得て、堂々と好きな人と過ごせるのだ。こんなにも嬉しく、幸せなことがあるものか。

今の内に計画を立てようと白斗に問いかけた。のだが、彼は既に。

 

 

「……ぐー………ぐごー………」

 

 

寝息を立てていた。

 

 

「白斗、寝ちゃった……? でも、そっか……こんなにも沢山お菓子作って、プレゼント用意して、各国を巡ってたんだよね……私達のために……」

 

 

お菓子の用意は昨日から、そしてプレゼント調達は更に前から。今日には四ヶ国を巡り、一人一人に充実したお返しをしていた。

どれだけの労力だったのか、想像もつかない。だからこそ、彼の想いが伝わってしまう。

彼の誠実な想いに触れ、ネプテューヌはまた顔を赤らめる。一体何度、胸を熱くされるのかもう分からない。でも、いつでもときめきたい。

 

 

 

 

 

「……白斗、本当にありがとね。 大好きだよ、私の騎士様……」

 

 

 

 

 

その頬に口付けを落とし、ネプテューヌは大好きな人の温もりに包まれながら眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――その日、少女達は最高の夢見心地だったという。




というわけでホワイトデー記念小説でした!
白斗は尽くすタイプなのでお菓子よりも贈り物に力を入れた感じにしてみました。
全員分のプレゼントやお菓子考えるの本当に苦労しました。全員のシチュエーションもらしく、それでいて甘い感じにしたつもりですがいかがでしたか?
ネプテューヌ様達を可愛らしく思っていただければ、そして楽しんでいただければ幸いです。
次の番外編はいつやるのかは未定ですが、クリスマスの話とかもいずれやりたいと思いますのでお楽しみに~。
感想ご意見、お待ちしております!
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