恋次元ゲイムネプテューヌ LOVE&HEART   作:カスケード

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第四話 走れ、白斗

―――白斗が告げた、敵の狙い。

「女神を害することで友好条約を破棄させる」。

そのために敵が打つ次なる一手。それは、「ロムとラムを襲うこと」。その事実は、ブランの脳内から冷静さを奪い去るには十分だった。

 

 

「っ!! ミナ、ミナ!! 返事をしてミナ!!」

 

 

肩に置かれた手を振り払い、ブランがスマホで連絡を取る。

どうやら教会にいる誰からしいが、どれだけ必死に呼びかけても通話自体に応答することは無い。

 

 

「フィナンシェ! フィナンシェ! ……お願いだから、出て……!」

 

(ネプテューヌ、ミナさんとフィナンシェさんって……)

 

(ミナはルウィー教会の教祖。 フィナンシェはメイドさんなんだけど……)

 

 

どうやら、ロムとラムの世話は普段その二人に任せているらしい。

だがそのどちらからも応答が無い。これだけで、白斗たちの脳内に最悪の光景が思い描かれる。

居ても立っても居られず、ブランは女神化を果たし部屋を飛び出そうとする。

 

 

「ちょ! ブランどこに行くのよ!」

 

「離せぇ!! ルウィーに戻るに決まってんだろ!!」

 

「ここからルウィーまでどれだけかかると思っていますの!? 女神化して飛行しても、30分は掛かるんですのよ!?」

 

「んなモンやってみなきゃ分かんねぇだろうが!!! 離せったら離せえええええ!!!」

 

 

普段の物静かな態度もかなぐり捨てて駆けつけようとするブラン。

同じく咄嗟に女神化してそれを必死に止めるノワールとベールだが、小柄な体に反して女神化した彼女のパワーは四女神随一。

女神二人掛かりでも、抑え込むのがやっとだ。

 

 

「落ち着いてください! 敵は女神に襲撃を掛けるような奴らです! 女神対策だってしてあるはず……」

 

「時間が掛かるからなんだ!? 女神対策してあるからなんだ!? そんなの……そんなの……っ!!」

 

 

白斗も説得するが、聞き入れる気配が全くない。

やがて、ブランの力が弱くなった。床にへたり込み、声すら小さくなっていく。

あの強気な態度も鳴りを潜め、女神化が解除される。

振り返ったその顔は―――まさに少女と言う他に無かった。

 

 

「……あの子達を見捨てる理由に、ならないじゃない……っ!!」

 

 

震える体で、涙を流しながら、悲痛な言葉を吐いた。

彼女の気持ちは、誰もが理解できる。だから、その言葉に異を唱える者はいない。

だが、物理的に今から助けに行くのは不可能。それを悟ってしまったから、彼女は絶望に打ちひしがれてしまった。

 

 

(クソッ……! 昨日の時点で気づくべきだった! どうすればいい!? どうすれば……! この際だ、ご都合主義でも何でもいい!! 何か打開策は……!!?)

 

 

白斗は必死になって身をまさぐり、同時に脳内にある情報をフル回転させ、周りを見渡す。

些細なことでもいい、何かロムとラムを救出する手段講じなければならない。

だが、実際にあったのだ。―――願っていた、「ご都合主義なるもの」が。

 

 

「……ねぷ! そうだ! あれなら使えるかも!」

 

「え? お姉ちゃん……あれって?」

 

「プラネテューヌの科学力は世界一! みんな、私に着いてきて!」

 

 

ネプテューヌだった。

何やら思い当たるものがあったらしく、全員をどこかに案内しようとしている。まだ手段は残されている―――それを聞けば、ブランや白斗は着いていくしかない。

急いで向かった先、それは物々しい機械で埋め尽くされた部屋だった。

 

 

「いーすん! 転移装置、今すぐ準備して!!」

 

「え? ネプテューヌさん、急にどうしたんですか?」

 

「いいから早く! 目標はルウィー!!」

 

 

その部屋に居たのはイストワール。昨日の事件の事後処理をしていたようだ。

更に設置されていた、カプセルの様な装置。ネプテューヌはそれを、「転移装置」と呼んでいた。

その装置がどんなものなのか、聞くまでも無い。

 

 

「転移装置……! そうか、これなら!!」

 

「え? まさかそんなご都合主義展開な装置あったの!?」

 

「あったよ! なんたってプラネテューヌの科学力は世界一なんだから!!」

 

 

白斗は驚いていた。誰もが一度は夢見た瞬間移動、それを実現させる装置があったのだから。

一方のネプテューヌはドヤ顔でピース。しかし、その笑顔がこれほど頼もしいと思ったことは無い。これを使えば、一瞬でルウィーの教会に行ける。希望が見えてきた。

 

 

「しかし、転移装置……しかもそれがルウィーにもあるとはな……」

 

「お姉ちゃんの案なんです。 友好条約を結ぶからには各国に技術供与をしなきゃ行けないって。 それに、これは緊急時の脱出などで使ってほしいって……」

 

「と言っても、同じ装置を取り付けてるところしか行けないけどね」

 

 

仲間思いで優しい、ネプテューヌらしい提案だった。

確かに仕事は不真面目でぐうたらかもしれない。でも、人を思いやる心があるからこそできたこと。

白斗は、やはり彼女は女神であると心の中で密かに尊敬してしまう。

 

 

「ブラン! 確か、ルウィーには今度実験するからって予め装置を取り付けてたよね!?」

 

「え、ええ! これなら……!」

 

「ちょ、待ってください! まだこれは実験すらしてないんですよ!?」

 

 

そこに割り込んでくるのはイストワール。

実験結果が出ていない装置を使用することに異議があるようだ。確かに人命に関わることならば、無碍には出来ない発言だ。

 

 

「それにこの装置の動力はシェアエネルギーです! 一人転送されるだけで、プラネテューヌのシェアがどれだけ損なわれるか……」

 

「いーすん、そんなこと言ってる場合じゃないよ! ロムちゃんとラムちゃんがピンチなんだよ!?」

 

「え? お、お二人が……ですか?」

 

 

事情を知らないイストワールからすれば、そんな言葉が出るのは仕方がない。

だが、それを即座に捻じ伏せるネプテューヌだった。

ロムとラムの名を出されては、イストワールも聞き入れざるを得ない。

 

 

「それに、私達女神がシェアを大事にするのは、大事な人を守るための力だから! ここでロムちゃんとラムちゃんを助けられなくて、何のためのシェアなの!?」

 

 

―――まさに女神。

理屈も、力も、思いやりも。全て込められていた言葉。普段はぐうたらでも、仕事は不真面目でも、どこまでも優しいネプテューヌは女神だった。

イストワールは一瞬怯んでしまったが、すぐに女神の言葉に従い、装置を起動させる。

 

 

「……分かりました! ですが、シェアの量から考えて転移できるのは一人までです!」

 

「だったら私が……!」

 

「いや、さっきも言った通り女神対策はしてあるはずです。 それに、ブランさんが傷ついてしまったら元も子もない」

 

「そんなこと言ってる場合じゃ……!」

 

 

やはり助けに乗り込もうとするブラン。しかし、冷静さを取り戻した今だからこそ改めて白斗が止めに掛かる。

 

 

「そう、言ってる場合じゃない。 ……だから、俺が行きます」

 

「白斗!?」

 

 

ブランを下がらせ、代わりに一歩前に出る。

既に愛用のコートを身に纏い、ナイフやワイヤーなどの動作確認を済ませてしまっている。何よりも、その目は戦士そのもの。覚悟を固めた目だった。

 

 

「何言ってるの!? 白斗だって危険なんだよ!?」

 

「そうよ、やめて! 無関係な貴方が、これ以上傷つくことなんか……!」

 

 

今度はネプテューヌやノワールが止めに掛かる。

既に今日までで、女神を守るためナイフに銃弾と、傷を作り続けてきた白斗だ。それだけで、彼が無茶をする性格であることは承知済み。

彼を心配しているからこそ、何としてでも止めなければならないと説得するのだが。

 

 

 

 

「無関係なんかじゃない。 ……俺を助けくれた、大切な人達を守りたいんだ」

 

 

 

 

―――その力強い言葉に、瞳に、姿に。

ネプテューヌも、ノワールも、ベールも、そしてブランも。すっかり飲まれてしまっていた。

その場にいた誰もが、白斗の姿に「希望」を見出している。

手も足も、声も出せなかった。

 

 

「ブランさん、約束します。 貴方の大切な妹を……想いを! 絶対に守ります!!」

 

「……白、斗……」

 

 

白斗が彼女の小さな肩に手を乗せた。

そこから伝わる力は強く、体温は熱い。そして瞳からは決して折れない覚悟も。

ブランはそんな彼に、魅入ってしまっていた。

 

 

「転移装置、準備出来ました! ……行くのは白斗さんでよろしいですね?」

 

「はい! イストワールさん、お願いします!」

 

「もう一点。 装置は一方通行です。 すみませんが、向こうについたら……」

 

「救援が来るまで粘るか、二人を確保してトンズラね。 了解です!」

 

 

一を聞いて十を知る。白斗はさっさと装置に乗り込んでしまった。

こうなってはもう止める時間も無い。

 

 

「ブランさん! ロムちゃんとラムちゃんの特徴は!?」

 

「え、ええと……これよ!!」

 

 

ブランは、先程連絡に使ったスマホの画面を見せている。

待ち受け画面に設定されていた壁紙。それはブランと、彼女に似た少女二人が幸せそうに遊んでいる写真だった。

 

 

(……二人の写真を待ち受けに……それだけ、大事ってことだよな……)

 

 

ブランの思いを再確認した白斗。

こうなっては、やり遂げる他はない。頬を叩いて気合を入れ直す。

 

 

「白斗! ……お願い、どうか……二人を……!!」

 

「はい! 必ず守ります!! ……この命に代えても!!!」

 

 

覚悟を込めた目と言葉。

それに嘘は無いと、誰もが思い知った。きっと彼は死ぬまで―――いや、死んだとしてもそれをやり遂げようとするのだと。

 

 

「では行きます! 転送ーっ!!」

 

 

イストワールがスイッチを押す。

その瞬間、白斗の周りに光が溢れ出した―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そして、景色は一瞬にして変わった。

 

 

「……うお!? ま、マジで転移したのか……!?」

 

 

白斗の目には、先程とは違う光景が飛び込んできた。

どうやら本当に転移したらしい。ステンドグラスに異常に聞いた暖房など。それらしい要素もあることからルウィーの教会であることは間違いはないようだ。

 

 

『白斗ー!! 聞こえるー!?』

 

「うお!? ネプテューヌか!?」

 

 

そこに飛び込んできたのは、ネプテューヌの顔。

と言っても、それを目一杯に移した、空中に浮かぶ画面だ。どうやら通信の類らしく、白斗はオーバーテクノロジーに驚きつつも、すぐに冷静さを取り戻した。

 

 

『あーあー、こちらネプテューヌ大佐! 白斗隊員、応答せよ!』

 

「何そのノリ……」

 

『ああ、この間私がお貸しした潜入ゲームですわね』

 

 

元ネタの提供はベールのようだ。

先程の女神らしさもどこへやら、相変わらずのネプテューヌであるが、今はその明るさのお蔭で緊張も解きほぐされた。

 

 

「転移は成功、これより対象の救出を……ん? 誰か倒れてる?」

 

『……ミナ! フィナンシェ!』

 

「っ! 教祖とメイドさんか!」

 

 

行動に移そうとした直後、人影が倒れているのを発見する。

近寄ってみると、それはこの教会に努めている西沢ミナとフィナンシェだった。

すぐに首筋に手を当てて脈を確認する。

 

 

「……大丈夫、気絶してるだけで命に別状はありません」

 

『良かった……。 でも、それって……』

 

「ええ、確実に来てますね賊が。 ……任務を開始する!」

 

 

二人の生存にひとまず胸を撫で下ろすブラン。だが安心してはいられない。

これにより、ロムとラムに危機が迫っていることが確定したのだ。

白斗は颯爽と部屋から出て、廊下を走っていく。とにかく扉を片っ端から開けていくが、二人の姿も襲撃者の姿も確認できない。

 

 

「ブランさん! 二人がいる場所に心当たりは!?」

 

『二人だったら自分の部屋か、私の部屋か……あの部屋かも……』

 

「あの部屋……? よし、まずはそこから!」

 

 

そこに目星をつけた理由など、ただの勘でしかない。だが白斗は止まること無く走る。

全てはロムとラムを助けるため、そしてブランの心を守るため―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うう……」

 

「う、動け……ない……」

 

 

―――ルウィーの教会、とある一室。

そこは段ボールが山のように積まれた部屋。二人はここでいつものように遊んでいただけだ。

だが、今日だけは違った。目の前に、危険な雰囲気を醸し出す赤いフードの男達が何人もいたから。

 

 

「危ねぇ危ねぇ……幼女だと思ってたが、魔法まで扱えるとは……さすがは女神候補生ってところか?」

 

「ああ、『あの方』がくれたコイツがなきゃ危なかっただろうな……」

 

 

男の一人が、ポケットに手を伸ばす。

取り出されたのは、怪しい輝きを放つ十字架の形をした水晶だった。

 

 

「アンチクリスタル、女神の力を奪う水晶……これが無かったら大怪我だったぜ」

 

「ま、これさえあればこのおチビちゃん達もただの幼女、ホワイトハート様が駆けつけてもただの幼女になっちまうから安心だな」

 

 

やはり持っていた女神対策。

女神の力を奪うというこれ以上ない位シンプルかつ強力無比な対策だった。

ロムとラムの二人が項垂れているのも、この輝きに力を奪われているからである。

 

 

「な、何よそれ……反則じゃない……」

 

「ひ、酷い……(ぶるぶる)」

 

「恨むなら弱ーい自分自身と、助けに来てくれないお姉ちゃんを恨むんだな」

 

 

下品な嗤いを浮かべる男。

その時、地響きがこの部屋を揺らした。重量のある何かが近づいているらしい。

やがてやってきたそれは、大きなカエルにも近い化け物だった。尻餅を付きながら跳ねるように来ると言う、奇行にも見えるそれが逆に異形らしさを強調している。

 

 

「アククク……おい、俺様の幼女は見つけたか?」

 

 

その化け物は特徴的な笑い声を上げながら舌なめずり。

不気味な音を立てると同時に、舐め回すような視線を感じたロムとラムの鳥肌が立つ。

どうやら幼女好きらしい、それも真性の変態だ。だがそれすらも誇りにしているきらいがあるのがタチが悪い。

 

 

「トリックの旦那……へい、この通り」

 

 

無慈悲にトリックと呼ばれた化け物が近づいてくる。

その姿が、まるでアニメやゲームに出てくる怖い魔王のようにも感じて。まだ幼い二人の心を恐怖で支配した。

 

 

「アククク! まさに俺様好みの幼女!! 幼女は俺様のもの……さぁ、こっちへおいでぇ……ペロペロしてやるぜ……アククククク!!」

 

「い、いや……いやぁ!!」

 

「助けて……助けて……!!」

 

 

今、大好きな姉はネプテューヌの心配をしてルウィーを離れている。

ミナやフィナンシェも男達によって倒され、しばらくは目覚めない。

誰も、自分達を助けてくれない。

 

 

「アククク……用心棒として雇われて大正解!! こんな極上の幼女をペロペロできるんだからなぁ……アクククククククク!!!」

 

 

ゲスな男達は、そんな少女達の恐怖に笑っている。トリックに至っては、その舌が迫りくる。

少女達の純粋な想いを踏みにじるべく、手を伸ばして―――

 

 

 

 

 

 

「待てやゴラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

「「「なっ!?」」」

 

 

 

 

 

 

そこに、凄まじい怒号と共に扉が開け放たれた。

振り返るとそこには、黒いコートを羽織った少年がいる。少年は蹴りを織り交ぜた乱舞を繰り出しながら、男達の間に無理矢理割り込む。

あっという間に男達を掻き分け、ロムとラムの前に到達した。

 

 

「よっと、ブランさんの情報通り……! ロムちゃんとラムちゃんだな?」

 

「だ、誰……? お姉ちゃんを……知ってるの?」

 

「ああ、二人を助けるためにここに来たからな。 お姉ちゃんからのお願いで」

 

「……助けて、くれるの……?」

 

 

恐怖に震えていた二人の瞳を見て、少年は優しく微笑んだ。

その笑顔には、幼い二人に安心させるだけの優しさと力強さがあった。

 

 

「ああ、俺は黒原白斗。 ―――もう、大丈夫だから」

 

「「……うん!」」

 

 

涙ながらに、二人は笑顔で頷いてくれた。

信じてくれたことに白斗も嬉しくなるが、一瞬にして表情を変えて男達を睨む。こんな可愛らしく、幼い二人を傷つけた男達に対する怒りを込めたその視線に、襲撃者たちは怯んでしまう。

 

 

「な、何だ貴様ァ!! 俺様の幼女に触れるな!! これから至高のペロペロタイムなんだぞ……、ッ!!?」

 

 

トリックが殺気立つ。先程まで最早手中に収めたも同然のロムとラムが、一瞬にして白斗の背後に回ってしまったのだから。

だが、それ以上に殺気立つ白斗の視線が、化け物を怯ませる。

 

 

「テメェら……ネプテューヌを殺しに掛かって、ノワールさんを狙撃しようとして、挙句こんな小さな子達まで……どこまで腐ってやがるんだ? オイ……」

 

 

声が、低い。

ロムとラムは彼の背中に居るために見えないが、白斗の顔は殺気と怒りで満ちていた。

恩人であるネプテューヌ達を散々傷つけ、挙句ロムとラムを怯えさせているこの男達がどうしても許せないでいる。

まるで触れれば斬られる刃物のように鋭い雰囲気に、男達は固唾を飲む。

 

 

「だ……黙れッ!! 俺様はこれから幼女を愛でるだけだ、健全なのだ!!」

 

「これだけ怖がらせておいて健全とか抜かすなテロリスト」

 

「テロリストではない!! ペロリストだ!!」

 

「尚悪いわボケェ!!!」

 

 

身勝手なトリックの発言に、白斗の怒りのボルテージは止まらない。

既に彼の中のメーターを振り切っており、一歩間違えれば怒りで爆発してしまう。

いつ来るやもしれぬその恐ろしさに、トリックらも腰が引けていた。

 

 

「な、何だ……何なんだ貴様は……! 邪魔すんなぁ!!」

 

「そいつは聞けない相談だな……クソ野郎ども」

 

「そうか、そうかァ……だったら―――貴様が死ねえええええええ!!」

 

 

トリックの合図で襲撃者が武器を構える。

その内三人がナイフを構え、一斉に飛びかかった。

 

 

「それも聞けねぇ相談だな」

 

「ぐぅっ!?」

 

 

同時に迫りくる三つの刃。

しかし白斗は慌てることなく、コートの裾からワイヤーを伸ばした。伸ばされたワイヤーは一人の顔に巻き付き、引き込む。

態勢を崩した男に防ぐ術は無く―――

 

 

「この子達を守るのが―――俺のお仕事なんでねッ!!」

 

「「「がばぁッ!!?」」」

 

 

男の顎に、掌底を叩き込んだ。

更にはその衝撃波で残り二人も吹き飛んでしまう。顎に一撃を受けた男は勿論、飛びかかった二人も一斉に気絶してしまった。

 

 

「な、何なんだこいつ!? こんなのがいるなんて聞いてねぇぞ!?」

 

「そりゃ、やってきたばかりだからなッ!」

 

 

今度は挟み込むようにして男達が襲い掛かる。

左からのナイフの一撃は避け、背後から迫りくる輩には裏拳を顔面に叩き込む。そしてナイフを突き出してきた男を蹴飛ばした。

 

 

「くそっ! このおおおおおおおお!!」

 

「げ!? 銃かよ!!」

 

 

少年の、想像以上の戦闘力に男達もさすがに危機感を覚える。

危機感は冷静さを損なわせる一手なのだが、時には暴走すら巻き起こす。とある一人が取り出した銃。

白斗はロムとラムを巻き込まないように動きながら避けていく。

 

 

「おいやめろ貴様ァ! 俺様の幼女に傷がついたらどうするんだ!」

 

「当てなきゃいいんでしょ! 誘拐するためにゃ、あのガキが邪魔なんだからよォッ!」

 

(誘拐……? この二人を殺すんじゃなくて、誘拐するつもりだったのか?)

 

 

回避しながら、男達の声に耳を傾けた。ロムとラムの二人に関しては、どうやら殺害するつもりはないらしい。

トリックの怒りは、演技には感じられない。ならば二人を痛めつけるようなことはしないと踏む。

それでも誘拐など見過ごせはしないが、二人に物理的な攻撃が及ばないと分かっただけでも勝機が見えてくる。

 

 

「だとしても、見過ごしていい理由にはなんねぇなッ!!」

 

「が!?」

「ほッ!?」

 

 

一瞬にして男達に肉迫し、鋭い拳と蹴りを打ち込む。

倒れた男から銃を蹴り飛ばし、使えない位置に送り込むことで厄介な銃撃を封じた。

これで残るは四人。終わりが見えてきた。

 

 

「クソ……ッ! これ以上俺らに失敗は許されないんだよ……! やれぇッ!!」

 

「「「応!」」」

 

 

これ以上の失敗、恐らく昨日のネプテューヌ暗殺失敗の事だろう。

尚更焦りだす男達は白斗を仕留めるべく一斉に襲い掛かる。全員がナイフを手に、今度は三方向から。

 

 

「チィ……!」

 

 

前方からの攻撃は、白斗のナイフで防ぐ。

左後ろから来る男は、肘鉄で黙らせる。

だが、その反対側から来る男の攻撃は防げず、腕が切り裂かれてしまった。

 

 

「あ……!」

「だ、大丈夫……!?」

 

「大丈夫、だッ!!」

 

 

ナイフを力で押し返し、その勢いで回し蹴り。

蹴りを受けた男は壁に叩きつけられて動けなくなった。そして目の前のナイフの男には。

 

 

「お返しだ! 金的!」

 

「アウッ!?」

 

 

男の永遠の弱点を蹴り上げて戦闘不能にさせた。

普段なら躊躇う手段でも、少年には一切関係ない。

 

 

「さぁ、これで残るはお前一人だぜ? ボケガエル」

 

「グ……小僧ォ……人間の分際で中々やるじゃないか……!!」

 

 

血の滴る腕を伸ばし、その手に握るナイフの刃先を向けた。

どんな相手にも、どんな武器にも、どんな数にも、どんな怪我にも、どんな状況にも怯まない。

たった一人の少年にここまで壊滅させられたこの現状に、トリックの怒りが頂点に達する。

 

 

「だが……このトリック様に勝てると思うなァッ!!」

 

「ぅぉっとぉ!?」

 

 

カエルのような見た目に違わない、舌を伸ばしての攻撃。

シンプルな挙動だが、スピードが段違いだ。

さすがの白斗も咄嗟に身を屈め、その一撃を何とか避けるがその威力で後ろの壁に亀裂が入る。

 

 

「そォらそォらそぉぉぉぉぉらあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「う、お、お、ォッ!!?」

 

 

舌が鞭のように振るわれる。まさに化け物染みたスピード、そしてパワー。

何よりも倒れている他の仲間達もお構いなしという暴れ方。

最悪の場合、ロムとラムを巻き込みかねない。

 

 

「このド畜生が! ロムちゃんとラムちゃんが怪我したらどうすんだっつーの!」

 

 

下手をすれば女神化したネプテューヌ達にも迫るかもしれないこの攻撃力。とにかく、普通には戦っていられないとまずは回避に専念。

そして不用意に踏み込んだところで、その足にワイヤーを巻き付ける。

 

 

「グオ!?」

 

「せぇーのぉーっ!!」

 

「あでっ!!?」

 

 

足を踏み入れるそのタイミングを見計らって、力の限り引っ張る。

するとバランスを崩し、トリックは倒れ込んだ。

その隙に裾からナイフを何本も取り出し、トリックに投げつける。だが当たる直前に障壁の様なものが発生し、ナイフを弾いていく。

 

 

「……っ! 効いてないのか……!」

 

「ハッハッハー!! そんなものまさに爪楊枝同然、効くか効くか効くかァ!!」

 

(チッ、急所を狙って仕留めたいところだがこいつの急所ってどこよ……!? やっぱり喉辺りかね……!?)

 

 

どうやら生半可な攻撃は効かないらしい。白斗にとっては、初めてのタイマンによるモンスターとの戦闘である上に、明らかに勝ち目がなかった。

下手に戦闘に集中しすぎれば、余計なダメージを負う可能性も、ロムとラムに攻撃が及ぶ可能性も否定できない。

 

 

「先程の威勢はどうしたクソガキィ!! オラオラオラァ!!!」

 

 

好機と見たトリックは、その舌を使って滅茶苦茶に暴れる。

舌で周りの物を巻き込んでは、手当たり次第に物を投げてきた。箱、椅子、机、本棚。

重量のある数々が、凄まじいスピードで、幾つも飛んでくる。

 

 

「うおおおおおお!? くそ、滅茶苦茶やってんじゃ……ぐあッ!?」

 

「あ……!」

「だ、大丈夫!?」

 

 

その中で、面積の大きい本棚が白斗に直撃してしまう。

さすがの威力に白斗も吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。衝撃で口から血が吹き出し、不気味な音を立てながら床に落ちていく。

それでも白斗は瓦礫や本棚を押しのけ、立ち上がった。

 

 

「げほっ……! こ、こんなの余裕のよっちゃんよ……!」

 

「痩せ我慢!! 全く、幼女の目の前で何と醜いことか……いい加減くたばれェ!!!」

 

 

双子を安心させるべく、白斗は何とか笑顔を浮かべた。

そんな彼に対し、尚も舌を叩きつけようとするトリック。

狙いは白斗の頭。それを砕くことで彼を殺そうとしている。

 

 

「……ったく、正面戦闘は苦手な上に“これ”、見せたくないんだよ……。 だが、嫌々言ってる場合じゃねぇよな」

 

 

白斗は動かない。逃げない。

覚悟を決め、息を大きく吸い込み、そして言葉を紡いでいく。

 

 

 

 

 

「……コード、オーバーロード・ハート起動」

 

 

 

 

 

自らの心臓があるはずの左胸を抑え、そう呟いた。

途端、彼の“左胸”から光が溢れ出し―――。

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

 

「んなァ!!?」

 

 

トリックの舌を、容易く受け止めた。

確かに戦闘慣れしている白斗だったが、ここまでの力は無かったはずだ。だから投げつけられた本棚を受け止めきれず、吹き飛ばされたはず。

だが、今の彼はトリックとほぼ互角のパワーを発揮している。

 

 

(ぐ……これ、やっぱり負担がデカすぎる……ッ!!! 難儀な“心臓”だぜ、ったくよぉ……!!!)

 

 

しかし受け止めている間、凄まじい激痛が白斗の中で駆け巡る。

激痛が体を引き裂き、また口から血が溢れ出す。

“あるもの”を使って無理矢理身体能力を引き上げる代償に、体を蝕んでいく激痛。常人ならば既に発狂するか、死んでいるかだ。

 

 

(でも、それでもなぁッ……! こんな俺にも、守りたい人たちが出来て……やれることがあるんだ!! なら……逃げてる場合じゃねぇんだよなぁああああっ!!!)

 

 

それでも、それでも逃げることだけはしなかった。倒すべき相手を睨み付け、白斗は拳を構える。

片方の手は、トリックの舌を掴んで引き寄せた。

 

 

「お、オォォォォォ!!?」

 

 

人間とは思えない力にトリックは舌ごと引き寄せられた。

体勢が崩れに崩れ、無防備な腹を晒す。

 

 

「テメェもとっとと……くたばりやがれえええええええええええッ!!!」

 

「グボオェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!?」

 

 

強烈かつ痛快な拳が、トリックの腹に打ち込まれた。

想像を絶する威力にあの障壁は突き破られ、トリックを悶えさせる。

更にトリックの巨体すら吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。

 

 

「ゲホッ、ゴホォ……!! ご、ごの……グゾッダレがあああああああ!! 幼女は……幼女は俺様のものだああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

それでもなお立ち上がり、こちらへと突進してくるトリック。

舌がダメならその巨体を生かした体当たりしかないと考えたのだ。

勢いと全体重を乗せたその一撃で白斗を踏みつぶそうとするが。

 

 

「うるせぇよ」

 

 

白斗はナイフを取り出し、それを投げた。

ただしトリックに向けてではない。彼の真上に存在するシャンデリアに向かって。

ナイフはシャンデリアを繋ぎとめる鎖を切り裂き、そして――――。

 

 

「ヒ……!? ギィィィイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」

 

 

派手な音を立てて、シャンデリアはトリックの真上に落ちてきた。

さすがの怪力も、舌を使って受け止めなければ何の意味もなさない。完全に虚を突かれたトリックは成す術はない

派手な音と衝撃を発生させて、シャンデリアの下敷きになった。

下敷きになってしまったトリックは、だらしなく舌を垂れ下げてピクリとも動かない。

 

 

「ふぅ……、ッ! ゴホッ、ゴボッ……!!」

 

「あ……! た、大変……!」

「し、しっかりして!」

 

 

ようやく敵を全滅させ、白斗が肩の力を抜く。

同時に激痛が鉛のように圧し掛かり、白斗が崩れた。咳き込むと同時に血が溢れ出し、一瞬呼吸が困難になる。

そんな様子を見てしまったロムとラムが涙ながらに駆け寄ってきた。

 

 

「は、ははは……。 大丈夫だよ。 それより、二人は怪我無いか……?」

 

「う、うん……大丈夫だよ……」

 

「助けてくれたから……ラムちゃんも、平気です……」

 

 

血に濡れていない手で、二人の頭を撫でてあげる。

体に負担がかかっているのは白斗なのだが、それ以上に心が傷ついているのはこの子達なのだ。

白斗は出来る限りの笑顔を浮かべて二人の安否を確認する。二人も、涙ながら受け答えははっきりとして、無事を伝えてくれた。

 

 

 

 

「なら、良かった……」

 

 

 

 

ロムとラムが無事だと分かった。その一瞬だけ、白斗は痛みを忘れることが出来た。

それどころか、この上ない充実感が溢れてくる。

彼の安心しきった顔を見て、ロムとラムも彼への警戒心はすっかり消えてしまったようだ。

 

 

「ちょっと移動しようか。 もうすぐ、お姉ちゃん達が迎えに来てくれるからね」

 

「う、うん……!」

 

「無理、しないで……」

 

「してないしてない。 おっと、移動する前にこいつ等捕縛しておかないと……」

 

 

白斗が懐から縄を取り出し、倒れている男達の身柄を拘束しようとした―――その時だ。

 

 

「ゥ……オォオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

「なッ!? あいつ、まだ……!?」

 

 

シャンデリアの下敷きになっていたトリックが、復活したのだ。

気絶していただけあってダメージ自体はあるものの、寧ろそれが引き金となって最後の一暴れをするべく狂っている。

咄嗟にロムとラムを守ろうと抱きかかえる白斗だったが。

 

 

(がッ……!? クソ、こっちは“時間切れ”かよッ……!!?)

 

 

先程とは比べ物にならない激痛が、体を縛った。

そんな彼を見つけたトリックは、自分を下敷きにしたシャンデリアを抱え上げ、白斗に向かって突進する。

 

 

「ギザマァァアアアアアア!! 幼女を寄こせェエエエエエエエエエエエ!!!!!」

 

(く……!! ダメだ、動けねぇ……!!!)

 

 

このままでは自分も、ロムとラムも潰されてしまう。

せめて彼女達だけでも守ろうと力の限り抱きしめ、自らを盾にしようとする。

今、死が眼前にまで迫っていた―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、怒号と共に教会の壁が破られた。

砕け散る壁、吹き飛ぶ破片、舞う粉塵。その中から現れたのは―――。

 

 

「ぶ、ブランさん!?」

 

「「お姉ちゃん!!?」」

 

 

女神化を果たしたホワイトハートことブランだった。

その手には巨大なアックスを手に、圧倒的なパワーで危機に駆けつけるその姿は力強くも、女神のように美しかった。

 

 

「テメェ……ロムとラムを……白斗を!! 傷つけてんじゃねえええええええええ!!!」

 

「グゥボォェエエエエエ!!?」

 

 

豪快な斧の一撃が、トリックを吹き飛ばした。

トリック自慢のあの障壁ですら役に立たないその威力に白斗は唖然となった。

壁に叩きつけられる化け物を他所に、ブランは三人の元へ舞い降りる。

 

 

「お前ら!! 無事か!?」

 

「お姉ちゃん……! うん、わたし達は平気だよ!」

 

「この人が……助けてくれたの……!」

 

 

真っ先にブランが、皆の無事を確認する。

彼女にとって何よりも大事な妹二人は、恐怖に怯えながらも傷一つついていなかった。それに一瞬だけ安心したブランだが、すぐに血の気が引いた。

彼女達の代わりに傷つき、ボロボロになった白斗の姿を見たからだ。

 

 

「は、白斗……!? お前、その傷……っ!!?」

 

「大、丈夫……。 二人を守れたし……ブランさんが、助けに来てくれたから……」

 

 

何でもなさそうに笑顔を浮かべる白斗だが、重体なのは見れ取れた。

腕から血が流れているのは勿論、体中に打撲痕、そして口からは血が溢れていたのだ。

彼がどれだけ傷つきながらも、ロムとラムを守ってくれたか―――ブランには痛いほど伝わってしまう。

その手を取って、顔を俯かせながらブランは言葉を紡ぐ。

 

 

「……ごめん……それと……ありがとう………」

 

「どう、いたしまして……ぐ、ぅッ……」

 

 

圧倒的な力を持つ女神の救援が来ればもう怖いものなしだ。

白斗もようやく肩の荷を下ろしたかのように、へたり込む。

そんな満身創痍な白斗の姿を見て、ホワイトハートは怒りに震える。一方、トリックはあれだけの攻撃を受けて尚、まだ暴れる姿勢を見せていた。

 

 

「……テメェ……よくも……よくもおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」

 

 

ロムとラムを、そして白斗を。

傷つけた輩に対し、殺意にも似た怒りが爆発する。

力の限り斧を振り上げ、トリックに振り下ろそうとするが―――

 

 

「ァガガッ……アククク……。 ルウィーの幼女女神まで来てくれたぁ……幼女は全員!! 俺様のものだああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

トリックは咄嗟に舌を伸ばし、倒れていた男のポケットに伸ばした。

何かを掴んだらしく、それを自らの元へと持ってくる。

だが今更何をしようと、ホワイトハートの怒涛の一撃を受け止められるはずがない。と思った矢先だった。

 

 

「ぐ……っ!? な、何だ……力が……!!?」

 

「な!? ブランさん……どうした!?」

 

 

急にブランの動きが止まった。

あの力強さが急に失われ、その場に座り込む。良く見るとトリックの舌には、怪しい輝きを放つクリスタルが握られていた。

 

 

「あ、あれ……あの水晶……!」

 

「アンチクリスタルって……女神の力を封じるって、言ってた……!」

 

「ッ! あの水晶が原因かっ!!」

 

 

やはり存在していた女神対策。

今まで相手していた白斗はただの人間。アンチクリスタルなど効果が出るはずもないため隠していたのだが、相手がブランであれば話は別。

その効果はテキメンで、ブランは身動きが取れずにいた。

 

 

「アククク!! 女神の居城を襲撃するのに対策なしで来ると思ったかァ!?」

 

(クソぉ……! これが白斗が言ってた女神対策か……! よりにもよってそいつを持ち出されるなんて……どこまで間抜けなんだ私は……!!)

 

 

心の中で悔恨に囚われるブラン。

だがどれだけ悔いようとも、体は動いてくれない。鉛のように重く、腕はまるでしぼんだ風船のように力が抜けていく。

意識すら、少しずつ薄れていくようだ。

 

 

「まずは幼女女神から倒してペロペロだァ!! 頂きま――――」

 

 

トリックはその隙を当然見逃さない。

容赦することなく舌を振り上げる。目の前の女神を叩き潰すために。

 

 

「させるかぁああああああああああああああああ!!」

 

「あ!?」

 

 

それよりも早く、白斗がワイヤーを伸ばした。

ワイヤーはトリックの舌に握られていたアンチクリスタルに巻き付き、それを奪い取る。

引き寄せられたアンチクリスタルは、収納されるワイヤーの勢いに従って白斗の元へと跳んでいき―――。

 

 

「これ以上、ブランさんを……苦しめんじゃねぇよぉおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

―――ナイフによる、一閃。

怪しい輝きの結晶は綺麗に切り裂かれ、その輝きを失わせた。

 

 

「アアアアァァァ!!? き、貴様ァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!?」

 

 

怒りと焦り、そして絶望。

負の感情の、何もかもが織り交ざったトリックの絶叫。だがそれこそが反撃の合図だった。

 

 

「―――ブランさんッ!!!!!」

 

「ッ!! ああ!!」

 

 

途端、力が戻る。

こうなれば彼女を止めるものは、もう何もない。

巨大な斧を振り上げ、そして今度こそ彼女の中の全てを込めた一撃が炸裂する。

 

 

 

 

 

「ぶっ飛びやがれ!! テンツェリン………トロンベェエエエエエッ!!!!!」

 

「ぎィッッッ……やぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!! 幼女バンザ――――――――イ!!!!!」

 

 

 

 

 

豪快な斧の一撃。

その威力は教会全体を揺らすほどだった。あのトリックですら比べ物にならないパワー、これこそが女神の力。

その力に打ちのめされたトリックは、壁をどころか雲を突き破って、絶叫を上げながらゲイムギョウ界の空へと消えていくのだった。

 

 

「……っはぁ……はぁ……。 ったく、アンチクリスタルまで持ち込んでくるなんて……」

 

 

直後、ブランの女神化も解けてしまう。

戦闘自体はそこまで苦戦しなかったのだが、それ以上にここに来るまでの飛行で体力を使ったのだろう。

そもそも白斗がここに辿り着いて、まだ10分程度しか経過していない。それだけ、彼女が限界を超えて飛んできたということの証だ。

 

 

「お姉ちゃん……お姉ちゃぁぁぁん!!」

 

「怖かった……怖かったよぉ……!!」

 

「ロム、ラム……。 あなた達が無事で、本当に良かった……!」

 

 

涙ながらに抱き合う女神三姉妹。

その光景は感動的で、擦り切れた白斗の心に潤いを与える。

微笑ましいものを見るような目で白斗は彼女達の無事を喜んでいたが、ブランは涙を拭おうともせず顔を上げて。

 

 

「……白斗、本当に……ありがとう……!」

 

 

そして、感謝が詰まったその言葉が白斗に降り注いだ。

天使のような微笑みに、思わず白斗も顔を赤くしながらも、喜びを感じてしまう。

 

 

 

 

 

 

(……ああ、俺……こんなにも素敵な笑顔を……守れたん、だな……)

 

 

 

 

 

 

白斗は遠のく意識の中、喜びに耽っていく。

 

 

「……ッ!? 白斗!!? 白斗おおおおおおおお!!!」

 

 

ブランが彼の様子に気づき、こちらに駆けだしてくる。

けれども、間に合わずに彼の意識はブラックアウトした―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――数時間後、舞台は戻りプラネテューヌの教会。

 

 

「ふぅ……やっと戻ってきたな」

 

「ええ……正直、白斗が倒れた時は生きた心地がしなかったわ……」

 

 

日が暮れたプラネテューヌに、白斗とブランが戻ってきた。

ここまで時間が掛かった理由は当然白斗が目覚めることを待っていたこと、その後魔法で応急手当してもらったこと、そして彼らを抱えての女神化による飛行は不可能であるため、定期船を使ってきたためである。

彼ら、というのは白斗に加え―――。

 

 

「やってきましたプラネテューヌ!」

 

「すごい……(わくわく)」

 

 

ロムとラムの二人も着いてきたからである。

あの状態の教会に置いておくのは危険だと判断し、一時的にプラネテューヌの教会で預かることになったのだ。

現在、女神全員が狙われているならば一時的にでも女神全員が集まっている場所に置いておいた方が守りやすいという白斗の提言を受けてのものだった。

 

 

「白斗……今日はその……ごめんなさい……」

 

「謝る必要なんかナッシングっすよ。 ロムちゃんとラムちゃんも、ミナさんもフィナンシェさんも、そしてブランさんも無事だったし、この件にも緘口令敷いてるし」

 

「そういうことじゃなくて……貴方を、こんなにも傷つけてしまって……」

 

「もうやめましょ。 これ以上は堂々巡りになっちまう」

 

 

どうやら終わりよければ全てよし、それが白斗のスタンスらしい。

だがそれでもブランの表情は晴れない。

彼女の心情は察しているつもりで、白斗がからからと笑いながら教会の入り口を潜ると。

 

 

「あー! 白斗――――!!!」

 

「ん? おお、ネプテューヌじゃないか……ぐぼああああああああああ!!!?」

 

 

ネプテューヌが、飛びついてきた。

その衝撃たるや、体力の半分をごっそり持っていくほどだった。女神化していなくても、女神は強し。

だがその女神は白斗の右胸に抱き着いては少し泣いていた。

 

 

「もうっ!! バカバカバカバカッ!!! あんな戦い方しちゃって……私達が心配しないとでも思ったの!?」

 

「み、見てたのか……。 あー、そのー……」

 

「私なんか泣いちゃったんだからね!! ノワールだって……」

 

「ちょ!! ネプテューヌ!! 勝手なこと言わないで!!!」

 

 

彼女の後ろにはノワールが控えていた。

ぷいっと可愛らしくそっぽを向くが、その目は赤く腫れていた。どうやら相当な心配をかけてしまったらしい。

何より女の涙に弱い白斗は、素直に頭を下げた。

 

 

「……二人とも、心配をかけてごめん。 でも無事、任務完了です」

 

「無事ではありませんわよ。 白斗君、想像以上のやんちゃぶりでしたわ……」

 

「ベールさん、言いっこ無しですよ~。 みんなこの通り無事ですから」

 

 

更にその後ろからベールが少し、心配を含んだ目で白斗を見てきた。

包容力溢れる雰囲気に少したじろぎつつも、白斗は連れてきたロムとラムを前面に押し出す。

 

 

「うん! お兄ちゃんのおかげ!」

 

「……お兄ちゃん、ありがとう……(ぺこぺこ)」

 

「ん? オニイチャン……?」

 

 

その言葉を聞いた途端、ネプテューヌの目が怪しく光った。

天真爛漫な彼女に刺した影に思わず恐れを抱く白斗。

対するロムとラムは白斗の足元に抱き着いては頬を摺り寄せている。お転婆なラムはともかく、人見知りなロムまで。

 

 

「あ、あはは……何故か懐かれたみたいで……」

 

「二人のために戦ったんだもの。 懐かれても、おかしくないけど……」

 

「……白斗はモテるわね~」

 

「ホントにね~」

 

 

可愛らしい女の子に懐かれて満更でもなさそうな白斗。

対するブラン、ノワール、そしてネプテューヌの視線は冷たく突き刺さる。色々板挟みな状況に、白斗は冷や汗が止まらない。

 

 

「あ、白斗帰ってきた! コンパ、居たわ!」

 

「ぎくぅっ!?」

 

「白斗さん、逃げちゃダメですよ! 治療のお時間です!」

 

「も、もう治ったから良いってーの!!」

 

 

更にそこへアイエフとコンパも飛び出してくる。

目的は当然、怪我を負った白斗の治療だろう。だが、医者嫌いを公言している白斗からしたら彼女は恐怖の対象でしかない。

 

 

「逃がさないわよ! ネプギア、ユニ! 白斗を捕えなさい!」

 

「「了解っ!!」」

 

「だああああああ!! 人海戦術はやめろおおおおおおお!!!」

 

 

白斗を捕えるべく、更にネプギアとユニまで動員された。

 

 

「何々ー!? お兄ちゃんと鬼ごっこー!? 待てー!!」

 

「お兄ちゃん、待てー♪」

 

「ロムちゃんとラムちゃんまでー!? ちょ、止ーめーてー!!?」

 

 

何やら遊んでいると勘違いした二人まで追いかけっこに加わってしまう。

更に増える、元気な追跡者に白斗は涙ながら逃げ回るのだった。

結局、白斗の強情さに折れて腕の傷跡のみコンパが治療、後は白斗自身がするということで手打ちになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――その夜、白斗の治療も一応終えてのリビング。

そこには各国の女神とその妹達が一斉に夕食を共にしていた。

 

 

「―――と、言うことで友好条約を結ぶまでの間はこちらでお世話になるわ」

 

「ええ。 ロムとラムも、白斗の傍に居た方が安心だし……」

 

「ただ、仕事とゲームで抜けなければならない時は出てきてしまいますが……」

 

 

今日の一件で、友好条約に亀裂を入れるため女神を害そうとする連中がいることが明らかになった。

ならばその彼女達を守りやすくするためには一ヵ所に留まってもらいたい。

白斗の提案がこちらにも受け入れられ、友好条約までの数日間はこうしてくらすことになったのである。

 

 

「うんうん! これでみんな仲良しー、って感じだね!」

 

「勘違いしないで。 これも仕事だからよ」

 

 

相変わらずのツンデレぶりを発揮するノワールだった。

だがそれでもネプテューヌの思いを否定しているわけではない。

一方のブランは、ちらちらとネプテューヌの顔を覗いては俯き、を繰り返していたがやがて意を決したのか彼女と向き合う。

 

 

「……ネプテューヌ。 今日はあなたも……その……ありがとう」

 

「え? 何が?」

 

「……転移装置の件。 あれがなかったら、今頃ロムとラムが……それに、そのためにシェアを大量に消費させてしまって……」

 

「気にしない気にしない! 終わりよければ全てよしなんだから!」

 

 

シェアの大量消費は本来であれば大事だろう。

だが、ネプテューヌはそれでも特に気にすることは無かった。

彼女が不真面目だからではない。彼女が“女神”だからだ。そんな彼女達を見て、白斗も猶更決意を固める。

 

 

(何はともあれ、これからが本番か……友好条約が結ばれるまで、ネプテューヌ達を守るだけじゃなくて、事件の黒幕を突き止めないと……)

 

 

ジュースを飲みながら、白斗はふとそんなことを考えていた。

本当だったら心細くて、寧ろ疑心暗鬼に陥ても仕方ないはずなのにネプテューヌの、周りを思いやる心は決して変わることは無い。

それ故に見せてくれるあの笑顔を―――どうしても守りたいと思った。

彼女達だけではない、ノワールも、ブランも、ベールも、この場に居る皆も。

 

 

「あー、白斗ったらまた難しい顔をしてるー!」

 

「してない。 お前がお気楽なだけ」

 

「「「「「確かに」」」」」

 

「ねぷぅ!? みんなまで酷い!!」

 

 

ぷくーと頬を膨らませるネプテューヌ。

お気楽とは言ったが、それもまた彼女の魅力なのだろうと白斗は思う。

頬に詰めた空気を吐き出し、ネプテューヌはまたあの眩しい笑顔を白斗に向けてくる。

 

 

「それはそうと……白斗、ホントにありがとね。 私達を、守ってくれて」

 

「いいよ、俺がやりたかったんだから。 ……で、ナニコレ?」

 

 

白斗の目の前にとあるグラスが差し出された。

と言っても中に入っているのは液体ではない。

グラスの上に乗せられたもの、それはぷるんと震える黄金の甘味―――。

 

 

 

 

「プラネテューヌ国民一押しのお菓子屋さんによる一日十個限定、私へのご褒美用プリン! 守ってくれた白斗に、私からのお礼! ……白斗、本当にありがとう!」

 

 

 

 

ネプテューヌが向けてくれた眩しいまでの笑顔。

見るだけで元気が湧いてきて、心が満たされて、そして心臓が大きく打ち鳴らされる。

そんな気恥ずかしさを隠すかのように、少しぶっきらぼうな態度で接してみた。

 

 

「あ、あはは……プリンと来たか……。 でも……ありがとな、ネプテューヌ」」

 

 

プリンを有難く頂戴する白斗。そして、ネプテューヌに向けられる惜しみない笑顔。

これが最高の笑顔を向けてくれた彼女に対する、最大の返礼だった。

 

 

「……う、ううん! しっかり味わってね! それじゃ、ご馳走様ぁー!!」

 

 

その笑顔に見惚れていたのか、一瞬呆けていたようだ。

白斗にお礼としたプリンを差し出すや否や、ネプテューヌは走り去ってしまった。

―――その顔を、赤く染めながら。

 

 

「「「「「……………………」」」」」

 

「ん? 皆さん、ドウシマシタ?」

 

 

一方、唖然と眺めていたのはその他の皆だ。

まるで信じられないものを見たと言わんばかりの光景だ。

当然何が何やら理解が追い付かない白斗に、皆を代表してネプギアが説明してくれる。

 

 

「は、白斗さん……。 お姉ちゃんは、無類のプリン好きなんです。 プリンを奪われると怒るくらいに」

 

「ほー、そうなのか。 らしいっちゃらしいかな」

 

「でも、そんなお姉ちゃんが自分の、しかもあの限定プリンをあげるなんて……それだけ白斗さんに感謝しているんですよ」

 

「はは……なんか、ネプテューヌらしいっちゃらしいな」

 

 

苦笑いしつつも、これが彼女なりの最大の感謝なのだろう。

ならばしっかりと味わなければならない。

と、ここで更に白斗の皿に肉が一切れ乗せられる。それは、ノワールからだった。

よく見ると、何やら嫉妬が織り交じった顔になっている。

 

 

「はい、お肉あげる」

 

「へ? ノワールさん?」

 

「わ、私からのお礼よ! ……守ってくれて、ありがと……」

 

「い、いえいえ……ありがとうございます」

 

 

肉は嬉しいのだが、これもお礼扱いなのか。

とは言え、この二、三日彼女を見ていて分かったのは彼女はとても真面目であると同時に不器用でもあるということ。

そんな彼女がしてくれた、精一杯の感情表現を無碍には出来ない。

 

 

「それと、私の事はノワールでいいわ。 敬語もいらない」

 

「え? でも……」

 

「こ、これもお礼よ! しっかり受け取っておきなさい!」

 

「へ? あ、ああ……よろしくな、ノワール」

 

 

女神様と対等に話せるのも、立派なご褒美。

そう受け取った白斗は、優しい微笑みをノワールに向けた。すると彼女は顔を赤らめて漁ったの方向へ顔を向けてしまう。

当初抱いていた白斗への警戒心も今ではすっかり信頼へと変わっていた。

―――そんな一連の流れを快く思わない、白の女神が一人。

 

 

「……白斗、こっちの唐揚げも……」

 

「ぶ、ブランさんまで……」

 

「私もフランクに接してくれていい。 敬語も要らない……りぴーと、あふたみー」

 

「お、おう……。 ありがとう、ブラン……」

 

「うん、よろしい」

 

 

彼女の要望通り、フランクに接してみると、ブランは雪のように柔らかい微笑みを向けてくれた。

まさに天使、いや女神だ。

 

 

「あらあら、青春ですわね~」

 

 

そんな様子を、どこか羨ましそうに眺めているベール。

 

 

(でも何でしょう……私だけ蚊帳の外感が否めませんわ……。 それに白斗君と余りお喋り出来ないのも面白くないですわね……)

 

 

溜め息一つ。

このアンニュイな感情が晴れるのは、また後日の話―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ねぷぅ……とても恥ずかしかったよぅ……)

 

 

一方その頃、ネプテューヌは自室のベッドで枕を抱きしめながら寝転がっていた。

思えば、この24時間の間に様々な出来事が起きた。

ネプテューヌ暗殺未遂から始まりノワール狙撃未遂、そしてロムとラムの誘拐未遂。普通であれば、友好条約など破棄されてもおかしくない事案。

それらを全て解決し、ネプテューヌの思いを守ってくれた少年―――白斗の姿が脳裏に過る。

 

 

(昨日の夜からだ……白斗が戦ってる姿を見て、カッコイイって思っちゃったし、白斗が傷ついた姿を見て、私も痛くなっちゃったし……白斗が守ってくれるって言われて、嬉しくなっちゃって……どうしたんだろ、私……?)

 

 

彼を思うと、ネプテューヌの心がざわついた。

時に憧れ、時に切なく、時に幸せになる。

女神として悠久の時を生きてきた彼女でも、この感情の名前は分からなかった。

 

 

(おまけに大事なプリンあげちゃうなんて……でも、白斗が喜んでくれて良かった……。 あれだけじゃ、まだ感謝し足りないけど……)

 

 

この感情自体を自覚したのは、あのプリンをあげた一幕。

彼が見せてくれたあの笑顔で、彼女の心臓は大きく打ち鳴らされ、体温が最高潮に達してしまった。

思わず、逃げるようにこの部屋に駆け込んでしまった。、今のこの顔を見られるのが、恥ずかしいから。

 

 

 

 

 

―――もう大丈夫だ、ネプテューヌ。 ……俺が、守るから―――

 

 

 

 

 

「~~~~~~っ!!?」

 

 

そして、あの運命の夜の白斗の姿、声、体温が未だに脳内再生される。

ネプテューヌの頭の中は、それだけでキャパシティーオーバーしかけ、枕に顔を埋めては声にならない声を上げている。

体が燃えるように熱く、心臓はバクバクとうるさいくらいに鳴り響いていた。それを紛らせるかのように、身悶えしながらバタ足を繰り返す。

 

 

(はぁ~……明日から白斗の顔をまともに見られるかなぁ~……。 でも、明日も白斗の顔を見たい……はうう~、何なのこれ~~~~!!?)

 

 

矛盾した感情、二律背反。

そんな言葉でさえ脳内に浮かばないほど、彼女の頭の中は白斗一色で染められている。

やり場のない想いに、ネプテューヌのバタ足は更に加速した。

確かに、苦しい。でも、その苦しさは決して嫌ではない。

 

 

 

(……でも、幸せだなぁ……えへへ)

 

 

 

白斗の事を思えば、幸せになれる。

明日は白斗とどんなことを話そうか、どんなことをして遊ぼうか、どんなことで白斗と過ごそうか。

そんな思いを抱えながら彼女の夜は更けていった―――。




サブタイの元ネタ「走れメロス」

と言うわけで一気に投稿!
ここである意味ようやく冒頭に当たる部分が終わったと思います。
この世界、女神様達の現状、そして黒原白斗というキャラクターをお伝えするためにここまで一気に投稿しました。
さて、白斗ですが何故彼はこうも任務染みた行動が出来るのか、そしてあんな力を発揮できるのか、そして一体何があったのか。
徐々に、徐々にですがネプテューヌ達と一緒に見守っていただければと思います。
……にしてもフラグ立て過ぎだろお前ェ……。
さて、次回ですがまだ唯一フラグが立ってないあのキャラとのお話!お楽しみに!
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