舞鶴第一鎮守府の日常 作:瀬田
事の始まりは、夏季特別海域攻略作戦のお祝いの二次会を、この四人で行おうという明石の発案だった。
潜水艦作戦を支える潜水母艦と、それを指揮する戦闘指揮艦、そして補給、修復面を支えた工作艦たちの活躍は他の戦闘艦娘たちとはまた違ったものとなり、したがって同艦種で集まって、互いに労おうという彼女の発言はもっともなものだった。
(だけど…)
しかし、それは同時にある事実を意味していた。それは、その四人のうちの一人である大鯨――今は龍鳳だが――にとって見過ごすことのできない事実でもあった。
「――ぷはぁ!うまいっ」
「いやー…やっぱお酒最高だわ。というか、ビール最高」
「なに言ってんですか。日本人なら日本酒飲まなくてどーすんですか。ひっく」
「あ、あのぉ…」
――龍鳳を除く三人は、そろいもそろって酒癖がひどいということなのだ。
「ちょっ、そんな一気に飲みするのは危ないですよぉ!」
「いーじゃないですか。こんな時くらい飲まないとやってられないんですよぉ!…ひっく」
「あっはっは!大淀酔いすぎだって!酒弱いのに日本酒とか飲むから」
「明石さんも笑いすぎですぅ!やっぱり酔ってるんじゃないですかぁ」
「「あっはっは!」」
龍鳳による制止をものともせず、浴びるように酒を飲み続ける三人組。普段は割と大人しい方――というか、担当分野に物凄い熱量を注いでいるために騒ぐといったことがない分、いざ酒を入れるとなるとここまで豹変してしまうものなのかと舌を巻きつつも嘆息する。
「もぉ…」
「まあまあ、龍鳳も飲みなよ、はいこれ、私のビールだから」
「『私のビール』とか言いながらメロン味のビール作っちゃってる辺り、完全に夕張ですよね」
「完全に夕張ってなんだよ」
「まあまあメロンちゃん落ち着いて」
「誰がメロンだ誰が!」
「まあ胸はメロンどころか
「わざわざ平たいということを表現するためだけに蟠桃を持ち出してくるのは流石大淀だよね」
「くそっ…見たことないのに形だけは分かる…ってかそれに関してはあんたもでしょうが!」
「言ってしまいましたね…それを…」
「あっはっは!」
やりたい放題の三人組を見ていると、尚更溜息が出てくる。この惨状はひとえに酒、つまりはアルコールがもたらしたものだということを考えると、やはり酒というものは十分気を付けなければならないというのが分かる。
比較的頭脳派であるはずの(というか、大淀に至っては艦隊の頭脳であるはずなのだが)彼女らとは思えない乱れっぷりだ。
「要らないのよ。
「そーだそーだ!」
「必要なだけ?今必要なだけって言った?」
「うるせえええ!」
「もおおおおぉ!」
見ていられず叫び出した龍鳳に、酔っ払いの半目の目線が集まる。完全に呑まれているのか、びっくりしているといってもほとんど半笑いの節がある。
「うわっ、どうしたのよ龍鳳」
「皆さん酔いすぎですよ!明日もありますし流石にこれ以上は…」
「だいじょーぶですよ…明日は提督の出勤ですし、艦隊指揮は吹雪さんが代行してくれるそうですし」
「工廠もさっき修理終わらせてきたしねー。やっぱ夕張と五月雨ちゃんいるから効率が違ったわ」
「ふふん、やるでしょ」
「流石夕張、仕事上手」
「夕張
「でも胸はメロンじゃない…どうして?教えてよ大淀!」
「訳アリなんでしょう、きっと…
「うるせえええ!」
「「あっはっは!」」
「もうやだ…」
唯一のストッパーを差し置いて大笑いする酔っ払い一同。完全に顔がアルコールで赤く染まっており、もはや事態の収束は不可能だということを、残酷にも龍鳳は悟らされていたのだった。
ふと、目線を三人から逸らしていると、畳に置かれた机の脚の裏側に震えながら隠れていた妖精さんを見つけた。
「…どうしたんですか?」
「や、やべーです…ここからはやくにげましょう」
「に、逃げる?」
事の重大さを伝える妖精さんは、今にも逃げ出そうとしている。それほどまでに、彼女らに捕まるということは不味いのだろうか。まあ、なんとなく分かってしまうのだが――
龍鳳の掌に乗ってわたわたと両腕を振る妖精さん。
「かんむすのかたがた、おさけをのむとひょうへんするひとおおいです」
「つかまったらいっかんのおわり」
「そのご、かのじょをみたものはいなかった――」
「ま、まあそれは明石さんたちを見れば分かりますけど…皆さん全員がそういう訳では――」
「…そりゃ、おぼえてないですよね」
「え?」
ぼそっと声を発した妖精さんが何を言ったかは聞き取れなかったが、おそらくは大抵明石たちへの愚痴だろうと思った。
頭上に疑問符を冠したままの龍鳳に溜息をついて、妖精さんは宙を眺めている。
「…あっ、きたきた、きました」
「え、な、何が――」
そう言った途端、目の前に何か、高速の物体が通過した。驚いてのけぞりそうになる。
「な、何ですかぁ!?」
「きんきゅうだっしゅつのための、やむをえないそちです」
その物体――龍鳳自身も見覚えのあるそれは三機の艦載機、もっと言えば艦上偵察機「彩雲」である。
まさに「我ニ追イツク敵機無シ」と言わんばかりに高速で再び掌上を走り抜け、そこへ絶妙なタイミングで妖精さんが飛び乗る。
やむを得ない措置、というのは恐らく艦載機の無断使用ということだろうが、罰せられるのは離艦のための飛行甲板を貸し付けたか、妖精さんに気付かないまま甲板そのものをほったらかしにした空母艦娘の誰かなので問題ないのだろう。
「――りゅうほうさんも、ほどほどにしてくださいね」
そんな言葉が、聞こえた気がした。
「えええ…」
あっという間に見えなくなった彩雲が飛び去って行った方向を、呆気に取られて見つめたままの龍鳳。
一体彼女の言葉がどういう意味を持っているのかが分からなかった。
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「…でさぁ、私、特技とかあるわけでもないし?真面目にっていうか、何かを続けることくらいしかできなくて、自己嫌悪に浸ってたわけ。でも提督は『自分の為に、他人の為に努力できる君は素晴らしい』って…」
「うあー。言われてみてぇ…」
「それ最高ですよね…任務で死にそうになってる時にループ再生して聞いていたいです」
各々は一通り作戦での活躍を労いあい、大量の猫を見ただの夜戦バカがうるさいだのとこの頃の近況報告を済ませると、今度は提督についてのあれやこれやの話題を持ち出した。
「提督はどうなんだろうねー。好みのタイプとかあるのかな。今は執務が恋人って感じだけど」
「実際エグいですよ。私や吹雪ちゃんが補佐してるって言ったって、ほんの一部ですし」
「さっきの話の時も、朝の遠征部隊を見送りに来て私を見つけたらしいし、一体いつ寝てるのって話なのよね」
彼の元に着任してから、それぞれ差はあれど五年程が経とうとしている訳だが、謎は深まるばかりである。
ともかく彼女らの目には、提督はかなり魅力的に映っているようであった。
「龍鳳はどうなの?提督のこと何か知ってる?」
「へっ、私ですか!?」
謎の答えを迫る三人組の目線が、龍鳳に向けられる。
当の本人は完全に予想外だったらしく、慌てた口調で返事をした。
「鳳翔さんと一緒にデッキブラシでしばき倒したってことしか知らない、私」
「そ、それは誤解なんですぅ!」
「それあったねー、もう懐かしい」
「んでんで、どうなのよ龍鳳」
「えと…そ、それは…」
もじもじと両人差し指をつつき合わせる龍鳳は、かなり照れているのか、呑んでもいないのに顔が真っ赤になっている。
そんな彼女の様子に業を煮やした艦娘が忍び寄っていた。
「龍鳳、あーんして」
「ふぇ?あー…」
「ほい」
「んぶっ!?」
夕張が特製ビール(メロン風味)を龍鳳に流し込む。みるみるうちに顔を赤くして、かくっと首を垂れた。
「ええ…大丈夫なのそれは」
「まあまあ」
「おーい、りゅーほー?」
「…です」
「へ?」
「好きなんですぅ!」
「「…」」
突然のカミングアウトをかました龍鳳に、三人が呆気に取られてぽかんと彼女を見守っていた。
頬は先程までより赤みが増しており、彼女がどれだけ酔っているのかというより、どれだけ酒に弱いというのかが分かる。
「りゅ、龍鳳…?」
「龍鳳さんの秘密を知りたいという訳ではないんですが…」
「これ絶対酔ってるよね?」
三者三様の反応を見せるが、予想外のシャウトに驚きのあまり酔いが覚めた明石たち。何か、龍鳳の奥深くに秘められたものを解放してしまったような気がして焦り始める。
「私、てーとくさんのことが好きなんですよ」
「存じ上げております」
「ここに来る前の鎮守府じゃあ、訳も分からず潜水艦作戦に連れていかれて、失敗したら延々と叱られて…何が悪いのかも分からないまま、バケツを被ってまた再出撃…もううんざりでした。でも、ここのてーとくさんは親身になって一から教えてくれて…自分が眠る時間なんかお構いなしで」
「お、おう…」
「だから今度こそ恩返ししたいんです!ついでに恋人艦にもなりたいんです!」
「ついででなられちゃ困りますね」
溢れ出る思いが止まらない龍鳳であったが、それぞれ共感はできるのだろうか(若干引き気味ではあるが)、明石などは腕組みをしながら頷いていたりする。
「まあ、みんな思ってることは近いってことですよね」
「そのためにどうするかが問題ってことよねー…」
「龍鳳さんは提督のことで、何か知ってたりしますか?」
「ええとぉ…あっ、由良さんと古いお友達だったそうですが」
「あー…由良ねぇ」
「夕張、なんか知ってるの」
なにやら深刻そうな表情の夕張。それが由良の話題に因るものだと予感して、大淀も似たような顔になった。
「あの子、めちゃくちゃ仲良いですもんね…」
「再会の約束までしてたらしいじゃない。舞鶴まで回航してきたときもめちゃくちゃにやけてたし」
「両想いですかねぇ…」
「そんなの勝てるはずないじゃない…」
「はぁー…もうまじ無理…」
夕張はぐだぁ、と卓に伏せるが、思いは龍鳳たちも同じようで、あまりの恋路の困難さに挫けそうになっているようだ。
由良がその座に着くかどうかは置いておくとしても、実際に夕張が漏らした言葉の通りであって、分け隔てなく艦娘たちに接している彼にとっての一番になるには、まだまだ遠いように思えた。
「でも大淀とかいいじゃん、提督と毎日顔合わせてる訳だし」
「そうなんですかぁ!?羨ましいです」
「合わせるつっても書類とですしねぇ…雰囲気もなにもあったもんじゃないですよ」
「そういや先週夜勤明けに改修報告しようと執務室に寄ったけど、大淀も提督も顔物凄かったもんね」
「アイシャドウとか言ってられないですよ」
「大淀がメイク道具の話でボケてるんだけど…」
「この子なりに知識を振り絞ってるんだから最後までやらせてあげましょうよ」
「ふ…ふふっ…」
「ちょっと、なに龍鳳さんまで笑ってるんですか」
不満げな顔をする大淀。実のところ、潮水に血汗入り混じる戦闘に化粧もなにもあったものではないので、彼女のようにそれらに手を出さない艦娘は多い。もっともはじめから必要ないと口を揃えて言う者が大半なのだが――。
「まぁ男性だし、その辺の事情も知らずに提督になった人だしねぇ」
「私服だってついこの間までなかったですもんね」
「…え、そうなの?」
何故提督の私服の事情を知っているのかはともかく、告げられた事実にはもはや悲嘆や同情などできずに唖然としてしまう。
いつか教えてもらった彼の過去は確かに凄絶で、想像などできないほどだったが、こうして現在も彼が背負い続けているものの重さを考えれば、途方もないストレスと責任感が彼を襲っているのだと感じられた。
まさか私服の話ひとつで、ここまで心が痛むとは思ってもいなかった四人。
「ほんと、色々と凄いひとよねぇ…」
「だからこその人望じゃない?私だって、この鎮守府で特別困ったことなんてなかったけど。その分提督が気を配ってくれてたってのもあると思う」
「普通なら、それに応えなきゃってなりますもんね」
「まあ、問題意識はあれど、今はこのままでいいのではないでしょうか?艦娘には艦娘、提督には提督に適した役割があるはずです。書類や艦隊指揮も、吹雪ちゃんや私だけではなくて、熊野さんや連合艦隊の方も参加されるようになっています。段階を踏んで、提督の負担を減らしていければ」
「私たちは改修工廠、龍鳳は烹炊に潜水艦ね。それぞれ得意技を活かしてサポートするってことか」
「なんかやる気出てきたわね…いよっし、明日からも頑張るかぁ!」
「おーっ!」
酔いは回っていたが、熱意は本物だった。
威勢よく鬨の声を上げて再び乾杯をした四人は、その後も熱を帯びた会話を繰り広げ、時に激論を交わすのであった――。
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「たすけて、たすけてください」
「かくまってくれぇ」
「お、おお…?」
“イベント”後定例となった書類との殴り合い(婉曲表現)にひと段落つけてコーヒーを啜っていると、扉を抉じ開けて妖精さんたちが入ってきた。船ではなく艦載機だが、掲げている信号機は白地に赤のばつ印、つまりV旗は『救援求ム』の信号だろうか、他二名の妖精さんたちがC旗、B旗と交互に掲げているので恐らく間違いない。
「どうしたどうした」
「よっぱらいどもがごらんしん」
「まさかここまでとは」
「酔っ払い…?戦勝会は昨日だったような気がするが」
突然の乱入に困惑するが、冷静になると何故艦載機が鎮守府内で飛行しているのかが気になる。
それほどまでに逼迫した状況であれば哨戒機や警戒線部隊からの連絡がないとおかしい。
そう考えて、妖精さんのきまぐれかとも思えば、彼らはかなりの焦燥した表情を浮かべているので、一体何事なのかと当惑してしまっていた。
「じつはあかしさんたちがかくかくしかじか」
「明石が?…ああ、そうか。今日は四人で祝勝会をするって言っていたな」
「りゅうほうさんがよそういじょうによわかった」
「…止める子がいないってことだな」
なんとなく事情を察した提督。この慌てようでは相当なのだろう。
経験上、本音を言えばなかなか気乗りしないことは事実なのだが(隼鷹や千歳で慣れているので)、それは艦娘ではなく酒のせいなのだと腰を上げる。
「よし、行こうか」
「ごどうこうかんしゃします」
敬礼する妖精さんに手を差し出して肩に乗せ、タオルや水、そして何に使うのかはお察しのビニール袋と新聞紙の入ったバッグを持って、彼女らの待つ宴会場へと向かうのだった。
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「んみゃあー…あれ、てーとくう?」
「相当呑んだんだな。…なんだこれ、ウォッカの空きビンか!?」
「まだもういっぽんあります」
「おおう…これは凄いな。ほら夕張、少し冷たいが水だ。飲めるだけ飲め」
「ありがとー…んぐっ」
横になっていた夕張の背を支えて、主人のいない酒保から買った水をゆっくりと飲ませる。代金は代理の妖精さんに支払い済みだ。
「うええ…きつい…もう無理ぃ」
「ま、不味い!妖精さん、頼む」
「びにーるたい、あかしさんのまえへーっ!」
「おろろろろ…」
おおよそ国防を担う艦娘とは少しも相応しくない惨状(嘔吐)の現場から目を逸らして、提督は遠くを見つめていた。
考え方を変えればこれも提督の務めだ…と思っておきつつ、ともかく膝元で寝かせている夕張を用意したクッションの上へ寝かせて、軍装を緩めてもらうように妖精さんに指示し、彼女らと場所を交代する。
「…詰まりはないようだな。明石、きついか」
「…ゔあー…頭痛いですぅ」
「頭痛だな。薬も渡すから、少しずつ飲んでくれ」
「飲ませてくらさいー…」
「…分かった、分かったから離してくれ」
明朝このやり取りを咎められたくないので気は進まないのだが、仕方なく夕張と同じようにする。
妖精さんが対処中の大淀はほぼ熟睡なので、恐らく今すぐ問題は起こらないであろうと思う。
――したがって、目下の問題は部屋の奥で一升瓶を抱えて座る彼女、龍鳳のみとなった。
「おおよどさんのしょち、かんりょうです」
「よし、最後だ。そうだな…人員はビニール袋の君たちを残して片付けに回ってくれ」
「がってんしょうち」
旗を振ってテーブルの方へ向かった彼女らから目線を龍鳳に向ける。大淀と同じように眠っているようであったが、すぐそばで腰を下ろすと、うっすらと目を開けた。
「ん…あれぇ、てーとくぅ?」
「龍鳳、大丈夫か。酔っていないか」
「よってなんかいませんよぉー」
「おっと!りゅ、龍鳳」
全く信憑性のない言葉を吐きつつ、提督に抱きついた龍鳳を深刻そうな眼差しで妖精さんたちが見守っている。
つまりは、提督の胸元で爆撃(意味浅)をされてしまうと、大変なことになるわけで――。
「――ゔっ…!」
「りゅうほうさんっ…ま、まさかッ」
「…っ」
迫真の叫び声を上げた妖精さんを見て、提督は察した。
濁流()が胸元を奔りゆくのを眺めながら、彼はそれでも、これも日々戦いを繰り広げる艦娘たちを支えるという重要な仕事なのだと、そう思うしかないのであった。
「あら、提督。おはようございます」
「間宮。おはよう」
翌日朝、夜の騒乱を妖精さんと共に何とか切り抜けた提督は殆ど徹夜だった。
あれから例の現場を思い出して
「今朝はしじみ汁か。ありがたい」
「提督、お好きでしたか?」
「いや…あの子たちがね」
振り返ったその先には、食堂の卓で頭を抱える艦娘たちの姿。
「い、いたいぃ…」
「完全に飲み過ぎましたよね…でも、なんだかいつもより楽みたい」
「昨日のこと、なぜか覚えてないのよねぇ…龍鳳は?」
「私もです。うーん…」
そんな彼女らの会話に苦笑いを向けた提督と、受け取り口の台の上で、肩を竦ませて両手を上げる妖精さんの様子で、間宮はなんとなく、昨夜のあったことを理解したようであった。
加えて、日に日に濃くなっている上司の目の隈の深さが、それを肯定している。
「まあ、そんな訳だ。今日は早めに休もうか」
「きょうはこうしょうもおやすみですし」
「な、何だか申し訳ありません。それとなく、言っておきますので」
「わたしだってゆったんですよ。『ほどほどに』って」
「ははは…そうなのか」
乾いた笑いで、改めて四人の卓の方へ目線を移す。
見た目と年齢は違うとは感じつつも、やはりこうしたところを考慮すると呑まれてしまう部分もあるのだろう。
しかしながら、呑まれることも教訓になる…ことを願っている。
「…妖精さんには申し訳ないが、これも大切なことだろう。日頃の鬱憤を晴らして労い合うのは必要だ」
「それでは、こんやはわれわれのばんですか」
「私もご一緒します。間宮特製のご馳走を用意しますよ」
「いいな。俺も手伝おう」
妖精さんの魅力的な提案に、二人は快く頷いた。
鎮守府でも随一の働き者が集まる酒会は、一体なにが肴になるのか、そしてどうなるのかすらも分からないが、これでも三者ともに期待感を胸に膨らませていることは確かなようだった。
「ん―…?」
一方、龍鳳たちの卓では、昨夜の記憶を思い出そうと首を傾げる者と、頭痛に悩まされる者、メガネの曇りを拭く者などなど、ともかく、昨夜の真相に辿り着く者はいないようであった。
それでも、やがてそれに気付く龍鳳たちが羞恥のあまり部屋に引きこもることになるのは、また別の話。
海外艦、もし追加するなら初登場は
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ドイツ艦
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イタリア艦
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ロシア艦
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アメリカ艦
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イギリス艦