舞鶴第一鎮守府の日常 作:瀬田
空母寮への訪問をきっかけにして、彼女らの沖ノ島沖における敵主力部隊掃討戦に向けた演習が始まった。
偶然に遭遇した一航戦の二人と面会し、一目でそれがあの戦いでその最期を看取った空母であると感じ取った萩風が、涙を浮かべたことに気付いたのだろう、赤城と加賀は彼女を迎え入れるように抱き留めて、込み上げる思いを噛みしめながら、「お久しぶりです」とだけ言った。
そんな感動の再会もあったものの、二週間という期間は意外に短い。後に必ず、という条件で名残惜しさを振り切り、赤城の情報から、既に演習を始めているらしい空母の元へと、今度は演習場へと踵を返した。
「あら、来たわね!」
「あっ、ほんとだ」
演習海域を望む母港桟橋近くまでやってくると、その空母――正確には、正規空母一人と軽空母一人だが――は四人に大きく手を振った。
背の高い、元気溌剌とした艦娘は雲龍型航空母艦の末妹、葛城であり、その傍で花が咲いたようにパッと笑顔を向けたのは、祥鳳型軽空母二番艦の瑞鳳だ。
「あなたが萩風ちゃん?」
「はい。本日よりこちらに着任いたしました。よろしくお願い致します、先輩方」
「よろしくね。といっても、艦としては私、最後の方に建造されたから萩風の方が先輩になるんだけどね」
「先輩後輩はなしにしても、すっごい大人っぽいね」
「そうだよな。瑞鳳、それに比べて…若いな、色々と」
「もーっ、それどういう意味?」
小柄な瑞鳳の体躯は、どこか小動物的なものを感じさせるため、駆逐艦の中に紛れて(もれなく龍驤も同様に)お姉さま方にる可愛がられていることがある。姉の祥鳳がよい例で、面倒見の良い彼女に頭を撫でられている様子は、もはや親子間のそれに近く、しかし瑞鳳はふくれっ面で否定するのであった。
「やはり皆さん、仲がよろしいのですね」
「空母と駆逐艦だから、他の鎮守府では強い上下関係で縛られているって聞くけど、うちは緩いのよね、そういうところ」
「私たち空母だけでは戦いに勝てないわ。もちろん直掩機もいるけれど、護衛にあなた達がいなければ安定しない。お互いの役割を果たし合うことで、勝利を確実にすることができる…そういう部分を重視したって、提督が言っていたわ」
「司令が…」
「まあ、そんなわけだ。私たちにも、もっと軽く接してくれよ」
「丁寧で、尊敬を忘れないという意味では、長波にも見習って欲しいけどね」
「うっ」
「ふふふ…」
初霜が思わず吹き出して、「おい、そこまで笑うことかよ!?」と長波が抗議すると、周囲もつられてどっと笑いだす。
そんな艦隊のム―ドに旗艦である葛城は安堵し、同時に、
(この子たちをしっかり守らないと…勝つためにも)
と、強い責任感のもと、一人決意を固めるのだった。
「仲も深まったところで、演習を始めましょうか。分かっていると思うけど、萩風は実力を伴っていると言っても、初めての艦隊行動になるわ。残りの三人でちゃんと補助するのよ」
「何かあったら私にも相談してね。回避行動から卵焼きの作り方まで何でも教えちゃうんだから」
「卵焼きの作り方もは気になりますね…」
「瑞鳳?萩風をそっちの道へ引き込まないで」
「ごめんごめん。よし、それじゃあ始めよっか」
「「了解っ」」
敬礼ののち、四人は和気藹々の雰囲気を保ちながらも、駆け足で兵装庫へと駆けていく。
その様子を見た瑞鳳が、「うん、これなら安心して任せられるね」と自信を感じさせるように言って、頬を緩めた。
「初霜と萩風のコンビネーションだけでなく、長波と朝雲がそれを後ろから観察して、支えるべきところを支えている…またその逆もできているわ。だから、あとは旗艦の私がしっかりした指示を出すことができれば」
「いやいや、今のは葛城の話だよ」
「え…?」
思わず戸惑いを隠せなくなった葛城を見て、「すごいきょとんとしてる」と苦笑する。ひとしきり笑い終えた後、そんな彼女をよそに展開していた艦載機の着艦・格納を済ませて続けた。
「不安な気持ちもあるかもしれないけど、葛城はちゃんと出来てるよ。私たちの戦いは、敵を沈めることより味方や大切な人たちを守ること。…それが、ちゃんと分かってる」
「…っ」
葛城は、まるで自分の考えていたことをトレースされたような心地だった。それすらも読み取ったのだろうか、目の前の
「提督が今回、あなたを旗艦に指名した理由の一つがこれ。あなたたちが成長し、将来先頭に立ってこの戦いを終わらせるために…私も頑張っちゃうんだから」
「…あり、がとう」
「ええ。期待してて。私もあなたに期待してるから」
腕まくりをして、その細い腕に力こぶをつくる真似をする瑞鳳。「アウトレンジ、決めます!」とおどけて言うその姿は、冗談でも、身内びいきでも、ましてや世辞でもない心強さを与えるのだった。
「ええ…必ず勝って、皆揃って母港へ戻りましょう」
瞳に意志の籠った光が宿る。それに瑞鳳が頷く。葛城の戦闘機隊が、力強く二人の上空を駆け上るのであった。
× × ×
そして、運命の二週間後―――――
「…葛城発艦、第二次攻撃隊の敵戦艦撃沈を確認!」
「やったね!」
「ええ…!」
葛城艦隊は、昼戦にて瑞鳳のアウトレンジ戦法を中心に遠距離からの攻撃に努め、先手で敵正規空母に中破の損害を与えることに成功すると、航空戦で敵戦艦の砲撃を抑えつつ、随伴艦の駆逐艦二隻、そして戦艦一隻の撃沈に成功した。
予想を上回る攻撃隊の戦果に喜びを隠し切れないが、震える手を押さえ、気持ちを切り替える。
「…敵主力部隊の残存艦は旗艦正規空母一隻、大型戦艦一隻、軽巡一隻。既に発着艦能力を失った正規空母に退避の時間を与えず、迅速に水上艦二隻を夜戦にて撃滅する。各艦、夜戦準備!」
「「了解っ」」
水平線上の日が沈みゆく。未だ顕在の敵戦艦の砲撃は見当違いの方向にあるが、着実にその精度が高まっている。
一度適切な距離を保つために島の東側へ回り込み、夜戦にて仕掛ける算段であった。
「…瑞鳳夜間攻撃隊、発艦準備完了っ」
「駆逐隊も完了しました」
「了解。…それでは、艦隊反転。敵部隊を撃滅します。…」
やれることはやった。後は瑞鳳を始め、駆逐隊の皆に任せるしかない。
――しかしながら、まだ仕事は残っている筈だ。
夜戦では、専用の攻撃隊を組織しない葛城は無力だ。それでも、甘んじて無力感に身を委ねることはなかった。
瑞鶴たち五航戦、そして陽炎たち三水戦、他にも沢山の艦娘が演習に取り組む任務部隊に指導を加え、アドバイスをくれた。歴戦の艦娘に比べればまだまだ経験の浅い自分たちが何故この任務を任されているのか、そして何故旗艦の座が自分に回って来たのか――
その問いの答えが、自分なりに理解できた。ならば、あの人たちへ、行動でそれを示さなければならない。
葛城は一度深呼吸をする。こちらは大きな損傷を負っている艦はいない。しかしながら、駆逐隊にはかつてない程の緊張が見てとれた。それも当然だった。
(だから、これが私の役目)
心の中で呟いて、葛城は少し増速し、背後の艦隊へと向き直った。一抹の驚きに、五人の目が見開かれるのがすぐに分かった。
「皆、あとは夜戦だけね。確かに、私ができることはもう少ない。だから、あなたたち…特に、駆逐隊の四人は緊張しているかも知れない」
「っ…」
誰のものとも言えない、しかし駆逐隊から発されたことが明らかな息遣いが聞こえる。その表情が理解できる。
一人、瑞鳳が真剣な表情の中に心強い笑みを浮かべている理由も、今は知っている。
「だからこそ、私は信じるわ。苦しい演習を耐え抜き、強い絆を結んだあなた達ならば、大丈夫だって」
言葉は、飾らない、ありきたりなものであっていい。大切なことは、そこに注がれる思いが伝わることだ。自分の場合は、この子たちへの信頼がそうだ。
「真っすぐに前を見つめましょう。そうすれば敵を…大切なことを見失うことはない。私たちの戦う目的は、仲間を失って得られるものではないわ」
ほんの僅かに、緊張が解れていることが分かった。自分の言葉が成せることは、恐らくこれくらいなのだろう。自嘲的に聞こえても、それが真実だから。
それでも、思いを伝えることは決して止めなかった。
「この戦い、誰一人沈まず、勝って還りましょう。大切な人の待つ母港へ」
言い切って、静寂が訪れる。気持ちは伝わっただろうか、不安はあった。だけど、すぐにそれは霧散した。
――瑞鳳が、そして皆が、笑っていたから。
「はいっ!」
「やってやろうじゃねーか!」
「やりましょう…皆で」
「ええ。必ず、還るために」
駆逐隊の盛り上がりように、張りつめていた糸がぷつんと切れたように脱力する。ここが戦場だということを忘れさせるほどだった。
ふと、苦笑を向けて近づいた瑞鳳に気付く。こちらも大体同じような顔をして迎えた。
「やるじゃん」
「ありがとう。…色々と」
「私は何もしてないよぉ。さて、こんな名スピーチをしてくれた旗艦に報いないとねっ」
瑞鳳は、矢筒の夜間戦闘機(この言い方は非常に不思議に聞こえるが)に指を伸ばした。
わいきゃいしていた駆逐隊も、彼女の様子を見て弾かれたように戦闘態勢に入る。その目は、戦う者の目をしていた。
「…さあ、葛城」
「ええ。各艦に通達。瑞鳳発艦の攻撃隊発艦後、その攻撃と同時に仕掛ける。駆逐隊は海域進入後、単縦陣で突撃します」
「「了解!」」
これが最後の伝達事項。後は、死力を尽くすのみだった、
「――我、夜戦に突入す!」
その号令を皮切りに、全艦が最大戦速の葛城に合わせるように、複縦陣で航行を開始した。
「さあ、やるわよ…夜間攻撃隊、発艦!」
二番艦の瑞鳳が力強く告げて、艦攻隊、艦爆隊の矢を勢いよく宵闇へと放つ。まるで火矢のようにぼうっと燃え上がったかと思えば、戦闘機へとその姿を変えて、光の筋を作った。
「照明弾、発射」
「撃ちます…っ!」
荒波の中、彼女から見て前方、つまり敵部隊の退避した西の沖ノ島方面へと、初霜の砲によって照明弾が放たれる。
攻撃隊の目に、その煌々とした輝きによって残存艦隊がしっかりと映し出された。
『れんらくどおり、せんかん1、じゅんようかん1、そしてきかんくうぼ1をしにんしました』
『そのほかのてきせんりょくはかくにんされません。あとはおまかせを』
搭乗員の妖精さんより、視認成功と感謝の言葉が伝えられる。彼女らもまた、瑞鳳の厳しい訓練に耐え抜き、その思いに応えようとしていたのが、その声を聞いてよく分かった。
間もなくして、凄まじい爆風が向こうから届く。どうやら攻撃に成功したらしい。
「…瑞鳳発艦、夜間攻撃隊より入電!『われてきぶたいきかんくうぼとけいじゅんのげきちんにせいこうせり』」
「了解!直ちに帰投して。駆逐隊は突入準備っ」
「「了解っ」」
葛城も、瑞鳳も、その声に喜びの音が混じっていたことは確かだった。しかしながら、航空部隊がしっかりと駆逐隊の補助遂行を果たしたことに、大きな安堵を覚えていた。
「…突入準備、完了しました。先鋒に長波ちゃん、そして朝雲ちゃんに続き私…萩風。最後に初霜ちゃん。単縦陣にて敵戦艦へ突撃します」
「了解。それじゃあ、行きなさい!」
「うしっ!第十五駆逐隊、突撃する!」
「「おう!」」
長波に続き機動力で勝る駆逐隊が、速度を落した葛城、その隣の瑞鳳を追い抜き、単縦陣を組んで突進する。
彼女らの双眸に迷いや緊張はなかった。
「…後は、祈るだけね」
「ええ。…改めて、ありがとう、瑞鳳」
「お礼は妖精さんにもね」
「ええ。それでも…まずは、あなたに」
瑞鳳は、差し出された掌と、葛城を見る。一回り背の高い後輩は、その言葉には表れずとも、心からの感謝と尊敬をその表情に、態度にたたえていた。
それを握ると、「これからもよろしく」と微笑むのであった。
× × ×
すっかり日も暮れて、夜闇が駆逐隊を覆う。
誰も言葉を発することはなかった。けれど、思いは共有していた。
長波の力強い砲撃、朝雲の配慮を欠かさないサポート、萩風の卓越した先見性、そして初霜の天性ともいえる雷撃能力。
それぞれがお互いを補い合い、支えるようにして第十五駆逐隊が成り立っている。
自分を信じている戦友、そして司令官に応えるたいという思いが、そこには確かにあった。
「…敵戦艦、見ゆ」
長波がそう呟く。距離は八千メートルと比較的近いため、その存在は分かっているが、それをあえて口にしたのは、明らかにこちらの進路を阻もうとしているため。
改めて、炉ではなく、心に闘志の炎が宿るのを感じていた。
「間もなく、敵戦艦の射程に入ります」
「よし、さらに増速するぞ。いけるか?」
――もちろん。
振り返った長波は、その問いの答えを聞くまでもないということを、三人の表情で瞬時に悟った。
タービンエンジンの強い出力音が鳴り響く。それが彼女らにとっての戦闘開始の合図だった。
敵戦艦との距離は、至近距離といってよいほどに迫る。
駆逐艦にとっては破壊的なまでの火力での主砲射撃が海面に突き刺さると、水柱が巻き起こるとともに海面が甚だしくうねりを打つ。
至近弾にも怯まず、ひらりとそれを躱し、時には波に乗って、空中に舞うように勢いをいなしているうちに、やがて敵戦艦が視認できるほどになった。
「敵戦艦の再装填を待って、砲撃を回避してから一気に畳みかけるぞ!」
「了解っ。肉薄するわ!」
「さあ、行きましょう初霜ちゃん」
「ええ。任せて」
敵戦艦の砲が揺れ動き、こちらを向く。狙いを先頭の長波へ向けているようだ。
それを見逃さなかった朝雲が、咄嗟に機銃を構えて射線へ飛び込む。
「砲撃、来るわ!」
まさにその瞬間だった。機銃掃射をその腕を狙って撃ち込み、それを受けた反動で砲撃軌道が逸れると、弾道はわずかに駆逐隊の右を掠めて後方の波を割った。
「でかした!行くぞ!」
これを逃していつ攻撃するのか、と言わんばかりに駆逐隊が吶喊する。敵戦艦に向け、横一文字、一斉に砲を構えて、最大火力にて撃ち放った。
「長波様の連撃だ!…敵主砲粉砕!」
「やってやるわ!…敵装甲破壊っ」
「行きます…敵戦艦中破」
長波から、順に三人の攻撃が敵戦艦を着実に追い詰める。その威力に耐えきれず、海面に膝をつくように均衡を崩したその瞬間を、初霜は見逃さなかった。
「行けェ!初霜!」
「決めなさい!」
「今です!初霜ちゃん」
その声に応えるように、身体に力が湧いてくる。照準のぶれはなくなり、視界がくっきりとしてくる。
「――ありがとう、これで決めます」
必殺の五連装酸素魚雷、その威力を爆発的に解放させる攻撃――カットイン。
身体に纏う閃光の眩さが増していき、その臨界点に達するとともに、初霜が瞑っていた目を見開いて、魚雷発射管への出力が高まっていく。
「私が、守ります!」
ごう、と風が吹いた。紛れもなく、気迫ある初霜の周りから巻き起こったものであることに間違いはなかった。その言葉とともに、魚雷が射出される。
――無限の雷跡が、敵戦艦を爆炎の中に覆った。
× × ×
「こ、これがケーキね…!はむっ…んー!」
出撃の夜から明けて翌日。駆逐隊は戦果報酬として、提督から手渡された間宮券を使って各々が好きなデザートに舌鼓を打っていた。
朝雲は「いつも羊羹じゃあね」と言ってケーキを一口、片頬に手を当てて恍惚の表情を浮かべている。
「朝雲さん、とっても可愛いですね。でも、なんだかいつもと違うような…?」
「出撃のとき以外はこんなもんだよ」
「萩風ちゃんも駆逐隊に馴染んできたってことですよ!」
顔を見合わせて笑う萩風と初霜。長波は、その様子を「おいおい、出撃後に馴染んでもな」と苦笑いでその会話を聞いていたのだった。
「お疲れ」
「おう、提督じゃんか」
「提督、お疲れ様です」
呼びかける声に、暑苦しいコンビの駆け寄った先は提督であった。後から歩いて追ってきた長波は、いつもは彼について回っている艦娘の姿がないことに気付いた。
「今日は秘書艦どうしたんだ?」
「ああ、順番では瑞鶴だったんだが…まあ、あんな感じでな」
彼が指を差す窓側の席では、満足そうな笑みを浮かべる瑞鶴と、その前に並べられたデザートのフルコース――さらに、目を輝かせる葛城と瑞鳳がいた。
「大方、航空戦指導をしたのは瑞鶴だから、その戦果に喜んでいるんだろう」
「こほん…なるほどね。それじゃあ司令は?」
「あっ、朝雲さん。元に戻ってますね」
「提督の前じゃこんなもんだ」
抜かりなく解説を加えている長波。仲の良さという意味ではもちろん喜ばしいが、自分と長波達とで、態度を変えるというのは、やはり緊張させてしまうものなのかと内心落ち込んでいるのだった。
「提督、提督」
「どうした?」
初霜は、そんな彼の心中を推し量ったのだろうか、小声で彼を呼び止めると、
「朝雲ちゃんは提督が上司だから緊張しているのではなくて、提督の前ではだらしない姿が見せられないと、張り切っているんですよ」
と、彼女の背に合わせるようにしゃがんだ提督に密かに耳打ちするのだった。
「ちょっと、司令に何教えてるのよ初霜」
「ふふっ…内緒ですよ提督?」
「お、おう…?」
「なーにーよー!」
我慢ならず追いかけてくる朝雲に、提督の背を押して、彼とともに逃走を開始した初霜。
その様子を眺めていた長波が苦笑して、隣の萩風に語りかける。
「二週間で十分、分かったと思うが…いつも騒がしい駆逐隊だけど、改めてよろしくな」
「こちらこそ。あの戦いで、心を一つにしたように…これからも、長波さん、朝雲さん、そして初霜ちゃんたちと戦い続けるつもりです」
「あたしとしては、もう少し暑苦しいのを抑えてもらえると助かるんだが」
「うふふ…初霜さんだけでなく、皆さんともこのやりとりができるまで、仲良くなりたいものです」
「仲良すぎるのも考えものだな…まあ、あたしも大体同意見だ」
差し出された手を握って、はにかんだ長波の笑顔に微笑み返す。
――雲間から顔を覗かせた日の光の輝きが、部屋を満たしていたのだった。