彼はもっと美味くやるでしょう。
今までで一番ガバガバだけどどうかマジレスはなるべく勘弁してほしい、なぁ、わかるだろう?同じリンクスじゃないか
案内されたカフェは、清潔で落ち着きのある色合いだった。
まほとしてはこういう雰囲気の店は好みなのだが、いかんせん華の女子高生が談笑をするにはいささか堅苦しくはないだろうか、という思いも抱く複雑な気分だ。
ひとまず3人はカフェの奥側の四人がけのテーブル席に案内される。
エリカとまほ、対面にはエミという席順だ。
エミは適当に紅茶を注文し、エリカとまほはコーヒーを頼む。
「さて、まずは改めて。 お久しぶりです、隊長、それにエリカ」
ぺこり、とその小さな頭を下げてきたエミに、まほも小さくあぁと返事をした。
再び顔を向き合わせて、まずエリカが口を開く。
「どこに行ってたのよ、エミ。 なんども電話したのに全然出てくれなくて、副た……みほも、そうで」
言葉尻がみるみる小さくなっていくエリカの姿にエミは眉を落とした。
「そのことで私はエリカにたくさん謝らなきゃいけないね。 順を追って説明するよ、まずなぜ私がいなくなったか……。 私が黒森峰を去る前に、エリカに変なこと言ったのは覚えてる?」
「……みほを頼むって」
その言葉にまほは目を見開くが、話は続く。
「うん、その時にはもう、私は黒森峰を出ていくことを決めていた。 そこはなんとなくわかってたと思う」
「そうね、だから私は思わずつめ寄っちゃったわけだし」
「うん……で、その後にちょっと予想外の事態が起きた。 みほにもその話をした次の日なぜか私はみほと一緒に引っ越すことになってた」
「んォ?」
今ちょっと会話の筋がねじれたぞゥ?
若干混乱したまほは動揺のあまり声が喉から溢れでて、エリカは脳みそが一時停止。
「その反応も仕方ないよ、私も訳がわからなかった、頭がどうにかなりそうだった。 ただ、とにかくみほは一晩で話をまとめあげて私ごと別の学園艦に引っ越す計画を完成させていた」
「えぇ……」
長年一緒に暮らしてきた妹の初めて知ったアクティブさにまほは頭痛を覚えた。
他にやりようはいくらでもあるだろうと呟きたくなる、我慢。
注文の品がきたので一口、苦い。
「なに、それ…… だから揃っていなくなって」
「うん、だから今は同じ大洗学園艦でど、ゲェッホゴッホ!! う、う"ぅん!! ルームシェアしてるよ」
明らかに同棲といいかけたがまほはスルーした、なぜならエミの表情に喜色は少しもなかったからだ。
姉としてどう謝ったらいいだろうか。
しかしエリカはそんな素っ頓狂な話すらも大げさに捉えていたようだ。
「なによ、なんで私に相談の一つもしないで」
「エリカには本当に悪いことをした。 私があんなこと言っておきながらまさかみほごとどこかに行くなんて確かに酷い話だと思う」
「で、でも。 なんで二人とも電話にもSNSでも返答してくれなかったの? メールアドレスは、変わってたし……」
「それについてはガバッガバな理由があってね、携帯は番号ごと新しいのにされたんだ」
「された」
「うん、その……引っ越しに協力してくれた人が用意してくれたんです」
言葉を濁すエミにまほはなんとなく嫌な予感がした、まさかとは思うがまた自分の身内が関わってやしないだろうかと。
「で、これ新しい携帯なんだけど……エリカ、番号を交換しよう」
「で、データ移行で移さなかったの?」
「古いやつは回収されたよ、パッと。」
「なんで……?」
「完全に破壊して痕跡を消すためらしい。 データ移行の間もなかった……そこまでやるかと困惑したしそこまで急ぐものかと思ったけどなんかもう割り込めなかった」
語彙力が低下し始めたまほにエミもどんよりとしたため息をついた
「そしたらもう大変だ、携帯の電話番号なんて逐一覚えてるわけないし、エリカは知らない番号とかアカウントは徹底拒否してるから連絡つけられなかったしみほも合わせててんやわんやだった」
「ま、前のツミッターアカウントを使えば」
「ランダム生成パスワードは覚えてなかったしメモは前の携帯のメモ機能に書いてあった。 今後は物理メモを取っておくことにする」
「……」
沈黙が三人を包んだ。
いっそ笑い話になるレベルの悲劇、いや多分喜劇に見舞われたエミに対しなんと言えばいいのやら、まほは言葉が見当たらなかった。
しかしエリカの反応は違った。
顔をうつむかせてわなわなと肩を震わせている。
「え、エリカ、どうかしたか?」
「どうもこうもないわよ……どんだけ心配したと思ってたのよこのバカエミッ」
突如身を乗り出したエリカに肩を掴まれて、びくりとエミは震えた。
「私、あなたたちに何かあったんじゃないかって、ずっと、ずっと不安で、心配、で……」
「……エリカ、本当にごめん」
エリカの手をその小さな豆だらけの手のひらでそっと包んだエミ。
二人の姿を見て、まほはいまだに混乱はおさまりきってないがとりあえずホッと一息つけた。
エリカを苛んでいた深刻な原因は、これで取り除かれたと思ったからだ。
「なんて謝ったらいいか……申し訳ない気持ちでいっぱいだ。 エリカ、どうすれば許してくれる?」
「……許さない」
「エリカ……」
「ちがう、エミじゃない。 みほよ、みほ」
「「えっ」」
二人揃って、震えた声が出た。
「エミはもう、流されざるを得ない勢いに飲まれてそこに不幸が重なったってのはわかった。 でもみほは? なんであいつ私に引越しの知らせ一つよこさずエミまで引きずって行っちゃったの? そこがわからない」
「あーーーーーー……」
おそらくその頃のみほは罪悪感とか使命感とか怒りとかそう言うもので埋め尽くされていてエミ関連のことで頭がいっぱいだったのだろう、が、それは言い訳にはならない。
その後連絡がつかなかったことをエリカは許した、だがそれ以前のことについてはまるで納得していない。
「そうよ……そうよ、許せない。 私だけ除け者にして自分はヒーロー気取りでエミを救ったつもり? そんなの納得できるわけないじゃない。 私だってエミのこと心配してて、何かしてあげたくて……!」
「エ、エリカ?」
声が震えていた。
そんなエミの携帯を素早く奪い取ったエリカは素早く操作しなんらかの情報を盗み取る。
「なにをするつもりだい!?」
「直接あの直情女に文句叩きつけてくんのよ!! エミ、あなたが無事でよかった。 でもそれはそれとして私を止めないで。 あのバカに一言言わなきゃ気が済まない!!」
バーーンッ!と立ち上がってエリカは去っていった。
嵐のような勢いだった。
カフェの他の客の視線が、痛い。
「……出るか」
「……はい」
「すみません、騒ぎを起こしてしまって」
「かまわない」
少し離れた広場で、二人はベンチに腰掛けていた。
この短時間であっという間に疲労困憊といった有様、密度の濃い時間だったのだろう。
「……なんかもう色々とグダグダでしたね」
「そうだな…… うん。 なあエミ、私も実は君に一つ言いたいことがあったんだ」
「え?」
突如として切り替わった話題にエミは目を白黒させて、まほの顔を見つめる。
「私はずっと気にしてたことがあった。 私が高等部に上がる時、君に頼んだことを覚えてるか?」
「ええもちろん、二人のこと頼むって」
「うん、それだ。 私は、それで君に大きな重荷を背負わせてしまったんじゃないかと思ったんだ」
「……」
「みほからな、泣きながら言われたんだ。 君はみほの代わりに助けに行ったと」
まほはじっと、エミを見つめてそのことを告げた。
「みほはそのことをとても悔いていた。 自分が行けばよかったと、君に罪を背負わせてしまったと。 それを聞いて思ったんだ。 もしかしたら私の言葉が君に重圧を与えていて、そしてみほを庇うためにあの行動に走ったんじゃないかと」
(やっべぇ3歳の頃からの予定通りですなんて言えねえぞこれ)
まほがそっとうつむいて、悲しげに眉をひそめた。
その顔を、エミは黙って見つめる。
しばらくの間沈黙が続く。
「そのせいで、みほも深い後悔の念を抱いて、それで突発的な衝動に駆られてあんな、その、人さらいのようなことをしたのかもしれない。 私の一言が君たちの人生を狂わせたのかもしれない。 そう思うと……」
「まほ隊長、あなたが悔いるようなことはなに一つありません」
「え?」
エミの言葉に顔を上げたまほは、エミが柔らかく笑っているのに気がついた。
「もちろんみほが悔いることも私が悔いることもなに一つありません。 私たちはなに一つとして間違ったことをしてないからです。 それでもこんなふうに離れ離れになってしまった……それは、ただ、間が悪かっただけなのです」
「間が、悪い」
「そう、間が悪い。 私たちを取り巻く環境、私たちの選んだ選択肢、渦巻く作為、それら全てがたまたま悪い方向に進んでしまったんです。 誰も悪くない。 だから気にせず忘れてしまいましょう」
その言葉がストンと腑に落ちて、まほはクスリと笑った。
そうだ、間が悪い、試合でもよくある話だ。
一切ミスのない試合運びをしてもラッキーパンチの流れ弾で撃破されるということはたまにある。
そんなのはもう気にしても仕方がないから運が悪かったで済ますものだ。
「エミ、ありがとう。 謝るつもりが慰められてしまうとは、私もまだまだだな」
まほはエミの手を握って感謝を述べて。
そして、すくりと立ち上がる。
「さぁ、エリカとみほを探そうか。 どこぞで大騒ぎでもしてたら大変なことだぞ」
「ええ、いきましょゴッボゴホォッ!」
「大丈夫か!?」
「すみません、少しむせました。 お気になさらず」
「そ、そうか……」
怪訝な目を向けるまほはしかし、すぐに前を向き直る。
その隙にエミはものすごい量の血をグレーチングに吐き出した。
エミはまほチョビ信者だった。
そしてその後二人は盛大に言い争うエリカとみほを見て互いに頭を抱えて、ついでにエミはストレスで胃が裂けそうになった。
その後のお前たちをぶっ倒してエミを返してもらうというエリカの発言を聞いてエミは目の前が真っ暗になりかけた。
──月──日
みほが離してくれない。
先日のエリカとの言い争いがよほど堪えたらしい。
戦車道の練習にも身が入ってないように思える、これはまずいのでは?
サンダースは強敵なんですよ?
──月──日
サンダースの偵察に赴こうとした秋山殿を捕まえて二人で行くことにした。
髪の色が似てるのでサンダース志望の再来年中学生の妹と付き添いの姉という形で真正面から堂々と潜入する。
サンダースの大量の戦車の山に興奮する秋山殿を引きずって敵戦力のチェックを終えたが見つかってしまった。
なので秋山殿を抱えて一気に脱出。
法的には一切問題がなかったのでジッサイアンシンである。
ジャパニーズニンジャブラボー!アイエエエエエエ!?とか聞こえて少し気分が良かった。
──月──日
みほさんがいきなりやる気を出し始めた。
ものすごい熱意だ、そしてものすごいカリスマだ。
しかしなぜだか素直に喜べないぞぅ!
だが、まず第一に勝たねば話にならないので。
ここはとにかく勝つためにたとえ俺にとって不都合でもこのみぽりんの熱意は止めないでおきたい。
俺だって大洗の廃校は嫌だ。
いざとなったら原作知識を用いてでも勝ちに行こう。
──月──日
サンダースとの試合に勝った。
しかし原作知識がまるで役に立たなかった。
まず第一にみぽりんが敵の無線傍受を看破するのが早すぎた、初っ端の会敵時点で気がつくのは流石にはえーよホセ。
その結果早速メールを使った偽情報を流す戦術を用いたわけだがそちらも逆に敵に早めに看破される。
そこからはもう、しっちゃかめっちゃか。
みぽりんの策と敵の策が盛大にぶつかり合い俺はもう弾を込めるしかできなかった。
視聴率実に25%。
白熱した試合だった、と言っておこう。
みんなヘトヘトだった。
それと、サンダースでの俺の呼称はもうニンジャで確定してしまったらしい、是非もないよネ。
試合後に麻子ちゃんのおばあちゃんが倒れたという連絡を受けて、そして原作通りヘリを使わせてもらうイベントが発生。
むこうは任せるしかないだろう、明日はお見舞いに行かなければ。
次の試合はアンツィオ。
OVAでも名勝負を繰り広げた強敵だ、油断できない試合になるだろう。
個人的にもアンチョビはとてもかっこよくて可愛い魅力的なドゥーチェだったので是非とも会って話がしたい。
しかしなぜだろう。
アンツィオ戦は詳しく書かずにさらっと飛ばしたほうがいい気もするのだ。
きっと君もそうなるだろう。
まほ「すがすがしい日だな、外は。小鳥は歌い、花は咲き乱れ…こんな日こそ、お前のような子供には…百合の業火で焼かれてもらおう」
あなたは背後に 百合が咲き乱れるのを感じた