幻想のIS   作:ガラスサイコロ

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36_織斑姉妹の繋がり

「何があったか、ねぇ」

 

 何かを行った以上は必ずやらねばならない事がある。面倒だがやらなければならない。それは、後始末と関係者への説明だ。

 目の前で怪訝な顔をしている彼女は後始末とは関係ない。だが、事情は読めないだろう。寝る前だった為に布団を敷いた薄暗い私室だが、今は酒と簡単なつまみも用意した。毎晩やって来る彼女に渡すべき『あるもの』が入った木箱も傍らにある。

 俺は二つ用意しておいたグラスに酒を注ぐと片方を渡し、順々に話す事とした。

 

 

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 アメリカとの一騒動の後始末は実際の所、学園長に青衣の記録を提出しておしまいなのだ。学園長室の端に『窓』を出し、IS起動直前には机の下に位置を移したので記録には映っていない。だから編集できない青衣の記録でも問題無い。記録内容も確認済みだ。慌しく去って行ったアメリカ軍の動きも有り、アメリカへはIS委員会を通じて抗議と言うよりも改めてIS学園への不干渉を通知する宣言の様なものを発するらしい。

 まあ、IS学園にはアメリカ人の生徒もいるしあまり刺激をするのは良くないらしい。政治的なやり取りもあるだろう、そこには俺や青衣が感知する事では無い。IS学園としては援助や各国や各企業のISがある事も有り全く干渉を受けないことは不可能だが、俺と青衣については多少の静止にはなるとの事。俺と青衣の目的はアメリカに恥をかかせる事では無い。不干渉を貫いてくれれば良いのだから確かに十分である。学園長の言葉に従う事にした。

 さて、騒動の日は既に夜中なので解散となった。改めて説明をするべく時間を取って貰うが翌日は学園長達が忙しく、翌々日の昼過ぎに学園長と織斑先生、学園内に残っていた布仏虚さんに集まって貰った。俺の『拠点』にある簡易応接室(玄関代わりの土足で入れる応接間)で一通りの説明を行う。この時、轡木十蔵はアメリカと交渉中、更識会長はまだ日本に戻っていないので欠席である。

 

「という訳で篠ノ之束は死んだら幻想郷側の是非曲直庁に行くことになり、捕獲では無く殺す事も計画に含まれました。魂の状態で操作する事、場合によっては死体を活用して絶対命令の解除を試みます。

 当然、刺客となる実行者は俺です」

 

 一通りの話はしていたので予想はしていたのだろう、渋い顔付きだ。俺の話が始まってからはテーブルの上に置いてあるお茶に誰も手を出さず、冷めてしまっている。

 しかし、現状の放置が最悪の場合は幻想郷の崩壊と、外の世界で無差別かつ予想不可能な地獄が発生する事を彼女達は知っている。無論、外の世界では対応不可能な事も被害が際限無く広がっていくことも。

 

「だが、今まで通り説得で終わればその必要は無くなるな?」

「無くなりますね」

「なら、私は説得を継続する。要は此方側の女尊男卑を起点とする社会問題とISの絶対命令の解消し、幻想側への影響が無くなれば良いわけだ」

「そうです。その認識で合っています」

 

 硬い顔で俺に確認を取る織斑先生に答えると、青衣以外の3人が一息を付いた。

 

「束もその是非曲直庁……を知っているようだが異例なのか? 其処までの対応を行うのは」

「俺は詳しくないですけど少ないと思いますよ。幻想側の者は兎も角、外の世界に居る者を対象に行うのは」

「やはり最悪の事態もあり得ると、是非曲直庁全体としてそういう判断をしているという事か?」

「多分、そうだと思います。四季様も幻想郷担当であって、外の世界でも動いたという事はそう言う事でしょう」

「……そうか」

 

 織斑先生が少し唸りながら腕を組む。

 

「私は引き続き束へ呼びかけるとしよう。今聞いた事は束に言っても構わないのか?」

「構いませんよ。ですが通告程度で、是非曲直庁も動いたからって変わると思えませんが」

「確かに」

 

 青衣が答えると織斑先生の表情が歪む。学園長達もそう思ったのだろう、疲れている様子だ。何せ、突き詰めれば個人の我儘でしかないからな。

 

「実際の所、四季様……地獄の最高裁判長が自ら動いたのは予想外でしたからね」

「そうか? フットワーク軽くてあちこちに出没するし、判断したら即実行するだろ? 来た時点で考えられるだろうが」

「……言われてみたら、そんな気もしてきました」

 

 青衣の言葉に異を唱えると彼女は考え始め、俺の言葉を肯定した。何せ四季様は非番になると幻想郷中に出没する。どこで会っても不思議が無い方だ。

 

「そういやこの前、人里の茶屋に居たぞ。小町と団子食ってた」

「緑兵がふらふらしていた時ですか?」

「ああ、何を言われるか分かったものじゃないからな、見つかる前にさっさと逃げた」

「ちょっと待って下さい」

 

 俺と青衣の会話に虚さんが割り込む。

 

「いい加減常識が壊れていますが、その閻魔……四季様とはどんな方なのですか?」

「こんな人です」

「若っ!!」

 

 青衣が四季映姫・ヤマザナドゥの記録を映す。背は周囲の女性と比べ高く俺と大差ない。緑色の髪は右側が長く左が短い非対称の形に整えた、外見は俺と大差ない年頃の女だ。紅白のリボンと付けた帽子と青い独特な服装が奇抜に映る位だろう。虚さんが驚くのも無理はない。

 

「い、いえ、年齢は外見では測れないんですよね?」

「この半年、残りの人生全ての驚きを使った気分ですね。もう簡単に動じません」

「私は慣れた、今更だ」

 

 彼女は以前に伝えた注意事項を思い出したらしい。外見では幻想側の住人は測れません。一方で学園長と織斑先生は言葉通り慣れてしまったのか、大きな反応はない。

 記録では少し小さな俺に対して説教を開始していた。俺はそれを右から左に受け流している。よく追い回されたものだ。

 

「今回呼んだのは兎の件を伝える為です。何か質問が有れば受け付けますが」

 

 そう青衣以外の3人に言うが特にないらしい。

 

「では、解散と言う」

「有る」

 

 事で、と言おうとした俺を織斑先生が止めた。視線も集まる。

 

「申し訳ありませんが、個人的に確認したいことが有るので学園長と布仏には遠慮してもらいたい」

「……解りました」

 

 その二人も何か感じ取ったのだろう、あっさりが立ち上がる。俺は二人をIS学園へ送り、戻った時に織斑先生と青衣は淹れ直したお茶を飲んでいた。俺の分も新しく注いだらしい、湯気が立っている。其処に座り一口飲む。

 

「マドカはどうしている?」

 

 織斑先生が湯呑を見つめながら、呟くように俺と青衣に問いかけてきた。

 

「元気に暮らしてますよ。此方に定住する様です」

「定住!!」

 

 青衣の言葉に反応した。そんなに意外か?

 

「外の世界には戸籍も何もないでしょう? 亡国機業(ファントム・タスク)以外に知り合いも居ない」

「あ、ああ、そうだ……確かに外の世界を捨てるには十分か」

 

 頭では理解した様だが、感情では納得していないのだろう、織斑先生の声には戸惑いが含まれている。まあ、しょうがないだろう。生き別れになった妹が、別の場所で暮らし始め其方に定住すると言うのだから。

 

「それとマドカは姉さん達に弟子入りしました」

「何!?」

「ぶっちゃけた話、姉達も気に入って此方側の技術以外にも色々と教えていますからね」

「この前会った九尾の狐にもか!?」

「ええ、見どころもあるそうです。まあ、立場的には私達と似た様なものですね。友達も出来ましたし、日々が楽しそうですよ」

 

 驚いている。青衣の言葉に物凄い驚いている。次いで俺を見た。

 

「姉達が居る時はいろいろ教わって居ない時は自己訓練。与えられた仕事もこなして遊びにも行く。俺が見た時はこんな感じでしたね」

「ちょ、ちょっと待て!!」

 

 何故か頭が追い付かないのか、此方に手を伸ばして止めてくる。で、青衣は説明が面倒なのか記録を呼び出した。

 マドカと共同でエプロンを付けて飯を作っている時、秦こころの『心綺楼』を俺も見に行った時と講演後の集まり、俺は知らないが幾人かで人里に向かった時、風呂上りに寝間着で集まって酒を飲んでいた時が写される。

 

「楽しそうだな」

 

 ぽつりと一言。だが、感慨が込められている。

 

「それに袴か、似合っている」

「和服、洋服、両方ありですからね、此方は」

 

 青衣が返すと満足気に頷く。

 

「食事は作れたのか?」

「藍姉さんが教えたようですね。他の友人からも」

「そうか……」

 

 俺はある事を思い『倉』を出現させてある皿を取り出す。載っているものは焼き物に揚げ物だ。

 

「箸と小皿を持って来ますね」

「頼む」

 

 皿をテーブルの上に乗せると青衣が奥の台所から箸を三膳と小皿を三枚持って来る。

 

「これ、夕飯にマドカが作ったんです」

「マドカが?」

「そうです、ちょっと冷めてますが食べますか」

「……貰おう」

 

 各自で箸と小皿を一組持ち、皿から好きなものを取り食べ始める。

 

「うん、美味いな」

 

 織斑先生は魚の焼き物を食べたようだ。次に揚げ物、次から次に自らの小皿に移していく。

 

「時々、失敗しますけどね」

「失敗?」

「こっちは薪が主流ですから、火加減が難しいんです」

「失敗したら?」

「緑兵行きです」

 

 二人が俺を見る。

 

「……失敗しても、食えるなら俺が食べますよ」

「ほう」

「言っておきますが、落としたりしたら拒否しますからね」

「当然だろうな」

 

 織斑先生が楽しげに言う。皿にあったものは直ぐに無くなる。元から量は少なかったが、織斑先生がすごい勢いで平らげたのだ。

 俺は皿と使ったものを台所に片付け、先に水で冷やしておく。戻ると青衣が『心綺楼』を再び映し出していた。織斑先生が頼んだらしい。

 

「これは神楽なのか? 篠ノ之神社で似た様な面を見た覚えがある」

「能楽、神楽であってますよ。外の世界にも残っているでしょう?」

「この面を付けた者、雰囲気と言い漂う面と言い唯の人間には見えないが」

「私と同じ付喪神、つまり妖怪です」

「妖怪が神楽を舞うのか?」

 

 青衣が胸を張り、織斑先生が驚いている。

 

「ええ」

「そうか……観客も楽しそうだな」

 

 軽く目を瞑り一息をついた。そのまま黙る。青衣は記録を停止させ、消す。

 それから数秒後、織斑先生が目をゆっくりと開き、今度は俺に顔を向けた。

 

「私と一夏の事は何か言っていたか?」

 

 言ってたけど、伝えるべきか? 正直な悩む。

 

「私の事は気にしなくて良い」

「そうですか」

「ああ、全てを教えてくれ」

 

 なら遠慮はいらない。マドカが姉を許す気は無いと言った事、臨海学校を見ていた事、そこで一夏共々駄目っぷりを全て見られて同情された事も、本当に全てを話す。

 

「……」

 

 己を許す気は無い。けじめは付けるが生死すらどうでも良い。

 実の妹に其処まで否定され、織斑先生は凹みに凹み、真っ白になっていた。

 

「こんな所ですかね」

「……」

 

 反応が無いぞ。まるで死んでいる様だ。

 

「大丈夫ですか?」

「……大丈夫じゃない」

 

 かすれた声が帰って来る。

 

「すまん、二人とも、一人にしてくれ」

「此処、俺の『拠点』……」

「頼む」

 

 明らかに普通じゃない様子に戸惑いを覚えるが、青衣が俺の肩をそっと叩く。顔を向けると彼女は悲しげな表情で首を横に振った。

 

「俺達、奥の和室に居ますから」

 

 声は帰ってこなかった。復活し、和室に来るまで一時間を要することになる。

 

 

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「ということがあったな」

「そうかそうか。明日にでも青衣に記録を見せて貰おう」

 

 落ち込む姉の様子を聞いてマドカは楽しげな声を出す。

 思わずジト目で彼女を見る。当のマドカはフォークで漬物のきゅうりを口元に運び、ぽりぽりと食べ始めた。いい笑顔である。次いで酒を一口飲む。

 

「ダメージがあって何よりだ。向こうも私を覚えていると言う証明だ」

 

 物凄い、満足気である。

 

「……性格悪いな、お前」

「良いとでも思ったか」

 

 マドカがおどけるように俺に言う。おお、黒い黒い

 

「さて続きだ。もう一つくらい土産話が有るだろう?」

「なら、今日の出来事、俺と青衣が幻想郷に急遽戻った理由だ」

「ほう……楽しみだ」

 

 

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 そんな日が有ってからしばらく経つ。既に夏休みは半分を過ぎており、俺は幻想郷とIS学園を数日毎に往復していた。

 

「緑兵」

「ん?」

 

 青衣と共にIS学園の食堂で昼食を乗せたトレイを手に、空いているテーブルを求めて歩いていると既に食べ始めていたシャルロットが声を掛けてきた。同席しているラウラは警戒し、オルコットは少しビビっている様な表情である。以前と変わらないのは鈴だけか。まあ、ラウラは元から警戒心剥き出しだが。

 シャルロットはIS学園に戻ってからも時々飯を食べたり、共に練習機の訓練を見たりしたが、ここまで良い顔をしていると正直怖い。

 

「二人とも、席は空いているよ、来ない?」

「ああ」

「うん」

 

 シャルロットが少しずれ、彼女の隣に青衣が、俺は廊下側に座る。もう片方の端に居る鈴が俺の向かいになる形だ。

 

「食べながらで良いんだけど、二人に聞きたいことが有るんだ」

「……何?」

 

 まずは味噌汁を一口飲み、シャルロットに答える。

 

「僕達は各国の代表候補生だよね? それに僕は一応企業にも所属している。ラウラはドイツ軍。知っているよね?」

「ああ」

 

 シャルロットは未だデュノア社の所属だ。何故かは知らんが。

 

「それでね、皆で情報を突き合わせていたんだ」

「何の情報?」

「アメリカのホワイトハウスまで行ったって本当なのかって?」

「本当」

 

 シャルロットは益々良い笑顔になり、鈴は少し目を細めていた。ラウラとオルコットは少し身を乗り出す。他のテーブルからも視線があった。視線の主を確認すると日本人もいるが留学生もいる。

 IS委員会があったのだろうか、シャルロットの言う通りに各国の留学生には伝わったらしい。それに日本人も含め、代表候補生でなくても企業に所属している者がいる。なら知っていても不思議はない。

 

「じゃあ、殴り込んだって本当?」

「違うな。書類を返しにホワイトハウスの大統領執務室に行った。それだけ」

「変わらないよね? やっている事は」

「どうぞどうぞって許可を出したのはアメリカの大統領だ。青衣の記録でも確認したぞ」

「……本当に来ると思って無かったんだと思うな」

「政治家が自分の言葉に責任を持たないのは、古今東西万国共通か」

「政治家は何処の国も同じだと思うけど、今回は少し意味が違うと思う」

 

 他の3人が一斉に頷く。良いタイミングだが練習してきたのだろうか、そんな訳無いか。それはそうと、黒い兎の視線が鬱陶しい。そういえばさ、ドイツのVTシステムってどうだったんだよ。後でIS学園にでも聞くか。

 

「緑兵」

「何だ?」

 

 今度は青衣である。

 

「あの時、大統領はお菓子とコーヒーを用意するって言ってましたよね?」

「言ってたな」

「それって歓迎モードですよね? シャルロットさんはどう思います?」

「僕、色々と諦めたよ」

 

 さらっと酷い事を言うシャルロットはいい笑顔を浮かべていた。

 

「アンタ達さぁ、危険度は下がるけど基本的に篠ノ之博士と同じ扱いになったって理解している?」

「はい?」

 

 今度は鈴である。投げやりな口調で青衣と俺をジト目で見ている。

 

「敵対しない限りは手を出すな、中立のIS学園にいる限り放っておけ、ほとんどのIS所有国間で出来た暗黙のルールよ。

 とはいっても、アンタ達からしたら上が居るんでしょうけど」

 

 鈴が後半は呆れたように言うとオレンジジュースを一口飲む。オルコットやシャルロットも頷いていた。

 

「そう言えば、更識会長は俺の感覚は麻痺っていると言ってたな」

「適切な言葉だと思いますわ。貴方は現状を理解するべきです」

「……俺、そんな扱いになった訳?」

「ええ、生身でいながら猛獣扱いです」

 

 今度はオルコットである。お嬢様然として涼しげ、いい笑顔である。凹むな。

 

「EU諸国も中国と似た様な対応です。クラスメイトという事も有り、帰国した時にイギリス政府からも直接伝える様、厳命されました」

「ドイツ軍もだ、絶対に手を出すなと命じられた」

「フランスも担当者から同じことを通達されたよ」

 

 3人が各国の対応を言う。基本的には全部同じか。次いで鈴が口を開く。

 

「アンタ達が表に出て以降、IS全体として新事実に情報が次々出て来ている。各国に有益かどうかは別にしてね。余計な茶々が入らない限り、公表している目的に沿った行動しかしていない。だからこういう措置になったわけ。少なくとも表向きは。

 但し、注意はしておきなさいよ。以前はどこの国も絶対アンタ達を手に入れろって指示を出していた様だしね」

 

 注意はします。絶対します。喧嘩や戦争はしないに限る。折角の忠告だ。鈴の言葉に従う事にしよう。

 

「逆を言えば中立のIS学園以外の何処かに肩入れしたら、状況はがらっと変わるんだから」

「おう」

「えらく素直ね」

「目的は最初から言っているだろう? 邪魔が入らないなら良い事じゃないか。各国が保証してくれるなら俺達にとっては朗報だ」

「それはそうだけど……本当、ハニートラップとかに注意しなさいよ」

「色恋沙汰をする為に来たわけじゃない。だから大丈夫だ」

 

 正直に言っているのだが鈴は怪訝な顔している。シャルロットとオルコットもだ。ラウラ、お前は益々鬱陶しい。眉間に皺が出来ているぞ。

 

「実は男好きとか?」

「そんなわけあるか!!」

 

 唐突ににやりと笑った鈴が呆けた事を抜かし始めた。俺は全力で否定する。

 

「はやり女性の方がよろしいのですね?」

「オルコット、当たり前だ!! お前は何を言っている!?」

「それにしては反応が無いよね? セシリア……」

「ええ、シャルロットさん。私はてっきり……」

 

 何処か演技染みているが、遠い目をするオルコットにシャルロットだ。だからお前達は何を言っている!?

 

「衆道だったか、武士にはそういう者も多いと聞いていた。その流れを組む日本男児ならば……」

「いつの時代の話だ!!」

「しかし、クラリッサは」

「例の副官か!! 違うから、間違っているから!!」

 

 ラウラが腕を組んで考え始めた。副官、貴様はどこから日本の情報を集めているんだ? まさか未だに侍が刀を腰に差して闊歩しているとか思って無いだろうな。

 

「緑兵が浮気したら状況、変わりますよ」

 

 ふざけた空気が漂い始めたのを青衣が一言で止める。だが、逆にそれは俺にとって爆弾だ。

 俺の声が大きかったせいか、現に此方の事を好奇の目で見始めたテーブルが幾つか出来始めていたのだ。そこに油が注がれる。

 

「ね~」

 

 だと言うのに、青衣はにやにやと俺を見ている。空気が止まっているのはこのテーブルだけだ。

 

「アンタたち、そう言う関係?」

「そんなわけあるか」

「いえいえ、違います。話しておきましょうよ、ハニートラップ防止です」

 

 ここでそう来ますか。鈴の言葉を否定しながら俺は頭を抱える。

 しばしの沈黙。だが、此処で話しておかないと面倒なことになるのは目に見えている。仕方がない。ため息を一つ付き口を開く。

 

「俺は今、女も一緒に住んでいる」

「「「え!?」」」

 

 全員が固まった。聞こえたのだろうか、他のテーブルからも更に視線が集まった。

 

「青衣さんと二人暮らしでは?」

「今は三人。あっちこっちで調査を入れているからな。万一が有ると困るから家に放り込んだ」

 

 首を傾げたオルコットに返す。すると四人の顔付きが驚愕に変わった。

 話した俺では無く、今度は青衣に視線が集まる。彼女は満面の笑みで頷いた。

 

「可愛らしい方ですよ。中々の美人ですし私も満足です」

 

 ラウラ以外の三人が悲鳴に近い声を上げる。その声は響き、とうとう食堂中からの視線が集まった。少し先に行ったテーブルには簪さん達打鉄弐式制作グループまで居た。鷹月さん達も別のテーブルにいる。知り合いの殆どが居るのか? ああ、面倒な事になるぞ。

 

「何を騒いでいる!!」

 

 出てきたのはまたしても織斑先生である。一緒に居る山田先生も空のトレイを手にしている事から共に食事に来たのだろう。多分、列に並んで待っていたところに叫び声が届いたのだ。生徒が必要以上に騒がしければ、教師として様子を見に来るのは当たり前だ。

 俺が止める前に、鈴達が教師二人に説明を始めていた。青衣はにまにま笑っている。その内容を聞いた周囲の生徒達が再度悲鳴の様な声を上げ食堂が揺れる。山田先生は驚きの余り声が出ずトレイを落としていた。

 唯一人、動揺を見せず楽しむような表情に変わったのは織斑先生だ。

 

「貴様に女がいると薄々感付いていたが、責任を取ったか」

「……似た様なものですな」

 

 事実です。アイツが幻想郷へ行く切欠を作ったのは俺にもあります。

 おい、其処の生徒達、何を想像した? 赤くなるな。

 

「確か安定した仕事も家も有るんだったな」

「ええ」

「養える程度の収入はあるのか?」

「俺単独でもあります。何より持ち家が大きい。それにあいつも仕事を与えられました」

「ならば問題無いな。

 全く小娘共が……何を騒ぐ必要がある?」

 

 騒いでいる全体に呼びかけた。正に大人の余裕である。寧ろ状況を楽しんでいるな、これ。

 

「七海、その女はIS学園では誰に似ている?」

「答える必要は?」

 

 再度、俺に聞いてきた。だが、答えを聞くとにやにやとした笑みを浮かべはじめる。

 

「……無いな、個人的な興味だ」

「なら」

「織斑先生ですかね」

 

 断ろうとしたとき、青衣が口を挟んだ。

 ぴくり、織斑先生の眉が少し動く。目もだ。

 

「年齢は?」

「それを言うと範囲が狭まりますからね、まあ、緑兵と余り変わらないとだけ」

「……同い年も含むか?」

「含みます。年上とも年下とも言いませんけどね」

 

 マドカは同い年である。俺が8月生まれで少し前に誕生日だった分少し年上か。どうでも良いが。

 

「9月生まれか?」

「ノーコメント」

 

 双子だから一夏と同じ9月27日生まれである。だが、9月生まれという情報だけ条件が狭まってしまう。

 

「髪の長さと色は?」

「黒髪、長さは肩位ですね。ちょうどこの位」

 

 青衣が自分の肩をさすりながら言う。

 

「同居を決めたのは」

「7月、具体的には臨海学校前日にあった襲撃後です。緑兵が判断しました」

 

 出会ったその日に幻想郷へ旅立ったのだ。事実である。

 織斑先生の目が段々と泳ぎ見るからに狼狽え始めた。

 

「あちらの保護者は何と?」

「緑兵に聞いて下さい」

 

 青衣が投げてきた。最後までやってほしかった。

 視線が集まる。仕方無い。ため息を一つ。

 

「事後承諾、掻っ攫いました」

 

 俺の発言に周囲は爆発した様に声を上げた。とはいえ再度唖然としたのが半数、黄色い声を発したのが残り半数という所だろう。

 だが、その半数が五月蠅い、声もでかい。見るとオルコット、鈴、シャルロットの目が光り輝いており、知識だけで純粋培養のラウラは周囲の反応に戸惑いきょろきょろしている。

 

「事後承諾……」

 

 織斑先生が呟く。誰か確信したのだろう、体の動きが止まり俯き加減で目を軽く閉じる。以前に見せた青衣の記録にはマドカと共に朝食を採ったり、寝間着姿も映っていた。何故、今まで気が付いていなかったのだろうか。

 さて、血が繋がった他人になっているとはいえ実の妹だ。織斑先生が一人だけ独特な反応を返した事に周囲も気が付いたらしい、戸惑っている。少しずつ、静けさを取り戻していく。

 俺は嘘を言っていない。織斑先生も『アイツの事を頼みます』と藍姉さんに言った。その藍姉さんが俺の家にマドカを置いた。だから問題無い、事後承諾だ。俺の家という事は予想していなかったのだろうか。

 

「……七海、同居や同棲には早くないか? 若すぎる」

 

 数秒後、開いた織斑先生の目は死人のモノだった。その目を見たのだろう、周囲で悲鳴が上がった。俺も怖い、そんな目で俺を見るな。

 

「織斑先生も言ったでしょう? 家もあって仕事は安定、収入に不足はない」

「いいや、有る!!」

 

 声を荒げ、目に生気が戻る。

 

「貴様はIS学園に居るではないか!! その娘を一人にしてどうする!?」

「姉達が居ますけど?」

「だが!!」

「そう言うなら兎への説得、早く終わらせて下さい。終わったら帰る予定なんですから」

「ぐっ!!」

 

 言葉に詰まる。だが、頭を振った。

 

「夏休み期間だけでも一緒に居る気は無いのか!?」

「だから頻繁に戻っているでしょうが。仕事や学園をさぼって帰ったら、俺、嫌われますよ」

「確かにマダオは……って、そうでは無い!!」

 

 マダオ、まるでダメなおっさん(オトコ)だったか? 織斑先生が叫びつつ正面の俺を見た。

 

「貴様は色恋沙汰をする気は無いと言ったではないか!!」

「IS学園の生徒に対してです」

「お前にはこういう問題が発生しないと安心していたのだ、私は!!」

 

 彼女は両手を軽く前に向け、力説している。

 

「どの辺りが問題ですか?」

「それはっ!!」

 

 改めて返すと織斑先生が詰まる。何か言いたげだが言葉が浮かばないようだ。数秒後には諦めたのか深いため息を付いた。

 

「まさか、まさか先を越されるとは……」

「誰に?」

「……言いたくない」

 

 マドカだろうか。と言うよりも願望があったのか。何処と無く、放心状態に見える。

 

「落ち込む位なら相手を作ったらどうです? 織斑先生なら群がって来るでしょう?」

 

 IS操縦者に交際している男が居てはいけないと言うルールは無い。教員だろうが選手に復帰しようが同じ事だ。だが、織斑先生の表情は益々暗くなる。

 

「寄ってくる男に碌なのが居ない。ちゃらちゃらしたナンパ男かブリュンヒルデの名声に目が眩んだ者だけだ」

 

 ある意味で勇者だな、その男達。

 

「薬とか盛られない様してくださいよ。搦め手に弱いでしょう?」

「わかっている」

「と言うよりも、IS関係者には女尊男卑や女性至上主義者が大勢いる事は周知の事実、その関係者を養成するIS学園で教鞭を振るっているんですから男の方から避けられませんか?」

「……七海君」

 

 傍らに居た山田先生だ。

 何だ? どす黒いオーラを発しているぞ。初めて感じる代物だ。周囲も一歩退いている。つーか、怖い。

 

「ええ、そうですよ!! 折角カッコいい人に声を掛けられても、IS学園の教員だと話した瞬間に顔を引きつらせて離れていくんです!! どういう事ですか!?」

 

 最早叫びである。こんな声量があったのか。

 

「それはよかった」

「何がですか!!」

 

 俺は男の行動に安心したのだが、山田先生は俺の反応に反発をする。

 

「男が正常だと思います。つーか下心見え見えのナンパじゃないですか。そんなのに引っ掛からないで下さいよ」

「ですけどね!!」

「焦って変な男に引っかからないで下さいよ。IS関係者や女に恨みを抱いている男も多いんですから。というかIS持たないIS操縦者なら良い鴨ですな」

「女が男に負けるとでも!!」

 

 山田先生と話していると、現実を解っていない生徒が横から口を挟んできた。激高しているように見えるが反射的とも言える。其方にも視線が集まる。

 

「おいおい、勝ち負けじゃないだろう?」

 

 その生徒は鼻で笑う。何と戦っているのだろうか、彼女は。

 

「ISを持ってないなら武道をやっていても余程強くない限り数人掛かりなら終わる。酒や薬が入っていたらなおの事。それは男も女も変わらない。特に無条件で勝てると高を括っているなら素面でも鴨どころか、ひよこ同然だ。

 というかだ、ISを使って生身を相手を倒すことが出来るのか?」

「男なんて害虫同然、潰した事で感謝されることはあってもね」

 

 とんでもない発言をした生徒が見下した目で俺を見る。

 

「その言葉、自分の父親や男兄弟にも言えよ」

「とっくに叩きだしたわよ」

 

 ああ、そうですか。そういう奴ですか。更に生徒、いや女は顔を得意気な笑みに形にする。一方、俺と彼女の両方を見比べていた織斑先生の顔付きが変わった。弟である一夏を育てているからな。だが、女は俺以外は視界に入っていないのだろう、気が付いていない。

 

「今の時代、訴えれば男は女に」

「私はこいつらに滅茶苦茶にされました、女として破壊されましたって訴えを起こせる体だと良いな」

 

 空気が止まった。女の薄気味悪い笑みも凍り付き固まる。騒がしかった食堂ですら一瞬で無音だ。当然、俺は能力など使用して無い。一方で、織斑先生が鼻で笑いながら其方の生徒を振り向く。

 

「死んだ方がましな状態もあるか、特に女なら……どう思う?」

「え? あ?」

 

 重ねて聞くが、戸惑う表情で少しの反応があるのみ、半ば放心状態だ。

 一方で周囲の生徒達の表情は急激に強張った。自分も例外でないと気が付いているのだろう。

 

「何で驚いているんだよ、当然だろ?」

「あ、あ、貴方何を言って!!」

 

 ひどく狼狽えているな。つーか、声がでかい。まだ解らないか。

 

「女尊男卑叫んで無差別に不条理を突き付けているんだ、自分も同じ様に不条理を突き付けられたからって文句言うなよ。いや、もう突き付けたんだよな、親兄弟に」

「親兄弟はどうでも良いわ!!」

「ほう」

 

 この女の家族観がどういう者が知らないが、どうでも良いと。

 

「そ、それに、女性にそんなことをすれば警察が……」

「それが?」

「そ、それがって」

「だから警察がどうしたの? 逮捕? 刑務所? それがどうしたの? 何を言っているんだ?」

「え? あ? ええっ?」

「というか、女が無条件で強いなんて思っているなら警察なんて言い出すなって。恥ずかしい」

 

 俺からすれば寧ろ疑問だ。無条件で守ってくれるっていうのは。

 逆に鼻で笑ってやる。そんな事をするまでも無く目の前の女は完全に動揺、狼狽し戸惑っていた。

 

「女尊男卑の前から無差別な事件もあったんだ。理不尽に人生を強制終了されて恨んでいる男も多い今ならなおの事だろう? 法やルールは守られているからこそ守る意味がある。弾圧するんじゃ意味無いって。

 今の世の中、幾らでも見つかるんじゃないか? 既に破滅している男は」

 

 無反応。

 

「おーい、聞いてる?」

 

 声を掛け続けると小さく反応があった。うん、聞いてはいる。

 

「なら、地獄への道連れは多い方が良い。復讐対象が女全体になってもおかしくないだろう?

 高額な賠償金? 『無一文にされましたが何か?』と言われたらどうする? 無一文にしたのも女なら恨み骨髄だろ?」

 

 何せ、世間に嫌気がさして幻想郷へ来てしまった者が、絶対に帰りたくないと言う場所だ。現在の世界は。

 

「女尊男卑ですって、男を舐め切って高飛車な奴なんて益々復讐心が満たされるだろうな。まして此処はIS学園、マークするに決まっている。流石に専用機持ちは露出があるから顔を覚えているだろう。ならば他を狙えばいいだけだ。此処が全寮制の理由の一つだろう。機密云々もあるが生徒の安全確保だよ」

 

 そう言えば、私立の学校には全寮制の場所もあるらしいな。あっちはあっちで狭い世界になりそうである。

 さて、俺は目の前の相手に聞くが答えない。小さく震えるだけだ。

 

「IS関係者が如何に恨まれているか、考えた事がなかったのか? 俺が女尊男卑の過激派に思われる以上かも。

 まあ、ISと言うより馬鹿な政治家が女尊男卑を拵えたら。本当、特権認めるにしても特殊な能力を持っている奴や国家代表に絞れは済んだ話なのに。ならば人格を判断できた。

 けど残念」

 

 一拍置く。無言の間に緊張感が高まる。

 

「勘違いした馬鹿にまで渡した結果がこれだ。矛先もガードされている政治家より目の前の女に行く」

 

 重ねて言うと顔が益々青くなる。最早白に近い。織斑先生に救いを求めるような目を向けるが、あちらは助ける気が無い様だ。寧ろ、どういう答えを出すのか知りたいのか、黙ってその女を見ている。

 

「相手を舐めた以上、その報いは受けるべきだ。

 後が無い奴が一番怖い。そこまで追い詰めたのはどういう奴でしょうか?」

 

 自分がどういう目に逢うか想像したのだろう、顔色が白くなり益々震える女は放置し、同じく白い山田先生の方を向く。

 

「という訳です。元からIS業界の人なら兎も角、ISの関係者だとわかっても相手が平然としているなら寧ろ身の危険を感じた方が良いんじゃないですか?」

「わかってます!! 頭ではわかっていますよ!! だから警戒しているんじゃないですか。悪循環ですよ!!」

「悪循環と言うより、完全に陥ってますよね?」

 

 山田先生の叫びだ。視界内の幾人かは今更ながらIS業界の悪循環に気が付いたのだろう、表情に出てしまっている。

 調べたわけではないが、IS関係者の未婚率はとんでもなく高いだろう。いいや、逆に寧ろ既婚者は陰で馬鹿にされるような慣習が出来ているかもな。

 

「ちょっと!!」

 

 さっきの女だ。一時的に無視し山田先生と話した事が癇に障ったのか、逞しくも即座に復活し抗議の声を上げる。だが、

 

「貴様の相手は私に交代だ」

 

 何時の間にやら移動していた織斑先生が、背後からその女の両肩を強く叩いた。ガシンと音が響き女の顔色が一瞬で変わる。

 

「もう食べ終わったか?」

「お、終わりました」

「ならば、家族観について少し話を聞きたい。今から時間はあるか?」

 

 俺には織斑先生の目には静かで激しい怒りが漂っているように感じられた。それは声音にも込められており、彼女も感じ取ったのかおそるおそる振り返る。

 育てた弟の一夏、離してしまった妹のマドカ、存在すら伺えない両親、亡国機業(ファントムタスク)で生まれた彼女達の生い立ちもあり家族関係が複雑なのだ。止めにマドカには弟共々呆れられ生死すらどうでもいいとまでされた。まだ、殺意があった方が救われただろう。

 兎に角、その生徒の言動が癇に障ったらしい。彼女は鬼火の様な黒いナニカを漂わせており、今度は俺を見た。

 

「何ですか?」

「貴様はさっさと帰れ」

「は?」

「今は専用機持ちが戻っている。数日、家へ帰れ!!」

「明日の朝、帰りますよ。今日は生徒会の書類の修正が」

「ならば夜には出発しろ、布仏にも言っておいてやる。一秒でも早く帰れ!!」

 

 布仏は姉の虚さんの方か。のほほんさんは生徒会室に来たのを見たことが無いしな。

 織斑先生はそう言い残すと生徒を引き摺り去って行った。妄想タイムに入って小躍りしている山田先生も残しているし、食事しに来たんじゃなかったのか?

 

「何だ? この空気?」

 

 後に残るは微妙かつぶっ壊れた、渾沌とした空気である。緩んだ気配と程よい絶望感、好機、様々な感情が入り乱れている。

 同じテーブルのオルコットは頭を抱え、シャルロットはどす黒い何かを発し、ラウラはシャルロットにビビりつつ周囲に戸惑っていた。それはそうと簪さんもそんな表情をするんですね、先輩方も。滅茶苦茶驚いているし夢見がちな顔にも見えた。

 

「アンタ、少しは加減しなさい」

「へ?」

 

 周囲を眺めている俺に声を掛けてきたのは鈴だ。だが意味が解らない。

 俺の反応に諦めというか、呆れ果てているのか?

 

「わかって無い。わかって無いわ、アンタ」

「……何を?」

「本当にわかって無いわけ?」

「ああ、わからん」

「毎回毎回!! 落とす爆弾が大きすぎるのよ!!」

 

 何故か叫ばれた。同意している者も多数いるし。

 

「へえ、彼女が居たのか」

 

 背後から男の声がしたので振り向く。いつの間にか、織斑先生が居た位置には一夏が立っていた。定食が載ったトレイを持っている。

 

「同棲相手だ」

「女だろ? その相手」

「……女だ」

 

 その女が妹だと知ったらこいつはどう思うのだろうか。面白そうではあるが姉ですら面倒な事になりつつある。シスコンの毛もある相手だ。できれば一生、伏せておこう。

 そんな俺の内心を知らず一夏はうんうん頷いていた。

 

「俺も頑張らないとな」

「……は? 何を言っているんだ?」

 

 お前の目の前に彼女候補が山ほどいるぞ。彼の発言に視線も一層注がれる。だが、当の本人は何も感じていないらしい。

 

「またまた、俺がもてる訳が無いだろう?」

「お前、その内刺されると思う。男からも女からも」

 

 爽やかな顔をした一夏に即答した俺は悪くないと思う。周囲の者も一往に頷いていた。

 それは兎も角、この食堂をどうしようか。青衣は自らが造り出したこの状況を心の底から楽しんでいる様だった。

 

 

---------------------------------------

 

 

「それでお前は戻って来たのか」

「何があったのか、話せと言ったのはお前だろう?」

 

 マドカは酒をちびちび飲みながら目の前で呆れ顔をしている。

 既に夜。帰った後に3人で夕食、青衣が風呂上りに裸で出て来てマドカが服を投げつける。すっかり慣れてしまった光景であった。各自で風呂も済み、俺は部屋で月見をしながら軽く飲んでいるといつも通り彼女がやってきた。というか毎晩来る。だから彼女の分も用意した。

 

「で、お前が以前に言った通りに女と同居していると暴露した。皆が集まっている食堂でな」

「……思い切ったな」

「言い出したのはマドカ、お前だ」

「違いない」

 

 マドカは軽く笑う。

 よし、俺は有る決心と共に、傍らにあった木箱をマドカに向けた。

 

「霖之助さんに発注していたんだ。受け取ってくれ」

 

 怪訝な顔をしたマドカが木箱を受け取りそれを開ける。すると布で包まれた代物が入っていた。更にそれを解くと、緑色に輝く小さな宝玉と銀で出来たシンプルな首飾りが姿を表す。

 その首飾りと見た後、マドカが俺を驚いた顔で見る。

 

「おい!! これは!?」

「お前専用に作ってもらった」

「本当に受け取っていいのか!?」

「いいから渡してんだよ」

 

 照れ臭さの余り酒を飲む。素面で渡せるほど俺は馴れていない。というかこんなものをプレゼントするなど始めてだ。

 マドカはマドカでぱくぱくと、口だけ開閉させている。驚きの余り声が出ていないのだろう、というかそう思いたい。

 

「初めて会った時はロケットペンダントを付けていただろ? 写真を入れるタイプの」

「……細かく見ているな」

「気が付いたのは青衣の記録を何度か確認した時だ。だが、今は外しているし、此方に来てからは一度も付けていないと聞いた」

 

 マドカが胸元に手をやる。外しているロケットペンダントを弄る様な仕草だ。

 

「あれにはねえさんの写真を入れてある。だが、区切りをつける意味で外したんだ」

「これは体に直接身に付けるものなら基本的に何でもいい。霖之助さんに言えば別の、例えば髪飾りとかに作り変える事も出来るからな」

「普段から頭に宝石を付ける趣味はないな」

 

 くくっと軽く笑う。その後で俺の目を見る。

 

「何故、首飾りにしたんだ」

「首飾りなら服の下に隠せるし、何かをしていても邪魔にはならんだろ? ロケットを付けていたんだ。慣れているだろうしな」

「……本当、考えているな」

「それに俺が青衣の本体を首に付けているのと同じ理由だよ」

 

 気が付かない速度で手足が切られることはあっても首は流石に無いだろう。青衣の本体を首飾りにしているのは割と殺伐とした理由だったりする。

 

「それに邪魔だからって外されたんじゃあ、意味が無い代物だからな」

「意味が無い? 飾りじゃないのか?」

 

 ふむ、魔力が籠っている事には気が付かないか。まだ一ヶ月と少しだから仕方ないか。

 

「マジックアイテム、魔道具、神器、妖具とか言われている代物だ。霖之助さんが造り出した宝玉を、身に付けられるように加工して貰ったんだ」

「何だと?」

 

 驚いたマドカの目線が首飾りに移動する。

 

「これは他者の能力や術を込めると再現させる事が出来る。但し所有者に掛ける術しか効果は無いし溜めた霊力……魔力を使い切れば唯の飾りになる。だが、完全に切れる前に魔力を補充すれば変わらず使える。持ってみろよ」

 

 マドカが木箱から首飾りを取りだし、宝玉を興味深げに見る。

 

「お前、兎との戦闘で俺が空間干渉を利用した透過をしたのを見ているか?」

「ああ」

「今、封じ込めているのはその透過と空を飛ぶ事だ。霊力は石から供給されるから、使う時に霊力切れを起こしていても問題ない」

 

 ごくり、マドカの喉が鳴った。

 

「持続時間は消費する側によって変わるし、長時間経てば石からも霊力・魔力は抜けてしまう。

 その辺は明日以降に調べる必要があるし石へ霊力の込め方も教えるから覚えてくれ」

「あ、ああ」

「それに色も変わるから面白いぞ」

「ほう、緑色はお前だからか?」

「そうだ。お前の色は何色かな?」

 

 嵌っている石の色彩は個人の霊力や妖力、魔力、更に扱う術や能力で異なる様だ。だからマドカが別の術なり能力を込めればまた色が変化する。昼の太陽光下では青緑、夜の人工照明下では赤へ色が変化するアレキサンドライトの様でなかなか面白い石だ。

 

「今日、食堂で話した『多人数で来たら男も女も関係ない』ってやつ、あれはお前が俺達と同じ陣営についた時に思った事だ。お前の安全性を確保する事に頭を悩ましていたんだが、霖之助さんに相談したら昔造った宝玉が有ると紹介された」

「良い兄貴分だな」

「全くだ」

 

 そういうと、マドカが優しげに軽く笑う。半分、営業な気がするが懸念が直ぐに解決できたのだ。感謝である。

 

「その宝玉には俺の透過を封じ込めたんだ。突破できる者は早々居ないしそんな奴が出てきたらどの道勝ち目がない。

 これなら身の安全を確保しつつ逃げられる」

 

 納得したらしい。マドカが大きく頷き、首飾りを手に取った。

 

「男からの贈り物なんて、初めてだ」

 

 マドカは照れ臭そうに首飾りを付けると俺の布団に倒れ込む。そのまま転がり仰向けになった。

 何というか、その、誘っているようにしか見えない。

 

「本気か?」

「本気だ。でなくては毎晩男の部屋に来るわけないだろう」

 

 胸元で両手を組み、マドカが固い顔で宣言する。

 

「緑兵はここまでやった女に恥をかかせる気か?」

 

 少し心配そうな顔で此方を見るマドカに俺は手を伸ばし、気が付いた。

 

「これが透過か。面白いな」

 

 こいつ、渡した首飾りで早速透過をしやがった。敷き布団に体を半分透かせている。

 マドカが透過を発動させたのとほぼ同タイミングで俺が伸ばした手を止めた事に気が付いたのだろう、少し儚げだった雰囲気は捨て去りにんまりと笑う。

 

「さて、助兵衛心は何処に行った?」

 

 こ、い、つ、はぁ!! 少し頭に血が登る。

 

「どうした? 男の純情が傷ついたか?」

 

 にまにま。実に楽しそうだ。そうかそうか、ならば俺も楽しませて貰おうか。

 

「あ、あれ?」

 

 そのままマドカの顔に両手を伸ばし、頬をぐに~と伸ばしてやる。きょとんとしている彼女が声を漏らした。

 

「透過の注意点として解除するタイミングだな。それこそ物質の中に嵌ったり体が半分になったりしかねない。

 体を布団に沈めているな。そのまま透過していろよ。今、解除すれば何が起きるか分からない」

 

 びっくりしたらしい。これでは解除が出来ない。目は泳いで体が硬直していた。

 

「俺の霊力と術を込めた代物だぞ? 対抗できるに決まっているだろうが」

 

 そう伝えると顔色が変わる。つまり、俺には通じないのだ。

 

「こらこら、逃げるな」

「い、いらっ!!」

 

 床下まで逃げようとしたのかもしれない。だが、今のマドカは浮いてしまっている。頬を掴んだまま引っ張り上げる。痛かったのだろう、少し涙目でもある。

 

「お前は透過を継続するしかない、黙って弄られろ」

 

 首から下に手を伸ばした時抵抗されたがそんなの無視だ。腕力ではマドカに敵わないが向こうが俺の体をすり抜けてしまうので関係ない。だが、使い慣れていないアイテムで勝手に解除されたら危なっかしい。故に空間ごと固定をしておこう。これで磔同然である。状況に気が付いたマドカの表情が更に変わる。

 

「は、はは……」

「さて、楽しませて貰いますか」

「お手柔らかに」

「無理」

 

 乾いた笑いと共に顔を引きつらせていたマドカへ笑顔と共に宣言する。脇の下に脇腹、足の裏をくすぐると爆笑を始めた。時々、艶やかな声も上げている。防音の結界を張っておいて助かりました。下手をすれば青衣が飛んで来たかもしれないからな。

 

「お、この辺りが弱いか」

 

 弱点、見っけ。

 止めろと喚くが止める気は更々ない。それに良い声だ。

 

「表情豊かで可愛いぞ」

 

 向こうは反応する余裕などないらしい。様々な色を含んだ声が更に大きくなる。俺はしばらく堪能した後、息も絶え絶えな彼女を転がっていた布団の上で解放した。

 

「こ、この……ドS(エス)め……」

「M(エム)相手に丁度良いじゃないか。可愛かったぞ」

「Mの意味が違う……」

「どちらかといえばS気質だよな、お前」

「覚えていろよ……」

 

 くすぐりは拷問にもなる。ほんの数分間だがマドカは相当の体力を消耗したのだろう、うっすらと汗をかいて息切れを起こし今はあられもない姿で仰向けになり俺を睨み付けていた。荒い呼吸で胸が上下しているが、どうせ俺は中身を見ている。互いに気にしない。

 

「まあ、透過の性質を理解して霊力切れに注意すれば幾らでも使える。それに透過した状態で遠距離攻撃をしたらどうなる? 弾幕にサイレント・ゼフィルスのビットにライフルとか」

 

 マドカが驚きで上半身を起こす。汗で髪が張り付いている顔といい半裸といい実に艶かしい。本人は気が付いてない様だがはだけているし。

 

「普段から身に付けてくれると嬉しい」

「……ああ!!」

 

 本当、いい笑顔をするようになった。俺は嬉しいです。

 

 

 

 

 

 その後、マドカは風呂へ入り直しに部屋から出て行った。静かになる。

 

「紫姉さん、怒らないからさっさと出て来て下さい」

 

 部屋を覗いていた者に問いかける。向こうは俺が気が付いていたとは思わなかったのだろう、ギクッとしたらしい。少しの動揺が伝わった。

 

「いつから気が付いていたの?」

 

 空間が裂けスキマが俺の正面、襖付近に現れた。紫姉さんが首から上だけを覗かせている。

 

「マドカが俺の部屋に来た当たりから」

「……本当、成長したわね。最初からじゃない」

「確信したのはマドカが布団の上に寝転んだ辺りだ。動揺したでしょ?」

 

 だから恥ずかしい行動を取ってしまったわけだ。それまでは慣れない行動をした為だ、気のせいだと思っていたからな。

 あはは、と紫姉さんはバツの悪そうな顔になる。マドカが其処までするとは流石に予想外だったのかもしれない。

 

「それに気が付いたのは家周辺に張ってある俺の結界内だからだよ」

「大したものだわ、それでも」

 

 これは事実である。例えば臨海学校の時の様に外出中だったら気が付かなかっただろう。

 

「あの首飾り、いつの間に発注していたのよ」

「この前、霖之助さんの家で飯を食べた時」

 

 物の価値を考えれば安いと思うが代金で俺の2ヶ月分の報酬が飛んだ。まあ、普段は金を使わないから月の報酬は半分以上余る。家賃も無いし溜まる一方だったのだ。そう言えば、個人で買った物なら今までで一番高価か。

 というか、こんな代物の石を作って放置していた霖之助さんが恐ろしい。伝説の金属である緋々色金(ひひいろかね)の加工技術を持っていたり、道具から概念や用途、効果だけ抜き出して構造無視してまで別の道具に合成したり技能も半端ではない。霊夢の装備一式に魔理沙のミニ八卦炉を作ったのも霖之助さんだよな。そういえば、あの風見幽香の日傘を作ったともされている。本当、凄まじすぎるマジックアイテムの作成技術だ。その上、本人も草薙の剣を所有していたりする。ひょっとして別の神器を持っているかもな。

 あの人、やっぱり古道具屋じゃなくてマジックアイテム関連に専念するべきだ。

 

「それにしても、よく自制したわね~」

 

 紫姉さん、あんたが見ていたからだ。人が見ている中で女に手を出す趣味は無いぞ、俺は。

 これは声に出さないが、向こうは気付いている。にやにやした笑みを浮かべていた。

 

「じゃあね~」

 

 そのまま、俺に何か言われる前に去って行った。探るが本当に居ないようだ。

 ふう、と一息つく。さて、俺は寝ることにするか。

 其処で気が付いた。布団がマドカの汗まみれである。夏とはいえ、どうしよう。

 ……まあ、いい。明日、干せばいいか。

 

 

 

 

 

 翌朝、少し遅めに起きた俺が居間に行くと、顔を赤くしながらにやけて首飾りを弄るマドカとからかう紫姉さんが遊んでいた。橙もマドカにじゃれついている。藍姉さんと青衣はにこにこしながら茶を飲み、その光景を眺めていた。

 ああ、実に平和だ。俺にもからかいの言葉が飛んで来なければ。

 

 

---------------------------------------

 

 

 既にお盆も過ぎて夏休みはあと僅かだ。IS学園へ戻った俺に対し、学園生徒の見る目が良くも悪くも一気に変わった事以外は特に平和であった。打鉄弐式も完成し簪さんが微調整と慣れを繰り返すだけである。

 ある日、俺の部屋に織斑先生が訪ねてきた。後ろには神妙な顔をした一夏と箒が続いている。とりあえず3人を部屋へ通す。椅子は足りないので俺と青衣がベッドに、一夏と箒が青衣のベッドに腰を掛けて織斑先生が青衣の椅子に座り互いに向き合った。

 

「緋宵(あけよい)って人、知っているか? 俺達と同じ年位の女性だけど」

「……誰だ?」

 

 一夏が口を開く。出てきたのは俺の知らない名前である。青衣も知らないらしい。首を横に振っていた。

 

「この前、篠ノ之神社で祭りがあった。私と一夏も参加していてな」

 

 今度は箒が口を開く。

 

「夜、一夏と散歩をしていると虹色の光に包まれた、気が付いたら目の前に知らない神社とその篠ノ之緋宵……篠ノ之神社の神を名乗る女がいた」

「ほう」

 

 なるほど。そういうことですか。霊夢を始め幻想郷の者にぼこぼこにされた篠ノ之神社の神か。

 

「その緋宵は知らないけど、篠ノ之神社にはこの前殴り込んだな」

「また殴り込みかよ!! 緋宵さんが言っていた通りか!!」

 

 一夏が言う。箒の眉間にもしわが寄る。

 何を聞かされたんだ? お前達。

 

「また?」

「アメリカの件は聞いている。それに織斑先生から神社で起きた事もお前達本来の目的も聞いた」

 

 眉間に皺を寄せた箒である。そうか、真相を知ったか。なら篠ノ之束への説得も、本腰を入れてくれるだろう。

 

「妖怪達の好きになどさせん!! この外の世界への大惨事も防いでやる!!」

「「「は?」」」

 

 何を言ってんだ? こいつ?

 強い口調で宣言した箒に青衣はおろか、織斑先生まで驚いている。一方で一夏は箒に頷いていた。

 

「……妖怪以外にも同じ神に加え同類の閻魔、死神、妖精、妖獣、亡霊、魔界人、俺達みたいな人間もいますが何か? つーか全面的に支援を貰ってますが」

 

 そう言うが、箒は人の話など聞いちゃいない。鼻息荒く腕を組んで俺を睨んでいるだけだ。

 

「どんな説明をしたんですか?」

「私は幻想郷の崩壊に此方側の大惨事も含め、お前達本来の目的を話しただけだ……何故こうなった?」

 

 一夏と箒には何を話しても無駄だと思い、深いため息をついた織斑先生に投げる。だが、彼女も彼女で困っていた。

 

「改めて説明をしてください、この場で」

「その心算でお前達の部屋に来たんだ」

 

 青衣が織斑先生に言うと、素直に説明を開始した。内容に問題は無さそうだ。一夏と箒が特に反応を返さない事もある。多分、織斑先生は二人に同じ事を説明した。

 

「……幻想郷の者は殴り込みが好きなのか?」

「どうでも良いだろうが、そんなことは」

 

 一夏は一夏でどうでも良い事を気にしていたりする。指摘すると一度キョトンとした後、真剣な面持ちになった。

 

「その緋宵さんが一度訪ねてくれって」

「おいおい、篠ノ之束の師であり逃がした本人が俺達に会いたいってか? 行くわけないだろう?」

「その通りです」

 

 一夏が預かった伝言を俺と青衣は断る。下手をしたら殺されかん。

 

「敵対する意思は無い、そう言ってたぞ」

「口ではどうとも言える」

「お前、信用しないのか!?」

「寧ろ何で無条件で信用できるんだよ!! あの神が邪魔しなかったら蹴りが付いていたかもしれないんだぞ」

「束さんの捕獲か!?」

「そうだ!!」

 

 ベッドから腰を浮かした一夏に対し、俺も腰を浮かして反論する。

 あの時、一夏に背後から撃たれて邪魔されたな。謝罪も受けてない事に気が付く。

 睨み合いが始まった。

 

「その時は私も行こうと思う。いつ行く?」

「俺達は行きません、勝手に行って下さい」

 

 織斑先生は向こうに乗り気である。何つーか、面倒な事は続くものだ。

 俺と青衣は行かないからな、絶対。

 ちなみに箒は自分の神が絶対的な正義、妖怪が絶対的な悪だと決めつけていただけと判明する。一夏は箒に追随していただけ。

 両方を知っている俺からすれば自分勝手なだけだ。当然、此処まで面倒にした人間も含む。俺も含む。

 




 最後まで読んで頂き、有難うございます。

 色々あってストレスたまった状態で突入した一日だけの休み、朝から酒を飲んで酔っぱらいながらの一気書き。少し後、出来上がったものを読んで慌てて内容を修正、軌道も修正。また本筋からずれてしまった。
 マドカの透過について。プレイヤーキャラになったらどんなボムや支援を使うだろうか、八雲陣営だから移動や収集、すり抜け系列かと思い扱わせました。
 香霖堂を再読中。それにしても霖之助はチート過ぎます。

さて今回、名前だけ登場したオリジナルキャラ
 篠ノ之神社の神である篠ノ之緋宵(あけよい)。
 緋宵は篠ノ之神社に江戸時代から代々伝わる名刀「女のための刀」から名前を拝借。篠ノ之神社では毎年盆と正月に「剣の巫女」と呼ばれる巫女が神楽舞を披露しており、箒が「剣の巫女」とのこと。


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