問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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書くことがないですね!

でも前書きは書きます!なんか楽しいし!




十二話 蒼穹

「竜胆さん、お時間ですよ」

 

外でぼけっと持参の料理本を読んでいた竜胆に、黒ウサギがそう声をかけた。

 

「ん……わかった。すぐ行くって皆につたえといてくれ」

 

「了解しました。それではまた後ほど」

 

黒ウサギが立ち去り、そこから一人そこ───ギフトゲームの会場に赴こうとする。

 

「タマモ、俺の予想が正しければお前の力が必要になってくる。

……いいか?」

 

『当然です。この不肖玉藻の前、ご主人様の指令に全力を尽くします。

あ、勿論夜の方も全力を───』

 

「………」

 

『すみません、ちょーしくれてました。その無言はやめてください』

 

「……行くぞ」

 

◆◇◆

 

"契約書類(ギアスロール)"文面

 

『ギフトネーム名 "FAIRYTALE in PERSEUS"

 

・プレイヤー一覧

逆廻 十六夜

久遠 飛鳥

春日部 耀

高町 竜胆

 

・"ノーネーム"ゲームマスター ジン=ラッセル

 

・"ペルセウス"ゲームマスター ルイオス=ペルセウス

 

・クリア条件

ホスト側ゲームマスターを打倒

 

・敗北条件

プレイヤー側のゲームマスターによる降伏

プレイヤー側のゲームマスターの失格。

プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

舞台詳細・ルール

※ホスト側ゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない

※ホスト側参加者は最奥に入ってはいけない

※プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスター除く)人間に見られてはいけない

※姿を見られたプレイヤー達は失格となり、ゲームマスターへの挑戦資格を失う

※失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行する事はできる

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗の下、〝ノーネーム〟はギフトゲームに参加します。

 

ペルセウス印』

 

◆◇◆

 

「つまり、ペルセウスの寝首を狩れってか」

 

「それならルイオスとかいうのも伝説にならって爆睡だ。そこまで甘くはないだろ。

つまるところ、透明になるペルセウスのギフト、ハデスの兜を強奪、ルイオスの下へ……だな」

 

"契約書類"を見つめていると、飛鳥が難しそうな顔をしていた。

 

「見つかったら即ゲームオーバー。ルイオスへの挑戦権を失う。

ジンくんが発見された場合はその時点で私達の負け……なら、大きく分けて三つの役割分担が必要ね」

 

ジンと共にゲームマスターを倒す役。見えない敵を索敵する役。そして、失格覚悟で囮と露払いをする役。

 

「索敵なら、俺と耀に任せろ」

 

「春日部はともかく、お前は大丈夫なのか?ただの呪術だろう?」

 

「人類の罪は伊達じゃない。その辺の獣風情に劣る要素なんてない。

で、そうなるとルイオスとかいうのを倒すのは十六夜の役だな」

 

「あら?じゃあ私は露払い役なの?」

 

むっとする飛鳥だが、先日、ルイオスにギフトが通用しなかったところから彼女では彼に対応することができないのは明白だった。

 

なにより、飛鳥のギフトは不特定多数の相手にこそ高い効力を発揮する。

 

しかし、それでも不満なものは不満だった。

 

「悪いな、お嬢様。俺も譲ってやりたいのは山々だが、どう考えてもやつの相手は俺が適してる」

 

「……ふん。わかったわ。

今回は譲ってあげる。ただし、負けたら承知しないんだから」

 

飄々と十六夜は肩を竦めるが、黒ウサギは対象的に神妙な顔で不安を口にする。

 

「残念ですが、必ず勝てるとは限りません。油断しているうちに倒さねば、非常に厳しい戦いかと」

 

「……あの外道、そんなに強いの?」

 

「いえ、彼自身はさほど。

しかし、彼が所持しているギフトは、黒ウサギの推測が外れていなければ───」

 

「「隷属された元・魔王様」」

 

「そう、元・魔王の……え?」

 

横から声を出した十六夜と竜胆に、一瞬言葉を失った。

 

「もしペルセウスの神話通りなら、神界に献上されたはずのゴーゴンの生首が存在するわけがない。

にもかかわらず、奴らは石化のギフトを使った」

 

「星座として招かれたのがペルセウスなら、さしずめ首に下がっているらしいチョーカーはアルゴルの悪魔となる」

 

「……アルゴルの悪魔?」

 

飛鳥達三人は顔を見合わせ、小首を傾げるが、黒ウサギは驚愕したまま固まっていた。

 

彼女だけが、今の答えに至るという異常性に気づいたからだ。

 

「お二人共……まさか、箱庭の星々の秘密に……?」

 

「まあな。この前星を見上げた時に推測して、ルイオスを見た時に確信した。後は空いた時間にアルゴルの星を観測して答えを固めたってとこだ。

まあ、機材は白夜叉が貸してくれたからな。難なく調べれた」

 

「で、では、竜胆さんは?」

 

「調べるだけなら阿呆でもウサギでもできる。

アルゴルが変色恒星じゃないことに疑問をもったから調べただけだ」

 

四人はポカンとしながら二人を見る。

 

「……もしかして、お二人さんは意外に知能派なんですか?」

 

「そんな大したものじゃないさ。原理さえわかればだれでもわかる」

 

「何を今更。俺達は生粋の知能派だぞ。黒ウサギの部屋の扉だって、ドアノブを回さずに開けられただろうが」

 

「……いえいえ。そもそもドアノブがついてませんでしたから。扉だけでしたから」

 

「あ、そうか。だけどドアノブがついていても、俺達はドアノブを使わずに扉を開けられるぞ」

 

「………………………………。参考までに、方法をお聞きしても?」

 

黒ウサギがやや冷ややかに見る。

 

十六夜がヤハハと、竜胆が不自然に微笑んで門の前に立つ。

 

「そんなもん───」

 

「その程度───」

 

「「こうやって開けるに決まっている(んだろ)ッ!!」」

 

轟音と共に、白亜の宮殿の門を蹴り破った。

 

◆◇◆

 

「ふふ……不可視の人間を除けば、粗方集まったかしら」

 

飛鳥が周囲を見渡す。そこには騎士達が空駆ける靴を履いていたが、水樹の生み出す水がそれを遮る。

 

「……飛鳥」

 

「あら。どうしたのかしら、竜胆くん?というか、いつの間に名前で呼ぶようになったの?」

 

「仲間、だからな。名前で呼ぶのは普通と思っただけだ。

で……俺は呪術使って向こうには不可視状態だ。もし向こうになにかあったら、上に向かうから、そのつもりでいてくれ」

 

「了解よ。いえ……むしろ、今すぐ向かったら?」

 

「ご厚意感謝するが……やめとこう。箱入りのお嬢様を一人にするってのは、些か不安だからな。

異常がおきてから───」

 

その時、一筋の光が挿し、周りの兵士、飛鳥、耀が石になっていた。

 

「なっ……まさか、石化のギフト……」

 

『ご主人様!エマージェンシーです!

どうやら、上層で十六夜様やジン様達があのド外道と戦闘を開始、これらはその余波……いえ、余波というよりは、意図して仲間ごと石化させたようです!』

 

「……人の命、それも仲間をだと?」

 

その時、竜胆の瞳はアメジストから紅に染まっていた。だが、以前のように暴走はしていない。

 

「……タマモ」

 

『はい』

 

「神格を解放しろ。負担は俺が請け負う」

 

『ですが……』

 

「いいから早くしろ!石化したこいつらがどれだけの硬度があるかは知らんが、このままじゃ瓦礫に巻き込まれて全員死ぬ!」

 

『……わかりました。ただし、後でどうなっても知りませんからね。

ご主人様はもともと、こういった呪術を使うような人じゃないんですから』

 

「上等……!」

 

そして、金色の九尾と狐耳が現れた。

 

◆◇◆

 

白亜の宮殿の最上階にて、ルイオス=ペルセウスは狂喜していた。

 

「ハッハッハッハッハ!!これがアルゴルの魔王の力だ!

ありとあらゆるものを石へと変え、その存在を終わらせる!」

 

「……へえ、こいつはヤバイかな」

 

十六夜はその光景を目の当たりにし、そう漏らした。

 

「なかなかわかってるじゃないか!

そうだとも!これが僕の力さ!」

 

「いや……そうじゃねえ」

 

十六夜は珍しくバツの悪そうな顔をする。黒ウサギもその理由をなんとなく察した。

 

「?ならなにが……」

 

ルイオスが言葉を紡ぐ前に、圧倒的な光景を目の当たりにした。

 

それは、一人の少年。九つの尾と、狐の耳。そこには紛れもなく、神格が宿っている。

 

そして、その後ろには、大量の石像と化した人間がいた。

 

「さっきからキャンキャンと耳障りな声を出しやがって……加えて、貴様の同士すらも捨て駒のように扱う態度……万死に値する」

 

紅の瞳は、星の騎士を見つめていた。





石化を防ぐ……タグにチートでも付けようかな?
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