問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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お待たせしました。一章の最終話です。

次は……二巻?それとも番外?


一章最終話 僕たちの行方

どうしてこれを俺は予測できたのだろうか。

 

ペルセウスに勝ってレティシア=ドラクレアの所有権がノーネームに移った。嬉しい。

 

ここまでは誰もが予想できる。

 

だが、どうしてか俺は、その後に言った三人の言葉を何故か予想できていたのだ。

 

「「「じゃあこれからよろしく、メイドさん」」」

 

「え?」

 

「え?」

 

「……え?」

 

「………」

 

「え?じゃないわよ。だって今回のゲームで活躍したのって私達だけじゃない?

貴方達は本当にくっついてきただけだもの」

 

「うん。私なんて力いっぱい殴られたし、石になったし」

 

「つーか挑戦権持ってきたの俺と竜胆だろ。

所有権は俺達で等分、3:3:2:2でもう話はついた!」

 

「まて。俺は何も聞いていない」

 

「何言っちゃってんでございますかこの人達!?」

 

もはや、黒ウサギとジンは錯乱していた。

 

そして当人たるレティシアは何故か冷静。

 

俺?久し振りに言うけど、心底どうでもいい。メイドとかいらん。アイツの相手してるだけで疲れる。

 

『アイツっていうのはやっぱり』

 

(お前だ。タマモ)

 

『や、やはり……ご主人様のAT-フィールドはガード堅すぎますよ!

食事に誘われて「これから食事行くから」とか言って断る声優ですかこんちくしょー!』

 

まあ、そんなタマモはおいておくとして。

 

「んっ……ふ、む。そうだな。

今回の件で、私は皆に恩義を感じている。コミュニティに帰れたことに、この上なく感動している。

だが親しき中にも礼儀あり、コミュニティの同士にもそれを忘れてはならない。

君達が家政婦をしろというのなら、喜んでやろうじゃないか」

 

「俺はそんなこと一言も言ってないぞ」

 

「レ、レティシア様!?」

 

あれ、今日ってなんか無視される日なのか?俺の発言が他の奴らのせいでかき消されてるんだけど。

 

「私、ずっと金髪の使用人に憧れてたのよ。うちの使用人ったら、皆華も可愛げも無い人達ばかりだったもの。

これからよろしく、レティシア」

 

「よろしく……いや、主従だから『よろしくお願いします』の方がいいかな?」

 

「使い勝手がいいのを使えばいい。そっちの方がいいのならうちのエロ狐にでも喋り方聞いてくれ」

 

「誰がエロ狐でございますか!?」

 

「常に発情期なお前だ」

 

「そ、そうか……いや、そうですか?んん、そうでございますか?」

 

「黒ウサギとタマモの真似はやめとけ」

 

◆◇◆

 

それから3日後、ノーネームは金欠だというのに、俺達四人+タマモ+耀の三毛猫と、レティシアの歓迎会を開いていた。

 

「えーそれでは!新たな同士を迎えたノーネームの歓迎会を始めます!」

 

「……風が気持ちいいな。思わず寝てしまいそうだ」

 

「おいおい竜胆。まだ九時にもなってねえぜ?お子様は寝る時間か?」

 

「煩いな……お前よりは若くても飛鳥や耀よりは長生きしてる」

 

そうは言いつつも結構限界だ。あんまり長く寝てると朝がやばいから、普段は早めに寝ている。俗に言う早寝早起きっていうやつだ。

 

「だけどどうして屋外の歓迎会なのかしら?」

 

「うん。私も思った」

 

「黒ウサギなりの精一杯のサプライズってところじゃねえか?」

 

実際、今のノーネームの財産はあと数日で底を突く。俺達が本格始動したとして、百を超える子供を養うのは少し難しい。まして、その中には魔王との戦いや仲間の救出もあるのだから、尚更だ。

 

「無理しなくていいって言ったのに……馬鹿な子ね」

 

「……そう、だな……。……俺も、そう……思う……」

 

うとうとしながら飛鳥の言葉を返す。ここに姉さんがいたらスキンシップとか称して「竜胆可愛い」なんて言ってハグしてくるだろう。

 

まあ、その姉さんも死んでしまったのだから、それすらも懐かしくて愛おしい。

 

歓迎会の『本番』はもう少し後、と言っていたので、俺はそのもう少しを安らぎの中へと沈めていった。

 

◆◇◆

 

突然だが、俺の家族の話をしよう。

 

まず長男の俺の兄さん。異世界のどの記録にも乗っていないという過去の王様本人らしい。なんでも死の直前に現代にタイムスリップして母さんに拾われたらしい。

 

強くて、胡散臭くて……俺の大好きな兄さんだった。

 

次に、長女の姉さん。この人はさっき言ってたハグする姉さんだ。異世界の王族のクローンだそうだ。

 

まあ、つまるところ姉さんも、兄さん同様に母さんに拾われた。因みに姉さんの方が兄さんより年下だけど、姉さんが先に拾われたらしい。

 

優しくて、あったかくて……俺の大好きな姉さんだった。

 

次に、次女の姉さん。俺の双子の姉。俺はお姉って呼んでた。

 

お姉はとにかくアホだった。天才なのに、アホだった。あと、異性一卵性双生児っていうやつだったから、すごいチビだった。

 

それでも、なにかと俺の世話を焼いてくれた。いやまあ、逆に俺が世話を焼くような感じになってたけど。

 

世話好きで、後先省みなくて、俺の大好きなお姉。

 

次に、俺の弟と妹。三男と三女。

 

弟は困ったことに、姉さんの彼氏さんの血縁関係にある人が原因で女装がファッションとなってしまっていた。妹も結構腹黒い。

 

きっと俺が守りたいものって、こういう家族なんだろうなって思わせてくれた、大事な弟と妹。

 

そして、父さんと母さん。二人はなんかもうややこしいことこの上ない存在だ。

 

一言で纏めると、二人して性転換転生を体験してて、魂に直結してる不思議なオーパーツの力で、寿命では死なない、年を取らないという異質な存在。母さんに至っては体の一部分が機械だ。

 

それでも、俺を愛してくれた父さんと母さんだ。

 

そして……言うのも恥ずかしいが、俺の元・彼女さん。

 

困ったことに、変態だ。本当に困っていた。事あるごとに俺の胸を揉みしだいていた。あとヤンデレ。

 

それでもやっぱり、俺を世界で、いや、全ての世界と宇宙の中で俺という個人を愛してくれた人だった。

 

だけど、俺は死神だから。幸せなんて手に入れられない。

 

そう。例えどんな場所に逃げたって、俺は死神なんだ。

 

大事な人ほど、儚く消える。

 

そんなのが嫌だ。嫌だから、俺は逃げたはずなのに。

 

ここでも、守りたい人達ができてしまった。

 

◆◇◆

 

「竜胆……竜胆っ……」

 

「───さん」

 

空に上がっていたペルセウスの旗、ペルセウス座が消えた時、突如春日部耀は眠っている竜胆が気になった。

 

しかし、竜胆はいくら揺さぶられても、聞き覚えのない名前を出しては、苦々しそうに顔を歪めるだけ。

 

「───いやだよ。ぼくをひとりにしないで」

 

「───え?」

 

突如、竜胆はそう言い出した。

 

「───ひとりぼっちは、いやなんだよ。さびしいのは、いやなの」

 

そう寝言で呟きつづける竜胆はどこか儚げで、このまま放っておけばどこか遠くへ行ってしまいそうで……

 

思わず、耀は彼の手を優しく握っていた。

 

「大丈夫。竜胆は一人じゃない。寂しくなんか、ない」

 

「───ありがとう」

 

『『『ありがとう』』』

 

「───え?」

 

またも、耳を疑ってしまった。

 

今、竜胆が寝言で彼女に礼を言った時、色々な声が聞こえてきた、そんな風に感じた。

 

「───お礼なら私もだよ。初めて会った日も、ガルドから助けてくれたし、次の日も真剣になって私の怪我を治してくれたそうだし。

それに、友達になってくれたし」

 

今は眠る。今際の世界の理を、"人類の罪"は知るのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




何度も言いますけど、竜胆くんがいた世界については 真・ゼルガーの部屋 の天上天下と名乗っている私の小説をご覧になってくださいね!

時々名前やらややこしい部分やら出てきますが、直接御話に干渉はしないので。
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