問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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とっても今更すぎますね。あととってもお久しぶりです。あけおめです。

かっこうむしです。

因みに前回の桃太郎ならぬいちごダキニ同様時系列と竜胆くんのキャラ崩壊はぐっちゃぐちゃです。その辺はあしからず。




今更すぎる正月番外編! 孤独の狐のお正月

箱庭にも季節があるように、箱庭にも所謂『お正月』は存在している。

 

正月だと言うのに油揚げと稲荷寿司……季節外れではないが、年明けは年越し蕎麦か餅ではないのだろうか。

 

ともかく、その油揚げと稲荷寿司をもっちもっちと小動物のように食べている少年、高町竜胆は隣にいる自身に憑依した狐、タマモこと玉藻の前と共に初詣でも行こうかと思っていた。

 

「……年、明けたな」

 

「明けましたね」

 

数年前から誰もいない場所で過ごしてきていた彼らにとって年を明けるということはそうとう久しぶりに感じている。

 

「というか、なんで正月なのに餅も蕎麦も食わずにこの二つなんだ。

……畜生、お前が取り憑いて以来こういうのが美味く感じるんだよ」

 

「ご主人様、それは『悔しいけど、感じちゃう……』的なことですか?」

 

「お前のお花畑な脳みその中身かち割って見てみたくなってきたな」

 

「ごめんなさい私が悪かったです許してくださいその右手に持ったフライパンをしまってください!」

 

「一発ぶっ叩いとかないとお前の頭の中身は変わらないと思うんだ」

 

「や、やめてくださいまし!やめてとめてやめてとめてやめてとめてアッーーーーーーーー!!!」

 

ゴギャンッという結構危ない音が響いた。

 

◆◇◆

 

「やっぱり初詣なんか行ってる暇はないな。このコミュニティは遊ぶ時は本気で遊ぶような奴らばっかりだしな……ん?

あれは……ペストか。おい、なにやってんだ?」

 

竜胆が暴走した憑依霊を気絶させた後、外で畑でもたがやかそうかなんて考えていると、見知った顔を見つけた。

 

「あら、竜胆。あなたこそお正月からこんなところになんのようかしら?」

 

「畑と田んぼの様子見だよ。コミュニティの子供らは洋食、和食と完全に1:1の比率だからな。

正月だからと言って、和食一択っていうのもあれだし」

 

「御苦労なことね。まぁ、料理の方は貴方とリリに任せておけばどうとでもなるわ。

特に貴方に料理の文句を言ったらそれこそヤバいことになるわ」

 

以前、和食だけの料理を出した時のことである。彼はこれを機に洋食派の子達にも和食を食べて欲しい、翌日は洋食オンリーで逆もまたしかりという感じで作ったのだが、それがそれぞれの派の子達にとっても文句を言われてしまったのだ。

 

因みに彼はその日からおよそ数週間厨房に篭ったきり出てこなかった。ドアを開けようとしたリリ曰く、扉の向こうから「あいつらを満足させられなかった……俺の料理はまだその程度……ああダメだ。もっともっとだ。もっと上達して、あいつらに最高の料理を振舞ってやらないとダメだ……」という言葉が聞こえてきたらしい。

 

因みに彼はプレイヤーとしてだけではなく、既に箱庭最高レベルの料理人としても有名である。

 

その彼はまったく自分の腕を誇りに思うことなく、貪欲に上を目指し続けているからこそ 、その時子供の我儘を真に受けてしまったのだ。

 

因みにその時はメンバー総出で彼を止めたのだが……それはまたのお話。

 

「……そうか……俺の料理は……まだ、不満を言われる程度のレベルなのか……」

 

文句を言ったらそれこそ大変、そう言ったのは間違いだったらしい。

 

「あ、いえ……そういうわけじゃないのよ?仮に、もしもの話だから!私達、実際貴方の料理を毎日食べられてすっごい満足だから!」

 

「……ほんとう?」

 

子供みたいな言葉遣いと子供みたいな目で見られてしまった。

 

「ほ、本当よ!」

 

「ぐすっ……よかった……」

 

いちいちややこしいメンタルの持ち主であった。

 

◆◇◆

 

「古代米味噌……流石の俺でもこれ程の食材を使ったことはないな……さすがは箱庭、こんな栽培が難しいものも簡単に作ることができるなんて……」

 

田んぼの様子を見ながらそんな感想を述べる。

 

「ふむ……これをどう洋食派の奴らにも食べさせるか……だな。調理の方法は様々だが……味噌を使った料理なんて洋食には聞いたことがないからな……」

 

その時、ピキンときた。

 

「そう言えば昔、エジプトパンに味噌を使ってる料理漫画があったな。となると直火で焼くか……いや、炭焼きの方がいいか。炭もそれなりもやつ……備長炭みたいなのがあれば」

 

料理のことで頭を使うことが彼にとって至福の時。それでも本人は趣味の範囲を出ないと言う辺りがすごいのだが。

 

「竜胆」

 

三度、女性の声。

 

「なんだ、耀か。ペストといい正月の朝っぱらからこんなとこにいるなんて、うちの女性陣はどうなってるんだ?」

 

「そういう竜胆も正月の朝っぱらから田んぼの真ん中にいるなんて、女の子らしさがゼロだよ?」

 

「お れ は お と こ だ」

 

「冗談」

 

「当たり前だろ」

 

それ以降バッタリと会話が途切れる。元々控えめな耀と会話がなければ喋ろうとしない竜胆の二人なのだ。こういう光景は結構見る。

 

「……耀。お前、和食派?それとも洋食派?」

 

「突然どうしたの?」

 

「いや、気になっただけだ」

 

稲を一つ一つ見ながらそう言う。

 

「……どっちでも好き。沢山食べられればそれでいい」

 

「お前は……もう少しグルメというか、そういうのを知れよ……料理の作りがいがないだろ。

俺としちゃもう少し拘りを持って欲しい」

 

「拘っていつかみたいに厨房に引き篭られても困る」

 

「うぐっ……」

 

どういうことか、竜胆は耀に甘い。例の厨房に引き篭った時も決め手となったのは耀だった。

 

「……その、なんだ。久しぶりに誰かのリクエストに応えて料理するのも悪くないなって思ってだな。

あ、いや違う!別にお前だから聞いたわけじゃない!偶々、近くにいたから聞いただけだ!」

 

両手を前に出してブンブンと降る。真っ赤になった顔は黒ウサギの緋色になった時の髪よりも鮮やかだ。

 

「う、わわわわ!?」

 

田んぼの中でブンブン降っていたのが災いしたのか、そのまま体勢が崩れて頭から田んぼに入っていった。

 

「竜胆?」

 

「ぅわ……顔面ベットベトだな。泥パックとかいうのもあるけど、田んぼの泥じゃあダメだろうな……」

 

むくっと立ち上がり、他人事のように言う。

 

「少し風呂に入って来る。丁度米の下調べも終わったしな」

 

さっきまでの動揺っぷりや如何に、彼はテクテクと本拠に向かって行った。

 

◆◇◆

 

「どうしてこうなった」

 

大浴場。そこは早朝早くから使う奴なんてそうそういない。それが夜明け直後なら尚更だ。

 

だがしかし、いた。先程別れた筈の耀がいた。ついでに言うなら先程気絶させたタマモと先程別れたペストもいた。

 

入って気づいた瞬間に撤退しようとした彼はそのままタマモに羽交い締めにされ、入浴を強制されていたのだ。

 

「新年早々入浴したら混浴って……どこのラブコメだよ」

 

三人がいる方向とは正反対の方向を向いてはぁ、と項垂れる。

 

「竜胆」

 

「うわあああああああああああああああ!!!??」

 

後ろから突然声が掛かってきたのでビクッとなる。

 

「ぺ、ペストか……驚かせるな……」

 

「いえ。こんなに女性関係で動揺している貴方を見てると、つい驚かせてしまいたくなったのよ」

 

「どこの好きだからイタズラする小学生だ!」

 

ふぅ、と再び一息。この状況は正直に言うととってもマズイ。

 

こういった女性関係のトラブルが起きたことは箱庭に来る以前、以後と共に何度かあったが、何度体験しても慣れるもんじゃない。

 

「最終鬼畜元魔王ペストとでも呼んでやろうか……?」

 

また思考の世界へと入り込む。

 

「ご主人様〜!」

 

むにょん。

 

「っっっ!!?!??」

 

今度は背中に弾力を感じた。

 

大変言いにくいことだが、三人の中でむにょんなんて擬音が出そうな身体つきをしているのは一人しかいない。

 

「な、なな、何をするだァーッ!」

 

「何って……ナニ?」

 

「ふざけるなっ!タマモてめえ!」

 

ブチ切れる竜胆。しかしタマモはむにむにと押し付けてくる。

 

「───!!?───!!」

 

最早何を喋っているのかわからずじまい。マイペース極まる耀も合わさって、彼にとって最悪な年明けだったという。

 

 

 

 

 

おまけ

もしも竜胆くんが耀ちゃんに一目惚れだったら?

 

※とってももしも的展開爆発です。ついでに言うならパロディネタ満載です。

そして竜胆くんは以前いた世界では女子泣かせな容姿のせいで男にモッテモテだったため、男性的魅力というものに自信がありません(これは本編の方でも同様)。

竜胆くんとタマモは別居です。

 

それでは、はじまりはじまり〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1 めし どこか たのむ 送信者:料理男

 

そう打たれたのは箱庭にあるスレッド『えーゆーの庭』。

 

料理男こと高町竜胆はその文字を見た時、どう答えてくれるかという不安でいっぱいだった。

 

「な、なんか恥ずかしい……」

 

元はと言えば内気な性格をなんとかするためにこういうのも経験するべきと思っていたが、まさかこんな形で経験するとは微塵にも思わなかった。

 

簡単に言えば一目惚れ。

 

箱庭に一人で召喚されてガイドもないままうろうろしていたら、大きな虎男に襲われそうになっていた少女を助けた時が全ての始まりだった。

 

彼にとって、世界の始まりの日と言っても過言ではない。

 

その少女から助けてもらったお礼にともらった二つあったうちの一つの木彫りのペンダント。それを首に掛け、なんか恥ずかしさと嬉しさがごっちゃ混ぜになっていた。

 

と、そんな時にスレッドのコメントに一つ。

 

2 押し倒せばよいのじゃ! 送信者:ウサギに捨てられて金髪に足蹴にされた夜叉

 

「……いやダメでしょ!?」

 

思わず画面越しにツッコんでしまった。

 

間髪入れずに次のスレが出てきた。

 

3 攫え!! 送信者:問題児一号

 

「だからダメでしょ!?」

 

4 攫いなさい!! 送信者:問題児二号

 

「悪ノリしないで!?」

 

しかも名前まで悪ノリしている。これは一体どういうことか。

 

5 たった一言よ。こう言えば済むわ。『俺のモノになりなさい』とね。 送信者:ステンドグラスの引き篭もり

 

「なんで皆そんなに会って間もない子に積極的にさせようとするの!?」

 

しかもステンドグラスに引き篭もるわけがわからない。

 

6 いけると思います 送信者:スーパーウサギ人

 

「なにが行けるの!?」

 

とまぁ、ツッコミどころ満載だったが、皆が皆協力的な姿勢だったので助かった。

 

まあそれから暫くした後、それが起きた。

 

143 ちょ、ペンダントさんと日曜日に会うことになったんだけど。俺、どうしたらいい!? 送信者:料理男

 

そう。そんな感じだった。

 

144 自分に自信を持て。お前に足りないのは自信だ。 送信者:問題児一号

 

145 その通りじゃ。お主の顔はみたことないが、こうして会話しているだけでも誠実な人間とわかるぞ。 送信者:ウサギに捨てられた(ry

 

そんな風に次々送られてくるスレッドの数々。

 

なんか、涙が出てきたらしい。

 

「ありがとう、皆……俺、やってみるよ!」

 

かくして、彼と彼女の恋愛劇が始まった───!

 

 




完全に電車男とか戦車男とか言わないで。パロディ満載とか言っといてほぼその二つしか使わなかったことには反省してますって!

でも……ツンデレの竜胆くんなんだぜ?こうしてネットとはいえ内なる悩みを打ち明けている彼とか貴重そうじゃない?

少なくとも私はそう思う!
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