問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ? 作:エステバリス
夢を見た。
あれは……いつの日だっただろうか。
俺は自分が負わされている『罪』を知っていた。
だけど……それでもその時は幸せが欲しかった。
それはきっと……好きな人がいたから。
ああ……あれは、いい日々だった。
きっと……こうして箱庭で暮らしている日々に負けない位、暖かい日々だった。
それでも、『ぼく』の『罪』は幸せを許さなかった。
家族は死んだ。
ある日、全員……俺以外の全員が死んでしまった。
原因は不明。母さんの関係者に探偵とか敵に回した国が一日で滅ぶ家とかあったけど、それらの人達が総力を挙げても原因はわからなかった。
探偵の人の相棒の人が全ての平行世界で起こったことを記録する地球の本棚と呼ばれる場所でもわからずだった。
俺はその人達に迷惑かけたくなかったから一人で旅することにした。
その先で厚意にしてくれた人は沢山いた。
だけど、その人達も母さん達と同じだった。
原因不明の突然死。
様々なところに行っては、俺と関わった人が死んでいく。そんな生活を続けて行くうちに……
───俺は次第に誰かと一緒にいることをやめた。
丁度、そんな時だった。
「はいはいどうもはじめまして。私、取り憑いたご主人様に生涯全てを捧ぐ良妻狐でございます」
最初に会った時は……ぶっちゃけ精神が病みまくってた俺でも殴りたくなった。
初対面でご主人様、だの良妻狐だのと、あーだこーだと喋れば変なことばかり。
それでもはじめのうちは放っておいた。
どうせこいつも母さんやその人達と同じで、俺をおいてさっさと死んでいくと思ってた。
でも。
「それはあり得ませんね。私は貴方様に取り憑いたユーレイみたいなものですから、私が貴方様から離れる時は即ち貴方様の生涯が終える時です。
ですから私と共にこの二人だけのアヴァロン、ユートピア!ニライカナイ!シャングリラ!アルカディア!その他諸々の楽園でラブラブなライブを〜!まず手始めにおはようのちゅーから!」
……正直、こんな奴と二人だけで過ごすなんて不安しかなかったが、自分といて死なない人がいるっていうのはそんな不安忘れるくらい嬉しかった。
だから、いつの間にか誰かといることの楽しさを思い出していた。
きっと……ここで過ごしているのも、そんなのを思い出したから。
俺が生き物みたいな感情を思い出したから。
◆◇◆
「……いつもの家族が死ぬ夢だと思ったけど、随分と懐かしい夢を見たな……」
これは嘘偽りのない言葉だった。
床の方に目を向けると、行儀良く座布団の上で正座しながら寝ているタマモ。
「黙ってれば本当にただ綺麗な奴なのにな……」
なんとなくタマモの頬に触れる。するとタマモはどうしてかふにゃあっとした顔になった。
「はあ……まあ、こいつのおかげでここでこんなコミュニケーションもとれてる訳だしな……」
そんな時、ドアから控えめなノックが響いた。
「竜胆、タマモ、起きてる?」
ん……耀か。
「ああ、俺は起きてる。タマモはぐっすりみたいだから放っておいてくれ」
ベッドに座りそう言う。すると耀が部屋に入ってきた。
「おはよう」
「ああ……おはよう」
火龍誕生祭以来、耀と俺はどういうことか関わることが多くなってきた。
多分……互いが誕生祭の前の喧嘩?が負い目になっているんだろう。
こうして耀と……"ノーネーム"の皆と過ごしていくとすれば、いつかは俺の『罪』を教えないといけない時が来るだろう。
だけど、今はそんなのどうでもいいくらいだ。
それはまたいつかの話として……今は、この暖かい温もりの中に甘えるとしよう。
さあ……この変わらせたくない日々の始まりだ。
作者「シリアス一本でいくと言ったな」
読者「そ、そうだ作者……た、たすけ」
作者「あれは嘘だ」
読者「うわー!!」