問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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前回までのあらすじ!

竜胆くんがツンデレ全開でノーネームの下から離れる!

竜胆くんが謎のステンドグラスに出会う!何者なんだ……(すっとぼけ)

竜胆くんが従者のお狐様(♀)にお風呂場で追いかけられる!

以上!本編スタート!



三話 狐巫女の矛盾

「……ちっ」

 

「ほれほれどうした?折角の美貌が台無しじゃぞ?」

 

「……俺は男だ」

 

火龍誕生祭舞台区画。現在竜胆は運営の本陣営で白夜叉の隣に座らされていた。

 

どうも一般の席が空いていなかったので"ノーネーム"と白夜叉を舞台上からゲームが見えるバルコニー席を用意してもらっていた……らしい。その火龍誕生祭のメインたるサンドラという少女に。

 

因みに竜胆は"サウザンド・アイズ"の客分として扱われている。

 

十六夜は嬉々とした表情で決勝の開幕を待ちわびていた。

 

一方竜胆はというと、気まずくてしょうがなかった。

 

そんな中、黒ウサギが舞台中央に立つ。

 

「長らくお待たせしました!火龍誕生祭のメインギフトゲーム・"造物主達の決闘"の決勝を始めたいと思います!

進行及び審判は"サウザンド・アイズ"の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお勤めさせていただきます♪」

 

「うおおおおおおおおおおお月の兎が本当に来たあああああああああああぁぁぁあああああ!!!」

 

「黒ウサギイイイイイイイ!!

お前に会うためにここまで来たぞおおおとおおおおおおお!!!」

 

「今日こそお前のスカートの中を覗いてやるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

「……馬鹿ばっかりだな」

 

そんな喧騒を聞きながら率直に感想を述べる。

 

確かに竜胆の目から見ても正直、黒ウサギは可愛い部類だろう。だがそこまで盲信的に叫ぶ必要がどこにあるのだろうか。

 

『むしろ私はあれくらい積極的になって欲しいのですが』

 

「死んでもお断りだ」

 

竜胆とタマモがそんな痴話喧嘩を繰り広げているうちに、十六夜と白夜叉に電撃が走りそうな会話をしていたが、あまりにも不毛なのでカット。

 

(……ん?今感じた力、妖力に似たような物だったな。耀の方に向かってる)

 

「それでは入場していただきましょう!第一ゲームのプレイヤー・"ノーネーム"所属の春日部耀と"ウィル・オ・ウィスプ"所属のアーシャ=イグニファトゥスです!」

 

耀が舞台中央に行こうとしたとき、火の玉が彼女のすぐそばを横切った。

 

その影響で耀は尻餅をつきそうになる───が、その直前に装飾過多な鏡に支えられた。

 

「……え?」

 

耀がもしやと思いバルコニーの方を見ると、そこには右手の人差し指と中指を合わせて耀のいる方に向けている竜胆がいた。

 

「あっはははははははは!見て見て見たぁ、ジャック?"ノーネーム"の女が無様に尻餅ついて───ない。まぁいいや。素敵に不適にオモシロオカシク笑ってやろうぜ!」

 

「YAッFUFUFUFUUUUuuuuuu!!」

 

ドッと観客席の一部から笑い声が出てくる。

 

「……はぁ。"名無し"が出るのが不満なら勝てばいいだろうが。頭悪いな」

 

竜胆は笑続けている観客席を一瞥し、鏡を使って耀を立たせる。

 

一方耀は笑い声など気にせず、ジャックと呼ばれた周囲を廻る炎に目が向いていた。

 

「その火の玉……もしかして」

 

「はぁ?何言ってんのオマエ。アーシャ様の作品を火の玉なんかと一緒にすんなし。

コイツは我らが"ウィル・オ・ウィスプ"の名物幽鬼!ジャック・オー・ランタンさ!」

 

「YAッFUUUUUUUUUUUUUUuuuuuuuu!!」

 

アーシャが腰掛けている炎に合図を出し、火の玉が巨大なカボチャっぽいのになった。

 

「随分と煩いカボチャだな。包丁で頭斬り裂いてやりたい」

 

「お主、存外腹黒いのう」

 

「まあな」

 

竜胆と白夜叉は眼下で耀を嘲笑っていたアーシャとジャックを完全無視して喋っていた。

 

「ふふ~ん。"ノーネーム"のくせに私達"ウィル・オ・ウィスプ"より先に紹介されるとか生意気だっつの。

私の晴れ舞台の相手をさせてもらうだけで泣いて感謝しろよわこの名無し」

 

「YAHO、YAHO、YAFUFUUUUuuuuu~~~♪」

 

その時何を思ったのか、突如竜胆は立ち上がり、舞台の方に飛び降りて行った。

 

「「「はっ?」」」

 

その光景を見ていた選手と観客は全員唖然となった。無論、サンドラと白夜叉も同様だった。

 

「お前馬鹿なのか?」

 

そして飛び降りて第一声がこれである。

 

「はぁ?」

 

「悪いけどアーシなんとか=イグニファトゥなんたらとかいう名前、俺達聞いたことないんだ。

名前も知らない奴に突然泣いて感謝するとか、誰もするはずないだろ」

 

明らかに名前がわからないふりをして話し出す竜胆。

 

「で、これが噂のジャック・オー・ランタン?迷える子供を救うはずのジャック・オー・ランタンが名無しだからなんて理由でここまで子供を小馬鹿にするか?

偽物なんじゃないか?」

 

あっはははは!と笑う竜胆。しかし、その笑い方はどこか感情のない笑い方だった。

 

「んだよ。オマエもそこの女同様"ノーネーム"なのかよ」

 

「違う……と言いたいところだが、コミュニティを離脱したわけじゃないからな。

"サウザンド・アイズ"預かりの"ノーネーム"所属。こんなところか。

おわかりいただけましたかな?アーシなんとか様とジャック・オー・ランタンのニセモノさん」

 

次に全体にまた違う動揺が回る。まさか天下の"サウザンド・アイズ"が"ノーネーム"の人間を客分として迎え入れているのだ。

 

「命のピンチだった時に白夜叉に助けてもらったのは感謝してるよ。ま、お前らだったら"名無し"だからなんてくだらない理由で見捨てるんだろうけど。

あー、東側所属でよかったわ。ホント、白夜叉様々だよ」

 

彼はなんと"ウィル・オ・ウィスプ"の侮辱と共に白夜叉、ひいては"サウザンド・アイズ"に更なる高評価を与えるような言動をし出した。

 

「ちょ、いきなり乱入しないでください!っていうか貴方身体は大丈夫なんですか!?」

 

黒ウサギが審判としてではなく、つい"ノーネーム"の黒ウサギとして言ってしまう。

 

だがまあしかし、"サウザンド・アイズ"預かりの客分と"サウザンド・アイズ"の専属ジャッジという関係が周りから見た感想なので別段関係を怪しまれることもなかった。

 

「黒ウサギ、このゲーム、俺がコイツのサポーターとして付く。いいか?」

 

「そ、そんなこと言われましても……事前に言ってくれないと困りますし」

 

「じゃあ事前に報告しなければサポーターとして参加できない、なんてルールがあるのか?」

 

竜胆がご丁寧に"契約書類"を見せてくる。そこの一文には

・サポートとして一名までの同伴を許可

とあるのみだった。

 

「因みに俺の"人類の罪"は種類的に言うと結果的には創作系ギフトだからギフトの使用云々は"呪術"と"玉藻の前"が使えなくなるだけだ」

 

黒ウサギは暫し考え、ジャッジマスターとしての判断を向こうに仰いで、次いでアーシャに視線を送る。

 

「ただいま判断を受理しました。対戦相手側に問題がないのなら、とのことです」

 

「ハッ。上等だよ。その口二度と開けねえように叩き潰してやるから上がって来いよ」

 

上手い具合に挑発できたようで竜胆は内心ほくそ笑む。

 

「ぬかせ餓鬼。貴様なぞ全力を出す必要もない」

 

こうして、ギフトゲームが始まった。





竜胆くんがフリーダムすぎて皆さんが介入させない場面にも平気で介入しちゃってます!

というかここで介入しないと後々の大きなイベントが発生しないんです。

言うなればここの選択肢でトゥルーエンドかハッピーエンドかに別れるのです。
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