問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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終わったと思いました?まだだ!まだ終わらんよ!

……まあ、あれで終わったらすっげえ後味悪いんですけど




くろすおうばあ! 無敵と罪の……?

「……おいコラ無敵」

 

「なんだショタッ娘?」

 

「そのショタッ娘とかいうのをやめろ。俺がおかしな性別のようだ。

……それより、どうして俺達は戦っている」

 

「あぁ?んなの……お前が強そうだからだよッ!」

 

下手をしたら……いや、下手をしなくても十六夜越えてますとでも言わんばかりのパンチを竜胆はいなす。

 

そう……なんか知らんが、突然「ギフトゲームしようぜ」的な展開になっていたのだ。

 

『ギフトゲーム名 "罪の権化"

 

プレイヤー:天月時雨

 

ゲームマスター:人類の罪

 

勝利条件:己が力を持ってしてその罪を打ち砕け

 

敗北条件:なし(降参、もしくは死亡はゲームマスターの勝利とする)

 

ゲームマスターとしてこのギフトゲームが公正で不公平であることを認める。"狐巫女 印"』

 

「だいたいだな……勝手に俺をゲームマスターにしてゲームを始めるな。しかもなんだ、この狐巫女って。

完全に俺の箱庭での呼称じゃねえか……!」

 

「はっはっはっ!似合ってるじゃないか!」

 

「てめぇ、ブチ殺すぞオラァ!」

 

まるで強さの計測装置がどんどんパワーのインフレで役立たずになっていくあれのような戦いを繰り広げている二名。全員唖然。

 

「お、おかしいですね……マスター、かなり本気でやっちゃってますよ?」

 

「おかしいのはそちらの方でございますよ。私のご主人様が普段は忌み嫌って使いたがりもしない"罪"を使いかけているんですよ?」

 

互いの主人のことをよーく知ってる従者×2は一際唖然。というか二人はいつの間に隣で観戦するような仲になったのだろうか。

 

さっきまでタマモはヒスってたのに。

 

「面白いぞ面白いぞ!無敵を出しかけてまだ対応するのかよ!」

 

「こっちは全く面白くない……!使いたくもない技を使わせかけてんだぞ……」

 

「それでも使うってことは負けたくないってことだろ?」

 

「フッ……まあな!」

 

拳を互いに打ち出す速度はほぼ互角───否、ほんの少し、この打ち合いの中ではほんの少しだが、竜胆の方が速い。

 

だがそれでも決定力に欠ける。彼のギフトの性質上、ほぼ無敵と言える相手と対峙した場合は必ず長期戦になる。

 

(くそっ……これだから神様転生ってのは……!強さのインフレが激し過ぎなんだよ……)

 

それでも、相手が生物であれば"彼ら"が負けることはない。

 

それが彼の───高町竜胆の存在というものだからだ。

 

「ハッ!」

 

「そらよっ!」

 

二人の蹴りが激突する。力がほぼ互角であるこの蹴りが生み出す硬直時間は、彼らにとって最高のアタックチャンスとなった。

 

「オラァ!」

 

「ふっ!」

 

放った拳はそれぞれの顔面を捉え、顔が外れそうになる衝撃が二人を襲う。

 

だが、均衡したままの脚がまだまだ二人を引き剥がさない。

 

「おおおおおお!」

 

「ドラァァァァ!」

 

ゴリッ、という音が互いの頭から響く。

 

ヘッドバッドの影響で二人は額から血を流し、均衡していた脚も離れる。

 

「ちぃ……!呪法・炎天!」

 

竜胆は呪術札を時雨にむけて構える。すると彼の周囲の大気が擦れあい、爆発を起こした。

 

「こっざかしい!」

 

時雨はその爆発を掻い潜り、一気に竜胆へ接近していった。

 

「ぶっつぶれろショタッ娘───ってうぉわ!?」

 

時雨は竜胆に拳を振るおうとし、咄嗟に全力で後ろに下がった。

 

先程まで時雨の頭があった場所には鋭く尖った爪があり、その爪は竜胆が繰り出していた。

 

「ふむ……全力で避ける、か。

如何に身体が如何なる攻撃を受けなかろうが、内臓は鍛えようがないようだな。加えて、やはり脳を狙ったら今まで以上の反応を見せた。脳みそが潰れれば実質死んだことになるのは如何なる生き物も同じだからな」

 

「し、ショタッ娘!てめえ可愛い顔してなにえげつねえこと言ってんだ!?」

 

「フッ、無敵生物の殺し方を検討していたのさ!」

 

「上等だ!本気で"無敵"になってやらぁ!」

 

「だったら俺も出し惜しみはしない!」

 

ボウッ、という音と共に二人の空気が更に変わる。いや、むしろ竜胆に至ってはその姿に変化をもたらした。

 

茶色の髪は黒く染まり、アメジストの瞳は紅くなる。全身の服装は撤廃され、代わりに身体中を黒い毛が覆う。

 

黒い翼と黒い九尾はこれほどまでにない恐怖感を与え、彼の身体は獣そのもののようになった。

 

「せ、戦闘力一億、二億、三億……まだまだ上がっています!?」

 

タマモがどこかで見たことのある装置を装着しながら切羽詰まっている。

 

……本当に慌ただしそうにしているのに、ふざけているように見えるのは何故だろうか。

 

「まだまだ増えて……無量大数!?」

 

次の瞬間、ス◯ウターはボンッ!という音を立てて壊れてしまった。

 

「……おいおい、無敵だってのに、その上があんのかよ?」

 

「言ったろう。無敵と言えど生き物なら俺には勝てないってな」

 

「……ハッタリじゃねえみたいだな……」

 

「人間やめて吸血鬼になっても、生き物という概念で存在しているなら、な」

 

「チッ……やめだやめだ。強い奴と戦えるのは嬉しいが、勝算が一厘もない奴と戦えるかっての」

 

「賢明な判断だ。流石に無敵より上にいったとなると、俺の意識が保てるかもわからないしな」

 

◆◇◆

 

戦闘後……

 

「ったく……神ってのもアテになんねえな……無敵ったのによ……」

 

「神ほど非力で信じにくいものはないさ。なんせ、人のやってる事を上から見ることしかできないのが大抵だからな。

……まっ、俺の知り合いの神様達はそんなことなかったがな」

 

さらっと爆弾発言をする少年。

 

「……お前も一度死んだクチなのか?」

 

「死んだか否か、と聞かれれば一度死んだことになるな。

だがお前と同じだ。死んだからこそ得たものも山のようにある。……この世界にいるのも、死んだからこそだしな」

 

「お?もしかして俺達似た者同士か?」

 

「かもな」

 

ニコニコと面白そうに会話をする二人。もう二人ともいい笑顔をしていてなんか怖い。

 

「さて……流石にこれ以上ここにいるのはマズイんじゃないのか?異なる世界にいつまでもいつづけたら、その世界の本来あるべき姿がメチャクチャになる可能性がある」

 

「そりゃ大変だな。ま、楽しめたからいいけどな」

 

「楽しんでくれてなにより。いつか俺もそっちに行かせてもらうさ」

 

「おうよ、そんじゃあな」

 

その会話を最後に、天月時雨とヒョウは元の世界へと帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………肉じゃがの鍋に入って。

 

 




なんやこのオチ!そう思った方は手を上げましょう。

大丈夫、もしそうだったとしても貴方は悪くない。

『くうはく』さんありがとうございました!またこういう機会があれば嬉しいです!
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