問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ? 作:エステバリス
ご報告!疾風の隼さんの超問題児コラボ、私なりに言うと問題児たちが異世界から来るそうですよ?MOVIE大戦MEGA MAXですね!どっかで聞いたことが……?気のせいですよ。
それにうちのツンデレ狐くんが従者さん込みで参加することになりました!
「……んっ……」
春日部耀は鼻腔をくすぐるような匂いに誘われ、目を覚ました。
「ここ……」
「おお、起きたか春日部」
寝ぼけと熱によって意識がはっきりしないまま聞き覚えのありすぎる声を聞いた。
「十六夜……?」
「おう、そうだぜ。因みに、そこで寝てるのは竜胆だ」
「へ?」
十六夜がそんなことを言うので意識を視界の隅に送る。するとそこには寝ていた耀の邪魔にならない程度の場所で、ベッドに頭を置いて寝ている竜胆がいた。
その寝息はゆっくりと安定して、耀が意識を失う前の取り乱し様が嘘のようだった。
「春日部、お前ホントにこいつに気に入られてるな。
お前が倒れた時、コイツなんて言ったと思う?」
いつもの不適な笑みを浮かべ、耀に問う。彼女はポーッとしていてそんなのを考える暇がなかった。
「……なんて言ったの?」
「『コイツの看護は俺がする。手出し干渉一切無用。入る時はアポを取れ』だ」
なんというか……コイツ、という辺りが彼らしい。手出し干渉一切無用というのも、黒死病の感染者を多く出さないための措置なのだろう。黒死病の感染経路を断つためなのか、最初に部屋に入って来た時よりもはるかに部屋が綺麗になっている。
それにしても。
「なんで竜胆は……黒死病の感染を恐れずにここまでしてくれたんだろう……?」
「聞いたら何時もの返答だよ。『お前らに話す必要がないから心底どうでもいい。"人類の罪"をなめるなよ』の一点張りだ……まあ、おかげでこっちも謎解きはかなり進んでるんだが」
「ホントにいつも通りだね」
ただ、なんだかいつもより少し必死になってそんな事を言っていたのだが。それは余談である。
「ああ、そうだ。竜胆がさっき寝る前に春日部が起きたらそこにあるお粥食べさせといてくれって言われてたな。あと、そのお粥の隣に手紙も置いてた」
「ふうん」
置いてあったスプーンでお粥を食べ、少し興味がある風に竜胆の手紙を見る。
「……おいしい」
「ヤハハ、そりゃそうだ。なんせアイツがお前"一人"のために作ったんだからな」
一人のため。言い方や感じ取り方を変えれば、それはそれでいらぬ誤解を招きそうな言葉ではある。
そんな風に思っていると、ベッドに頭を乗せている竜胆はぼそ、と何か呟いた。
「十六夜……快楽主義も程ほどにな……飛鳥は、庶民の生活に慣れて……黒ウサギはカルシウム取れ……お前怒りっぽいぞ……」
そんなことをつぶやいていたので、二人は一緒に吹き出した。
「ヤハハハハ。やっぱコイツはアレだな」
「うん、アレだよね」
「ツンデレ」
「タマモは偶には俺以外の事にも目を向けて……耀は……まあ、元気にしてればいい……」
なんだか最後に言った自分のことだけなげやり気味でムッとしたのだが、そんなことよりと手紙に目を向けた。
『拝啓 春日部耀へ
なんてことを綴ってみた。手紙を書くなんて数年ぶりだから何を書こうものか……あ、もしかしたらこれは文字稼ぎの機会だな。
丁度いい』
なにを書いたものか、と綴っておいてその返しはないと思うなぁ、なんて思いながら耀は次の文に目を送る。
『ありがとう。多分お前がいなかったらこんなに自分の感情を表せれることなんてないと思う。お前が友達になってくれって言ってくれたおかげだ』
「そういうのは自分の口から言ってほしいな……」
耀が今度は少し不満気になる。すると次の文にはそう言うとわかっていたかのようになっていた。
『直接口で言わない事に関しては悪いと思っている。だけど、俺はどうしてかこういうのは素直に言えない。
できれば今度素直に感謝するという事を教えてほしい』
「……うん。勿論」
『それと、一緒に置いたお粥はしっかり食えよ。個人のために作った料理なんて随分久しぶりだから、食べなかったら流石に凹む。感想あったら言ってくれ』
しかし、本当に美味い。お粥だと言うのに米はビショビショではなく、それでもデンプンはいい感じに水に染み込んでいる。
時々厨房に篭ってはなにかしていたのは知っていたが……恐らく『個人のための料理』の練習だろう。タマモにでもあげていたのだろうか。
『あと十六夜。これから記載するのは俺の今回のギフトゲームの考察と……仮説が正しければ立証するクリア条件だ』
「何?」
『耀に見せて変な負担かけたくないから、ここからは十六夜一人で読んでくれ』
「……あいよ。んじゃ春日部、ちょっと離れるわ」
「ん」
十六夜が手紙を持って部屋から退出する。
そして、部屋は再び二人きりに。
ただし、竜胆はおねむだが。
「………」
なんとなく、彼の頭に手を伸ばしてみる。
サラサラだった。顔も端正でモチモチ。茶髪の髪は"侵食"の影響か、少し黒いメッシュがかかっている。
こうして見ていると男子には見えない。どう見ても女の子である。
「……なんか、女として負けた気がする」
十二秒で服を見繕ったりかなりレベルの高い料理を作ったり、本当に性別を間違えていないだろうかと思う。
「……胸、出てたなぁ」
ガルドの時に着てた服、あれは胸部の主張が結構あった。黒ウサギくらいあったのではなかろうか。あれは流石に凹んだ。
女性化乳房という症状らしいが、男より胸が小さいとなんだか悲しくなってくる。
「ん……?」
と、竜胆の瞳はゆっくりと開かれた。
「ょ……ぅ……?」
「───っ!?」
思いっきり本人に見られた。頭を触って撫でて、サラサラな髪やらモチモチな顔やらを堪能してたところを思いっきり見られた。
「んにゅ……なにしてたんだ……?」
「なっ、なんでもっ……」
しかし、そう言いながら堪能するのはやめない。
「そう……か……ッ!」
そして竜胆の意識がハッキリしていくにつれ、彼の顔色が変わっていく。
「……なに、してんだ……?」
「……竜胆が悪い」
「な、なんで?」
「こんなサラサラでモチモチで家庭的でその辺の女の子より胸のある竜胆が悪い」
「いやなんで!?てか胸の話題やめて!サラシ巻くくらい嫌なんだぞ!?」
「だったらその胸……よこせぃ」
「ばっやめろ!触ったって増えないって!?ってかむしろ俺のがデカくなりかねなひゃあぁっ!?」
「デカい。妬ましい」
「やめ、やめて!?ちょ、だからやめ、へ、変になるって!変になりゅううううううううううううう!!!??」
こうして、再戦前夜はよくわからない状態になっていた。
作者は果たして主人公になにがさせたいのか、我ながら本当に気になってきた。