問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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今回、竜胆くんも十六夜くんも一切出てきません。




三話 エキセントリック

「ど、どうなってるんだ……!?巨人族が、これほどの数を……!?」

 

"アンダーウッド"の地上、大量の巨人族が蔓延る中、明らかに異彩を放つ存在がいた。

 

小さな少女と、竪琴を持った女性。彼女らは奪われた竪琴を奪った張本人で、更にもうひとつ、端的に言えば"ゴーゴンの呪い"の石化の恩恵を死に変えて当てはめる恩恵、"バロールの死眼"と呼ばれるギフトも、奪っていた。

 

「飛鳥!ペスト!ジン!」

 

サラは彼女らにやられた三人を見つけ、三人の下に向かおうとする、が。

 

「残念でした。貴女の身体があの三人に届くことなんてないよ」

 

少女の言葉通り、サラの身体は走っても走っても、一向に三人の下にたどり着くことがない。あれほどに近い距離なのに、何故。

 

「アウラさん。この人には用ないから、やっちゃってください」

 

「わかったわ……」

 

アウラ、そう呼ばれた女性は、サラに向けて"バロールの死眼"を放つ。

 

「───!」

 

サラに死の恩恵が与えられ、無条件で彼女の命が散る……そう、思った矢先だった。

 

「いぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいやぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっっっっほぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうううううううううううううううううううう!!!!!」

 

そんな、戦場には明らかに場違いな声が聞こえて、その声の主とおぼしき影が、

 

 

 

 

 

"バロールの死眼"の恩恵を蹴り飛ばした。

 

 

 

 

「なぁぁぁああああああああああっっははははははははははぁぁぁはぁぁぁぁぁああああああいてぇっ!!!!?」

 

その声の主は、そのまま地面に顔面から激突した。

 

しかし、その声の主は何事もなかったかのように立ち上がり、身体についた煤を払う。

 

「にゃはははは!なんか知らないけどよくわかんないものノリと勢いで蹴り飛ばしちゃった上に前方不注意で顔面衝突事故しちゃったぜぃ☆

私ったらおっちょこちょいだなうんまったく!」

 

場の雰囲気をぶっ壊すように高笑いしながら少女はニコニコとする。

 

「……アウラさん」

 

「……ええ。わかったわ」

 

少女の雰囲気に呑まれかけたアウラと少女は、咄嗟に気をとりなおして彼女に向けて"バロールの死眼"を放つ。

 

「んにゃ?ダメだよぉ。こんな危なっかしいもの人に振り回したら」

 

少女がそれに向けてしっしっ、と手で払うようにすると、死眼はそのままあらぬ方向へと飛んで行った。

 

「まぁったくもぉ。リンが来てるって聞いたから進路を"アンダーウッド"にとって全速前進DA!して飛んで来たっていうのに……いきなりなんだねこれは。

最終戦争?最終戦争なのかなこれは?にゃはははは。んなわけないか!」

 

変わらずマイペースに笑い続ける少女に、アウラと共にいる方の少女はん?となる。

 

「あの、リンって私のことなんですけど?」

 

「おやぁ!ちょっと見ない間に女の子っぽさが違うベクトルに進んだねぇ!

ってか胸縮んだ?やった私とほぼおんなじじゃん!

んふふ~。三年ぶりにリンのお胸でも堪能しようかと思ったけど、これはざんね……おや?私の知ってるリンと匂いが違うよ?

はっ!さては偽物!?ホンモノのリンをどこにやった!?」

 

「なんですか偽物って!私はリンですよ!」

 

「あ、なんだ本名がリンなのか!こりゃ失敬!私の可愛い可愛いリンは愛称だからね、ごめんねリンちゃん」

 

「……貴女にちゃん付けされる理由なんてありません!」

 

マイペースすぎる少女に痺れを切らしたのか、リンと名乗った少女は腰にマウントしていたナイフを少女に向かって投げる。

 

「おうさ危ない」

 

少女が大胆にそれを躱すと、リンはいつの間にか少女の背後に回る。

 

「死んでください!」

 

「生憎死んでるから、もう一度死ねるならためしてみたいよ!」

 

背中から急に杖のような物が伸び、倒せると確信していたリンに直撃する。

 

「ふがっ……!?」

 

「にゃはははは!ビックリした!?ねえビックリした!?

ビックリできたってことは私ってばホラーでも天才かな?」

 

「こんのっ……!」

 

リンは一瞬で少女から距離をとる。

 

「むふっ。距離があるなら……ファイヤーーーーッッ!!」

 

少女が杖を前方に突き出すと、そこからありえない熱量の炎が出てきた。

 

「ど、どんだけメチャクチャなんですか!?」

 

下手をすると大樹ごと焼き払うような炎が飛び出てきて、リンは驚愕する。

 

そのうちにリンは炎に呑まれる。

 

「ありゃ?ちょっとやりすぎたかな?」

 

あれれ?と首を傾げる少女を見ながら、サラは絶句していた。

 

(あんな熱量の炎を後先顧みずに撃った……!?なんなのだこの少女……!?)

 

んん~?と少女が力加減間違えたかな?なんて思っていたら、煙が晴れてきた。

 

「……わぁーお!今のを守り切った……ノンノン、違うねぇ。

熱の影響でかいてる筈の汗が一切出てない。服のよごれもない……となれば空間に干渉してるのかな?ならさっきの超スピードも納得納豆だね」

 

「……おバカなのか天才なのかハッキリしてほしいです」

 

「モチ、天才!」

 

少女はニコニコと笑いながら再度炎をチャージする、かと思った瞬間に炎が砲撃のように吹き荒れていた。

 

「ちょ、」

 

「ヒート!プリーズ!」

 

「まっ、」

 

「ヒー、ヒーヒーヒーヒー!」

 

「タイムっ……」

 

「フレェイム……ドラゴォン……!」

 

「撃ちすぎ……!」

 

「ボー……ボーボーボーゥ!」

 

「ですっえぇ……!」

 

そうは言いつつも、リンはしっかりと攻撃を防ぐ。

 

「うーん、力技じゃどーにもならないかぁ……じゃ、L・I・O・N!ライオーン!!さらーぁに、ハィハィ、ハィ、ハイパー!」

 

少女はテンションのまま叫び、杖が銃に変形する。

 

「押してダメなら引いてみなってねぃ。それに倣えば、数でダメなら質にキマりってね!」

 

今度はどこからともなく声が聞こえてくる。

 

『ハイパー!マグナムストライク!』

 

「にゃは!実は今のは腹話術ってね!」

 

少女は軽く笑い、銃のトリガーを弾き絞る。

 

銃弾は空間の壁に阻まれたと思ったら、一瞬でリンの阻んだ空間の中に現れた。

 

「ええええええええ!!?なんですかそれ!?」

 

「魔法だよ!」

 

「最早奇術だよコレ……!?」

 

そうは言いながらもしっかりと避けるリン。少女はそんなリンを見てニッカリ笑う。

 

「ねーねー、リンちゃん?」

 

「なんですか……っ?」

 

リンは何をしてくるかと警戒している体制だったが、少女はあっけからんとした風にそれを言った。

 

「帰ってくれないかな?ぶっちゃけこんな戦い無意味だし」

 

「無意味……!?」

 

少女はにゃははははは、と笑いながら続ける。

 

「ほらさ、どー見てもリンちゃん本気じゃねーし。なんちゅーか、小手調べ?そんなもんでしょ?

ほれ、だからリンちゃんが本気になる前に私がリンちゃんぶっ殺さないうちに、"帰れよ"」

 

飄々とした表情で、そんなことを言う。

 

その言霊の威圧感は、竜胆の言葉と似ていた。

 

世界を震わせる声で、しかし、透き通るような声。魔法のような不思議で、現実のように無機質な声。

 

リンは、完全にそれに当てられた。

 

「っ……!」

 

「ほれほーれ、帰んないとぶっ殺しちゃうよ?ヒーヒー火が出る三秒前ー」

 

「わ、わかりました……!帰りますよ、アウラさん!」

 

「え、ええ……!」

 

リンとアウラは少女に、純粋な動物的本能で恐怖を感じ、撤退する。

 

「あ、でもその"バロールの死眼"は危険だから、壊しといたからね!」

 

「「……はい?」」

 

少女がそう言うと、アウラの手元でバゴンッ、なんて音が聞こえ、そのまま二人は消えて行った。

 

「バハハ~イ」

 

少女はニッコリとしながら二人を見送って行った。





現れた謎の少女の正体は一体……!?

ってか、お話の短縮とはいえやりすぎだと思う。ごめんなさい。なんでもするから!
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