問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ? 作:エステバリス
日常パート。竜胆くんの女の子らしさとツンデレ力がマッハ。
魔王戦から二日。レティシアが目覚めたのとほぼ同じ時。
高町竜胆は自分のギフトカードをふぅ、と見つめていた。
"太陽神の表情"。
"人類の希望"。
いずれも、自分のたった一人の従者……竜胆からすればたった一人の家族が自身の存在そのものと引き換えに竜胆に与えたチカラ。
タマモは『貴方は次代の太陽神となる』と言っていたが、どうも実感が湧かない。
いや……実感しろという方がムチャクチャなのだ。なにしろつい一昨日までいつ暴走するかもわからない危険な存在として人生の半分以上を送ってきたのだ。
「神……なんて言われてもな」
唯一、変わったところがあるとすれば『寿命』か。
一つの身体に様々な細胞、血液を詰め込まれた竜胆には当然人より寿命の短い生き物の情報が大量に存在する。
勿論、人より長く生きる生き物のモノも入ってはいるが、なるほどどうして、人は時代が進むほど長く生きられる。
竜胆は寿命の短い代わりに圧倒的な生き物の情報が比較的多く集っており、竜胆の時代の人間の平均寿命……80付近の3分の1も生きられることはできないと言われていた。
だけど、神という生き物は外的要因がなければほとんど恒久の時を生きていられる。そのことは様々な神話が物語っている。
つまり、僅かとはいえ神そのものとなった竜胆の寿命は永遠と断言することはできずとも、それに近い人生……否、神生を生きることやなるだろう。
「……まぁ、そこまで考えても実感湧かないけどなぁ」
考えても考えても無駄無駄無駄無駄。なら今は考えないことにしておこう。なにせ今はそれよりも……
「……よう」
これしか考えられないのである。
一人になればひたすら耀耀耀と、人によっては小一時間ほど他に考えることないのかと問いただしたくなる。
───好きだよ、耀───
「───────!!んにゃーーーーーーー!!!俺のバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ!!なんてこと言ってるんだ!?」
ゴロゴロと転がって悶絶する。思えばあの時の自分はなにかが色々とおかしかった。
うまそうな欲望がどうのやら、喰らい尽くしたいやら。まるで変態だった。
「うぐぅああああーーーっ……!なにをはっちゃけてたんだ俺はぁっ……!?」
最低だ最低だ最低だ最低だ。ひたすら自分に向かって最低を連呼する。それほど彼には自分が最低に見えたのだろう。
「もう耀に顔向けできない……なにをどうすればいいのかもわからない……」
「私が、どうかしたの?」
パグンッ、という謎の音を出して緊急停止する竜胆。
顔を上げる必要もなく、声を掛けた人の正体を悟ったのか、そのまま全力で逃げ出そうとする。
しかし まわりこまれて しまった!
ついでに陣羽織の襟も掴まれてしまった。
「うー!放すんだ!モウヤメルンダッ!」
「逃げるから放さない」
「……あうち……」
放したらなにをするかまで完璧に理解されてたので抵抗する気力を完全に失った。
「……それで、私がなにって言ってたの?」
「……黙秘権行使」
「喋らせる権利行使」
「考えていたことを忘れる権利行使」
「忘れたことを思い出させる権利行使」
「絶対に言いたくないという権利行使」
「絶対に言わせるという権利行使」
「だったら───」
「それじゃあ───」
一時間後。
結論から言うと終わりなんてなかった。竜胆が適当な権利を使おうとすると耀がそれを打破する権利を使う。
それでも、それでもとやり続けることなんと一時間。二人とも完全に喋り疲れている。
「……わかったよ。じゃあクイズにする」
竜胆が諦めたように言うが、それでも言う気はないらしい。
「クイズ?」
「そう、クイズ。今から俺があることをする。その行為の意味を答えれたら、お前は俺がなにで悩んでたかわかる……そういうギフトゲームだ」
竜胆がそう言うと、どこからともなく一枚の紙が落ちてくる。
『ギフトゲーム名"狐の想い"
・プレイヤー ゲームマスター
春日部 耀
・ホスト ゲームマスター
高町 竜胆
・クリア条件
ホスト側のゲームマスターが行った行為の中に隠された答えを出せ。
・敗北条件
誤った答えを出す。
・特殊ルール
プレイヤー側ゲームマスターが勝利条件もしくは敗北条件を満たすまではこのゲームは永続的に続く。ホスト側ゲームマスターの権限を持ってしても中断は不可能。
宣誓
上記を尊重し、誇りと御旗とホスト側ゲームマスターの名の下、"太陽神の狐"はギフトゲームを開催します。
"ノーネーム"印』
「……十六夜とかに"契約書類"は見せたくないからな……書類そのものは俺が持っておく。
書類の破棄はしない。それは絶対だ」
「……うん。それで、今から竜胆がする行為っていうのは?」
耀がそう言うと、竜胆は少しだけ表情を赤らめ、周りの様子を見る。
誰もいないことを確認すると、竜胆は意を決したように、耀のノースリーブの服から出てきているほっそりとした腕を掴み、やや乱暴に引っ張る。
耀は少しだけ驚き、竜胆は少し躊躇いを見せるが、勢いに任せてそのまま腕に顔を近づける。
竜胆はそのまま、耀の腕に自分の唇を重ねた。
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………えっ?」
「……これが行う行為だ。この行為の意味を答えれたら、ギフトゲームはお前の勝ちで、俺が悩んでたものの正体を……きっと理解する」
それだけ言うと竜胆は黒い翼を広げてせわしなくパタパタとどこかへ飛んでいく。
そんな竜胆を見送って、暫くした後耀は小さく呟いた。
「……もしかして、私の腕につまみ食いしてたお肉の匂いついてたのかな……?」
その答えを彼のいるところで口にしたら確実にアウトだった。
告白なんてしない!なぜなら彼はツンデレだから!
竜胆くんのギフトゲームの意味はわからない人は
腕
キス
で調べるだけでソッコーで出てくると思います。多分わからない人なんてそうそういない。