問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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突発的な始まり方も多々あるので、少し気をつけてもらえるとうれしいかなー、なんてしがない私は思ったりもするので。


二話 鬼帝の剣

この世界は面白いらしい。まあ、俺には正直心底どうでもいい。

 

どうやら、この世界にはギフトゲームと呼ばれるこの世界の法そのものと呼べるようなものがあるらしいが……その辺どうでもいい。

 

なんか、十六夜がその辺の質問の締めくくりに「この世界は面白いか?」という問いに黒ウサギは「YES」と即答。

 

ま、その辺どうでもいいが。

 

んで、現在俺は黒ウサギのコミュニティとかいう、まあ家族みたいなののリーダーのジンとかいう子供に箱庭の案内をされている。

 

因みに黒ウサギは突然「世界の果て見てくるぜ!」とか言ってどっか行った十六夜を追っかけるために急に髪を青から緋色に染めて猛スピードで駆け抜けて行った……が、多分十六夜に追いつくのは少なくとも半刻はかかるだろう。

 

で、現在食事中。

 

現在、春日部と久遠、ジンに春日部の抱えているジジネコが注文したので、後は俺だけ。

 

まあ、貰えるもんは貰っとこう。

 

「甘口カレーとミルク。カレーに砂糖入れといてください」

 

「あら、可愛い注文をするのね」

 

「意外」

 

「ほっとけ。だいたいそこの春日部の抱えてる三毛猫だってネコマンマとか、ありきたりすぎだろ」

 

俺がそう呟くと全員、特に春日部と三毛猫が驚愕していた。

 

「三毛猫の言葉、わかるの?」

 

「動物ならな。多分幻獣の類も行ける。

そこの猫の店員もだろ?」

 

俺が注文をとっていた猫の店員に問う。

 

「はい!そうですよ。お嬢さんはよくわかってらっしゃいますね」

 

「男ですので。お嬢さんという呼ばれ方は気に食いませんね」

 

「あら、失礼しました。でも本当に可愛らしい容姿をしてらっしゃるので」

 

「……ほっといてください」

 

そのまま俺はむすっとして席に座る。

 

(なんか、むすっとしてるのが余計可愛らしく見えてしまうわ)

 

(想像以上)

 

なんだか向けられたくない視線を向けられている気もするが、気にしない。

 

「それよりだ。春日部もだろ?だいたいの生物なら会話できるんじゃないか?」

 

「ええと……ペンギンもいけたから、きっと大丈夫」

 

「だ、そうだ」

 

「そう……二人には素敵なギフトがあるのね。羨ましいわ」

 

春日部は恥ずかしそうに頭を掻くが……俺としては正直こんなの呪縛(カース)以外の何物でもない。

 

「久遠さんは」

 

「飛鳥でいいわ。よろしくね春日部さん、高町君」

 

「竜胆でいい」

 

「う、うん。飛鳥はどんな力持ってるの?」

 

「私?私の力は……まあ、酷いものよ。だって」

 

「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ"名無しの権兵衛"のリーダー、ジン君じゃありませんか。

今日は御守り役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

 

久遠がなにか言おうとした時、下衆で無駄に上品な声が聞こえた。

 

ジンはまるでうざったいとでも言わんばかりに顔を顰めた。

 

「ぼくらのコミュニティは"ノーネーム"です。"フォレス・ガロ"のガルド=ガスパー」

 

「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。

コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなどできたものだ。───そう思わないかい、お嬢さん方に紳士殿」

 

紳士殿?俺が?面白い冗談だ。

 

っつーか、よくあんな着飾ったようなピッチピチのタキシード着れるな。逆に尊敬するわ。

 

ガルドとかいうエセ紳士は俺と春日部の前にある空席にどかっと座った。

 

……よく折れないな。これも箱庭の技術か?あの家の技術じゃあるまいし。

 

「失礼ですけど、同席を求めるよならばまず氏名を名乗った後に一言添えるのが礼儀ではないのかしら?」

 

「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ、"六百六十六の獣"の傘下である」

 

「烏合の衆の」

 

「コミュニティのリーダーをしている、ってマテやゴラァ!!

誰が烏合の衆だ小僧オォ!!!」

 

……ふむ、どうやら二人は険悪的な仲のようだな。それより、だ。

 

「少し失礼」

 

俺は険悪的な二人を遮るように手を上げる。

 

「詳しいことは呑み込めないが……紳士、ガルド殿、と言ったな。

そのガルド殿とジン殿が険悪な仲なのは承知した。

それを踏まえた上で、二人に質問しなければならないことがある」

 

俺は鋭く睨む。が、睨む対象はガルドではなく、

 

「ジン殿。貴方が俺達を"異常な程に積極的に誘おうとしている"貴方達のコミュニティの現状を教えてもらいたい。

俺達が新たな同士として呼ばれたのなら……それ相応の権利はあると思われるが、違うか?」

 

ジンは少し困ったように言い淀む。対してガルドは面白いとでも言わんばかりにニヤニヤしている。

 

「成る程、確かにそれは的を射ていますね。しかし彼はそれをしたがらないでしょう。

よろしければ、この私が"ノーネーム"のコミュニティを客観的に説明させていただきますが」

 

ふむ、これはだいたい想像通りだな。ジンは俯いて黙り込んでいる。

 

「その旨を由としましょう。話してください。ガルド殿」

 

「承りました。まず、コミュニティとは読んで字の如く複数名によって構成される組織の総称です。

受け取り方は種によって変わり、人間の場合は家族とも組織とも、国とも言い得ます。幻獣は群れとも言えます」

 

「それはそうでしょうね」

 

「はい、ご確認までに。そしてコミュニティは活動をするのに旗印と名が必要不可欠。特に旗印はコミュニティの縄張りを主張するもの。

この店にも大きな旗が掲げられているでしょう?あれがそうです」

 

ガルドはカフェテラスの店頭にある六本傷が描かれた旗を指す。

 

「ふむ……確かに。旗とは、俺達が住んでいた世界における身分証みたいなものか……」

 

「そうですね。その認識が正しいです。

コミュニティを大きくしたければ、その土地等を賭けてギフトゲームを行います。事実、私のコミュニティもそうして大きくなっていきましたから」

 

ガルドは一応、とでも言うように、しかし腹の底は自慢するように自分のピッチピチタキシードの胸ポケットについているそれを見せる。

 

「……見たところ、この辺りの店などは貴方のコミュニティが多くを占めていますね」

 

「ええ、残念な事にこの店のコミュニティは本拠が箱庭の南側にありますので手出しできませんが、この二一○五三八○外門付近で活動可能な中流コミュニティは全て私の支配下です。

残すは本拠が他区か上層のコミュニティと───奪うに値しない名もなきコミュニティぐらいです」

 

クックッ、と下衆い笑い声を出すガルド。

 

なるほど、つまりノーネーム(名無し)とはそういうことか。

 

「さて、ここからが貴方達のコミュニティの問題。

実は貴方達の所属するコミュニティは数年前まで、この東区画最大手のコミュニティでした」

 

「正直に言ってしまえば意外ですね」

 

「とはいえ、リーダーは別人でしたがね。ジン君とは比べようもない、実に優秀な男だったそうですよ」

 

ガルドは今度は心底つまらなさそうに言う。自分のこと以外興味ナシ、か。

 

まあ俺は自分のことも含めて基本的に興味ナシだけど。

 

「彼は東西南北に別れたこの箱庭で、東の他に南北との親交も深かった。

いやホント、私はジンのことは毛嫌いしてるんですけどね、これはマジですげえんですよ。

南側の幻獣王格や北側の悪鬼羅刹が認め、箱庭上層部に食い込むコミュニティだったのは、嫉妬を通り越して尊敬に値します。

まあ、先代は、ですがね」

 

「………」

 

「人間の立ち上げたコミュニティではまさに快挙と言える数々の栄華を築いてきたコミュニティはしかし!

……彼らは敵に回してはいけないモノに目をつけられた。そして彼らはギフトゲームに参加させられ、たった一夜で滅びた。

ギフトゲームが支配するこの箱庭の世界、最悪の天災によって」

 

「「「天災?」」」

 

俺と春日部、久遠は思わず同時に聞き返した。それほどのコミュニティを滅ぼしたのが、ただの天災なのはあまりに不自然だったからだ。

 

「これは比喩にあらず、ですよ。

彼らは箱庭で唯一最大にして最悪の天災……俗に"魔王"と呼ばれる者たちです」





あの家、とかそういうのはあんまりお話に干渉しないんで、気にしないでくださいね。

詳しく知りたいのなら 真・ゼルガーの部屋に行ってください。
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