問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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どうもみなさん!今回はコラボ編ですよ!なんと箱庭家族でトップクラスの知名度と人気を誇る忙人K.H.さんの『異常な普通』も異世界から来るそうですよ?とコラボぉう!

それではぁ、今回のコラボ番外編、スタァァアートだぁ(若◯規夫風)




魔法とギフト

 

 

「ハッ……ふぅ……はぁ……!」

 

「……ッ……お、姉……俺のことはほっといて……さっさと行けよ……」

 

「ぜぇったい嫌……弟見捨ててのうのうと生き残って……いやもう私死んでるけど、なにがお姉ちゃんですかっての」

 

どことも知れない荒野の中、鈴蘭は竜胆を担いでその足をどことも知れぬ目的地に向かって歩いていた。

 

竜胆は右手から先を喪い、鈴蘭は肩に彼の脇を置いて支えているため、彼女のコートや頰にはべっとりと朱色と紅色、ところどころに彼の異常性の象徴、虫特有の血リンパ液が付いている。

 

「くそっ……ドジった……まさかあんな奴らにこんなことしなきゃならないなんて……」

 

「喋っちゃダメだよリン……喋ったら傷口が広がっちゃうから」

 

鈴蘭は多少大きな女性よりも更に小さい竜胆よりも小さい身体で彼を抱え、弟が死んでしまいかねないことに涙を流しながらひたすら足を前に進める。

 

「お姉っ……もう俺、無理っぽいから……みんなに、耀に、よろしく言っといてくれ……」

 

「嫌!絶対言わないもん!リンが死ぬなんて神様夜叉様ハロウィン様が認めてもおねーちゃん絶対認めないもん!」

 

「いや……ごめん、無理……」

 

「……嫌。起きてよリン。リン───!!」

 

そうして、竜胆は瞳を閉じた。その閉じた瞳は鈴蘭だけでなく、()()()()が見ていた。

 

◆◇◆

 

「……っん……」

 

「……お、起きたみたいだね。どうだいお目覚めの感想は?できれば聞かせてほしいな、竜胆クン」

 

「……ああ。お前の薄ら笑いのおかげで目が覚めたよ、健太。ありがとう、最悪だ」

 

目を覚ました竜胆の目の前にいたのはあまり会話はしていないが、他の知り合いからの口伝と互いに顔を合わせた時に既になんとなく関わるのを避けていた少年、景山健太だった。

 

「ははは、これはまた随分と手厳しいなぁ。一応、死にかけてたキミと泣いてたお姉ちゃんを助けたのは僕なんだぜ?」

 

「なるほど……道理で傷口から血が一切流れないわけだ。お前、さては体外に出る血液の量を『ゼロ』にしたな?」

 

「うん、大正解さ」

 

竜胆は身体の調子から気絶してから全く血液が減った様子のない……と感じ、直感的に健太の行ったことを理解した。それに正解、と答える健太。

 

「相変わらず頭のおかしいギフトだ……」

 

「それを言うならキミこそそうさ。なんだいそれ、五月雨クン達から聞いてはいたけど、キミが目を覚ます直前に完全に無くなってた右腕が急に生えた時にはビックリしたよ。思わずそれに対してキミを『普通』にするところだった」

 

「……無理だったろ?」

 

竜胆が試すように問うてくる。健太は何一つ隠す事なく、普通に頷いた。

 

「まあね。驚くことにキミはその腕が突然生える状態が『普通』らしい。それが普通なら僕はそれに対してなんにもできないよ……本気出せばわからなくもないけど、キミはただの人間になったら死んじまうんだろ?」

 

「そんな普通嫌なんだけどなぁ。お前だってそのギフト……引き剥がすのは無理なんだろ?少なくとも現状は……お前の"原点"(ゼロポイント)は俺の"希望"と同じ、存在を確立させているギフトなんだろう?」

 

「否定はしないよ」

 

はぁ、と二人揃って溜め息。

 

「互いに苦労するな……放り捨てたいのに捨てることが不可能で、それに縋って頼るのが現状だなんて」

 

「いや、まったく」

 

言わばそれは互いが互いに対する抑止力。二人は互いの関係性に空笑いをして、また再び溜め息をつくのであった。

 

 

 

「問題児と孤独の狐が異世界から来るそうですよ?」×「『異常な普通』も異世界から来るそうですよ?」

コラボ編 少年達は普通の希望を夢見て玉砕!?

 

 

 

そもそも、事件は唐突に起こった。

 

その日、"ウィル・オ・ウィスプ"から鈴蘭がやって来た。

 

理由は「弟の顔を見に来た」。たったそれだけで北側から東側までひとっ飛びできるのだからブラコンは侮れない。

 

そうして鈴蘭はいつも通りアホなことをして竜胆に怒られ、十六夜に「バトろうぜ」なんて言われたから十六夜はともかく、加減を知らない彼女は酷いレベルの力をどっかんどっかんぶっぱしまくりその壮絶すぎる光景を見て泣いてしまった年少組の子供。

 

当然、竜胆ブチ切れる。右腕に圧縮された風を纏って繰り出された拳は鈴蘭のギフトと干渉し、その日二人は"ノーネーム"の屋敷から消えた。

 

◆◇◆

 

「以上が事の顛末だ」

 

「……うん。キミも身近な人に振り回されてるのがよぉ〜くわかったよ」

 

「いやぁ……まさか転移した先でコカトリスとバジリスクの群れがいるとは思わなかった。おかげで不意打ちで右腕に毒貰ったから、咄嗟に切り飛ばしたんだよ」

 

竜胆は自分の右腕をピクピク、という擬音が聴こえる感じで動かし、不調がないことを確認する。

 

「それなんてマジュニア?」

 

「そこにツッコまないでくれ。あとはその腕を囮にして逃げた。でも毒よりも失血で死にかけるとは予想外だった」

 

「いやいやいや。普通に考えたら腕一本はかなり危ないでしょ」

 

「ペストの時に土手っ腹に風穴空いたから大丈夫かと思ったんだ」

 

「……いや、待って。色々ツッコミたいけどさ、そもそもなんで土手っ腹に風穴空いてそんな他人事みたいに言えるの?」

 

「二日三日で完治したからな。他人事同然だ」

 

竜胆は気にしてない、とでも言うように腹に手を当てるが、実のところそれが自身の怪物性を改めて示したあの一件は彼自身にとってかなり堪えた。

 

しかしどうも最近はそういうのとは違う理由でこの辺が痛くなってくる。やはり元の性格に戻ったのが災いしてつっこみ役になったのが間違いだったろうか、胃が痛いとも言う……とメタい考えをしていたらふと一つ気になることが。

 

「……なあ、健太」

 

「なんだい?」

 

「お姉は……どこ」

 

ドコオオオオオオオオン

 

「……今のは洒落かい?」

 

「こんな都合のいい洒落があってたまるか」

 

姉の……鈴蘭の居場所を問おうとした時、外から聴こえてくる爆音。まさか。いやそんなまさか。

 

「……いや、それは流石にあのアホお姉でもあり得な───」

 

「にゃーははははは!!やるぞな異世界のイザちー!それでこそ私もガチの出し合いができるってものよォ〜っ!」

 

「テメェこそそのちんけな身体にアホみてえなパワーあるじゃねえか!こんなに物理的にも熱くなる勝負はそうそう味わえねえ!」

 

「ふおおおおおお!!私のこの手が光って唸るぅ!イザちー倒せと輝き叫ぶぅうう!」

 

その瞬間、竜胆は気を失っていたということを疑問視されるほど神速の動きでギフトを発動。黒ウサギのハリセンを造り、アホの元へと走っていった。

 

「ひっさぁつ!シャァァアアアアアイニングゥッ!フィンガアダァッ!?」

 

「アホかァっ!お姉もこの状況に察しがついてるなら十六夜なんかと相手してる場合じゃないってことぐらいわかってるだろぅがスカタン!」

 

「いたいよリン!起きたことはともかくとして、せっかくししょーが教えてくれたこの『輝ける指(パルマフィオキーナ)』のパワーを試したかったのに!」

 

「ルビ振ってもアウトじゃねえか!技名出すな!」

 

「おお……黒ウサギに劣らぬ閃光のハリセンツッコミ」

 

「それなら武器をそのまま取り出すリンもいけないと思います!おねーちゃんはリンがやったこととおんなじことをやっただけだもんね!」

 

「それには触れるな!ウチの作者も読者層が限られるから考慮すべきだったって嘆いてたから!」

 

メタい、ひたすらメタい話を展開する双子。これだけのツッコミを有していながら十六夜達には使わなかったメタツッコミ。それだけこの(ボケ手)は厄介かつ強敵なのだ。しかもこれを鈴蘭は天然でやっているからなおタチが悪い。

 

「……んー。竜胆クンってあんなキャラだっけ?前にみんなで飲み明かした時に性格まるごと変わってたのには驚いたけど……」

 

これには健太も戦慄。凄まじい剣幕で鈴蘭に迫る竜胆もそうだが、天然のボケで完全に流せそうな鈴蘭にも。

 

「だいたいこの屋敷のボロボロっぷりはどうするつもりだ!返済しろなんて言われたら今文無しの俺達は完全に破産だぞ!?」

 

「あれー?リンってお店持ってなかったっけー?お金ないの?無計画は女の子に呆れられちゃうゾ☆」

 

「誰のせいで財布ごと洋服に変えられたと思ってんだマヌケ!」

 

「……やっちゃったぜ!」

 

逃れられなかった。決め手は余計な失言。

 

これから小一時間竜胆は鈴蘭に説教をし始めた。

 

「……てかさー、十六夜」

 

「ん?なんだ健太」

 

「十六夜ならあの人をさっさと力で黙らせれたんじゃないの?彼女のあの攻撃はギフトによるものだろ?だったら……」

 

「いんや。お前は見てなかったから理解できてないだろうが、アイツのギフト自体は多分消せるけど問題はあの"魔法"だよ」

 

「魔法?光みたいなもん?」

 

「似て非なる……が正解だな。アレが魔法に『破壊(デストラクション)』のギフトを付与して『消えない炎』を作っているのなら、アイツはギフトに『決して消えない炎』という概念を魔法で付与している」

 

十六夜は実際に体験した鈴蘭の炎の感触を覚えるように手を握る。

 

「魔法使いが"魔法の限界"という概念を破壊して"事実上"無限大の魔力を供給するのであればあのロリ姉は幽霊になっているせいで"実際に"無限大の魔力を有している……これは、同じ魔法使いとしては光はその概念の破壊を介さないといけない部分勝っているとも言える……って、光とロリ姉の明確な違いは俺がその破壊した概念を無効化できるのか、そもそもの体質故に無効化できないか、これだけだな」

 

「……えーっと、つまり光の魔法はギフトに無効化を無効にするギフトを重ねていて、あのロリお姉さんの魔法はギフトに無効化を無効にするの魔法を重ねているから、無効化を無効にするのがギフトの効力である光の魔法は十六夜は消せるけどギフトを魔法でコーティングしているロリお姉さんのギフトは魔法がギフトを守っている……?ああ、言葉にすると余計わけわかんないな」

 

つまり、堤光の魔法はギフトであり、鈴蘭=T=イグニファトゥスの魔法はギフトではなく、"魔法"そのものという概念。この些細な違いは十六夜の"正体不明"がギフトである光の魔法を無効化できても鈴蘭の魔法はギフトではないので消すことができない、ということだ。

 

「まあガチのタイマンなら『破壊』は応用の幅が広いからな。どっちが強いなんて俺には言い切れないな」

 

「……へえ。鈴蘭=T=イグニファトゥス、か。彼女は幽霊だから、生きてる僕らの常識なんて通用しないんだねぇ」

 

その日、五月雨の世界に来た時の反省から竜胆達は大人しく健太の"ノーネーム"の館に世話になった。

 

竜胆はすごく申し訳なさそうな顔をしていたが、結局鈴蘭がアホなことをしてまたお仕置き、いつもの彼に戻ったとか。

 

◆◇◆

 

「……アイツだ。アイツが例の……」

 

「ヤツか。なるほど道理で、随分と」

 

「ああ……アレには我々の、13年の亡霊作戦の要となる存在……なんとしても」

 

「……13年の亡霊作戦、ねぇ」

 

 






というわけで続く!13年の亡霊作戦……名称自体は某月がそこにあるアニメからもらっていますが、多分これからの問題児コラボでも関わりを持っていく風になっていくと思います。

名前を出すのは控えますが、問題児超コラボの主人公+そこから増えてく主人公達……僕は便宜上某博愛主義さん達からいただいて箱庭家族と呼んでいますが、その中の人のコラボ番外編にもコラボ番外編特有の敵、というのがいていいなーと思ったからです。はい、モロパクリですごめんなさい。

まあそんなことより(そんなことどころではない)忙人K.H.さんコラボありがとうございます!次回もがんばりますよぉ!
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