問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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だんだんと夜雷のキャラが固まってきた……

登場した時に印象付けられたウザキャラと、キチキャラである!

ただ、もしかしたら健太くんのギフトの解釈が忙人さんと違う確率が結構、それなり……



変わりゆく者たち

「ィヒヒ!オラオラどうしたおにぃさん!?威勢良く『塗りつぶす』なんてぃった割にゃ逃げてばっかじゃねぇかぁオィ!」

 

「チッ……厄介だね、僕が一番苦手なタイプだ」

 

夜雷の拳と肘、肩が同時に襲い来る。そう形容すればいいのだろうか。彼の圧倒的な速度の攻撃を前に健太は回避を余儀なくされていた。

 

健太は"特定の存在"に対して絶大な相性の良さを誇るが、その対象は"異常な存在"。ワータイガーなどの"普通ではありえない存在"に対して強く働く一方でただの虎のような"現実にもありえる存在"に対してはその力は一切働かない。

 

こんな拳と肘と肩の攻撃が一度に飛んでくるような生命体が普通の生命体なわけがない。だが、事実として健太は何故か先ほど夜雷の攻撃の余波によって発生した真空波に対してダメージを負った。鞍馬天狗の力で無理矢理受け止めた攻撃にも、鞍馬天狗の力を使ったことによってその異常への耐性が低くなったとはいえ傷を負った。

 

健太を健太たらしめているものの多くは"平常運転"(ノーマルオペレーティング)の恩恵による実質的な不死性であるのだが、それを封じられれば鞍馬天狗の力とレールガンで戦うことになる。

 

が、"平常運転"が作用しない相手とは決まって"異常性"のない相手。鞍馬天狗どころかレールガンで事足りる。

 

だというのに、この夜雷はその一切が通用しない。レールガンの有用射程まで逃げようにも距離を詰められる。距離を[0]にするなんて論外だ。

 

(でもこれは参ったね……"平常運転"が作用しないってことは彼自身を[0]にするのが妥当だけど、それをさせてくれる隙はない。……いや、これが"一番かつ手っ取り早い"!)

 

「ィヒハ!ヒャフハ!ヒハハハハハ!!」

 

「黙ってた方がいいと思うけどね、夜雷クン……だっけか!?」

 

「ィヒヒヒハハ!!これが黙ってられるか塗り潰し屋さんよぉ!?ぃせいよく出てきたヤツをぃっぽう的に嬲り潰すなんてさ……オレ的にゃサィコーだぜ!?」

 

無邪気に邪気を振りまきながら高笑いする夜雷の姿は子供のそれとさしたる違いはなかった。その笑い声はまるで竜胆と似ていた。声も笑い方もなにもかも違うのに、健太には昔の竜胆の笑い方と彼の笑い方がそっくりに感じた。

 

「……そう、か。んじゃあ、忠告はしたぜ?」

 

「……あ?」

 

「"()()()"」

 

「あ……ん、ギィ!?」

 

健太がその言葉を発した瞬間、夜雷の肉体は文字通り潰れた。

 

「んだ……こりゃあ!?」

 

「夜雷……オマエの頭上に存在する()()とオマエの立つ地面の距離を[0]にした。つまり……その中間にいるオマエは惑星に押し潰されているのさ。あとついでにお前の潰れている場所の空気と惑星の赤道の距離も[0]にしてあるから、僕にその惑星が届くことはないぜ」

 

「キ……ィ、ヒヒハハ……お、もしれえ……おもしれぇよアンタ……前言はてっかぃするぜ……悪かった。アンタ強ぇ」

 

「喋らない方がいい。オマエは惑星に潰されている以上口を開けるのだって苦痛のはずだ」

 

「キ、ハハハ……優しぃじゃねぇか。だけど、なぁぁあああああッ!!!」

 

「んなっ……なんちゅームチャクチャな!?」

 

健太の言葉を聞いた直後、なんと夜雷はそこにあるはずの惑星を物理的に持ち上げた。

 

「キ、ィハハハハハハ!!!ィヒ!ヒャ!フハ!アヒヒヒヒ!!ィィイイイヤッハァァァアアアアアッ!!!」

 

夜雷は正真正銘、気を違えたような笑い声を挙げながら

そこにある惑星をオーバーヘッドキックでぶち壊した。

 

「んなアホな!?惑星を蹴り一発で粉微塵にしたぁ!?」

 

「ィヤッハァアア!!ぃくぜぃくぜぃくぜぇ!さぁあ〜あこっからが本番だ塗り潰し屋さん!」

 

「ッチ……これで"普通"とか頭おかしいだろ!バカも問題児も大概にしろってんだぁ!」

 

◆◇◆

 

「お前ら、こんなところで騒ぎ起こしてどうするつもりだ!?」

 

「言ったはずだ。遊びに来たわけではない」

 

「その『遊びに来たわけではない』の内容を俺は聞いている!」

 

竜胆は地面から鋼と木を呪術で掘り当て高速で切断、溶接して急造の日本刀を作り出し、貭魂へとそれを向ける。脅しではなく、返答次第では斬り捨てると言わんばかりに。

 

「……我々の目的は貴方だ、(回帰する者)

 

「∀……?どういうことだ。それに俺が目的ってどういうことだ!?」

 

「13年……我々、いや、長は13年もの年月をずっと貴方を探し続けていた」

 

「13年だと?」

 

「くく……それを貴方が知る由もない。黙って我々に攫われてもらおうかッ!」

 

「断る!ただでさえ女だ女だと言われてるのにこれ以上ピーチ姫してどうするかってんだ!」

 

貭魂は円を描くように腕を動かすと、腕が通り過ぎた場所から小さな球状のビットが12個現れる。

 

「"十二天帝牌大驚升"!!」

 

「どこの師匠だテメェはっ……!」

 

「破!」

 

竜胆のツッコミを他所に貭魂はビットを射出する。そのビットからは幾数ものロケット弾が飛び交って来る。

 

竜胆はそれに対して刀の他に長柄の槍を作り出し、ロケット弾を切り裂いて爆風を呪術で真空波を発生させて熱の影響を排除するが、その爆風に紛れて貭魂は竜胆に肉薄する。

 

「っ速いっ!」

 

「征、破!」

 

「っが!」

 

貭魂はそのまま震脚、靠撃(こうげき)……肩による攻撃で竜胆の防御を崩し、そのまま肘撃で吹っ飛ばす。

 

「ち、中国拳法っ……!」

 

「それだけでは、ない!」

 

宙に打ち上げられた竜胆に手早いステップで距離を詰めると、竜胆の顔面に左を叩き込み、腹部にボディブローを決め、竜胆の顔面を掴んで飛び膝蹴りを放つ。

 

「ぐぁあ!?」

 

「呼、応おおおお!」

 

「っムエタイ……いや、キックボクシングまでか!?」

 

武器の使用と呪術による支援を主とする竜胆とは最悪の相性だ。武器はその特性上槍のように超クロスレンジでは意味を成さない武器もあるし、剣のように超至近距離で戦うにはその長さがデッドウェイトとなり満足に振るえないものも多い。

 

武器を入れ替えるにしてもこの距離では構築する間も与えられない。

 

これで仮に至近距離用の武器に変えたところで貭魂はまた飛び道具なりを使ってその武器が機能しない、かつ呪術を使う間も与えられないミドルレンジでの戦闘へとシフトするだろう。

 

全方位に対応できるが故に竜胆はその切り替えの主導権を相手に握らせてしまった時の戦いは相手にかなり分がある。そもそも竜胆は全てに対応できるが故、一つに特化した敵への戦いを嫌う。

 

元々速さに思考を割いて守りを疎かにしがちな竜胆にとって貭魂の中国拳法のような一撃必殺を念頭に置くモノはかなり相性が悪い。

 

健太も竜胆も、分の悪い勝負。

 

「せぁ、ハッ!」

 

貭魂の全体重を乗せた一撃が竜胆に向かう。竜胆はそれを紙一重で躱すと、膝蹴りをお返しとばかりに側頭部に浴びせるが、それでも貭魂が止まる様子はない。

 

「ぬぅん!」

 

「どぉららら!!」

 

貭魂の正拳突きに対して竜胆は右腕を龍のものへと変質させて殴りあう。遺伝子を部分的に引っ張るなんて行為はありうるかもしれない"暴走"を引き起こす可能性があるので避けたかったが、彼には文句もなにも言っていられない。

 

竜胆も、"暴走"の危険性を省みてでもこの能力の全てを引っ張る覚悟を決めた。

 

「"タイタン"!」

 

竜胆の両足をタイタンのものへと変質させ、貭魂の足場に地殻変動を発生させ、強引に貭魂の攻撃を躱す。

 

「っ!」

 

「"イフリート"!」

 

次いで竜胆は龍の腕をイフリートのものへと変質、逃げ場を失った貭魂へ灼熱の拳を叩き込む。

 

「させん!」

 

貭魂はそれを震脚で地面を畳返しして防ぐ。防げたのはほんの数瞬時だったが、その数瞬は絶大なアドバンテージを貭魂に与える。

 

「せぁあ!」

 

「それにゃもう、喰らわねえんだよ!」

 

竜胆はその行動が来ると『予測』して既にダガーを生成していた。貭魂の攻撃をダガーで闇討ちの意味合いも込めて迎撃すると即座に竜胆はダガーを貭魂に向けて投げつけ、貭魂の側頭部に右のハイキックを喰らわす。

 

「ぬぅっ!?」

 

「おぉおらよぉ!」

 

竜胆は貭魂の側頭部を軸にさらなる捻りを加え、左脚の踵を浴びせてまた新たな刀を生成、踵蹴りの勢いを更に加えた斬撃を繰り出す。

 

「なんという身体の安定感ッ……鍛えていない人間にはどんな超人にもこれほどの動きは繊細すぎてできん!」

 

「身体の安定感なら歌舞伎で十年前から鍛えてるんだよ!」

 

「ぬぅっ……覇ッ!」

 

竜胆がまるでくっついたかのように貭魂の身体に攻撃を浴びせ続けているため、耐えきれなくなった貭魂はとうとう震脚の風圧で竜胆を追い払った。

 

当然、体重が軽い竜胆は踏ん張る地点もないため簡単に吹き飛ばされる。

 

「くそっタレ……!図体だけじゃねぇ、(つよ)く、堅い。それに頭もキレやがる」

 

「………」

 

竜胆の舌打ちに対して貭魂は腰を落とすカタチで応える。それはいつでもいける、という意思の表れ……

 

「上等。だったら俺も───」

 

それに対して竜胆も腰を落とし───

 

「うわぁぁあああああ!?」

 

「───ってなぉああああ!?」

 

ドンガラガッシャン。そんな愉快な擬音とともに崖から健太が降ってきた。

 

「っつつ……こんなところに衝撃を緩和するなにかがあって助かった……下手したら死んでたカモ……!?」

 

「……ぁ、ぁぁぁぁぁ…………………」

 

「………」

 

「ィヒヒヒハハ!!コィツぁ傑作じゃねぇかオィ!塗り潰し屋さんよォ!お前ラッキースケベってヤツだ!ヒハハ!!」

 

これはもう健太のラッキースケベではない、竜胆が生まれ持った圧倒的な不運だ。

 

……もう、察しはつくだろう。健太は崖から落ちてそのままダイレクトに竜胆に覆い被さったのだ。しかも健太の顔面は華麗に竜胆の男らしからぬ巨乳にうずめられ、視点によってはこれ絶対な状況。

 

まぁ、竜胆は当然。

 

「は、はは離れろおお!?」

 

「ゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンあじゃぱぁー!?」

 

羞恥心のまま腕を魔物の腕へと変質させて健太を殴り飛ばした。それでも竜胆が腕をを変質させて"異常な生命体の腕"になったことで健太は傷一つ負わなかったのだが。

 

また、その時一瞬竜胆のギフトカードに"不幸体質(逆セクハラ)"という文字が映った気がしたが幸い?誰も見ていなかった。

 

「ィヒヒ!あぁ〜あ面白ェモン見せてもらったぜ両人様よォ!だけど、スゥィーツな時間ははぃ!しゅ〜りょ〜ってぇワケだ!ィハハハ!」

 

「誰がスウィーツだぶち飛ばすぞテメェ!」

 

「……だが貴方が攫われる立場にあるのは事実。大人しく攫われて頂く」

 

「お断りだって言ったろうが!オラ健太、この報復は後回しにしてまずはアイツらをぶっ潰す!手伝え、塗り潰し屋さんなんだろ?」

 

「ほんっとゴメン……まぁアイツらを塗り潰すのは賛成だ。塗り潰し屋さんってのはアイツが勝手につけたんだけどねぇ」

 

 




竜胆くんの不幸体質日記
健太に胸に向かってルパンダイブされた(故意ではない)

竜胆くんの不幸体質をもってすれば愛が重い彼女持ちのリア充もこの通りよ……ふはは、健太くん、コラボが終わったあとそっちの耀さんに絞られるがいいさ……

なんていったって見方によれば「健太が知り合いの可愛い子にルパンダイブした」って見えるからな!いやそれ以外にどう見ろと。
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