問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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こんにちわ!

この前タグの意味がわからないという質問もらっちゃいました!失念。

……まあ、今現在イミフなタグは後々明かされるので、突っ込まないでくれるとガラスのハートな私は嬉しいです!




三話 鳥の歌

「なるほどね。だいたい理解したわ。つまり、魔王というのはこの世界における特権階級を振り回す神様etc.を指し、ジン君のコミュニティは彼らの玩具として潰された。そういうこと?」

 

久遠はガルドの説明を聞き終え、一応最後の確認とばかりに再度聞き返す。

 

「そうですレディ。神仏というのは古来、生意気な人間が大好きですから。

愛しすぎた挙句に使い物のならなくなることはよくあることなんですよ」

 

ガルドはカフェテラスの椅子の上で大きく手を広げ、皮肉そうに笑う。

 

「名も、旗印も、主力陣の全てを失い、残ったのは膨大な居住区だけ。

もしもこの時に新たなコミュニティを結成したのなら、前コミュニティは有終の美を飾っていたんでしょうがね。今や名誉も誇りも失墜した名もなきコミュニティの一つにすぎません」

 

「確かにそうですね。そこで終わっていたのならどれだけよかったのか」

 

「そうでしょう。そもそも名乗ることを禁じられたコミュニティに、一体どんな活動ができますか?

商売ですか?

主催者ですか?

しかし名もなき組織など信用されません。

ではギフトゲームの参加者ですか?

ええ、それならば可能でしょう。では、優秀なギフトを持つ人材が、名誉も誇りも失墜したコミュニティに集まるでしょうか?」

 

「そうね……誰も加入したいとは思わないでしょう」

 

「そう。彼は出来もしない夢を掲げて過去の栄華に縋る恥知らずな亡霊でしかないのですよ」

 

ピッチピチのタキシードが破れんばかりで品のない笑い声をあげる。

 

ジンは顔を真っ赤にして両手を膝の上で握りしめていた。

 

「もっといえばですね。彼はコミュニティのリーダーとは名ばかりで、殆どリーダーとして活動はしていません。

コミュニティの再建を掲げてはいますが、その実態は黒ウサギにコミュニティを支えてもらうだけの寄生虫」

 

「ま、ガキだからな」

 

「……そう。事情はわかったわ。それでガルドさんは、どうして私達にそんな話を丁寧にしてくれるのかしら?」

 

久遠は含みのある声で問い、ガルドもそれを察して笑う。

 

「単刀直入に言います。もしよろしければ、黒ウサギ共々、私のコミュニティに入りませんか?」

 

「な、何を言い出すんですガルド=ガスパー!?」

 

「黙れジン=ラッセル。そもそもテメェが名と旗印を新しく改めていれば最低限の人材はコミュニティに残っていただろうが。

それを貴様の我儘でコミュニティを追い込んでおきながら、どの顔で異世界から人材を呼び出した」

 

「そ……それは」

 

「なにも知らない相手なら騙し通せると思ったか?その結果、黒ウサギと同じ苦労を背負わせるってんなら……こっちも箱庭の住人として通さなきゃならねえ仁義があるぜ」

 

ふーん……そんなに崖っぷちなのか。ジンのコミュニティ。食後に恥を忍んで頼むとでもおもったんだけど……

 

「……で、どうですか御三人様。返事はすぐとは言いません。

コミュニティに属さずとも、貴方達には三十日間の自由が約束されます。一度、自分達を呼び出したコミュニティと私達のコミュニティを視察し、十分に検討してから───」

 

「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合ってるもの」

 

は?と驚くジンとガルドを尻目に、久遠はなにもなかったように紅茶を啜る。

 

「春日部さんと竜胆くんは今の話しをどう思う?」

 

「別に、どっちでも。私は箱庭に友達を作りに来ただけだもの」

 

「心底どうでもいい」

 

「あら、春日部さんは意外ね。じゃあ私が友達一号に立候補してもいいかしら?

私達って正反対だけど、意外に仲良くやっていけそうな気がするの」

 

久遠はやや気恥ずかしそうに髪を弄りながら問う。

 

春日部は少し無言で考え、小さく笑って頷いた。

 

「……うん。飛鳥は私の知る女の子とはちょっと違うから大丈夫かも。

竜胆は?」

 

俺に急に話をふっかけるな。

 

「俺はノーネームに入らないかもしれないぞ?」

 

「他のコミュニティでも友達がいるのはいいことだと思う」

 

「……先に断っておくが、死神って自称する通り、関わった奴は片っ端から危ない目に会うぞ?」

 

「そんなの、起こってからの問題」

 

「……わかったよ。じゃあ春日部、俺はお前の友達二号だ」

 

俺が呆れたように言うと、何故か春日部はむすっとしていた。

 

「……友達って、名前で呼ぶものじゃないの?」

 

……そうなのか?いや、だとしたら、どうして久遠は「春日部さん」でOKだったんだ?

 

まあ、言ってもややこしくなるだけだし、別にいいか。

 

「……耀。これでいいか?」

 

「うん」

 

リーダー二人をそっちのけで会話をしていたら、まあガルドはわかってて無視したんだが、それを取り繕うように大きく咳払いをした。

 

「失礼ですが、理由を教えてもらっても?」

 

「だから、間に合ってるのよ。竜胆くんは知らないけど、春日部さんは聞いての通り友達を作りにきただけだから、ジン君でもガルドさんでも構わない。そうでしょう?」

 

「うん」

 

「そして私、久遠飛鳥は───裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払って、この箱庭に来たのよ。

それを小さな小さな一地域を支配している組織の末端として迎え入れてやる、などと慇懃無礼に言われて魅力的に感じるとでも思ったかしら。だとしたら自身の身の丈を知った上で出直してほしいものね、このエセ虎紳士」

 

……よくもまあそこまでバッサリと言えるもんだな。

 

ガルドは多分、久遠の無礼極まりない物いいに怒るか、自称紳士としての言葉を選ぶかをしている。

 

「お……お言葉ですがレデ

 

「"黙りなさい"」

 

その時、ガルドの口が明らかに不自然に、かつ勢いよく閉ざされた。

 

「……!?……!??」

 

ガルドは必死に喋ろうとしているが、それでも開けない。

 

「私の話はまだ終わってないわ。貴方からはまだまだ聞き出さなければいけないことがあるのだもの。

"貴方はそこに座って、私の質問に答え続けなさい"」

 

今度は久遠が言った通り、椅子にヒビが入らんばかりに勢いよく座り込む。

 

本当に凄いな。今度なにでできてるのか調べさせてもらいたい。

 

と、その様子に驚いた先程の猫の店員が急いでここに駆けつけてきた。

 

「お、お客さん!当店で揉め事は控えてくださ───」

 

「ちょうどいい。貴方も第三者として聞いていてください。

多分、面白いことが聞けると思うんですけど、ね」

 

俺は店員を引き止め、態とらしく言う。

 

「久遠、お前のギフトはだいたい理解したから、存分に聞いてくれ」

 

「わかったわ竜胆くん。それじゃあ……貴方はこの地域のコミュニティに"両者合意"で勝負を挑み、そして勝利したと聞いたわ。

でも、私達が聞いた内容とはちょっと違うの。コミュニティのゲームとは"主催者(ホスト)"とそれに挑戦する者が様々なチップを賭けて行うものの筈……ねえジン君。

"コミュニティそのものをチップにゲームをすること"は、そうそうあることなの?」

 

「や、止むを得ない状況なら稀に。しかし、これはコミュニティの存続を賭けたかなりのレアケースです」

 

店員もそれに同意するように頷く。

 

「そうよね。訪れたばかりの私達ですらそれくらいは解るわ。

そのコミュニティ同士の争いに強制力を持つから"主催者権限(ホストマスター)"を持つ者は魔王として恐れられる。

その特権階級を持たない貴方がどうして強制的にコミュニティを賭けあうような大勝負を続けることができたのかしら。

"教えてくださる"?」

 

ガルドは悲痛な表情をするが、相反的に口が動き出す。

 

まあ、ここまで行けば誰でもわかるだろう。

 

この女、久遠飛鳥の命令には……絶対に逆らえないと。

 

「き、強制させる方法は様々だ。一番簡単なのは、コミュニティから女子供を攫って脅迫すること。

これに動じない相手は後回しにして、徐々に圧迫していった」

 

「まあ、そんなところでしょう。貴方のような小物らしい堅実な手です。

けどそんな違法で取り込んだコミュニティが従順に従ってくれるのかしら?」

 

「各コミュニティから数人ずつ子供を人質に取ってある」

 

……子供を人質に?

 

「……そう、ますます外道ね。それで、その子達は何処に幽閉されてるの?」

 

「もう殺した」

 

………………………………………………………………………は?

 

「初めてガキ共を連れて来た日、泣き声が頭にきて思わず殺した。それ以降は自重しようとしていたが、父が恋しい母が愛しいと泣くからイライラしてやっぱり殺した。

それ以降は連れてきたガキは全部纏めてその日に始末した。けど身内のコミュニティの人間を殺せば亀裂が入る。

始末したガキの遺体は証拠隠滅のために部下が食

 

 

 

 

 

「"黙れ"」

 

 

 

 

ガルドの口が先程以上に強く閉じられた。

 

「素晴らしいわ。ここまで絵に描いたような外道とはそうそう出会えなくてよ。

流石は人外魔境の箱庭といったところかしら……ねえジン君?」

 

「彼のような悪党は箱庭にもそう居ません」

 

「そう?それはそれで残念。

ところで、今の証言で箱庭の法がこの外道を裁くことはできるのかしら?」

 

「厳しいです。勿論、彼がやったことは違法ですが、裁かれる前に箱庭から出ればそれまでです」

 

「……そう。なら仕方ないわ」

 

久遠は苛立たしげに指を鳴らすと、それが合図のように怒り狂ったガルドは勢いよくテーブルを砕き、巨躯を包むタキシードが破れ、ワータイガーとしての本当の姿が露わになった。

 

あ……カレー……ミルク……

 

「テメエ……どういうつもりか知らねえが、俺の上に誰が立ってんのかわかってるのか!?箱庭第六六六外門の魔王が俺の後見人だぞ!!

俺に喧嘩売るってことの意味が

 

「"黙りなさい"。私の話はまだ終わってないわ」

 

ガルドはまたも不自然に口を閉じるが、丸太のような豪腕を振るう。

 

しかし、それに割って入るように耀が片腕でそれを止めた。

 

「喧嘩はダメ」

 

耀は一旦それを受け止め、それを放した。

 

───阿呆!

 

その瞬間、耀に向かって先程の豪腕を振るった。

 

「───え?」

 

「ったく……油断禁物だ。少しは人を疑え」

 

その豪腕は今度は少し装飾過多な鏡に受け止められていた。

 

「まさか……竜胆?」

 

「そうだ」

 

耀が振り向くと、そこには左手の人差し指と中指をその鏡に向けている俺。

 

「動かれると面倒だ。凍ってろ」

 

俺が合図を出し、それと同時にガルドの両手両脚が凍りついた。

 

耀の細腕には似合わない力、自分の豪腕を受け止める鏡、突然凍る四肢と、完全にパニックになっているガルド。

 

そんな中、久遠は楽しそうに笑っていた。

 

「さて、ガルドさん。私は貴方の上に誰がいようと関係ありません。それはきっとジン君も同じでしょう。

だって彼の最終目標は、コミュニティを潰した"打倒魔王"だもの」

 

ジンは少し息を飲み、それにはい、と答える。

 

「そういうこと。つまり貴方には破滅以外の道は残されていないのよ」

 

「く……くそ……!」

 

そんな中で、俺は突然手を上げる。

 

「久遠、今からノーネームの誇りとフォレス・ガロの存続を賭けて勝負って言うんだろ?」

 

「そうよ」

 

「なら俺も参加させてくれ」

 

「あら?どうしてかしら。貴方はコミュニティの仲間ではない筈よ」

 

それを言われたら痛いな……でも、そんなのどうでもいい。

 

「理由は三つ。一つは俺はコイツの気取った態度が気に入らない。

二つ、こいつは俺が食おうとしていたカレーとミルクをめちゃくちゃにした」

 

そう言うと、久遠とジンは「そんな理由で!?」とでも言わんばかりだったが、食べ物という命を粗末にしたアイツを許せんだけだ。

 

「そして三つ目……それはな」

 

俺はそれを言おうとした時、あの時のことが蘇った。

 

……悶え、苦しみ、息絶える獣達。そして、助けを乞うしかできなかった俺。

 

だからこそ、言ってやる。こいつだけは……

 

「俺はな、人の命を消耗品のようにする奴のことが殺したいくらい嫌いなんだ」

 

だからこそだ。俺の中にいるこいつらがこんなにも疼いているのは。





え?主人公が子供っぽい?

それは仕様です。この子のコンセプトは「誰よりも大人ぶろうとしているが故に、誰よりも子供」ですから。
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