問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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主人公は合法ショタなんです。

ただ、言動のせいで全くショタに見えませんね。




四話 WORLD END

日も明け暮れた頃、十六夜と黒ウサギが帰ってきた。

 

まー怒ってる。とんでもなく怒ってる。

 

「な、なんであの短時間に"フォレス・ガロ"のリーダーと接触してしかも喧嘩売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」「準備してる暇もお金もありません!」「一体どういう心算があってのことです!」「聞いているのですか四人とも!」

 

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

 

「殺したかったから喧嘩売った。反省も後悔もしてない」

 

「黙らっしゃい!!!」

 

三人合致で、俺は本気で言ったら怒られた。因みに逆廻はニヤニヤと見ている。

 

「別にいいじゃねえか。理由ナシに喧嘩売ったわけじゃねえんだし」

 

「十六夜さんは面白ければいいのは先程の会話で十分承知です!

それに竜胆さんに至っては殺したいってなんですかそれ!?

加えて、このゲームに勝って得られるものなんて自己満足だけですよ!」

 

黒ウサギが身を乗り出して俺たちに"契約書類(ギアスロール)"を見せる。

 

そこには、先程俺達がガルドと契約して挑んだギフトゲームのチップなどが書かれていた。

 

「プレイヤー側が勝利した場合、主催者のコミュニティリーダーは参加者の言及する全ての罪を認め、箱庭の法に従って正しい裁きを受け、コミュニティを解散する───まあ確かに自己満足だ、

時間かければ立証できるものの、それを態々負ければ見逃すだなんてな。

しかも竜胆の目的は達成できないんじゃねえのか、これ?」

 

「箱庭追放程度だったら闇討ちするから問題ない」

 

「そういうのを街中で堂々と言わないでください!」

 

「冗談だ。あの外道一匹殺すのに態々闇討ちなんぞしない。

正々堂々と殺す」

 

「それが問題だと言っているんですこの問題児様!!」

 

ズバァンッ!とハリセンが鳴り響いた。

 

いったぁ……このツッコミ技術は姉さんにも劣らんぞ……

 

「にしてもだ。まあ個人的に殺したいけど、それを差し引いてもアイツは野放しにしちゃおれんだろ。

ああいう輩はさっさと掃除するのが一番なんだよ」

 

三人も頷き、黒ウサギは諦めたように頷いた。

 

「はぁ~……仕方ない人達です。

まあいいデス。腹立たしいのは黒ウサギも同じですし。

"フォレス・ガロ"程度なら十六夜さん一人いれば」

 

「その件は却下だ」

 

「そうだぜ。俺は参加しねえ」

 

十六夜はフン、と鼻を鳴らす。因みに俺はその辺にあったソフトクリーム屋のソフトクリームをペロペロと舐めている。

 

「竜胆、着いてる」

 

「ん、悪いな耀」

 

耀はハンカチで俺の口元をぐっと拭う。

 

「ハハ、なんだなんだ?

大人びてるのは態度と言葉だけか?行動は随分と子供なんだな」

 

「黙ってろ」

 

「お、お二人共仲がよろしく……ではありません!十六夜さんと竜胆さんはコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」

 

「俺はまだノーネームに入るって言ってないぞ」

 

「へ?」

 

「残念ながら俺がここに来た理由は逆廻みたいな快楽を求めるわけでも、久遠みたいに退屈な世界から抜け出すわけじゃないし、耀みたいに友達作りに来たわけでもない」

 

「で、ではそれは?」

 

 

 

 

 

「死ぬためだよ」

 

 

 

 

 

「な……」

 

黒ウサギが絶句する。久遠とジン、耀はポカンとし、十六夜の表情から笑みが消えた。

 

「阿呆とでもなんとでも言っても構わないさ。

ただまあ、今回は命を消耗品みたいに扱うアイツを殺したくなっただけで───」

 

左右から平手と鉄拳が飛んで来た。

 

「っつ……どうしたよ、久遠、耀」

 

「命を消耗品みたいに扱う奴は殺したいくらい嫌いだ」

 

「これ、さっき貴方が言った言葉よ」

 

「……それがどうした。俺は俺が嫌いだからそう言ったんだし、ガルドが嫌いだからそう言ったまでだ」

 

「だとしたら!」

 

耀が万力のような力で俺の服を掴んだ。

 

「だとしたらなんで私と友達になってくれたの!?」

 

「……知るか」

 

おいおい、耀って俺の憶測だともっと静かに怒るイメージだったぞ?感情丸出しかよ。

 

まあ、流石にここでKYになるのはよろしくないな。

 

「……悪かった。さっきの話は忘れてくれ。

……それと、俺が箱庭に来た理由はホントにそんなとこだから、これ以上触れるなよ」

 

俺は耀の腕を軽く押しのけ、黒ウサギの方に向く。

 

「は、はあ……では何故十六夜さんは参加しないので?」

 

少しどよんとした空気の中で十六夜はなんの躊躇いもなく言った。

 

「そんなの、この喧嘩はコイツらが売ってアイツらが買ったからだ。

そんなのに俺が関わったら無粋だ」

 

「……あぁもう、好きにしてください」

 

黒ウサギは恐らく一日中逆廻に振り回されてたのだろう。肩を落としてトボトボと歩いた。

 

◆◇◆

 

「……桜か。流石は春真っ盛りといったところか」

 

竜胆が道を歩き、幾年振りかの桜を堪能していると、三人がそれに異論を唱えた。

 

「今は真夏じゃなかったかしら?」

 

「いや、気合の入った桜なら残ってる頃の初夏だろ?」

 

「……?今は秋だったと思うけど」

 

んっ?と竜胆を抜いた三人は顔を見合わせていると、黒ウサギはそれを笑って説明した。

 

「皆さんはそれぞれ違うせか「それは立体交差平行世界論による時間の差異だな。

時間軸以外にも歴史や文化、生態系にも違いがある」あう……先に言われてしまいました……」

 

「へえ?パラレルワールドってやつか?」

 

「近いな。まあ、説明すると一日二日は超えるから、またの機会だな」

 

「な、何故竜胆さんがそれを……」

 

「俺にもそういう青春を謳歌して女と乳繰り合った頃くらいはあるさ」

 

曖昧に答える竜胆。

 

「竜胆って、彼女いたの?」

 

「まあ、な。別れたっていうか……俺が自分から交流を断った」

 

余程恥ずかしいことでも思い出したのか、竜胆は顔面を真っ赤にしてやや足早に歩く。

 

そうしていると、一つの店に行き着いた。

 

サウザンドアイズ。箱庭の東側を代表するコミュニティの一つだ。

 

日が暮れて看板を下げる割烹着の女性店員に、黒ウサギは滑り込んでストップを、

 

「まっ」

 

「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

かける暇もなく、黒ウサギは悔しそうに店員を睨む。

 

「流石は超大手の商業コミュニティといったところか。

押し入る客の拒み方にも隙がないな」

 

竜胆が感心するように頷く。

 

「なんて商売っ気の無い店なのかしら」

 

「ま、まったくです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」

 

「文句があるなら他所へどうぞ。貴方がたは今後一切の出入りを禁止します。出禁です」

 

「出禁!?これだけで出禁とか御客様舐めすぎで御座いますよ!?」

 

キャーキャーと喚く黒ウサギに店員は冷めたように侮蔑を籠めて対応する。

 

「なるほど、"箱庭の貴族"と謳われる"月の兎"の御客様を無下にするのは失礼ですね。

中で入店許可を伺いますので、コミュニティの名前をよろしいでしょうか?」

 

「……ぅ」

 

月の兎、それは黒ウサギの種族全体を指す種族で、なんでも箱庭の貴族とか言われるほどにすごい生物らしい。

 

「俺達は"ノーネーム"ってコミュニティなんだが」

 

言葉を詰まらせる黒ウサギに対し、十六夜はなんの躊躇いもなくそれを言う。

 

「ほほう、ではどこのノーネーム様でしょう。よかったら旗印を確認させて頂いてもよろしいでしょうか?」

 

ぐっと黙り込む。これが名と旗印の有無が作る差である。

 

「……なるほど、貴女は解って言ってますね?」

 

竜胆が黒ウサギがなにか言い出すまえに女性に問いかける。

 

「ええ、それがなにか?」

 

本当に「それがどうした」と言わんばかりに言う店員。

 

 

 

 

 

「差別はそれだけ命を軽く見ている証拠だ。

あんまり舐めた態度とってっと……"死ぬぞ"?」

 

 

 

 

 

空気が、変わった。

 

「ッ!?」

 

(……ほー、こいつはなかなかやべえな……)

 

(こ、この威圧感はなんなの!?)

 

(竜胆から……色んな匂いが感じる?)

 

(一体これはなんなのですか!?それに、今一瞬竜胆さんから感じたモノは……)

 

「死ぬ覚悟、できて言ってんだよな……?」

 

そして、竜胆の爪が異常な程伸びた。

 

「あ、貴方は自分がなにをしているのか「そんなの、承知のことだ」なっ……!?」

 

「り、竜胆「止めてくれるなよ、耀」……え?」

 

竜胆は店員の首を抑え、耀に目を向ける。

 

その目は獰猛に、紅く光っていた。

 

「俺の中のこいつらが疼いているんだよ……それに逆らうつもりもないから、近づいたら死ぬぞ」

 

こいつら、それが何を指すのか全くわからないが、耀は直感で理解した。

 

(これ……竜胆の意志だけど、竜胆一人の意志じゃない……)

 

竜胆が爪を店員に寄せようとした 。その時、

 

「そこまでじゃ」

 

女の声が響き、そこに目を向けると、和服に銀髪という変わった格好をした小さな少女っぽいのがいた。

 

「この度はうちの店員が後先も考えないことを言って悪かったの。

この店のオーナーとして、詫びさせてもらおう」

 

「……誰だアンタ。今俺は人を殺したい気分なんだ。邪魔されると殺したくなる」

 

「……おんしのその目、咎を背負っておるな」

 

「だからどうした」

 

「少し、眠ってもらおう」

 

それが手を数回叩いた。

 

たったそれだけで、竜胆は深い眠りについた。

 

「……まあ、いざこざは止めてやった。お主もこれに懲りたら人を見る目を鍛えることだ」

 

少女が割烹着の店員にそう言うと、店員は「はい……」と言って頷いた。

 

「うちの性悪店員が済まなかったの。私はこのサウザンドアイズのオーナーを務める白夜叉という者だ」

 

白夜叉と言った少女は、小柄とはいえ自分よりはるかに大きい竜胆を片手で抱えた。

 

「着いてくるがよい」





大・暴・走!

まあ、この大暴走にもきちんと理由はあるわけで……あ、この段階でネタバレはしませんよ?
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