問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

77 / 110


星空デートは感想を稼げなかった……くっ、ツンデレ力が足りなかったということか……!




七話 恥じまりの音

「グリーへの見舞いも済ませた……ヒッポカンプの方もカムプスさんには結構乗ったから後は当日まで待つ……か……」

 

竜胆が欠伸をしながら屋台を見て回る。色々……色々ある。

 

例えばこれ。今竜胆が持っている簪。

 

ついさっき簪が売っていた場所を通ったら急に店員に捕まって押し付けられたのである。性別に関するツッコミをする間も与えずに渡されてそのまま姿を消した。

 

「……最近髪も伸びたしな。放置してたからまた一層そう扱われるようになったのか……」

 

かといっても、切るとなぜかすぐ伸びる。箱庭に来た時くらいにはすぐに戻るからわざわざ切るのも野暮である。

 

折角なので貰った簪使おうと竜胆は思った。元々歌舞伎役者をしていた彼は慣れた……というか慣れすぎと言われても仕方のない手つきでササっと簪を後ろに刺す。

 

茶色い髪とマッチングしていて、竜胆の元々の女顔もあってか、かなり似合っていた。

 

「……こんなん似合ってもしょうがないよな……」

 

竜胆は溜息を吐きながらもう一度ギフトゲームの確認するか……と"契約書類"に目を通して、泣いた。

 

『ギフトゲーム "ヒッポカンプの騎手"

 

参加者

・自由参加(ヒッポカンプのレンタルは可。)

 

勝利条件

・折り返し地点に眠る黄金の果実を取り、スタート地点にてゴールせよ。

 

敗北条件

・落馬した場合(落馬の基準は水中に騎手が落ちた場合)

・上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

追加ルール

・一人の騎手につき三人までのサポーターを許可する。

 

追加ルールⅡ

・女性と"ノーネーム"所属の"狐巫女"は女性用水着着用を強制する。

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗の名の下に"龍角を持つ鷲獅子"連合はギフトゲームを開催します。

 

"龍角を持つ鷲獅子連合"印』

 

追加ルールⅡを見た瞬間に竜胆のナニカが切れた。

 

「白夜叉ァァァァァアアアアアアアアアァァァァァアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアア!!!!」

 

きっと名指しされなかったことが白夜叉唯一の良心であったのだろう。

 

翌日、白夜叉の部屋には血塗れになった白夜叉(ただの気絶)と、彼女の横には"おきつねさまのしわざ"というダイイングメッセージがあったという……

 

なお、無惨な白夜叉が発見される前日、やたら可愛く怒った顔で水着選びをしている茶髪にアメジストの瞳の人物が目撃されたとか。

 

◆◇◆

 

ギフトゲーム開催当日。

 

「はぁ……なんで男の俺が女モノの水着着なきゃならんのだ……そりゃ確かに、ホルモン云々で胸は無駄に出てるけどさ……あ、タマモ水着とっ……いないんだったなぁ……」

 

竜胆はどれだけ引っ張ってるんだと溜息をついて呪術で水着を運ぶ。

 

水着が身体にフィットしたのを見て少しだけ安心する。

 

「よかった……そこまでじゃなかった……」

 

流石に下はプライドとしてトランクスタイプだが、胸がある以上上は仕方が無い。

 

「皆待っているからな……いつまでもここで凹んでても仕方ないか……」

 

竜胆は朝から何度目かの溜息を吐いて部屋から出た。

 

◆◇◆

 

「おまたせ……」

 

竜胆は肩を落としながら十六夜がいる場所に近づいた。

 

何度男女問わず凝視されたことか。羨みだの好奇だの、あげられるのなら箱庭中の女性にこの女性要素全部あげたいと思わずにはいられなかった。

 

「似合ってるぜ竜胆。普段のムッツリ陣羽織もなかなかだが、そっちは色気があるな」

 

「黙れ変態。殴るぞ」

 

「ヤハハ。今のお前の殴るは冗談じゃねえな。なんの腕で殴られるか」

 

「それはその時のお楽しみだな」

 

二人がニヤニヤと笑い合っていると、丁度その時に5人の人影が現れた。

 

「お待たせ」

 

「待ったぜ二人とも……っと、竜胆んとこの三人も一緒か」

 

「………」

 

上から耀、十六夜、竜胆。

 

「おい竜胆、目を逸らすな。男ならしっかりと見ろ……春日部の水着」

 

最後だけ、竜胆にしか聞こえないくらい小声だった。

 

「ぶふぉっ!?な、ど、どういうことだ!?」

 

「とぼけるなっての。会えば真っ赤で遠ざかって、会えなかったら会えなかったで残念がる。

……そんなことしてたら隠しててもバレバレだっての」

 

「なっ、ななななんのことだ?べ、別に俺は……耀のことなんかぜんぜん好きじゃないんだからな!」

 

「ツンデレ乙。ほれ、しっかり見ろ。あの世に行ってもこぉんな面白いショーは見られんぞ」

 

まるで女と女の恋を応援する男の会話だが、これは男同士の会話である。

 

「……ああもう、わかった。見るよ……」

 

竜胆は意を決して振り返る。

 

そして、言葉を失った。

 

露出が、多い。

 

皆揃って、露出しまくりである。

 

おかしい。昭和の淑女である飛鳥ですらもワインレッドのビキニタイプにパレオ。露出しまくり。

 

「は、ハハハレンチ……は、ハィ……ハィ……ハイパー……」

 

「お前は一体なにを言っているんだ」

 

竜胆はおかしいくらい動揺しまくっている。

 

耀はセパレートタイプの水着で、黄色とオレンジのボーダータイプ。スレンダーな彼女にピッタリだ。

 

そしておねーちゃんこと鈴蘭は何故かスク水の上に普段の衣がスク水が見えるくらい薄くなっているもの。スク水になんの需要があると小一時間ほど聞きたい。

 

更にセック。おねーちゃんほどではないが、小さな身体の彼女は膝下10cmほどのスパッツタイプの下に、これまたピチッとしている上着。こっちは肘辺りまでだ。

 

最後にエイーダ。何故か膝上少しと肘の手前辺りの全身スパッツ。いや、それをスパッツと呼んでいいのだろうか。

 

「……お前ら、揃いも揃ってなんでそんな露出あったりマニアックだったりするの……?」

 

「……多分竜胆くんにだけは言われたくないわ」

 

そういう飛鳥達は竜胆に視線を向ける。

 

一応プライドとして下は膝上少しのハニーゴールドより少し濃いめのトランクスタイプ。ボーイッシュさを醸し出しているが、ボーイッシュじゃなくて男である。

 

問題は上。そう、上である。

 

元々そういう体質の竜胆はどうしてか一般女性以上にそれが大きい。個人的にもこれだけはどうにかしたいのだがどうにもならない。

 

過去に男性ホルモンを撃ち込んだら撃ち込んだ分だけ死滅したという逸話持ちである。もしかしたら彼の身体のせいかもしれないのだが。

 

なので上に関しては下と同じ色のビキニである。これは本人が着けてて泣きたくなってきた。

 

「……うん。竜胆は黒ウサギに勝るとも劣らないくらいにエロいな!」

 

「右腕……ドラゴン……!」

 

多分、竜胆が全力で十六夜殴った初めての瞬間であった。

 

◆◇◆

 

それから暫くワーキャーしてて、セックに襲われかけたりエイーダに助けられたりしてると、黒ウサギからギフトゲーム開始の合図を受けたので、飛鳥と竜胆はそれぞれヒッポカンプに乗る。

 

竜胆の隣には見知った顔……フェイス・レスがいた。

 

「久しぶりだな、フェイス」

 

「お久しぶりです、狐巫女」

 

狐巫女とはっきり言われたのはルイオス戦以来だったため、ちょっとショックを受けた。

 

「私は"ノーネーム"の皆様は四人で共に出ると思っていたのですが」

 

「最初はそのつもりだった」

 

竜胆が溜息混じりにそう言うと、フェイスは無表情のまま、言葉を紡ぐ。

 

「まあ、あなた方にとってはそちらの方が良いのでしょう」

 

「……!どういう……ことだ……!?」

 

「おや、ご存知、ないのですか。今回のギフトゲームは南側の"階層支配者"の決定にも関わっているのですよ。

まあ、あなた方が勝てば次の"階層支配者"はどうなるかわかりませんが……"二翼"が勝てば間違いなくグリフィス=グライフのものになるでしょうね」

 

「……オーケィ、だったら、勝てばいい」

 

「勝たせはしませんよ。仮にも私は"クイーン・ハロウィンの寵愛者"。ここで無惨に負ければクイーンに顔向けできません」

 

竜胆はニタリと、フェイスは無表情の中に静かに情熱を燃やす。

 

そして、開催前に白夜叉からの一言。

 

「えー、ではまず開催前に一言。黒ウサギは実にエロいな!」

 

ガシュ、という鋭利な音が白夜叉の頭から聞こえる。どうやら黒ウサギが白夜叉に石を投げつけたようだ。

 

「普通に進行してください!」

 

「コホン、では気を取り直して……"ノーネーム"の狐巫女も男のくせに実にエ」

 

ドベガシッ、今度はメダガブリューが飛んで来た。

 

 

「俺を巻き込むなエロ夜叉!弄るなら黒ウサギだけにしろ!」

 

「それも勘弁ならないんですが!?」

 

「うむ、流石にこれ以上は痛いので本題に。皆も知っているだろうが、この収穫祭は我々〝サウザンドアイズ〟からも多くの露店を出しておる!しかし残念ながらゲームの開催を準備する時間がなかったのだ。そこで考えたのだが………この"ヒッポカンプの騎手"を勝ち抜いた参加者には、"サウザンドアイズ"からも望みの品を贈呈すると宣言しておくぞ!」

 

竜胆はその報酬とやらが気になった。欲望剥き出しにその報酬が欲しいっぽい。

 

「それでは参加者達よ。指定された物を手にいれ、誰よりも速く駆け抜けよ!此処に、"ヒッポカンプの騎手"の開催を宣言する!」

 

そして、その瞬間───

 

フェイス・レスの蛇腹剣は参加者達の水着やら鎧やらを一瞬で切り裂いた。

 

「きゃ……きゃああああああああああああああああああ!!?」

 

途端、黄色い絶叫が響き渡る。

 

「へ、変態だーーーーーーー!!!」

 

竜胆は思わず口を菱形にしながら叫んだ。

 

「勝利のために手段を選んだのみです」

 

「選んでねえだろ!?明らかに選んでねえだろ!?」

 

竜胆は咄嗟に両手にガブリューを持って対応したが、それでもフェイス・レスの周辺、全体の10分の1は自らの醜態を隠すために河へと落ちていった。

 

「クッ、流石は我が仇敵が選んだ騎士ッ!血も涙もないその判断力と、肌には傷を付けず水着だけを斬り捨てる剣技ッ!宿敵の臣下なれど見事だと言わざるを得ないッつうかもっとやれヤッホウウウウウウウ!!!!そしてついでに狐巫女の小僧の水着も剥いでしまえ!むしろやれえええええええええ!!!」

 

「「「ヤッホオオオオオオオオオオオ!!!」」」

 

「変態ども纏めて燃やし尽くしてやらああああああああああああああ!!!!」

 

「「「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!」」」

 

竜胆が白夜叉と観客の歓喜の声を聞いたと同時に、その場にいた女性の声ほとんど全てを体現するかのように赤い龍を模した右腕から炎を出した。多分ストライクベントと聞こえたのは気のせいだ。

 

南側の未来を掛けたギフトゲームは、早速カオスなことになっていた。






トランクスとビキニの組み合わせは多分私の趣味。多分……多分。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。