問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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というわけで、今回からは特別章です!




虚構の箱庭
虚構の箱庭 水面のとばり


「……ああは言ったけど、全く見つからないな……」

 

「そりゃあそうだろ……おれがお前と会うだけに一週間かかったんだ。別のヤツが来るのにどれくらいかかるかもわからないぞ……」

 

誰もいない、箱庭のようで箱庭ではないこの世界を竜胆と秀里は仮に"虚構の箱庭"と名付けることにした。

 

それはともかく、現在地は"ノーネーム"の屋敷らしきもの。当然、人は竜胆と秀里の二人以外にはいない。

 

竜胆は主を失った機械のように動く水樹を眺める。

 

「十六夜ならもしかしてと思ったが……いい加減どういうことなんだ……?」

 

「なにがどうなってるかは当然俺もわからないな。ここには動植物がないし、食欲をはじめとするあらゆる欲求がなくなっていく……でもなぜか生きていけるという状況はまさに地獄だ」

 

「なにもする気のおきないそれは……間違いなく廃人の一縷を辿るな」

 

二人してはぁ、と露骨なため息。

 

どうやら道のりは遠そうだ。

 

◆◇◆

 

うぬ。読者の諸君、儂はエイーダ・ミュール。とあるコミュニティの一角を務めておる。

 

しかし困ったもの。今はそのような肩書きなぞなんの役にも立たぬ窮地に陥っておるのじゃ。

 

「誰も……おらぬ」

 

事に気づいたのはつい先ほどであろうか。今までなぜ気づかなかったと自分を恥じる一方だ。

 

「あるいは、その辺りの感覚が一時的に著しく低下していかのか……じゃの。どちらにせよ、現状打破には至らぬわけじゃが……」

 

そして困ったことがもう一つ。着替えがない。

 

ただでさえ着るのにこっぱずかしいあの衣装を常時着たままというのは誰もいないとはいえ勘弁ならぬ。かといって、周りの木々は全て死に絶え、そもそも儂は衣服を作るなどという技量はない。

 

素っ裸より何分もマシというのは確定的にわかりきっておるのじゃが……人間そうも言ってられない生き物らしく、さっきから衣服衣服……と欲望が掻き立てられておる。

 

なにゆえか、欲望を掻き立てられてもその気は起きず、その欲も次第になくなってきておるのじゃが。

 

「……そういえばここは東側の"トリトニスの滝"じゃの。ええい、こうなれば滝行でもして心を落ち着けるに限るのぅ……」

 

「……風邪ひくぞ、エイーダ」

 

「ふぉお!?」

 

な、何奴!?と、儂は思わず振り返る。

 

今の心情。

 

孤独なSilhouette  動き出せば

それはまぎれもなく ヤツさ

 

そう、ヤツ。孤独なシルエットを持つ儂が動き出せば、そこに現れるのはまぎれもなく、ヤツ。

 

儂をあの駄神の提案でチームに誘ってきて、最後のスタートダッシュ作りしか役目がなかった儂……そういう作戦でギフトゲームの名前をガン無視した、ヤツ。

 

高町竜胆がおったのじゃ。

 

◆◇◆

 

どうも、高町竜胆です。久し振りの地の文で少し緊張してます。

 

え?初期の冷酷無比のモノローグはどうしたって?

 

やめて。それ黒歴史。

 

おっと、話を戻そう。たった今俺と秀里は三人目を見つけた……いや、見つけたというよりは、やる気起きないならなにか目的をやる気失った都度持てばいいと言い訳じみた謎の自己暗示を秀里が提案したため、取り敢えず世界の果ての"トリトニスの滝"へ競争しようとなって、負けた。

 

ヤバイ速い。俺速さには自信あったのに……俺がスロウリィ!?冗談じゃねえ……これじゃあ文化的二枚目半だ……俺が亜光速だとしたらあいつは神速だよ。光より神。はっきりわかんだね。

 

んで、"トリトニスの滝"についたら滝行でもするかという聞き覚えのある声が独り言してたから、エイーダがいた。

 

ぬ……それよりコイツ、あの時のギフトの服じゃないか。そんな服で滝行なんてしたら風邪ひく……という放っておけない精神が彼女を助けよとゴーストと共にガイア的に輝きながら囁いたのだ。俺はガイアに囁かれようが輝くのは嫌です。

 

するとあら不思議。奇妙なはんの……いや、俺も似たような反応した実体験あるからとぼけません。これは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寂しい時に突然声をかけられた時の反応ですね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今だからこそ笑ってぶっちゃけられるけど、元の性格に戻るまでは年中無休で俺もこんな状態だった。勿論、タマモはいたけど、あいつは……ブラコンが度を越えたおねーちゃん、みたいな感じだったな。

 

だからこそ、あーやって真摯に……ただ一言、ずっと言ってほしかったことばっかり言って接してくれた耀に惚れたわけで……いややめよう。これ以上は俺の精神がもたない。恥ずかしさで死ぬ。

 

……あー。思い出したら尚更帰りたくなった。

 

「……お主さっきから泣いたり赤くなったり顔が大変じゃぞ」

 

「へぇあ!?」

 

ま、まさか……!?ポーカーフェイスに絶対の自信がある俺が……こうもあっさり感情を顔に……くそっ、この瞬間だけ中二狐時代が羨ましい……!あの頃だったら顔色一つ変えなかった!絶対!

 

……っと、そんなことよりも、ここでエイーダに会ったってことは……

 

『プレイヤー一覧

・高町竜胆

・霧乃秀里

・エイーダ・ミュール

・───────

 

勝利条件

ねえ、キミ達はなぜこんなところにいるの?それはね、キミ達は本来あの世界にはいない存在だからだよ。

え?じゃあ本来の世界って?そんなのないよ。だって世界はたくさんあるから。人の数だけ世界があって、世界の数だけ人がある。

それでも、キミ達があの世界の人間だって言うのなら、この世界に置いた世界の鎖を壊すこと。

大丈夫、キミ達ならきっと、イチに戻ってもさみしい自分に打ち勝てる。』

 

「……詩的だな」

 

「ああ。こいつみたいな詩的なものは作者の心理描写も表していることもある……どれをミスリードとみるか。どれを正解とみるか……」

 

「……ぬぅ?いまいち上手く状況が呑み込めぬが……儂らはギフトゲームのゲーム盤に取り込まれた、ということかの?」

 

「そうなる。しかも脱出するにはこの広大な箱庭で誰かもわからないあと一人の参加者を見つけないと、ギフトゲームの"契約書類"すらマトモに読めない……」

 

「これまた面妖な……」

 

「ともかく、あと一人を見つけよう。ギフトゲームの攻略は必然的にそれからになる」

 

「異論はないぜ」

 

「うむ。それしかあるまい」






うーん。やっぱり導入編はどうしても文字数少なくなるな……

次回からはセックちゃんも参加で本格的に始まりますよ!

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