問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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ここにきてまさかの番外編。いったいいつまで話の先延ばしをするのやら……




番外!編! おねーちゃんの箱庭日記 導入編

 

 

「ねえ、お姉」

 

「なーになになにリン?もしかしておねーちゃんに聞きたいことがあるのかな?よぉし、言ってみよ、ドンシンゴンと受け止めてしんぜよう!」

 

「いや、お姉に質問するくらいなら十六夜とか白夜叉……いや、十六夜とか黒ウサギとかに質問してる。そうじゃなくてさ。突然知りたくなったんだよ。お姉が箱庭に来てからの三年間……"ウィル・オ・ウィスプ"のこと。……ほら、家族、だし。そういうコミュニケーションもさ」

 

「むはー!可愛いぞぉー!ウチの弟は世界一可愛いぞぉー!舌目せよぐみんどもー!これが私の可愛い弟だぁっー!」

 

「やめろ阿呆お姉!それと刮目だって"アンダーウッド"でも言っただろ!」

 

「にゃははは。冗談冗談。マイケルだってばよ!よーし教えてしんぜよう!あれは今から三年間のことだった……」

 

◆◇◆

 

「……うにゃ?あれれ?私って確かに死んじゃってたよね?こー、リンの前でらしくもなく感傷的なこと言って……」

 

「貴女の魂は私が拾ったの。貴女はまだ生きるべき。後悔と心残りが今まで見た何処の誰よりも大きく深い……これは、家族愛?」

 

「あっるぇ?誰かねキミは。私は鈴蘭!高町鈴蘭さ!鈴蘭でもスズでもお好きに呼ぶがいい───あいたぁ!?」

 

にゃははは!と貧相な胸をビシッと張っていると、鈴蘭は突然目の前の少女に鈍器で殴られた。痛い。超絶スーパー痛い。

 

「なんのつもりだい!やられたらやりかえす、倍返しだっ!」

 

鈴蘭が少女から鈍器を奪い取って全力で殴るとゴギィーン、というやたらと酷い音が少女の頭から鳴った。

 

少女は痛そうに頭を抑えている。

 

「痛い……」

 

「にゃははは!これぞまさにケンカリョーセーバイだにゃぁ!」

 

多分違う。喧嘩両成敗はきっとこんな状況で使うような言葉じゃあない。

 

「……わかった。喧嘩両成敗」

 

そして少女もそれを信じる。のっけからダメだこいつらと思わざるを得ない。

 

「それで……なんだっけ?私が生きてるべき?どゆこと?」

 

「……言ったままの意味。貴女はまだ生きるべきってこと」

 

「うにゃ?そーは言われてもどの道死んじゃってる身でありますしなー」

 

「……貴女は死んでる。でも、冥府にはいない」

 

「……んー?つまり、なんだ?ゆーたいりだつー?」

 

「そんなところ。よかったら貴女、私のコミュニティに来ない?」

 

「コミュニティ?私になにかしろとな?や、残念だけど私雑務は苦手中の苦手、センセに何度怒られたことやら」

 

鈴蘭がわーい、バンザーイ、とアホらしく手を挙げる。そんな鈴蘭に少女は再び鈍器で殴る。

 

「うにゃぁ!?」

 

「私が貴女に求めているのは雑務じゃなくて、実力。貴女のギフトを私にみせて?」

 

その直後、少女ことウィラ・ザ・イグニファトゥスは鈴蘭に鈍器を奪い取られてぶん殴られてケンカリョーセーバイと言われたことも記しておく。

 

◆◇◆

 

「これが貴女のギフトカード。これに貴女のギフトが詰まっている」

 

「ほほー。こんな紙一枚にとな。ここの技術もあの人の技術に負けず劣らず……」

 

試しに鈴蘭は"冥界の獄炎"と書かれたギフトを使うことにした。鈴蘭の合図とともに、彼女の右手から漆黒の炎が現れる。

 

そして鈴蘭はこのギフトを使ったことを死ぬほど後悔した。

 

「……ほの、お、」

 

「……スズスズ?どうかしたの?」

 

「……ほのお、ほのお、ほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのおほのお…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ほの、お」

 

ただひたすら、なにかに怯えるようにほのおとだけ連呼し続ける。最後の言葉はややくぐもった声だったが、その怯え方が尋常ではなかった。

 

「……ぁ……ぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!

炎ッ!!!?炎!?ほ、……炎は、イヤ!!!!死にたくない!!炎、来ないで!!!殺さないで!!!!!!私とママ達……リンを殺さないでぇ!!」

 

「ス、スズスズ!?どうか、したの……!?」

 

突然、鈴蘭が先ほどまでのお気楽さが嘘のように泣き叫び、まるで別人のように狂い出した。炎は嫌だ、死にたくないと叫びながら漆黒の炎を所構わず発射している様は、まさしく魔王そのものである。

 

漆黒の炎に当たったものは無機物有機物問わずに燃え尽きていく。木や蝋は勿論、石畳やガラスにまで直接火を付け始めた。

 

「落ち着いてスズスズ!どうか、したの!?」

 

「炎……!私を消しちゃう、破滅の光……!?来ないで!来ないでぇ!」

 

結局、彼女はそれからギフトの使い過ぎで精神が尽きるまで叫び続け、その強すぎるギフト"冥界の獄炎"と、それを最強たらしめていると判断された"魔導の覇王"は、後者をウィラによる封印暗示で弱体化させ、前者をウィラの作った衣によって炎を太陽の日と誤認させるという措置によって対処。そして"魔導の覇王"彼女が"主催者権限"を使用できると判明され、彼女が魔王になることの恐ろしさを認識させられた。

 

改めて高町鈴蘭は強すぎる力を魔王に悪用、もしくはなにかの弾みで彼女が世に仇名す最悪の魔王にならぬよう、"魔導王"として生きることとなったのだ。

 

◆◇◆

 

「以上!導入編!」

 

「ふーん……いやごめん、お姉が発狂とか正直想像つかん」

 

「しっけーな!これでもわたしゃあ健全な女性だぞぅ!」

 

「あーはいはいわかったわかった。お姉はとても魅力的な女性です美しいです家族じゃなかったら結婚したかったですー」

 

「いやんリンったら。おねーちゃんが魅力的なのはわかるけどそこまでいわなくてもいいのに……わかってることだからね!」

 

「うわすっげぇコイツ轢き殺したくなった」

 

「にゃははは!またまたぁ、照れ隠しはよくないゾ☆いくらリンがおねーちゃん大好きでおねーちゃんがリンのこと大好きでも言ってくれなきゃわかんないんだから!」

 

「うっさい黙れアホお姉!いっぺんカメに脳みそ齧られて死ね!」

 

「ところがどっこいもう死んでます!」

 

「うるさいバカ!……でも、よかったよ。ちょっと変わってても、お姉はお姉だからな」

 

「にゃっ!?……そ、そんな風に言われるとおねーちゃんだって恥ずかしくなるっちゅーの!リンのバカ!好きな子いるクセにおねーちゃんときんしんそーかんだなんていけないんだぞぅ!」

 

「はぁ!?なにが悲しくてお姉なんかと近親相姦せにゃならんのだ!?俺にとってお姉はただの大事な家族!他の誰かよりも優先度がちょい上なだけだからな!」

 

 






ぐたーる、番外編でもぐたーる。

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