問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ?   作:エステバリス

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なんでや!なんで……なんで投稿が遅れたんや!あんさんがあの小説投稿のLAボーナス欲しさにボスの情報を伝えんかったから、ディアベルはんは死んでまったんや!そやろがぁ!

すんません。




チューリップ

 

 

「……ようやく、この面倒な世界から出てこれるんだな」

 

「そうだな……ここで勝てば、だけどな」

 

「秀里。縁起でもないことを言うでない。儂等は出るためにここにおるんじゃ」

 

「その通り。私達、まだ向こうでやり残したことが沢山あるんですから」

 

四人がそれぞれ言いたい放題。そもそも竜胆自身少しグダリかけてるこの戦いは多少ご都合になってでも即効で解決すべきと思っているのだ。

 

改めてそう決意した時、四人の持つ"五行の神刀"、"六道の能輪"、"八岐雅槍"、そして"九頭龍の舞斧"が突然光り出し、四人の身体が途端に浮きだす。

 

「……お?なんだこれ」

 

「多分俺たちを導いているんだろうな、神器が。元々四人いないとたどり着けないパターンか……あるいは」

 

「あるいは?」

 

「そもそも念ずれば叶う……そんなパターンか」

 

「……お前、それもしセックが帰ってこなかったら一生俺達あのままってことじゃねえか。後者はお前のよくわからん言葉のせいで」

 

「……結果オーライだ」

 

竜胆がフン、と若干意固地になる。

 

「でも、あれですよね。こういう特別ななにかが導くって、こう……ラスボス戦前のセーブ不可能エリア」

 

「不吉なこと言うな!」

 

「……というか、そもそも人生にセーブもリセットも無理じゃろ?ほれほれ、諦めい秀里」

 

「こんな時に人生引き合いに出されても困るんだが……まあいいや。エイーダの言う通りだし」

 

そんな風に四人が言いたい放題駄弁っていると、すぐに箱庭の中枢の最奥にたどり着いた。

 

「さて、ここが目的地か……」

 

「たどり着いたはいいが……なにもないな」

 

「お前は逆になにを期待してた?だ?」

 

「なにもないことに期待してた。なにもなさすぎて改めてビックリしたんだよ」

 

秀里が溜息をつきながら周りを見渡す。本当になにもない。あるとすれば、天井にあるステンドグラスくらいなものだ。

 

「どこにあるんだ……?世界の鎖ってのは……」

 

「それを探す必要性はないわ」

 

突如、そんな声が聞こえてくる。天井からだ。

 

ステンドグラスの方をむけば、そこから黒い影がかかり、その影はすぐに竜胆達に近づき、ステンドグラスを破壊する。

 

「……なぜなら"独りの剣士"に"飢える鮫"。"ロキのおもちゃ"に……"孤独の狐"。貴方達みんな私の人形になるからよ。特に竜胆、貴方は特別よ」

 

ステンドグラスを割って着地した衝撃で巻き上げた土煙りは徐々に晴れていき、その声の主の姿が露わになる。

 

「───っな!?耀!?」

 

その姿を見て竜胆は驚愕した。

 

それもそのはず、その少女の姿は春日部耀とほとんど一瞬だったのだ。

 

茶色い髪がペンキで塗りつぶしたかのように黒く、黄土の瞳は白銀に。スリーブレスジャケットは白から真っ黒になり、短パンに至ってはゴシックなドレスへと変わっている。

 

だが、姿形は竜胆がどう見ても、春日部耀その人のものである。

 

顔の造形も手の小ささも肩幅も、あと貧乳も、全て竜胆のキマイラ化によって身についている異常な記憶力の中にいる耀となんら変わりがないのだ。

 

「竜胆、貴方は一人特別な部屋に隔離して、私が毎日毎日部屋のインテリアも服装の趣向も変えて私とずっと永遠を過ごすの……ああ……竜胆……その陣羽織もクールで素敵だけど、貴方はもっと可愛いものが似合うわ……例えばゴスロリとか」

 

「お前やっぱ耀じゃねーだろ」

 

瞬間、竜胆は少女に肉薄して"九頭龍の舞斧"とメダガブリューの斧二刀流で少女に斬りかかる。

 

だがしかし───

 

「……あら?竜胆はもしかして今、私と戦おうとしたのかしら……?

ああ、いいわ。その敵いもしない敵に一心不乱に立ち向かうサマ……加虐心を燻られる……それが最愛の貴方なら、なおさらよ竜胆!」

 

「……こっち来んな」

 

竜胆が若干引き気味に耀そっくりの少女と距離を取る。二重の意味で。

 

ただまぁ、未ださっきの世界以外で片鱗を見せていないものの被虐体質とマゾっ気のある彼が言えたことではないのだが。

 

それにしても、まったく同じ顔をしているのに竜胆はよく殴れたものだと自分で不思議に思っていた。あれだろうか、今のはツッコミとして機能したのだろうか。

 

「……ってか、なんでよりにもよって耀のコンパチだ。秀里にしろエイーダにせよセックにせよ……なんで俺へのピンポなんだ?」

 

「それはヒミツ。でも……敢えて言うならば、愛かしらね。貴方の……竜胆への、ね」

 

少女はわざとらしく笑いながら竜胆に急速接近してくる。

 

「やらせるかよ!」

 

それを秀里が"五行の神刀"を構えながら防ぐ。

 

秀里が少女の足止めをしているその一瞬の間にエイーダは"八岐の雅槍"で少女に斬りかかる。

 

「"神器"を持っててその程度なの?"神器"は持ち主の力量を限界突破して振るえるというけど……限界超えてこの程度だなんてお話しにもならない……っ!」

 

秀里とエイーダを受け止めた少女はそのままただ一つ、気迫を込めるだけで二人を吹き飛ばした。

 

「二人共!だったらこれで!」

 

吹き飛ばされた二人を見て、元々接近戦が不向きなギフトだらけというのもあるが、近づくのは得策ではないと判断したセックは"六道の能輪"を少女に向かって投げつける。

 

「おもちゃごときが、邪魔をするな!」

 

「おもちゃなんかじゃない!私は私だ!」

 

少女が"六道の能輪"を受け止めたのを確認すると、握り拳を作った右腕に炎を纏い、そこから熱線を少女に撃ち飛ばす。

 

「効かない!こんなだからロキの呪いを今まで受け止められなかったのよ!」

 

「それはっ……今のことじゃない!」

 

竜胆の呪術によってセックの手元にまで転移してきた"六道の能輪"はセックが持ち手を対象方向に両手で引っ張り、非常に反った二本の剣となる。

 

「せやぁっ!」

 

「くっ!?」

 

さすがに円月輪が剣になるとは予想していなかったのか、対応が一歩遅れて鍔迫り合いに少々不利となっていた。

 

「せぇい!」

 

エイーダがジャベリンの容量で"八岐の雅槍"にありったけの水流のエネルギーを込めてぶん投げる。

 

「おらぉよ!」

 

更に秀里は部屋の高さの許す限りまで自らのギフト"加速"で登り、そこから慣性と重力による落下速度を更に"加速"し、唐竹割りに"五行の神刀"を振り下ろす。

 

「奥義……麒麟!」

 

その剣技によって重力と"加速"のギフトによる重力加速度と自身の体重、そして剣速の全てを総括した一撃が少女に叩き込まれる。

 

「ぐっ……!?姑息な手を……」

 

そう言い、少女は瞳を閉じて三人の武器を受け止めていた両手を離す。すると割れたステンドグラスをオリハルコンへと材質を変えて四人に飛ばしてきた。

 

「ぐぁ!?」

 

あまりの強烈さに思わず三人とも少女から離れてしまうが、すぐに少女に強襲する。

 

だが今度は───

 

「はぁっ!」

 

今度は腕を交差させると、三つの神器はその材質をラバーへと変換させられた。

 

「なっ!?」

 

「獅子ッ!奮迅ッ!」

 

驚愕するセックに少女は拳の材質をオイルに変える。少女の拳がセックに触れると、先程の"ローゲ・フィアンマ"による熱線で残った残滓にも同時に触れ、少女の拳が大爆発を起こす。

 

「ぁああ!?」

 

セックは吹き飛ばされるが、少女は爆発で右手が吹き飛んだはずが、一瞬で元の姿に戻る。

 

「んだっ、このアホみてえな回復力!?」

 

驚愕のあまり秀里が叫ぶと、少女は今度の狙いを秀里にし、左腕をバスター状のものに変えると、そこから暴風が巻き起こり、秀里を吹き飛ばす。

 

当然、腕はすぐに引きちぎりエイーダに投げた後に生え変わった。

 

「あとは貴女……!」

 

少女は背中にバーニアを出現させ、音速を突破する速度で肉薄したかと思うとそのままあやつる武器も水もないエイーダに右手の平を輝かせ、アイアンクローをかましたと思うとまた大爆発を引き起こした。

 

「がっ……!?」

 

「みんな!?」

 

「余所見してるヒマは、ないんじゃなくて?」

 

「っがぁ!」

 

竜胆がほぼ一瞬と言っても差し違えない時間で三人が一蹴されたことに驚愕していると、それこそ正に大きな隙と言わんばかりに少女は元の……元のという表現かすらわからないが、耀と全く同じ、どこか病的なものを感じさせる細い腕で竜胆の腹部にパンチ。竜胆はその場に跪き、痛みをこらえていると、突然少女に抱かれた。

 

こう、いわゆるお姫様抱っこで。

 

「……は?」

 

「……ふ、ふふふ……ようやく私のところに来てくれたわね竜胆……さぁ、早く行きましょう……私と貴方だけの部屋、ドールハウスに……」

 

「なにがドールハウスだそれより離せ!なんで俺はこうもことごとく女にお姫様抱っこされるんだ!?」

 

「それは……貴方がお姫様だからよ、竜胆。恋して助けられて、ある時は助けて……正にお姫様ね」

 

 

色々言ってやりたいしふざけんなとか言いたいが、腹パンの影響でマトモに動くこともできないため抵抗もできない。

 

「だいたいテメェ……なんでわざわざ耀の姿してるんだよ……」

 

竜胆が抵抗できないので、せめてもの時間稼ぎとしてなにかをし始める。

 

「……そんなもの、どうだっていいでしょう?言いたいことがそれだけなら、さっさと行きましょう」

 

少女は竜胆を抱えたままこの場所から立ち去ろうとする。

 

マズイ。このままじゃマズイ。

 

実質パーティメンバーは全員暫く動けない。その暫くの程度にもよるが、あんまりにも長すぎると初めて会った時の秀里ように無気力状態に陥るかもしれない。

 

どうすれば───と思っていた時、竜胆の頭に電流が走り、それを即時行動に移す。

 

あとは、あの三人次第だ。

 

◆◇◆

 

「っ……ぁ?俺達、なんでこんなところに……」

 

「うぬぅ……?なにやらとても大事なことをしていた気もするのじゃが……」

 

「思い出せません……というか、思い出す気すら湧かない……」

 

竜胆が少女に連れさらわれて暫く、ようやく三人は目覚めた───の、だが。

 

やはり竜胆が懸念した通り何も憶えていない。思い出す気力もないようだ。

 

「くそっ……スッキリしねぇ……それに、誰か一人忘れてるみてぇだ……」

 

「どうも釈然とせん……というか何故我々はこのような場でコロンと眠っておったのだ?」

 

「なにかが、なにかが足りない……そう、あのよく憶えてないけどモフモフした感覚……とっても可愛い子だった気が……」

 

どうやらその辺は普通に記憶にあるようだ。なんという執念。

 

「こう……なんていうか、行動を促したヤツ?そんな気が……って、なんだ?あの紙」

 

秀里が頭をひねっていると、突然一通の手紙を見つけた。

 

「ぬ……?セック、お主宛だそうだ」

 

「へ?私?」

 

セックが手紙を受け取ると、恐る恐ると封を切る。

 

そして開いた手紙にはポップ体の字で可愛らしく文字が書いてあった。

 

『この奥に悪い人に捕まっちゃった……助けて!お姉ちゃん……

竜胆より』

 

「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

 

電撃が走った。もう止められないほどに走った。

 

「ど、どうしたお前……突然意味不明に叫んで」

 

「竜胆くんだよぉ!竜胆くん忘れてたよ!あと私達元の世界に帰る途中で変なのに襲われたんだ!」

 

「「そうだった!忘れてた!」」

 

なんというご都合。可愛いは正義を地で行く竜胆の決死の作戦、正に彼は恥とか女扱いとか、そういう観念を全部かなぐり捨てて呪術で作った手紙をここに置いたのだ。

 

ここまで自分で否定するものを使いこなして、最早彼は女扱いするなと言われても元々低かった説得力がほぼ皆無となってしまった瞬間でもある。

 

「い、急ごう!竜胆くんが変なのに変なことされちゃうよ!」

 

「そ、そうだな!竜胆が変なのに変なことされる前に急ぐぞ!」

 

「いや……お主ら変なの変なのって……ここにいる時点で儂らは変な境遇じゃろうに……」

 

 






もうちょっとだけこの茶番に付き合ってください。これ終わったら乙三巻なんで。え?一巻と二巻?なにそれおいしいの?

↓気分で作ってみた次回予告

「アンタの名前知らない」

「私はリップ」

「からかうな!」

「洒落てないわ」

「流石もなにもねえよ」

「俺達は帰るんだ!」

次回 メルトアウト

「四肢をもぎ取って!首を引き千切って!」

「助けるよ、リップ」
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