問題児たちと孤独の狐が異世界から来るそうですよ? 作:エステバリス
……いやぁ、なんかすんません。こんな遅れてもうしわけありませんでしたおよそ300人のお気に入り様方ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!
いや、なんかヒロインよりヒーロー書きたくなって仮面ライダーに熱入ったせいなんです!僕悪くな……いや悪い!
お詫びと言ってはなんですが、というかお詫びと言えないのですが二話分投稿しときます!ホントサーセン!
「ああ、いいわ竜胆……綺麗、とても綺麗……世界のなによりも……」
「……お前、俺にケンカ売ってんのかあ゛あ゛?」
「褒め称える以外の答えなんてないわ。やっぱり貴方は最高よ!ああもういっそのこと言ってしまうわ!
好きよ竜胆。世界のなによりも、箱庭だろうと異世界だろうと……そこに貴方と私を隔てる壁があるのなら秒速300万光年で蹴り砕いて迎えに行きたいくらい……!」
「お断りだ!だいたいこんな変なことされてるヤツ相手に好きになれるかヴォケ!」
竜胆が少女に連れ込まれたのは、ドールハウスと名付けられていた部屋だ。この部屋に連れ込まれるなりいつの間にサイズ測ったと言わざるを得ないくらいに竜胆の体格にフィットした服……主にドレスやゴスロリを着せられている。
因みに今の衣装は肩出し&際どさ丸出しというヤバいドレス。胸部だけなんか透けててモザイクが必要になるかならないかの瀬戸際である。
(くっそ……身体が思うように動かねえ……"人形部屋"だからなのか?考え付くのはアイツのギフトかこの部屋そのものに用意されたギフト……)
後者ならばなんとかしてこの部屋から脱出すれば終わりだが、前者ならばそうもいかない。
それに、少女がやたらと人形という単語を頻発していたことやこの竜胆の人形のような扱いから考えると、自分はそのうち心からマジモノの人形になってしまう可能性もある。
もしそうだとすれば、そうなったらもう自分の精神が身体に帰ってくる可能性なんて皆無に等しいだろう。そうだとした場合はなぜ竜胆の精神をさっさと消さないか。それは恐らく、一重に彼女が彼の反応を楽しんでいるからであろう。
幾度となく否定はしているが、あれだけ言われれば自分が女顔なのは理解している。そんな自分の表情の変化だとしたら、そういう加虐趣味のある者はどちらかと言うと被虐体質気味な竜胆の反応と表情変化を楽しんでいたとしても納得できる。
「おまっ、こんなことして楽しいのかよ……?」
「楽しいわよ?これ以上なく、素晴らしいほどにね」
帰ってくる返答は予想通り。身体が動かない以上は無闇矢鱈とギフトを使って反抗しても意味はない。というか最悪機嫌を損ねて一発アウトだろう。
「ほらほら竜胆。もっと私と遊びましょう?」
「……ぐっ、」
「嫌なの?」
「……めっっそうも、ないです……どうぞお好きに、なんにでも扱ってくださいませ……」
「今、なんにでもと言ったわね?」
「あっ、」
今、明らかにヤバい失言をしてしまった。取り消そうとすれば下手するとゲームオーバー。取り消さなかったらなにをされるかもわからない。
詰んだ。これ詰んだ。竜胆はとてつもないうっかりに頭をぶん殴られたような感覚に陥った。
「……そうね。なら、これから私のことを呼び捨てで呼んで」
「……おろ?」
しかし、命じられた言葉は予想外にも簡単すぎるものだった。三人を倒せ、なんてものでもなかった。
「不満?」
「いや……そうでもないけどさ。俺、アンタの名前知らない」
少女は竜胆の一言に失念していたとでも言うような顔をした。そしてすぐに先程の薄ら笑いを浮かべる。
「私の名前はバゲット=ツポレフ・リップよ。呼び捨てで呼びなさいと言ったからリップと呼びなさい。こっちが下だから」
「分かったよリップ。これでいいか」
「充分よ。そのうちお姉様って呼ぶように調き……調教してあげるわ」
「やめんかR指定付くしそもそも変わってないからな。それとよりにもよってその顔でんなこと言うな」
ヤバいこと言ってきた少女……リップを一言で一蹴する。絶対服従だろうがなんだろうがこればっかりは言っておきたい。ふざけんなと。
ただまあ、やはり竜胆のツッコミは要点と自分の言いたいことをしっかり補完しているので素晴らしい。ツッコミの才能がある。いやむしろ阿保姉によって強制的に育て上げられただけなのだが。しかしR指定だのなんだの言ってたらウブな彼は顔を真っ赤にしてしまった。
「ふふ。真っ赤にして怒る竜胆も可愛いわ」
「からかうな!こちとら本気で言ってんだぞ!」
「私も本気よ?」
「ほっ、本気だったらなおさら悪いわ!」
狼狽。狼狽狼狽。クソ狼狽。普段こういう惜しみない好意を寄せてくれる人物は年少組と姉だけ……
「ん?なんで俺小さいヤツらに限って好かれるんだ?」
「子供だからじゃないの?竜胆が」
頭を傾げながら、見る限り素で答えたのだろう。かなり竜胆の精神が抉れた。
「断じて違う!違うったら違う!」
ブンブンと頭を振って否定材料なんてないのに否定する竜胆。それにしても、こう素で酷いこと言われたりすると嫌でも耀とリップが同じ顔なのを意識せざるを得ない。
耀が竜胆にとっての太陽ならば、この少女リップは竜胆にとって……全く違えど似ている、例えるなら黒耀石とでも言おうか。
上手いこと言った。
「洒落てないわ。その黒耀石っていうの」
「心を読むな」
早速冷静にツッコミを行えるようになっている彼の適応力は頭おかしいとしか言えない。適応力が高い人間は有能だが、竜胆は頭おかしいと思うくらい有能だ。ツッコミ的な意味で。
だが、そんな中、竜胆はリップへの対処と並行して必死に脱出策を案じていた。
(とりあえず動けないことにはどうしようもない……解呪系統のギフトは……タマモが残した"呪術"にはない。
だとしたら頼りになるのは"希望"の能力……全く、"罪"がまさしく"希望"になるってのはなんの皮肉なんだか……)
そう決断すると次に自分の知識の中から獣、果実、樹木……あらゆる生物の持つ能力を思い出していく。竜胆の"人類の希望"はただDNAを持った者と同等になるのではなく、"接触"した生き物限定ならばそのギフトを燃費と引き換えに1/100程度まで弱体化した状態で使える。……本人は燃費が悪いし弱体化が酷いしで使いたがらないが、最早そんなもの構っていられない。
(地球の本棚……ダメだ。これじゃ直接的な解決にならない。あの博愛主義者の250のギフトは……ナシだ。あのギフト一つ一つは俺もまだ全部見てないから把握できてない。そういう考えで行ったら陰陽師なんて持っての他だ。ないのか……いや、あるじゃないか。なにを忘れていたんだ。ずっと近くで見てきたギフトが……!)
「さて……竜胆、次はこのドレスを」
「お断りだ!」
竜胆は自分の存在そのものたるギフト"人類の希望"を発動させる。瞬間、今まで綿でも詰まっていたかのように動かなかった身体が嘘のように普通に動き出したのだ。
「"人類の希望(ア・ヒューマン・オブ・ホーブ)"……"正体不明"!!」
そう、それは自らのコミュニティの戦友、逆廻十六夜のギフト。ギフトを無効化し、超常的な力を与えること以外のなにもかもが文字通り"正体不明"。
そんな馬鹿げたギフトだからこそ、1/100の力でもギフトの無効化をやり遂げたのだ。
「っぐ!?」
突然の出来事にリップは対処出来ず、竜胆の蹴りをモロにくらう。その隙に竜胆は更に"太陽神の表情"を発動し、呪術で服をいつもの陣羽織にお色直しをした後、背中を浮遊する炎の輪と翼のエネルギーを右腕に集中。
それを一気に解き放ち、地面を殴る。
「この瞬間を待っていたんだ!!」
その一言と共に"ドールハウス"は一気に音を立てて崩れ、その空間は底のない異空間となる。
「くうっ……!?ドールハウスが……!?私のコレクションルームが……!」
「これ以上お前の意味わかんねえ遊びに付き合ってられるか!」
竜胆は自分の足場が崩れる寸前にエネルギーを翼と足に移動させ、部屋のドアを蹴り破って出る。
だが、それで終わりなわけがない。
「りんっっ……どおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
リップは竜胆の名を呼びながら先程の恍惚とした表情とは一変した、怒りに染まった表情を浮かべながら竜胆に飛びかかって来た。
「余所見運転は注意するけど、横の不注意は注意しないぜ?」
竜胆が不謹慎な笑みを浮かべた瞬間、リップは真横から来た物体に吹き飛ばされた。
「がっ!?」
「ギリギリセーフ……」
「流石のスピードだ秀里。ナイスタイミング」
そう、真横からリップを吹き飛ばしたのは秀里だった。
「流石もなにもねえよ。神速一歩手前まで開放したんだぞ?流石に身体が痛えっての」
秀里が疲れましたとアピールしていると、秀里が来た場所から宙を飛んで来る少女とその少女に捕まっている別の少女の姿が映った。
「ヒデくん!間に合ったんですか!?」
「なんとかな!」
「流石じゃ秀里。お主のその速度はやはり頼れるのぅ」
セックとエイーダも遅れてやって来る。竜胆は改めて三人の姿を見ると、ふっ、と笑う。
「さて……お前ら。多分これがラストバトルだ!"世界の鎖"は今は忘れよう!俺達は……帰るんだ!」
秀里が"五行の神刀"を。セックが"六道の能輪"を。エイーダが"八岐の雅槍"を。竜胆が"九頭龍の舞斧"を構え、リップと相対する。
「……そう。貴方達は結局、私をここに置いていくのね……いいわ。だったら貴方達みんなの身体を壊して、壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して!!!!四肢をもぎ取って!首を引き千切って!身体を本物の人形に変えて!!ずっとずっとずっと、ずーーーーーーーーーっっっと、私の世界に、私のドールハウスで一緒に暮らして貰うわ!あは、あはは、あははははははははははははははははははははははハハハハハハハハハハハハハハハハHAハハハハはハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハははハハハハハハハハハハハハハはははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハはハハハハハハハハハハハハハ」
リップは、狂ったように笑い出す。もしかしたら、彼女自身もまた、この世界の無気力化の影響を受けて精神が破綻してしまったのがしれない。
竜胆は、顔が耀だからとかそういうのは関係なく、彼女を見ていられなかった。
ほんのわずか。一瞬と呼んでもいい時だったが、彼女と触れ合い、彼女を耀のニセモノではなく、リップとして見るようになるには十分すぎたのだ。
「……助けるよ、リップ。お前が何者だろうとそんなお前は見たくないよ」
だからこそ、このハッピーエンドシンドロームは動く。目の前の少女を救うために。偽善と嘲笑われようと……
後編に続く。