[二次創作] ジョジョの奇妙な冒険 〜フォールボックス〜   作:ウニ野郎

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I 出会い

 8月18日 PM 11:10

 

 

 

 日本、杏町(からももちょう)

 

 杏町の博物館で、それは起こった。

 

 

 

「ふむ…異常無し、と…。」

 

 この町はさほど大きくないので、特別有名な展示物があるわけでもない。見回りは基本雑だった。

 

「にしても、この博物館のこの『箱』、相変わらず何なんだろうなぁ…。」

 

 博物館の一番奥にある展示物、『破滅の箱』。記載情報によれば、箱を開けると世界は破滅の道を歩むとされ、人が少ないという理由でこの町によこされたんだとか。

 

「いや、ただ単に邪魔だからよこされただけだろ…」

 

 そんな独り言を警備員がブツブツと言いながら戻ろうとすると、

 

「…て」

 

「…ん?」

 

 警備員の背後から小さな声がした。振り向いても、そこには展示品の箱が一つあるだけだ。

 

「気のせいっぽいな。」

 

「…けて…。」

 

 今度は少しだけ大きく聞こえた。だが、なにを言っているのかはやはりわからない。

 

「…を…けて…。」

 

「…こを…けて…。」

 

 だんだんと声ははっきりしていく。怖くてその場を離れたかったが、何故か声のことが気になって動けない。声はさらにはっきりしていく。

 

「…の箱…けて…。」

 

 箱?今、箱といったのか?

 

「この箱…て…。」

 

 この箱とは、『破滅の箱』のことを指しているのだろう。声はついに、大きくハッキリと聞こえた。

 

「この箱…開けて…。」

 

 子供のような声で、その箱を開けてと聞こえる。だが、声の方向にあるのは破滅の箱のみだった。

 

「箱って…これのことか?」

 

 これは開けてはならない。危険だ。

 警備員の心の中で警告が何度も繰り返される。警報が何度も鳴り響いている。だが何故か警備員の男性は、この箱を手を伸ばしてしまっていた。

 

【ギギッ…】

 

 男性は箱の蓋を右にずらす。その瞬間、不思議と心の中から強い嫌悪感が溢れ出した。

 

「…!」

 

 その雰囲気が嫌になり、箱に蓋に戻そうとすると

 

「何で、閉めようと、するの?」

 

「っ!?」

 

 箱のわずかな隙間から、干からびたミイラのような腕が伸びて、男性の腕を掴んでいた。

 

「閉めないで、やっと、開いた、出られる…」

 

「うあああああああああああああああああっ!!」

 

 ありったけの大声で叫ぶが、今博物館にいるのは警備員のこの男性のみ。助けがくるはずはなかった。

 

「閉めちゃ、めっ、だよ…?」

 

 ミイラのように細いはずなのに、強い力で引っ張られてまったく引き剥がせない。

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

 喉から血の味がする。どんなに暴れても離れないその腕に警棒を取り出し叩きつけるが、手応えはなかった。

「おに、いさん、出してく、れて、ありが、と…」

 その瞬間、男性の腕が派手な音を立ててへし曲がった。

 

「_________________っ!!」

 

 声にならない叫び声をあげた男性は、それから何も分からなくなってしまった。

 

 

 

 8月19日 AM 10:30

 

 

「…被害者は服部浩介(はっとりこうすけ)。この博物館の警備員だ。」

 一人の刑事が警備員の名を口にする。

 

「片腕の骨が折れている以外は外傷はないんだが、なんでか数ヶ月ここに放置されてたんじゃないかと思えるほど綺麗に白骨化している…。」

 骨になっているので、骨折した部分がよく見える状態だった。服や持ち物がそのままだったから誰かわかったが、それすら無かったら本当に誰なのか区別がつかない。

「昨日まで普通に警備をしていた彼が、たった一晩で白骨死体になるのはいくらなんでも無理がありますよね?」

 

 刑事の一人で一番整っている顔立ちをしている彼は、氷室甚二(ひむろじんじ)。刑事歴は二年の若い青年である。

「氷室。これは絶対人間にできるようなことじゃねえよな…。」

「ええ、とても人間には…できるとしたら、人外、だけでしょうね。」

「まあこの町にそんなことできる超能力者的なのがいるとは思えんがな。」

自分で言っておきながら速攻で否定する先輩。先輩自身正しい答えなど分からない。仕方ないことではあるだろう。

「それはそうとよぉ、お前、最近彼女さんとは連絡取り合ってんのかい?」

突然恋人の話を振られた氷室は一瞬固まったが、

「連絡は取り合ってますよ…仕事が忙しくて会えることも少ないんですけどね。」

「ったくよ…確か彼女さん17歳だっけ?警察のくせに犯罪なんてしやがってよぉ」

「3歳差しかなんでしょうが…。」

氷室はこんな会話をしながらも、緊張が解けていなかった。

殺人現場だからというのもあるが、そうではない。この博物館の「空気」。その空気に氷室は緊張が解けずにいた。

淀んだ空気。まるでそこに良くない何かがいるのか、もしくは先程までソレがいたのか…よく分からないが、ここに長居はしたくなかった。

「とりあえず署に帰って、調査状況をまとめよう。行くぞ氷室。」

「は、はい。」

 

「にしても、何故人を殺した後にわざわざあの展示物を奪ったんだろうな、犯人は。」

そう言われて考えてみると、そこにあるはずの展示物『破滅を呼ぶ箱』と呼ばれているものがなくなっていた。中にお宝でも入っていれば盗んでも仕方ないだろうが、そんな話は全く聞いたことがない。大体、そんな不吉な名前の箱を誰が好き好んで盗むのだろうか。

違和感を感じながら、氷室は部屋を出た。

 

 

同時刻。

杏町のとある一軒家。

丈惟(じょうい)、あんた今日も学校休むの?」

一人の女性が、自身の息子に話しかける。

「…今日はなんか、行く気しねぇんだよ…。」

丈惟とよばれた青年は、高校二年の17歳。双子の妹と違い、学校はめんどくさいという理由でよく休んだ。

「あらそう…じゃあちょっとお使いお願いできない?牛乳切らしてたのよー。」

学校に行きたくないというのは外に出たくないのと直訳しているような気がするのだが、まあ丈惟の母に刃向かうとさらにめんどくさいことになるのは目に見えている。

「…はあ、わかったよわかったよ。ったく…。」

 

学校に行くわけでもないのに制服を身にまとい、近場のコンビニに向かう。もはや制服は外に出かける服装とも言える。コンビニの前にたどり着くと、何やら人が沢山いて、皆コンビニの方を見つめている。

「なんだ、この人の集まりようは…?」

コンビニの方を見ると、一人の中年がつったっていた。それだけではなく、その男の近くにはガラスの破片が飛び散っており、男はなぜかニヤニヤとしている。

「ひひっ…なんだこの力…おもしレェ…!」

「おい!そこの男性!大人しくしろ!」

一人の警官が男に呼びかける。男はゆっくりと振り向くと、不快な笑みを浮かべて警官にこういった。

「おい警官、コレを避けられるか(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)?」

「何?」

そう警官が聞き返した瞬間である。突如警官の右頬が拳型にへこみ、パトカーの窓を破る勢いで吹っ飛ばした。

「…っ!?」

周りの人々は驚きながら「なんだ!?」「何が起きたの!?」「怪物だ!」「化け物か!?」など話していた。

丈惟も驚いていたが、周りとは驚いている理由が違っていた(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

何が起きたかわからず混乱する周りの人々。だが、丈惟には見えていた(・ ・ ・ ・ ・ ・)。警官の吹っ飛んだ原因が見えていた。

「なんだアレは…!?」

男性のそばに、謎の人間のようなものが浮いていた。

右手が異様に大きく、全身はツルツルとして毛が一つも生えていない。太陽の光を反射して輝いている。その右手で殴られたからこそ警官はありえないほど吹っ飛んだのであろう。

喋るわけでもジェスチャーで何かを伝えるなどもせず、ただそこに浮いて佇んでる。

「俺には、霊感でもあったってのか…?」

丈惟自身、そんなものが見えたのは初めてのことであり、目の前のソレがなんなのか検討もつかなかった。

「すでにこんなことになってるとはね…。」

丈惟は背後から声を感じ、とっさに振り向いた。

そこにいたのは、白衣を着たメガネの青年だった。何かの研究員だろうか、それにしては若々しい。彼の発言を聞くかぎり、彼にもアレが見えているようだ。

「あんた、アレがなんなのか分かるのか?」

丈惟の声を聞き、白衣の青年が丈惟の方を向いた。

「…ということは、君にもアレが?」

「あ、あぁ…なんなんだあれは?」

青年は少し考えるような仕草をした後、

「ちょっと行ってくる。話はアレを止めてからでいいよね?」

「は!?おい…」

そう言うと、青年はまっすぐ犯人のもとへ向かった。

「やあ、おじさん。ちょっと、お話し宜しいでしょうか?」

 

「ああ?なんだてめぇ!ぶちのめすぞゴラァ!」

犯人がそう叫ぶと同時に、その人間のようなものは白衣の青年に殴りかかった。

「どうぞ、できるならね(・ ・ ・ ・ ・ ・)。」

そう言った瞬間、白衣の青年の背後からも何かが現れた(・ ・ ・ ・ ・ ・)

「「っ!?」」

犯人のその人間のようなモノの拳を、不思議な生物が片手で受け止めていた。

その青年のソレは、全体的に長方形に見えた。瑠璃色(るりいろ)の身体にはところどころに黒い斑点があり、額のあたりから体同様瑠璃色の触角が生えており、どう見ても虫だった。口も完璧に虫の口器の形状をしていた。お世辞にもカッコいいやカワイイとはいえない。拳を受け止めた拳は、虫の足を3本まとめたような形で、指は3本で、指先が二つに分かれていた。

「これは『幽波紋(スタンド)』と言われる、精神的エネルギーが具現化した、超能力とも言える存在だ。僕のスタンドの名前は『ペンディング』。日本語に直すと「保留」だね。何を保留にするのかは…。」

 

「ふざけんな!離しやがれぇぇぇぇぇ!!」

その犯人のスタンドというものが、右手と違って平凡な左手で殴りかかる。だが、その青年のソレが片手の平で触れただけで、その勢いはアッサリと死んだ。

「な、何故!?思い切り殴っているのに…!」

 

「貴方のスタンドは近距離パワー型ですね。なら僕にとってはとても都合が良い(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)。」

すると、その青年のスタンドなるものが犯人のスタンドを避け、犯人本体に両手を触れたせた。その瞬間、青年が発した言葉で、状況が一変した。

「『保留(ペンディング)』解除。」

 

その瞬間、思い切り殴られたような(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)派手な音を立てて、犯人が店側へ吹っ飛んでいった。

「なっ!?」

丈惟はただその状況に圧倒され、何も言えずにいた。

 

「僕のペンディングは、衝撃を「保留」する能力!「保留」された衝撃は何処かに貼り付けたり解除することでその衝撃をそのまま返す!」

 

白衣を翻し、振り向いて青年はいった。

 

これは、普通だった高校生「停城 (ていじょう)丈惟(じょうい)」が、スタンド使いと呼ばれる超能力者達と出会い、闘い、成長する物語である……。

________________________

 

スタンド「保留(ペンディング)

本体・???

破壊力D

スピードC

射程距離C

持続力A

精密機動性C

成長性B

 

________________________

 




あとがき

どうも、『[二次創作]ジョジョの奇妙な冒険〜ファールボックス〜』第1話、いかがでしょうか。
個人的には考えに考えて書こうとしている作品なので、かなり長くなる可能性があります。()
ハッキリ言うと更新は遅いです。勉強しなきゃですし…(ブツブツ
できるだけ更新を早めに、かつ面白くやっていきたいので、どうか宜しくお願いします!
誤字脱字はご指摘していただけると幸いです。私、とてもおバカなもので…(泣)
では、第2話のあとがきにてお会いしましょう。
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