[二次創作] ジョジョの奇妙な冒険 〜フォールボックス〜   作:ウニ野郎

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ついにジョジョの奇妙な冒険〜フォールボックス〜が10話を達成いたしました。これも読んでくださっている皆様、感想を書いてくださる方のおかげです。本当にありがとうございました。

では第10話、お楽しみください



X 裏通り その②

「ウラウラウラァッ!」

丈惟は自身のスタンド〈M2(ミントメイト)ボックス〉で敵スタンドを攻撃する。だが、再び煙のように丈惟の目の前から姿を消した。

「またかよ…!攻撃もしてこないってのに逃げてばっかとは、「フェア」じゃねえんじゃねえかあ!?おい!」

丈惟の言葉は聞こえていないだろうが、叫ばずにはいられなかった。先程から敵スタンドは丈惟の攻撃を受けて煙のように散り、少し進むと再び現れ去っていく。これを繰り返していた。

「…にしてもさっきのワニやスズメに関しては何にも分かってねえんだよなあ。俺が恐怖で幻覚でも見たってのか…?」

丈惟の目の前には何度かスタンド以外にも色々な生物が姿を現していた。片目が抉り出された蛇、首から上がない犬と思われる物。ついさっき目の前を飛んでいた翼の生えた猫は、今足下を歩いている。最初に飛んでいたスズメ、もしくはそれに似たスズメを楽しそうに食っていた。

「本当なら死んでるような怪我の生き物もうろついてやがるし…なんだってんだ?俺は狂ったのか…?」

丈惟は冷静さを保つため道を進んでいく。先ほど同様同じ道を何度も行き来するうちに、心は落ち着いていた。

「ん…?あれはなんだ?」

すると、道の中央に一人の男性が立っていた。まっすぐ何もない方向を向いたまま動こうともしない。

「あれは…一般人か?巻き込まれたのか?」

丈惟がゆっくりと歩み寄ると、男性はゆっくりと丈惟のほうを振り向く。

「っ!アンタ、巻き込まれたのか?それとも…」

丈惟は〈M2ボックス〉を男性の目の前に出現させる。敵スタンド使いかと疑ったが、〈M2ボックス〉を目の前にしても顔色ひとつ変えないということは違うのだろうか。

「…おい、何とか言ったらどうなんだ?」

「…。」

すると、男性はゆっくりと顔を下に向ける。何事かと思った丈惟も男性の視線の先を見てみるが、何も変わった様子はない、ただの道路だ。

「何を見てんだアンタ…?」

すると、男性の体から煙のようなものが吹き出す。丈惟は一瞬顔を庇った。

「ッ!?」

すると、丈惟の右の二の腕から血が噴き出した。見てみると〈M2ボックス〉の同じ場所にあの敵スタンドが噛み付いていた。牙を突き立てて離さず、歯を何度も擦り合わせて肉をこそぎ取っていた。

「ぐあああぁぁぁ…ッ!!ウ…ウラァ!」

〈M2ボックス〉で顔を攻撃するが、敵スタンドは再び煙のように姿を消した。

「あの幽霊モドキ…次現れたら容赦しねえぞ、ちくしょー…。本体と未だに見つかってねえし…。」

丈惟は辺りを見渡した。自分の他に人がいれば草むらに隠れていてもすぐ見つかりそうだというのに、本体は一向に見つけることができない。先ほどの男性が本体だとしても、また煙のように姿を消されてはラチがあかない。

「必ず倒してやるよ…!」

 

あれから何時間経ったのだろう。丈惟はおもむろに腕時計を見る。自分的には5時間近く経った気がしていたが、実際は1時間くらいしか経っていなかった。

「マズイな…もう20分近く血を垂れ流してることになるじゃねえかよ…。どうにかして血を…。」

そこまで話して丈惟は喋るのをやめた。なぜなら、先ほどと同じ場所に先ほどの男性が立っていたからだ。20分前と同じように同じ場所に立ったままあさっての方向を見たまま動かずにいた。

「あれは…さっきの…。」

丈惟は改めて男性をよく観察した。見た目は20代くらいなのだが、まるで老人のように弱々しい顔をしていた。まさに 今夜が峠 と言った所だ。服装は動きやすそうな紺色のジャージを着ていた。

「…なんであんなに弱々しいんだ?アレはスタンドの幻覚…だとしても、何故わざわざあんな見た目にしているんだ?」

その疑問とともに丈惟は不思議な違和感を感じていた。それがなんなのかは本人も分からなかったが、男性を見ているとどうしても何かを感じていた。彼を何処かで、最近見たような……。

「…。」

男性はゆっくりと顔を上げ、あの時のように丈惟を見つめた。攻撃が来るのかと思ったが、男性はスタンドを出すわけでもなくその場に立ったままだった。

「あれが本体だとしたら苦労しねえんだがなぁ…。そう簡単に姿を現わすとは俺も思ってねえし…。」

すると、丈惟の背後から煙のようなものが漂ってきた。まさかと思い丈惟は後ろを振り向いた。

「また現れやがったか…ッ!」

それは敵スタンドだった。頭からはボロ布を被り、狂気を感じる目で丈惟を見つめていた。

「コイツと同時に現れるってことは、コイツがやはり本体…!?」

『オォオォオォぉぉぉぉぉっ!!』

敵スタンドが飛びかかってくるが、すかさず丈惟は攻撃をした。だが、また敵スタンドは煙となり姿を消してしまった。

「チクショォ…!あのスタンドは今まで行方不明者を出してきたヤツだと考えると、やはり強いんだろうなぁチクショー…!!…ん?…行方不明者?」

そこで、丈惟の記憶のパズルが、抜けていたピースが完璧にはまり込むように完成した。

 

〔行方不明者が見つかったんだってー。〕

行方不明者…裏道のスタンド…。

「まさか…。」

すると、丈惟の頭上から敵スタンドが現れ降りてきた。

『GyAAAAAaaaaッ!!』

だが〈M2ボックス〉で即座に回避した丈惟は、男性に向かって拳を伸ばした。だが、男性は先ほど同様煙となり消えていった。すかさず敵スタンドが飛びかかってくる。

「これでいい。これで全て解決した( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )。」

 

『ウラウラウラウラウラァッ!』

丈惟は〈M2ボックス〉で地面をキューブに変えていく。すると、黒いアスファルトの下から土の地面が現れた。

『っ!!』

「これがお前の正体( ・ ・ )だ。」

地面から出てきたのは、人間の白骨死体( ・ ・ ・ ・ )だった。白骨には先ほどの男性が着ていた( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )紺色のジャージが着せてあった。

『AAAaaa……!』

「これがお前の本体。あの男、どっかで見たと思ったら行方不明者リストに載ってた奴だったんだよ。確か…20年前に行方不明になった人。ちょうどこの裏道の噂ができる前だったか。」

『GAaa…。』

丈惟は白骨死体を置くと、無言で手を合わせた。そしてすぐに、この死体のスタンドに目を向けた。

「お前はおそらく、自身の死体がここにあると言うことを伝えたい一心で動き続けていたスタンドだったんだろう?だからこの裏道にばかり現れていた。」

『……。』

「本来なら俺はこの死体を警察に引き渡して終わりにしたいところなんだが、そうはいかねえんだ。」

『GA…!』

丈惟は上空に向かって白骨死体を投げ、〈M2ボックス〉の拳を叩き込んだ。

「お前は関係のない真一や陽介、その他の人たちの命を奪ったッ!それを見逃すのは『フェア( ・ ・ )』じゃねえんだよぉッ!!」

『Aaa…ッ!!』

 

『ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラァァァッ!!!』

白骨死体は細かくキューブにバラけると、さらに細かくなってゆき最後には砂のように空中に消えていった。

『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAA……ッ!!』

スタンドは死体同様、バラバラになって散った。すると、丈惟の周りの背景が一瞬歪み、先ほど同様のなんの変哲もない道路となった。見た目に変化は一つもなかったが、先ほどのような邪気に近いものは一切無くなっていた。

「安らかに眠れ…。」

 

「あ、おぉ〜いジョジョ〜!」

学校で新聞を読んでいた先ほどの友達が、丈惟に手を振った。丈惟はそれを見て小さく微笑む。

「なあ良樹(よしき)。これからラーメンでも食いに行かねえか?奢ってやるからよ。」

「え?良いけど…なんで?なんかしたっけ俺?」

「詳しくは言わねえけど、お前のお陰で助かったんだよ。それでお礼をしねえのは俺の『フェア』の精神に反するからよぉ。」

「…分かったー!(よく理解してない)」

そのまま丈惟と良樹はラーメン屋へ向かうことにしたのだった。

『…ありがとう』

背後から声が聞こえ、丈惟は後ろを振り向いた。だが、先ほどと同じように裏道には誰もいなかった。

「どうした?」

「いや…なんでも。」

 

『気づいてくれて、ありがとう。助けてくれて、ありがとう…。』

再び声が聞こえたが、丈惟は振り向かずに歩いて行った。ただ、小さく手を振った。

 

 

 

「〈裏道(ブラックストリート)〉、もとい[憤怒]が敗北したようです。」

晴夫のそばで、高校の制服を着た少女が伝えた。

「やはり憤怒は敗北したか…我々が勝手に名付けて利用させてもらっていただけだから、別に何も痛くはないがな。ハハ…ッ。」

晴夫は珈琲を一杯胃に流し込むと、周りを見渡した。店の中には何人もスタンド使いがおり、それぞれが好き勝手にしゃべっていた。

「…とりあえず引き続き様子を見たほうがいいな。あまりこちらから動きすぎると[箱]について無駄な情報が漏れかねん。」

「では、引き続き『嫉妬』に見張りを続けさせましょう。そうすれば怪しまれることはないでしょうし。」

「そうだな。では頼んだぞ、『嫉妬』。」

先程までジュースを飲んでいた少女が、大きなため息をつく。

「私…?アンタらはここでのんびり時間が過ぎるのを待ってるつもりだっての?ホントに腹立たしい…。」

すると晴夫はクスクスと笑った。

「別にそういうわけじゃない。君のスタンド能力、君自身の洞察力などをひっくるめて君に任せると決めたんだ。君になら任せられる、とね。」

「どーだか。」

少女はしばらく黙ってから、再びため息をついた。

「分かったわよ…。私がやればいいんでしょやれば。ったく嫌んなるわ…。」

少女はぶつくさと文句を言いながら隠れ家の店を出て行った。

「あの小娘、あれでいいんすかい?あれじゃいつ「協力するのダルい」とか言い出して裏切るか分かったもんじゃないっすよ。」

仲間の中にいた男性がそう言うと、晴夫は新しい珈琲をカップに注ぎながら言った。

「そちらに関しても様子をみるつもりだ。彼女は弱みを握って協力させているわけではないからな、いつ裏切るかは本人次第だ。だがもし裏切るなら容赦はしない。そういう契約だ。それに、ダルいなんて理由で辞めるのは『怠惰』くらいではないか?」

「ま、それもそっすかね…。」

すると男性は、水槽に入っていたパクー(ピラニアの近縁種)を手で持ちあげた。パクーは抵抗の意思すら見せなかった。

「じゃ、もし奴が裏切ったり敵と接触した場合は、俺がヤってもいいんですね?( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )

晴夫は不敵な笑いを浮かべた。

「ああ、もちろん( ・ ・ ・ ・ )。」

すると、男性が持っていたパクーが水のようになり、男性の手のひらに吸い込まれていった。

「ギハ、ギハハハハハ…。」

男性は鋭い八重歯を見せながら笑った。

 

『ガタッ』

「ん?」

その場にいたスタンド使い全員が一斉に音の位置に目を向けた。視線の先にはあの[箱]が鎮座していた。

「今、動いたか…?」

すると晴夫は珈琲をすすり、再び不敵な笑いを浮かべた。そして[箱]を優しく撫でる。再び、[箱]が揺れる。

「[箱]の目覚めと、世界の崩壊( ・ ・ ・ ・ ・ )の時は近い…ッ!!」

晴夫は高笑いをし、仲間達の一部は不敵な笑い声を放っていた。

 

ここから物語は大きく動き出すことを、丈惟達と作者は知るよしもなかった……。

 

______________________

 

スタンド「ブラックストリート」

本体・白骨死体(のちに行方不明者の「孝道(たかみち)黒刃(くらば)」だと判明)

破壊力D

スピードE

射程距離C

持続力A

精密機動性E

成長性C

 

 

……To be continued




前書きでも書きましたが改めて。
ここまで頑張ってこれたのは読んでくださる皆様の支えがあってことでした。皆様が居なかったら私はとっくにこの作品を諦めていたでしょう。もう感謝しても感謝しきれません。
さて今回の第10話「裏通り」如何でしたでしょうか。ここからストーリーは加速していく…と思われます。(作者は気まぐれです。ご了承ください)七つの大罪達についてもここから分かっていかせるつもりです。とにかく、この作品は完結させるまで絶対にやめる気はありませんので、どうか最終回までお付き合いください。
では次回、11話にてお会いしましょう。

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