[二次創作] ジョジョの奇妙な冒険 〜フォールボックス〜   作:ウニ野郎

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今回はバトル展開のない、平和(?)な回となっております。
バトル展開をお望みの方は次回の更新をお待ち下さい!
(無責任)


XIV 《日常編》占い師に会いに行こう!

「はぁ…。」

博士は書類をまとめながら、今までの戦いについて考え事をしていた。[箱]を守る連中のスタンドはとてつもなく強力な者達ばかり。これでは、いつこちらの戦力が尽きるか分からない状況だった。今は優勢に戦えてるが、いつかこちらにも再起不能になる者が現れるだろう。その時、その者の穴は誰が埋める?そんな問題について今から悩んでも意味がないことは分かっていても、博士は考えずにはいられなかった。

「とりあえず、町を歩くとするか…。」

 

 

博士は、書類の疲れを癒す一環としてよく町を散策していた。この町は全体的に活気があるわけでもないが、むしろそのおかげで博士は町を違和感なくウロウロできている。

「今日は朝から書類を終わらせてしまったから、なんだか暇だなぁ。何か興味深いものはないものか…。」

博士は毎日のようにこうして自身の興味を引く物を探しているため、ハタからみたらただの怪しい青年だった。

 

「おや…?」

コンビニの雑誌を何となく、意味もなく読んでいると、この町について記載されている部分を見つけ、博士は興味を示す。

「貴方の運勢占います…占い屋「イリス」?」

博士はその店のキャッチコピーを見て苦笑する。

「貴方の「近い未来」を確実に見ます…。嘘だと思う方は当店へ、ねぇ…。」

博士はその雑誌を閉じ、コンビニを出る。白衣のポケットからカロリーメイトを取り出し食べる。

「未来ほど未確定かつ不規則なモノはない。どんなに未来を見られても、それが確実な未来なはずはない。無責任なキャッチコピーだなまったく……。」

博士は、雑誌に載っていた住所を思い出す。

「調べてみるか、科学者として、オカルト物は科学的に証明しないと気が済まないしね…。」

すると、車が横を走った瞬間、飛んだ泥がズボンにかかった。

「…見るまでもなくついてないのかもね、僕は。」

 

黒い布で入り口を覆う、いかにも怪しい雰囲気を漂わせる店があった。看板には大きく「ιρις(イリス)」…ギリシャ語で「虹」を意味する言葉がデカデカと書かれていた。

「ここが未来を占うという…まあ、店構えは怪しいな。占い師の趣味かな?」

博士は黒い布をめくり、店の中へと入る。中はそこまで広くはなく、一人占い師らしき人が座っているだけだった。

「いらっしゃい。」

座っていた占い師が顔を上げる。それはとても若い女性で、こんな怪しい商売している人には見えなかった。人は見かけによらないとはこういうことなのだろうか。

「なにをジロジロ見てるのよ。さ、早く座って頂戴。占う為にここに来たんでしょう?貴方。」

「ん…あぁ。そうだな。」

女性の前の椅子に博士が座る。すると女性は虫眼鏡を取り出した。

「まずは手相を見るわ、見せて。」

「…。」

博士は言われるがまま手を差し出す。女性はその手を掴み、落とした大切な物を探すようにじっくりと眺めた。数秒、沈黙が訪れる。

「あら、貴方…主要線(感情線、生命線、知能線など)が薄いわ。そして細かい線が多い…貴方の性格は「感情豊かだけど、デリケート」と言ったことかしら?」

「ふむ、当たらずも遠からず、かな…。」

博士はデリケート、というか細かい自覚はあった。

「あと貴方、とても幸運ね、普通の人以上に。まあ、ホントに幸運の中の幸運な人には劣るけど。」

博士は、紫色のパーカーを着た少年との戦いを思い出す。今考えると、あの戦いの勝利はたしかに幸運だったかもしれない。

「にしても、手相占いだけなのかい?それだったら、調べれば僕にも出来るぞ?」

「いや、手相だけでやってたら雑誌になんて載らないっての。というか、次の占いはとっくに始めているわ。」

「何?」

女性は、博士のズボンを指差した。そこには、先程車にひっかけられた泥がベッタリとこびりついたままだった。

「これが、どうかしたのか?」

「古代ローマ時代では、そうやって自然についた汚れや傷などで占うのが普通だったのよ。自然とついたものと故意につけたものでは、見えるものは全然違うからね…。」

女性は泥を睨みつけ、じっと観察する。

「貴方は…この町に、物を探しに来た。しかもそれは、とても危険で、ほおっておけば確実に沢山の犠牲が出るほどの…。」

「…っ。」

博士は[箱]について当てられたことで、小さく動揺する。

「…この占いはここまで。さあ、次の占いが私の本領発揮。さ、これを…。」

女性は、小鳥達が飛ぶ姿が描かれた、可愛らしいティーカップを取り出した。

「これは?」

「まあ見ててよ。」

女性はティーカップに紅茶を注ぐ。そして、紅茶を博士の前に差し出した。博士がそれを手に取り飲もうとする。

「ちょっと!なに飲もうとしてるの?占いは始まってるの、その紅茶を見て( ・ ・ )。」

「紅茶を…?」

ティーカップに注がれた紅茶を博士が覗き込む。そこには普通の紅茶が入っているだけだった。

「何が見えると言うんだ…?」

すると、紅茶の水面が波立って、何かの風景( ・ ・ )を映し出した。

「なんだと…!?」

その風景は、杏町の町中の風景だった。そこに、博士が歩いてきた。

『やはり…占いで見た道だ!ここは!』

紅茶に映し出された博士が気になる言葉を口にする。そこに映る博士は顎に手を立てて何やら考え事をしていたが、すぐに鼻で笑った。

『占いを信じるなんて、僕はバカだな…。科学者失格だ。占いなんて、科学的根拠がないじゃないか。』

すると、博士に向かって車が突っ込んできた。

『うわっ!』

博士はギリギリでクルマを避ける。車は、そのまま電柱に突っ込んだ。

『…!なんて事だ…!占いで見た映像と、同じことが…!!』

紅茶の水面が波打ち、風景が消える。先ほどと同じ、普通の紅茶が入っているだけだった。

「…これは、一体…!?」

顔を上げると、女性は姿を消していた。いや、店の奥へ入っていったようだ。

「代金はそこに書いてある通りだから、払っといて頂戴。」

博士は、目の前に置かれた紙を見る。1500円…。まあ、いいか と博士はお金をちょうど置き、店を出た。

「貴方に幸福がありますように…。」

「ふん…。」

 

 

占い屋を出た後、博士は白衣を腕にかけ町中を歩いていた。日課となっている散歩である。

「占いなんて当たるものか…。あの言葉を僕が必ず発する、あの場所に必ず行くとは限らないだろうに。」

博士はブツブツ独り言を言っていると、腹が小さく音を立てた。

「おっと、朝飯を食べずに資料まとめに没頭してたんだった…。昼飯でも食べに行くとしようかな、ジョジョは学校だし。」

 

博士は雑誌を片手に店に向かっていた。こういった食事屋の雑誌を見て食事を決めるのは、博士はある意味楽しみにしていた。毎週、毎月更新される雑誌でおススメされている店は、博士の好みに合うものばかりだったからである。

「…ん?」

博士はふと周りを見渡す。この景色を何処かで見たような気がして、博士は立ち止まる。

「ここは…。」

博士は道路標識や並んでいる家の外観をよく観察する。

「やはり…占いで見た道だ!ここは!」

博士は占いの通りになったのか!?と驚愕したが、すぐに自身の考えに対して鼻で笑う。

「占いを信じるなんて、僕はバカだな…。科学者失格だ。占いなんて、科学的根拠がないじゃないか。」

そんなことを考えていると、博士の横からけたたましいブレーキ音が響く。

「うわっ!」

一瞬〈ペンディング〉を出し、後ろに身体を引っ張ることで車に轢かれるのを回避する。

「…!なんて事だ…!占いで見た映像と、同じことが…!!」

博士は自身の発言の違和感に気づき、更に驚愕する。

「さっきから僕が口にしている言葉は…先ほどの予言の映像に映っていた僕が口にしていた言葉ばかりだ…!」

あれは単なる占いや予言ではない。「未来予知」だ。しかも、完璧な。

「こんなことができる奴は…ああ、そうだ、そうとしか考えられない…!」

博士は、女性に渡された名刺を見る。

「占い師色川(しきかわ)(イリス)は…

 

〈スタンド使い〉だっ!」

 

 

 

「ん?ああ、これ〈スタンド〉って言うんだ。知らなかった。」

占いの店に戻り、女性を問い詰めてみると、1分足らずでこの通りだった。

「随分普通に話すんだな…。」

「うん。だってこれが目覚めたの、ホントつい最近だし。」

彼女のスタンドの名は〈B.A.P〉。

Best(ベスト)(最高の)、Absolute(アブソリュート)(絶対的な)、Perfect(パーフェクト)(完璧)という、まあ未来予知のスタンドにはぴったりな意味を持った名前だった。彼女のお気に入りのティーカップと一体化し、以来お茶を注ぐと覗き込んだ人達は(複数でも)本人(だけ)の近い未来を見ることができるようになったそうだ。

「ま、私は他人の未来を見れないから、完全に理解できるのは本人だけなんだけどね。」

「ふむ…そのスタンド、成長の仕方によっては凄い力をつけるかもしれないな。」

博士は、〈ペンディング〉を出現させる。

「うわっ!む、虫…?やめてよ、苦手なのよ。」

「知り合い(ジョジョ)にも最初は嫌がられたっけな…あいつ、虫苦手らしいし…。」

丈惟は得意のフェア精神ですぐさま〈ペンディング〉を克服したが、まあ確かに初見で巨大なカミキリムシは衝撃が強いようだ。博士は虫好きなのでむしろ喜んでいたが。

「とりあえず、きみが無害と分かっただけでも僕的には良い。それじゃあ、またいつか。」

博士はそれだけを言い店を出ようとする。

「あ、待って待って。」

「…ん?」

イリス(本名である)は博士に歩み寄り、博士の顔をじっと見つめる。

(なんか妙に近いな)

「やっぱり…。貴方と貴方の仲が良い人たちが、『災厄』とぶつかると占いが出たわ。」

「何?」

「しかもそれは、普通の人が敵うようなチンケな災厄じゃあない。この町、もしかしたら世界をも壊せてしまうほどの、強く、どす黒い闇の存在…。」

博士から離れ、女性は〈B.A.P〉のティーカップに紅茶を注いだ。

「これ以上は分からない。でも…貴方達なら、その災厄に飲まれる事も回避するほどの力、そして「幸運」がある。運も実力の内…まさにその通りってことよ。」

ティーカップを冷ますように息をかけ、一口啜る。

「…僕とその子達の運と力が、この町を…この世界を守れると言っている、と思って良いのか?」

「私にはそこまでは見えないわ。ただ…貴方達の運命は誰よりも「不確定」「不安定」だわ。もしかしたら些細な事で変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。」

博士の胸元にカップを押し当て、イリスは言葉を続ける。

「貴方もその人達も、未来が世界で一番くらいに未確定なの。つまり…貴方達の未来はわからない。」

「…それが聞けて良かったよ。でも…僕たちは運命になんて負けないよ。それじゃ。」

博士は笑顔を浮かべ、すぐに店を出た。

 

 

波立つ紅茶を、イリスがじっと見つめる。

「運命に負ける…たしかに、負けることはないわね。だって私たちは、『運命の奴隷』なんだもの。奴隷に勝ち負けは、ないものね…。」

 

 

「美味、美味美味、美味いなぁ〜。」

ラーメンを啜りながら、優也がそう言う。そこは、杏町でも有名な激辛ラーメンの店だった。優也の横には、紫色のパーカーを着たあの少年がいた。

「優也くん。ちゃんとチームプレイ、できるんだろうね?」

「あ?問題ねえよ。俺達で必ず奴らは殺る。」

優也はポッケから砂糖の入ったビンを取り出し、中身を一粒残さずラーメンに流し込んだ。そしてそれをかき混ぜ、口に一気にかき込む。

「…はぁ〜!やっぱり辛い物に甘いものをかけるのはウメェぜぇ〜!!」

「僕は全く理解できないね、その食べ方…。」

店の店員は一言も文句を言わなかった。いや、言えなかった( ・ ・ ・ ・ ・ ・ )。口に黒い塊を詰められ、店長以外は全員息ができなくされ殺されていた。

「待ってろよ、これから始まる殺戮ショーをな…!」

優也は不敵な笑いを浮かべ、ラーメンを食べ尽くした。………料金は、しっかり払っていった。

______________________

 

スタンド〈B.A.P〉(Best.Absolute.Perfect)

本体・|色川(しきかわ)(イリス)

19歳 仕事:占い師

破壊力E

スピードE

射程距離C

持続力A

精密機動性D

成長性A

能力解説:

小鳥が描かれたティーカップと一体化したスタンド。注がれた紅茶の表面に、覗き込んだ人の「近い未来」を映し出すスタンド。複数人で覗いても、見えるのは自身の「未来」だけ。他人のは見ることが出来ない。あくまで「近い未来」なので、「いつ」なのかは分からない。だが大体は「その日中」に起きる。映った「未来」は90%の確率で的中する。お茶ならなんでもいいが、珈琲はダメらしい。真っ黒だからだろうか?

 

 

……To be continued




どうも、あのあとがきです(どのだよ)
第14話、いかがでしたでしょうか?
今回の話は戦いのない、とても平和な内容となっておりました。
ほら、まだ一週間くらいしか経ってないのに敵との交戦多すぎたかなーと思いまして…。
もう一つの理由(言い訳)としては、〈B.A.P〉は戦闘向きでない為、殺伐とした戦場では出せなかったというのが理由(言い訳)です。

では、話すこともなくなってきたので(早い)
ここであとがきは切らせていただきます!(勝手)
誤字の報告、本編への感想どしどしお待ちしております!
では、15話のあとがきでお会いしましょう。
see you again!

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