[二次創作] ジョジョの奇妙な冒険 〜フォールボックス〜   作:ウニ野郎

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投稿が遅れました。…すいませんいつも言ってますね。

※今回は少々「ビチグソ」要素が含まれています。
苦手な方はご注意ください。


XIX 少女と〈ウォリー・ロック〉 その②

「おやおや、怯えているんですか?」

志得の首を掴むアーロンがニヤケながらそう言った。志得は足をばたつかせて足掻くが、アーロンの手の力は一切緩むことは無かった。人の通らない路地であるため、助けを呼ぼうにも呼ぶことができずにいた。

「貴女のような小さな少女…殺すのにスタンドを使うまでもない。私がここからさらに手に力を込めるだけで、貴女の首は絞まり、あっさりと窒息死、するでしょうね。」

すると、アーロンの手の力が少し弱まった。

「ですが、一瞬で終わらせてしまってはつまらない( ・ ・ ・ ・ ・)!つまらないのですよ!君のような小さな子供は、苦しみの表情を顔にめいいっぱい浮かべて死ぬべきなんですよ!私の手で与えた苦しみで!その方が、その方が私がとても…興奮する( ・ ・ ・ ・ )…ッ!」

志得はアーロンのうっとりした表情を見て、なんとも言えない嫌悪感を強く抱いた。そして、アーロンの隙ができた脇腹に蹴りを入れた。

「おや…。」

志得は手の力が緩んだのを感じ、手から抜け出し走り出した。冷静に判断すれば人の多い方に走れば良かったというのに、志得は路地の奥へ奥へと逃げていってしまっていた。

(とにかく逃げ切らないと…!次に捕まったら本当に殺されちゃう…ッ!)

志得は無我夢中で走っていたが、右足に激痛が走ったことで転んでしまった。

「アアァァ…ッ!!」

志得の右足にスズメのような形の石の像がくちばしを突き刺していた。そのスズメは刺しただけではなく、傷口をえぐるようにジタバタと暴れた。

「あああああああああああああああッ!!」

志得は見つかるわけにはいかないと叫び声を止めようとするが、激痛のあまり、映らず砂嵐と雑音を流し続けるテレビのように声は漏れ続けた。

「おやおや、逃げられると思っているのなら、それは完全に無意味な考えですよぉ〜。」

アーロンは志得の頭を掴み、顔をじっくりの覗き込んできた。そして、顔を見つめたまま首をかしげる。

「おやおや、貴女…何処かで見かけましたかな?誰かに、とても似ているような…。」

志得は父に知られることだけは避けたいため、必死に顔をそらそうとする。父にバレれば、普段カピバラのように優しく温厚な父でも何をするのかまったく予想できない。

「あ、わかった!貴女はさっきあっちの路地で私が首をつかんでいた子ですね〜あっはっはっ!!」

ただ志得をおちょくっているだけの発言だったようだが、志得はその方が逆に安心できた。

「…さて、そろそろ戻らなければ晴夫さんに怒られてしまいそうですから、ささっと終わらせますか…。」

するとアーロンは、片手で石を練り、サバイバルナイフのような形に変形させた。

「まずは足首を切るとしましょう。貴女が逃げられないようにねぇ…うふふふ…。大丈夫、傷口は〈ウォリー・ロック〉で止血します。そう簡単には死なないようにね…ふふふ。」

少女の足に向かってナイフ型の石が振り下ろされる。

(もう、ダメ…ッ!!)

『カシャッ』

「ん?」

志得の足に石が突き刺さる寸前に、何かのシャッター音が路地に響いた。見てみると、志得とアーロン両方が撮れる位置に一台のカメラが落ちていた。

「おやおや?なんでしょう、このカメラは…。」

アーロンはカメラを拾い上げる。そのカメラはごく普通のデジタルカメラの形をしていた。だが、下側から先ほど撮った写真がヒラリと落ちた。

「おやおや、これは…デジタルカメラなのに、インスタントカメラのように写真が出てきましたね…妙な物ですねぇ…?」

アーロンがカメラから出た写真を拾い上げ見てみる。なんの変哲もない写真で、アーロンと志得が写っているだけだった。

「おやおや、なんてことない写真ですね。」

アーロンがため息をついて写真を地面に捨てる…その瞬間、写真がカサッと音を立てた。

「おや?」

その瞬間、写真から何かが飛び出した( ・ ・ ・ ・ ・ )。それは、アーロンが持ってきた石のナイフそのものだった。だが、石のナイフはアーロンの手に握られたままだった。アーロンはそんな出来事に対応できず、脇腹にナイフをモロに喰らってしまう。

「ぐあああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?なんだこれうわぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

アーロンが悶えている間に、志得は地面を這うようにしてその写真を拾い上げる。その写真の中のアーロンの手には、あの石のナイフが握られていなかった。

「もしかして…写真から、あのナイフが飛び出したの…!?この写真は、このカメラは、一体…なんだというのッ!?」

すると、写真の中の志得の足の一部が、パラリと剥がれ落ちた。それは一瞬にして本物の志得の同じ足の部位に張り付いた。

(なにこれ…完全に治ったわけじゃないけど、痛みは和らいでる…。このカメラ、もしかして私の味方をしてくれている( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )…?)

志得はカメラを強く握りしめ、再び走り出した。だが、今度は逃げるためではなかった。アーロンを自身から遠ざけるため、アーロンを倒す( ・ ・ )ために走っていた。

「追いかけっこはこれで終わりよ、変態ロリコン野郎…ッ!!」

 

「うぐぐぐ…ッ。どこに行ったんでしょうかねぇ…お嬢さあぁぁん…ッ?」

アーロンが脇腹に粘土状の〈ウォリー・ロック〉を貼り付けながら路地を歩いていた。

「私の〈ウォリー・ロック〉が匂いを探知しているので、ここにいるのは確実なはずですが…姿が見当たりませんね…。」

『ゴルルル…ッ。』

〈ウォリー・ロック〉の犬が周りの匂いを嗅ぎながらうろつくが、志得本体の場所は未だ確証を得られていないようだ。

「あまり時間はかけなくないんですがねえ…。ま、私のスタンドで追いかけられない者はいませんから、問題はないんですがね。」

アーロンが歩を進めていると、ポスターの端がめくれた時の音のようなものが聞こえてきた。

「おや?」

アーロンが音の方を向くと、そこの壁が不自然にめくれていた。その壁には明らかに不自然な小さい人型の膨らみもできていた。

「おやおや…こんな形で見つかってしまうとは残念でしたね。発想も結局は子供、ですねぇ〜。」

アーロンは粘土状にした石をちぎり、大量の球状にして頭上に投げた。そしてアーロンがその壁紙を勢いよく剥がす。それを合図かのように、〈ウォリー・ロック〉の犬や鳥が一斉に壁に隠れていた志得に向かって突進し始めた。

「〈ウォリー・ロック〉!そのお嬢さんをズダボロにしてやれぇぇぇッ!!」

〈ウォリー・ロック〉によって、骨の折れる鈍い音が路地に響く…と思われたが

『クシャッ』

アーロンが聞いたのは、新聞紙を丸めた時に出るような軽い紙の音だった。

「ん…ッ?」

よく見てみると、志得の身体は紙袋のようにひっ潰れており、破れた箇所から見える中身はスカスカだった。内臓は少しも詰まっていなかったし、血の一滴も流れることはなかった。

「な、なんだこれは…ッ!?」

「私も驚いた…。こんな薄っぺらいハリボテみたいなのまで作れるなんて…。背景も再現できるのも驚きだったけどね…。」

声がした方向をアーロンが見る。そこには路地の入り口あたりから伸びていたパイプだった。そのパイプの一部が剥がれ、中から志得本人が現れた。身体を背景で丸く包んでいたのだ。

「これが貴女のスタンド能力…というわけですかね?お嬢さん……。」

アーロンの目つきが鋭く変わった。先ほどまでの遊び心は全くない、殺意だけの目だった。

「スタンド…?そんなの知らない。ただこのカメラは、私の味方…ってことだけは分かる。」

「自覚はないようですが…。スタンド使いならば!処分する他ない( ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ )ッ!」

アーロンが石を振りかぶって投げようとする。それを見て志得は、自身でも驚くほどに冷静に、ブレることなく犬や鳥型の〈ウォリー・ロック〉を写真に収めた。

「これで…終わりよッ!!」

カメラから飛び出した写真の中に写っていた〈ウォリー・ロック〉の像達が飛び出し、アーロンの全身に向かって一斉に攻撃をした。志得にも攻撃は来ていたが、それを喰らいながらも志得は足を踏ん張らせ、耐えていた。

「ブァァァァッ!!」

アーロンが最後の雄叫びを上げた。その瞬間、写真から飛び出していた球状の石が顔面に深くめり込んだ。アーロンは踏ん張れず勢いよく吹っ飛んだ。その瞬間、志得に向かっていた全ての〈ウォリー・ロック〉が動きを止めた。

「ゴブ、ガァ……ッ。」

アーロンが力なく地面に倒れこむ。すると、犬や鳥型の石達は地面に落ち、一切動かなくなった。

「ハァ…ハァ…!倒した…の…ッ?」

志得は血を流したまま、倒れたアーロンに背を向けた路地を出るために歩き出した。手から落ちたカメラが、地面にぶつかる寸前で消滅した。同時に、カメラから出ていた数枚の写真も消えていった。

 

 

あれから数分後。

「もう…すぐ、出られ…る…。」

足を引きずるように歩きながら、志得は外から差す光に向かって歩いていた。意識は朦朧としていたが、しっかりと出口に向かった足は動いていた。

「やっと、助かった…ッ!」

志得が路地から出る……その瞬間、後頭部を掴まれ路地に引きずり込まれてしまった。

「……ッ!?」

頭を右手で掴んでいたのは、アーロンだった。もはや原型をほぼ保てていない顔で、殺意に満ちた視線を志得に向けて立っていた。左手には〈ウォリー・ロック〉で変形させた石の棘を握りしめていた。

「逃がさ…ないぞ…!この…ビチグソ娘がぁぁ…ッ!ブチ…殺して…やるぞ…ッ!ハァ、ハァ…!」

(な…ッ!せっかくここまで…逃げてきたのに…!)

「死ねええええくそガキイイィィィィァッ!!」

アーロンが棘を振り下ろす。

(もう…逃げられない…ッ!!)

志得の首筋に足の棘が突き刺さる…事は無かった。

「ウラァッ!!」

アーロンの左腕が、二の腕の途中から路地裏の方にふっ飛んで行ったのだ。

「…へッ?」

アーロンの右手の力が弱まり、志得は倒れるように離れた。倒れる寸前、何者かが志得の身体を支えた。

「おっと。大丈夫か?」

志得は意識がはっきりとしておらず、顔もはっきりとは見えていなかった。だが、男性であることだけは声で気づくことができた。

「何があったかは全然わからねえ。だが…頑張ったんだろ?コイツ相手に…よく、頑張ったぞ。」

男は志得の頭を優しく撫でた。その手はとても暖かく、静かに志得の心を癒した。

「後始末は…俺がやる。」

男は志得を胸の前に抱きかかえた。男の背後から陽炎のように別の誰かが現れ、アーロンの身体に素早く拳を叩き込んだ。

「ウラウラウラウラウラウラァァッ!!」

「オルブァァァアアアアッ!!」

アーロンがけたたましく断末魔を上げた。アーロンの身体にいくつも亀裂が走り、それは細かい立方体となり、吹っ飛んで路地に逆戻りしていった。

「お前みたいな力のある大人が、力のない小さな子供を傷つけることは俺が断じて許さねえ。俺の心情、『対等(フェア)』に反するからな!」

志得を抱えたまま、男が顔を覗き込む。

「俺名ま…は………だ。君………はなんだ?」

志得は男の声が聞こえていなかった。少しずつ意識を失い始めており、聞き取れずにいた。

「おい!?大じょ……か!お…!…事…して…れ!」

志得の目がゆっくりと閉じられた。志得は気を失ってしまったのだった。

 

「………。」

志得が目を覚ましたのは、病院だった。気がついてから少しの間目を開けられずにいたが、ゆっくりと目を開けると、天井の光が目にささった。

「…あ!目が覚めたか!?」

志得が声のした方向に首だけを向ける。そこには男性が一人、女性が一人立っていた。反対側にも誰かがいるようだが、そちらには首の痛みで顔を向けられなかった。

「良かった…!気を失った時はもうダメかと思ったぜ…!さすがSPW(スピードワゴン)財団の医療技術だぜ…ッ!助かったよ博士。」

「ジョジョが「スタンド使いに襲われた子がいる」って言うから医療班に急いで来てもらったんだ。とにかく、命が助かって一安心だね。」

向いている方向とは逆の方から、博士(ひろし)と呼ばれた人の返事が聞こえてきた。朦朧とした意識のまま、志得は目の前のジョジョと呼ばれていた人物に問いかける。

「ここは…私は、一体…?」

「ここは病院だ。君、スタンド使いに襲われてたのを俺が助けたんだが、覚えてないか?いや、あの状況じゃ覚えてないのも仕方ないのかもだが…。」

「覚えてます…。」

志得の小さな手が、ジョジョの服を握りしめた。

「貴方が…助けて、くれた…。」

ジョジョが志得に向かって優しく微笑む。

「俺は停城丈惟。……君の名前はなんだ?」

「…しえる。鈴秋(すずあき)志得(シエル)…。」

「シエル、か。良い名前だな。」

こうして志得は、丈惟達と出会ったのだった。

 

 

 

______________________

 

〈サイキックラバー〉(これからはこう呼びます)

本体・鈴秋(すずあき)志得(シエル)

10歳女性 好物:マシュマロ

破壊力 スピード 射程距離 持続力 精密機動成長性 写したモノ次第

能力解説:デジタルカメラ型のスタンド。撮った写真の中の物の見た目、性能を真似ることができる。スタンドの場合はパラメータと形状のみで、能力の再現は不可能。壁紙や紙袋のように薄っぺらく再現することも可能。

 

 

……To be continued




どうも、いつものあとがきです。
第19話、如何でしたでしょうか?今回はジョジョでは
定番中の定番、「ビチグソ」をようやく出せました。
嬉しいかって言われたら素直に喜べませんが笑。
19話…早いような遅いような、複雑な気分です笑。
次回は20話ということで、あとがきが感謝の言葉ばかりで埋め尽くされていると思うので、ご了承ください笑。
誤字脱字などのご報告をくだされば幸いです。
では、第20話のあとがきでお会いしましょう。
ありがとうございました。
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