ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

102 / 120
ハーレム系オリ主になろうとしたら聖女の祖父でした

 神様転生、二次小説でしか知らないそれを俺は実際に体験する事になった。トラックに轢かれたはずなのに俺が居るのは白い部屋で目の前には籤引の箱が置かれていて、箱の前には紙が置かれている。俺が拾い上げて書かれている事を読んだ所、『神が事故で死なせた。隠蔽の為に創作物の世界に転生させるが文句は受け付けない。たかが人間如きに特典やる手間を省くのだから感謝しろ』、との事だ。

 

「……一個目は行く世界か」

 

 流石に世紀末な世界とかは勘弁して欲しい思いつつ引いたのは『ハイスクールD×D』。好きな作品だし、手放しで喜べる。更に! 強ければモテるから……おっと涎が。残りは能力など。此処で強いの、例えばAUOの宝具とステータスとか引ければと願いつつ俺は籤を引いた。

 

「介入しても事態が悪化しない。教会組との強い接点っ!」

 

 よし! テンプレ展開来たー!! 俺、あの三人が好きなんだよね。幼馴染として格好いい所見せておけばきっと三人とも……。そして次に引いたのが戦闘関連の才能と適応能力。……キター!! これ、決定じゃねっ!? 俺の薔薇色の人生決定じゃねっ!?

 

 他にも色々引いた俺はついに転生の時を迎える事となった。待ってろ! 俺のハーレムメンバー達っ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っと、夢か」

 

「こーんな時に眠るなんて呑気な事だね。まっ、落ち着かなくってウロウロされるよりはマシだけどさ」

 

 横合いから聴こえてくる声は先程から廊下を落ち着かない様子で行ったり来たりしている男へも向けられているのだろう。それなりの歳のくせに衰えを感じさせない其の声で其奴はソワソワしながらも椅子に腰掛ける。全く情けない奴だ。しかし、懐かしい夢を見たな。

 

 儂が二度目の人生を得てから七十年。無論、儂は七十歳。ハーレムなど築いておらんし、今では興味もない。長年連れ添ったカミさん居るし、娘は可愛いし。……娘の夫はどうでも良い。兎に角、殆ど覚えていない原作(何十年も読んでないんだから当然。小さい頃に読んだっきりの絵本のキャラの名前を正確に言えるか?)等に介入する必要など感じんしな。それに、今日は我が人生で最高の日。初孫の出産予定日だ。既に愛娘の陣痛は始まっており、後は生まれるのを待つだけ。そして遂に……。

 

 

 

 

 

「お祖父ちゃんですよ〜」

 

「おい、コラ! 怖い顔を急に近づけんじゃないよっ! この子が怯えたらどうすんだいっ!」

 

 儂、其れなりに頑丈なのに婆さんの一撃は結構痛いのは何故だ? それにしても、まぁ何と可愛いことだ。紅葉のような手で儂の指を握ろうとしてくる姿といったら……。ちなみに女の子。初孫で孫娘だから可愛くって仕方ない。

 

「其れで名前は決まってるのかい? 早く申請しなきゃ駄目だろ」

 

「ええ、決まってるわ母さん。この子はアーシア。アーシア・アルジェントよ」

 

 ……いやいやいやっ! 未だ名前だけ一致してるだけだし……いや、長年掛けて身に付けた儂の勘が告げている。この子は原作ヒロインのアーシアだと。……させん! させんぞ! 原作では確か捨て子の孤児だったが、色々と変わって家族が居る! ならば更に頑張って原作の様な寂しい人生も遅らせんし、何よりハーレム主人公なんぞに可愛い孫娘をくれてやるものかぁっ!! この子が結婚するのは、この子さえ居てくれれば良いと心の底から思ってくれる奴じゃっ! 

 

 

 

 忘れて居ったが儂の名はルーク・ジェラキュール。歴代最強やら拳帝(けんてい)やら呼ばれておる。

 

 

 

 

 

「先生! 宜しくお願いしますっ!」

 

「ああ、宜しく頼むぞ」

 

 数年後、儂は未だ現役を貫きつつも後進の育成にも力を注いでいた。戦士育成機関の必要性を共に説いたヴァスコの奴は出世したが少々衰えてきたな。まあ、儂が歳のくせに元気すぎるというのも有るんだがな。ちなみに儂は現場で働くの好きだし、上の政治的判断が気に入らんかったから出世はしとらんが現場からの信頼は厚いし、戦友が其れなりに上層部に食い込んでいる。まあ、これでアーシアが聖女として孤独な思いをするのは防げるだろうな。

 

「お祖父ちゃ…先生! 其の子が新しい子ですか?」

 

「ああ、そうじゃよアーシア」

 

 っというよりも、悪魔祓い見習いだしな。記憶が朧気じゃし、儂一人で全ての事件を解決できるはずがない。儂のような者の身内ならば狙われるし、神器も儂関連で調べとるしな。だからまあ、戦える力が有った方が良いじゃろう。娘夫婦も関係者だから分かってくれたし、この子の気持ちも確かめた上での決定だ。嫌だというのなら儂が守る気だったが、この子が頑張ると決めたなら応援する。ちなみに弟子は皆、子や孫みたいなもんなので訓練中は祖父と孫ではなく先生と生徒、特別扱いはせん。

 

「私、イリナ。宜しくね!」

 

「ア、アーシアです! 宜しくお願いします!」

 

 早速仲良くなれたようで結構結構。儂、大満足。こうやって友が増える姿を見ているとヴァスコと儂の時を思い出すな。……その日に殴り合いの喧嘩になったな。黙っておこう。

 

 

 

 

 

 そして更に数年が経過、儂は更に多くの戦士を鍛えたり、自傷による傷を負って教会の敷地に入ってきた貴族悪魔を捕まえたり、聖王剣コールブラントを持つペンドラゴン家の小倅との手合わせの際、素手で剣にヒビを入れてしもうたりもしたが元気でやってるし、アーシアも今では立派な悪魔祓い。イリナとゼノヴィア(何処かで聞いた名前のがするが何処じゃったかな?)とトリオを組んで任務に出ている。

 

 

 ……そう言えば聖剣計画という異端レベルの人体実験をしている奴が居たから阻止したが、首謀者には逃げられた。だがまあ、後数分遅ければ残りの被験者まで殺されていた。助かったのはおよそ数人と、そして何時か絶対捕まえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「エクスカリバーが三本も盗まれたじゃと?」

 

「ああ、そうだ。しかも盗んだのはコカビエル。しかも日本にあるグレモリー家が管理する街に逃げ込んだ。厄介な事だ……」

 

 ヴァスコも苦労しとるの。メンツは大事じゃから極秘裏に進める必要がある。大がかりな人員配備無理だしな。

 

「儂が行けば良いのか?」

 

「ああ、頼んだ。……大丈夫だとは思うがコカビエルに集中できるよう、エクスカリバーの相手は他の者に任せることとなった。バルパーも噛んでいるようなので保険だ」

 

「して、誰が付いてくるんじゃ?」

 

「お前の弟子のイリナと儂の弟子のゼノヴィアに一本ずつ残った剣を持たせ、サポートにアーシアを付ける」

 

「……まあ、妥当じゃな」

 

 さて、儂は特典で神の死を知っておいても大丈夫なようになっとるが、朧気ながら覚えている。この任務で神の死が知らされると。信仰心のない儂だから仲間のために戦ってきた。今回も其れだけじゃ。神の死を知る前に倒す!

 

 

 

 そして遂に日本にやって来た儂はグレモリーの小娘と会うこととなった。ちなみにイリナの幼馴染みでイッセーとやらも悪魔になっているようなのだが……何故か無性に警戒心を煽る名の気がするのぅ。

 

 

「ルーク・ジェラキュール!? とんでもない大物が来たわね」

 

「知っているんっすか? 部長」

 

 やはり警戒しとる様じゃが、イッセーとやらはポカンとしとるの。そんな顔を見たせいかイリナが前に出て自信ありげに胸を張って鼻を鳴らす。

 

「知らないのなら教えてあげるわ、イッセー君。この世に聖剣は数有れど、その鋭さ故に、振れば天地をも切り裂くという最強の聖剣。それは、歴代最強の悪魔祓いたる先生の手刀なのよ。だから敬意を持ってこう呼ばれているの『拳帝』ってね!」

 

「……本当に人間?」

 

 悪魔に言われたくはないな……。




次回未定!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。