ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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オラリオに魔界から罪人が来るのは間違っているッスか? ② 

 どうも、プリニー(ランクはプリニー神)のゼットッス! 今現在、アイズちゃんの希望でアイテム界に潜る準備の真っ最中。案内人の俺を入れて十人までなので取り敢えずお試しで幹部総出で弱いアイテムに潜る事になったッスよ。

 

 え? お前は警戒されていたのに信じられるのが展開的に無理がある? 勿論怪しまれたッスよ? でも、ちゃんと正論で潔白を主張したら文句は出なかったッス。

 

「いや、俺のレベルってこの世界で言うなら百八十ッスよ? 巨人が瀕死の蟻を潰すのに策は弄さないッスし、俺に雑魚中の雑魚を弄ぶ趣味は無いッス」

 

 ちゃんと嘘じゃないってロキが言ってくれたし、何か言いたいことがありそうな顔だけど納得してくれた様子。明日はお祭りなので今日中に帰って来るのが目標ッス。

 

 ってな訳で近くの店で買ってきたじゃが丸くん(小豆クリーム味)界に出発ッス。

 

 

 

 

「……まさか本当にダンジョンが有るなんて驚きだよ」

 

「フィン君は疑い深いッスね。まあ、千年も前のことをウジウジ引きずってる種族らしいっちゃらしいけど……おっと、これがこの階層のボーナスッス」

 

 俺が右の羽を前に翳すと空中に文字が現れる。どうやらフィン君達にも読めているっぽいッスね。因みに俺はプリニーになって十万年近いのでアラフォーだろうが君付けッス。

 

「経験値、ヘル……ってのは悪魔の通貨で一万ヴァリスが1ヘルだったっけ? 五百ヘルだから……五百万ヴァリス!?」

 

 アマゾネスの貧乳の方がリストを見て驚いてるッス。お金もそうだけど、経験値が貰えるのが驚きなんて……。いや、俺もこの世界の経験値のあり方には驚いたッス。慣れた相手や格下だと会得経験値が下がる上に格上を倒さないとレベルアップしないなんて。神ってのは面倒なシステムを作るッスね。

 

「このゲージが例のジオパネルとジオシンボルで貯まるのか……」

 

 リヴェリアちゃんが言っているジオシンボルってのは大地の力が具現化した物で、ジオパネルって力を流す為の場所に置く事で効果を発揮する上に壊せば対応する色に変える効果が有るッス。上手く何度も色を変えたりして一気に消滅させればゲージが増えてボーナスが貰えるのがアイテム界の良いところッス。

 

 

 え? 普通のフィールドにも有るだろうって? オリジナル設定ッスよ、都合上の! 細かい事は気にするなッス! 気にして良いのは店員の横柄な態度とホラーゲームのプレイ動画の大袈裟でわざとらしい悲鳴だけッス。

 

 

「因みにフィールドの九割にに赤のパネルが敷き詰められているけどシンボルは何個も有るッスから消滅が最後に消せばゲージは貯まるッス。でも、都合の良いことに今回は消滅のジオシンボルが一番端で青いジオシンボルがすぐ横に有るッスから……」

 

「……アレをぶっ壊せば良いんだな」

 

 俺の説明途中で動いたのは実力主義のベート君。だから俺の言葉に怒りを感じながらも余計な事をしない物分かりの良い子ッス。俺を嫌ってるのは丸分かりッスけど」

 

 

 

 

「あっ、色変化する時にパネルの上に乗ってたら生命力の二割を削られるッスよ」

 

 言い忘れていた事を思い出しつつパネルの上から飛び退く。その瞬間にシンボルが破壊されて連鎖が発生したけど、俺がちゃんと教えたから誰もダメージは食らわなかったッス。

 

 

 

 

「……おい、他に言い忘れていること無いよな?」

 

「パネルの効果によっては数秒乗ったら死ぬくらいのダメージを受けることも有る位ッスかね?」

 

 無事に第一階層の敵を全滅させて到着した第二階層。此処はパネルもシンボルも無いので次の階層へのゲートに誰かが乗るか全滅させるだけッスけど、動き出す前にベート君が訊ねて来たッス。命の恩人に対する態度じゃ無いッスけど寛大な心で許してやるッスかね?

 

 

 

 

 

「ああ、それと……敵はモンスター型だけじゃ無いッスからね」

 

 足音が聞こえてきたので皆が見上げれば斧を構えた金髪のエルフ耳が襲い掛かって来る。咄嗟に避けたベート君が蹴り飛ばしたッスけど全滅させなきゃボーナスは出ないッスし、倒さなきゃ経験値は貰えないッスよ?

 

 

 

 

 あー、でも見た目が人ってだけで忌避感を覚えるんじゃぶっ殺すのは無理っぽいッスね~。

 

 

 

 

 

 

 

「……君は元々人間なのに人の姿をした相手を殺して平気なの?」

 

「プリニーになるのは大概が人殺しや強盗……後は自殺者とかッスし、悪魔には人型もモンスター型も居るッスからね。ぶっちゃけヒューマンと亜人の違い程度の認識ッス」

 

 結局、人型の命を奪うのは抵抗があるとかでモンスター型だけを倒して進んだからボーナスが貰えた階層は極僅か。それでも自動で換金されたヴァリスが数億ある上に三十階層まで進んだ結果、何人かはランクアップを果たしたっていうのに。

 

 俺はアイズちゃんの問い掛けに適当に答えて食堂で酒でも飲もうと思ったッスけど、面倒な問い掛けが続いたッス。

 

 

「……君の罪は何?」

 

「知ってるッスか? 人は怪物に殺され、怪物は英雄に倒され、英雄は人に排される」

 

「……知らない」

 

 アイズちゃんは首を傾げる。……ああ、この世界は平和じゃ無かったッスね。英雄ってのは平和が来ない内は必要ッスからね。モンスターに邪神の類とその眷属。

 

 ああ、何時まで英雄が英雄と扱われるんッスかね~。モンスターとの戦いに決着が付いたとして、神が一斉に居なくなりでもしない限りは悪神と眷属に対抗するために恩恵は残さなきゃ駄目だし、目下の驚異がなくなれば戦争や賊の被害が起きるだけ例え恩恵が消えたとして、本当に消えたのかって疑念は持たれる。

 

 

 

 

「俺が人間だった頃に居た世界にもモンスターを支配する人類の敵が居て、神のお告げで唯一対抗できる英雄に選ばれた奴が居たッス。同じ年頃の子供と遊ぶ事も親と手を繋いで何気ない話をすることも知らず、戦って戦って戦って戦って……遂に敵を倒したんッス。……その後、人間達は思ったッス。彼奴はもっとも危険な化け物なんじゃないか、って。後はさんざん利用した英雄を殺そうとして、英雄に多くの人間が逆に殺された末に予言をした神が英雄を始末した。……そんなくだらない三流の物語があったッス」

 

「……その英雄って君?」

 

「さあ? 俺が人間だったのは十万年以上の昔ッスから」

 

 面白くもない話をして喉が渇いたので早くお酒を飲もうと思った時、ロキとは別の神の気配が近付いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺がガネーシャだっ!」

 

「……プリニーッス」

 

 

 

 

 

 

次回予告!

 

 

「オラリオで連続下着窃盗事件が発生! 遂にアイズちゃんのパンツまで奪われたッス!」

 

「アイズさんのパンツっ!? 羨ま……絶対に許せませんっ!!」

 

「ある日、容疑者として拘束されたのは同じファミリアのレズエルフレフィーヤ!」

 

「私っ!?」

 

「そんな時、天才的知能を持つ探偵が立ち上がる! 見た目は子供、中身は大人、その名はフィン!」

 

 

 

 

「次回! 擬少年探偵フィン第三話! 拘束、ツンデレ狼人! 次回も見て欲しいッス!」

 

「あの人が犯人だったんですか!? 絶対許すまじ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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