ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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前に活動報告に書いた奴


生き別れの家族に興味が無いのは間違いか?

 俺の過去は……まあ、幸せ? 口が悪いが面倒見の良い兄貴に歌の下手な姉が居て、それなりに楽しかったと思う。

 

 でも、ある日突然それは壊れた。村は壊滅、死屍累々。釣りに行っている間に起きて、遠目に見て沢山死んでいるので親も二人も死んでるだろうなあーって旅に出て、何とか今まで生きて来た。

 

「それなのに値段が張るからって行かなかった店に行ったら姉貴が働いてて、兄貴も客として来てたんだ。ちょっとビックリした」

 

「え? 生き別れの家族との再会なんですよね? 失礼ですが反応が薄くないですか?」

 

「え? いや、十年以上前に死んだと思っていたし、血が繋がっているだけで只の顔見知りと大して変わらなくないか?」

 

「普通は変わりますよ? いえ、リリも両親が酒狂いのクズ親で家族との縁は薄かったですが」

 

 俺の名はアレク、家名は小さかったので忘れた。種族は猫人。故郷を失った後、棒っ切れで襲い掛かるモンスターを撃退しつつ旅をしていた俺はとある神に拾われた。

 

 何でも恩恵無しで外とはいえブラッドサウルスを拾ったボロ槍で倒すのを見て気に入ったとか。

 武神でもあったから武術を教えてくれ、読み書き計算も習ったんだ。

 

 まあ、恩恵は貰えなかったけれど。

 

 武人から槍の手解きを受け、身長以外はグングン成長した俺は腕試しの為に世界の中心オラリオまでやって来た。

 来たは良いけれど恩恵貰わないとファミリアに入れないし、ダンジョンに勝手に入っても魔石の換金はギルド以外じゃ足元見られて買い叩かれる。

 

 強い武器が欲しいし、美味い物もたらふく食べたい。だから今連んでいるリリに会えたのはラッキーだった。

 

 雇い主から戦利品を盗んで捕まった訳有りサポーター。遠目に見てたら仕事の腕は良いし、痛め付けようとした奴を背後から叩きのめして契約を持ち掛けた。

 

「ちょっと訳有りでギルドでの換金が出来ないんだ。折半で良いから俺と組まないか?」

 

 後で聞いたらモンスターの返り血に塗れた状態で、どう見ても闇派閥の脅迫でしかなかったらしい。

 

 失敬な! ちょっと入っちゃいけない場所で金を稼ごうとしているだけだろうが!

 

 そんな訳でリリと組んで早六ヶ月。肩に担いで走れば中層までは直ぐに行けるし、この日も少し下層まで遠出してある程度稼いでの帰りだったんだけれど……。

 

「……こんな所に居やがったのか。何してやがる、糞餓鬼が」

 

「……? あっ、そうそう。兄貴だ、兄貴。何か約束してたっけ?」

 

 ダンジョンから出てギルド前でリリが換金するのを待っている最中、不意に何処かで会った男に声を掛けられる。

 さて何処の誰かと悩んだものの、よく考えれば兄貴だった。

 

 この前は兄様だって居るって姉貴が指差した時にチラッと見ただけだし、席が混んでたからその内に顔を出すって言ったきりで会ってなかったからな。

 

 なので不機嫌の理由が分からない。餓鬼の時はちゃんと釣りに行くって言って出たと思うし、酒場でも話し掛けなかったよな?

 

「まさか店に予約入れたと思ってた? 違う違う。俺はそんな気はないから。え? あの店って兄貴が関わってんのか?」

 

「ふざけてんのか、テメェ。あの馬鹿がテメェを心配して鬱陶しく相談して来てんだよ」

 

「心配? 誰が?」

 

 あの馬鹿? 兄貴姉貴とは十年以上会って無いし互いに死んだと思ってたなら別に相談する程の仲でもないし。

 

「……アーニャだよ」

 

「え? 何で?」

 

 再会した時に顔見るなり大声で名前呼んでヘナヘナと崩れ落ちてたし、姉貴を心配するなら分かるが姉貴が心配する理由がちょっと分からない。

 

「もう良い。ついて来い」

 

 俺が理解出来ない事に絶句した様子の兄貴は不機嫌な様子で腕を伸ばして来るが、連れて行かれたら困る。 

 この後でリリと少し良い店の予約入れてるんだ。デートがあるとか大して親しくもない相手に語るもんじゃなし。

 

 なので伸ばされた手を避けると少し速度を上げて再び腕が伸ばされる。それも避け、更に速くなったのを避ければ更に速度が上がって行く。

 

「流石に騒ぐと迷惑か……」

 

「だったら大人しくしやがれ、アレク!」

 

 苛立った様子で手を伸ばす兄貴に背を向け走り出せば少しだけ間を置いて追い掛けて来る気配がした。

 

「おい! 何処の神に恩恵貰いやがった! 外から第一級が来たなんざ聞いてねえぞ!」

 

「第一級? 恩恵なら貰って無いぞ? てか、体質的に刻もうとしても弾くらしい。世話になった神に言われた」

 

 振り返って確かめる余裕は無いな。追い付かれないので精一杯、引き離すのは難しいか。

 

 少しもたつけば追い付かれそうになる中、相手の方が地の利があると迷った時に目前に助け舟が現れた。

 

 

「アレク!」

 

 買い物袋を下げた姉貴が必死そうな顔で手を伸ばして立ち塞がる。なので後ろに回り込んで持ち上げると兄貴に向かって投げ付けた。

 

 血が繋がっているだけの赤の他人を気に掛ける位だ、同じ都市で暮らしている方なら更に大切だろうと少し力を込めて投げれば案の定兄貴は咄嗟に受け止めて、俺はその隙に入り組んだ貧民街へと逃げ込んで行った。

 

 

 

 

「いや、もう素直に会ったらどうなんですか? 少なくともお兄さんの方はフレイヤ・ファミリアの幹部でしょうに」

 

「会っても話す事が無いからな。血の繋がりってそんなに大切か? 一緒に育っても権力争いで殺し合うし、正直怠い」

 

 安宿のベッドの中、俺に跨りながら投げ掛けられたリリの問いに簡潔に答えた。

 この宿はリリから紹介してもらい、関係を持ったのは出会って一月程度でされた夜這いに応じた時から。

 

 種族的に子供は出来ないし歓楽街で使う金は浮く事もあり、こっちを繋ぎ止めたい意図に乗ってから続いている。

 

「まあ、アレク様のご家庭の問題にあまり口出しすべきではないとは思いますけれどね。……にしても恩恵無しで第一級冒険者から脱げ切れると知られたのは大丈夫でしょうか?」

 

「そう言われてもな。まあ、どうにかするさ」

 

 人の器を昇華させる神からの恩恵。俺はそのシステムから外れた存在だ。

 なので魔法とか使ってみたいが使えない。その代わり、身体能力が常人のそれじゃなく鍛えれば鍛える程に強くなって行くんだ。

 

 成長ではなく進化、あの武神はそう評価していたっけな。

 

 

「どういやリリはどうするんだ? 金は結構溜まってるだろ?」

 

「正直言って現実味が無くって。取り敢えずサポーターは辞めて何処かで住み込みで働くしか無いですね。誰かが雇って下さると良いのですが」

 

 まあ、冒険者なんて日雇い労働者だもんな。生涯続ける仕事じゃねえよ。

 

 

 

 

 

 

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