ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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従者が金ピカと青タイツと半裸だったら…… ⑯

今冥界で注目されている施設がある。スポーツ施設からゲームセンター、各国の料理を揃えたレストラン街。そしてエステや宿泊施設までも有る総合レジャー施設だ。そして一番の目玉は温水プール。流れるプールやスライダーなどが充実し、家族連れからカップル、少し寂しいけど一人でも楽しむ事ができる。その施設の名前は『わくわくざぶ~ん』。……テスト入場者は『施設名以外は素晴らしかった!』っと絶賛していた。

 

娯楽の少ない冥界の住人はこぞって押し寄せ、施設は連日満員となっている。悪魔達は挙ってチケットを求め、売り場には長い行列ができている。そんな中、スタッフ用の出入り口から平然と入場する5人組の姿があった。その格好はどう見てもスタッフではないが従業員は誰も咎めない。

 

「やれやれ、冥界の者達は暇人ばかりのようだな。遊ぶだけの為によく彼処まで並ぶものだ」

 

「並んでる施設のオーナーが言いますか……。あっ、何処から周ります?」

 

「私は貴方と一緒なら何処でも良いですよ」

 

そう、この施設はギルガメッシュがオーナーを務めているのだ。それどころか施設周辺のホテルやバス等交通機関も彼の所有物である。ビバ、黄金率!

 

 

 

「それでは我達は別行動するぞ。貴様らだけで行ってくるが良い」

 

「あっ、はい。それでは約束の時間に入り口に集合という事で。では、行きましょうアーシアさん」

 

「はい!」

 

 

柳とアーシアは手をつないで三人から離れていき、その姿が見えなくなった時、ギルガメッシュ達は一斉に変装をする。どうやら二人のデートを尾行する気のようで、ギルガメッシュの手には最新式のデジカメが握られていた。

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、こんな事をしても良いのかぁ? 少々無粋だろぉ」

 

「ククク、そう言うなバルバトス。息子のデートを覗き見するのもまた愉悦だ。エネル、奴の心綱はドレほどの程度だ?」

 

「それほど広くはない。精々2kmと言った所だ。だが、害しようとする行動には敏感だな。……どちらにしろ修行が足らん。アーシアに至っては目の前の相手の行動が何となく分かるといった位だな。だが、近づきすぎると察せられるぞ。っと言うより、心綱を取得している柳に変装が何の意味を持つのだ」

 

「……ふむ。此処は我の財の出番だな」

 

変装の言いだしっぺのギルガメッシュは目を逸らしながら、気配を完全に消して姿も変える力を持つ財宝を取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいから答えろ。変装に意味はあるのかと訊いている」

 

「……ごめんなさい。何も考えていませんでした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん。こう沢山有ると目移りしますね。アーシアさんは何が食べたいですか?」

 

一頻りゲームセンターで遊んだ二人はレストラン街を散策していた。施設内の店はギルガメッシュ好みの高級店から手頃のな値段お店もあり、先日彼が買い取った有名ハンバーガーチェーンまである始末。この施設の他にも様々な店を展開しており、もはや冥界の経済にギルガメッシュはなくてはならない存在となっているのだ。

 

「~♪」

 

そんな中、アーシアは先ほど撮ったプリクラを鼻歌を歌いながら眺めていた。ゲームセンター内では柳がいるにも関わらず行われた強引なナンパや人間という事で絡んできた者が居たが柳の手によって撃退。そしてその時に、

 

「この人は私の恋人です。手出しはさせません」

 

 

っと言って貰えたのだ。あまりの嬉しさにアーシアはプリクラを撮る時に横から抱きつき、柳の頬にキスをしてしまった。その後カーテンが有るのをいい事に正面から抱きしめられてキスをされ、その場面が偶然撮られてしまい慌てたのも良い思い出になりそうだとアーシアは幸せを感じていた。

 

 

「……聞いています? 何が食べたいですか?」

 

「は、はい! 柳さんが食べたいです! っじゃなくて柳さんの料理が食べたいです!」

 

「……やっぱり聞いていませんでしたか。夕食は別荘で調理いたしますので今は適当な店に入りましょう」

 

柳はそう言うと目に入った店に入っていった。その姿を離れて眺める人影が三つ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バレてないと思ったか、痴れ者めが! 流石に最近の奴は弛み過ぎではないか?」

 

「そろそろ戦いに駆り出すか。ヤハハハハ!」

 

「緊張感が足りなさすぎるぅ。……もう少し慎みある男女交際をさせるべきだぁ。男所帯だから難しい」

 

 

独身中年三人はテイクアウトのハンバーガーを食みながら二人の後をつける。なお、ギルの宝具によって一部始終を見られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……我に少し良い考えがある。面白そうな話を耳にしてな……」

 

ギルガメッシュはテリヤキバーガーのタレを口元に付けながら笑みを浮かべて言った……。

 

 

 

 

 

なお、彼らが食べているのはギルガメッシュが会社を買い取った記念に作った新メニュー『ギルギルテリヤキバーガー』お値段一個10万円の品である。当然誰も買わない上に材料費ばかり嵩むが黄金率のおかげで何とかなっていた。スキルの無駄使いである……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(カップル用のジュースかぁ。でも、柳さんは甘いの嫌いですし……)」

 

アーシアの目にとまったのはカップル用のジュース。ハートの形をした吸い口が二つあるストローを差した多めのジュースだ。他のテーブルではカップルらしき二人組がそのジュースを飲んでいた。アーシアはその光景を見て羨ましそうにするも、残念な事に柳は甘味嫌い。無理に言ってもし嫌われたらと思うと頼みたいとは言えないでいた時、定員がお冷を持ってきた。

 

「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」

 

「……じゃ、じゃあ、ナスのミートスパゲティにします」

 

「私はカツ丼をお願いします」

 

「かしこまりました。お飲み物はどう致しますか?」

 

アーシアは一瞬だけ先程のカップル用のジュースに目をやり、

 

「……じゃあ、この『ラブラブ✩ジュース』で。以上です」

 

「かしこまりました。少々お待ちください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……聞いたか? あの柳がジュースを頼みおったぞ!? 生ビール追加」

 

「恐らくアーシアが先程から気にしていたからだろうがぁ……。あっ、メロンパフェとメロンソーダを追加だぁ」

 

「ヤハハハハ! 『好きな人の為ならこの位我慢しますよ』など言っているぞ! フルーツパフェ」

 

遠くから二人の様子を覗き見していた三人はエネルの優れた心綱で会話を盗聴する。……野暮な親父達である。そんな中、実況中継していたエネルは急に顔を顰める。

 

 

 

 

「……どうやら野暮な奴が居るようだな。久々に神罰を行うとするか」

 

遠くから二人を覗いている者に気付いたエネルは不快そうにそう言い、彼の体がパチリと放電した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな事はどうでも良いから続きだ続き! この前のデートの時に何をしたのだ!?」

 

「ぬぅ! 互いに食べさせあっているだとぅ!? ……俺達も野暮の極みだぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「……何とか」

 

二人は食事を終えた後、目玉である室内大型温水プールにやってきた。柳はトランクスタイプの紺の水着を履き、アーシアはフリルのついたピンクの水着を着ている。だが、折角のプールにも関わらず二人は泳ごうとはしなかった。原因は柳の不調。やはり無理して苦手な甘味を口にしたのが良くなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、見ろよ。その娘可愛いじゃん」

 

「そうだな。ツレは一人だし強引に連れて行って物陰で……フヒヒヒヒ!」

 

そんな二人を遠巻きに下衆な目で見ている男達がいた。どうやら質の悪いナンパ師のようで、発言に似合った下衆な表情で二人に近づいていく。そして、

 

 

 

「「へ? がぼっ!?」」

 

急に水中から伸びてきた手に足首を捕まれプールに引きずり込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔者は消したぁ。……しかし柳の奴、少し情けないのではないかぁ?」

 

エネルはレストラン街で気付いた相手を尾行しに行き、邪魔者二人を放り投げるとバルバトスはデートの観察を続ける。この施設のオーナーであるギルガメッシュは酒を飲んでいた為にプール内への入場を拒否された。

 

 

 

 

 

「此処は我の施設であるぞ! 雑種めが! 雑種めが! 雑種めがぁぁぁぁぁぁぁっ!! あっ、セイバー人形」

 

憂さ晴らしに入ったゲームセンターで自分が手がけるアニメのフィギュアを見つけたギルガメッシュはクレーンゲームにコインを投入する。結果は……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……手に入らぬ物程美しい」

 

 

推して知るべし。これからはもう少し小銭を持ち歩こうと心に誓ったギルガメッシュであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は此処で少し休んでいます。アーシアさんはお好きな所に行ってきてください」

 

柳はまだ気分がすぐれないのか休憩用のベンチに腰を下ろす。それを見て少し悩んでいたアーシアであったが、

 

「はい♪ じゃあ、好きな所に行きますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って笑顔で柳の隣に腰を下ろした。柳は何か言おうとしたがアーシアの人差し指で口を塞がれる。

 

「私が一番好きなのは貴方の隣です。……まぁ、ベットの上で話しは変わりますけど」

 

「それ以上は此処では辞めておきましょうね!? ってか、なに言ってんですか!?」

 

二人がそんな風にイチャついていた時、一人の青年が近づいてきた。年の頃は柳より少し上。金髪を短く切り揃え、穏やかそうな目をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだね、アーシア」

 

「え? 貴方誰ですか?」

 

「僕だよ。ほら、この胸の傷」

 

青年はそう言って胸にある痛々しい傷跡を指し示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え? 貴方誰ですか? あっ、ナンパなら止めてください。私、恋人がいますので」

 

「いや、僕だよ!? ほら、数年前に僕らは会ったじゃないか! アレから君を探していたんだ! 」

 

必死に食い下がる男だったがアーシアは首を傾げ、柳は不審そうに男を見る。

 

「……悪質なストーカーですね。ちょっと失礼しますよっと」

 

「きゃあ♪」

 

柳はアーシアの腰と膝の後ろに手を回して持ち上げ、アーシアは此処ぞとばかりに抱きつく。そのまま柳はアーシアをお姫様抱っこしたままその場から素早く消えていった。後に残された男は視線で周囲の者を追い払うと表情を一変させて毒づく。

 

「クソ! 下等種族が高尚な純潔悪魔の僕の邪魔をしやがって! アーシアを手に入れる為に僕がどれだけ苦労したと思っているんだ。この傷だってワザワザ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぅ、その傷がどうかしたのか? それに面白い事を言っておったな」

 

「お、お前はあの男のっ!」

 

「ああ、別に今すぐ答える必要はない。後でギルガメッシュに良く効く自白剤を使わせるからな。ヤハハハハハハ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、顔面をボコボコに殴られて腫らし、全裸で逆さ釣りにされた男の姿があり、その股間にはこう書かれた張り紙が貼られていた。

 

 

 

 

 

 

 

『私は聖女フェチの変態ストーカーです』

 

その後、彼の家の者が助けるまで彼は吊るされっぱなしであり、なぜか何があったのかという彼の記憶は綺麗に消え、目撃者もゼロだったという……。




ラスボスはいま文章まとめているから待っていてください 一気に書かないと落ち着かないんです


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