ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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悪魔? いいえ、付喪神です(嘘) ③

 誰かが言った。上質の出汁で煮込まれたオデンの具が並々と溢れる「オデン(セン)」があると。世はグルメ時代。未知なる味を求めて探求する時代(じだぁい)

 

「って! 原作が違うわっ! いや、インフレが激しいのは同じだけどっ!」

 

「……師匠?」

 

ヴァーリはガンモドキを頬張りながら突如叫んだハンペンの方を見る。その横では曹操の口に竹輪麩を運んでいるアーシアの姿があった。

 

「はい、曹操さん。あ、あ~ん」

 

「あ~ん」

 

アーシアがハンペンの弟子になって早数ヶ月が経った。その間になんやかんや有って曹操とアーシアがくっつき、一人者のヴァーリは涙で枕を濡らす毎日。育ての親が本来とは違ったので性格も違う彼はライバル同様に非常に残念な性格をしていた。

 

「……なあ、アルビオン。愛情も半減できるかい?」

 

『知るか』

 

「さて、そろそろ次の仕事に行かなければならぬが……」

 

ハンペンは二枚の依頼書を懐から取り出す。片方は堕天使、もう片方は悪魔からの依頼書だった。

 

「コカビエルが馬鹿やったから止めに行ってくれ、か。確かに堕天使の幹部が行ったら余計に揉めそうだし、人間の構成員では力が足りない。俺が行こう……あの二人を見ているのは辛いし」

 

「うむ! なら儂が曹操と悪魔からの依頼である”はぐれ悪魔の群れの討伐”に行ってこよう。……あの二人、見ていてムカつくし」

 

こうして相手の居ない喪男二人の手で愛し合う二人が引き裂かれ、再び付喪神(嘘)とその仲間達は赤い龍を宿す少年達と関わる事になった。

 

 

 

「おやおや、アーシアちゃんじゃあ~りませんか!」

 

「フリード神父!?」

 

そして数日後、コカビエルが潜伏している駒王街に舞い戻ったアーシアはヴァーリとの別行動中にフーリドと再開する。フリードの手には盗まれた聖剣が握られており、足元には神父の死体が転がっていた。

 

「貴方もコカビニールエチレンさんの仲間なんですか!?」

 

「ああ、俺っちはコカビエルの旦那に雇われててね。……さて、あん時出来なかったレイ○の続きでもしてからぶっ殺すとしますかねっ!」

 

フリードはアーシアの服を剥ぎ取ろうと手を伸ばす。だがアーシアが屈んだ事でその手は宙を掴み、顎に衝撃が走った。

 

 

 

極悪斬血真拳(ごくあくざんけつしんけん)奥義! ギョラ連撃!!」

 

フリードをアッパーで打ち上げた後、足を上にしてジャンプしながら連続蹴りで更に打ち上げ、最後に頭から腹に体当たりを食らわせる。咄嗟に盾にした聖剣はへし折れ、フリードは吐血しながら地面に叩き付けられた。

 

「え、え~と、こんな時はどうしたら良いんでしょうか? 確か……」

 

① 警察に通報

 

② 拘束して尋問

 

③ 性犯罪者は去勢

 

 

 

暫し考え込んだアーシアの手には身長程もある鋏が握られていた。

 

「ちょん切ってから拘束して情報を吐かせた後で警察に放り込めば良いですよね♪ 極悪斬血真拳奥義! ガボ…」

 

 

 

「アーシア……?」

 

「此方に居たかっ! むっ!?」

 

その時、騒ぎを聞きつけた一誠達と聖剣奪還任務を受けてやって来たゼノヴィアとイリナが駆けつけ状況が飲み込めず呆然とする。神父の死体にコカビエルの共犯者であるフリードが気絶している姿。そして折れた聖剣。祐斗などはそれを見た放心した顔で膝を折る。

 

「……二人共。おそらくあの神父が命と引き換えにしてエクスカリバーを破壊したのかと」

 

「そ、そうだよな! まさかアーシアが破壊したって事は……」

 

「え? 私が破壊しましたよ?」

 

認めたくなかった現実。目の前の可憐で華奢な少女が聖剣を破壊したという事実に一誠の気が遠くなる。ゼノヴィアとイリナはアーシアの顔を見て何やら考え込んでいた。

 

「……貴女、もしかして聖女アーシア?」

 

「確か追放された後、何処かに消えたと聞いていたが……」

 

「あ、はい。私は元・聖女で極悪斬血真拳伝承者アーシア・アルジェントです」

 

「……真拳? たしか一つの事を究極まで極める事で習得できる武術の事だったな。……極悪斬……いや、考えるのはよそう。それより君は此処に何しに来たんだ? まさか聖剣を狙ってきたのか?」

 

「お仕事でフルカビキラーさんを止めに来ました。聖剣については先生から何も言われていませんし知りませんよ?」

 

「フルカビ? ……ああ、古カビ(コカビ)って事か。では、エクスカリバーは私達が持っていこう」

 

ゼノヴィアが折れたエクスカリバー達に手を伸ばした時、空から光の槍が無数に飛来する。その矛先は無防備なゼノヴィアの背中に向かっていた。

 

 

 

「極悪斬血奥義! デスサイズ・カッター!」

 

アーシアが鋏を振るうと無数の斬撃が発生して槍を全て破壊する。槍が放たれた方向には興味深そうにアーシアを見ている堕天使の姿があった。

 

「貴方は誰ですかっ! 何が目的なんですっ!」

 

「俺か? 俺はコカビエル。堕天使の…」

 

「話が長いっ!」

 

アーシアが投擲したフリードはコカビエルの股間に激突し、その場に居た男達は思わず身を竦ませた。

 

「全く! 話が長すぎですっ!」

 

「いや、自己紹介を始めたばっかりじゃ……」

 

「……小娘、覚えていろ」

 

さすがにこの状態での戦闘続行は無理だと判断したのかコカビエルはフリードを担ぐとフラフラしながら逃げていく。ゼノヴィアとイリナ、そして祐斗は後を追い、一緒に追いかけようとしたアーシアは携帯の着信に気付いて足を止めた。

 

「曹操さん! 何か御用ですか?」

 

「いや、君の声が聞きたくなってね」

 

「私もです! あ、あの、この仕事が終わったらデートしませんか?」

 

「ああ、良いね」

 

騒ぎを聞きつけたリアス達が到着するまでアーシアは曹操との通話を続け、やがて夜がやって来た。コカビエルはリアス達を駒王学園に呼び寄せ、フリードは統合されたエクスカリバーで祐斗を圧倒する。だが、聖剣の因子から解放された仲間の言葉により彼は新しい力を覚醒させた。

 

「僕は剣になる! 仲間を守る剣に! 禁手化(バランスブレイク)! 双覇の(ソード・オブ)…」

 

「真紅の手品拳奥義! 火薬の手品!!」

 

そして突如乱入した空気読めない喪男(ヴァーリ)によってエクスカリバーは完全に破壊されフリードは吹き飛ばされた。

 

「さあ! 真打の登場だっ!」

 

KY(ヴァーリ)さん。空気読みましょう」

 

ヴァーリが周囲を見回すとコカビエルでさえ頷いており、先程まで天に昇っていた子供達も降りてきて頷いていた。

 

 

「……さて、勝負の続きと行こう」

 

それから先は神が死んだとか色々話し、空気の読めるアーシアは傍観して一誠達がコカビエルに挑むも歯が立たない。そろそろ出番と判断したヴァーリがコカビエルに向かっていった。

 

「くははははは! 面白い! まさか白龍皇を宿す者と赤龍帝を宿す者の二人と同時に出会うとはなっ!」

 

「ふっ! 俺は神器の力など使わないさ。師匠から継承された真拳で十分だっ!」

 

『……そろそろ死のう』

 

ヴァーリがコカビエルを圧倒する中、アーシアは何処かに電話をかけていた。

 

「あ、はい。軍艦一隻お願いします。支払いは先生の現金一括払いで」

 

突如時空が歪み、其処から巨大な軍艦が出現する。何時の間にか司令室にはアーシアの姿があった。

 

「極悪斬血真拳奥義! フォーリン魚雷2004!」

 

巨大な砲身から放たれたのは無数の魚雷。爆炎が晴れた後には黒焦げになって痙攣する二人の姿があった。このあとアーシアはヴァーリを治し、コカビエルとフリードを担いで帰っていった。

 

 

 

 

 

 

「……ふむ。奴も成長しているようじゃの」

 

その頃、ハンペンは一人の若手悪魔の噂を聞いて満足そうな顔をしていた。その男の名はサイラオーグ。

 

 

『ラブリーマジカル真拳』の伝承者であり、ついでに若手ナンバーワンの実力者でもある。




アーシアはボケ要員


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