ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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悪魔と秘密道具 ③

一誠が彼の命を狙っている堕天使とデートする日の前日の夜、因果はとある男と電話で会話をしていた

 

「ああ、分かった。君の希望を尊重しようその代わり、分かっているね?」

 

「当然だ。私がそのような事くらい分からぬはずがないだろう。十で良いな?」

 

「十五だ」

 

「……了解した」

 

因果は苦虫を噛み潰したような顔をし、電話の先の男はニヤニヤ笑っている。因果が腹立たしそうに電話を切ると背中に柔らかい双丘が触れる。

 

因果(い~んが)♪ 電話が終わったのなら早く寝るにゃ。明日は私とのデートなのよ?」

 

「バスタオル一枚で廊下を歩くな、バカ猫」

 

呆れたような声で溜息を吐く因果だが、その視線は深い谷間にチラチラと注がれている。もちろん黒歌は気付いており、ニンマリ笑うと因果の頭を抱き寄せて谷間に押し込んだ。

 

「む~!?」

 

急に口と鼻を塞がれた因果は脱出しようとするも、鼻には良い匂いが漂い顔全面を柔らかい肉が包む

 

「ほらほら、因果の好きなおっぱいにゃ♪ んっ、ほら、触る時はもっと優しく……痛っ!?」

 

何とか脱出しようとした因果だが、胸を押しのけようと力を込める度に指は胸に沈み、呼吸はますます苦しくなるばかり。黒歌はそのような事など気付かずに因果をますます強く抱きしめ息を荒げ出す。そんな時、白音が黒歌の後頭部に手刀を入れた事でようやく因果は解放された。

 

「……姉様、因果さんが窒息しかけています」

 

「……あ」

 

ようやく解放された因果はフラフラになりながら壁にもたれ掛かる。それを見た黒歌に目が妖しく光り、彼女は因果を抱き上げる。

 

「じゃ、寝室までまで連れて行くね。白音は先に寝てて」

 

「因果さんを寝室に連れて行くだけですよね? どうして遅くなるんですか?」

 

「それはまぁ、若い男と女が一緒の部屋でする事と言えば……はいはい、分かったわよ。私は明日デートだかラ譲るわ。でも、貴女はまだHしちゃ駄目よ?」

 

何処か泣きそうな顔をしている妹の顔見た彼女は肩を竦め因果の鳩尾に一撃を入れて気絶させると白音に渡した。その小柄な体格からは想像もできない力を持つ彼女は機嫌良さそうに寝室まで運んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……朝か。黒歌の奴め、覚えていろ。寝る前の構想時間が無くなったではないか」

 

昨日一撃れらて気絶させられるまでの記憶のある因果は不機嫌そうに呟きながら起き上がろうとするも、何故か体が起こせない。よく見ると猫のイラストがプリントとされた可愛らしいパジャマを着た白音が因果を抱き枕にしており、普段は隠している猫の耳と尻尾がピコピコと動いていた。とても可愛らしく、その手の趣味の人にはたまらないだろう。

 

「おい、起きろ白音。全く子供ではないのだから布団に潜り込むな」

 

もっとも、因果は見慣れているので特に反応しなかったが。なお、彼はベットより布団派である。

 

「……ん、ふにゃあ」

 

白音は因果に起こされても寝ぼけたまま因果に強く抱きつく。

 

「起きろと言っているだろう。惰眠は脳の働きを鈍らせるぞ」

 

「にゃぁぁん」

 

「……仕方ない。……いい加減に起きんか、馬鹿者!」

 

因果は白音の臀部付近に手を伸ばし、尻尾を強く掴む。白音の絶叫が響きわたった。

 

「にゃ、にゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お早う御座います」

 

「あら、今日は遅かったわね。因果はどうしたのかしら?」

 

白音がリビングに行くと摂理が朝食の準備をしており、束はウツラウツラしながら椅子に座っている。シャワーの音が聞こえる事から黒歌は浴室だろう。

 

「……まだ寝ています」

 

「も~、情けない子ねぇ。それとさっき凄い声が聞こえたけど大丈夫だった? あの子に襲われそうになったらすぐに言いなさいね。いずれは貴女か黒歌ちゃんをお嫁さんにって期待してるけど無理強いはしないわ」

 

「……お嫁さん」

 

白音は因果との結婚接活を想像して顔を真っ赤にする。その姿を見た摂理は嬉しそうに微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、束さんは二人共因果ちゃんのお嫁さんになっても嬉しいな✩ っていうか、他の有象無象が嫁になるなんて私は認めないよ!」

 

「ほらほら、食卓で暴れちゃダメよ、ハニー」

 

急に立ち上がって宣言し出す束に対し、摂理は困ったように笑う。その頃、因果はボディに良いのをもらって気絶していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、行ってくるにゃ」

 

「夕飯は多分要らないから食べててくれ」

 

黒歌と因果は二人揃って出掛けていく。この日、一誠のデートを尾行し、殺されそうになったら助ける為に二人も出かける事となったのだ。白音はお小遣い目的で倉庫の整理をする約束をだいぶ前にしており残念そうにしながら二人を見送る。束などは何処其処のホテルが良い、などの情報を黒歌に教えようとするも摂理に止められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの堕天使、退屈なのを隠しているな。笑顔に違和感がある。あれは作り笑いの時の表情筋の動きだ」

 

「……よく分かるわね」

 

二人はオープンカフェでデートしている一誠達を観察しながらデートを続ける。黒歌はクリームパフェ、因果はハラミ茶漬けを食べており、かなりの美女である黒歌に男達の視線が注がれていた。そんな時、黒歌はペフェを掬うと因果へと差し出す。

 

「はい、あ~ん♪」

 

因果は素直に口にし、今度はスプーンを受け取った因果が黒歌に差し出す。そのまま二人はパフェを食べさしあい、その後も尾行を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、一誠君。お願いがあるの……死んでくれないかな」

 

堕天使レイナーレの計画は大いに狂っていた。本当なら回復系神器を持つアーシア問少女を騙して神器を奪う計画だったのだが、彼女が不法入国で逮捕されその後の足取りが掴めていない。仕方ないので本来の任務に取り掛かることにした。人間の時の偽名は夕麻。一誠を夕日の中で殺そうと思ってつけた名だ。レイナーレハ黒い翼を羽ばたかせ、動揺している一誠めがけて光の槍を投擲する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バン!」

 

「なっ!?」

 

だが、突如響いた声と共に光の槍は弾かれる。声のした方向を見たレイナーレだったが猫の子一人いない。

 

「……まぁ、良いわ」

 

レイナーレが気にせずに一誠を殺そうとした時、突如銃声が響き渡り彼女の体が風船のように膨らむ。そのままレイナーレは風に運ばれ何処かに飛ばされていった。当然一誠は混乱している。彼女に黒い羽が生えて殺されそうになったら、今度は相撲取り以上のデブになって飛んでいったのだから無理がないだろう。

 

「どどど、どうなってんだよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、私が説明しよう。因果君達も出てきたまえ」

 

「ああ、分かっているさ。新発明の実験も終わった事だしな」

 

何時の間にか一誠の後ろには中年男性が立っており、地面からはまるで水中から浮かび上がるかのように同級生の因果と、美女として有名な大学部の黒歌が這い出てきた……。

 




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