ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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今回 グレイフィアへの暴言があります ファンの方はバック推奨


悪魔と秘密道具 ④

「さぁ、乗りたまえ」

 

一誠は初対面の中年男性に促されるまま、テレビでしか見た事のないような高級外車に乗り込む。彼の後ろの座席にはクラスメイトの因果とナイスバディな大学生である黒歌が並んで座っていた。

 

「あの、これから何処に行くんっすか? てか、夕麻ちゃんの背中に生えた黒い羽とか、地面から現れた後ろの二人とか、そもそも貴方誰っすかっ!?」

 

「ああ、その質問には後で答えよう。とりあえず自己紹介だけしておこう。私の名は殺生院 我道(せっしょういん がどう)。因果の母方の叔父だ」

 

我道は雨を見たまま名前を名乗り、そのまま車は街を出て暫く行った先にある建物に入っていった。外から見ると何かの研究所のように見える。そのまま一誠は部屋に通され、因果と黒歌は応接室で待機する事になった。

 

 

 

 

 

「ねぇ、どの位かかると思う?」

 

「悪魔や堕天使について話し、神器や魔法を見せて信じさせるとして……三十分程度だな」

 

黒歌は因果に擦り寄り体を密着させる。そのまま二の腕を胸の谷間に挟み込んだ時、一人の少女がに見ものを持って入ってきた。

 

「二人共、飲み物持ってきた……お邪魔だった?」

 

「いや、この馬鹿猫が発情期なのは一年中だ。それより久し振りだな、ジャンヌ」

 

「レオも元気にしてるかにゃ?」

 

「ええ、元気よ。まぁ、制御訓練の時にドラ○エのモンスターを創り出して暴走させた罰として、一週間おやつ抜きになったから落ち込んでるけどね」

 

ジャンヌはケラケラ笑いながら二人の向かいの席に座る。そのまま二人より早く茶菓子に手を伸ばした。

 

「それで、今回はどんな発明をしたのかしら?」

 

「打たれた相手が風船のように膨れて飛んでいく『フワフワ銃』と地面の中に水のように沈む事ができる『ドンブラ粉』の二つだ」

 

「……相変わらず意味不明な物作るわね。本当に魔法使ってないの?」

 

「当然だ。私の技術と知能があれば、科学の力で魔法を超える事が出来るからなっ!」

 

因果は得意そうにに胸を張り、ジャンヌは適当な時間で部屋から出ていく。それから数分後の事、一誠は悪魔や堕天使の存在を知らされ、魔法などを見せられる事によってそれを信じていた。

 

 

 

 

 

「さて、私達の組織である『八咫烏』は人外から人間を守るのを仕事としている。それと、神器持ちの保護もね。君にも危険な神器が宿っているみたいだし制御訓練を受けて貰うよ。もし受けてくれるのなら私達から堕天使に話をつけ、君が狙われないようにしようじゃないか」

 

「……お願いします。流石に殺されかけるのはもう懲り懲りですから……」

 

一誠は初めてできた彼女が自分を殺すために近づいて来たのだと知り、流石にショックの色を隠せないようだ。我道は立ち上がり、彼の肩を軽く叩くと電話を取り、応接間の因果に説明が終わった事を報せる。そのまま一行は魔法陣が床に書かれた部屋に入っていった。

 

 

「さて、兵藤君。この上で一番強いと思う者の真似をしたまえ。ああ、別に実際の人物じゃなくても構わない。一般人の君では強いと思う相手とは早々知り合わないだろうからね」

 

「じゃあ、ドラクソボールの空孫悟で……え、本当にやるんですか?」

 

「さっさとやれ、兵藤。この部屋に来た未発動の神器持ちは誰しも通る道だ」

 

「じゃあ……ドラゴン波! って、何じゃこりゃぁぁっ!?」

 

一誠は恥を捨てて主人公の必殺技の真似をする。次の瞬間には彼の腕に赤い籠手が装着されていた。

 

「……龍の手? いや、そんなありふれた物で狙われるはずが無い」

 

「……もしかして、もしかすると貴重な研究材料が手に入ったかもしれんな!」

 

その籠手を見た我道はブツブツ呟きだし、因果は嬉しそうに笑う。一誠はついて行けず困惑し、黒歌は顎に手を当てながら呟いた。

 

「……まさか赤龍帝の籠手? もしそうなら、危険だから命を狙われても仕方ないわね」

 

「え、あの、その赤龍帝の籠手てそんなに危険なんですか?」

 

一誠に質問された我道は我に返り、彼に向き直る。その額には少々冷や汗が流れていた。

 

「……極めれば神や魔王すら倒せるという程の危険物だ。悪いが訓練は予定より過酷なものになるぞ。ご両親にも説明したほうが良いだろう。はっきり言って、身内にまで危害が及びかねん」

 

「……それとグレモリーが知ったら勧誘してきそうだな。眷属にってな。……ああ、眷属についても教えておこう。甘い言葉に騙されないようにな」

 

因果は一誠に対して悪魔の眷属について説明し出す。そして話が上級悪魔になれば眷属を持てるというところに差し掛かると彼の表情が変わった。

 

「……それってハーレム作れるって事だよな? それなら悪魔になっても……」

 

「? 女子に嫌われてる貴様がどうやって女性の眷属を集める? 言っておくが無理やり眷属にしたら、この組織の抹殺対象にされるぞ。……それと、貴様は豊臣秀吉は知っているな? 貴様が彼のように織田信長に仕えたとして、彼のように出世できると思うか?」

 

「そ、そんなに難しいのか!?」

 

因果の言葉に顔を青ざめる一誠を見て我道は苦笑しだした。

 

「いや、因果の話は大げさすぎる。だが、難しいぞ? そもそも、今出世しようとしたら先程説明したレーティングゲームで活躍するしかないが……君は他人を気絶するまで殴ったり、刃物を持った相手と戦ったりできるのかね?」

 

「……無理です」

 

「それで良いのよ。アンタは一般人なんだから、戦う覚悟なんか持たないで良いわ。それと、眷属に対する扱いって結構悪いわよ? 上層部は純血以外を見下してるし、無理やり眷属にされたのも多いのに魔王は防止策すらロクに取ってないにゃ。……そして、逃げたら殺されるわ」

 

殺される、その言葉を聞いた一誠はカタカタと震えだす。今になって殺されかけた恐怖が蘇ってきたのだ。そして因果は最後にこう言った。

 

「それと、グレモリーは貴様に近づいて来たのが堕天使だと知ってる様だったぞ。その目的も大体見当が付いてただろうな。……言っておく。悪魔になるのは絶対に辞めておけ」

 

その言葉に一誠はコクりと頷き、その日の内に彼が組織で制御訓練を受ける事が堕天使の組織であるグリゴリに伝わり、レイナーレ達に帰還命令が発せられた。

 

 

 

 

「……っという事だグレモリー。兵藤への勧誘がしたければ、組織の者の立会いの下に行え」

 

「……分かったわ」

 

そしてリアスにも連絡が行き、その後勧誘しようとするも、一誠は悪魔になることを拒んだ。その後、施設で訓練に励む一誠は新しく組織に入った元聖女の少女等と仲良くなり、本格的に組織に加入するか両親と相談中との事だ。

 

 

 

 

 

……そして暫く経った日の夜、研究を済ませそろそろ寝ようとした因果の家に誰かが転移してこようとし、トラップが発動し、侵入者用の能力封印の結界が張られた収容房に送られる。因果が顔を見に行くと、下着姿のリアスが居た。

 

「……こんな夜中に親しくもない男の部屋にそんな格好で来ようとは……貴様、痴女か」

 

「失礼ね! ……丁度良いわ、因果。私を今から抱きなさい」

 

「貴様は阿呆か。誰が好き好んで面倒事になるのに首を突っ込む。男が欲しければ木場にでも抱いて貰え。俺は寝る」

 

「祐斗は紳士だし、ほかに頼れるのが貴方しか居ないのよ」

 

「勝手に頼るな、痴女。後、私は紳士でないとでも?」

 

因果がそのまま自室に戻ろうとしたその時、リアスと同じ様に銀髪のメイドが転送されてきた。

 

「……またか。人様の家に土足で上がろうとは……」

 

「グレイフィア! ……間に合わなかったわね」

 

「間に合うも何も、貴様なんぞに手を出すのなら、とっくに黒歌を抱いているわ、阿呆」

 

「お嬢様。この様な手段で破談に持ち込もうとは……。それに、この様な下賤な輩に純潔を捧げるなど、サーゼクス様や旦那様が悲しまれますよ」

 

その瞬間、因果の中で何かが切れる音がした。

 

「……こんな夜中に人に家に侵入し、好き勝手要求した上に下賎だと? それに貴様に言われたくないぞ、阿婆擦れがっ! 主を裏切って敵の英雄に体で取り入り、追放を免れた売女風情が、どの口で人を下賤と貶めるかっ!」




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