ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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リククエスト二つ目 昨日の後半は今後追加


償うのも良い。悔やむのも良い。だが、許されたいと思ってはいけない。

こんな感じのセリフだけ思いだしまして…何のセリフかな? もしかしたら二次かも


しかし、いくらなんでも倍加の力って強すぎだと思う ラグナロクの時に14回の倍加で一万六千二百五十倍


ラディツに殺されたオッサンが戦闘力五 ギニュー戦時の悟空の界王拳不使用時が最大九万

九万を一万六千二百五十で割ると約5.5……( ゚д゚)


聖女と麻婆聖女 氷の覇王の番外編

その物体は果てしなく真っ赤だった。煮え滾る様は灼熱の溶岩に等しく、漂う刺激臭は兵器の如し。そして、其れの完成を待つ者達は期待に満ち溢れていた。その物体の名は――『激辛麻婆茄子』。

 

 

 

「わぁ、美味しそうですね!」

 

 アーシアは取り皿を食卓に並べながら匂いを嗅ぐ。常人ならば悶絶して気絶する程の刺激臭を持つ麻婆茄子だが、それが大好物の彼女達からすれば良い匂いでしかない。その日は夏休みに入ったばかりのとある日。時刻はそろそろ昼前といった所だ。

 

「さて、私は副菜の用意をしよう。アーシアはイリアを起こしてきてくれたまえ」

 

「えぇっ!? まだ寝てるんですかっ!?」

 

「まったく、仕方のない奴だ。昨日はパンドラと飲み明かしたらしく、帰ってきたのは早朝なのだ。やれやれ、我が姪ながら情けない。……おや、そのカメラは?」

 

 クロードの目に止まったのは一台のカメラ。ただし、レンズが右側面からも出ており、下を見るとパンドラのマークが刻まれている。クロードは即座にカメラから手を離した。

 

「触らぬ神に祟りなし、だな。いや、神は死んでいたか。くっくっくっ。これはウッカリしていたな」

 

「そうですよ、叔父さん。……パンドラさんの発明品なら碌な事になりませんね。あの人、天才だけどマッドですから」

 

 神が死んだ事を平然と話す元聖職者二人。この二人にも一応信仰心はあったのだが、”死んだ者に何時までも縛られるのは馬鹿らしい”、と気持ちをあっさり切り替えていた。とりあえずカメラが誤作動しないように別の場所に置こうとした時、ようやくイリアが起きてきた。クセ毛の目立つ金髪は更に跳ね回り、アルコールとニンニクの匂いをプンプンさせている。普段は尻尾を振って駆け寄るベンも今日は離れていた。

 

 

「ふわぁ~。おはようッス」

 

「もう昼だ。早くシャワーを浴びて食卓につきなさい」

 

「姉さんっ! 幾らんなんでもだらし無さすぎです。私にソックリなんですから恥ずかしいです」

 

「いや、ボクが先に生まれたんだから、アーシアがボクにソックリなんッスよ?」

 

「いや、原作キャラ私の方が先に決まっているじゃないですか」

 

「……メタ発言はよしたまえ。それなら私は金ピカの世話をする事になるぞ。正義の味方を目指す少年と戦う事になるが良いのかね?」

 

「叔父さんのもメタ発言ッスからねっ!? ……ありゃ? そのカメラなッスか? はい、チーズ」

 

イリアはカメラに手を伸ばし、何の躊躇いもなくシャッターを押す。レンズの先はアーシアに向いており、麻婆茄子の大皿を持っていたアーシアはそのまま決めポーズを取る。その瞬間、アーシアの姿が掻き消え、側面のレンズの先にアーシアが出現した……。

 

 

 

「……ほぇ? 此処は?」

 

 現れたアーシアは状況が飲み込めないらしく周囲を見渡している。そんな時、イリアの携帯が鳴る。着信先はパンドラだ。

 

『イリアさん、私の新発明知りませんか? 対象にレンズを向けてシャッターを押すと、並行世界の其の人を召喚出来るんです。しかも、そんな凄い装置なのに軽さはカメラと同じなんですよっ! ……ふふふ! 私の科学力は世界い……』

 

イリアは途中で通話を切った。

 

「……面倒な事になったッスね」

 

「パンドラの発明品なんだ。厄介な事になるに決まっているだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして此処はアーシアがひ弱な少女で赤龍帝でもなく、人間の時点で上級悪魔をボッコボコにも出来ない世界。この世界も夏休みに入ったばかりで一誠の家に眷属の殆どが住んでいる。そして、一誠の家にアザゼルがやって来ていた。中央には大掛かりな機械、左右に椅子を乗せた台座が付いている。そして、その右側にアーシアが座っていた。

 

「ちょっと、アザゼルっ!? アーシアに何する気っ!?」

 

「心配すんな。ちょっと平行世界のアーシアを呼び出すだけだからよ。いやぁ、適性があるの此奴だけでよ。……副作用はないから安心しな」

 

「……平行世界のアーシアかぁ。てかっ、見てみたいとか思ってる場合じゃねぇっ!」

 

一誠は慌てて止めようとするがアザゼルがスイッチを押す方が早い。装置は直ぐに発動し、左側の台座にもう一人のアーシアが出現する。

 

「おぉっ! まさか本当に成功するとは……ありゃ?」

 

それと同時に右側に居たアーシアの姿が掻き消えた。その光景に其の場に居ない祐斗とギャスパー以外の眷属とアザゼルは固まり、漂ってきた刺激臭に全員が鼻を押さえる。その刺激は凄まじく、歴戦の戦士であるアザゼルさえも苦痛に顔を歪ませた。

 

「は、鼻が痛いっ!? くっ! 新手のテロかっ!?」

 

「くそっ! アーシアは一体……」

 

「あの~、皆さん、どうしたんですか? あっ、此の儘だと麻婆茄子が冷えちゃいますね」

 

そんな中、刺激臭の発生源を持ったアーシアは麻婆茄子が冷える事を心配していた……。

 

 

 

 

 

「……つまり、パンドラが危険な発明品を飲み屋に持って行き、イリアが酔っ払って持ち帰った事が原因なんだな?」

 

 クロードから連絡を受けたリゼルは頭痛を堪えながら状況を聞き出す。その隣のレイヴェルも頭が痛そうにしていた。そんな中、アーシアはというと、

 

 

 

「あ~ん! コッチのアーシアも可愛いッスね~♪ 少し小さい所とかキュートッス。特に色々とハッチャケて無さそうな所とか」

 

「ひゃうんっ!?」

 

イリアに抱着かれ、色々と弄られていた。やがて見かねたのかクロードが引き剥がしアーシアに笑みを向ける。その笑みにアーシアは恐怖を覚えた。

 

「え、え~と。この世界の私の…叔父さん…で良いんですよね?」

 

「ああ、私は此方の君の母方の叔父だ」

 

「ボクは実のお姉ちゃッスよ」

 

「お姉…ちゃん…?」

 

 アーシアは実の親に捨てられて施設に入ったので本当の家族の顔を知らない。だが、こちらの自分には本当の家族が居る事を知り、少し羨ましくなった。

 

 

「う~ん。やっぱ、昔みたいな呼び方も良いッスねぇ。可愛い妹にはさん付けじゃなく、ちゃん付けで呼んで欲しいッスよ」

 

「……やっぱり少し羨ましくないかも」

 

 

「……話は済んだか? さて、アーシア・アルジェント。俺は此方の世界のお前の王のリゼル・シトリーだ。此度の事申し訳ない。馬鹿共には厳重な処分を下そう」

 

「……馬鹿? 少し聞き捨てなりませんね」

 

「パンドラ、黙る。パンドラは天才だけど、馬鹿」

 

「……さて、パンドラの解析によると今日の夕方には両方とも戻れるらしい。それまでゆっくりしていてくれ」

 

「あ、はい。……あの、シトリーという事は生徒会長の?」

 

「ああ、ソーナ・シトリーは俺の叔母だ。……一つ聞きたい。母上……セラフォルー・レヴィアタン様はどの様な格好をしている?」

 

「魔法少女ですけど。……えぇ!? 母上っ!?」

 

 リゼルは地に手を付き膝を折る。平行世界でも母は魔女っ子だった。その事に胃がキリキリ痛み頭痛が増す。その肩にポンッと手が置かれた。

 

 

「リゼル、元気出す。多分、アッチには子供居ない」

 

「……つまり、此方は子供が居るのに子がいない時と変わらないって事だぞ」

 

「どんまい?」

 

 

 

 

 

 

「……気を取り直して話を進めよう。此方は昼時だが、そっちは昼食は済んでいるか? まだなら何かご馳走しよう。それとも行きたい所は有るか?」

 

「あ、はい。お昼は済んでいます。皆さん食べていないのならお食べ下さい。……あの、行きたい所はありませんが、会ってみたい人は居ます。此方のイッセーさんにお会いしてみたいです」

 

「イッセー? ……ああ、退学になった兵藤一誠か。なんで彼奴に会いたいのだ?」

 

「え? イッセーさんが退学にっ!? ど、どうしてですかっ!?」

 

「覗きをしてクロードに捕まったからだ」

 

「……あ」

 

「……其方の兵藤一誠も覗きをしているようだな。さて、どうしてその様な者と会いたいのだ?」

 

「イ、イッセーさんは私の初めての友達ですし、レイナーレ様の所から助けようとしてくれました」

 

「む? あの程度の堕天使なら楽に倒せるだろう? ……それと、ゼノヴィアとは友達にならなかったのかね?」

 

「え?」

 

「え?」

 

両方のアーシアの辿ってきた道は余りにも違い過ぎる。それが何とも言いようのない空気の原因となった……。

 

 

 

 

 

 

「え~と、此方の大掛かりな装置のせいで平行世界に来てしまった、って事で良いんですよね?」

 

「……そうだけど、妙に冷静ね」

 

「はい。グダグダ悩んでも仕方がありませんし。あっ! 此方のゼノヴィアも部長の眷属なんですね」

 

「あ、ああ」

 

一方、もう片方のリアス達はアーシアの空気に押されていた。自分達のアーシアと違い、今居るアーシアは活発的で、

 

「……大きいわね」

 

「大きいっすね」

 

 リアスの視線はゼノヴィアと同程度の身長に。一誠の視線はゼノヴィアと同程度の胸に注がれている。そんな時、アーシアが一誠の方を向いた。

 

「あの、此方の方は誰でしょうか?」

 

「……え? あの、アーシア? あっ! アーシアと呼ばせて貰うわね。貴女の世界にはイッセーが居ないの?」

 

「あ、イッセーさんというんですね。はい、一度も会った事のない方ですよ」

 

「……あの、アーシア先輩。だったらどうして悪魔になったんですか?」

 

「私を連れ去ろうとしたので返り討ちにした悪魔が私の死んだお母さんが魔女として追放されたエクソシストだったってバラしたせいで教会を追放されて、何か企んでそうな堕天使が近づいて来たので探ろうと騙されたふりをして、悪魔になっていた生き別れの叔父さん兼育ての親と再会したので堕天使をボッコボコにして悪魔になりました」

 

「ワイルド&アグレッシブッ!? ラ、ライザーと私の婚約は?」

 

「え? ライザーさんってレイヴェルさんのお兄さんですよね? リゼルさんとレイヴェルさんが婚約の何方かを選ぶ事になって、部長との方は破談になったって聞きましたけど?」

 

「……え~と、貴女の所も夏休みなのよね? コカビエルの一件や三すくみの会談でのテロは?」

 

「コカビエルさんは再会した姉さんと叔父さんが倒しましたよ。そして会談でヴァーリさんが裏切りましたけど、私が赤龍帝としてボッコボコにしておきました♪」

 

「……ねぇ、イッセー。世界が変われば色々と変わるものねぇ……」

 

アーシアの話を聞いたリアス達はすっかり疲れ、一誠などは目が虚ろだ。それほど目の前のアーシアは自分達が知るアーシアと違いすぎた。

 

「は、はい。もう、彼方と此方では別人ですよ。……あの、アザゼル先生。此方のアーシアは何処に行ったんですか?」

 

「ああ、それなんだがな。どうも同じように平行世界に飛ばされたみてぇなんだ。まぁ、何時頃か分からねぇが、今日中には帰ってくるからよ。……所で今、アーシアが赤龍帝って言わなかったか?」

 

「あ、はい。堕天使の……レイナーレでしたっけ? レイナーレさんが抹殺対象から抜き取ったけど、雑魚だから要らないと倉庫に放り捨ててたのを回収したんです」

 

「其方の俺、死亡っ!?」

 

「そして、これが私が独自に進化させた『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』改め、『赤き麻婆龍帝(ウェルッシュ・マーボー・ドラゴン)』です!」

 

『……さて、此方の俺……羨ましいだろうっ! 自由に動ける体だぞっ!』

 

『ぐっ! くっくぅ。う、羨ましいぃぃぃぃ! だが、なんだその名前はっ!?』

 

『名前なんて飾りです。偉い人には其れが分からんとです。……相棒、燃料が切れかけだ。新しい麻婆を……って、それは勘弁してく、あぎょべぇぇぇぇぇぇぇっ!?』

 

 激辛麻婆茄子を口に流し込まれたドライグは泡を吹いて悶絶し、アーシアはその麻婆茄子を美味しそうに食べだした。

 

 

 

「……ご飯が欲しいですね」

 

 

その後、ようやく冷静さを取り戻したアザゼルがアーシアの神器を調べたがるも、丁度時刻は夕方。パンドラの解析通りに二人のアーシアは元の世界に戻って行った。

 

 

 

 

 

「おかえり、アーシアぁぁぁっ!!」

 

「ふぇっ!? み、皆さんっ!?」

 

アーシアの姿を見るなりリアス達は抱き着く。此方のアーシアは模擬戦でデュランダルを真剣白刃取りしたり、拳圧で朱乃の雷を吹き飛ばしたり、禁手状態の祐斗と一誠を同時に相手にし、禁手を使わずに勝つ様な事は出来そうになかった……。

 

 

 

「……お姉ちゃん、か。やっぱり、羨ましいなぁ」

 

 その後、アーシアは偶にリアス達をウッカリして”お姉ちゃん”と呼ぶ事があった。




アンケートで霊感一行が行く世界候補の提案があったディスガイア系とのクロス(1の魔人のオリキャラをレイナーレの元にいる時のアーシアが召喚してしまう)や、氷の覇王がゼノヴィア×ギャスパーになりそうなので、そのr18(ギャスパー攻め)とか浮かんできた(笑)


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