「……では、今日から此処はお前の家だ。一誠、空き部屋に案内してやれ」
アーシアを助けた翌日、ドラクルファミリーの本部まで連れて行かれたアーシアは一星龍に面会し、組織に入る事を了承した。表向きは一誠達が所属している事になっている魔術師の組織の一員とし、ある程度の常識を学ばせたら学校で社交性を身に付けさせる予定になっている。
「ボスって一誠さんが言っていた通り、見た目は怖いけど悪い人じゃないんですね」
一誠はアーシアに組織の事を少し話し、”ボスは悪い人じゃない”、と伝えた。確かに悪い”人”ではない。本来の歴史の一誠と違ってこの世界の一誠は嘘を身につけている。もっとも、嘘が苦手なのには変わりないが。
『小娘。此処には一誠の様に危険な神器を持っていたり、特殊な力を危険視されたりとまっとうに生きれない奴ばかり集まっている。だから変えられぬ過去など気にするな』
「はい! ドライグさん」
アーシアは笑顔を浮かべながら一誠と共に与えられた部屋まで向かっていった。
「不発弾?」
「ええ、警察が慌ただしくしていたわ。魔力は感じなかったし間違いなさそうですわよ」
リアス達は管轄地である街の外れの教会が吹き飛んだのは不発弾のせいだと知って一先ず安堵する。調べてみれば教会はどこの勢力の所有地でもないらしく何も問題はないだろう。安堵したリアス達は優雅にお茶の時間を始めた。
「ヘ~、あの姫さん結婚するのか。まっ、貴族なら当たり前か」
「いや、どうも我が儘を言って婚約を撤回させようとしたらしい。”私は私を私としてみてくれる人と結婚する”とか”結婚相手は自分で決める”、とか言っていたらしい。貴族として豪奢な生活をして育ち、家から多額のお小遣いを貰い、家の地位を散々利用し、家の力で人間界の学校に通っていながら……」
そして二ヶ月ほどした頃、一誠はリアスが結婚したとヴァーリから聞かされた。お相手はライザー・フェニックス。どうも婚約破棄をかけたレーティング・ゲームで負けたらしい。
「まあ、組織の商売に関わらないなら別に良いか。所でアーシアの転入が延期って本当なんすか?」
アーシアの学校だが組織で特に仲の良い一誠達に面倒を押し付ける事が決定した。アーシアは驚く速さで勉強を進めていただけに延期を聞いた時は落ち込んでいたらしい。
「どうも教会がエクソシストを任務でこの街に派遣したらしくてね。ほら、彼女って教会を追放された身だし狂信者共に絡まれたら危険だろう? 俺達もあまり力を見せる訳にはいかないしね」
「しょうがないっすよね。……何かお土産でも持って励ましに行くか」
「俺も付き合うよ。可愛い後輩の為だからね」
二人は周囲の人には別の会話に聞こえるようにしながら校門を目指す。あと、BLの噂が流れないようにもしていた。そして二人が校門を潜ろうとした時、不審人物二人とすれ違う。
「……一誠君?」
「え~と、誰? 悪いけど俺は用があるから行かせて貰うから」
不審人物の片方が一誠の顔を見て驚くも一誠はそそくさと去っていく。おそらくこの不審人物達がエクソシストだろうし関わらない方が吉だからだ。背中に掛けられる声を無視して一誠は早足でその場から離れていった。
「……良いのかい? 多分組織に入る前の知り合いだったみたいだったが」
「今の俺はドラクルファミリーの一誠ですし、過去を思い出したくないですから」
「そうか。……よし、帰りに焼肉でも行こう今日は俺が奢ってやる」
「エクスカリバーが堕天使に奪われた?」
「ああ、そうだ」
リアス達の下を訪れたのはゼノヴィアとイリナという少女二人。話を要約するとコカビエルという堕天使幹部にエクスカリバーが奪われ、この街に入り込んだから行動させろ、というものだった。彼女達はその後は不干渉を要求。悪魔と堕天使が手を組む事を危険視し、もし手を組んだら魔王の妹でも滅ぼすとまで言って来た。リアス達はこれを渋々了承する。だが、眷属の一人である祐斗が帰ろうとした二人を呼び止めた。
「悪いけど君達が持っているエクスカリバーを置いて行ってくれ」
「俺の事を聞いてきた?」
「ええ、イリナって女の子なんだけど」
翌日、家の前でリアスにイリナが一誠について聞いてきた事を聞かされた一誠は必死に記憶をたどる。そして小学生になる前の友人を思い出した。
「ああ、イリナですか。……俺の親が悪魔に殺される前に仲良くしていた奴っすよ。短髪で活発だったから男だと思ってたけど女だったんっすね。別れたのが親が殺される前でしたから覚えてなかった」
親が殺された、の件は多少嫌味ったらしく言いながら一誠は質問に返答した。
「……そう。態々悪かったわね。そうそう、堕天使が来ているみたいだから気を付けた方がいいわ」
「どうせ三すくみのゴタゴタっすよね? 力や後ろ盾のある俺達は兎も角、この街で暮らしている一般人や力の無い人外は迷惑なんっすよね。あんたらの生まれた世界は此処じゃないってのにコッチで争ってさ」
一誠は明らかに不機嫌そうにいうとリアスが何か言う前に家の中に戻っていった。
そして一誠から話を聞かされた一星龍は部下に詳細を調査させ、静かに呟いた。
「目障りだ。……消せ」
実際、悪魔以外の人外や異能力者が居るんですよね でも三巻では避難のための連絡や協力要請をした様子は・・・・・・
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