ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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従者が金ピカと青タイツと半裸だったら…… ⑨

聖書に記されるまでした歴戦の堕天使コカビエル。教会からエクスカリバーを強奪した彼は聖剣計画の首謀者とハグレ悪魔祓いと共に駒王学園にてエクスカリバーを完成させようとする。彼の目的は戰爭をひこ起こす事。そして今、その野望は潰え様としていた……。

 

「ぐっ! ま、まさかセラフォルーがこの街に居ようとは。そ、それに小僧。貴様何者だ!?」

 

コカビエルの半身は凍りつき、右腕と左の羽は砕けている。そして、残った部分も柳の猛攻によってズタズタに切り裂かれていた。完成したエクスカリバーは仲間の魂を引き継いだ祐斗の禁手によって破壊された。残ったコカビエルは圧倒的な力でリアス達を追い詰めるも、あくまで依頼はエクスカリバーの奪還だと戦いを傍観していた柳がコカビエルに挑み、柳の部屋に忍び込んでシーツの匂いを嗅いでいたセラフォルーも異変を察知して参戦。そして、今に至る……。

 

「ふふん! 私と柳ちゃんの愛の力を見た? ……あ痛たたたたたたたたっ!! 柳ちゃん、そういうプレイは二人っきりの時に……ぎゃぁぁぁぁ、冗談冗談!」

 

柳は無言でセラフォルーの顔を掴むとギリギリと締め上げる。セラフォルーの顔からはメキメキという音がしていた。セラフォルーは必死で顔を掴む柳の手を退けようとするもビクともせず、ようやく離した時には涙目になっていた。その光景を見たリアスは呆然として呟く。

 

「す、すごい! セラフォルー様にあんな事ができる人間が居るなんて……」

 

余りに自由すぎるも、その力から誰も文句を言えない魔王セラフォルー・レヴィアタンを涙目で謝らせる人間。そんな希少なものに目を奪われていたリアス達は気づかなかった。コカビエルが残った腕で光の槍を生成し、

 

 

 

 

 

 

 

「ぶるあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 柳ぃ! ちょっと、来ぉい!!」

 

その上からバルバトスが降ってきている事に……。バルバトスは踏みつけたコカビエルを邪魔だと言わんばかりに放り投げ、コカビエルは飛んでいった先で白い鎧と激突して二人揃って落ちていった。

 

「……やっぱりカンが当たりましたか。では、行きましょうか。ゼノヴィアさん、聖剣は取り戻しましたし構いませんよね?」

 

「あ、ああ。構わないさ」

 

「神の不在とか急に言われてショックでしょうが、人生は気の持ちようですよ、まっ、気が向いたら、また何かお作りします。……セラフォルーさんも今日は助かりました。今度お礼でもしますよ」

 

「柳ちゃんがデレた!? キャッ♡ きっとこれから二人のラブコメが始まるんだ。偶然私をベットに押し倒しちゃって、そのまま二人は……私、柳ちゃんに調教されて、柳ちゃん無しじゃ生きられない体に……」

 

「……神田くん。料金は後払いでお願いします」

 

「……分かりました。断罪の……エクセキューション!!」

 

顔を紅潮させながら体をくねらせて妄想に耽るセラフォルーに対し、様子を見に来たソーナは冷めた目で柳に目の前のアホをどうにかしろと頼み、柳はセラフォルーに向かって上級クラスの術を発動する。上下から噴出された闇のエネルギーがセラフォルーを包み込む。

 

「ああ、私は柳ちゃんの性奴れ……はぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「……では、ごきげんよう」

 

プスプスと煙を上げて倒れるセラフォルーを無視し、柳はバルバトスと共に何処かへと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何があったのかは知りませんがとりあえず謝っておきます。ごめんなさい」

 

深々と頭を下げた柳の目の前にいたのは酒盛りに参加していたメンバーの他に簀巻きにされた時臣と綺礼、そして切嗣だった。他にもバーサーカーのマスターである雁夜と義理の姪っ子である桜は服が多少こげ、頭がチリッチりになっている。まるで感電でもしたかの様に……。

 

 

「……エネルさん?」

 

「ヤハハハハハ。なぁに、ちょっとした余興の為に迎えに行ったのだが、其奴らの体に不快な虫がおってな、我の電撃で皆殺しにしてやったわ! ……まぁ、そ奴らの心臓も止まったが蘇生したから構わんだろう?」

 

「マジ、すいまっせんしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ははは、構わないよ。バーサーカは死んで、僕たちもビックリしたけど、むしろ助かったし、……爺も始末してくれたからね」

 

土下座して謝る柳に対してそう言って笑いかける雁夜を見て綺礼は思った。あの人、ホント良い人だと。

 

 

 

 

 

 

 

「……話は分かりました。そこに居る赤毛の方と昔の貴方と腹ペコそうな方との戦いの場を作れば良いのですね?」

 

「腹ペコそうな人!? そんな事より貴方があの料理を作った方ですね!? ぜひ、私と……」

 

柳に対し、求婚しようとしたセイバーだったがギルガメッシュに突き飛ばされ、セイバーは数メートルの距離を顔からスライディングしてようやく止まった。

 

「やめい、究極完全体腹ペコ神アーサー! さて、皆の者にも紹介しよう。我が家臣の柳だ」

 

「あっ、どうも。神田 柳と申します。……ウチの三人がホントご迷惑おかけします。……ところで、私と彼らの関係は……」

 

「おう! 英雄王より聞いておるぞ! なんでも神が宝具の様な物を人に宿している世界から来たとか! ……ちなみに吾輩の軍門に降る気はあるか?」

 

ライダーは何時もの恒例とばかりに柳を勧誘するライダーだったが柳は平然と首を横に振った。

 

「お断りします。私の王は英雄王のみであり、神はエネルさんだけであり、親分はバルバトスさんだけですから。……では、皆様揃ってご招待します。禁手(バランス・ブレイク)!!」

 

その瞬間、その場にいた全員は見慣れぬ場所に移動していた。近代的な作りの部屋であり、中央には椅子とテーブル、壁には大型のモニターがついてある。そして、テーブルの中央にはガラスケースに入った聖杯が置かれていた。

 

 

 

 

 

「では、マスターの皆様はこのクジをお引きください。なお、戦闘フィールドはランダムとしています。なお、この試合では死ぬ事はありませんが、負けた方には罰ゲームを受けていただきます」

 

 

 

 

柳が説明を続けようとした時、部屋の中を興味深そうに眺めていた時臣が近づいてきた。

 

「……それにしてもこれは固有結界の様な物かね? 君の世界の神は恐ろしい。このような物を人に与えるのだからね」

 

「あっ、貴方は時臣さんですね。ギルさんから聞いますよ。ギルさんを呼び出して、最終的には綺礼さんとギルさんに裏切られて死んだとか。後、私がこれを完成させる為に行ったのは、英雄王と戦闘訓練、72時間戦えますか? です」

 

「そ、そうかね。……おや、こちらの相手も英雄王か」

 

柳の受けた修行内容に引いてしまった時臣は自分の末路を知らされたのも忘れ、哀れんだ視線を送り、クジを引いた。彼の引いたクジに書かれていたのは、『南京錠みたいな耳飾りの人』だった。

 

「……ほほぅ? 貴様、それでよく我だと分かったな?」

 

「え、英雄王!? いや、これは……」

 

「貴様もだ、柳。誰の耳飾りが南京錠だと?」

 

「……てへ✩」

 

ギルガメッシュ達はそれぞれの相手を引きずり、どこかへ連れて行く。他の者たちは二人の悲鳴を聞かなかった事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、次は僕だね。……一つ聞いても良いかい? 彼らは好き放題に暴れているが、君はそれについて何も思わないのかい?」

 

次にクジを引くのは切嗣だ。いつの間にか復活した柳はクジを差し出し、切嗣はその顔をじっと見て口を開いた。

 

「いえいえ、彼らにはそうやってストレスを発散していただかないといけませんから。おや、『半裸』ですからエネルさんですね。……え~と、貴方が衛宮切嗣さんで間違いないですよね? そこの腹ぺこさんはアーサー王であってますか?」

 

「……ああ君の所のギルガメッシュは未来から来たんだったね。それで合ってるよ」

 

「なる程。やはり其処の方がギルさんの初恋の方ですか」

 

「お、おい! 柳!?」

 

顔を真っ赤にして止めようとするギルガメッシュだったがバルバトスとエネルに邪魔されて柳に近づけず、柳はそのまま言葉を続けた。

 

「いや~、第五次でギルさんを倒したのがそこのセイバーさんと、当時高校二年の貴方の息子さんと聞いていましてね。息子さんは確か、冬木市に住んでいるとか?」

 

「……へぇ。切嗣、ちょっとお話いいかしら?」

 

「ア、アイリスフィール!? ぼ、僕には心当たりが……」

 

黒い笑みを浮かべながら引きずられていく切嗣を見た柳は二人には聞こえない様に呟く。

 

「……まぁ、養子なんですけどね」

 

すると、突如セイバーが話しかけていた。その顔はどこか呆れているようだ。

 

「……先程から悪戯が過ぎませんか? 彼らに何か恨みでも?」

 

「時臣さんの方は最終的にはギルさんを裏切ろうとしてましたし、切嗣さんの方は先程の質問が気に入らなかったので。それに、未来の貴方は敵マスターになったあの二人の娘さんを殺そうとしたらしいですよ? では、ライダーさんは残ったバルバトスさんですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、バーサーカーさんとアサシンさん達はどうしました?」

 

「バーサーカーはエネルとやらが始末したらしい。アサシンは最後のカレーを狙ったバルバトスとやらに切り飛ばされておったぞ。ほれ、あやつがマスターだ」

 

「……まぁ、私も戦わなくて良かったと思いましょう」

 

ライダーが指差した先には目が死んでいる綺礼の姿が有り、柳はその姿に何か感じるものがあった……。

 

 

 

 

 

 

 

その後、何とか復活した切嗣達から試合を始める事となり、エネルとセイバーは転移装置で移動していった。戦いの場はシンプルなコロシアム.中世を思わせる石づくりの闘技場の真ん中で二人は向き合う。エネルは黄金の槍を構え、セイバーは不可視の剣を構えた。

 

『では、第一試合 (ゴット)エネルvs騎士王セイバーの試合を始めます。 始め!!』

 

アナウンスが流れた瞬間、セイバーは矢の様な速さでエネルに迫り、黄金の槍を切り飛ばした。

 

 

 

『おおっと! 序盤からセイバーが攻める! 解説の柳さん。この試合どうなると思いますか? なお、実況は麻婆神父こと言峰綺礼が行わさせて頂きます』

 

『そうですね。武芸の腕はセイバーさんの方が一枚上手といった所でしょうか。ですが、私はエネルさんの圧勝だと思います』

 

『しかし彼は武器を壊されていますが、何故でしょうか?』

 

『直ぐに分かりますよ。おそらく、武器の件もお遊びでしょうね』

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

セイバーは大上段に構えてエネルに接近し、一気に振り下ろす。セイバーの剣は確かにエネルを捉えていた。

 

(勝った! これで我が故郷を……!)

 

勝利を確信した彼女だったが持ち前の直感が働いてその場から飛び退く。そしてエネルの姿を見た彼女は驚いたような表情を見せた。確かに切ったはずのエネルには怪我一つなかった。

 

「ヤハハハハ! 相性が悪かったな、セイバーよ! 我は雷人間。自由自在に雷になれるこの体には物理攻撃など効かん」

 

 

 

『雷人間とはどういう事でしょうか? 柳さん』

 

『ええ、彼の居た世界には悪魔の力を宿した実があるらしのですが、彼はそれを食べて自分の体を雷に変え。でっ、さらに雷を自由自在に操る力を得たらしいです。また、彼はマントラという相手の動きを察知する力と実の力を合わせ、支配していた空に浮かぶ島の国民全員の会話を常時監視し、逆らう相手には制裁を行っていたらしいですよ』

 

『恐ろしい話ですね。なるほど、彼が自らを神と呼ぶのは伊達ではないというわけですね。おおっと! セイバーの猛攻に対しエネルは身動ぎもしない! 攻撃が全てすり抜けています! 剣技主体のセイバーでは相性が悪いようです!』

 

その言葉を聞いたセイバーの表情には焦りが見えたが、すぐに顔を降ると剣を上段に構える。いつの間にか剣は見える様になっており、神々しい光を放っていた。

 

「……ならば! 約束された(エクス)……勝利の剣(カリバー)!!」

 

振り下ろした剣から放たれるのは全てを飲み込む光の波動。アーサ王の代名詞とも言うべき聖剣の一撃はエネルを飲み込み消し飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

「ヤハハハハ! マントラで読んでなかったら危なかったな」

 

「なっ!? あの一撃を避けた!? くっ!」

 

無傷で自分の後ろにいたエネルに切り掛ろうとしたセイバーだったが、先ほどの大技の消耗から膝をつく。すると、エネルは笑い顔をやめ、急に真面目な顔となった。

 

「さて、其方が大技を出したのだから此方もそれに答えよう。 雷迎(らいごう)!!」

 

エネルが作り出したのは巨大な雷雲。膨大なエネルギーを持つ雷と乱気流が渦巻くそれはまっすぐにセイバーへと落ちていき、辺を稲光が包み込んだ。

 

 

『……まさか此処までとは』

 

『第一試合 勝者エネル! なお、セイバーさんと切嗣さんには罰ゲームルームに行っていただきます』

 

そのアナウンスする柳の笑は凶悪なものだった……。

 

 

 

 

 

 

「な、なんだこの格好は!? 私を王と知っての所業か!?」

 

「アイリスフィール、頼むから私を見ないでくれ……」

 

目が覚めたセイバーが纏っていたのは某国民的子守ロボットのキグルミ。彼の顔の部分に穴があり、そこからセイバーの顔が覗いている。その隣で切嗣は幼稚園の制服を着ていた。二人が居るのは観覧席とガラス越しにある部屋だ。その為、今の格好に対する他の面々の反応が丸見えだった。

 

「クックックック、ハッハッハッハッハ! 良い格好だな、騎士王よ! いや、今は騎士えもんとでも呼ぶべきか?」

 

「クックック、英雄王よ。なかなか面白い事をおっしゃる」

 

 

『あっ、ちなみにこの罰ゲームはその人がアホだと思う格好です。ちなみに時臣さんはアーチャーさんの格好みたいですよ』

 

「……ほほぅ。我の鎧をアホっぽいと思っていたのか、時臣?」

 

「まぁ、成金ぽいなぁとは……はっ!」

 

アーチャーは時臣を引きずって行き、時臣の絶叫が響く。観覧席に残った者達は聞こえないふりをしながら出された料理に舌鼓を打っていた。

 

 

 

 

 

 

 

『さて、第二試合は英雄王同士の戦いとなりましたが、どう見ますか? 解説の柳さん』

 

『そうですね……って! 開始の合図前から宝具が飛び交っています! まるで、雑種の号令など知らん! と言わんばかりです!! ……まぁ、試合の流れは明らかにアーチャーの不利ですね。あっ、お二人にご忠告です。エアを使われたら死亡防止の効果が発揮できませんのでお気を付けを』

 

柳が見つめる先ででギルガメッシュがアーチャーが打ち出した宝具と同じ物をぶつけて弾きあっている。二人の英雄王の宝具はちょうど真ん中でぶつかり合い、地に落ちていた。二人が戦っているのは溶岩に浮かぶ岩の上。弾き飛ばされた宝具は溶岩に沈んでいった。試合を見守る者達はアーチャーの不利を悟る。そう、ギルガメッシュはアーチャーが出した法具をなにか見極めた後で同じ物を出し、両者の真ん中で相殺していたのだ。これが示すことは唯一つ。ギルガメッシュの射出スピードがアーチャーのそれを上回っているという事。その事実にアーチャーの表情からは余裕が消え、焦りが見えだした。幾ら相手も自分とはいえ、王の中の王である自分が負けるわけにはいかない。たとえ、未来の自分を殺してでも……。そう考えたアーチャーは切り札を使う決意をする。

 

「……やはり、我自身が相手では遊んでいられんな。こうなったら!」

 

アーチャーが取り出したのは巨大な鍵のような剣。これを使って取り出す剥離剣エアの真名開放は彼の切り札である対界宝具・天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)をだ。彼がそれを捻ると円柱状の刀身を持つ剣が現れ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅い! 天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!」

 

鍵を使わずにエアを取り出したギルガメッシュは至近距離で真名開放を行う。森羅万象全てを崩壊させる宝具の力を間近で受けたアーチャーは消え去った。本来ならフィールドに掛けられた死亡防止の効果で負けたら罰ゲームルームに送られるはずが、部屋がエアの影響で崩壊しかかった為に発動せず、この世界からアーチャーの存在は完全に消え去った。

 

「戯けが! 同じ我なら二十年の差がどれほど大きいか察せなんだのか?」

 

 

 

 

 

 

 

『……まさか過去の自分を消し去るとは。柳さん、彼には影響がないのでしょうか?』

 

『はい。バルバトスさんの話では過去に戻って歴史を変えても並行世界が生まれるだけで、過去は変えられないらしいです。……聞いていますか? セイバーさん。貴女が聖杯に祖国の滅びの運命の改変を願っても、貴女が救えなかった人達は救えないんですよ』

 

「……」

 

辛辣な柳の言葉に黙りこむセイバーであったが、格好が格好な為にシリアスさが台無しだった。そして、最後の試合はライダーvsバルバトス。その試合を前にライダーはマスターであるウェイバーに問うていた。家臣として自分に仕える気は有るか、と。その問いに彼は泣きながら答える。

 

「貴方こそ僕の王だ。貴方について行く。どうか僕を導いて欲しい」

 

 

 

そして、最後の試合が行われる。試合の場所は一面の銀世界。足場の悪い場所にも関わらず二人は斬り合っている。しかし、ライダーの刃はバルバトスに届かず、反対にライダーの体には無数の切り傷ができ、溢れ出す血が雪を赤に染めていく。だが、それでも彼の顔からは笑が消えていなかった。

 

「ガハハハハハハハハ! 愉快愉快! まさか此処まで力の差があろうとは! 一つ提案があるのだが、吾輩の切り札を使わせてはくれんか?」

 

ライダーの提案に対し、バルバトスは無言で斧を地面に置く事で肯定の意思を示す。

 

「……かたじけない。では、使わせてもらうぞ! 我が軍勢を!!」

 

その瞬間、ライダーから光が放たれ、銀世界は一面の砂漠となっていた。そして、ライダーの後ろに無数の軍団が現れる。これこそがライダーの切り札、王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)だ。その正体は英霊の超連続召喚。彼に付き従う近衛師団の面々は全て強者である。それを感じ取ったのかバルバトスは舌なめずりをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『驚きましたね。まさか私の空間を侵すとは』

 

『これは流石に彼でも危ないのでは?』

 

『……いえ、それはないでしょう。彼は三人の中で最強です。たとえあの二人が同時にかかっても彼には勝てませんから……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Aaーーーlalalalalalalalalaie!!!」

 

ライダーは召喚した愛馬に乗り、無数の軍勢を率いてバルバトスに迫る。対するバルバトスは斧を振り上げ、一気に振り下ろす。

 

 

 

 

 

「ワールド……デストロイヤァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

その瞬間、ライダーの視界は闇に覆われ、世界が吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、皆さん。聖杯の事はお任せします。この世界の事はこの世界の皆さんで何とかしてくださいね。……では、私達は此処で」

 

「ふんっ! せいぜい足掻くのだな、雑種共」

 

「中々楽しかったぞぉ」

 

「ヤハハハハハ! また会おうぞ!」

 

こうして聖杯戦争に乱入した四人は去って行き、参加者達は聖杯の汚れへの対処を考える事となった。残ったサーヴァントはライダーとセイバーのみ。これからこの世界がどうなるかはまた別の話である……。

 

 

 

 

 

なお、ライダーはピンク色のフリルのついた魔法少女の衣装を着ており、ウェイバーは等身大のタラコを着ている。すると、彼にセイバーが近づき、

 

 

 

 

 

 

「……そのタラコ。美味しそうですね」

 

『いい加減にしろ! 腹ペコ王!!』

 

「ハモった!?」

 

その時、敵同士だった彼らの心は一つになり、一斉にセイバーにツッコミを入れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

家に帰った時、柳は思い出した様にギルガメッシュに問いかける。

 

 

「王は過去を悔やまないんじゃなかったんですか? 今回の貴方はまるで過去の自分の悪行を止めたい様でしたが……」

 

「阿呆が! 王である我は過去を悔やまん。だが、この世の全ては時の果てまで我のものだ。たとえ我自身が相手でも、我の所有物を傷つけようとしているのを見過ごす訳にはいかん。……ただ、それだけだ」

 

そう答えた彼の顔はどこか恥ずかしそうな表情を見せていた。セイバーとの戦いと柳と過ごした10年間は彼を変えるのに十分だったのだろう。それは、過去の自分を許せないほどに……。


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