体感型RPGユグドラシル、かつての人気も衰え最終日を迎えたその日、ゲームの中で大騒ぎが起きていた。
「待ちやがれー!!」
「よりにもよってこんな日にー!!」
「此処までおいでー!!」
無数のプレイヤーから逃げているのは絵本の泥棒のような格好をしたパンダ。この日彼は世界に一つずつしかない貴重なアイテムを計百八十九個や神器級という創りだすのに非常に手間のかかるアイテムを各ギルドから盗み出し、今逃走しているのだ。
なお、名前はアンノウン。毎度おなじみパンダのキグルミ(正体黙示録の獣)である。毎度のように散歩感覚で異世界に行ったアンノウンは漫画や小説でお馴染みのゲームを発見して何処から出てくるのか分からない謎の財力を駆使してユグドラシルで最強の称号を手にしていた。
「今だ! パ・ン・ダ・ビィィィィィィィム!!!!!」」
全く意味のないコサックダンスをしながら目から放たれたビームは着弾と同時に爆発。追ってきたレベルカンストのプレイヤーを一撃で仕留めたのだが、彼は何度も運営にお願いが出来るワールドアイテムを手にしてはレベル上限を上げてもらい今やレベル六百六十六。呆れた運営に『ワールドデストロイヤー』というあまりに強すぎてボツになって実装されなかった職を特別に貰っていた。
「あっ! もうすぐ終了だ。最後にはナザリックに戻ろうかなぁ」
ちなみに『オーバーロード』の二次なのでテンプレ通り至高の四十一人の一人(一匹?)である。
そしてシーンは大幅に飛ばされ異世界転移後、最後に一人で過ごしたモモンガは階層守護者を集めて確認を行っていた。
「最後にお前達にとって私はどのような存在か聞かせてもらおう。最初に……なんだ?」
地面が突如盛り上がり、地中から出てきたのはモグラ型のロボット。操縦席にはヒーローっぽいのが乗っている。他にも空からアホウドリ型のロボットや闘技場の壁を乗り越えてスカンク型、ワニ型、エリマキトカゲ型の巨大ロボットが出現してもちろん中には誰かヒーローっぽいのが乗っている。
「行くぞ合体だっ!!」
「「「「おう!」」」」
アホウドリ型ロボットを先頭に飛び上がったロボット達。登場順に胴体頭右腕左腕右足左足と変形していき、巨大ロボットになって地面に降り立つ。その手に持っているのは芝刈り機だ。
『魔獣機神ナザリーン!』
背後で爆発が起きて地面が弾けとぶ。ナザリーンの口が光ると光の階段が現れ、モモンガの直ぐ傍まで伸びてきた。やがてナザリーンの口が開き階段の輝きが増した時、闘技場の入り口を通って普通にアンノウンが入ってきた。
「プレアデスから聞いて急いできたよー! 僕、種族ペナルティーで指輪が装備できないから困った困った」
そのまま何処からか走ってきた車に轢き飛ばされて空の彼方へと飛んでいくアンノウン。車が何処かに去っていくとモモンガの服の裾をめくって中から這い出してきた。
「じゃあ、話を進めようか」
「何処から出てきたの!?」
「え? モモッチの服の中からだけど?」
ちなみにワールドデストロイヤーのスキルには周囲の者に対し『完全なる狂騒』というアイテムと同じ効果を与える物があるのでモモンガの精神強制安定は無くなっていた。
「ふーん異世界かぁ。何か美味しいものあるかな?」
「いや、それドコロじゃないですってアンノウンさん。これからどうします?」
「お腹が減ったから何か食べて眠いから寝るねー!」
ナイトキャップを被り抱き枕を片手にしたアンノウンはマイルームに向かって駆け出していった。
「あの~。私達はどうすれば?」
巨大ロボの操縦者達はずっと話が終わるのを待っていた……。
「しかしどうやってこの世界に来たんだろうね? 所で前にモモッチが眠たそうにしている時に偶々来ていたるし★ちゃんにダブやんにウルルンと一緒に多数決で採決した十一階層の守護者達は呼ばなかったね」
「聞いてないし存在自体知らなかったっ!? リストにも載ってませんよ!?」
「ワールドアイテムでギルド長が階層に入るまで表示されなくしたんだ」
何か色々疲れたモモンガはアルベドを連れ、隠し通路と言ったら此所でしょ!、とアンノウンが豪語するとおりに玉座の後ろの隠し会談を下って十一階層に辿りつく。
「凄い・・・・・・」
其所はまさしく天国のようであった、蜘蛛より高い場所に浮かぶ神殿と神殿を通路が繋ぎ、植えられた木には鳥が止まっている。其の光景に言葉を失って見とれていたモモンガの視界に人影が入ってきた。
「はじまめしてぇん。モモンガ様と守護者の中で
声はアイテム嫌いの某英雄殺しや華麗なるVの魔物の子と同じ、身長199㎝の黒光りする肌の厳つい筋肉達磨、美しい黒髪が腰まで伸びている。何か非常に見苦しかった。
「・・・・・・負けた。完膚無きまでに負けた」
「何処がっ!? 二メートルはある化けモンじゃん!?」
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!、誰が身長2メートルの巨人ですってぇぇぇ、ワタシの身長は199㎝よぉ!!」
だがアルベドが即座に負けを悟った。
「所でモモッチ。闘技場に居た巨大ロボットってなぁに?」
「まさかの無関係っ!?」
その後、カルネ村を襲った騎士達を宴会芸をしながら紅白に出る為の歌の練習で倒したり森の賢王を丸呑みにしたり殺人狂を時給二百五十五円で雇うなどしたアンノウンは帝国に味方して王国の軍隊と戦う事になった。
「パンダビィィィィィィィィィィィム!!!」
戦闘開始からわずか数秒で王国軍はオマヌケ面白やられ役三人組のようなドクロ型の煙を上げながら敗退した。ちなみにガゼフが某ネコ型ロボットに世話を焼かれれる少年と同じ声のキャラのポジションである。あと泥棒の神はラナー姫。アンノウンに『オーバーロード』最終巻までと四次元ポ○ットをプレゼントされた彼女はうまく立ち回っていた。最終的にはもしもボ○クスを使ったようだ。
アンノウン
カルマ値 五百(極善)
レベル六百六十六
種族
ビーストマン(大熊猫) 15
キメラ 合成獣 10
シンジュウ 神獣 5
アポカリプティックビースト 黙示録の獣 5
職業
ワールドチャンピオン 5
ワールドデストロイヤー 5
他
種族レベル 35 職業レベル 六百三十一
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