アナザー・ディメンジョン -異界交流記-   作:誠龍

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第60話 異世界フェス・その③

食事を終えた龍馬達は建築ギルドのある建物へと向かう。

そこでは男達が道具の手入れをしたり、建材を運び込んだり運び出したり、何やら設計図や書類のようなものを持ってあーだこーだと言い合っている。

と、そこに見知った顔を見つけた。

 

「ニコラスさん!」

 

「ん?おめえ……リョーマか!?どうしたんだよ?こないだニホンに帰ったってキースさんから聞いたぞ」

 

「ええ、実は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど。それでそのステージ設営のために俺らんとこに来たわけか」

 

「お願い出来ますか?」

 

龍馬のその言葉にニコラスはニヤリと笑って逞しいその腕を見せつけるようにして言った。

 

「あったりめぇよ!こちとら建築一筋でおまんま食ってきたんだ!それくらいお安いご用だぜ!なぁ、お前ら!?」

 

「おう!!」

 

「うっす!!」

 

ニコラスの言葉に建築ギルドの男達が頼もしく返事を返した。

帝都に存在する数々の家屋から噴水や下水に至るまで数多くの建築物やインフラ設備の設置や補修などを手掛けてきたニコラス達。

そんな彼等にとって屋外に舞台を作るなどまさに朝飯前であった。

 

「うっし!んで?どの辺りにどんな感じのを作るんだ?」

 

「場所は噴水広場の階段前辺りです。詳しいことはこちらの島袋さんに指示を受けてください」

 

「し、島袋と申します。よろしくお願いします」

 

「おう!俺ぁこの建築ギルド長のニコラス・マクレガンだ!よろしくな!」

 

ハハハ、と高らかに笑うガタイのいいニコラスを前に島袋は少しタジタジになる。

ニコラス達建築ギルドの男達は力仕事を生業にしてるだけあって皆体つきは逞しい。

腕は丸太のように太く、その巨体を支える足も巨木の根のようにがっしりとしている。

シャツで隠れてはいるが、おそらく胸筋・腹筋・背筋も日々の重労働によって相応に鍛えられているだろう。

その鍛えられた肉体こそ帝都の建築を一手に担い、帝都の発展に尽くしてきた男の証であった。

ここでステージの設計をニコラス達に指示するべく、島袋が一旦離脱する。

彼はニコラス達と共に噴水広場の方へと歩いていった。

 

「さて、私達も行動を起こそうか」

 

凛が伸びをしながらそう言った。

彼女は異世界でのステージ出演にあたってある希望があった。

それは"衣装"に関することである。せっかくの異世界のイベント出演なのだ。華やかに、そしてファンタジーの世界の住人になりきった衣装が欲しい。

 

「今回のフェスで使う衣装が欲しいんだよね。何か洋服屋さんとかないかな?」

 

「あ、リンそれなら……」

 

アメリアには心当たりがあるようで城の西側にとある店があるのだと語る。

店の位置や内容的に龍馬にもその店がなんなのかすぐにわかった。

そう、タマラの仕立屋である。

三人は帝都の西側に赴き、早速店へと向かった。

 

「おばさん!久しぶり!」

 

「ういーす」

 

「……あら?まあまあ!アメリアちゃんじゃないか!久しぶりだねぇ!それにリョーマ君じゃないのさ!どうしたんだい?ついこないだニホンに帰ったばかりじゃないか?」

 

「実は今度の収穫祭の出し物のアイデアが欲しいと皇帝陛下から話を持ち掛けられたんです。それで急遽打ち合わせや準備のために三日間だけ帝国に」

 

「まあまあ、そうだったのかい。しかし陛下直々に依頼されるなんて、リョーマ君はよほど信頼されてるんだねぇ」

 

「へへ……まあ……その……ありがとうございます」

 

タマラの言葉に照れつつ、龍馬は頭をかく。

凛の紹介を済ませてからこの店に来た本題へと入った。

 

「タマラおばさん、それで今度の収穫祭なんだけどね。私とリンはステージで歌うことになったんだ」

 

「あら!アメリアちゃんの歌が聴けるのかい?そりゃ楽しみだね」

 

「そう。それで舞台衣装をおばさんにお願いしたいの」

 

「なるほどねぇ。それであたしのとこへ来たってわけかい」

 

タマラは帝都一の仕立屋だ。庶民も貴族も、多くの者が彼女の腕を頼ってこの店にやってくる。

舞台衣装や礼装だっていくつも請け負ってきた。たった二着くらい、どうということはない。

 

「それで、どんな衣装がいいんだい?」

 

「あ!じゃあ、私は赤を基調とした衣装がいいです!」

 

「おばさん、じゃあ私は青い衣装がいいかな。デザインは……今から考えようかな。リンもそれでいい?」

 

「うん!」

 

「あいよ!なら急いで仕上げようかねえ。何せ収穫祭は"来週"だからねぇ」

 

 

 

「……は?」

 

 

 

今なんだか恐ろしいワードが飛び交った気がするが気のせいだろうか。

龍馬は恐る恐るタマラに訪ねてみる。

 

「あ、あの……タマラさん……今なんて……?」

 

「収穫祭は"来週"だよ。なんだい、陛下から聞いてなかったのかい?」

 

「ら、ら、来週!?!?」

 

ちょっと待って欲しい。いくら何でも来週は短すぎる。

人員の確保、機材や資材の運搬手続きなどやることは山積みなのだ。一週間はあまりにも短すぎる。龍馬は目眩を覚えた。

そしてすぐさまスマホを取り出し、電話をかける。

しばらくのコールのあと、かけた先の電話の主が応答する。

 

「"リョーマ君か?どうしたんじゃ?"」

 

能天気な声で電話に出たのは他の誰でもない、ソフォス皇帝だ。

 

「"どうしたんじゃ?"じゃありませんよ陛下!!!!祭りまであと一週間しかないなんて聞いてませんよ!!!!」

 

「"お?お、おお、そうじゃったかのう……すまぬ、どうやら伝え忘れたようじゃ……"」

 

「急いで金と人員を準備してください!!!!あとで城に行きますからね!!!!」

 

龍馬は凄い剣幕で怒鳴りながら電話を切る。

皇帝を怒鳴るなどあまりにも恐れ多いことだが、龍馬にはもはやそんなことは関係なかった。

 

「さ、斎藤君……来週って……」

 

「こりゃやべぇな……大急ぎでやらねぇと間に合わねぇぞ」

 

「リョーマ、私達はここでもうしばらく衣装について話し合うからリョーマは早く城に戻って」

 

「わかった」

 

アメリアと凛はタマラの店で衣装の打ち合わせを引き続き行うことになり、龍馬は城へと先に戻る。

城に到着すると応接室にてソフォス達と再び対面する。

 

「本当にすみませんでした。儂が悪かったです」

 

「マジで勘弁してくださいよ陛下!一番大事なことじゃないですか!聞かなかった俺も悪かったけどぉ!」

 

単なる学生に頭を下げる一国の王とそれに対し説教をする龍馬。そしてそれを端から見ていたアルバートが口を開く。

 

「リョーマ君、一発殴っていいぞ。責任は私が持つ」

 

「あっ、アルバート!?お主までそんな殺生な!?」

 

最近ますます皇帝に対する扱いが不憫になっていくアルバート。やはり色々苦労させられているようだ。もちろん今回の収穫祭のことも。

 

「いや、さすがにそこまではしませんけど……まあ、今さら祭りを延期にするわけにもいかんでしょう。俺は今から出し物のツテの連絡先に電話してきますから、陛下達はいつでも出費や運搬に関する人員を動かせるように準備しといてください。何とかしましょう」

 

「そ、そうか。あい、わかった!ではそちらは頼んだぞリョーマ君」

 

「はい、任せてください」

 

龍馬は応接室を出て客室へ戻るとノートとを広げて電話をかける。

まずは祖父の平蔵だ。

数回のコールののちに平蔵が電話に出る。

 

「"龍馬か?どうしたんか?"」

 

「じーちゃん!?今俺帝国にいるんだけど、やべえぞ!祭りは来週だってよ!」

 

「"来週!?いくら何でも急すぎんか!?"」

 

「花火とか出店何とかなりそう!?」

 

「"一週間は短すぎるが……孫の頼みや!何とかしちゃるわい!しばらく待っとけ!"」

 

「ありがとう、じーちゃん!じゃ、また後で!」

 

龍馬は電話を切ると今度は別の誰かにかける。次は父親だ。

 

「"龍馬か。どうした?"」

 

「親父!祭りが来週らしい!電源車何とかなる!?」

 

「"来週!?急すぎやしないか!?……まあ、何とかならないこともない。今から後輩に電話して準備が出来たらまた連絡する。お前も大変だろうが頑張れよ"」

 

「サンキュー、親父!頼りにしてるぜ!」

 

そして龍馬は電話を切ると最後の人物へ電話をかける。

 

「もしもし!」

 

「"もしもし、龍馬?珍しいね、どうしたの?"」

 

相手はレナだ。もちろん用件は"アレ"だ。

 

「レナ!帝国の収穫祭で出店出したいって言ってたよな!?」

 

「"ん?ま、まあ……"」

 

「今から一週間以内に帝国で屋台を出す準備出来るか!?金は帝国が出す!」

 

「"い、一週間!?急すぎない!?"」

 

レナは電話の向こうで飛び上がって驚く。

今いきなり言って一週間は短すぎる。だが龍馬の声を聞く限り、かなり切羽詰まってる様子だ。

それにこれは帝国の人々に自慢の料理や菓子を食べてもらうチャンスだ。逃すわけにはいかない。

 

「"……わかった!一週間で準備してみせるよ!何かあったら連絡するね!"」

 

「了解!頼むぜ!」

 

龍馬が電話を切り、スマホを机に置くと同時に電話がかかってきた。表示された名前を見る。相手は平蔵だ。

 

「もしもし、じーちゃん?」

 

「"龍馬か!さっきのあの件な、どうにかなりそうや!ただな……"」

 

「ただ……?」

 

「"その……帝国に下見に行きたいって言うてみんな聞かんのや……そこ、どうにかならんか?"」

 

確かに店……屋台を出すなら場所の下見は必要だ。その周辺の民家などに断りを入れておく必要性もある。何人いるかはわからないが、一度帝国には招かねばなるまい。

龍馬は下見に来る人間のリストを作り、ソフォスと相談してもう一度連絡すると平蔵に伝えて電話を切る。

龍馬は電話を切った直後に思い出したが、そういえばレナも出店したいと言っていた。彼女も招いた方がいいかもしれない。

龍馬は彼女に再び電話をかけた。

 

「"もしもし、龍馬?なんか伝え忘れ?"」

 

「ああ、レナ。実はじーちゃんのツテの人達を下見で帝国に招くつもりなんだけど、よかったらレナも来ないか?」

 

「"え!?いいの!?でも私はお金ないよ……?"」

 

「大丈夫大丈夫。陛下に無理にでも出させるから」

 

まだソフォスの了解も取ってないにも関わらず龍馬はそう言った。

そもそも一週間で準備しろという無茶な要求を受け入れているのだからそれくらいは融通を利かせてもらわなければ困る。

 

「"そ、それなら是非行きたいかも!"」

 

「うし、じゃあレナもリストに……」

 

「"なになにー?何の話?"」

 

電話の向こうから若い女性の声が聞こえた。愛華の声だ。どうやら今の会話を聞かれていたらしい。レナが彼女に説明をする声が聞こえてくる。

 

「"え!私も行きたい!ね、レナちゃん、それ私とお母さんも行けないかな?もちろん私達もレナちゃんを手伝うからさ!"」

 

「"……龍馬、聞こえてた?そういうことらしいけど……"」

 

「……リストに追加しとこう」

 

龍馬はペンを持つ手を動かし、招待リストに愛華とおばちゃんの名前も追加したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

再び応接室にて今度は大臣のボルドを交えてソフォスと対面、龍馬は下見の事を話し、リストをソフォスに渡す。

 

「わかった。そういうことならばこちらで何とかしよう。ボルドよ、すぐに招待の手配を頼むぞ」

 

「はっ、お任せ下さい」

 

ボルドはシルワ語でのリストの"写し"を書くと作業に取りかかるべく応接室を出ていった。

さて、とりあえず今の段階でやれることはこのぐらいだろう。手持ち無沙汰になった龍馬は城を出てニコラス達建築ギルドと島袋の様子を見に行ってみることにした。

噴水広場に行くと出来上がった設計図を見ながら島袋とニコラスが色々と話し合い、ギルドの男達が早くも資材の運び込みをしている。

 

「島袋さん、ニコラスさん」

 

「おっ、リョーマじゃねぇか。そっちはどうだ?」

 

「とりあえずは一段落しましたよ」

 

「龍馬君、凛ちゃんとアメリアちゃんは?」

 

「衣装の話し合いってことで今は仕立屋さんに二人でいますよ。それより島袋さん、ヤバいです。開催日来週ですって……」

 

「ああ、ニコラスさんからさっき聞いて驚いたよ。急いで他のキャストのDJにも慌てて連絡取ったさ。問題は宿泊先なんだけど、陛下に相談できるかなあ?」

 

「むしろ色々無理難題ふっかけて大いに困らせてやりましょう。あのオッサンにはいい薬ですよ」

 

少し怒りを含んだ龍馬の物言いに顔を見合わせて首をかしげるニコラスと島袋。

二人はその時、あの皇帝をオッサン呼ばわりするほど龍馬が何かしら苦労したことを推し量ったのであった。

しばらく建築ギルドの作業を見ていた龍馬だが、作業は順調そうで自分が出る幕はなさそうだ。龍馬は次にタマラの仕立屋へと向かう。

到着すると丁度打ち合わせの終わった凛とアメリアの二人が店から出てきた。

あとはタマラがどうにかしてくれるようなので信じて待つだけらしい。

三人がバザー通りを歩いていると向かい側から見知った顔が革袋を抱えて歩いてきた。

 

「あれ……!?リョーマ兄ちゃん!?リョーマ兄ちゃんだ!」

 

「よお、シャル!元気にしてたか?」

 

「あら、リョーマさん!また帝国にいらしてたのですか?」

 

歩いていたのは雑貨屋カムランのマルタとシャルルだ。二人はどうやら焼きうどん用の小麦粉や食材の買い出しに行っていたらしい。

 

「ええ。来週の収穫祭の出し物の事をどっかの困ったオッサンに相談されて準備のために急遽帝国に。三日だけですけど」

 

「困ったオッサン、とは……?」

 

「あそこのデカい城でのほほんと皇帝やってるオッサンです」

 

「そ、そうですか……」

 

皇帝をオッサン呼ばわりする龍馬に困惑するマルタ。

 

「ところでそちらは……もしかしてアメリアさん?」

 

「お久しぶりです、マルタさん。事情はリョーマから聞きました。大変だったみたいですね」

 

「ええ。でもリョーマさんのおかげで……私達家族はこうして平和に過ごせてます。ところでそちらの方は?初めて見るお顔ですが……」

 

「紹介しますね、ニホンでできた私の友達のリンです」

 

アメリアは凛をマルタとシャルルに紹介する。

人懐っこいシャルルはすぐに凛とも打ち解け、仲良くなった。

その後マルタの提案で焼きうどんをご馳走になった三人。

屋台で相変わらずヘラを握っていたキースは龍馬との思わぬ再会を喜んだ。

龍馬はグレッグの姿を探したが、どうやら彼は今別の買い出しを頼まれて留守にしているようだ。

キースはあの後、ソースにさらに改良を重ねたようで前よりも旨味が増していた。

異世界の人間が作る日本の料理。それはもはや龍馬の故郷である福岡でも充分に通じる味になっていた。

焼きうどんを食べ終わるとここで龍馬はキースからある相談を持ち掛けられた。

 

「リョーマさん、実は折り入って相談が……」

 

「ん?」

 

「今度の収穫祭に向けて何か新しいメニューを作りたいのですが、何も思い浮かばないのです。さすがにヤキウドンひとつだけというのも……何かいい案はないでしょうか?」

 

「うーん、新メニューかぁ」

 

確かに焼きうどんだけしかないというのも少し寂しい。かと言ってその辺の食材をただ鉄板焼きにするのもひねりがない。

そんな中、龍馬は焼きうどんに使う食材を見つめながらあるぴったりの料理を思い付いた。

鉄板で焼く料理といえばあれがあるではないか。

 

「"お好み焼き"はどうですか?」

 

「オコノミ……ヤキ?」

 

「たっぷりの野菜や肉、魚介類を水に溶いた小麦粉・卵と混ぜ合わせたものを鉄板で円形に焼いたものです。日本じゃ庶民的な料理なんですよ」

 

「それは素晴らしい!それで……どのように作るのでしょうか?」

 

「うーん、それを教える前に魚介類を買いに行きません?まずは必要な物を揃えましょう!」

 

「リョーマ、私も一緒に行くわ。海の幸なら私に任せてよ」

 

アメリアは元々魚介類の卸売りをして生計を立てていた。この世界の海の幸なら熟知している。

日本とは何もかもが勝手の違う異世界でこれは心強い。

凛はシャルルとの会話に夢中になっていたので龍馬、アメリア、キースの三人で港の店へ向かう。

港周辺へ着いた三人。水揚げされたばかりの新鮮な魚介類があちこちで売られている。

保存技術の発達していない異世界ではこれらは足が早い。素早く買って素早く調理しなければ。

さて、お好み焼きの魚介類といえばエビとイカだが、こちらの世界でも似たような物はあるだろうか。

 

「アメリア、お好み焼きっつったらエビとイカなんだけど似たような物はあるか?」

 

「エビとイカ?あ、名前は違うけどこっちの世界にもあるよ」

 

ビンゴ。これは幸先いい。

アメリアの案内で着いた店は彼女がよく魚介類の卸売でお世話になっていた取引先だ。

そこの店で見たものは紛うことなきエビとイカだ。

エビはシュルム、イカはスクルムと呼ばれている。いくつか買い込むと次は別の物を買いにいく。

ソースはいいとしてやはりマヨネーズが欲しいところだ。マヨネーズは油・卵・酢で出来ている。それらを買ってマヨネーズ作りもやろうと考えた。

買い物から戻ると別の買い出しに出ていたグレッグが戻ってきており、調理器具の手入れをしながら凛やシャルルと会話をしていた。

 

「おっ、リョーマか。話は聞いてるぜ。陛下直々に祭りの出し物任されたんだって?大変だなぁ」

 

「全くだよ。一週間とか無茶すぎワロタ」

 

「ははは。でもお前ならうまくいきそうだな。そういや新メニュー作るんだって?」

 

「ああ。こっちもこっちで美味いぞ。楽しみにしててくれ」

 

龍馬はアメリアと共にお好み焼きのタネとマヨネーズ作りに取り掛かった。

龍馬はスマホでレシピを確認しつつタネを作り、アメリアはマヨネーズを作っている。

ネットのレシピを参考にしながらコショウを入れたり、レモン汁を入れると美味いとのことでモルドの実の絞り汁を入れたりした。

キースは隣でメモを取りつつ、グレッグとマルタが食材を包丁で切っていく。

先にマヨネーズが出来上がった。皆で味見をしてみる。……うん、なかなかいい味だ。

次にお好み焼きのタネが出来上がった。

刻んだロキート・シュルム・スクルムを入れたタネを鉄板の上に乗せる。ジュージューといい音が辺りに響き渡る。

ここで肉登場。薄切りにしたブラウンボアの肉を三枚ほどタネの上に乗せる。

タネがある程度固まってきたらヘラを用意して下に潜り込ませる。

 

「よっ!……と」

 

龍馬はお好み焼きをクルリと見事にひっくり返す。いい具合に焼けている。

それと同時に辺りに香ばしい香りが漂ってきた。

ひっくり返した裏面も焼けてきたらここでソースをたっぷりとかけてさらに追加でマヨネーズもかけて完成だ。

完成したお好み焼きを皆で食べてみる。

 

「ん、うまい!」

 

「とても美味しいわ!」

 

「こりゃ美味いな!」

 

「すごく美味しいよ!」

 

カムラン一家とグレッグはお好み焼きに舌を唸らせた。

魚粉と鰹節と青のりがあればもっといいのだが、とりあえずはこれだけでも充分だろう。

お好み焼きはこうしてカムラン一家の屋台に新メニューとして加わった。

そしてやはりその香りに釣られて人々が集まってきた。

香ばしいお好み焼きは瞬く間に売れていき、タネがすぐに無くなってしまった。

 

「リョーマさん、ありがとうございます。おかげで商売繁盛です」

 

「"雑貨屋カムラン"再建もそう遠くなさそうですね」

 

「ええ。また昔のように雑貨屋を開けたらと思っております。もちろん屋台営業も続けますが」

 

「じゃあ、祭りに向けてお互いに頑張りましょう」

 

「はい!」

 

龍馬達はここでカムラン一家に別れを告げ、一度島袋とニコラスのいる噴水広場へ向かう。

その途中、龍馬のスマホに着信が。ソフォスからだ。

 

「"リョーマ君、招待の手配が整ったぞ。いつでも大丈夫じゃ"」

 

「了解しました。早速伝えます」

 

龍馬は一旦電話を切り、平蔵に電話する。

ソフォスからの話を伝えると皆気持ちが先走って既に準備を完了しているようでいつでもいけるとのこと。

何とほぼ全員が明日には到着出来るとのことで流石の龍馬も驚いた。

だがまあ、一週間という短く限られた時間である。事が早く進むのであればそれに越した事はない。

龍馬は平蔵に続き、レナにも連絡を入れる。こちらもやはり準備は出来ているようですぐに帝国へ来れるとのこと。

 

 

 

明日は今日より忙しくなりそうだ。

龍馬はそう考えながら凛とアメリアと共に噴水広場へと向かう。

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