アナザー・ディメンジョン -異界交流記-   作:誠龍

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第62話 異世界フェス・その⑤

ニコラス達建築ギルドの建材の運搬を妨害しているコボルトの群れを排除するべく、ピャルナチの森に向かう龍馬達。

森に到着すると前方に武器を構えたコボルトの群れが見えた。

思ったよりも数が多い。目視できる限りでは七体はいる。

アルフォンスが馬車を止めて降りると龍馬も準備をする。

 

「さて……やるか」

 

龍馬が拳を鳴らして念じると四肢が光に包まれる。その様に三人は驚いた。

光が収まると、龍馬の四肢には白銀の籠手と脛当てが装着されている。彼の異世界での戦いを支えた神器ルナ・アームだ。

 

「ええええ!?龍馬君なにそれ!?」

 

「さ、斎藤君……!一体それは……!?」

 

「なんでリョーマがそんなマジックアイテムを……!?」

 

「ほんとはあんまり人に見せびらかすもんじゃないんだけどな。こいつは"ルナ・アーム"。気まぐれな女神サマからもらった神界の武器だよ。武器自身が使用者にふさわしい形になるんだとさ」

 

「な、なんで籠手なの?武器というよりそれ防具じゃあ……」

 

目の前の光景に困惑しながらも凛が問う。

 

「いやしん坊の女神サマによれば喧嘩ばっかりしてるからじゃね?ってことらしい」

 

「ああ……道理で」

 

確かに龍馬といえば喧嘩のイメージが強い。これ以上ないくらい的確な答えに納得してしまった凛であった。

龍馬はアルフォンスと共にコボルトの群れに接近する。

 

「ギャギャッ!ニンゲンきた!エモノ!エモノ!キョウはゴチソウだ!」

 

「ニンゲン!シネ!」

 

武器を構えたアルフォンスと龍馬に愚かにも二体のコボルトが手に持った剣を構えて接近した。

次の瞬間、前方のコボルトは胴をアルフォンスのロングソードで一刀両断され、もう一方は龍馬のルナ・アームを装備した強烈なパンチを受けて吹き飛ばされて大木に叩き付けられ、全身の骨を砕かれて死亡した。

 

「所詮はコボルトですね。口ほどにもありません」

 

「雑魚すぎてあくびが出るぜ」

 

余裕の表情で立ちはだかる二人。突如として狩る側から狩られる側へと転落してしまったコボルト達。ようやく事態の重大さに気付いたコボルト達だがもう遅かった。

 

「ギ……ギィッ!」

 

弓を構えたコボルトの一匹がアルフォンスに向けて矢を放つ。だが素早く前に出た龍馬が籠手で矢を弾き飛ばした。

 

「恩に切ります、リョーマ君」

 

「朝飯前ですよ、こんなの。……さてと」

 

龍馬の手に宿る獄炎の炎。彼はアルフォンスに向けて矢を放ったコボルトに向けて火炎弾を容赦なく放つ。

直撃したコボルトは火だるまになりながら悲鳴を上げて逃げていった。

 

「まだやるか、雑魚どもが」

 

龍馬は両腕に炎を宿したまま、ゆっくりと歩を進める。

ジリジリと迫る龍馬に恐怖を覚えて後ずさるコボルト達。

そして無謀にもこん棒を持った一匹のコボルトが半ば半狂乱になりながら龍馬に突っ込んでいった。

だがそんな捨て身の攻撃が彼に通用するわけもなく、顔面に蹴りを受けて地面に伏せてしまう。

 

「こちとら忙しいんだよ……言葉が少しでも通じるんなら二度とこの場所に近づくな!!」

 

龍馬の怒声により完全に戦意を喪失したコボルト達はついに武器を捨てて逃げ出してしまった。

彼等が完全に走り去ったのを確認すると龍馬はルナ・アームを解除し、アルフォンスも剣をおさめた。

 

「まったく、手間取らせやがって」

 

「リョーマ君、見事でした。これで任務は完了です。さあ、帝都へ戻りましょう」

 

二人は馬車へと戻り、来た道を引き返す。

馬車の荷台では龍馬の戦いぶりで持ちきりだった。

 

「龍馬君すげーな!手から炎を出すなんて!」

 

「斎藤君、あれどうやったの!?ねえ、ねえ!」

 

「えーと……まあ、成り行きで聖霊って存在と契約して……」

 

「リョーマったら聖霊と契約したの!?すごい!そんなの優れた魔導師やエルフでも簡単に出来ることじゃないよ!?」

 

背後で広がるそんな会話をアルフォンスは微笑ましく思いながら笑みを浮かべ、手綱を握って帝都へと馬車を走らせるのだった。

 

 

 

 

 

 

帝都へ戻ると龍馬はニコラスにコボルトを排除したことを報告する。

これで建材が無事に届くと喜んだニコラスから感謝の言葉を受けた。

 

「よーし!これでもう大丈夫だ!ありがとな、リョーマ!さすがニホンのバーサーカーだぜ!」

 

「バーサーカーはやめてくださいよ……俺が戦闘狂みたいじゃないですか……」

 

「ガハハ!まあ、そう言うな!……そうだ、もうすぐニホン人の乗った船が港に着くらしいぜ。リョーマ、オメーが手配したやつじゃねぇのか?なんなら港へ行ってみな!」

 

「本当ですか?わかりました!」

 

龍馬はニコラスに礼を行って港に向かう。

島袋達三人はニコラスとの打ち合わせのためその場に残った。

港へ急ぐと丁度帆船が到着したところであった。錨が下ろされ、船が桟橋に固定されると水夫が板を乗せる。

船からは日本人の団体が次々と帝国入りしてくる。

そして龍馬はその中に見知った顔を見つけた。

 

「レナ!それにおばちゃんと愛華姉ちゃんも!」

 

「ヤッホー、龍馬!来ちゃった!」

 

「龍ちゃん、こんにちは!……ほら、お母さんも早く早く!」

 

「待ちなよ、愛華……ちょっと腰が痛いんだよ……」

 

まず会ったのはふくまるの三人だ。

おばちゃんに愛華にレナ。見知った店の見知った顔。愛華とレナは中世ファンタジー世界の光景を目の当たりにしてはしゃいでいる。

一方、おばちゃんは長旅で疲れたのか疲労の色が見てとれた。

 

「すごい、すごい!本当に中世の町並みだ!」

 

「実際に見るともっと凄いねー!」

 

帝都の中心にそびえ立つ城。そして木造やレンガ造りの家が並ぶ町並み。

町行く人々は皆、まさに中世の時代の服装であり、剣や槍を持った兵士が巡回している。ここは本当に異世界なのだ。

 

「私、ゲームも好きだからこういうRPGの世界観とか大好きなんだよね!早くお城を見に行きたい!」

 

「おっ、レナはゲーマーだったの?最近は何が熱い?」

 

「最近だとPCで出たばかりの"デス・バイ・デッドランド"ってゲームが熱いかも」

 

「ああ!あの殺人鬼と生存者に別れて戦うやつ!最近スキームで配信された……」

 

「そうそう!これがなかなか緊張感あって面白いんだよ!龍馬も一緒にどう?」

 

「あー、俺のPCクソスペックだから多分動かないよ……CS版出てくれればなあ……」

 

「うーん、残念だなあ。PC買い替えるかCS版出たら一緒にやろうよ!」

 

「オッケー!」

 

ゲームに関する談義をレナとしたのちにやはり例によってアルフォンスが皆を迎えにきた。

しかし馬車は限られているので何組かずつ城に向かうことになった。

レナ達は最初の馬車で城へと向かっていく。

彼女等と別れた直後、龍馬は後から下船する人間の中に祖父母の姿を見つけた。

 

「じーちゃん!ばーちゃん!」

 

「龍馬!」

 

「あらあら、可愛い孫がお出迎えっちゃあ、至れり尽くせりやないね!」

 

龍馬は平蔵とヨネ子との再会を喜んだ。

そして馬車の順番が来るまで会話を楽しみ、その後自分達の番が回ってきたのちに馬車に三人で乗り込んで城へと向かった。

城では人数が多いとのことで応接室よりも食堂で話し合いの場を設けることになった。

全員が集まったところでソフォスが話を切り出す。

 

「ニホンの皆様、遠路はるばるお越しいただき、本日は誠にありがとうございます。ようこそ、アルカ帝国へ。私が皇帝のソフォス・レーグヌム・アフトクラトリアでございます。

今回は祭りの出し物にご協力いただけるということで私共、城の関係者は大変感謝しております。

至らぬ所もあるかとは思いますが、私共に出来ることがあればなんなりとお申し付けください」

 

ソフォスが立ち上がって深々と頭を下げると皆も立ち上がって頭を下げ、礼をした。

挨拶も済んだところで早速本題に入る。まずは平蔵の連れてきた祭りの関係者がどのような出し物をするのか、その確認だ。

まず食べ物を提供する屋台。これに関してはある提案が出された。

それは「可能な限り、こちらの世界の食材を使って日本の屋台の料理を作りたい」というものだ。

そしてこの帝都で同じく屋台を出す人々と協力して料理を作りたいと言うのが彼等の提案だった。

もし、彼等だけで屋台を出せばどうしても規模が小さくなる上に珍しい日本の屋台の料理に人が集中してしまう。そうなれば必然的に帝都に住まう人々の店が売れなくなってしまう。

そういった事態を避けるために平蔵は関係者と話し合ってあくまで帝都の人々全てが喜べる算段を考えたいと言うのだ。

もちろんソフォスは快諾した。そして次なる課題は花火の打ち上げ台の設置だ。

まずは花火職人達がタブレットで花火とはどういうものかをソフォスに説明し、その後ソフォスが兵士達を同行させて打ち上げ台の設置場所を取り決める方針だ。

話が纏まったところでソフォスは関係者一人一人に挨拶と握手をし、各自下調べのために兵士達と共に町へと繰り出した。

食堂に残ったソフォスは改めて平蔵、ヨネ子の二人と挨拶を交わす。

 

「リョーマ君の祖父母殿。はるばる帝国までご足労いただきありがとうございます。私共一同、感謝の極みでございます」

 

「いやぁ……自分なんかがこげな立派な城に住んどる王様のとこまでズカズカ入ってきて逆に申し訳ないです」

 

「うちの孫がお世話になっとるみたいでほんとにありがとうございます。それにこげな年になってからこんなお城に来れるとか夢みたいな話ですわ」

 

再び二人と握手を交わすソフォス。と、そこへ……

 

「お父様!!」

 

食堂の扉を開けて飛び込んできたのはモニカだ。

そういえば帝国(こちら)に来てから顔を見てなかったが、一体どうしたのだろうか。

 

「リョーマのお祖父様とお祖母様が来てるって聞いてやってきたわ!!」

 

「こら、モニカ!今は武術の訓練中であろう!アルバートはどうしたのじゃ!?」

 

「ああ、アルバートなら……」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「さあ、姫様。もう逃げられませんよ。大人しく鍛練に……って、これは訓練用の丸太人形!?くっ……変わり身の術とはっ……!!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って、なってるわ」

 

「まったく、仕方のない娘じゃのう……」

 

ソフォスは娘のお転婆ぶりに頭を抱えてやれやれと肩をすくめた。

 

「初めまして、リョーマのお祖父様、お祖母様。アルカ帝国皇女のモニカでございますわ。どうぞ、お見知り置きを」

 

「お、おお……これはご丁寧にどうも……龍馬の祖父の平蔵です……」

 

「……じーさん、あんた鼻の下伸ばしとらせんやろね」

 

「伸ばすか!」

 

二人のやり取りを見てモニカがふふっと笑う。

先ほどから黙って見ていた龍馬もちょっと笑ってしまった。

改めての挨拶が済んだところで龍馬が祖父母を帝都へ案内する。

まずは"竜の髭亭"だ。食事もだが龍馬は平蔵をある人物に会わせたかった。

店へ入り、テーブルにつくとレベッカが注文を取りにくる。龍馬は注文ついでに奥で掃除をしているバルガスを呼ぶように頼んだ。

しばらくして作業着姿のバルガスがやってきた。

 

「リョーマか……どうした?」

 

「バルガス、この二人はうちのじーちゃんとばーちゃんだよ。お前、じーちゃんの無手術に興味持ってたろ?」

 

「む……」

 

バルガスは平蔵を見、平蔵もバルガスと目を合わせる。

 

「ほう、うちの孫とやりおうたっちゅうのはあんたかい。なかなかいい身体しとるやないか」

 

「……お褒めに預り光栄です、リョーマの祖父殿」

 

「……あんた、俺の無手術に興味があるっちな。孫から聞いたばい。……どれ、せっかくやし手合わせしちゃろうか?」

 

「……!」

 

"手合わせをしてやる"ーーーー平蔵のその言葉にバルガスの戦士としての血が騒いだ。

 

「じーさん、またあんたこげなところでそげなん言い出してからに……」

 

「しゃーしぃ!お前は黙っとけ!……んで、やるのか、やらんのか」

 

「……是非、お願いします」

 

試合の話を持ち掛けられて黙っていられるバルガスではなかった。しかも相手はあの龍馬の祖父。バルガスが異世界に興味を持つきっかけになった龍馬の武術の師である。

もはやその気になった平蔵もバルガスも止められなかった。

バルガスはレベッカとアンナに許可をもらって平蔵と共に表へと出た。

 

「さあ、どっからでもかかってこんかい」

 

「……剣はないが遠慮なくいかせてもらおう!おおおおぉぉぉ!!」

 

バルガスの巨体が平蔵に突進する。

近づいた瞬間、彼はその豪腕で拳擊を繰り出した。しかし……

 

「甘いわ、若造が」

 

身体を捻るように、必要の動きだけでバルガスの拳擊をかわす平蔵。

 

「くっ……!うおおおお!!」

 

バルガスが連続でパンチやキックを繰り出す。しかし平蔵はまるであらかじめ攻撃の位置がわかっているかのようにほんの少しの動きや身体の捻りだけで攻撃を避けていく。バルガスの攻撃は全く当たらない。まるで煙を攻撃しているかのように。

 

「くそっ……!おおりゃああああ!!」

 

バルガスの渾身の一撃。だがその攻撃も平蔵は彼の腕に軽く右手を添えただけで受け流して影を縫うように背後に回り込むと背中に手刀を軽く入れた。

 

「ぐっ……!」

 

「ま、流石に騎士っちゅうだけのことはあるな。その辺の奴よりはよっぽど出来た動きしようばい。ほいけどまだまだやな」

 

「ハァ……!ハァ……!くそっ……!」

 

「な?だから言ったろ、バルガス。じーちゃんにはかすりもしねえって」

 

ヴィヴェルタニア最強と呼ばれたバルガスでさえ平蔵に勝つことはおろか、満足に攻撃を当てることもできない。

これが異世界ニホンの武術の達人なのかとバルガスは痛感した。

 

「……恐れ入りました。私もまだまだ未熟だということを悟りました」

 

「……」

 

バルガスは立ち上がって平蔵に深々と頭を下げる。そんなバルガスの姿を見て平蔵は顎に手を当てて何かを考えている。

 

「……お前さん、日本に来るはいいが行く宛はあるんか?」

 

「……いえ。まだ引き受け先は申請中で……」

 

「ふーん、そうかい……ほんならあんた、うちんがた家さい来んか?」

 

「え?」

 

「うちに来て農業の手伝いするんやったらうちに居候さしちゃるわい。その合間に教えちゃるわ。五十嵐流の技をな」

 

「……よいのですか……!?」

 

「どうせ家の大きさの割にジジイとババアと犬しかおらん家や。一人くらいどうってことないわ」

 

「……ありがとうございます。その時はよろしくお願いします!」

 

再びバルガスは深く礼をする。

龍馬は大体こうなるだろうと予測していたらしく、特別驚きはしなかった。

その後平蔵は店内に戻ってからそれを知ったヨネ子にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

食事を終えた三人は帝都を見物しつつ、城へと戻る。

他の関係者達も下見を終えたようで後から城に集まりつつあった。

次に集まった彼等は祭りに必要なもののリストを作り、それを確認している。中には知り合いに応援を頼んでいるものもいるようだ。

このままなら帰国まで自分の出番はなさそうだ。島袋や凛達も各々で準備をしているし、龍馬に手伝えることはないだろう。

ステージの設営もニコラス達にかかればすぐだろうし、電源車も近いうちに搬入されるはずだ。明日の帰国までゆっくりしよう。そう考えていた龍馬であった。

 

 

 

 

 

その日の夜、食事を終えた龍馬は客室でのんびりと過ごしていた。

スマホで新作ゲームの情報やツーリングスポットの情報を見たり、トレンドに上がっているニュースに目を通したりしている。

 

「"避暑地としてアルカ帝国への旅行客急増"、"全国のコンビニで新発売!フルーツヨーグルトフラッペ"、"若い女性に今人気のふんわりかき氷スイーツ"……夏になるとこの手の話題多いな……ん?」

 

龍馬はいくつかのニュースの中に気になる見出しを見つけた。

 

「"中国企業リオングループ、外食産業を中心に日本に本格的展開"……」

 

リオングループといえば最近世界各地に外食産業を中心としたビジネス展開をしている中国の一大企業だ。

食の安全に敏感な日本人にも受けるように徹底した安全管理と質の高い食事を提供し、食の安全の意識が低いとされる中国の評判をひっくり返すトリガーになるのではと本国からも期待されている。

SNSでもリオングループの経営するチェーン店の評判は高く、中には辺り一体の土地を開発して小規模のチャイナタウンを建設し、ちょっとした中国テイストな世界を味わえるという話も聞く。

やら福岡にも博多を中心に数店舗展開するようなのでちょっと楽しみな龍馬であった。

 

「ほうほう。今度ゴリラとディレット誘って行ってみるかね。……ん?なんだこの記事……」

 

龍馬はリオングループの記事の下に別の気になる見出しを見つけた。

ひとつはヨーロッパのとある製薬会社に"生物兵器の開発疑惑がかけられている"とのこと。

その会社とはドイツに本社を置くヨーロッパいちの製薬企業"エントヴィックルング社"。

「常に医療と製薬の進化を」という言葉をスローガンとしており、医療開発や製薬はもちろん、化粧品や洗剤にサプリメントといった生活雑貨の分類にもビジネスの分野を広げていてヨーロッパ圏内では知らない者はいないほどの一大企業だ。

そんなエントヴィックルング社に対し、ドイツのとあるジャーナリストが独自に調査・取材をしたところ、実体が不明確な組織との取引を行っている可能性が明らかとなったらしい。

この不明確な組織というのが中東或いは中国などのアジア方面の裏組織ではないかという噂が立ち始め、そこから「ウィルスなどのバイオ兵器かそれに近いものを取引しているのではないか」と言われだした。

エントヴィックルング社はこの報道を事実無根だとして否定しているが、ヨーロッパ圏内の人々の生活に大きく関わっている一大企業に疑惑が芽生えたことで特にドイツでは大きな騒ぎになっているとか。

一部では既にエントヴィックルング社製の物に対する不買運動や会社に対する抗議活動なども行われているようだ。

 

「SFみたいな話だな……変なことにならなきゃいいけど……」

 

生物兵器とは何とも恐ろしい話だが、流石にバイオハザードみたいな話にはなるまい。

それにここは遠く離れた日本だ。あまり龍馬には関係のない話であろう。

龍馬はスマホを切ると疲労が溜まっていたのか、すぐに眠りに落ちてしまった。

 

 

 

 

 

 

翌日。今日は午後の便で帰国する日だ。

平蔵達祭りの関係者はもう一日滞在するようなので龍馬は一足先に帰ることになる。

 

「(そういえば須崎に頼んだもの、今日までに届くかな……)」

 

龍馬は彼女にある物資の配送を頼んだが、今日の帰国の時間までに間に合うだろうか。

龍馬がまだかまだかと城で待つこと数時間。何とかギリギリで"例の物"が大量に届いた。

城宛に届いたその大量のダンボールにソフォスもアルバートも驚く。

 

「りょ、リョーマ君……これは一体何じゃね?」

 

「こんなに大量に……一体何が入っているんだ?」

 

「ふっふっふ……これはですね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"鰹節"と"魚粉"と"青のり"です!!」

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